年末なので今年のベスト10冊を選びました。
年末年始の空いた時間にお薦めです。
経済誌のランキングとかなり違いますが
それなりの理由があります。
第1位 『2020年、日本が破綻する日』
「日本経済とともに轟沈しかねない運命を帯びた、
若い世代の気鋭の研究者による勇敢な問題提起」
として一度紹介しました。その際のメモを見直すと、
いかにこの本の内容が重大であるか再確認できました。
○2020年頃には政府債務が家計金融資産を食い潰す
○金利の急上昇リスクが年々高まっている
○25年後の財政破綻確率を試算すると46~71%に達する
(プライマリーバランスによって確率は変動する)
○日本の財政は、負担より受益の方が大きくそのツケを先送りしている
○社会保障予算の不足分を国債発行で埋め合わせている
○経済成長の効果は金利上昇によって相殺される可能性がある
○世代会計の不均衡は成長率を抑制している可能性がある
欠点は、経済政策の研究が甘いところ、
特に北欧経済や女性雇用増による経済効果が書かれていない。
また、韓国のようにIMF管理下になった場合のシミュレーションを行い
その結果を公表して欲しい。
第2位 『社会保障の「不都合な真実」』
日本の社会保障は既得権と一体化しており、
利権の塊であることを指摘した勇敢な一冊。
社会保障分野での規制緩和による雇用増効果を初めて指摘した功績は大きい。
第3位 『デフレの正体 経済は「人口の波」で動く』
タイトルは「長期停滞の真実」の方が正しいでしょう。
日本経済を衰弱させる生産年齢人口減少を正しく認識しています。
むきになって反論する論者の必死さがこの本の価値を証明している。
池田信夫教授に至っては自分が大して言及してもいないのに
「それは当たり前の話だ」と開き直っている。
大人げない行為の裏に感情的動機があるのだろう。
……ただこの本の処方箋は弱過ぎ。
退職金に課税優遇の縮小、年金控除廃止、
高額年金課税の方が遥かに有効です。
また、女性労働者を増やすには配偶者控除の削減、
年金の第3号被保険者優遇の廃止、
福祉分野への雇用改善策(給付付き税額控除等)、
効率的な待機児童問題改善策が欠かせません。
第4位 『失われた「医療先進国」』
必読です。本当に質が高いです。
著者が海外の事例を取り上げると医師の方々から抗議を受け、
それでその人々の論文を見てみると「海外では予算が増えた」等の
都合の良い部分ばかり取り上げているそうです。
(矢張りそうだったか)
欧州の医療政策は実は統制が厳しく、
開業ラッシュの日本よりも医師は不自由なようです。
第5位 『スウェーデンはなぜ強いのか』
北欧の政策的合理性から学べるバランスの良い本です。
第6位 『スウェーデン・パラドックス』
「年功賃金も退職金もない、日本よりシビアな競争的社会」です。
スウェーデンの現状を多面的に分析しています。
また、OECDの賃金調査が掲載されており、
日本の労働者の手取りがいかに大きく、
弱者や低所得者との連帯に欠けているかが分かる。
第7位 『消費税25%で世界一幸せな国デンマークの暮らし』
何と出生率を0.4も引き上げたデンマーク。
矢張り予算の大きさがかなり違うようです。
第8位 『日本経済「余命3年」』
それぞれのコメントが興味深い。
でも処方箋はかなり貧弱です。
法人税を下げるなら海外企業を優遇して
対内投資を増やした方がいいに決まっている。
どうしてその程度のことが分からないのでしょうか。
第9位 『ユーロ 危機の中の統一通貨』
ユーロは崩壊しません。
ドイツの優位が瓦解するからです。
巷のユーロ崩壊論と一線を画する本格派の一冊。
第10位 『外交官が見た「中国人の対日観」』
今の日中関係の断面を鋭く捉えています。
安全保障分野は貧弱ですが、立場上仕方ないでしょう。
