みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

GWに注目の新刊 -『原発に頼らない社会へ』『激変する核エネルギー環境』『日本林業はよみがえる』他

2011-04-30 | こんな本を読んでいます
黄金週間ですので、最近注目している新刊を紹介します。
まずは最近大活躍されている田中優氏の著書から。

この方の著作に目を通さずに原発関連記事を書いているメディアの方々は、
後で自分の無知を思い知らされ顔から火の出るような思いをする危険あり。
即刻入手して熟読されることをお薦めします。

『原発に頼らない社会へ こうすれば電力問題も温暖化も解決できる』(田中優,武田ランダムハウスジャパン)


 → どちらかと言えば左寄りの方ですが
   よくいる妄想サヨクとは一線を画している
   パワフルかつ理知的な活動家です。

▽ このような本も丁度タイミング良く出されています。

『幸せを届けるボランティア、不幸を招くボランティア(14歳の世渡り術)』



『激変する核エネルギー環境』(池田清彦,ベストセラーズ)


 → 著者には「ほんとうの環境問題」のような放言めいた著作もあったので
   最初はどうかと思っていましたが、内容はかなりまともです。

『日本林業はよみがえる―森林再生のビジネスモデルを描く』(梶山恵司,日本経済新聞出版社)


 → これは凄いです。地に足の着いた素晴らしい研究です。
   東北の復興には欧州先進国に学んだ
   高収益でエコロジカルな林業が欠かせないと思います。



▽ あとこちらは現在上映中の映画。GWでは一推しでしょう。

『英国王のスピーチ』トム・フーバー監督


ヨーク公の妻が初めて訪問した際、言語聴覚士が
「転職できないのですか?」「誰かの奴隷なのですか?」
と質問していたのが面白かった。
いかにイングリッシュジョークらしい。


GW中には、この映画の他はちょっと不作です。
他にはこちら位しかないかも。

  ↓    ↓

『ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男』ラッセ・ハルストレム監督
http://movie.walkerplus.com/mv47820/

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太陽電池の変換効率75%に、構造解析で発見 - 荒川泰彦・東大教授とシャープの共同研究

2011-04-28 | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える
今だに太陽電池について「山手線内にパネルを敷き詰めても原発1基分」と
意図的に軽んじる見方がありますが、これは誤りです。

この手の試算は前提が変われば全く違う結論が出るもので、信頼に足りません。
寧ろ見るべきは恣意的な結論に誘導しようとする政治的思惑です。
このプロパガンダの出所は経済産業省と電力会社であり、
既得権を死守したい原子力推進勢力の代弁に過ぎません。

例えば池田信夫教授などプロパガンダの出所も明示せずに
この論を援用する論者がいるので騙されてはなりません。

その手の人々には、原発の無駄な発電・送電ロスや
注ぎ込まれる税金を無視するという欺瞞的なダブルスタンダードがある。
どうして原発関連の交付金がよくて太陽パネルの補助金が悪いのか
彼らは筋道立てて説明することは一切ない。


第1に、太陽電池の最大の長所は夏の電力ピークに対応できる点である。
(冬はガスコージェネや燃料電池を重視した方が効率的)
ピークロード・プライシングや買取制度と併用することで
太陽電池の採算性は向上し、過剰な発電所投資を削減できる。

第2に、太陽電池の技術革新が急激な勢いで進んでおり、
価格低下も変換効率の向上も日進月歩で新しい報道が出ている。

高速増殖炉もプルサーマルも一向に進まない
「ウソつき原子力政策」よりも遥かに期待できる。
トリウム原発は現状で唯一期待できる分野かもしれないが、
原子力はロードマップ通りに進む分野ではないので過剰な期待は不可だ。


▽ 急速に成長する再生可能エネルギー部門

『低炭素経済への道』(岩波書店)


▽ 夏はピークに対応できない原子力より太陽電池が効率的

『低炭素社会』(小宮山宏,幻冬舎)



太陽光発電、10年でコスト激減 米長官「火力並みに」(共同通信)
http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011033101000199.html

”【ワシントン共同】チュー米エネルギー長官は30日、20年末までに太陽光や
 風力によって一定の電力を得るための発電コストは、現在の半分に下がるなど火
 力発電と同等かそれ以下になる
との認識を示した。オバマ大統領が米国の新しい
 エネルギー安全保障政策について演説した後の記者会見で質問に答えた。太陽光
 や風力発電は火力や原子力発電に比べて発電コストが高く普及の妨げになってい
 る。”

