みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

『週刊エコノミスト』3月3日号-消費税の軽減税率は高所得者により恩恵大、逆進性も殆ど緩和されない愚策

2015-02-27 | 『週刊エコノミスト』より
今週の『週刊エコノミスト』は渋い「低金利」特集、
内容はかなりレベルが高く、必読の記事が幾つもある。

JPモルガンの足立正道氏が「7月にも追加緩和か」と題して
経済低迷で日銀が追加緩和に追い込まれると予想するP34も見逃せないが、
(足立氏は「追加緩和をしなければ日銀が円高を許容したと市場が受け止めるリスク」を警告している)
何と言っても注目はP50である。

東京海上AMの平山賢一氏が金利2%(10年債)を歴史的な低金利とし、
過去にも存在した2%時代の後には、戦争やインフレ等によって
国家の信用力が後退している場合が多い」と指摘している。
これは言う迄もなく、暗い日本の将来を予言する重大な警告である。

『エコノミスト』2015年 3/3号


P100ではみずほ総研の鈴木将寛氏による、
消費税の軽減税率について素晴らしい分析があり
このエントリーのサブタイトルはこちらから取った。

経済リテラシーのある者なら至極当然の話であるが、
消費税の軽減税率は明白な高所得者優遇である。
既に利権化している配偶者控除と本質は何ら変わりない。
たとえ食品ゼロ税率でも逆進性は殆ど緩和されず、「額」で見れば高所得層の利得が最も大きい。

低所得層を支援する劇的な効果があるのは「給付付き税額控除」である。
一目瞭然の図表があるので参考にされたい。

これほど明確な効果があるのに給付付き税額控除ではなく軽減税率を求める者は、
単に頭が悪いか、それともずる賢い「偽装弱者」か、働きたくない怠け者か。
或いは所得・資産を捕捉されたくない悪者であると言えよう。
下のような実に馬鹿馬鹿しい図式である。

 軽減税率を求める高所得層 → 自分の利得が大きいので黙ってほくそ笑んでいる
 軽減税率を求める中所得層 → 目先の損得しか見えず、高所得層の利得増に協力してしまう
 軽減税率を求める低所得層 → 目先の小銭に騙されて格差拡大策に賛成してしまう

ただ、日本の消費税は所詮、高齢者三経費へのバラ撒きで蕩尽されるので
少しでも税負担を軽くしたいという心情は理解できなくはない。
(そうした視野狭窄が実は高所得層の可処分所得を更に増やし、低所得層を苦しめるのだが)


最後になるが、富国生命の市岡繁男氏の連載は今回も良かった。
日本経済や世界経済のマクロ分析からは離れて
あのエマニュエル・トッド氏の卓越した先見性を知るのにうってつけだ。

かつての崩壊前のソ連の域にまでは達していないが、
氏がアメリカの乳児死亡率に懸念を示しているのに注意したい。
猶、直近の懸念はサウジアラビアだそうだ。

    ◇     ◇     ◇     ◇

今週の『週刊東洋経済』は期待していたが肩すかしだ。
これで満足する読者は素直過ぎて騙され易い「B層」であろう。

そもそもピケティは日本経済について、人口減少が経済格差拡大につながること、
アベノミクスは格差拡大をもたらすだけで終わる可能性があるとしている
のだから、
この東洋経済の特集はピケティの主張を矮小化して「ネタ」にしている訳である。

従って、処方箋は「人口減少を緩和させる政策が必要」、そして
「実質所得を減少させるアベノミクスではなく真の所得増を」となる筈だ。
〝サバイバル術〟などと馬鹿馬鹿しい特集になる訳がない。
ピケティを「利用」して雑誌を売ろうとしただけであろう。
(実際、この寄せ集めインタビューを読んで「サバイバル」できる者など殆どいない筈だ)

あらゆる人に有効なのは匿名FPの言う「長く働く」ことだけで、
それにしても今の「次元の低い」雇用政策のままではおぼつかない。

ただP78は評価できる。「90%が沈む」日本の沈鬱な現状が分かる。
(時期から見るとこれは明らかに人口動態劣化の悪影響であると思われる)
飯田泰之氏は日本の格差は6割の中高所得層と4割の下層の間にあると
推測しているが、世論を見ていると確かにそうかもしれない。

この特集で最も有害なのは「成長不要」論者で、
本気でそう思っているなら積み立てもせずに自分が受け取っている公費は全て返却し、
子孫にツケ廻しする忌まわしいバラ撒き(社会保障給付の半分近くが既にそうである)を即刻やめるべきだ。

猶、特集で著名人があれこれ登場している中では渡邉正裕氏の主張が興味深いが、
氏は実際に留学に行っていないだけに「留学幻想」が強過ぎる。
留学に行っても碌でなしは碌でなしという、冷厳な現実への認識が足りない。
(寧ろ享楽的な海外の文化に毒されて益々駄目になるケースも実際にかなりある)

『週刊東洋経済』2015年2/28号ピケティの格差時代サバイバル術/低成長低金利時代の生き方/スカイマーク創業者 澤田秀雄エイチ・アイ・エス会長激白/[核心リポート]大塚家具 身内で泥試合/[この人に聞く]森下一喜ガンホー・オンライン・エンターテイメント社長


P120「私立大学の授業料、なぜ右肩上がりなのか」が個人的には興味深かった。
山内太地氏によれば、日本の私立大学は受験料収入の減少により
授業料を引き上げざるを得なくなっているとか。

何しろ売り込みのためか極端な言説が非常に多い氏だけに
鵜呑みにはできず検証は必要であるものの
少子化が大学に与えている悪影響は、長期間に渡って深甚である。

    ◇     ◇     ◇     ◇

『ダイヤモンド』エクセル特集は実用性の観点で見たが
職種や社内のポジションを具体化した事例を出した方が良かっただろう。
ややお得感が不足しているような気がする。

メイン特集よりも巻頭のクローズアップに出ている、
シニア客層が増えたファミレス市場の変化の方が興味深い。
(これは明らかに、高齢層に偏った日本の社会保障の歪みの帰結である)
食の質という観点では全く評価できない分野であるのに、カネと暇があるからだろう。

『週刊ダイヤモンド』2015年2/28号特集1 エクセルで数字力を鍛える! 初心者から達人まで ステップ別 極意を完全図解/特集2 ロボット界のiPhoneになれるのか?ペッパー大増殖計画/レポート 日本マクドナルドホールディングス 売上げ急減で現場大混乱 外食王者の凋落


最も評価できるのは日本マクドナルドを取り上げた「企業レポート」である。
矢張り「クラッシャー」と称される原田体制の時期にマクドナルドは病み始めており、
実質的なピークは2010年だったと指摘されている。
原田氏に散々苦労させられた関係者の方々は納得できるところであろう。

    ◇     ◇     ◇     ◇

次週も東洋経済に注目、特に「5人に1人が貧困」とされているドイツ構造改革の記事に期待。

▽ 東洋経済は海外特集だと質が良くても売れない傾向があるが。。(高齢読者層のせい?)

