みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

子供を望む既婚男女、6割が「子ども手当は出産を後押しする」- 保育所設置も規制緩和へ

2009-10-30 | いとすぎから見るこの社会-少子化問題
自分の財布しか頭にない人々が必死に反対する子供手当ですが、
効果が期待できるとの調査がやはり出始めました。

「子供手当は貯蓄に回るだけ」と強弁する論者は
中抜きの多過ぎる公共事業(国内ODAと揶揄されている)や
貯蓄に回る率の高い年金給付と比較してから言うべきだろう。

他の先進国と比較すると日本女性の労働力率は明らかに低く、
(注:有職率が世界最高水準の国内母子家庭を除く)
育児支援予算の増強により母親がすぐ働きに出られるだけでなく、
保育関連雇用を一気に増やすことができる施策なのです。

内需振興策として極めて有効なのは明らか。

そもそも待機児童が常態化していると云うことは
そこに大きな需要が発生しているからであり、
この不況時に何故無視するのか理解できない。

ただ、可能性は低いものの児童虐待等の発生を考慮して
「手当強制返還条項」を付帯した方が良いと思う。
抑止力としての機能を期待できる。


「出産後押し」6割 子ども手当で調査(産経新聞)
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/e20091026047.html

”新政権の目玉政策の一つ「子ども手当」が注目される中、9割の親が教育費
 の負担に不安を感じる一方、手当が出産を後押しすると考える人が6割いる
 ことが、インターネット調査会社マクロミル(東京)の調べで分かった。調
 査は今月上旬、全国の20~49歳の既婚男女を対象に実施、千人から有効
 回答を得た。
 中学生以下の子供を持つと答えた668人に「教育費の負担」について聞く
 と、89.7%が「不安を感じる」と回答。世帯年収が低く、子供の数が多
 いほど、不安を感じる割合は高い傾向が見られた。
 中学生以下1人当たり月額2万6千円を支給する「子ども手当」(平成22
 年度は半額支給)について、「子供が欲しい」と回答した478人に、手当
 が出産への後押しになるか尋ねると、63.4%がなると回答した。
使い道
 は「教育費」(65.8%)がトップで、次いで「子供の将来のための貯金」
 (64.9%)。「生活費の補填」(22.5%)という回答も上位を占めた。”

 → あくまでもネットリサーチですが、
   確か週刊エコノミストかダイヤモンドに載っていた調査で
   高所得層の6割、中低所得層の5割が
   手当は貯蓄以外の支出に用いると回答していたので
   概ね正しい結論だと思われます。


保育所:政府、設置基準規制を緩和へ 待機児童解消狙い(毎日新聞)
http://mainichi.jp/life/edu/news/20091012k0000m010119000c.html

”政府は11日、認可保育所の設置基準などの規制を緩和する方針を固めた。
 国が地方自治体の業務を法令で規制する「義務付け・枠付け」の大幅な見直
 しを求めた地方分権改革推進委員会第3次勧告を受け、保育所については自
 治体が設置基準を条例で自由に決められるようにする。11月までに必要な
 法令の改正を整える方針で、自治体の条例改正が進めば、早ければ年内にも
 実現する見通しだ。
 民主党が衆院選のマニフェスト(政権公約)に盛り込んだ「保育所の待機児
 童の解消」が期待されている。
 保育所の設置基準は、児童福祉法に基づいて厚生労働省の省令「児童福祉施
 設最低基準」で規定されている。例えば、2歳以上の幼児が入所する保育所
 は(1)保育室か遊戯室(2)屋外遊戯場(3)調理室(4)トイレ――の
 設置が義務付けられ、保育室の面積は幼児1人について1.98平方メート
 ル以上、屋外遊戯場は1人につき3.3平方メートル以上など細かい規定が
 ある。
 自治体からは「保育所の設置環境は地域で異なる。地域の実情に応じて運営
 できるよう、施設の基準設定を市町村に移譲すべきだ」(全国知事会)など
 の声が強まっていた。分権委も8日、国による保育所の設置基準が不必要な
 「義務付け・枠付け」だとして、廃止や見直しを求める第3次勧告を鳩山由
 紀夫首相に提出した。
 政府は、保育所の基準緩和を早期に実現できないかを検討。長妻昭厚労相と
 原口一博総務相が9日に協議し、厚労省令の改正を検討する方針を確認した。
 保育所の設置基準のほか、省令で乳幼児の年齢ごとに細かく規定されている
 保育士の配置人数についても、見直しを検討する。
 厚労省によると、待機児童は都市部に集中し、全待機児童数の8割程度を占
 める。都市部では、保育室の面積や屋外遊戯場を十分に確保できず、認可保
 育所が増えにくいため、待機児童の増加につながっている
との指摘もあった。
 【石川貴教】
 【ことば】▽待機児童▽ 保育所に入所を申し込んでも満員で入れない児童
 のこと。09年4月時点(2万5384人)では前年比で3割増となり、同
 方法で統計を取る01年以降最高となった
。自民党政権時代の08年、政府
 は10年間で利用者を100万人増やす「新待機児童ゼロ作戦」を発表し対
 策に乗り出したが、効果はまだ出ていない。”