年末年始の空いた時間にお薦めです。
経済誌のランキングとかなり違いますが
それなりの理由があります。
第1位 『2020年、日本が破綻する日』
「日本経済とともに轟沈しかねない運命を帯びた、
若い世代の気鋭の研究者による勇敢な問題提起」
として一度紹介しました。その際のメモを見直すと、
いかにこの本の内容が重大であるか再確認できました。
○2020年頃には政府債務が家計金融資産を食い潰す
○金利の急上昇リスクが年々高まっている
○25年後の財政破綻確率を試算すると46~71%に達する
(プライマリーバランスによって確率は変動する)
○日本の財政は、負担より受益の方が大きくそのツケを先送りしている
○社会保障予算の不足分を国債発行で埋め合わせている
○経済成長の効果は金利上昇によって相殺される可能性がある
○世代会計の不均衡は成長率を抑制している可能性がある
欠点は、経済政策の研究が甘いところ、
特に北欧経済や女性雇用増による経済効果が書かれていない。
また、韓国のようにIMF管理下になった場合のシミュレーションを行い
その結果を公表して欲しい。
第2位 『社会保障の「不都合な真実」』
日本の社会保障は既得権と一体化しており、
利権の塊であることを指摘した勇敢な一冊。
社会保障分野での規制緩和による雇用増効果を初めて指摘した功績は大きい。
第3位 『デフレの正体 経済は「人口の波」で動く』
タイトルは「長期停滞の真実」の方が正しいでしょう。
日本経済を衰弱させる生産年齢人口減少を正しく認識しています。
むきになって反論する論者の必死さがこの本の価値を証明している。
池田信夫教授に至っては自分が大して言及してもいないのに
「それは当たり前の話だ」と開き直っている。
大人げない行為の裏に感情的動機があるのだろう。
……ただこの本の処方箋は弱過ぎ。
退職金に課税優遇の縮小、年金控除廃止、
高額年金課税の方が遥かに有効です。
また、女性労働者を増やすには配偶者控除の削減、
年金の第3号被保険者優遇の廃止、
福祉分野への雇用改善策(給付付き税額控除等)、
効率的な待機児童問題改善策が欠かせません。
第4位 『失われた「医療先進国」』
必読です。本当に質が高いです。
著者が海外の事例を取り上げると医師の方々から抗議を受け、
それでその人々の論文を見てみると「海外では予算が増えた」等の
都合の良い部分ばかり取り上げているそうです。
(矢張りそうだったか)
欧州の医療政策は実は統制が厳しく、
開業ラッシュの日本よりも医師は不自由なようです。
第5位 『スウェーデンはなぜ強いのか』
北欧の政策的合理性から学べるバランスの良い本です。
第6位 『スウェーデン・パラドックス』
「年功賃金も退職金もない、日本よりシビアな競争的社会」です。
スウェーデンの現状を多面的に分析しています。
また、OECDの賃金調査が掲載されており、
日本の労働者の手取りがいかに大きく、
弱者や低所得者との連帯に欠けているかが分かる。
第7位 『消費税25%で世界一幸せな国デンマークの暮らし』
何と出生率を0.4も引き上げたデンマーク。
矢張り予算の大きさがかなり違うようです。
第8位 『日本経済「余命3年」』
それぞれのコメントが興味深い。
でも処方箋はかなり貧弱です。
法人税を下げるなら海外企業を優遇して
対内投資を増やした方がいいに決まっている。
どうしてその程度のことが分からないのでしょうか。
第9位 『ユーロ 危機の中の統一通貨』
ユーロは崩壊しません。
ドイツの優位が瓦解するからです。
巷のユーロ崩壊論と一線を画する本格派の一冊。
第10位 『外交官が見た「中国人の対日観」』
今の日中関係の断面を鋭く捉えています。
安全保障分野は貧弱ですが、立場上仕方ないでしょう。