 → 風力発電は大きなイノベーションが生まれ難くなっているので、
   (あとは洋上浮体風力発電と蓄電池改良くらいか)
   太陽光発電・太陽熱発電でのイノベーションを見込んでいるのだろう。
   厄介な原子力よりイノベーションが早いのは間違いない。


太陽電池の変換効率75%に 東大とシャープが構造解明(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819595E0E1E2E2888DE0E6E2E6E0E2E3E386989FE2E2E2

”東京大学の荒川泰彦教授らとシャープは、現在20%程度にとどまっている太陽電池
 の変換効率を、75%以上にできる構造をコンピューターによる解析で突き止めた

 化合物半導体でできた数ナノ(ナノは10億分の1)メートルサイズの「量子ドット」
 を敷き詰めた面を何層も重ねる。〔以下略〕”

量子太陽電池はまだ「夢の技術」であるが、
早くも期待できる報道が出つつある。

3倍の変換効率は、単純に計算すれば
同じ面積で3倍の発電が可能になるということだ。

勿論コスト面と生産技術において越えるべきハードルは多い。
しかし太陽光利用は資源に乏しい日本にとって絶対に必要なのである。
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電力会社や原子力ムラの体質は、東電以外も皆同じ -「決して非を認めようとしない専門家たちの無反省」

2011-04-27 | いとすぎの見るこの社会-コミュニティ関連
あるメディアは今回の原発事故に東電の人事上の特殊事情が
あるように書いているが、それは間違っていると思う。

電力会社や所謂「原子力ムラ」の体質はどこも変わらない。
原子力は電力会社にとって地域独占を守る格好の手段になっており、
(原発推進は電力自由化を阻止する格好の口実である)
これまで原子力の研究しかしておらず、原子力を否定されると
自らの存在意義が危うい原子力ムラの人々と完全に利害が一致する。

この事情は原発に関わっている全ての電力会社に共通する。

従って原子力ムラの行動原理は一般的な官僚機構と全く同じで、
「自分の仕事と組織、権限を拡大させようとする」
「公共性より自らの存在を正当化する政治活動を優先する」

という顕著な二つの特徴を持つようになる。
だからこそ原子力を専攻した人々の中から「離反」が生じるのである。

何度も書いているが、原子力はクリーンエネルギーなどではない。
「政治的に汚染されている」のである。


▽ 原子力推進勢力が「合理的な議論を許容しない」と書いてある。

『日本版グリーン革命で経済・雇用を立て直す』(飯田哲也/筒井信隆/田中優/吉田文和,洋泉社)


▽ 電力の「中央集権体制」は原子力と表裏一体

『天然ガスが日本を救う 知られざる資源の政治経済学』(石井彰,日経BP社)


▽ 風力発電(製造業への波及効果が高い)の普及を妨害する電気事業者

『エコ・ウオーズ 低炭素社会への挑戦』(朝日新聞特別取材班)



記者の目:「原子力ムラ」の閉鎖的体質=日野行介(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/opinion/eye/news/20110421k0000m070156000c.html

”東京電力福島第1原発の事故の取材応援で、東電や経済産業省原子力安全・保安院、
 内閣府原子力安全委員会の記者会見に何度も出席した。そこで強く疑問に感じたの
 は、「想定外の事態」や「未曽有の天災」という決まり文句を盾に、決して非を認
 めようとしない専門家たちの無反省ぶり
だ。これまで不都合な警告や批判を封じ込
 め、「安全」を自明のものとして押し付けてきた業界の独善的体質が今回の事故の
 背景にあると思える。
  ◇言葉は丁寧だが決して非認めず
 「大変なご心配をおかけして申し訳ありません」。東電の記者会見は必ずと言って
 いいほど謝罪の言葉が出る。だが、「多重防護」を誇ってきたはずの原発の安全性
 自体に疑問が及ぶと、会見する幹部の態度は途端に硬くなる。言葉は丁寧だが、非
 は決して認めず、自分たちの言い分だけを強調する。
都合の悪い質問には、記者を
 にらみつけながら木で鼻をくくったような対応をする幹部もいる。
 こうした会見の模様はテレビやインターネット動画でそのまま報道され、政府の対
 応への不信とも相まって、国民は「本当に大丈夫なのか」「うそをついているので
 はないか」と疑念を募らせている。
 私は02年から3年間、若狭湾に原発15基が林立する福井県敦賀市に勤務した。
 「原発銀座」と称される地域で、取材の最重要テーマが原発だった。
 取材で接した原子力の技術者・研究者たちの印象は決して芳しいものではない。
 都合の悪い問いにまともに答えず、批判的な意見に耳を貸さない尊大ぶりが印象に
 残った。