なぜか民間で規制緩和に反対している方々がいるのですが、
日本国民の税負担の低さを考えると
子供の安全を考慮した上で規制緩和せざるを得ないでしょう。
他に待機児童を減らす妙手はないのですから。
(それとも、喜んで重税を払いますか?)





『フィンランド 豊かさのメソッド』(堀内都喜子,集英社)

手厚い育児支援と重税で有名な北欧諸国は
日本よりも一人当たりGDPが高いという事実を直視しなければならない。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2007年の社会保障給付費、90兆円突破 - 半分超の48兆円が年金給付(子供手当予算の十数倍!)

2009-10-29 | いとすぎから見るこの社会-格差の拡大
真実とは常に苦いものです。

子供手当がバラマキだと言っている経済リテラシーのない方々は
社会保障給付の中身を調べてから喋りましょう。
自身の愚かさを喧伝するのは勝手ですが、見苦しいです。

単純に額だけで見れば年金給付は子供手当予算(約3兆)の約16倍、
全額に税が投入されている訳ではありませんが、
(仮に3分の1が税とすると16兆円の公費投入)
どちらがばら撒きに該当するのか、火を見るより明らかです。

しかも年金給付は盛大に税制優遇されており、
(例えば、最低課税額が現役世代よりかなり高い)
低所得の現役世代の方が遥かに税・社会保障負担が重いのです。

困窮する高齢層に優遇を行うのなら大賛成ですが、
現状はまるで違います。資産を死蔵させている高齢層も
年金と医療における優遇を享受しているという状況です。
(因みに、あの北欧にすら是程の税優遇はありません)

日航OBの方々の利己的な行状など、隠れた
膨大な既得権の氷山の一角に過ぎないのは明らか。

その帰結こそ、以下の報道に出ている数字なのです。


07年度の社会保障給付費、初の90兆円突破(読売新聞)
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/politics/20091022-567-OYT1T00870.html

”国立社会保障・人口問題研究所は22日、2007年度の年金、医療、介護
 などの社会保障給付費が91兆4305億円だったと発表した。
 統計を取り始めた1950年度以降、給付費の総額は毎年度増え続けており、
 今回初めて90兆円を突破した。
 対前年度の増加額は2兆3207億円で、伸び率は2.6%だった。鳩山政
 権は、来年度から中学卒業まで月額2万6000円(初年度は半額)を支給
 する「子ども手当」を実施するとしており、こうした少子化問題への対応や、
 高齢化の進展で、今後も給付費増加傾向が続くのは確実だ。
 収入面は、総額100兆4289億円のうち、社会保険料が56兆8740
 億円(全体の56.6%)、公費負担が31兆368億円(同30.9%)
 った。
 国民1人当たりの給付費は71万5600円で、対前年度の増加額は1万
 8200円、伸び率は2.6%だった。
 分野別の給付費としては、年金は前年度比2%増の48兆2735億円(全
 体の52.8%)。医療は前年度比3%増の28兆9462億円(同31.7
 %)。介護は前年度比5.2%増の6兆3727億円(同7.0%)だった
。”

 → 社会保障給付が増えるのは致し方ありません。
   問題は、将来への投資(即ち教育や育児支援への注力)や
   雇用の改善という観点が決定的に欠けており、
   予算をいかに分捕るかの放埒資本主義になっていることです。


07年度の社会保障給付費、91兆4305億円 高齢化で過去最高(日本経済新聞)
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20091022AT3S2201Y22102009.html

