今週の『週刊エコノミスト』の認知症特集は今一歩だったと思う。
まだ認知症研究は顕著な成果を出すところ迄には至っていないので、
認知症の与える経済的打撃と、治療による経済効果も出した方が良かったのでは?
サブ特集の「ブラック保育園」の方が有益だった。
「有益」と言うのは内容が素晴らしいとの意味ではなく、
待機児童問題の深刻化において識者とメディアの責任が大きいという点だ。
そもそも日本のような国民負担の低い国で、
都心部において園庭のある保育所に安い保育料を求めるなど「利権」に等しい。
待機児童問題がほぼ生じないフランスや北欧では間接税は日本の2倍はあり、
パリのような都会では保育ママ活用の方が保育所利用より多い。
差別的な配偶者控除や第三号被保険者など存在しない。
そうした厳然たる事実を記さない識者や記者は、事実上国民を欺くものではないか。
小林記者は前々からそうだが、正義漢が強い余りに全体が見えなくなる通弊がある。
そもそも対GDP比で日本人の税・社会保険料負担は低く、育児関連予算も少ない。
だから、保育士を増員し給与を上げるには国民負担の増加が避けられない。
人件費割合も重要だが、それだけに矮小化するから重要な問題が見えなくなる。
例えば社福幹部(家業のようになっているところがかなり多い)の報酬と非正規労働者の格差、
公務員正規労働者と非正規労働者の格差も許し難いものだが、
この記事では矢張り無視されている。
人件費率を弾力運用しなければ参入が増えない、しかも高コストの保育所で
待機児童を解決しようとすること自体が諸悪の根源で、
機動的に運用できる保育ママやシッターによる現物給付でなけば
待機児童を大幅に減らせる訳がない。(行政は質の確保に注力すれば予算も効率化できる)
また、日本総研の池本研究員は、日本の認可保育所より倍以上は料金が高額な
ニュージーランドの事例を挙げており、「コストをかけなければ質が上がらない」
という当然の事実に触れてすらいない。
キッズラインの経沢社長は、東京区内では子供1人に公費だけで
年間100万から250万はかかる現状を明らかにしており、
編集部はこうした経済的側面を理解している者に原稿を頼んだ方が良いと思う。
◇ ◇ ◇ ◇
『週刊東洋経済』の働き方改革特集は悪くない。
ただ、安倍首相の自称「歴史的改革」は実際には口程にもなく、
「効果が乏しい」という点には触れて欲しかった。
ドイツと比較すれば「話にもならないレヴェル」である。
(実際、日本は成長率でも生産性でも賃金上昇率でも負けている)
熊谷徹氏に取材し記事を頼めばすぐ分かる話だ。
ダイソン特集は面白い。日本企業に欠けている部分がよく分かる。
(但し、市場規模としては大きくないのでかつての栄光は戻らないだろうが)
◇ ◇ ◇ ◇
『週刊ダイヤモンド』の不眠特集も悪くない。
精神疾患や高血圧等にも関係するのだから、
これから厚労省の対策に期待したい。マーケットも広がりそうだ。
(不眠だけでなくメタボも死亡率を高めるとのデータもあり!)
野口悠紀雄氏のコラムは久々に良かった。
国民所得に占める配当が0.7%増えて賃金が2.8%下がったのだから、
景気も消費も回復する訳がない。円切り下げで企業だけが儲かっただけの話だ。
これで「景気回復」などと法螺を吹くのは愚かな安倍政権かドグマに浸潤されたリフレ派ぐらいである。
◇ ◇ ◇ ◇
次週は東洋経済に注目、「すべてが劣化する日本で『AIで一発逆転』は幻想」には全く同感だ。
▽ 一瞬「亜人」かと思った表紙のデザインは良いが、内容は別の話である
▽ ダイヤモンドは、依然としてインディテックスに遠く及ばないユニクロ特集(経営的にもニトリより面白くない)
▽ エコノミストは見て見ないと何とも言えない雑誌だが。。
民放と土地だけだとちょっと苦しいのでは?(除染問題の闇とか他にトピックあるような……)
まだ認知症研究は顕著な成果を出すところ迄には至っていないので、
認知症の与える経済的打撃と、治療による経済効果も出した方が良かったのでは?
