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米連邦裁判官への道を蹴ってシカゴの貧民街へ戻った男 - 活動家だったバラク・オバマ大統領

2008-11-12 | いとすぎから見るこの社会-全般
凄い男が登場した。
アメリカはこれだから侮れないのだ。

多くの人が口を極めて賞賛するこの人物は、
一体どのようなバックグラウンドを持ち
どのような精神の持ち主なのか。

長らく不思議に思っていたが、
報道を見ていて初めて理解できた。
この大統領であれば、アメリカを変えることができるだろう。
また、そう人々に確信させ得る傑出した人物である。

偉大なリーダーには、国を変えるだけの力がある。

私はこの今の瞬間に、日本が人類史において
プレゼンスを薄れさせ、後退したのを感じた。

我々はどうするのか。これほど偉大な人材を
日本は生み出すことができるのだろうか。
それだけの力を残しているのだろうか。

オバマ 勝利の真実(2)シカゴ オバマを鍛えた貧民街(日本経済新聞)
http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/nbonline.cfm?i=2008110700718cs

”11月4日夜、シカゴの中心にあるグラントパークには、約10万人の支持者
 が集まっていた。CNNのニュースがスクリーンに流れる。そして、午後10
 時、カリフォルニア州やワシントン州の開票時間に、「オバマが大統領に
 当選」というテロップが流れた。
 その瞬間、大観衆が拳を突き上げ、地響きのような歓声がわき起こった。
 抱き合う若者たち、輪になって踊り出す黒人、そしてテレビの女性リポー
 ターが涙を流した。
 「歴史が変わった」「偉大な大統領が誕生した瞬間だ」
 興奮が収まらない聴衆は、主役の登場を待った。
 午後11時、ついに、壇上にバラク・オバマが姿を現した。再び、歓声が耳
 を劈く。
 「Hello Chicago」
 オバマの第一声は、地元への感謝の言葉だった。
 「この勝利は、間違いなくあなた方が勝ち取ったものだ。そのことを、私
 は決して忘れないだろう」
 そして、大統領としての姿勢を、こう語った。
 「政府がすべての問題を解決できるはずもない。だから、私はあなたの声
 に真摯に耳を傾けるだろう。特に、私に反対している人の声に」
 大衆の声から、政治を考える――。
 究極のボトムアップ型の政治を宣言した。それは、新しい世紀の大統領像
 だった。
 演説が終わったシカゴの街は、お祭り騒ぎとなった。あちこちで歓声とオ
 バマコールがわき上がる。集会に参加できなかった人がビルの窓から手を
 振ると、街頭の人々が拳をあげ、歓声で応える。”

 → 非常に質の高い日経BPの取材です。
   歴代大統領とは明らかに熱気が違います。

   実際には彼の手腕は内政でも外交でも未知数。
   それでも何か偉業を成し遂げてしまいそうな
   強烈な存在感があります。

”それは、シカゴのサウスサイドで、貧困を救うために20年以上を費やして
 きたオバマにとってのサクセスストーリーでもあった。彼がサウスサイド
 で地域活動家(オーガナイザー)になった時、ハドソンは4歳だった。そ
 の後、オバマは貧民街の子供の未来のために、教育を受ける環境作りに打
 ち込むなど、地域住民の生活向上に力を注いできた。
 今年の民主党大会は、サウスサイドから生まれたこの2人の国民的スター
 にとって、飛躍の舞台でもあった。
 ところが、ハドソンは一瞬にして悲劇のどん底に突き落とされた。
 米国社会の現実――。
 シカゴの街でこの話題を出すと、意外なほど冷めた声が返ってくる。
 「サウスサイドでは日常茶飯の事件さ。芸能人の家だから話題になったけ
 ど、隣の家だったら、誰も取り上げなかっただろうね。毎日、銃で誰かが
 死んでいる所だから」
 ホテルマンのエリックは、そう言って肩をすくめた。
 オバマは、あえて、米国が抱える社会問題と隣り合わせに生きようとして
 いるのではないだろうか。
 「プライベートジェットは快適だが、人々の生活感覚を失いそうになる
 と感じるという。そして、「人々の暮らしの中にこそ、真実がある」と語
 っている。
 23年前、オバマがシカゴに来た時もそうだった。アイビーリーグの一角、
 名門コロンビア大学を卒業し、ニューヨークのコンサルティング会社で高
 給を取っていた生活を捨てて、サウスサイドにやってきた。そして、住民
 が抱える社会問題を解決するために、年俸1万ドルで地域活動家になった。”

 → これは、政治的野心や功名心ではありません。
   すべてアメリカ社会に捧げた精神。
   この人物がアメリカ国民を熱狂させるのも当然でしょう。

   日本とは比較にならない超格差社会アメリカ。
   その過酷な試練の中から飛翔する人材もまた、
   日本とは比較にならないアメリカ。

”ハーバード・ロー・レビュー編集長という要職を務めたオバマには、卒業
 時に数々の輝かしい道が用意された。その1つには、連邦控訴裁判所裁判
 長の補佐官があった。学者としての将来を考えれば、誰もが飛びつくはず
 のポストだった。
 だが、その要請を断って、オバマはシカゴに戻る。そして、弁護士事務所
 に勤める傍らで、シカゴ大学の教壇に立つ。
 「彼には明確なビジョンがあった。シカゴに戻って行政に関わりたいと言
 っていた」
 シカゴ大学教授のジェフリー・ストーンは、ロースクール学長として採用
 面接を担当して、その知性に惚れ込んだという。
 だが、シカゴに戻ったオバマが目にしたのは、地域活動では手に負えない
 ところまで悪化した地域社会の実情だった。
 公営住宅団地オールトゲルドの惨状に、ジョンソンはため息をついた。
 「オバマが去ってから、どうなったと思う? 荒廃する一方よ。今では、
 2000戸のうち、623戸しか入居してない。ついに、この地区の失業率は87
 %になったわ」
 90年代、マクロ経済で見れば、米国は不況から脱して成長軌道に乗ってい
 る。だが、多くの貧困地区は状況が好転することはなかった。富の集中度
 を示すジニ係数は上がり続け、先進国で最も格差が激しい社会になってい
 る。それでも、高所得者への優遇税制を続けるべきなのか。一部の富裕層
 の所得が増え続ける状況に、多くの米国民が疑念を抱く。
 オバマの「ブッシュ減税廃止」や「中間層減税」「国民皆保険」などは、
 シカゴで遭遇した庶民生活の視点から生み出されている。だから、予備選
 がスタートしてから1年弱の間、大きな政策のブレがない。”

「オバマのアメリカ」はどのような経済になるのでしょうか。
欧州型の社会民主主義にシフトすることは間違いありません。

その場合、アメリカ経済の成長率はどうなるのか。
世界経済にどのような影響があるのか。
実効的な成長政策は行われるのか。

『暴走する資本主義』のロバート・ライシュ氏が
オバマ次期大統領のブレーンに加わっていると伝えられています。




『暴走する資本主義』(ロバート・ライシュ,東洋経済新報社)

また、アメリカの変化は強烈な影響を日本に与えます。
(最近の「富裕層バブル」がその一例)
遠からずその新たな姿が見えてくるに違いありません。
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