”国立社会保障・人口問題研究所は22日、医療や介護、年金などにかかった社
 会保障給付費の総額が2007年度に91兆4305億円と過去最高になったと発表し
 た。高齢化が主な原因で前年度比の伸び率も2.6%と高水準。民主党は子ども
 手当の創設や高齢者の医療費負担の軽減など手厚い社会保障政策を打ち出して
 おり、給付費がさらに膨らむのが確実な情勢だ。
 社会保障給付費は年金や医療、介護、福祉などのために税金や保険料から支
 払った費用の総額で、病院での窓口負担や介護施設の利用料などの利用者負
 担は含まない。同研究所は「07年度は給付費に大きな影響を与える制度改正
 がなく、少子高齢化で膨らんだ面が大きい」
と説明している。
 07年度の給付費が国民所得(374兆円)に占める割合も24.4%と前年度から
 0.54ポイント上昇し、過去最高となった
。一方で、国民所得の伸び率は0.3
 %にとどまった。所得の伸びが低迷する中で、給付費が着実に膨らむ構図が
 鮮明になった。高齢者関係の給付費は63兆5654億円と全体の69.5%を占め
 た
。”

欧州では、高齢化が進むと社会保障関連給付が増え、
教育予算は削られることが実証調査で明らかになっています。





『孫は祖父より1億円損をする 世代会計が示す格差・日本』(島澤諭/山下努,朝日新聞出版)


富裕高齢層への不公正な税・医療優遇を即刻廃止し、
次世代育成や新産業育成の予算に充当しないと
本当に日本は立ち枯れるでしょう。

公共精神のある高齢層の方は、必ず同意して下さいます。
金も銀も石炭もほぼ掘り尽くしたこの国には、人材しかないのですから。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

NYタイムズの伝えた八ツ場ダム問題 -「ダムのおかげで金が湯水のように流れ込んできた」

2009-10-28 | いとすぎから見るこの社会-全般
海外のメディアは屢々とんちんかんな日本評を垂れ流しますが、
時折は剃刀のような鋭い論評も見られます。

国内のメディアが伝えない政治的タブーであっても
堂々と直言してくれるので面白く読めるのです。

公共事業によって地元に金が流れ込むのを「麻薬」と喩えていますが、
はっきり言って原子力発電所も全く同じですからね。

私の知人は出身地に原発ができるのを知ると、
「あの町はもう終わっている」とはっきり断言しました。


八ツ場は戦後日本秩序の永眠の地と米紙が――JAPANなニュース(goo)
http://news.goo.ne.jp/article/newsengw/politics/newsengw-20091021-01.html

”英語メディアが日本についてどう伝えているかご紹介するこの水曜コラム、
 今週は群馬県の八ツ場(やんば)ダムについてです。外国メディアはあまり
 大きく取り上げていないのですが、ニューヨーク・タイムズが先週、詳しい
 記事を掲載しました。前文からいきなり、「墓場と十字架」のイメージを喚
 起して。(gooニュース 加藤祐子)
 〔中略〕
 記事は、人口6400人の町が巨大な新政権に真っ向から反対していることを
 とらえて、「David and Goliath battle」と呼んでいます。旧約聖書で青年
 ダビデが巨人ゴリアテを打ち倒した旧約聖書の物語にちなんでの表現ですが、
 宗教的な意味はまるでなくても「大きなものに小さなものが立ち向かってい
 く」という比喩でよく使われます。
 特にこの「小さな町が巨大な政府に反抗する」という筋書きは、それだけな
 ら多くの(特に保守層の)アメリカ人の大好きな展開です。ただし日本の場
 合は、「政府は自分たちの生活に介入するな」と反発しているのではなく、
 「(公共投資という)介入を続けてほしい」と政府に反発している
。これは
 (一部の保守派の)アメリカ人からするとちょっと分かりにくいはず。なの
 で、この記事は全体状況を詳しく説明し、長野原の住民のダム賛成派と反対
 派の声をいろいろと紹介。いかに地元経済がダム建設の公共事業に依存して
 きたか
。新しい生活基盤の計画も全て、ダムができてダム湖ができるという
 前提で組み立てて来たのに、それを一気に白紙に戻されたのだと。
 記事は「ダムが中止されたらどうやって食っていくんだ?」という住民の声
 を紹介する一方で、「ダムのおかげで毎年、金が湯水のように流れ込んでき
 た。ダムは麻薬みたいなもの」
という住民の声も紹介。また実はダム建設に
 反対だという農家の声も紹介した上で、「重ねてしつこく尋ねると(when
 pressed)」、「ダムが好きだと認める地元住民はほとんどいない。しかし
 ダム計画なしでどうやって町が存続できるのか、想像できる住民もほとんど
 いない」と。
 そしてダム推進派と反対派の対立の中心にあるのは、日本の巨大な公共投資
 による「いちばん厄介な遺産(thorniest legacy)」のひとつだと。つまり
 公共投資を中心に据えて回ってきた日本の戦後秩序の、何よりも厄介な遺産
 は「中央政府の財布の紐にほぼ完全に依存しきっている地域社会(the near
  total dependence of local communities on the purse strings of the
 central government)」なのだ
と。〔以下略〕”

