みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

『週刊エコノミスト』9月4日号 - 厚労省・社保庁の天下り役員が6割超、厚生年金基金の根深い病巣

2012-08-31 | 『週刊エコノミスト』より
今週の『週刊エコノミスト』の特集は「宗教と経済」でした。
発想は面白いのですが産業構造や企業群を比較した方が
より興味深い特集になったのではないかと思います。

それより当面の日本にとって重要な記事を発見しました。
P96で厚生年金の病巣を抉った「エコノミスト・レポート」です。

米系の年金・退職金コンサル日本支社の宮原英臣氏による執筆で、
厚生年金基金の役員が厚労省・旧社保庁の天下りOBの受け皿となっているため
(年金基金の取引先である信託銀行OBが多数役員になっている点も問題であろう)
情報開示が不十分で、基金解散に消極的なのではないかと厳しく批判されている。
驚くべきことに加入企業にすら議事録を隠蔽した事例があったと言う。

公的年金関係者がまるで宗教じみた現状の年金制度肯定を行い、
批判の声に対しファナティックな反論と罵声を浴びせる理由が分かってきた。
恐らくこの「年金ムラ」はまだまだ「不都合な事実」を隠している筈だ。

『エコノミスト』2012年 9/4号


P93もなかなか役立つ。香港取引所がLMEを買収した件だが
世界の金属需要に占める中国経済のシェアが一目瞭然の図表を
MUFJリサーチ&コンサルティングが作成しており、大変素晴らしい。

    ◇     ◇     ◇     ◇

週刊東洋経済の特集は良かったと思います。
ダイヤモンドと切り口は違いますが互角かと。
スマートフォン特集があるだけお得感あり。

『週刊東洋経済』2012年 9/1号


巻末に渡邉恒雄氏へのインタビューがあって、予想通り巨額補助金には全く触れず
「原子力は安い」と主張している。矢張り最新エネルギー事情を知らないようだ。
「核武装のため原発が必要」と咆哮する方が余程、堂々たる保守の頑迷ぶりと思うが。

ところが具合悪いことにすぐ近くのP128に原田泰氏のコラムがあり、
「福島事故での問題は専門家のアドバイスがデタラメだったこと」
さまざまな事故調査委員会の報告書を厳しく批判されている。(全くその通り)
インタビューと比較するとどちらの論が粗雑かすぐに分かる。

数年前のアメリカの連続ドラマ『ザ・ホワイトハウス』に
福島事故級のメルトダウン事故のシーンがあり、
日本より遥かに原子力専門家の質が高いとのことだ。
ドラマとは言っても現実社会の反映であり、考えさせられる。

▽ こちらに入っている

『ザ・ホワイトハウス 〈セブンス・シーズン〉コレクターズ・ボックス』


面白いとは聞いていた。俄然、観てみようという気になった。

    ◇     ◇     ◇     ◇

来週はダイヤモンドも東洋経済も面白そうだ。

▽ ダイヤモンドは相変わらずタイムリーだ

『週刊ダイヤモンド』2012年 9/8号


『週刊東洋経済』2012年 9/8号


東洋経済は時折もの凄い変化球を投げてくる。この特集はどうだろう。
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太陽電池の国内需要が7割超の急拡大、地方自治体も歓迎 - 国産パネル援護のためメガソーラー排除が必要

2012-08-30 | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える
予想通りのことではあるが太陽電池の国内出荷量が凄まじい急拡大を見せている。

太陽光発電は夏に必須であり震災にも強いので、これ自体は結構なことである。
しかしあくまで補助電源でありまだコストも高いので次年度以降の
制度設計に高度な配慮が必要となってきた。

まず、送電網投資負担と送電ロスという欠点を持つメガソーラー普及を抑制し、
ドイツのように自家発電・自家消費を優遇し送電網の負担を抑えるべきだ。
太陽光発電の比率が全体の2~3%に達したら高変換効率もしくは低価格の
新型太陽電池のみに電力買い取りを限定し、輸入品を排除しつつ
国内企業のイノベーションを促すべきである。

コストが高いままであれば太陽光の普及拡大を許してはならない。

太陽光発電は、実はパネルメーカーへの恩恵は少ないものであるが
高性能・低価格な日系パネルが出現すれば世界中に輸出できるようになる。
塗布型の太陽電池はうまくいけば旧式の中国製を駆逐できるだろう。