 高速増殖原型炉「もんじゅ」(敦賀市)の設置許可を無効とした名古屋高裁金沢支
 部判決(03年1月)の際には、電力会社や研究者が業界を挙げて判決を攻撃した。
 判決に関する討論会で、推進派の大学教授が専門用語を駆使して野党の国会議員を
 やり込めた後、会場の片隅で「素人のくせに」と仲間内で笑い合っているのを見た。

 ある地方テレビ局が数年前、原子力に批判的な研究者をドキュメンタリー番組で取
 り上げたところ、地元電力会社が「原子力を理解していない」と猛烈に抗議した
 番組はこの電力会社を直接批判する内容ではなかったが、テレビ局は広告主の抗議
 を無視できず、記者による定期的な原発見学を約束した。
 この件について取材した私に、電力会社の役員は「(原発が)いかに安全か理解し
 ていない。『反省しろ』ということだ」と言い放った。その傲慢な態度は、今回の
 事故を巡る会見で見た東電幹部と重なり合う。

  ◇官民にまたがる狭い人脈社会
 なぜ、こんな体質が醸成されるのだろうか。
 原子力の技術者だった飯田哲也・環境エネルギー政策研究所長は、業界の実態を
 「原子力村(ムラ)」と名付けた。大学や大学院で原子力を学んだ学生は、電力会
 社やメーカーに就職したり、国や立地自治体の技官になる。就職先は担当教官の意
 向で決まることが多い人脈社会で、彼らは官民に分かれても「ムラ」の一員として
 育っていく。
 原発関係の事故はメディアで大きく報じられる。市民団体などの批判にさらされる
 ことも多い。〝被害者意識〟から、彼らは批判を「素人の意見」だと一方的に決め
 つけ、独善的な専門家意識を強めていくのだろう。
 〔中略〕
 組織の名称にしても、米国は「原子力規制委員会(NRC)」なのに、日本の機関
 には「規制」ではなく「安全」が使われている。「原子力は安全」という宣伝を優
 先するあまり、規制や監視という視点が欠落していた
としか思えない。
 今回の事故を受け、保安院を経産省から分離する組織改革がようやく検討される見
 通しとなった。必要なことだとは思うが、組織いじりだけでは専門家たちの体質を
 変えていくことはできない

 これまで私たちは原子力の問題を「専門家の世界だから」と、直視することを避け、
 「ムラ」に委ねすぎてきた。だが今回の事故で、放射能への不安から電力不足問題
 に至るまで、原子力が一人一人の生活に密接にかかわることが明白になった。もう
 無関心は許されない。(大阪社会部)”

