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みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

『週刊東洋経済』7月12日号 - 安倍政権の法人減税が内部留保を増やした一因、設備投資も賃上げも低迷

2025-07-10 | 『週刊 東洋経済』より
今週の東洋経済はアセアン特集、インタビューは外食企業トップに対してで、
日本企業がアセアン市場でなかなか成功できていない事実を示唆する。。
「小粒な気もするが現時点で焦点の一つではある」
「日本企業の旗色が必ずしも宜しくないのが気になる」

と先週に書いた通りであろう。金城湯池だった自動車市場も中国勢EVの浸透を許し。。


エントリーのサブタイトルは「法人税率筆引下げは投資や雇用を増やしたか」、
82頁の寄稿から。民間シンクタンク研究員と一橋大院の佐藤教授との共同研究の紹介だ。
はっきり言って申し訳ないが、寄稿では外形標準課税を問題視する主旨だが
執筆者も認めているように法人税引下げ以降に生じた事実としては
「企業の内部留保や現預金の増加に比べて設備投資や賃金の伸びは緩やか」
だったのだから、法人減税のマクロ経済への効果としては
「極めて乏しい」以外の結論になる筈が無い
のである。
つまり野口悠紀雄氏がかつて指摘した通り「税率は経済成長に中立」なのだ。

シンガポールやアイルランドのように、租税競争を悪用して
対内投資をかき集めるずる賢い小国なら話は別だが、日本は勿論そうではない。

『週刊東洋経済』2025年7/12号 (岐路に立つ東南アジア)


佐藤優氏の連載は戦後もナチス的なドイツという相変わらずの主観論で
ドイツを批判しロシアを擁護する点で恒例のロシア側代弁と言えるだろう。
ナチスと同等の殺戮を行ったスターリンが今でも人気あるロシアから見れば
「ナチス」という決め付けが他国批判の万能な常套句であり
自国の殺戮者の罪業を隠蔽し目を逸らさせる便利な手段なのである。

氏は今週のAERAではイランへのイスラエル・米国による軍事作戦に対し
ロシアからの批判がかなり抑制的である理由として
ロシアもイランの核開発が好ましくないのだ「と思う」という
かなり恣意的で憶測に過ぎない説を寄稿している。
元外務省の情報分析官がそれで済ますのかと多くの読者が拍子抜けしたであろう。
尤も、氏の解説が歯切れ良くないのはそれなりの理由があって、
氏は以前、イランがイスラエルを攻撃すれば第三次世界大戦もと書いたことがあり
これだけイラン側からの反撃が弱いことを想定できていなかった
可能性が高いのだ。

    ◇     ◇     ◇     ◇

ダイヤモンドの銀行特集は矢張り内向き、業界向きな印象。
ダイヤモンドは前号で日銀は利上げのチャンスを逃したという鋭い寄稿を
巻頭に乗せていて流石だなと思った(その方が実質賃金悪化を抑制出来たろうに)のだが。


サブ特集の海運であるが、チャートとしてはうーんという感じ。
まるで現状、高配当株のような動きでロングでもショートでも大きく動く感じではない。
トランプの関税問題で頭打ちながら大きく崩れる気配もなく。
9104はダウンサイドありそうな気もするがかと言って大きくもなさそう、
取引の観点からはどうしてもそう見てしまう。


良記事は12頁、日本総研の村瀬氏の寄稿である。
氏によれば東京圏とそれ以外の地域の生産性格差が1.5倍弱もあり、
2010年代後半以降にその格差が拡大してきているとか。その理由として
氏は生産性の高いサービス業の従事労働者のシェアが東京圏は3割弱と高いことを挙げている。
これは何と他地域の3倍もの差があるそうで矢張り人口統計で経済は左右されてしまうと再確認した。
更に言えばこうした東京圏に若者が流入しても日本全体としてはゼロ成長なのだから
人材の取り合いのゼロサムゲームの中では日本経済が大きく成長する訳が無い
とも確信出来る内容だった。