『週刊東洋経済』2015年3/7号欧州 完全保存版/フランス現地報告/[図解]一目でわかるEU/[核心リポート]大塚会長が宣戦布告/[ひと烈風録]柳沢幸雄 開成中学校・高等学校校長 東大名誉教授


▽ 「空き家1000万」と衝撃的な数値が出ているダイヤモンドも見ておきたい

『週刊ダイヤモンド』2015年3/07号


▽ エコノミストは歴史特集、いま焦点の米利上げも扱っている

『週刊エコノミスト』2015年 3/10号

エコノミスト・レポートでは、あのイーロン・マスクが取り上げられている!
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積水ハウスが革新的な断熱材を開発、断熱リフォーム事業の売上7割増へ - 地中熱も普及拡大期に入る

2015-02-26 | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える
無策の安倍内閣は原発停止が重大な問題であるかのように偽っているが、
言う迄もなく真っ赤な嘘である。電気料金の引き下げが迫り、
利権勢力と癒着してその利害代弁を行う連中の嘘は既に見抜かれている。

我が国のエネルギー効率は先進国として凡庸なものに過ぎない。
その理由は、需要サイドでいくら省エネに努力しても
大型発電所で無駄にエネルギーを捨てているからである。

エネルギー転換部門(つまり発電)で省エネを進めることが
我が国の輸入燃料を大幅カットする最善の策である。

しかし電力利権勢力としては日本経済にはプラスでも
自らの利益にならない徹底的な省エネは絶対に避けなければならない。
(だから消費者を口先で騙してオール電化を導入させるのである)

そういした利権勢力の策動に対抗する手段は、
「太陽電池で自家発電する」「電気を冷暖房・熱供給に使わない」ことだ。
だから太陽光発電の固定価格買取制度はメガソーラーを排除して自家消費を優遇すべきであるし、
コージェネと需要側での省エネを促す政策を推進しなければならない。

積水ハウスは断熱リフォーム事業で前期比7割増を目指すと言う。
輸入エネルギーをカットして投資増・実質所得増加を実現できるのだから、
無駄の塊である原子力が停止している今こそ、省エネ投資による成長を実現する好機である。

▽ 日本は大型発電所で大量の熱を無駄に捨てており、効率化の余地は大きい

『エネルギーを選びなおす』(小澤祥司,岩波書店)


原油安の今こそ、省エネ投資を進めて日本経済を下支えすべきである。

「最近、急激に進化しているのが「地中熱」だ。
 開発の際のリードタイムが10年はかかる不便な「地熱発電」とは違い、
 立地の制約が極めて少ない上に、ランニングコストが低い特徴を持つ。
 発電ではなく自然由来の熱利用なので大幅なエネルギー効率改善も可能だ」

「岩手県のメーカーが開発した地中熱システムは、
 当地の事例で光熱費を半分以上カットするという驚くべき優秀さを示し、
 前年比で56%増という凄まじい勢いで売れているそうだ」

「地中熱は冷房でも暖房でも威力を発揮するので
 風力発電の拡大余地が相対的に少ない西日本では大変な朗報だ」

「輸入燃料は大幅にカットすることができるし
 国内での投資も増えて内需を力強く支えることが期待できる。
 確実に投資が増える電力自由化より経済効果が高いかもしれない」

と当ウェブログは書いた。
地中熱は初期コストが大きいが、最近は断熱でも新製品が出ている。
特に寒冷地では投資対効果が大きい。

 ↓ 参考

サンポットの地中熱システムが光熱費を半分以上カット、販売急増 - ネガワット取引と併用すれば効果倍増
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/a7a03b2507c0112d07882e02284c1fac

地中熱で4割以上の大幅省エネ、ビルの熱融通でも4割省エネ - 原発停止で投資増・経済成長は確実
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/d12c722e3eaf9563ceb892613dba7e49‎

材料コスト40分の1の新型LED開発に成功、シリコン製で明るさ3倍 - 東大の大津教授と川添研究員ら
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/e91c24558a796f9fd82715f62999e3e2

▽ 省エネ関連産業には、兆円規模の成長余地があり農業分野よりポテンシャルがある

『原発を終わらせる』(石橋克彦,岩波書店)


ジオパワーシステム、海外・首都圏で地中熱利用の冷暖房拡販(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO79439390X01C14A1LC0000/
”地中熱を利用した冷暖房システムの製造販売を手掛けるジオパワーシステム(山口県美祢市)は海外と首都圏で拡販に乗り出す。米国でカリフォルニア州を中心に施工の提携工務店を増やし、台湾にも進出する。2020年の東京五輪などで需要が見込まれる首都圏では営業担当を増員する。14年7月期に8億円だった売上高を3年後に6~7割増やす計画だ。
 同社の「GEOパワーシステム」は深さ5メートル程度の地中の温度が夏は比…〔以下略〕”

以前紹介したサンポッドは地下水を利用するシステムだが、
こちらは地下水がなくとも利用できるので拡大余地が大きい。
より一層のコスト低下と、政策面ではネガワット取引とのリンケージを期待したい。


長野の自治体、地中熱利用の冷暖房導入に補助(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO83668320V20C15A2L31000/
”大町市と岡谷市は4月に、長野県の自治体で初めて地中熱を利用した冷暖房施設を導入した家庭に補助金を支給する。諏訪市は地中熱を有効活用できる地域が分かる地図を作る。地中の温度を一定に保つのに有効な地下水が豊富だったり、地中熱が高く暖房に使いやすかったりする地域の特長を生かし、通年で温度が一定の地中熱利用を自治体が促す動きが広がってきた。
 地中熱冷暖房施設は、年間を通じてセ氏15度前後に保たれている地… 〔以下略〕”