▽ パネル生産よりも実は設置・運営の方が経済効果が大きい

『国民のためのエネルギー原論』(植田和弘/梶山恵司,日本経済新聞出版社)


当ウェブログはロスの多いメガソーラーの拡大に反対してきたが、
工場の自家発電・自家消費は一切反対しない。
昼間のみ操業する工場は寧ろ、太陽電池を設置しなければ
国民のみならず株主にすら責められるようになるだろう。


 ↓ 参考

三井物産と東京海上AMがメガソーラー設置、続々と増える再生エネ投資 - メガソーラーは曲がり角へ
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/724466a23bb32bb2c43b131d8d836eee

年間3000万円の売電収入、大和ハウス工業が太陽光発電に本格参入-楽天も太陽電池を大幅値下げで攻勢に
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/8c620a01100f935c6b2a9d60de375996


▽ 夏の冷房需要には無駄だらけの揚水発電より太陽光の方が賢い

『原発がなくても電力は足りる!』(飯田哲也/大島堅一/河野太郎)



太陽電池の国内出荷、4~6月72%増 輸入品3割に(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO45502750Z20C12A8TJ2000/
”太陽電池の国内需要は急拡大している。関連メーカーが集まる太陽光発電協会(東京・港)が28日発表した今年4~6月の国内出荷量は44万5200キロワット(発電能力ベース)と前年同期比72%増となり、四半期では過去最高だった
〔中略〕
 住宅用は38万3300キロワットと71%増えた。一般家庭では余った電気を電力会社に売電できることに加え、東日本大震災後、電力の安定供給への懸念が広がり非常用電源向け需要が増えた。メガソーラーを含めた非住宅用は6万1100キロワットと82%増となった。7月以降はさらに増加しているようだ。
 国内出荷量に占める輸入品比率は29.6%と、初めて3割に迫った。2008年は1%未満だったが、全量買い取り制度による日本市場の拡大をにらんで、中国メーカーを中心とする海外勢が価格攻勢をかけてシェアを伸ばした。太陽電池のコストが低下すると、発電事業者側で浮いた資金が適地の確保に向かい土地の賃借料上昇につながる可能性もありそうだ。”

日経新聞の報道で太陽光発電市場の現況が分かる。
「非住宅用」の急伸で輸入パネルが増えたことが一目瞭然である。
今後、「非住宅用」は分類を「自家発電」「売電」に細分化した方が良いだろう。


メガソーラー:「塩漬け」の工業団地に脚光(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20120827k0000m020105000c.html
” ◇広大な敷地、送電設備も完備
 再生可能エネルギーの柱と期待される大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設用地として、景気低迷の影響などで“塩漬け”になってきた全国の工業団地を活用する動きが広がっている。万単位の発電パネルを敷き詰めるメガソーラー事業には広大な用地と送電設備が不可欠だが、工業団地はその両方を備えている。工場を誘致できずに不良資産化した工業団地の処理に頭を悩ませてきた地方自治体関係者からは「この好機を地域経済再生の活路にしたい」との声が上がっている。
〔中略〕
 ◇地元はホクホク、歓迎の声
 宮崎県川南町では、造成から47年間、工場を誘致できずに未利用だった町営工業団地の一角に、地元ガス会社が主導するメガソーラー(2025キロワット)の建設が決定。13年3月稼働予定で、同町には年間約600万円の土地の賃料や、5000万円程度の固定資産税(20年間稼働を想定した試算)が入ることになった。メガソーラーの運営には数人程度が必要なだけで、雇用はほとんど生まないが、同町は「年間約60億円の予算規模の町にとっては税収増だけでも大きい」(総合政策課)と話す。
 栃木県内では、メガソーラー建設計画が進む9カ所のうち、4カ所が工業・産業団地。県が管理する矢板南産業団地には、ソフトバンクとシャープが進出した。造成工事などに40億円強かけ、約15年前に分譲を始めたが、47万平方メートルの約6割(27万平方メートル)が空いたままだった。メガソーラーは約10万平方メートルの用地を活用する可能性があるといい、県企業局は「環境対策を進める観点からも歓迎」と説明。再生可能エネルギー拠点への“変身”を期待する。
 広島県呉市にある県営安浦産業団地には、東京の倉庫会社が約6000キロワットのメガソーラー建設を決めた。
〔中略〕
 ◇東京ドーム3200個分が未利用
 財団法人日本立地センターによると、全国には約900カ所の工業団地があり、12年3月末現在、東京ドーム3200個分の約1億5000万平方メートルが未利用のまま。同センターの高野泰匡(やすまさ)産業立地部長は「長年使われず不良資産となった土地にとっては、メガソーラーが有効な活用方法になる」と指摘した。
 経済産業省によると、12年3月末時点で80万キロワットだった住宅用以外の太陽光発電量は、13年3月末には130万キロワットまで膨らむ見通し。中でも、発電容量の大きいメガソーラーへの期待度は高い。【竹地広憲】”

