今週の週刊ダイヤモンドのマンション特集は中々良い。
不動産市況に警告を発した直近特集もタイミング絶妙だったが、
今回はマンションの資産価値という観点から鋭い分析が多い。
特に「モデルルームにだまされない 新築ではやるコストカットの手法」は秀逸。
多くの賢明な者が考えているように、今は「買ってはいけない」時期である。
(長谷工総研の作成した図表は半永久的に保存版だ!)
コラム「マンション価格に影響は必至? 羽田新飛行ルートが正式運用へ」も本格的、
「災害に弱いマンションを見抜くハザード情報活用術」も素晴らしい。
多摩川沿岸地域のタワマンに住む住民にとっては顔色が変わる記事だが、
何しろ事実なのだから仕方がない。災害に弱い首都圏では地盤や水害リスクを調べないと。。
エントリーのサブタイトルは連載コラム「数字を読む」より。
「2018年と比べた19年の一般労働者の月間総実労働時間の減少」と題し
東大公共政策院の川口大司教授が働き方改革の影響を分析している。
大方の予想通り嘘つきで口だけの安倍による「働き方改革」の成果はショボく、
上限規制は「1週間当たり1時間にも満たない小さな効果」とはっきり書かれている。
氏は指摘していないが上限規制は企業の人件費削減のためのものでしかなく、
配偶者控除を「拡大」するという安倍の愚昧な時代錯誤策により
付加価値生産性も低迷もしくは悪化している筈である。
中間管理職の負担を増やして経済も消費も低迷という頭の悪い政策。。
◇ ◇ ◇ ◇
週刊エコノミストの働き方改革特集は明らかな踏み込み不足。
主に司法リスクにフォーカスしているようであるが、
そもそもの問題は「安倍が選挙でB層を釣る為に打ち出した口だけ改革」なので
(だから自民党にたっぷりカネを出す財界に妥協した骨抜きになっている)
その点を厳しく検証しない限り質の良い特集にはなり得ない。
そもそも経営力の改善なしにテレワーク程度で競争力が向上する訳がないし、
先週、当ウェブログは「正規社員の待遇や採用が悪化する可能性大」と指摘したのだが、
そうした重要な問題にも殆ど触れていない。。
唯一、高く評価できるのは大和総研の神田慶司氏のみでは。
「減る働き手 人口減少時代の「働き方改革」」では
およそ500万人もの女性パートタイマーの就業調整(=抑制)を
(外国人労働者よりも遥かに数が多く、所得や消費への悪影響も大きい)
明確に指摘して付加価値生産性が改善しないであろうことを示唆している。
サブ特集の「よみがえる宇沢弘文」は意外に興味深い。
後期の宇沢弘文氏が厳しくミルトン・フリードマンを批判し、
「フリードマンはある一つの思想的な、宗教的な偏向を持っていて、
それを正当化するためにデータを集めて、都合のいい理論だけを
展開していくことを精力的にやっていく」
と評しているが、確かに日本の「フリードマン教」の信者も
独善的で他者を見下し切り捨てる傾向が強いように感じる。
紹介されている「資本主義の社会では儲けることをやるのがジェントルマンだ」
という人品卑しい言葉が彼の本性を象徴しているように思える。
◇ ◇ ◇ ◇
東洋経済の外食特集は努力しているのだがうーんという印象。
「何しろ冒頭がスタバ、直近のダイヤモンド同種特集に比べるとやや迫力に欠ける。。」
と先週に書いた通りの内容であろう。
冒頭の「外食産業を読み解く6つのデータ」や
「 マトリックス 外食チェーン大乱戦」は悪くないが、
何に役立つかよく考えてみないと。
他にも「そばチェーン三国志」とか
「 「間借り」カレー急増の背景」とか
記者は本当にこれが経済誌で取り上げるべきと思っているのだろうか?
多少鋭さがあるのは「ワタミ"看板隠し"の効果」で、
(ワタミ会長の人間性がよく出ている)
「総まくりランキング 外食お宝銘柄 厳選」は
事後検証したら殆ど大した成果に繋がらないであろう。
唯一推せる記事は東大の博士課程で研究中の奥村公貴氏の寄稿である。
「経済全体に影響を与えるスーパースター企業」と題して
GAFAのようなスーパースター企業が経済の非効率性を高めるという趣旨だ。
MITのオーター教授らが生産性が高くとも労働者への分配が少ない
「スーパースター企業」を批判的に分析しているのは知られているが、
奥村氏は他の研究も引用してスーパースター企業が投資額を減少させ、
実質利子率も低下、企業部門の過剰貯蓄をもたらすと論じている。
(博士課程でこれ程に重要性の高い指摘ができる奥村氏の今後に期待大だ)
当ウェブログはつとにリーマンショック前後から
「企業収益と日本経済のディカップリング」を主張してきたが、
国内外の研究でもそれが裏付けられつつあるのではなかろうか。
◇ ◇ ◇ ◇
次週もダイヤモンドに注目、既に店舗の日販が頭打ちの業界だから悪習は即時やめさせるべき。
▽ セブンの拝金体質の分かる「「加盟店のために」と矛盾する結果 時短で増益のセブン」
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class="embed_link fr-deletable">不動産市況に警告を発した直近特集もタイミング絶妙だったが、
今回はマンションの資産価値という観点から鋭い分析が多い。
特に「モデルルームにだまされない 新築ではやるコストカットの手法」は秀逸。
多くの賢明な者が考えているように、今は「買ってはいけない」時期である。
(長谷工総研の作成した図表は半永久的に保存版だ!)