こちらの日経報道では、地中熱の成長余地の大きい内陸部で
インセンティブや普及促進制度が整ってきつつある現状を捉えている。

長野ばかりではなく、特に首都圏・京都・札幌において
地中熱の導入はメリットが大きい。
安心安全・半永久的に使える点で原子力より遥かに勝っている。

一方、スカイツリーで導入しているヒートポンプ式の地中熱であれば
西日本で威力を発揮する。地域特性に合わせて賢く使える、日本に合った技術だ。


積水ハウス、床壊さず設置できる断熱材 4度温かく(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO83627550U5A220C1TI0000/
積水ハウスは床に簡単に取り付けられる断熱材を開発した。床部分を取り壊す必要なく床の温度を約4度高められる。冬場には温度の低い脱衣所や廊下に出ると体調が急変する「ヒートショック」と呼ばれる問題も起きており、その予防につながるという。同社は2016年1月期に断熱関連のリフォーム事業の売上高を前期比7割増の130億円に引き上げる計画だ。
 積水ハウスが開発したのは「床下ヒートカバー」。今春から本格的に供…〔以下略〕”

イニシャルコストの大きい地中熱以外にも、断熱関連でも新製品が出ている。
積水ハウスの断熱材は既存の住宅・施設に使える点で非常に優秀だ。
省エネ窓と併せて活用すれば相当のコスト削減ができるであろう。

ヒートショックよりも寧ろ暖房コストの削減効果の方が重要である。
化石燃料の消費量を削減できるばかりか、
エアコンのランニングコストも低下させることができる。
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実質賃金はリーマンショック時に並ぶ下落、消費支出は東日本大震災以来の落ち込み - 安倍政権の大失態

2015-02-25 | いとすぎから見るこの社会-雇用と労働
2013年の我が国の1人当たりGDPは、ドル換算で17%以上も落ち込み、
OECD加盟国の中では2012年の13位から19位に急落している。
言う迄もなく、これは「次元の低い」アベノミクスの害毒である。

まともな経済政策リテラシーがあって実体経済を深く理解しており
カルト紛いの愚劣なドグマの虚妄を見抜ける人間なら
何もくどくどと説明するまでもなく最初から分かり切ったことであるが、
日本はモルヒネ中毒による「不況の株高」で根本的な問題解決から急速に遠ざかっている。

エコノミスト吉本佳生氏は、アベノミクスなどというバズワードが喧伝された当初から、
その効果が期待できないことを明言しており、消費性向の低い金融業や大企業ではなく
消費性向の高い非正規雇用労働者・女性・若年層の所得を引き上げることの重要性
を主張した。
(驚くべきことに、来日したピケティのアドバイスとよく似ている)

口先と情報操作だけが巧みになった安倍政権は、真逆の政策を選んで見事に大失敗した。
そしていつもの通り空虚な流行に便乗して蛸踊りした連中は、
2014年、2015年と低成長の冷厳な現実を見せつけられて大恥をかく運命にある。
両者とも愚行の報いで自業自得なのだから、救いようがない。

今週の週刊東洋経済では「90%が貧しくなる」日本の現状が明らかにされており、
頭の悪い安倍内閣の施策で実質賃金が低下し続けている現在、
民主党政権時と殆ど変わらない成長率の低迷を見るまでもなく
アベノミクスが何一つとして日本経済の根本問題を解決していないことは明白である。

▽ 6割の上・中間層と、4割の貧しくなる下層の格差がじりじり拡大している

『週刊東洋経済』2015年2/28号ピケティの格差時代サバイバル術/低成長低金利時代の生き方/スカイマーク創業者 澤田秀雄エイチ・アイ・エス会長激白/[核心リポート]大塚家具 身内で泥試合/[この人に聞く]森下一喜ガンホー・オンライン・エンターテイメント社長


安倍政権の「次元の低さ」はまだ他にもある。
洗脳に毒されて学習能力の全くないリフレ派は、
日本の間接税の税収が高齢者三経費のバラ撒きというブラックホールに吸い込まれ
日本経済の成長を妨害している現実をいまだに理解できないでいる。
当然、受け売りしかできない安倍政権がその苦い事実を理解できる筈がない。

リフレ派が見苦しい言い訳で消費税増税に責任転嫁するのは、
彼らの低能と無責任を自ら証明するものである。

たとえ間接税を引き上げても、現役世代の育児支援・雇用政策に税収を投入すれば
(勿論、現物給付が望ましい)マイナス成長になどなる訳がない。
高齢層に公費を投入する場合でも、雇用を増やし労働者の所得増に貢献する政策に戦略集中すべきだ。

「次元の違う」などという噴飯ものの空疎な修辞を使った安倍政権下の日本より
大した金融緩和策をとっていないスウェーデンの経済成長の方が明らかに上である。
数字は嘘をつかない。「次元が違う」のは安倍政権のレヴェルの低さなのだ。

▽ 異次元緩和や国土強靭化などという低能な政策がなくとも日本より成長率が高いスウェーデン





『スウェーデン・パラドックス』(湯元健治/佐藤吉宗,日本経済新聞出版社)


今の株高の本質は、リーマンショック前と同じである。
偽りの好況がいくら続いても、本物の経済成長にはならない。
この偽装の報いは、全国民が受けることになる。

「経済成長に必要なのは資本・労働・イノベーションである。
 金融緩和策が継続的な経済成長をもたらす訳がない」

「金融緩和は一時的な不況対策に有効というだけであって、
 自国の輸出業と金融業に利益誘導する時間稼ぎでしかなく、
 現下の日本の場合は自国の労働力や商品を安売りしているために
 失業率低下と実質賃金低下が起きたのである」

「これは言わば愚劣極まりない「自国窮乏化政策」であり、
 異次元緩和策は反日的、反社会的と規定するのが正しい」

「2013年も四半期ベースで一時マイナス成長に陥り(消費税引き上げ前である)、
 2014年も通年でマイナス成長に陥る可能性がかなりある」

「安倍政権の「第三の矢」など大企業経営層や投資家への利益誘導にしかならず、
 日本経済の成長率は下振れする。認識や方法が根本的に間違っているからだ」

「消費税引き上げを延期しなければならなくなった理由は、
 異次元緩和の効果が皮相的で実体経済が大して改善していないからである」

「合理的に判断すれば、キャッシュを無駄に貯め込む高齢層や企業に対し
 負のインセンティブを与えて課税し、成長分野に移転するのが理の当然である」

「我が国よりも間接税負担の重いスウェーデンになぜ成長率で負けるのか、
 愚かなリフレ派は説明することも認識することもできていない惨状である」

以上のように一貫して主張してきた当ウェブログの懸念は、
刻一刻と実現に向けて恐ろしい歩みを進めている。

 ↓ 参考

日本のGDP総額は17%も減少、日本が大幅に貧しくなった2013年 - アベノミクスは国富を破壊した
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/3b26a952228ce28043c432ce3fdaedb6‎‎