 → 私が知る限りで、最も実情を如実に伝える記事である。
   勇敢な記者に敬意を表したい。
   巨額広告費によって口封じされてきたメディアは反省すべきだ。

   確かに「組織いじりだけで専門家の体質を変えることはできない」。
   少なくとも戦前の傲慢な軍部のように、
   絶対的な敗北体験が必要だったのである。


福島原発で危険作業志願 高齢エンジニアたち「決死の覚悟」(j-cast)
http://www.j-cast.com/2011/04/25094120.html

”72歳になるエンジニアが、福島第一原子力発電所の暴発を阻止しようと立ち上が
 った。福島原発は高温状態の原子炉を冷やす作業が続いているが、一方で作業員
 の劣悪な生活環境が伝えられている。そうした中で、かつての「敏腕」エンジニ
 アたちが「自分たちがもっている技術を役立ててほしい」と訴えている。
 原則、現場での作業に耐えられる体力と経験のある60歳以上が対象。2011年4月6
 日から500通のメールと2000通の封書で呼びかけを開始したところ、エンジニア
 の「決死の覚悟」としてブログやツイッターで取り上げられ、約2週間で米国や
 フランス、ドイツ、そして原発事故から25年経ったチェルノブイリへも広がって
 いる。
 「未来のある若者に任せてはいけない」
 「福島原発暴発阻止行動隊」を呼びかけた山田恭暉(72)さんは、住友金属工業
 に技術者として30年勤め、製鉄や環境・廃棄物処理、プラント建設などを手がけ
 てきた。原発についても「新事業の研究で構造や問題点、安全性などを勉強して
 きた」経験をもつ。
 現在、原発の事故現場には下請けや孫請け企業を含め、知識や経験もない人が、
 ハローワークなどで集められては投入されている。東京電力の、そんな場当たり
 的な対応に危機感を募らせた。
 もし原発が暴発すれば、首都圏をも含めた広範な汚染が発生する可能性がある。
 それを防ぐには、ホースによる散水のような一時的な処置ではなく、10年間安定
 して作動する冷却設備を設置して、これを故障することなく保守、運転し続けな
 ければならない。しかも、この冷却設備の建設や保守、運転はすでに高度の放射
 線物質に「決死の覚悟」で行わざるを得ないのだ。
 暴発という最悪のシナリオを避けるため、どのような設備をつくることが必要か、
 放射線汚染を減らすためにどうしたらよいのか、「国家プロジェクトとして考え
 るべき」と山田さんはいう。
 その中で、実際の作業にあたる作業員について「被曝しないで作業にあたること
 が現実としてむずかしいことは明らかで、だからこそしっかりとした知識や経験
 のある技術者が作業すべき」と訴えた。
 〔中略〕
 山田恭暉さんは「現場の作業や技術の蓄積のある退役者たちが、次世代のために
 働くべきだ。こういうことは未来のある若者には任せてはいけない」
と話してい
 る。
 呼びかけには、2011年4月22日までに30人超が「行動隊」への参加を表明。また、
 「行動隊」の必要性を政府や国会に働きかける「応援団」(賛同者)も130人超
 が集まっている。”

この日本の特徴だと思うが、上層部や専門家が甘い見通しに縋って
非常時の機能不全を露呈している一方で、
最前線に出ている現場経験の長い人々の士気は高い。

的確な先見性と冷静果断な判断力を持ち、
最前線の人々を理解しまた信頼される指導層を育ててこなかった。
これは今浮かび上がっている我々の問題でもある。
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相次ぐ外国政府の見通し改善、焦点は震災「後」へ

2011-04-27 | 注目対象…譲渡益税分は寄付に廻して下さい
焦点は震災から「震災後」へと移りつつあります。
海外が日本へ向ける視線は「復興」を意識したものとなっています。


米、原発80キロ圏外への渡航延期勧告解除(朝日新聞)
http://www.asahi.com/international/update/0415/TKY201104150212.html

”米国務省は14日、福島第一原発の状況が改善したとして、同原発の半径80キロ
 圏の外側を対象としていた渡航延期勧告を解除し、在東京米大使館職員の家族らに
 対する国外への自主避難許可措置も解除した。半径80キロ圏内にいる米国人への
 避難勧告は継続する。
 同省は発表文で、原発の状況が、一連の勧告を出した段階と比べ「劇的に変わった」
 と形容。
「依然として深刻で、不測の事態もあり得る」としつつも、原子炉冷却作
 業が「成功している」と判断、電力や水の供給、非常用設備も「部分的、あるいは
 完全に復旧した」と位置づけた。
 原発の半径80キロ圏外の地域では「健康や安全面の危険性は低い」と指摘した。
 日米両政府間で、調整が「定期的かつ生産的」に行われており、「リスクを測定、
 分析する能力が大幅に向上した」と評価した。(ワシントン=村山祐介)”

 → この報道が転換点を示唆していました。
   アメリカの過剰反応が漸く落ち着いてきたのです。


「東京の放射線量、モスクワの半分」ロシアが調査(朝日新聞)
http://www.asahi.com/international/update/0416/TKY201104150580.html