『DiamondWEEKLY』2025年7/12号 (銀行実力番付2025) 週刊ダイヤモンド


今週も最も宜しくないのは佐藤優氏の連載。
イスラエルが残虐な攻撃を繰り返すのは氏によれば欧米のせいであり
今後はイランではなくガザが危ういとまた根拠のない見通しを披歴している。
氏の見通しは精度がかなり低いので真に受ける必要もなかろうが
あそこまで徹底的に破壊を受けたガザではかなりの期間イスラエルへの反撃は難しくなる。
イスラエルがここまで無慈悲な攻撃を行う理由はひとえにハマス側のテロ攻撃で人質を取られた衝撃にあり
何ら欧米の責任ではないことは明らかである。いまイスラエルにどす黒い憎しみを抱えて育つガザの子供達から
次世代のテロが起きる迄に、氏の言い分とは裏腹に何年もかかることであろうに。。

氏の主張は恒例のイスラエル寄りの情報発信と捉えるのが妥当と言うものだろう。
だからこそ欧州でイスラエル極右の責任が糾弾されていることや
国内で追い詰められているネタニヤフが戦争をやめられない事情には一言も触れないのだ。

    ◇     ◇     ◇     ◇

エコノミストのメイン特集は概ね想定内で妥当な内容だが
予想を超える内容ではなかったように思う。

ただ、米国の対外利払い費の増加ぶりや
ドルが基軸通貨であることが米国の製造業を衰退させたとの考察、
(だからトランプ関税程度では大した効果が出る訳がない)
ドルの安定には米経済のリストラが必要との指摘は秀逸で目を通しておきたい。

『週刊エコノミスト』2025年7/15号


市岡繁男氏の連載は今週も興味深い。
遠隔地での戦争は戦争特需やインフレを呼び株価は寧ろ上昇するとの説である。
氏はその証拠として朝鮮戦争、旧ソ連のアフガン侵攻を挙げている。
悲しい話だが第一次世界大戦時の日本もそうだったし、
投資家は儲けの源泉が何の犠牲の下に生じたかよくよく自覚しなければならない。

    ◇     ◇     ◇     ◇

次週はダイヤモンドに注目、ただ政治家ランキングは全然当てにならない(麻生や高市が上位とかあり得ない)。

▽ パワハラランキングは興味深いが、それより政策立案能力がかなり落ちていると思う。。

『DiamondWEEKLY』2025年7/19・26合併号 (霞が関官僚の危機) 週刊ダイヤモンド


▽ 東洋経済は連休控えているのに合併号ではないのに驚き、特集は日本企業の元気のなさの裏返しか

『週刊東洋経済』2025年7/19号 (電子部品 最強烈伝。)


▽ エコノミストは株式特集、これはエコノミストだと強みになりにくい気がする

『週刊エコノミスト』2025年7/22・29合併号

9984が出てしまったな。。
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『週刊東洋経済』7月5日号 - 男女の賃金格差は、女性自身のジェンダー規範が一因である

2025-07-03 | 『週刊 東洋経済』より
今週の東洋経済はゴールドと暗号通貨特集。
有事にゴールドを慌てて大量買いすることを諌めているのは良識的で、
「日本としては暗号通貨はETFが急務と思う、税務の問題もこれで解決できる」
と当ウェブログが先週に書いた通りでもあり、相変わらず税務の問題が大きいので
米国でのETF許可という重大なターニングポイントを過ぎた以上、
日本もオルタナティブのアセットクラスの一つとして早く許認可すべきだ。
それで税務の問題はほぼ解決するし、そうでなければならない。
マウントゴックスの件でも分かるように時機は熟している。


エントリーのサブタイトルは9頁より。
同大の太田教授の寄稿で「古いジェンダー規範を打破しよう」とのタイトル。
よく指摘される日本の男女間の賃金格差の大きさが
どのような理由によって生じたのかを明らかにした良記事である。
勿論、主因の一つは育児負担が女性に偏っていることであるが
太田教授は女性自身の職業選択におけるジェンダー規範も影響あると
的確に指摘している。(全く以てその通りである)
実際、調査を見ると女性の職業選択には明らかにジェンダーの影響が強く
(ここでは指摘されていないが)共稼ぎ夫婦の就労時間も約2倍の差がある。
また、率直に言って子を預かる保育職などの同性にかなり厳しいところがあり
できることなら自分で可愛い盛りの時期を傍で面倒を見たいという欲望の強さがありそうだ。
もっとフランスのような自立した親子関係を志向しない限り、ジェンダー平等はほど遠い。

『週刊東洋経済』2025年7/5号 (今こそ知りたい「金」「暗号資産」)