「2014年のマイナス成長は不可避」- アベノミクスで経済低迷、指標悪化に沈黙する無様な安倍首相
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/7b43d485ce2f91f9890c0798dc981529‎

日銀が日本の経済成長率を下方修正、中小企業は減益の憂き目に -「異次元緩和」のお粗末過ぎる結末
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/8f1d6792706e4dd9519d8dd666f244c8

▽ 前回の景気回復期において、大企業や金融業が儲かっても低成長に陥ることは既に実証されている

『日本の景気は賃金が決める』(吉本佳生,講談社)


14年家計調査:世帯当たり支出月25万円 3年ぶり減少(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20150218k0000m020101000c.html
総務省が17日発表した2014年の総世帯の家計調査によると、1世帯当たりの消費支出は1カ月平均25万1481円で、物価変動の影響を除いた実質ベースで前年比3.2%の減少となった。減少は東日本大震災の影響を受けた11年以来3年ぶりで、減少幅は06年(同3.5%減)以来8年ぶりの大きさだった。
〔中略〕
 全10項目のうち9項目が前年比で実質減少となった。冷蔵庫や洗濯機など高額な家電は増税前の駆け込み需要が大きかった分、反動減の影響も大きく、それらを含む「家具・家事用品」は同2.5%減だった。国内パック旅行などを含む「教養娯楽」も同3.6%減、外食などを含む「食料」も同2.2%減で、消費者の財布のひもは固い。洋服など「被服及び履物」だけが同0.7%増とわずかに前年を上回った。
 四半期ごとでみると、総世帯の消費支出は14年4~6月期以降、3四半期連続で前年同期比マイナスが続いており、総務省は「今後の傾向をよく見る必要がある」と動向を注視している。
 総世帯のうち、勤労者(サラリーマン)世帯の実収入の1カ月平均は46万8367円で、実質ベースでは前年比3.2%減だった。消費増税や円安に伴う物価の上昇に賃金上昇が追いついておらず、消費意欲を喚起できていない状況だ。
 内閣府が16日に発表した14年10~12月期の実質国内総生産(GDP)は年率換算で2.2%増と3四半期ぶりのプラス成長となった。しかし全体の約6割を占める個人消費は前期比0.3%増と低い伸びにとどまった。日本経済がより力強い成長軌道に乗るには消費の更なる回復が不可欠で、企業の賃上げ動向などが焦点となりそうだ。【横山三加子】

◇家計調査
 総務省が家庭の収入や支出の推移を分析する調査。景気動向の重要な要素である個人消費の動向をつかみ、国の経済政策の基礎資料にする。個人消費は物価変動や税制の変更、天候の影響などさまざまな状況に左右されるため、実態を的確に把握するよう工夫している。対象は、学生の単身世帯や長期不在世帯などを除く全国約5018万世帯のうち、無作為に選んだ約9000世帯。〔以下略〕”

企業が賃上げしても実質賃金は低下しており、消費回復などする筈がない。
歳出を大幅に組換えて育児支援と雇用政策に税収を投入しない限り、
健康なのに働かない者に課税を強化しない限り、消費は回復しない。


2014年の"実質賃金"は2.5%減、3年連続の減少 - 物価上昇響く(mynavi.jp)
http://news.mynavi.jp/news/2015/02/04/162/
”厚生労働省は4日、2014年の毎月勤労統計調査(速報、事務所規模5人以上)を発表した。それによると、2014年の現金給与総額(1人平均)は前年比0.8%増の31万6,694円となり、4年ぶりに増加した。
 現金給与総額に物価変動の影響を加味した実質賃金指数は前年比2.5%減と、3年連続の減少。下げ幅はリーマン・ショック後の2009年(2.6%減)に次ぐ、2番目の大きさとなった。消費増税などにより物価が上昇したことが影響した。
 所定内給与は前年から横ばいの24万1,357円。所定外給与は同3.1%増の1万9,690円と5年連続の増加。所定内給与と所定外給与を合わせた「きまって支給する給与(定期給与)」は同0.3%増の26万1,047円と4年ぶりの増加。ボーナスなどの「特別に支払われた給与」は同3.5%増の5万5,647円と2年連続で増加した。
 現金給与総額を就業形態別に見ると、一般労働者は前年比1.5%増の40万9,860円と2年連続の増加。パートタイム労働者は同0.4%増の9万6,979円と2年ぶりに増加した。
 併せて発表した2014年12月の毎月勤労統計調査(速報)によると、12月の現金給与総額は前年同月比1.6%増の55万1,878円と10カ月連続の増加。ただし、実質賃金指数は同1.4%減と18カ月連続で減少した。〔以下略〕”

このように、安倍政権下で低成長が続くことは明らかである。
いかに失業率が低下したところで「貧困化」の現実は変わらない。
税制と社会保障の改革によって労働と消費の増大が必要なのだ。

…言う迄もなく、それは低能な安倍政権には不可能な課題である。


非正規雇用者が過去最多の1962万人、5年連続増加--2014年、正規は7年連続減(mynavi.jp)
http://news.mynavi.jp/news/2015/02/18/114/
”総務省は17日、2014年の労働力調査(速報)の結果を発表した。それによると、2014年平均の役員を除く雇用者は前年比39万人増の5,240万人となり、2年連続で増加した。
 正規の職員・従業員は前年比16万人減の3,278万人で、7年連続の減少。一方、非正規の職員・従業員は前年比56万人増の1,962万人と5年連続で増加し、比較可能な2002年以降で最多となった。
 非正規の職員・従業員を男女、年齢別に見ると、男性は55~64歳の161万人が、女性は35~44歳の325万人がそれぞれ最多となった。また、現職の雇用形態についた主な理由で最も多かったのは、男性は「正規の職員・従業員の仕事がないから」が前年比9万人減の160万人、女性は「自分の都合のよい時間に働きたいから」が同21万人増の332万人となった。
 完全失業者は前年比29万人減の236万人。
〔中略〕
 非労働力人口は前年比17万人減の4,483万人。このうち就業希望者は前年比9万人減の419万人、就業非希望者は同20万人減の3,965万人となった。なお、就業非希望者のうち「65歳以上」は同61万人増の2,538万人だった。”