”福島第一原発事故の影響を調べるため、来日したロシア政府のウラジミール・ウイ
 バ医学生物学庁長官は15日、東京都内の大使館で会見、政府による渡航自粛勧告
 を解除するよう、ロシア外務省に進言する意向を明らかにした。
 都内の放射線量について「(自然放射線量がもともと日本より多い)モスクワに比
 べて半分程度」などと述べた。
 ウイバ長官らは8日に来日後、大使館内をはじめ、東京都内の放射線量を調査して
 いた。その結果、モスクワの水準の半分にとどまることがわかったという。大使館
 員の健康調査でも、甲状腺などに異常はみられなかったとした。ロシア政府は、チ
 ェルノブイリ原発事故の経験を踏まえ、観光を目的とした訪日を控えるよう勧告し
 ていた。”

 → ロシアは流石に落ち着いています。
   チェルノブイリによる経験がものを言っているのだと思う。


ところで東証ではタカラレーベンが上に抜けてきました。
理由は分かりませんが割安感は確かです。


タカラレーベン 8897(infoseek)  544 ▼ 17


フィデリティも買い増ししているようですね。

※ くれぐれも投資家各位で御判断下さい。
※ このウェブログを参考とし、めでたく投資収益を得られた方は、
  収益への課税分を社会に貢献する組織・団体に寄付して下さい。
  (当ウェブログの こちらのカテゴリーも御覧下さい。)
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震災復興宝くじは、義援金や寄付金よりも遥かに劣る - 天下り・高コスト体質問題は解決したのか

2011-04-26 | いとすぎから見るこの社会-全般
震災復興宝くじの発売が決まったようですが、
これが震災にかこつけた外郭団体の政治工作であってはなりません。

宝くじの場合、自治体への収益金の比重は少なく、
被災地のために何かしたければ寄付した方が絶対にましです。
寄付金の場合なら8割前後はほぼ確実に被災地のために使われるからです。

宝くじの役立ち度は寄付金より遥かに劣るということです。

しかも事業仕分けで明らかになったように、
宝くじは天下りの巣窟です。
庶民が復興宝くじを買うと自動的に天下り役員の懐に入る構造です。

言わば「官製貧困ビジネス」といっても過言ではありません。
しかも経済学で言うレント・シーキングが生じ易く、
独占権を守るための盛大な政治活動が繰り広げられます。

その構造を知らず喜んで宝くじを買う庶民はいい面の皮です。
事業仕分けで以下のようなコメントが出ていたのを忘れてはなりません。

「日本宝くじ協会の非常勤理事の報酬が明かされた。事務局長が830万円、
 事務局次長が1007万円、審議役が670万円、顧問が260万円……。
 驚いた。宝くじとは、庶民の夢でなく、天下りの夢をかなえるためにある
 らしい」

「本来、自治体に直接入るべき金を総務省の公益法人が取り上げて配ってい
 る。自治体が自由に使える金を増やして下さい」

「寺田議員は、宝くじ協会が3年連続で助成した100以上の法人を調べた
 ところ、59の法人に108名の天下りがいたことを明かした」

最初の指摘など実に絶妙だと思う。
「非常勤」でこの報酬ですからねえ。

▽ こちらを参照のこと。

『ドロボー公務員』(若林亜紀,ベストセラーズ)


震災復興くじ、今夏発売=計325億円、総務省が許可(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c%3Fg%3Dsoc_30%26k%3D2011042600261

”総務省は26日、東日本大震災の復興財源に充てるため、東北地方などの9県2政令
 市が申請していた復興宝くじの全国発売を許可した。発売総額は300億円で、被災
 自治体に入る収益は約140億円。販売経費を切り詰め、通常(発売総額の約4割)
 より収益を増やす。
東京都が被災自治体と発行する復興宝くじ(25億円)も同日、
 許可した。
 全国くじの発売期間は7月30日から8月9日。1枚200円で、1等賞金3000万円、前
 後賞各1000万円。青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、千葉、新潟、長野9県と
 仙台、千葉両市が共同で発売し、収益は被災市町村にも配分する。復興くじの発売
 は、阪神大震災、新潟県中越地震に続き3例目となる。
 東京都などが発行する宝くじは、都内で8月17日から9月27日に販売する。”

経費を切り詰めるのは当然として、
天下り役員報酬などのレントを最大限公開して
疑惑を招かないようにすべきだ。

外郭団体の自浄力を信じている国民など殆どいないのを忘れてはならない。
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