佐藤優氏の連載はチェコの話が続いている。
どうやら今度は資本主義批判となりそうで
その辺りは旧東ドイツやポーランド、バルト三国等と比較し
恣意的な主観ではなく学術的な意識調査や計量分析を行わない限り
説得的な論などできよう筈が無かろうに。

氏は今週のAERAでは「米国とイスラエルがイランを押さえ込んだ」との凡庸な話だったが
ウクライナ侵攻で余裕がなくなっていてるロシアはイラン擁護が難しくなっていると
産経新聞が書いているのに反論する方が急務ではないのだろうか。
それだけでなくスウェーデンのシンクタンクはロシアが隠蔽する経済苦境を伝えているし
欧米メディアではロシア諜報機関がかつて沿海州を奪われた中国の復讐を強く警戒中との話も出ている。
イランどころではないロシアの苦しい状況こそ氏は急ぎ語るべきではないかと思うが。。

    ◇     ◇     ◇     ◇

メイン特集としてはダイヤモンドのメイン特集の方が良かった。
先週、「実用性としてはこちらの方が優れている」とsした通りだろう。
首都圏のマンション市況は完全にバブルで、ダイヤモンド得意の匿名座談会でも
これからマンション投資で赤字を抱える投資家が増えるだろうと
極めて的確な分析が紹介されていて必見である。

つい最近のエコノミストでもほぼ同様の結論であるが
東京23区内でも大幅上昇しているのは所謂都心3区だけであり
23区内であっても殆ど上昇していない地域もあるという状況なのだから。
(だからこそ住みたいランキングで荒川沿いや埼玉方面や相模川沿いが上位に来るのだ!)

『DiamondWEEKLY』2025年6/28・7/5合併号 ( マンション 最強の売買) 週刊ダイヤモンド


池上氏の連載は、政治的に難しいテーマを扱っているだけに
慎重な表現を用いているが内容は良い。

与野党のバラ撒き政策を正しく「ポピュリズム」としており
(共産党の法人減税批判が余程まともに見える程である)
日本の財政状況についても妥当な指摘であるが、インフレに沸々と
不満を高まらせている一般国民の怒りに無頓着なきらいがあろう。
増田氏は北欧のフィンランドを例に挙げているが残念ながら同国は現在、
経済成長率も出生率も悪化しており参考例としてはかなり良くない。
愚かしい「年収の壁」がなく高成長のスウェーデン高成長をこそ参考にすべきである。
富裕高齢層への過剰な給付もない上に育児関連の現物給付が手厚く、
それを真似するだけで真の成長政策が実施できるだろうに。

    ◇     ◇     ◇     ◇

次週も東洋経済に注目、小粒な気もするが現時点で焦点の一つではある。

▽ 日本企業の旗色が必ずしも宜しくないのが気になる

『週刊東洋経済』2025年7/12号 (岐路に立つ東南アジア)


▽ ダイヤモンドはメイン特集は業界向けか、サブの海運特集の方が重要かも

『DiamondWEEKLY』2025年7/12号 (銀行実力番付2025) 週刊ダイヤモンド


▽ 次週も本格派はエコノミスト、ということになりそう

『週刊エコノミスト』2025年7/15号

さてドル安の受け皿はユーロか、ゴールドかはたまたビットコインか。。
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『週刊東洋経済』6月28日号 - 企業献金の97%が自民党の懐に入る、だから政治が腐敗し国民が貧しくなる

2025-06-29 | 『週刊 東洋経済』より
今週の東洋経済は特集「上場企業クライシス」、
安倍政権はじめ自民党のプロビジネス政策では企業統治改革は
亀の歩みでしかない。寧ろ対内投資促進(中国を除く)で
上場ゴール企業を淘汰する方が遥かに合理的であろう。


エントリーのサブタイトルは70頁からのサブ特集「企業と政治献金」。
まともなリテラシーを持っている有権者なら言う迄もないことだが
矢張り企業の政治献金が日本社会と日本経済を歪めている疑いが濃い。

企業からの政治献金の97%が自民党に入るのだから
自民党は日本び大企業の利害代弁者に他ならない。

確かに自動車のように対外関係で献金が必須の業界もあるが
大企業の収益が過去最高でも国民の実質賃金が低落し続けるのは
この腐敗構造のもたらす必然の結果に過ぎないのだ。
先週書いたように日本経済衰退の一因と言うべきであろう。