雇用者は確かに増えているが、高齢男性と中年女性ばかりである。
時間当たりの賃金は低く、日本経済を支える力は弱い。

吉本佳生氏も言うように給付付き税額控除を導入して雇用と所得を同時に伸ばさなければならない。
当ウェブログが前々から主張しているように、特に雇用市場で恒常的に労働力不足が生じている
保育・介護分野で給付付き税額控除を適用し、育児世帯への現物給付を大幅に増やすべきだ。
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「年金マンガ」で大顰蹙の厚労省、選挙を恐れる自民の圧力でデフレスライドを断念 - またもや問題先送り

2015-02-24 | いとすぎから見るこの社会-格差の拡大
日本の年金制度の抱える深刻な問題を完全無視し、
HPで「若者は損ではない」と世迷い言を堂々と掲載した厚労省は
案の定ながらかえってより強い不信感を受ける結果となった。
(毎度のことながら自業自得である)

今週、マクロスライドのデフレ局面での発動も事実上断念し、
「問題先送り」体質を改めて露呈した格好である。

元々マクロスライドは、スウェーデンの自動財政調整機能に大きく劣る仕組みであり、
人為的な誤摩化しや問題先送りの余地が大きいという欠点があった。
今回の件で、ただでさえ持続可能性が低い我が国の年金制度を劣化させた張本人こそ
厚労省そのものである
ことが証明された訳である。

※ 日本総研は10年以上前に、「定量的な指標」のないマクロスライドの欠点を指摘している。

先週の週刊ダイヤモンドで取り上げられた通り、
既に我が国の社会保障給付は4割に公費が投入されている。
厚労省が選択したのは「巨額の公費投入をずるずると維持し、未来世代に災厄をもたらす
腐った決断である。その理由は、自己洗脳と保身以外に考えられない。

▽ こちらを参照のこと

『週刊ダイヤモンド』2015年2/21号特集1 3人に1人がヤバい認知症社会/10年後には発症730万人、予備軍500万人超/「食事」「見守り」「移動手段」1人暮らしの命綱は外部に頼め! /介護保険を使い倒す! 独居/同居6パターン活用術/治せる?治せない?新薬・診断最前線/病院289施設/支援事業実施42市町村/特集2 高齢者が買ってはいけない金融商品


▽ 因に基礎年金の55%、後期高齢者医療費の70%が公費投入であり豊かな高齢者にもバラ撒かれている

『エコノミスト』2013年 10/29号


当ウェブログの指摘は、利己的な人間が無視する「苦い真実」である。

「我が国の社会保障の最大の問題は、豊かな者にも貧しい者にも
 高齢者であれば見境なくカネをバラ撒くモラルハザードである」

「この悪平等が回り回って現役世代の負担を累増させ消費低迷の元凶となり、
 我が国の経済低迷と財政悪化、出生率低下をもたらしているのである」

「公費を受給している者の口座にマイナンバーを適用しないなど、とんでもないことだ。
 これで日本の社会保障のモラルハザードは一層深刻化するであろう」

「我が国には、たっぷり資産を持っている癖に
 日本政府に借金をさせて公費を受け取っている腐敗した有権者が大勢いる」

「今回のマイナンバー制度設計の大失策により、
 我が国の有権者の中に隠れた大勢の「国家のシロアリ」が日本財政を蝕み、
 未来世代のクレジットカードを使いまくって日本社会を塗炭の苦しみに陥れる危険性が高い」

だから、「コラテラル・ダメージ」は避けられないと判断している。

 ↓ 参考

マイナンバーで公費を貰う受給者の口座捕捉は絶対必要、骨抜きは腐敗を招く-家計保有の現預金は874兆円
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/4e630c15945054a61e1488be574b8ce7

国民年金の実納付率は40%以下、厚労省が必死に数字を操作している -「粉飾・問題先送り」の悪しき因習
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/1c52cb1127be26506f88a47f6fbb00c3‎‎‎

株高でも日本の年金に未来なし、田村厚労相は制度を理解していない - OECDは支給年齢引き上げを勧告
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/da56727d3885056089e7d79ff6f6500f‎‎

▽ 世代間格差を改善しなければ、経済成長率は向上しない

『世代間格差:人口減少社会を問いなおす』(加藤久和,筑摩書房)


年金改革:デフレ時減額を抑制 厚労省、与党に配慮(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20150225k0000m010088000c.html
”厚生労働省は24日、次期年金制度改革案を自民党の厚労関係部会に示し、大筋で了承された。年金の伸びを物価の伸びより抑える仕組み(マクロ経済スライド)について、物価下落(デフレ)時にも発動できるようにする原案を断念。デフレで抑制できなかった分の削減を、翌年度以降の物価上昇時まで持ち越す。原案に反発する与党に配慮した形だが、デフレが長引いた場合、実際に複数年度分をまとめてカットできるのか疑問視する意見もある。
 公的年金は前年の物価の動きに連動して改定するのが基本だが、マクロ経済スライドは、年金財政が安定するまで年金の伸びを少子高齢化による財政悪化分(2015年度は0.9%と試算)だけ抑える仕組み。物価が1.5%増でも年金は0.6%増とする。ただ、デフレ時には実施しない決まりがあり、物価が0.5%減なら年金も0.5%減にとどめる。
 これに対し、厚労省は昨年、年金財政の悪化を踏まえてデフレ時にも同スライドを適用する案を公表した。この案では、物価が0.5%減なら、同スライド分(0.9%減)と合わせて年金は1.4%減になる。
 しかし、春の統一地方選などを控えて与党内に慎重論が浮上したため、厚労省はこれまで通り、デフレ時には同スライドを適用しない方針に戻した。ただし、抑制見送り分は物価が上昇に転じたときにまとめて削減する方向。24日の自民党の部会では「将来世代に責任が持てない」との批判が出たが、執行部側に抑え込まれた。
 厚労省はこの日、国民年金に加入する女性を対象に、出産前6週間と出産後8週間の保険料を免除する制度の導入案も提示した。加入者全員の保険料を月額100円程度アップして財源にする。厚生年金には既にこうした制度がある。
 このほか、従業員500人以下の企業に勤めるパート労働者を対象に、労使が合意すれば厚生年金に加入できる仕組みも整える。〔中略〕【中島和哉】”

公的年金制度の「なんちゃって改革」はいつもこうだ。
有権者の多数派を占める高齢層の反発を恐れるシルバー・ポリティクスにより
日本の未来を築く子供達が常に犠牲になる。


「年金マンガ」に批判の嵐、若者の反発は当然?(JIJICO)
http://jijico.mbp-japan.com/2015/01/26/articles15238.html
厚生労働省の「年金マンガ」に批判の声が集まる
 厚生労働省のホームページ上で公開されている年金マンガ「いっしょに検証!公的年金」に対して批判的な発言が目立ち始めました。これは、平成26年5月に公開され、0話から11話まであり、架空の一家が年金の制度を解説するものです。
 批判が集まった場面に、「今、年金をもらっている世代よりかなり減るのって聞いた」との悩みに対して、「現在、年金を受け取っている世代は教育や医療が十分でなかった時代に自分たちの親を扶養しながら日本をここまで発展してきたから、今の若者の将来の年金額に差があっても若者は損ではない」といった趣旨の内容があります。その理由で本当に納得できるでしょうか?

「現在の若者は年金で損をするのは仕方ない」とも受け取れる
 子どもの数が平均4人以上であった年金受給者が現役の時代とは異なり、今は少子高齢化が進み、現役世代の保険料は年々上がって負担は決して軽くはありません。また、高度成長期のように正社員で終身雇用が一般的ではなくなり、望まずに非正規雇用となって生活が不安定な若者も多くいます。
 そのような中、今の高齢者の医療保険料については優遇措置があります
。にもかかわらず、「今の年金受給者だけが苦労して、現在の若者は恵まれているから将来の年金で損をするのは仕方ない」とも受け取れる表現でしょう。

年金制度を支えるために子どもを産もうと考える人はいない
 また、姉が少子高齢化を心配する妹の女子大生に対して、「結婚して子どもをたくさん産めばいいのよ」と発言している場面があります。「女性は子どもを産む機械」であるかのような発言で、会社内で男性が女性に言えばセクハラ行為となり懲戒処分も考えられます。
 少子高齢化を防ぐには、それ以前に、子どもがいても育児や仕事をしやすい環境を整えることが重要です。子どもを産むか産まないか本来は個人の自由であり、年金制度を支えるために子どもを産もうと考える人はいないでしょう。

不信感を払拭するには障害年金受給や遺族年金支給を強調すべき
 多くの若者は、将来、年金が本当にもらえるのかという不信感を持っています。払拭するためには、このマンガの内容では難しいでしょう。
 若者の中には、保険料を払うことが損か得かについて関心を持っている人が多くいます。説明として、年金制度は現役世代が高齢世代を支える世代間扶養で、高齢でなくても病気やケガで一定の障害状態となった場合に障害年金を受給でき、また、亡くなった場合に生計維持されていた遺族に遺族年金が支給されることを強調すべきでしょう。
「年金の保険料を払う代わりに個人で積み立てる」と考える人もいますが、いざという時には限界があります。年金は保険料以外に税金や積立金が財源となっており、少子高齢化が進んでも5年に1回の財政検証で、公的年金の健全性を検証する仕組みとなっています。〔中略〕(松本 明親/社会保険労務士)”

厚労省は自民の圧力に負けて制度の劣化を放置している癖に、
有権者を馬鹿にしてこのような「洗脳」漫画を公開してる。

「教育や医療が十分でなかった時代に自分たちの親を扶養しながら日本をここまで発展」
させた世代は、毎年猛烈に所得が伸びていた上に、失業率は1%程度で簡単に職にありつけた。
社会保険料負担は現在よりも遥かに軽く、しかも親世代よりも育てた子供の数は少ないのである

ふざけた自己欺瞞もいい加減にすべきだ。日本人として恥ずかしい。

▽ 育てた子の数が少ない戦後生まれ世代は、年金額も親世代より減るのが当然である

『なぜ日本経済はうまくいかないのか』(原田泰,新潮社)


この論考の執筆者は厚労省に比べて良識的であるが、年金不信はこの程度では払拭できない。
(だから、「正しく理解」されたら強烈な批判を受けるのは必至である)
高額の資産を持つ豊かな層への公費投入と公的年金控除を全廃し、
退職金への不公平な税軽減も即刻廃止した上で
女性就労増と出生率向上に予算移転しなければならない。
そこまでして初めて、年金不信を信頼へと転換させられるのである。
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NHKは「炎上」寸前、受信料を全世帯から強制徴収か -「史上最も評判の悪い会長」のお粗末発言で火に油

2015-02-23 | いとすぎから見るこの社会-全般
前々から噂されていたNHKの「受信料徴収強化」の案が報じられている。
よくある「観測気球」であるとしても、内容がいかにも自己中心的で、
全世帯からの強制徴収やPC保有世帯から徴収という、まさに「人頭税」である。

北海油田の恩恵を自らの手柄と勘違いしたサッチャー政権と同様に、
「人頭税」を導入すれば籾井NHKは歴史に残る失態を演じることになろう。

「お友達人事」で選ばれた会長自身が顰蹙発言を連発しているから尚更のことだ。
まさに今進行中の出来事は「NHK戦後最悪の時期」としてNHKの歴史に永遠に残ることとなろう。

オンライン視聴者には利用時間に応じて課金という
穏当でかつ納得感のある仕組みすら提案できないのは、
とにかく受信料を取りたい強欲の証拠か、若しくはただの無能である。

いずれにせよ日本国民を「カネを出させる対象」としてしか見ない、
特権を握っている立場の者に特有の、傲慢不遜な見下しがあるのは間違いない。

全世帯徴収を選ぶなら、英BBCのように国民の審判を仰ぐべきである。
BBCのような気概もメディアとしての矜持もなく、
権力を握る自民党の「御用メディア」として尻尾を振っている限り、
「みなさまのNHK」などという偽善的な標語は恥ずかしくて使えない筈だ。
正しくは「みなさまから望み通りのカネを取り政権にすり寄って報道する」機関となってしまう。

▽ 最大の問題は、政治介入してくる自民党の影響が強過ぎることである

『NHKと政治権力――番組改変事件当事者の証言』(永田浩三,岩波書店)


受信料自体の水準も、日本国民の所得が低下しているのだから、
「視聴者に配慮して徹底的に合理化し、少しでも負担を減らしたい」
と言うのが公共メディアの当然の責務であろう

そうした認識すらないのだから「公共」とは安定収入を得るための方便でしかない。

▽ 経済的・経営的側面から見ても問題が多い

『NHKはなぜ金持ちなのか?』(小田切誠,双葉社)


健全な批判精神を持つメディアはすかさず、
現在のNHKについて世論調査を行うべきである。

①現在のNHKへの信頼度(or評価)は以前より上がったか、下がったか
②現在のNHK会長は適任と思うかどうか
③現在のNHKへの政権の影響度をどの程度と見るか、また、それは問題だと考えるか
④現在のNHK受信料は適切な水準か、割安な水準か、割高な水準か
⑤現在のNHKで受信料を無駄にしている非効率性はあると考えるか
⑥現在、NHK受信料は全世帯からの徴収とネット端末保有への徴収が検討されているが、適切と思うか

例えば以上のような内容が考えられる。

予言しておくが、実際にこのような調査を実施すれば
関係者が顔面蒼白になるような結果が出るのは間違いない。

「安倍内閣の「お友達人事」が続々とボロを出している。
 能力や見識ではなくイデオロギーで選ぶのだから当然の結果である」

「NHKの籾井新会長や長谷川経営委員のお粗末な発言は
 自分の立場を全く理解していない不用意さを示すだけでなく、
 メディアを「正しい自分達がコントロールする対象」として見下し、
 有権者を愚民扱いする勘違いした増長心の結果である」

「就任会見の時点でこのようなヘマをしている訳だから、
 これから失言や失態を繰り返すのは容易に予想できる。
 大臣の地位を放り出した上に議員引退と大嘘をついた中山議員と同一コースだ」

「安倍内閣のお友達人事によって公職にありついた者の「資質」が問われ、
 いらぬ騒動を招いて失笑の対象となることは今後も確実に多発する」

「原理主義勢力が気に入らないメディアを支配下に置こうとし、
 異なる見解を持つ者を敵視し激しく攻撃するのは今に始まった話ではない。
 戦前の日本が破滅へと突進する過程でも同じ現象が起きていた」

「かつて昭和天皇の「股肱の臣」を殺戮した226の反乱将校は放送局や新聞社を襲撃し、
 終戦の大命に背いた叛逆者は玉音放送の音源を奪取しようとした」

「日本の原理主義者たちが自らと意見の合わないメディアを
 異常な敵意を見せて攻撃するのは歴史的な習性であり、
 彼らの凝り固まった独善性とファナティシズムに基づくものである」

当ウェブログは上記のように書いた。
「史上最低」の評が定着する可能性が高いNHK会長の失態は、完全に予想通りである。

 ↓ 参考

天皇陛下のお言葉をカットしたNHK、原因は安倍内閣の「お友達人事」- 原理主義者の独善的な本性が出た
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/a534a1365169f8ce092ec1afc1782111‎

昭和天皇に公然と背いた安倍首相、同盟国の顔に泥を塗って自ら墓穴を掘る - 中国の日本企業に報復必至
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/8867bf34573dd2ee013fa6c181792c01

靖国はイデオロギーの神殿、加害者をも勝手に祀る私営施設 - 安倍首相は近現代史を知らない
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/500c96cd8012ce2d8bd4cf29e3628eb1‎

▽ ドグマに凝り固まったナショナリストは、まずメディアを攻撃して思い通りに操ろうとする

『太平洋戦争と新聞』(前坂俊之,講談社)


NHK受信料、テレビない世帯も ネット拡大で検討 総務省が見直し着手(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF20H1D_Q5A220C1MM8000/
”総務省はNHKの受信料制度の見直しに着手する。NHKのインターネットサービスの拡大を踏まえてテレビのない世帯からも料金を徴収する検討を始める。パソコンなどネット端末を持つ世帯に納付義務を課す案のほか、テレビの有無にかかわらず全世帯から取る案も浮上している。負担が増す国民の反発が予想され、NHKのネットサービス拡大が国民の利益につながるのか、慎重な議論が求められる。
 NHKは2015年度からテレビ…〔以下略〕”

こちらが炎上必至の「受信料徴収案」。
全世帯から徴収するのであれば、どうしてBBCのように国民の審判を受けようとしないのか、
全く理解できない。有権者としての常識が欠落した人間が案出したとしか思えない。

利用時間に応じたオンライン課金ならば問題ないだろうが、この案に入っていない。
(冒頭か抜粋を無料で提供し、続きは課金という「日経電子版」方式が考えられる)


NHK籾井会長:民主党会議で発言巡り応酬「くだらん」(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20150219k0000m040066000c.html
”NHKの籾井勝人会長は18日、民主党の総務・内閣部門会議に出席した。1月に策定した2015年度から3カ年の経営計画の説明のために呼ばれたが、人事政策や過去の自身の発言についての質問が相次ぎ、議論はヒートアップ。時折、怒号が飛び交った。
 籾井会長は昨年1月の就任直後に全理事から辞表を取り付け「よくあること」と述べたが、その発言を撤回すべきだと迫る議員に「屁理屈(へりくつ)だ」「言葉尻をとらえている」と反論。議論の応酬後、「くだらん」とこぼした。枝野幸男幹事長は同日の記者会見で、「くだらん」発言について「その一点をもって(会長)失格」と厳しく批判した。
 会議で籾井会長は、従軍慰安婦問題を番組で取り上げるかどうかは政府の方針をみて判断する意向を示した今月5日の定例記者会見の発言について、「外交問題に発展する恐れがあることもよく考えて扱わなければならないという認識。政府の言うことを聞くということではない」と釈明した。発言については撤回しない考えを示した。〔中略〕【望月麻紀】”

民主の挑発に乗って醜態を晒す籾井会長。
はっきり言って、一般の役所の案内係の方が遥かにまともな対応をしている。
この会長は役所の窓口業務すら務まらないだろう。

そもそもこのような重職に就かせてはいけない人物であることを
公衆の面前でよりによって自分自身で証明してしまった訳である。


NHK:政府代弁放送? 籾井会長発言の危うい問題点(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20150223k0000e010212000c.html
「『公共放送』という仕事は、政府の仕事を代行しているわけではありません」。NHKのホームページに、そんな文言がある。受信料を支払っている国民も、そう思っている。いや、「思っていた」なのか。大組織の頂点に位する籾井勝人(もみいかつと)会長(71)の発言の問題点をもう一度、考えた。
 「別に撤回もしませんけど……」。衆議院第2議員会館で18日にあった民主党の会議。NHKの経営計画を説明するために呼ばれた籾井氏は、ある議員に「5日の発言」を取り消す意思はあるか、と問われ、不機嫌そうに答えた。経営姿勢を厳しく追及する質問もあり、険悪なムードが漂っていた。籾井氏はさらに、「発言」の真意として「外交問題に発展する恐れがあることもよく考えて、扱わないといけないという認識だ。政府の言うことを聞くことではない」などと語った。
 「5日の発言」とは、定例記者会見で「戦後70年にあたり従軍慰安婦問題を番組で取り上げるのか」との問いに対する籾井氏の次の答えだ。
 「政府の正式なスタンスがまだ見えないので、放送するのが妥当かどうかは慎重に考えないといけない」。素直に聞けば「政府の主張に沿った番組しか放送しない」とも受け取れる。
 「政府の方針を確かめないと報道するかどうかを決められないのならば、大本営発表をそのまま垂れ流した戦時中と何が違うのか」。ジャーナリストの大谷昭宏氏は怒りもあらわに言う。「報道機関は権力の監視に加え、国民の意見が割れている問題について自ら考え、報じることも重要で、その責務を放棄しているとしか思えない。外部出身の人物がNHKの会長をしてはいけないと言っているのではありません。彼には報道の世界の原則が全く分かっていないことが問題なんです」
 「ニュースの職人」を称し数多くの調査報道に携わった鳥越俊太郎氏も声を強める。「<n>NHKの経営は大半を国民からの受信料で賄っている。従って国民の方を向いた報道をするのが大原則。ところが籾井氏は政府の方を向いている。実際、彼が会長になってから、NHKは政府批判を控えているように映ります」。特定秘密保護法、集団的自衛権行使容認の閣議決定、原発再稼働……。日本の針路を決める重要政策では政府の方針を伝えようとする傾向が目立ち、「このままでは北朝鮮の国営放送と同じことになる恐れがある」と指摘する。
 それにしても「既視感」がある。
 昨年1月25日の就任会見で籾井氏が「(慰安婦は)戦争地域にはどこにもあった」「なぜオランダに今も(売春街を示す)飾り窓があるのか」などと「放言」したのが騒動の始まりだった。今年1月にはお笑いコンビ「爆笑問題」がNHKの番組で政治家ネタを却下されたことを明かしたことについて、個人名を挙げたネタは一般論として「品性があってしかるべきだ」と語った。そして今回の発言。
 この人の「問題発言」に慣れてしまって驚かなくなるのが、むしろ怖いほどだ。
 武蔵大教授(テレビジャーナリズム論)の永田浩三氏は「就任直後の発言は、あるいは『不勉強だったから』と弁解できたかもしれませんが、もう通用しない。公共放送のリーダーとしてこの1年、何も学んでいないことを露呈したのですから」とあきれる。
 NHKOBの永田氏は、慰安婦問題を取り上げた番組の統括プロデューサーだった。政治家の圧力があったとの指摘がある番組改変問題を検証しようとして制作現場を追われ、退職した。慰安婦問題に正面から取り組んできただけに、「外交問題に発展する恐れがあることもよく考えて……」との籾井氏の釈明を「反戦、平和の番組はたとえ政府と対立してでも放送するのがNHKの使命。『外交』を理由に報じないなんて、でたらめな理屈です」と切り捨てた。
 もちろん、NHK会長にも直言できる立場の人たちはいる。その選出、辞任に権限を持つ「経営委員」である。
 「経営委員は、就任以来の発言から、籾井氏が適格性に欠けることは分かったはずです。それなのに注意するだけにとどめ、解決を先送りしてきた責任は重い」。そう批判するのは立教大の服部孝章教授(メディア論)だ。
〔中略〕
 同じ公共放送として、比較されることもある英BBC放送について、服部教授はこんなエピソードを語る。
 「イラク戦争の報道で英国政府と対立すると、BBCの会長と経営委員長は抗議の辞任をしたのです。その行動が示すように、職を賭しても報道の自由を守るとの自負があるからこそ、報道機関は国民の信頼を得られるのです
 巨大放送局はどこへ向かおうとしているのか。
 元NHKディレクターの戸崎賢二氏に尋ねると「NHKは、集団的自衛権や原発再稼働反対の市民運動をほとんど報じてきませんでした。沖縄の辺野古基地建設反対の住民に対するひどい過剰警備も伝えていません」と、鳥越氏と同様に「政府寄り」の傾向を指摘。「安全保障関連の法整備についても、批判的に報道しない恐れがあります。自衛隊の海外での軍事行動の拡大が心配な時代に、NHKが国策放送局化する危険があるのではないか」と危惧する。
 NHKの混乱が続く中、自民党は新型「国際放送」の創設を目指す。慰安婦、靖国神社などの問題について政府の立場を発信するのが狙いだ。海外向けの英語放送としては「NHKワールドTV」があるが、「今の枠内では、報道の自由など基本的な制約が多い」との理由だ。
 「待った」をかけるのが永田氏だ。「外国語で発信すれば済むという問題ではなく、相手国の文化、歴史を理解して丁寧に伝える必要がある。国際社会からはプロパガンダに見られるだけです」。そして真の狙いをこう見る。「政府の方針に従わなければ国際業務を召し上げるという、NHKへの揺さぶりです」
 国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」が12日に発表した「世界報道の自由度ランキング」で、2010年に11位だった日本が15年には61位へと下がった。特定秘密保護法の施行などが影響したと見られるが、NHKが「国営放送」に近づけば、さらに報道不自由の国になりかねない。
〔中略〕
 「報道の世界からお引き取り願いたい」(大谷氏)。籾井氏はニュースの中心にいる。【瀬尾忠義】”

大方で予想されたことであろうがこの毎日新聞の報道通り、
日本の「報道の自由度」の国際ランキングは安倍政権が成立してから大暴落している。

自民党はNHKを「人民日報」並みのプロパガンダ発信装置にしようと企んでいるらしく、
ちょっと選挙で票を貰うと勘違いして増長して「中露と同レベル」の本性を露呈しようとしている。

慰安婦問題を取り上げるのは「反戦、平和の番組」とするリベラルの誤認も気になるが、
(慰安婦問題は、今やもう完全に歴史的事実を無視したナショナリズムの問題である)
この問題では安倍政権と自民党側の責任の方が遥かに大きい。

民主党政権は全く評価できないものだったが、このような悪質なメディアコントロールは行わなかった。
従って、安倍政権と自民党の方が民主主義に敵対的なのは明らかである。


籾井氏発言にコメントせず=安倍首相(時事通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150220-00000097-jij-pol
”安倍晋三首相は20日の衆院予算委員会で、NHKの籾井勝人会長の言動が問題視されていることについて「政府としてコメントするべきではない」と言及を避けた。会長の罷免権を持つNHK経営委員会の対応については「国会の承認を得た上で経営委員は指名されており、今後もしっかりと放送法にのっとって使命を果たしていただくことを期待する」と述べるにとどめた。〔以下略〕”

NHK経営委員を任命してこの籾井問題の原因を作った安倍首相は沈黙している。
何か言うと自分の失態が明らかになるからだ。
日本経済を回復させる能力や経済リテラシーは依然として欠如しているが、
こうした小細工だけは進歩したようだ。
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