コラム「マンション価格に影響は必至? 羽田新飛行ルートが正式運用へ」も本格的、
「災害に弱いマンションを見抜くハザード情報活用術」も素晴らしい。
多摩川沿岸地域のタワマンに住む住民にとっては顔色が変わる記事だが、
何しろ事実なのだから仕方がない。災害に弱い首都圏では地盤や水害リスクを調べないと。。
エントリーのサブタイトルは連載コラム「数字を読む」より。
「2018年と比べた19年の一般労働者の月間総実労働時間の減少」と題し
東大公共政策院の川口大司教授が働き方改革の影響を分析している。
大方の予想通り嘘つきで口だけの安倍による「働き方改革」の成果はショボく、
上限規制は「1週間当たり1時間にも満たない小さな効果」とはっきり書かれている。
氏は指摘していないが上限規制は企業の人件費削減のためのものでしかなく、
配偶者控除を「拡大」するという安倍の愚昧な時代錯誤策により
付加価値生産性も低迷もしくは悪化している筈である。
中間管理職の負担を増やして経済も消費も低迷という頭の悪い政策。。
◇ ◇ ◇ ◇
週刊エコノミストの働き方改革特集は明らかな踏み込み不足。
主に司法リスクにフォーカスしているようであるが、
そもそもの問題は「安倍が選挙でB層を釣る為に打ち出した口だけ改革」なので
(だから自民党にたっぷりカネを出す財界に妥協した骨抜きになっている)
その点を厳しく検証しない限り質の良い特集にはなり得ない。
そもそも経営力の改善なしにテレワーク程度で競争力が向上する訳がないし、
先週、当ウェブログは「正規社員の待遇や採用が悪化する可能性大」と指摘したのだが、
そうした重要な問題にも殆ど触れていない。。
唯一、高く評価できるのは大和総研の神田慶司氏のみでは。
「減る働き手 人口減少時代の「働き方改革」」では
およそ500万人もの女性パートタイマーの就業調整(=抑制)を
(外国人労働者よりも遥かに数が多く、所得や消費への悪影響も大きい)
明確に指摘して付加価値生産性が改善しないであろうことを示唆している。
サブ特集の「よみがえる宇沢弘文」は意外に興味深い。
後期の宇沢弘文氏が厳しくミルトン・フリードマンを批判し、
「フリードマンはある一つの思想的な、宗教的な偏向を持っていて、
それを正当化するためにデータを集めて、都合のいい理論だけを
展開していくことを精力的にやっていく」
と評しているが、確かに日本の「フリードマン教」の信者も
独善的で他者を見下し切り捨てる傾向が強いように感じる。
紹介されている「資本主義の社会では儲けることをやるのがジェントルマンだ」
という人品卑しい言葉が彼の本性を象徴しているように思える。
◇ ◇ ◇ ◇
東洋経済の外食特集は努力しているのだがうーんという印象。
「何しろ冒頭がスタバ、直近のダイヤモンド同種特集に比べるとやや迫力に欠ける。。」
と先週に書いた通りの内容であろう。
冒頭の「外食産業を読み解く6つのデータ」や
「 マトリックス 外食チェーン大乱戦」は悪くないが、
何に役立つかよく考えてみないと。
他にも「そばチェーン三国志」とか
「 「間借り」カレー急増の背景」とか
記者は本当にこれが経済誌で取り上げるべきと思っているのだろうか?
多少鋭さがあるのは「ワタミ"看板隠し"の効果」で、
(ワタミ会長の人間性がよく出ている)
「総まくりランキング 外食お宝銘柄 厳選」は
事後検証したら殆ど大した成果に繋がらないであろう。
唯一推せる記事は東大の博士課程で研究中の奥村公貴氏の寄稿である。
「経済全体に影響を与えるスーパースター企業」と題して
GAFAのようなスーパースター企業が経済の非効率性を高めるという趣旨だ。
MITのオーター教授らが生産性が高くとも労働者への分配が少ない
「スーパースター企業」を批判的に分析しているのは知られているが、
奥村氏は他の研究も引用してスーパースター企業が投資額を減少させ、
実質利子率も低下、企業部門の過剰貯蓄をもたらすと論じている。
(博士課程でこれ程に重要性の高い指摘ができる奥村氏の今後に期待大だ)
当ウェブログはつとにリーマンショック前後から
「企業収益と日本経済のディカップリング」を主張してきたが、
国内外の研究でもそれが裏付けられつつあるのではなかろうか。
◇ ◇ ◇ ◇
次週もダイヤモンドに注目、既に店舗の日販が頭打ちの業界だから悪習は即時やめさせるべき。
▽ セブンの拝金体質の分かる「「加盟店のために」と矛盾する結果 時短で増益のセブン」
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