意外だったのはこの毎日新聞報道。
最初から送電網があるのであれば、それなりに合理的な判断である。
地方自治体の不良債権が税収を生むようになるのだから。

合理性で言えば住宅と工場の自家発電に劣るが、
こうしたケースは例外扱いしても良いかもしれない。
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日本漁業は乱獲で自滅している、水産庁と利害関係者は事実の直視を - 漁業は世界の成長産業

2012-08-29 | いとすぎから見るこの社会-対アジア・世界
読売新聞が「海がきれいになって魚が獲れなくなった」という
政治バイアスのかかった利害関係者の主張を
鵜呑みにして記事に書いてしまっている。

ところが先週の週刊エコノミストにマルハニチロの片野氏が寄稿されていて、
厳しい漁獲量制限を行う欧州国の漁業が高収益であること、
まともな資源管理ができない日本の漁業政策を厳しく批判されている。

「日本の水揚げ量減少は乱獲が原因」
欧州国の漁業関係者は皆はっきり指摘するとか。

▽ 世界の漁業は成長産業だが、日本漁業だけが衰退する一方

『エコノミスト』2012年 8/28号


港湾整備へのバラマキ漁業政策によって票を買い、
円高と高い購買力で欲しい魚をいくらでも世界から買い付けた、
高慢で怠惰な時代は終わったのだ。もう二度と戻ってこない。


 ↓ 参考

マグロは文化ではない。政治そのものだ。- 危うい勝利、カネさえあれば大西洋のマグロを買える時代の終焉
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/43e2e95d9aab51cbe8fb11f7e24a4dfd


瀬戸内海、水清くなり魚住まず?悲鳴上げる漁師(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20120824-OYT1T00716.htm
”水がきれいになり過ぎて、魚が住めない?――。
 瀬戸内海で魚介類の漁獲量が減り続け、漁師らから、こんな声が上がっている。水質改善が進んだことで、植物プランクトンを育てる窒素やリンなどの「栄養塩」が減り過ぎたことが一因と分析する研究者もおり、国も実態解明に乗り出した。
 ◆「もうけがない」
 関西空港に近い泉佐野漁港(大阪府泉佐野市)。瀬戸内海での8時間の底引き漁から戻ってきた男性(38)は、浮かない表情を見せた。この日はカレイやヒラメ、エビなどが取れたが、数はどれも少ない。
 「10年前は1日に7~8万円分の水揚げがあったのに、今は2万円程度。船の燃料代も高いし、ほとんどもうけはない」
 農林水産統計などによると、瀬戸内海の漁獲量は1982年の46万トンをピークに減少し、2010年は17万5000トンまで落ち込んだ。80年代に比べ、カレイ類が2分の1、イカナゴは6分の1に。アサリ類は約190分の1に激減した。
 漁師の多くは船やエンジンの買い替えを先延ばしし、夜間、アルバイトで収入を補う若手もいる。大阪府内24漁協が加盟する府漁業協同組合連合会の松林昇会長は「このままでは瀬戸内海の漁業は終わってしまう」と危機感を募らせる。
 ◆窒素量6割減
 漁獲量減少の原因として、漁師が口をそろえるのは「海がきれいになり過ぎて、魚がいなくなった」ということ。兵庫県立農林水産技術総合センター・水産技術センターの反田実所長は「海水中の栄養塩が減り、海が『貧栄養化』してきたためでは」と指摘する。
 瀬戸内海では高度成長期、工場排水や生活排水に含まれる栄養塩で富栄養化が進み、赤潮の被害が頻発。このため国は、79年施行の「瀬戸内海環境保全特別措置法」(瀬戸内法)で工場排水制限や下水道整備などを進め、01年には窒素やリンの総量規制も定めた。
〔中略〕
 因果関係は明確ではないが、漁獲量の減少は水質改善と並行して進む。
 窒素などを吸収して育つ養殖ノリが、栄養塩不足で黄色く変色する「色落ち」が兵庫、岡山、大分県などで頻発。大阪府南部では、魚のエサ場や産卵場になる海藻類が生えず、岩場がむき出しになる「磯焼け」もみられる。”

残念ながら漁獲量減少は瀬戸内だけではなく、日本全国で見られる。
もし水質改善が原因なら、瀬戸内や東京湾だけ魚が減る筈だ。
なぜ北海道や三陸、日本海でも漁獲高が減るのか。

▽ 漁業資源管理の専門家は「日本の魚が食べられなくなる」と警告している

『日本の魚は大丈夫か―漁業は三陸から生まれ変わる』(勝川俊雄,NHK出版)


勝川氏は漁業のオリンピック方式の問題点と、
そもそも日本の漁船数が多過ぎることも厳しく批判されている。

先程のマルハニチロ片野氏によれば、
どの国も資源管理を厳格にし漁獲枠割当制度を導入しようとすると
漁業者が猛反対し、資源が回復して豊かになると文句を言わなくなるとか。
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新日鐵すら電力大手を見限り自家発電増強、電力利権は着々と縮小均衡へ - 家庭も節電強化で包囲攻撃

2012-08-28 | いとすぎから見るこの社会-全般
当ウェブログで予言した通り、電力大手への分厚い包囲網が
着々と形成され、既得権を窒息させる勢いで締め上げている。

勿論、電力供給の現場で奮闘している人々には何ら罪はないが、
今まで幕藩体制のような強固で盤石なヒエラルキーの上部で
消費者に隠した手厚い福利厚生および安定雇用を
何故維持し続けてこられたのかを考える必要はある。

数え切れない程の天下りを受け入れて官庁を取り込み、
献金と票で政権与党をコントロールしてきた電力利権に
因果応報の時が訪れただけの話である。

当ウェブログは原発利権を撃滅することで新規投資と有効需要が生じ、
日本経済が内需で成長できると一貫して主張してきた。

既にコージェネのノウハウを持つ製紙会社が電力事業拡大を決めた。
中堅企業も自家発電・省エネ投資を強化する意向であり、
今月に入ってからは何と経団連の重鎮である新日鐵を含む鉄鋼大手4社が
自家発電設備を増強する方針を固めたと報じられている。

補助金まみれの原発電力の確保を諦めた自衛手段ではあるが、
事実上は電力大手から距離をおく離別の第一歩でもある。

コージェネを導入・増強した周辺では
安価な熱供給を享受できるようになる可能性も高い。

エネルギー効率が一段と高まり、国内経済にも恩恵が及ぶ。
利権関係者以外の大多数にとっては良いことだらけである。

当ウェブログの予言した「電力シフト」はまだ始まったばかり。
日本におけるエネルギーシフトの奔流は滔々としてやむことがない。
5年後、10年後には「原発ゼロで経済成長」が常識となり、
原子力カルト勢力は嘲笑の対象となろう。


 ↓ 参考

自己革新のできない電力大手には、縮小均衡への道しかない - 原発依存の報いで自ら絶体絶命の窮地に
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/eb73fac0d9d2ed1d6b8e8bc7743dc6d2

最も安い電気は火力でも原子力でもなく「省エネ」-「発電以上に効率的な選択肢」と検証委員会
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/71a51460825a3bebb39d56340c41c860


▽ 原発の稼働率が下がっても自由化により電力料金は低下していた

『震災復興 欺瞞の構図』(原田泰,新潮社)


▽ 日本国内のコージェネ普及余地は膨大である

『国民のためのエネルギー原論』(植田和弘/梶山恵司,日本経済新聞出版社)



中堅企業の5割、電力大手から「購入減らす」 民間調査(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD060D3_W2A810C1TJ2000/
”中堅企業の5割強が今後1年の間に電力大手から購入電力を減らす――。監査法人などの太陽ASGグループ(東京・港)が従業員数100~750人の全国の企業経営者を対象に実施した調査で、設備の省エネや自家発電機の導入などで電力大手への依存度を下げる傾向が明らかになった
 購入電力を減らす対策をとると決めたか、対策を検討中、実施中とする回答が合計55.3%で、「対策をとる予定はない」の30.5%を上回った…〔以下略〕”

至極当然の経営判断である。
政府のエネルギー政策につべこべ言っている暇があったら
省エネや再生可能エネ投資に踏み出すべきである。

賢い企業はぎゃあぎゃあ喚いて政府にゴネることはせず、
情勢を的確に見極めていち早く正しい方向へ行動するものだ。


新日鉄など鉄鋼各社、発電設備を更新・増設(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO44899610T10C12A8TJC000/
”新日本製鉄など鉄鋼大手4社は今年度からの4年間で、合計約130万キロワットの発電設備を増設、更新する。現有能力の1割に相当する。各社は生産工程で発生するガスや石炭などを燃料に、製鉄所の自家消費や電力会社への売電のために火力発電設備を持つ。老朽設備に代えて高効率の新型発電機を導入し、電力の安定確保や温暖化ガスの排出抑制を目指す。
 製鉄所の自家発電設備や、電力会社と折半出資する共同火力会社で、発電…〔以下略〕”

衝撃が走ったのはこの報道。
鉄鋼は原発最稼働を強く求める勢力の筆頭である。
今は嫌々ながらであっても、エネルギー事業が軌道に乗れば全てが変わる。
原発稼働がない「ニューノーマル」に適応する以外に選択肢はない。

言う迄もなくこの設備投資の真の狙いは温暖化ガス排出抑制よりも
エネルギー効率向上(=省エネ)および売電である。
工場近隣の集合住宅や宿泊施設への安価な熱供給も可能になる。


7月の電力需要、過去2番目の下げ幅 節電実施で(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120820/biz12082011570005-n1.htm
”電気事業連合会が20日発表した7月の電力需要実績(速報)によると、電力10社合計の販売電力量は前年同月比6.3%減の684億8200万キロワット時となり、2カ月連続で前年を下回った。個人、企業の節電実施で家庭用、産業用とも販売量が落ち込んだ。昭和47年に現在の10社体制になって以来、7月としては過去2番目の下げ幅だった。
 内訳では、家庭の需要を示す「電灯」の販売電力量は、12.4%減の194億1千万キロワット時。7月としては最大の下げ幅になった
 産業用の大口電力は1.8%減の237億3600万キロワット時。主要7業種のうち、鉄鋼を除く6業種で前年を下回った。
 各電力の発表では、東日本大震災の反動増が大きかった東北を除き、9電力で販売電力量が前年割れ。また、東北、九州、沖縄を除く7電力では2年連続で前年割れになった。”

さてこちらは各家庭の節電ぶり。産業部門よりも努力している。
国民が原子力利権に固執する電力大手を心の底から忌み嫌っており、
自由化されれば即刻に電力大手を切り捨てる決意であるのは明白である。


契約アンペア引き下げ、値上げ前に申し込み殺到(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20120816-OYT1T01141.htm
”東京電力が9月に実施する家庭向け料金の値上げ(平均8・46%)を前に、契約アンペアを下げる申し込みが殺到している。
 基本料金を抑え、値上げによる負担増を緩和できるためだ。ブレーカーの品不足などで、今契約変更を申し込んでも9月までには間に合わない状況だという。
 契約アンペアが多い家庭は電気を多く使うため、値上げ率もアンペア数に比例して上昇する傾向にある。
〔中略〕
 契約アンペアを少なくすれば、ブレーカーが落ちることを避けるために電気の使用量を抑える意識が働く。”

無料で出来る電力大手への抗議にはこのような手段もある。

当ウェブログは敢えて予言しておくが、
多少価格が高くなっても電力大手から電気を買いたくないばかりに
新電力に契約を切り替える世帯は膨大な数に上るであろう。
利権勢力は再び深刻な不信を見せつけられて蒼白になる。
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日本国民は「貰えるカネの方が、心よりも大事」が本音である - 内閣府調査の示唆する偽善性

2012-08-27 | いとすぎから見るこの社会-格差の拡大
内閣府調査で「物より心の豊かさが大事」との意見が過去最高の割合になったと言う。
一見すると社会の成熟度の証に見えるが、それは誤りである。

よくよく見れば分かるが、医療や年金の充実を求める意見の方が多い。
何のことはない、「モノよりもカネをくれ」というのが本音である。

2004年以降、一貫して高齢者3経費の充実を求める意見が多い。
これは端的に言えば日本国民の衆愚高齢化が進んだためであり、
どれほど資産を持っていても歳を取ったからカネを寄越せという
強欲な政治勢力の咆哮が日本社会に鳴り響いているからである。

従って日本財政の崩壊は精神構造から言えば確定している。
太平洋戦争と同じく甘い見通しや愚かな近視眼は殲滅される。
これも畢竟は因果応報、自業自得に過ぎない。

我々が経済崩壊を避ける道は一つしかない。
数十兆円にも及ぶ高齢層へのバラマキを徹底的に効率化しつつ、
全力で育児支援・雇用支援の現物給付を上積みする。
北欧並みの女性就労率向上・資産把握・年金保険料強制徴収を断行する。
間接税引き上げの過半は現役世代支援に投入する。

当ウェブログは、日本国民がこうした賢明な判断が出来るとは思えない。
だから破滅的なペースで進行する高齢化を放置して自らの些細な損得に固執し、
遠くない将来において為替急落とインフレ税の直撃を受けるであろう。


 ↓ 参考

2025年に年収の3割が社会保険料に、絶望的な「見えない増税」の重圧 - 問題は消費税だけではない
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/2ea1e05a8bbae75f316b16cce95935c5

「品格のない団塊世代」「昭和30年代は犯罪が多く、寿命も遥かに短かった」-至極当然な冨山和彦氏の正論
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/ddf9da6900d4a7f711fd86f95e6cffa0


▽ 積み立てもいない高額の年金は実質的な「老人手当」に他ならない

『なぜ日本経済はうまくいかないのか』(原田泰,新潮社)



▽ 高齢者無料パスだけで100億円近くバラまく「公金の食い倒れ」大阪は、日本の未来像か

『週刊ダイヤモンド』2012年 8/25号



「物」より「心」の豊かさ大事=過去最高の64%―内閣府調査(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012082500189
”内閣府が25日に発表した「国民生活に関する世論調査」によると、今後の生活で「物の豊かさ」と「心の豊かさ」のどちらに重きを置くかを尋ねたところ、「心」と答えた人が、過去最高の64.0%となった。前回調査(昨年10月)に比べ2.6ポイント増。「物」は前回比0.9ポイント減の30.1%だった。内閣府の担当者は「人とのつながりを大事にするようになっているのではないか」と話している。
 調査は1958年からほぼ毎年実施。今回は6月14日~7月1日、全国の成人男女1万人を対象に個別面接方式で行った。有効回収率は63.5%。
 政府への要望(複数回答)では、多い順に「景気対策」66.5%、「医療・年金などの社会保障の整備」66.1%、「高齢社会対策」51.2%となった。2004年の調査以降、医療・年金がトップを続けていたが、わずかながら景気対策が上回った。景気対策のトップは9年ぶり。”

景気対策が辛うじて1位となっているが
今後は確実に高齢者の比率がじりじりと増え、生産年齢人口は減る。
絶対数でも比率でも減る。少しでも成長率が回復すれば
俄然「くれくれ病」が再発するだろう。

自分が払い込んでもいない社会保障給付を受け取りながら
「心の豊かさ」を称揚する精神は到底理解できるものではない。
貧しくて困窮している者ならまだ分かる。実態は明白にそうではないのだ。
「パンがなければブリオッシュを食べればいい」の酷薄とどこが違うのか。

結局、強欲バラマキ主義は経済崩壊を招くまで目が覚めず、
我が国に残された時間は刻一刻と少なくなっていくだけである。
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