 → ダムは好きでないが、工事は続けて欲しい。
   そのような自治体にどのような未来像があるのでしょう。

   地方が疲弊しているとよく言われますが
   原因は政治にだけあるとは言えないのではないでしょうか。


日本みたいになってしまうぞと英米の経済紙が警告(goo)
http://news.goo.ne.jp/article/newsengw/business/newsengw-20091028-01.html?fr=rk

”このところ英米両方のメディアで「日本になってしまうのかと心配だ」「日
 本と似ていて心配だ」という見出しをあちこちで目にしました。何事かと言
 うと、金融危機以降の各国中央銀行は資金の大量投入で景気刺激をねらった
 ものの、それが実体経済の成長につながっていない懸念がある。それはまさ
 にバブル崩壊後の日本の失われた10年に似てはいないか。とても心配だ――
 という論調です。
 「今のイギリスは日本とよく似ていて気がかりだ(The UK has a 'disturbing
  parallel' with Japan)」という見出しを付けたのは、27日付のフィナン
 シャル・タイムズ記者ブログ。何かというと、イングランド銀行(英中央銀
 行)金融政策委員会のアダム・ポーゼン委員がそう発言したのだそうで(ア
 ダム・ポーゼンというと「日本経済の再挑戦」という著書で知られ、日本の
 金融危機に詳しいアメリカの著名エコノミスト)。
 いわく、量的金融緩和政策(中央銀行による低金利の資金供給)が高インフ
 レまたは持続的なインフレにつながるという証拠はない。懸念すべきは、イ
 ンフレではないと。
 量的緩和政策といえば、日銀が2001年3月から2006年3月まで実施していたも
 のが代表的です。そして日本の金融政策を詳しく研究してきたポーゼン氏は、
 いま気にしなくてはならないのはインフレよりもむしろ、中小企業の資金不
 足だと指摘。量的緩和で供給した資金が、実体経済にまで下りていかないこ
 とが、何よりも問題だ
と警告しました。いよいよ景気回復の芽が出ても、そ
 の時点で中小企業に資金が回らなければ、せっかくの回復の芽が摘まれてし
 まう。これはまさに日本の「失われた10年」そのものだと。当時の日本と今
 のイギリスでは、異なる要素もあるので完全に同じは言えないが、少なくと
 も、いまのイギリスの金融業界の状況は1990年代半ばの日本とよく似ており、
 それがとても心配だと。
 イギリスでこういう発言が出たのと時期を同じくして、米ウォール・ストリ
 ート・ジャーナルでは26日付で、「アメリカ経済は日本式になりつつあるの
 か?(Is the U.S. Economy Turning Japanese?)」という見出しのオピニ
 オン記事を掲載。香港拠点の投資グループ「CLSAキャピタル」の株式ストラ
 テジスト、クリストファー・ウッド氏によるこの論説記事は、副題にやはり
 「FRBからのお手軽資金を得ても、銀行は消費者への資金提供を増やしてい
 ない」と、ポーゼン氏と同じようなことを言っています。
 いわく、株式市場の世界では「Happy days are here again(幸せな日々が
 戻ってきた)」と。そして株価は上がり、投機的行動も戻ったが、その元手
 になっているのは安い米ドルで、消費と雇用が回復している証拠はほとんど
 ない。米政府の市場介入もあり、「現在の米国経済は色々な意味で、1990年
 代日本のバブル後経済によく似ている。非常に緩和的な金融政策と低い信用
 需要が、高い失業率や、消費者のデレバレッジ(高リスクな債務を急いで手
 放すこと)と組み合わさると、景気不振の長期化につながることもある」
と。
 また米政府が「too big to fail (破綻させるには大きすぎる)」という理
 由で大手金融機関を公的資金で支えているのも、バブル後の日本で不良債権
 処理に何年もかかったことを連想させるし、同じように今また米国では、不
 動産市場の整理がなかなか進まないでいると。当時の日本同様、いまの米国
 では公的資金のおかげでマネタリーベースは急成長しているが、金融機関の
 貸出は減少。ゆえにアメリカはすでに、日本と同じような「流動性のわな」
 にはまっているおそれが強い。むしろFRBの量的緩和政策の恩恵を受けるの
 は、米国内ではなく、次に資産バブルが生まれるアジアの新興市場だろう
と。
 〔以下略〕”