他方、パーティー収入では案の定、医師会が上位に顔を出している。
自民党が現役世代を貧しくして高齢層への給付バラ撒きを長年続けたのも
パーティー収入を見れば容易に説明出来るというものである。

『週刊東洋経済』2025年6/28号 (上場企業クライシス)


佐藤優氏の連載は相変わらずイデオロギーの話。
全体主義と共産主義は違うと力説しているが
歴史的事実に照らして言えばどちらも人間的自由を害し
甚大な人権侵害をもたらした似た者同士でしかないし、
氏の言説も恒例のロシア擁護の発言にしか見えない。
ウクライナをナチス呼ばわりしているプーチンとロシア特権層を
遠回しに擁護し喜ばせるような言説でしかない。


氏は今週のAERAではアメリカによるイラン空爆に批判的な
石破首相の発言を安全保障を危うくすると
批判しているが、実際は氏の追うような弊害は殆どない。
日本にとってはホルムズ海峡封鎖が何よりも影響大なので
対イランで保険をかけたとも解釈可能であろう。

これらから分かるように氏の言説の特徴は自らが人脈や情報源を持つ
特定国を擁護するという一貫した分かり易い姿勢にある。
いつも陰に陽にロシアやイスラエルを庇う言説ばかりなのがその証左だ。

    ◇     ◇     ◇     ◇

エコノミスト合併号の宗教特集は可もなく不可もない、といった印象。
この種の特集の制約要因として新しい情報を入れ難いのだろう。
イスラム市場の大きさは以前から言われてきたが
日本企業の浸透は相も変わらず漸進的である。。


中国IT企業のアセアン進出を取り上げたエコノミストリポートの方が良い。
アセアンは元々権威主義の国が多く中国IT企業の技術導入にも抵抗がない。
特に中華系の多いマレーシア・シンガポールは米国より中国への好感度が高く
(リテラシー低い日本人の間でマレーシア移住が人気化しているが愚かしい話だ)
カンボジア・ラオス・ミャンマーは中国との関係強化に積極的ですらある。
中国企業のITサービスを通じて日本企業から機密が漏れる恐れもあり警戒すべきだ。

日本企業にとっては中国と対立関係にあるベトナム、フィリピンが重要で
是々非々で日米中と対するインドネシア、タイが焦点となろう。
IT分野では技術と市場支配力の米国勢や低価格の中国勢に対して
日本企業の存在感が薄いというのも嘆かわしいことで
その意味でもNTTのIWONに嫌が応にも期待せざるを得ない。。

『週刊エコノミスト』2025年7月1・8日合併号


市岡繁男氏の連載は、太陽の黒点活動と政治経済の変動との関係について。
黒点活動は11年周期だそうで、市場で屢々話題になる周期のひとつと一致する。
氏によれば黒点ピークとボトムを見ると第一次世界大戦と第二次世界大戦は
丁度逆の関係にあるようで、黒点活動がピークに達した現在どちらかが問題だ。
直近のボトムは2020年秋だからウクライナ侵攻に一致するのではないか。
黒点ピークは今年の内だから個人的には(氏とは逆に)第一次世界大戦型と見る。
つまり原油価格下落でロシアが停戦を呑まざるを得なくなるか、
(ロシアのエネルギー業界は既に赤字に転落している)
遂にプーチンに寿命が訪れて継戦理由が失われるか、と予想している。

    ◇     ◇     ◇     ◇

次週は東洋経済に注目、エコノミストの春の特集と全く同一なので新情報を期待したい。

▽ 日本としては暗号通貨はETFが急務と思う、税務の問題もこれで解決できる

『週刊東洋経済』2025年7/5号 (今こそ知りたい「金」「暗号資産」)


▽ 次回はダイヤモンド合併号も取り上げる予定、実用性としてはこちらの方が優れている

『DiamondWEEKLY』2025年6/28・7/5合併号 ( マンション 最強の売買) 週刊ダイヤモンド

池上氏の連載も見ておきたい。
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『週刊東洋経済』6月14日号 - 幼児教育は暴力を抑制するが、進学率には好影響なし