サブ特集の「ブラック保育園」の方が有益だった。
「有益」と言うのは内容が素晴らしいとの意味ではなく、
待機児童問題の深刻化において識者とメディアの責任が大きいという点だ。
そもそも日本のような国民負担の低い国で、
都心部において園庭のある保育所に安い保育料を求めるなど「利権」に等しい。
待機児童問題がほぼ生じないフランスや北欧では間接税は日本の2倍はあり、
パリのような都会では保育ママ活用の方が保育所利用より多い。
差別的な配偶者控除や第三号被保険者など存在しない。
そうした厳然たる事実を記さない識者や記者は、事実上国民を欺くものではないか。
『週刊エコノミスト』2017年07月04日号 | |
小林記者は前々からそうだが、正義漢が強い余りに全体が見えなくなる通弊がある。
そもそも対GDP比で日本人の税・社会保険料負担は低く、育児関連予算も少ない。
だから、保育士を増員し給与を上げるには国民負担の増加が避けられない。
人件費割合も重要だが、それだけに矮小化するから重要な問題が見えなくなる。
例えば社福幹部(家業のようになっているところがかなり多い)の報酬と非正規労働者の格差、
公務員正規労働者と非正規労働者の格差も許し難いものだが、
この記事では矢張り無視されている。
人件費率を弾力運用しなければ参入が増えない、しかも高コストの保育所で
待機児童を解決しようとすること自体が諸悪の根源で、
機動的に運用できる保育ママやシッターによる現物給付でなけば
待機児童を大幅に減らせる訳がない。(行政は質の確保に注力すれば予算も効率化できる)
また、日本総研の池本研究員は、日本の認可保育所より倍以上は料金が高額な
ニュージーランドの事例を挙げており、「コストをかけなければ質が上がらない」
という当然の事実に触れてすらいない。
キッズラインの経沢社長は、東京区内では子供1人に公費だけで
年間100万から250万はかかる現状を明らかにしており、
編集部はこうした経済的側面を理解している者に原稿を頼んだ方が良いと思う。
◇ ◇ ◇ ◇
『週刊東洋経済』の働き方改革特集は悪くない。
ただ、安倍首相の自称「歴史的改革」は実際には口程にもなく、
「効果が乏しい」という点には触れて欲しかった。
ドイツと比較すれば「話にもならないレヴェル」である。
(実際、日本は成長率でも生産性でも賃金上昇率でも負けている)
熊谷徹氏に取材し記事を頼めばすぐ分かる話だ。
『週刊東洋経済』2017年7/1号 (残業禁止時代 働き方改革のオモテと裏) | |
ダイソン特集は面白い。日本企業に欠けている部分がよく分かる。
(但し、市場規模としては大きくないのでかつての栄光は戻らないだろうが)
◇ ◇ ◇ ◇
『週刊ダイヤモンド』の不眠特集も悪くない。
精神疾患や高血圧等にも関係するのだから、
これから厚労省の対策に期待したい。マーケットも広がりそうだ。
(不眠だけでなくメタボも死亡率を高めるとのデータもあり!)
『週刊ダイヤモンド』2017年 7/1号 (快眠で差がつく・不眠で死なない 攻める睡眠 守る睡眠) | |
野口悠紀雄氏のコラムは久々に良かった。
国民所得に占める配当が0.7%増えて賃金が2.8%下がったのだから、
景気も消費も回復する訳がない。円切り下げで企業だけが儲かっただけの話だ。
これで「景気回復」などと法螺を吹くのは愚かな安倍政権かドグマに浸潤されたリフレ派ぐらいである。
◇ ◇ ◇ ◇
次週は東洋経済に注目、「すべてが劣化する日本で『AIで一発逆転』は幻想」には全く同感だ。
▽ 一瞬「亜人」かと思った表紙のデザインは良いが、内容は別の話である
『週刊東洋経済』2017年7/8号 (ビジネスのための使えるAI) | |
▽ ダイヤモンドは、依然としてインディテックスに遠く及ばないユニクロ特集(経営的にもニトリより面白くない)
『週刊ダイヤモンド』2017年 7/8号 (ユニクロ柳井正/藤井聡太四段×井山裕太六冠スペシャル対談) | |
▽ エコノミストは見て見ないと何とも言えない雑誌だが。。
『週刊エコノミスト』2017年07月11日号 | |
民放と土地だけだとちょっと苦しいのでは?(除染問題の闇とか他にトピックあるような……)