英米と日本との違いは、
圧倒的に前者の方が処理が早いことです。
従って、英米に「失われた十年」は発生しません。
(アメリカの長期衰退は充分あり得ますが)

日本の場合、当事者に危機感が非常に弱くて
「嵐がおさまるのを待って逃げ切ろう」
との意識が見え見えでした。
回復が遅れるのも当然です。





『なぜ、アメリカ経済は崩壊に向かうのか―信用バブルという怪物』(チャールズ・R. モリス,日本経済新聞出版社)


モリスはこの卓越した著書の中で、
日本は事実を直視せず官民結託して問題を誤摩化したため
「日本経済はいまだに回復していない」と皮肉り、
市場の力を利用して活力を取り戻したかつての英米と
鋭く対比させています。

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本政府の国債利払い費、税収の2割超へ - 高齢化で増大する社会保障支出と並ぶ「死に至る病」

2009-10-27 | いとすぎから見るこの社会-全般
殆ど誰も重大問題と思っていないのが気味悪いのですが、
金融市場で攻撃材料として使われるほど
日本政府の財政は危機的状況にあります。

国債の金利水準が上昇したら格差是正どころの話ではありません。
「まだ上昇していない」のは確かに事実ですが
「これからも上昇しない」と考えるのは能天気です。

じりじりと悪性インフレと支出削減が進んで
「万策尽きる」状況に陥れば、
日本の貧困層は壊滅的な打撃を受けるでしょう。
富裕層は安全のために何名ものボディガードを雇うか
海外に脱出し始めるに違いありません。


国債利払い費、税収の2割超す 09年度見通し、政策財源に使えず(日本経済新聞)
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20091024AT3S2300W23102009.html

”2009年度の新規国債発行額が50兆円を超す見通しになるなか、国債の利払い
 費が膨らむ可能性が強まっている。国の税収に対する利払い費の比率は10年
 ぶりに20%を超え、政策に使える税収が一段と減る見通しだ。利払い費に償
 還分も合わせた国債費全体では20兆円を超え、社会保障費の25兆円に迫る

 政府は利払い費の増加リスクを抱え、難しい財政運営のかじ取りを迫られる。
 09年度の利払い費は麻生太郎政権が策定した補正予算後の一般会計ベースで
 9兆5000億円。1日あたり約260億円を利払いに充てている計算だ。政府は
 補正予算の見直しで約3兆円を削減したが「国民生活に密着したものに振り
 替える」(藤井裕久財務相)として借金返済に充てない方針を示している。”

 → このような悲惨な状況に陥るからこそ、
   景気後退に備えて財政健全化を進めるべきだったのです。
   苦境に備えて地道な努力を続けようとの強い意志が
   政府にも国民にも見られないのは実に残念です。


東京外為市場・正午=ドル91円後半、財政悪化懸念で投機的円売り進む(reuters)
http://www.asahi.com/business/news/reuters/RTR200910230041.html

”正午のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べ小幅ドル高の91
 円後半。午前の取引では、日本の財政悪化懸念を背景に投機筋を中心とした
 円売りが活発化。円が全面安となった。前日の下落幅が限定的だったユーロ
 は買い戻され14カ月ぶりの高値を更新、スイスフランや英ポンドもそれぞ
 れ15カ月ぶり、1カ月ぶりの高値するなど欧州通貨高が目立った。
 市場では「来年度の国債発行額が50兆円に達する見通しなど日本の財政悪
 化が取り沙汰され、海外勢がJGB(日本国債)でカーブ・スティープニン
 グ(短期債買い/長期債売り)を仕掛け、為替市場では円売りになっている」