2025-06-12 | 『週刊 東洋経済』より
東洋経済はいつもの四季報特集、可もなく不可もない印象。
先週書いたように「年頭の楽観姿勢をやっと引っ込めた」点は当然として
清原氏が裁定残高に着目するよう指摘しているのは重要だが
他はいま一つという感じだ。各種ランキングも参考程度のもの。

7974がやけに持ち上げられているが、この号が出た途端に(?)
軟調になっているのも皮肉なことだ。
(元々、動きが分かりにくい銘柄なのだと思う)


エントリーのサブタイトルは78頁の寄稿より。
「少年犯罪を減少させた戦後日本の幼児教育普及」
と題した興味深い研究である。1960年代後半の
幼稚園通園率の急上昇を利用して少年犯罪との相関を調べている。
四歳児の通園率が約2割から4割に上昇した結果、
少年の暴力犯罪の検挙率が約34%も減少し
10代少女の妊娠率が約17%も減少したとか。
但し、非暴力犯罪の抑制や高校・大学への進学率は改善しなかった。

このような緻密な実証分析は、少子化対策でこそ行って欲しいもので
日本は自治体ごとの出生率が大きく異なっており
その中には明らかに政策効果と推定されるケースが少なくない。
手厚い支援策に誘引されて転入した世帯を除外して
政策効果を計量分析することは可能な筈だと思う。

巻頭9頁で小峰隆夫氏が日本におけるマクロ経済学の「後退」を
嘆いているが、上記のような公益性の高いテーマでの研究が少なく
リフレ派のような醜い野心家が自民党に取り入ってしまう現状を放置する
日本の経済研究のあり方にも問題があろう。

『週刊東洋経済』2025年6/14号 (株の道場 激動相場に勝つ株)


佐藤優氏の連載はどうやらまだ「資本主義がロシアに馴染まない」
説の続きらしい。論拠がかなり恣意的に思えるが。。
プラハの春のくだりは時代の証言として重要だが
氏による持論の刷り込みには警戒しておく必要がありそうだ。


ところで氏はAERAでは故安倍元首相夫人が訪ロした件について
また奇妙なことを綴っている。夫人への待遇がロシアから
平和条約交渉再開があり得るというサインなのだとか。
やれやれで、安倍政権時にも氏は何度も北方領土交渉で
希望的観測を繰り返していたが悉く外れているではないか。
はっきり言っておくが、氏の言葉は真に受けるべきでない。
これまでの「実績」で言えば信じる理由がないからである。

もし、プーチンが突然亡くなりロシアが大混乱に陥って
日本の経済支援をどうしても必要な状況になるなら別だが
日ロ関係が好転することも北方領土返還も当面は考えられない。
ロシアはかつてソ連時代に対日参戦した際、大昔の
日露戦争の件を持ち出してその報復であるように称した事実がある。
氏は、そうした厳然たる歴史的事実から謙虚に学ぶべきであろう。

    ◇     ◇     ◇     ◇

ダイヤモンドの半導体特集はまだまだかな。。
結局、米国SOX指数をずうっと観察していた方が
市況判断においては有益かもしれない。

期待していた和製生成AIもまだまだというところだ。。

『DiamondWEEKLY』2025年6/14号 (絶頂か崩壊か半導体AIバブル) 週刊ダイヤモンド


池上氏の連載は悪くない。
ウクライナ侵攻の余波で欧州選挙での躍進が続く
ドイツのAfDについて極右と言うより「右派ポピュリズム政党」で
「脱悪魔化」で支持を高めたことも指摘されている。
欲を言えば、ウクライナ侵攻は遠からず停戦へと進むので
ウクライナ停戦でインフレ沈静化、ウクライナ非難民が帰郷して
ドイツ経済が復興需要と「平和の配当」で急回復するシナリオの想定があれば。。

    ◇     ◇     ◇     ◇

次週は東洋経済に注目、「コンサルに頼らず人が増えた3つの町」は見ておきたい。

▽ 編集部へ内部告発が続々寄せられているようだ。。

『週刊東洋経済』2025年6/21号 (喰われる自治体 ー告発ー)


▽ ダイヤモンドは公認会計士特集、「馴れ合い危惧」ランキングも

『DiamondWEEKLY』 2025年6/21号 (公認会計士ランキング) 週刊ダイヤモンド


▽ エコノミストは珍しい防衛産業特集、昨今の国際情勢ですっかり市場での眼目になっている。。

『週刊エコノミスト』2025年6/24号

他誌に先駆けた「令和の米騒動」レポートに期待したい。
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『週刊東洋経済』5月31日号 - 高校無償化は私学を潤すだけ、教育の質は改善しない逆進的な愚策

2025-05-29 | 『週刊 東洋経済』より
今週の東洋経済特集は小ネタ特集は、表紙で分かるように
楽々就職で弛緩した若年層に撹乱させられる職場の悲哀を窺わせる。

リーマンショックの頃には日本の企業人の中には
韓国人の方がやる気があるなどと思い上がった勘違い発言を
ほざく輩が少なからずいたことを思い出す。
(当時は韓国の一人当たりGDPは日本よりかなり低かった)
そういう意味では自業自得の側面もあろうが。。
アベノミクス以降、低迷を続けている日本の全要素生産性は
人材の質の劣化により延々と低空飛行が続くと確信させられる特集内容だった。


エントリーのサブタイトルは9頁、オックスフォードの名誉教授となられた
苅谷剛彦氏の寄稿より。著書は何冊も拝読したが今回も流石の内容である。

いわゆる所得制限なしの高校無償化の内容をみると酷いもので
教育に名を借りた人気取りのバラ撒き以外の何ものでもない。
しかも私学に子を通わせる豊かな世帯にも45万7000円の補助、
公立との差額は33万8200円にも及んでおり世紀の愚策である。
これだけの逆進性を社会で受け入れる理由はどこにあるのか
と苅谷氏は厳しく批判しているが当然であろう。

先行して高校無償化を導入した大阪で出生率が改善する兆しは全くない。
地位低下が指摘されて久しい大阪経済が再浮上する兆しも全くない。
いま年金制度問題で言われる「毒饅頭」は。寧ろこの
空虚で政策効果の著しく乏しい高校無償化にこそ相応しい名称だ。

『週刊東洋経済』2025年5/31号 (最強上司の会話力)


佐藤優氏の連載は旧ソ連のクーデターの話の続き。
どうも氏は鈴木宗男事件の際の自分の運命と重ね合わせたいようで、
次回からそうした弁明が始まると思われる。

今週のAERAでは、ウクライナが降伏に近い停戦を強いられるという
大胆だが精確さにはかなり乏しい氏の見通しと現実が乖離してきて
苦しい言い訳を強いられている。
大外れだった「北朝鮮はロシアに兵器を送らない」説の同様に
また黒歴史を重ねる窮地へと自らを追い込みつつあるようだ。。

    ◇     ◇     ◇     ◇

ダイヤモンドはほぼ確実に売れる中高一貫特集、
分厚い私学の広告宣伝とセットで商売上手な編集部である。
そうすると私学に厳しいことは書き難くなるのではと他所ながら心配だ。

57頁の詳細なデータから私立小学校と私立中学は明らかに階層的な存在である。
(高校は意外にも公立と私立の階層性の差はかなり小さい)
苅谷氏が逆進性を批判するのも道理であろう。

『DiamondWEEKLY』2025年5/31・6/7合併号 (わが子に最強の中高一貫校&塾)


今週号で最も宜しくないのは佐藤優氏の連載。
広島にロシアが招待されなかった件で外務省の圧力があったという
朝日新聞の調査報道を称賛し外務省を批判するという小粒の話だが
鬼の首を取ったような書きぶりである。
ロシア寄りの姿勢が露骨な氏にとって好都合な朝日報道を称賛しても
何ら国益にも公益にも資することはないと思われるのだが。

個人的には、広島市民も長崎市民も憤激していたプーチンの核の脅しに対して
一度は強い牽制のメッセージを送るのが筋であろうと思うが。
氏はプーチンの核の脅しに対しては何も言えないし言わないのであろう。

    ◇     ◇     ◇     ◇

次週はエコノミストに注目、「一枚岩ではない在日中国人」とはいえ安全保障面でも重大な問題である。

▽ 珍しいところでは、半導体商社の特集もある

『週刊エコノミスト』2025年6月10・17日合併号


▽ 東洋経済は老化した日本経済の象徴のような特集

『週刊東洋経済』2025年6/7号 (定年後の人生戦略)

サブの「揺れる洋上風力」の方が重要だが、余り良い話ではなさそう。
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