現代の非婚化・少子化の原因は複合的です。
少なくとも、意識の古い男性だけに原因があったり、
計算高い女性だけに原因があったり、
雇用や育休を大切にしない企業だけに原因があったり、
不況だけに原因があったりはしません。
上記の何か一つだけを躍起になって批判する論者は、
おのれの価値観の歪みと都合の良い「敵」を望む
自らの利己的な精神を曝け出しているだけなのです。
未来育て:第3部・シングルと少子化/1「35歳以下」譲れぬ男性(毎日新聞)
http://mainichi.jp/life/edu/sodate/archive/news/2008/20081108ddm013100154000c.html
”晩婚化がとまらず、むしろ加速し、未婚率が急速に高まった。逆に、出生
率は過去最低の水準まで落ち込んだ。出生率低下は未婚・非婚の「シング
ル」の急増抜きに解説できない。一方、各種調査で、男女の結婚願望自体
に大きな変化はうかがわれない。では、結婚にたどりつかない背景に何が
あるのか。男女のすれ違いはどこで起きているのか。第3部はシングルを
中心に、4回に分け底流を探る。
〔中略〕
千葉県の秀美さん(38)=仮名=は昨春、結婚情報サービス会社「オー
ネット」(東京都)に登録して驚いた。会員男性の希望で「35歳まで」
という人が多かったからだ。
「結婚はそのうちできると思った」。だが、次第に、職場や友人を通して
も出会いの機会が少なくなった。
面会申し込みが数十件あった。年齢は自分の前後5歳▽年収は自分の500
万円台より上▽同居の祖母の介護も考え自宅から約1時間の範囲--が希
望。最近は、実際に会う「お見合いパーティー」を重視する。でも「35
歳まで」が気になる。
「出産のリスクを考えているのでしょうか。私は子どもはどうしても欲し
いとは思わないんです」。秀美さんは小首をかしげた。
*
ミスマッチは年齢だけではない。
「私の収入を頼られるのはいや」。結婚相談所に登録する東京都内の会社
員、貴子さん(41)=仮名=は収入も重視する。
90年代初めに大学を出て1部上場企業に入社した。順調にキャリアを積
み、現在の年収は800万円台。「お互いに高め合える男性」を望み、年
収は「私と同じか、高い方がいい」。代わりに「年齢は上でも、下でも構
わないし、容姿も二の次」とこだわらない。
ただ、年収800万円台の独身男性は多くはない。景気の先行きが不透明
になる中、「狭き門」はさらに狭まる気配だ。【遠藤和行】
=次回は15日掲載
◇ 出産の優先順位、女性で下がる傾向
国勢調査によると、35~39歳の未婚者の割合(未婚率)は、男女とも
に年を追うごとにアップしている=グラフ参照。特に男性の場合は75年
には1割に満たなかったのが、05年には3割に達した。
ただ、結婚への希望はそれほど変わらないようだ。財団法人家計経済研究
所によると、未婚女性で、「すぐにでも」と「いずれは」を合わせた「結
婚したい」意向の人は98年も07年も7割だった=表参照。
それでも未婚率が上がる原因の一つとして、首都圏でアドバイス経験が長
い重田信子・オーネット千葉支社長は年齢に関する男女の希望のミスマッ
チを挙げる。男性会員はほぼ子供を望み、「45歳になっても28~32
歳を希望する」。一方、女性は自分の年齢の前後ほぼ5歳を希望する。さ
らにこの2~3年は、会員女性の中で子どもを産むことの優先順位が落ち
ていると感じるという。
重田さんは「昔は出産の限界の年齢が結婚への背中を押しましたが、今や
出産は結婚を決心させる効き目が薄れている」と話す。”
物凄く単純化して言うと、現代人は欲張りで、
自分の価値がどうあれ絶対に妥協したくないのです。
勿論例外もありますが、
「結婚できない人には、人柄や言動に問題のある人が多い」
は、私の周囲を見る限り全くもって正しいです。
▽ この本の指摘です。作者自身も含まれるのか??