 (外銀)との観測がある。
 ドルは一時91.73円と1カ月ぶりの高値圏まで上昇。豪ドル/円は85
 円前半まで上昇し1年超ぶりの高値、英ポンドは152円後半で9月半ば以
 来約6週間ぶりの高値、ユーロ/円は137.83円まで上昇し2カ月ぶり
 の高値を更新した。 
 市場では「このところ日本の財政赤字をネタに円売り仕掛けをするファンド
 が目立ち
、ユーロ/円は格好の標的になっている」(ファンドマネージャー)
 とされるが、ユーロ/円の上昇にはユーロ・サイドの要因もあるようだ。
 〔以下略〕”

これは先週末の報道。

「投機的円売り」とありますが
寧ろ「合理的円売り」ではないのだろうか。

不幸なことだが、外貨保有や海外投資は、
高リターンを追求する投資戦略と言うよりも、
生き残り戦略として「必須の技術」となりつつある。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『週刊東洋経済』10月31日号 - 大竹文雄教授「市場経済の否定は新たな利権の奪い合いをもたらす」

2009-10-26 | 『週刊 東洋経済』より
今週の『週刊東洋経済』の特集は「年金 激震」でした。
残念ですが切り込みが甘過ぎです。

視点のシャープさでは毎回ダイヤモンド誌に劣っています。
部数で劣る事実をもっと真剣に受け止める必要があるのでは?
売れれば良いのではないですが、特に今回は雑誌側の独善を感じます。





『週刊東洋経済』2009年 10/31号


『東洋経済』がよりよい年金制度の対案や提案を示さないのに、自らは
名指しでアンフェアな批判を行うのは高慢の自覚がないからでしょう。
そもそも年金不信を利用して雑誌を売ろうとしている点で
編集部も自らが批判する民主党と同類
ではありませんか。

亀井金融相と同じで、ブラッフで注目を集めても
やがて気づかれて根深い不信を買うだけです。

年金制度に関する議論は複雑で動的な要素(成長率等)と
錯綜する利害関係を幾つも抱えており、
どこからどう見ても正解の制度などあり得ません。

複数の制度案のメリットとデメリットを詳細に比較し、
根気よく制度を手直ししてゆく以外に道はない。

「批判のための批判」の特集は不要です。
よりよい議論のための提案や学びがなく、
はっきり言って失望しました。

例えば、年金への盛大な税優遇や(全員に適用しており、明白な既得権)
明らかにアンフェアで時代遅れの第3号被保険者の問題は
編集部として全く問題ないと考えているのですか?

     ◇     ◇     ◇     ◇

最も問題なのはP74の世代間不公平論が粗雑である点で、
ぜひ名指しされた鈴木亘教授に公開質問し対決して欲しいところ。

「世代間格差などは…社会保障システムの考え方で見ると全く問題ない」

という驚天動地のトンデモ論まで出ているのですから。
この執筆者は自分こそ社会保障システムを正しく語る知性と能力を
持っていると思っているらしいですね。


今回の特集には、以下の点で致命的な欠陥があります。

[1]世代間不公平の放置は、未来の貧困を深刻にさせ得る点を完全無視

  → 未来のない国からは人材と資産がたやすく大量流出する

[2]親から子への所得移転こそ社会的不公平の源泉であるのに無知

  → 二世国会議員がその象徴、江戸末期と同じで社会の活力低下

[3]経済成長の低迷に伴って負担と給付のリバランスが絶対に必要

  → 特集では「負担と給付に必ず差が出る」と議論を拒否して開き直り

[4]負担/給付比率の格差を縮小する方策を完全無視

  → この特集こそ極端な案しか出さず社会の分断を煽っている


▽ 莫大な教育投資の格差が人生の格差を広げている事実が分かる





『日本のお金持ち研究』(橘木俊詔/森剛志,日本経済新聞社)


世代間格差の改善・縮小は簡単です。

年金の税優遇を完全廃止し、累進課税するとともに、
社会保障番号制度を創設、貧困層以外の医療負担を現役並みにする。
その分の予算を育児・教育予算に充当する。

それだけで相当な効果があるのに、何故話を面倒にするのでしょうか。。
未来に投資しない国は、滅びますよ。


正直、特集よりもP9の大竹教授のコラムの方が
遥かに価値があると思います。

     ◇     ◇     ◇     ◇

今週の『週刊ダイヤモンド』の特集は「大学」でした。

やはりと言うか、大学の粗製濫造のひとつの要因は
文科省の天下り先確保(P50)だったんですね。





『週刊ダイヤモンド』2009年 10/31号

天下りにも有能な人材は多々いらっしゃるのでしょうが、
少なくとも文科省と大学界に自浄力がないのは明らかです。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする