今週の東洋経済はアセアン特集、インタビューは外食企業トップに対してで、
日本企業がアセアン市場でなかなか成功できていない事実を示唆する。。
「小粒な気もするが現時点で焦点の一つではある」
「日本企業の旗色が必ずしも宜しくないのが気になる」
と先週に書いた通りであろう。金城湯池だった自動車市場も中国勢EVの浸透を許し。。
エントリーのサブタイトルは「法人税率筆引下げは投資や雇用を増やしたか」、
82頁の寄稿から。民間シンクタンク研究員と一橋大院の佐藤教授との共同研究の紹介だ。
はっきり言って申し訳ないが、寄稿では外形標準課税を問題視する主旨だが
執筆者も認めているように法人税引下げ以降に生じた事実としては
「企業の内部留保や現預金の増加に比べて設備投資や賃金の伸びは緩やか」
だったのだから、法人減税のマクロ経済への効果としては
「極めて乏しい」以外の結論になる筈が無いのである。
つまり野口悠紀雄氏がかつて指摘した通り「税率は経済成長に中立」なのだ。
シンガポールやアイルランドのように、租税競争を悪用して
対内投資をかき集めるずる賢い小国なら話は別だが、日本は勿論そうではない。
佐藤優氏の連載は戦後もナチス的なドイツという相変わらずの主観論で
ドイツを批判しロシアを擁護する点で恒例のロシア側代弁と言えるだろう。
ナチスと同等の殺戮を行ったスターリンが今でも人気あるロシアから見れば
「ナチス」という決め付けが他国批判の万能な常套句であり
自国の殺戮者の罪業を隠蔽し目を逸らさせる便利な手段なのである。
氏は今週のAERAではイランへのイスラエル・米国による軍事作戦に対し
ロシアからの批判がかなり抑制的である理由として
ロシアもイランの核開発が好ましくないのだ「と思う」という
かなり恣意的で憶測に過ぎない説を寄稿している。
元外務省の情報分析官がそれで済ますのかと多くの読者が拍子抜けしたであろう。
尤も、氏の解説が歯切れ良くないのはそれなりの理由があって、
氏は以前、イランがイスラエルを攻撃すれば第三次世界大戦もと書いたことがあり
これだけイラン側からの反撃が弱いことを想定できていなかった可能性が高いのだ。
◇ ◇ ◇ ◇
ダイヤモンドの銀行特集は矢張り内向き、業界向きな印象。
ダイヤモンドは前号で日銀は利上げのチャンスを逃したという鋭い寄稿を
巻頭に乗せていて流石だなと思った(その方が実質賃金悪化を抑制出来たろうに)のだが。
サブ特集の海運であるが、チャートとしてはうーんという感じ。
まるで現状、高配当株のような動きでロングでもショートでも大きく動く感じではない。
トランプの関税問題で頭打ちながら大きく崩れる気配もなく。
9104はダウンサイドありそうな気もするがかと言って大きくもなさそう、
取引の観点からはどうしてもそう見てしまう。
良記事は12頁、日本総研の村瀬氏の寄稿である。
氏によれば東京圏とそれ以外の地域の生産性格差が1.5倍弱もあり、
2010年代後半以降にその格差が拡大してきているとか。その理由として
氏は生産性の高いサービス業の従事労働者のシェアが東京圏は3割弱と高いことを挙げている。
これは何と他地域の3倍もの差があるそうで矢張り人口統計で経済は左右されてしまうと再確認した。
更に言えばこうした東京圏に若者が流入しても日本全体としてはゼロ成長なのだから
人材の取り合いのゼロサムゲームの中では日本経済が大きく成長する訳が無いとも確信出来る内容だった。
今週も最も宜しくないのは佐藤優氏の連載。
イスラエルが残虐な攻撃を繰り返すのは氏によれば欧米のせいであり
今後はイランではなくガザが危ういとまた根拠のない見通しを披歴している。
氏の見通しは精度がかなり低いので真に受ける必要もなかろうが
あそこまで徹底的に破壊を受けたガザではかなりの期間イスラエルへの反撃は難しくなる。
イスラエルがここまで無慈悲な攻撃を行う理由はひとえにハマス側のテロ攻撃で人質を取られた衝撃にあり
何ら欧米の責任ではないことは明らかである。いまイスラエルにどす黒い憎しみを抱えて育つガザの子供達から
次世代のテロが起きる迄に、氏の言い分とは裏腹に何年もかかることであろうに。。
氏の主張は恒例のイスラエル寄りの情報発信と捉えるのが妥当と言うものだろう。
だからこそ欧州でイスラエル極右の責任が糾弾されていることや
国内で追い詰められているネタニヤフが戦争をやめられない事情には一言も触れないのだ。
◇ ◇ ◇ ◇
エコノミストのメイン特集は概ね想定内で妥当な内容だが
予想を超える内容ではなかったように思う。
ただ、米国の対外利払い費の増加ぶりや
ドルが基軸通貨であることが米国の製造業を衰退させたとの考察、
(だからトランプ関税程度では大した効果が出る訳がない)
ドルの安定には米経済のリストラが必要との指摘は秀逸で目を通しておきたい。
市岡繁男氏の連載は今週も興味深い。
遠隔地での戦争は戦争特需やインフレを呼び株価は寧ろ上昇するとの説である。
氏はその証拠として朝鮮戦争、旧ソ連のアフガン侵攻を挙げている。
悲しい話だが第一次世界大戦時の日本もそうだったし、
投資家は儲けの源泉が何の犠牲の下に生じたかよくよく自覚しなければならない。
◇ ◇ ◇ ◇
次週はダイヤモンドに注目、ただ政治家ランキングは全然当てにならない(麻生や高市が上位とかあり得ない)。
▽ パワハラランキングは興味深いが、それより政策立案能力がかなり落ちていると思う。。
▽ 東洋経済は連休控えているのに合併号ではないのに驚き、特集は日本企業の元気のなさの裏返しか
▽ エコノミストは株式特集、これはエコノミストだと強みになりにくい気がする
9984が出てしまったな。。
日本企業がアセアン市場でなかなか成功できていない事実を示唆する。。
「小粒な気もするが現時点で焦点の一つではある」
「日本企業の旗色が必ずしも宜しくないのが気になる」
と先週に書いた通りであろう。金城湯池だった自動車市場も中国勢EVの浸透を許し。。
エントリーのサブタイトルは「法人税率筆引下げは投資や雇用を増やしたか」、
82頁の寄稿から。民間シンクタンク研究員と一橋大院の佐藤教授との共同研究の紹介だ。
はっきり言って申し訳ないが、寄稿では外形標準課税を問題視する主旨だが
執筆者も認めているように法人税引下げ以降に生じた事実としては
「企業の内部留保や現預金の増加に比べて設備投資や賃金の伸びは緩やか」
だったのだから、法人減税のマクロ経済への効果としては
「極めて乏しい」以外の結論になる筈が無いのである。
つまり野口悠紀雄氏がかつて指摘した通り「税率は経済成長に中立」なのだ。
シンガポールやアイルランドのように、租税競争を悪用して
対内投資をかき集めるずる賢い小国なら話は別だが、日本は勿論そうではない。
![]() | 『週刊東洋経済』2025年7/12号 (岐路に立つ東南アジア) |
佐藤優氏の連載は戦後もナチス的なドイツという相変わらずの主観論で
ドイツを批判しロシアを擁護する点で恒例のロシア側代弁と言えるだろう。
ナチスと同等の殺戮を行ったスターリンが今でも人気あるロシアから見れば
「ナチス」という決め付けが他国批判の万能な常套句であり
自国の殺戮者の罪業を隠蔽し目を逸らさせる便利な手段なのである。
氏は今週のAERAではイランへのイスラエル・米国による軍事作戦に対し
ロシアからの批判がかなり抑制的である理由として
ロシアもイランの核開発が好ましくないのだ「と思う」という
かなり恣意的で憶測に過ぎない説を寄稿している。
元外務省の情報分析官がそれで済ますのかと多くの読者が拍子抜けしたであろう。
尤も、氏の解説が歯切れ良くないのはそれなりの理由があって、
氏は以前、イランがイスラエルを攻撃すれば第三次世界大戦もと書いたことがあり
これだけイラン側からの反撃が弱いことを想定できていなかった可能性が高いのだ。
◇ ◇ ◇ ◇
ダイヤモンドの銀行特集は矢張り内向き、業界向きな印象。
ダイヤモンドは前号で日銀は利上げのチャンスを逃したという鋭い寄稿を
巻頭に乗せていて流石だなと思った(その方が実質賃金悪化を抑制出来たろうに)のだが。
サブ特集の海運であるが、チャートとしてはうーんという感じ。
まるで現状、高配当株のような動きでロングでもショートでも大きく動く感じではない。
トランプの関税問題で頭打ちながら大きく崩れる気配もなく。
9104はダウンサイドありそうな気もするがかと言って大きくもなさそう、
取引の観点からはどうしてもそう見てしまう。
良記事は12頁、日本総研の村瀬氏の寄稿である。
氏によれば東京圏とそれ以外の地域の生産性格差が1.5倍弱もあり、
2010年代後半以降にその格差が拡大してきているとか。その理由として
氏は生産性の高いサービス業の従事労働者のシェアが東京圏は3割弱と高いことを挙げている。
これは何と他地域の3倍もの差があるそうで矢張り人口統計で経済は左右されてしまうと再確認した。
更に言えばこうした東京圏に若者が流入しても日本全体としてはゼロ成長なのだから
人材の取り合いのゼロサムゲームの中では日本経済が大きく成長する訳が無いとも確信出来る内容だった。
![]() | 『DiamondWEEKLY』2025年7/12号 (銀行実力番付2025) 週刊ダイヤモンド |
今週も最も宜しくないのは佐藤優氏の連載。
イスラエルが残虐な攻撃を繰り返すのは氏によれば欧米のせいであり
今後はイランではなくガザが危ういとまた根拠のない見通しを披歴している。
氏の見通しは精度がかなり低いので真に受ける必要もなかろうが
あそこまで徹底的に破壊を受けたガザではかなりの期間イスラエルへの反撃は難しくなる。
イスラエルがここまで無慈悲な攻撃を行う理由はひとえにハマス側のテロ攻撃で人質を取られた衝撃にあり
何ら欧米の責任ではないことは明らかである。いまイスラエルにどす黒い憎しみを抱えて育つガザの子供達から
次世代のテロが起きる迄に、氏の言い分とは裏腹に何年もかかることであろうに。。
氏の主張は恒例のイスラエル寄りの情報発信と捉えるのが妥当と言うものだろう。
だからこそ欧州でイスラエル極右の責任が糾弾されていることや
国内で追い詰められているネタニヤフが戦争をやめられない事情には一言も触れないのだ。
◇ ◇ ◇ ◇
エコノミストのメイン特集は概ね想定内で妥当な内容だが
予想を超える内容ではなかったように思う。
ただ、米国の対外利払い費の増加ぶりや
ドルが基軸通貨であることが米国の製造業を衰退させたとの考察、
(だからトランプ関税程度では大した効果が出る訳がない)
ドルの安定には米経済のリストラが必要との指摘は秀逸で目を通しておきたい。
![]() | 『週刊エコノミスト』2025年7/15号 |
市岡繁男氏の連載は今週も興味深い。
遠隔地での戦争は戦争特需やインフレを呼び株価は寧ろ上昇するとの説である。
氏はその証拠として朝鮮戦争、旧ソ連のアフガン侵攻を挙げている。
悲しい話だが第一次世界大戦時の日本もそうだったし、
投資家は儲けの源泉が何の犠牲の下に生じたかよくよく自覚しなければならない。
◇ ◇ ◇ ◇
次週はダイヤモンドに注目、ただ政治家ランキングは全然当てにならない(麻生や高市が上位とかあり得ない)。
▽ パワハラランキングは興味深いが、それより政策立案能力がかなり落ちていると思う。。
![]() | 『DiamondWEEKLY』2025年7/19・26合併号 (霞が関官僚の危機) 週刊ダイヤモンド |
▽ 東洋経済は連休控えているのに合併号ではないのに驚き、特集は日本企業の元気のなさの裏返しか
![]() | 『週刊東洋経済』2025年7/19号 (電子部品 最強烈伝。) |
▽ エコノミストは株式特集、これはエコノミストだと強みになりにくい気がする
![]() | 『週刊エコノミスト』2025年7/22・29合併号 |
9984が出てしまったな。。