この記事には当事者の年齢へのこだわりばかりが書かれていますが、
親世代の方がもっと冷酷極まりないです。
「35歳以上とバツイチの女性は論外」
というのが、息子のために「嫁」を探す親たちの
(特に母親が同性に厳しい)偽らざる本音です。
親世代は、40代以下の女性が信じて疑わない、
「結婚における最大唯一の目標は自分の幸せである」
というイデオロギーをほとんど知らないので、
(多分、理解できないのだと思う)
永遠にミスマッチの拡大再生産を継続するのです。
◇ ◇ ◇ ◇
いとすぎは子供を扶養しない世帯へ増税し、
子供を扶養する世帯への減税を主張していますが、
このようなお気楽で欲張りな方々の存在こそがその論拠です。
彼らの価値観を変えることはできません。
従って、非婚化は解決不可能です。
▽ 現代婚姻におけるミスマッチの大きさが分かる。
ただ、子供を持ちたい人は大勢いるので、
「例え結婚しなくとも」「例え離婚しても」
子供を育てられるように、
社会全体が育児コストと労力を分担するべきなのです。
もし強力な少子化対策を実施しなければ、
(=もし育児コストを社会全体が負担しなければ)
いずれ社会保障を支える若年世代が激減し、
独り身のまま高齢化した非婚世代が「野垂れ死に」します。
これは、明々白々な事実です。
少なくとも、意識の古い男性だけに原因があったり、
計算高い女性だけに原因があったり、
雇用や育休を大切にしない企業だけに原因があったり、
不況だけに原因があったりはしません。
上記の何か一つだけを躍起になって批判する論者は、
おのれの価値観の歪みと都合の良い「敵」を望む
自らの利己的な精神を曝け出しているだけなのです。
未来育て:第3部・シングルと少子化/1「35歳以下」譲れぬ男性(毎日新聞)
http://mainichi.jp/life/edu/sodate/archive/news/2008/20081108ddm013100154000c.html
”晩婚化がとまらず、むしろ加速し、未婚率が急速に高まった。逆に、出生
率は過去最低の水準まで落ち込んだ。出生率低下は未婚・非婚の「シング
ル」の急増抜きに解説できない。一方、各種調査で、男女の結婚願望自体
に大きな変化はうかがわれない。では、結婚にたどりつかない背景に何が
あるのか。男女のすれ違いはどこで起きているのか。第3部はシングルを
中心に、4回に分け底流を探る。
〔中略〕
千葉県の秀美さん(38)=仮名=は昨春、結婚情報サービス会社「オー
ネット」(東京都)に登録して驚いた。会員男性の希望で「35歳まで」
という人が多かったからだ。
「結婚はそのうちできると思った」。だが、次第に、職場や友人を通して
も出会いの機会が少なくなった。
面会申し込みが数十件あった。年齢は自分の前後5歳▽年収は自分の500
万円台より上▽同居の祖母の介護も考え自宅から約1時間の範囲--が希
望。最近は、実際に会う「お見合いパーティー」を重視する。でも「35
歳まで」が気になる。
「出産のリスクを考えているのでしょうか。私は子どもはどうしても欲し
いとは思わないんです」。秀美さんは小首をかしげた。
*
ミスマッチは年齢だけではない。
「私の収入を頼られるのはいや」。結婚相談所に登録する東京都内の会社
員、貴子さん(41)=仮名=は収入も重視する。
90年代初めに大学を出て1部上場企業に入社した。順調にキャリアを積
み、現在の年収は800万円台。「お互いに高め合える男性」を望み、年
収は「私と同じか、高い方がいい」。代わりに「年齢は上でも、下でも構
わないし、容姿も二の次」とこだわらない。
ただ、年収800万円台の独身男性は多くはない。景気の先行きが不透明
になる中、「狭き門」はさらに狭まる気配だ。【遠藤和行】
=次回は15日掲載
◇ 出産の優先順位、女性で下がる傾向
国勢調査によると、35~39歳の未婚者の割合(未婚率)は、男女とも
に年を追うごとにアップしている=グラフ参照。特に男性の場合は75年
には1割に満たなかったのが、05年には3割に達した。
ただ、結婚への希望はそれほど変わらないようだ。財団法人家計経済研究
所によると、未婚女性で、「すぐにでも」と「いずれは」を合わせた「結
婚したい」意向の人は98年も07年も7割だった=表参照。
それでも未婚率が上がる原因の一つとして、首都圏でアドバイス経験が長
い重田信子・オーネット千葉支社長は年齢に関する男女の希望のミスマッ
チを挙げる。男性会員はほぼ子供を望み、「45歳になっても28~32
歳を希望する」。一方、女性は自分の年齢の前後ほぼ5歳を希望する。さ
らにこの2~3年は、会員女性の中で子どもを産むことの優先順位が落ち
ていると感じるという。
重田さんは「昔は出産の限界の年齢が結婚への背中を押しましたが、今や
出産は結婚を決心させる効き目が薄れている」と話す。”
物凄く単純化して言うと、現代人は欲張りで、
自分の価値がどうあれ絶対に妥協したくないのです。
勿論例外もありますが、
「結婚できない人には、人柄や言動に問題のある人が多い」
は、私の周囲を見る限り全くもって正しいです。
▽ この本の指摘です。作者自身も含まれるのか??
『崖っぷち高齢独身者』(樋口康彦,光文社) |
この記事には当事者の年齢へのこだわりばかりが書かれていますが、
親世代の方がもっと冷酷極まりないです。
「35歳以上とバツイチの女性は論外」
というのが、息子のために「嫁」を探す親たちの
(特に母親が同性に厳しい)偽らざる本音です。
親世代は、40代以下の女性が信じて疑わない、
「結婚における最大唯一の目標は自分の幸せである」
というイデオロギーをほとんど知らないので、
(多分、理解できないのだと思う)
永遠にミスマッチの拡大再生産を継続するのです。
◇ ◇ ◇ ◇
いとすぎは子供を扶養しない世帯へ増税し、
子供を扶養する世帯への減税を主張していますが、
このようなお気楽で欲張りな方々の存在こそがその論拠です。
彼らの価値観を変えることはできません。
従って、非婚化は解決不可能です。
▽ 現代婚姻におけるミスマッチの大きさが分かる。
『「婚活」時代』(山田昌弘/白河桃子,ディスカヴァー・トゥエンティワン) |
ただ、子供を持ちたい人は大勢いるので、
「例え結婚しなくとも」「例え離婚しても」
子供を育てられるように、
社会全体が育児コストと労力を分担するべきなのです。
もし強力な少子化対策を実施しなければ、
(=もし育児コストを社会全体が負担しなければ)
いずれ社会保障を支える若年世代が激減し、
独り身のまま高齢化した非婚世代が「野垂れ死に」します。
これは、明々白々な事実です。