みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

「働き方は変わらない」7〜9割、配偶者控除拡大は只の「バラ撒き」- 女性は就業しても「家計の責任は夫」

2017-01-31 | いとすぎから見るこの社会-雇用と労働
保険クリニックの調査によれば、配偶者控除の拡大によっても
「働き方は変わらない」が圧倒的多数(7〜9割)を占めたことが分かった。

詳しくは、配偶者控除内で働いている主婦は71%が「変わらない」、
配偶者控除外で働いている主婦は何と92%が「変わらない」との回答だった。

しかもこれは対象を「働く主婦」に限っているので、
実際の効果は更に低いことは間違いない。

はっきり言って悲惨な程に程度の低い「失敗」である。
経済政策の効果としては、ほぼマイナスと言うべきであろう。
愚かで選挙ばかり気にする安倍政権の施策なのだから、当然の結果である。

ただ、いくら安倍政権が愚かでレヴェルが低いと言っても、
それを有権者の利己主義が支えているのだから、嘲笑している場合ではない。

と言うのは、既に厚生労働省の数年前の調査によって
功利的かつ利己的な日本女性の意識が明らかになっているからである。

その調査では、独身女性の中で「出産したら仕事を辞めたい」と考える者が
24.5%(2002年)から6.9%(2012年)と激減しているにも関わらず、
「世帯収入のあるべき姿」としては「夫が主に責任を持つ」が
依然として40%もの高い比率を保っているからである。

しかも、男性の側では「夫婦いずれも同様に責任」が49%と最多回答となっていることから、
(つまり、「夫が家計に責任を持つべき」と考える割合は、女性の方が多いということだ)
日本では「女性の方が意識が遅れている」可能性が高いと考えざるを得ない結果だ。

当ウェブログは、日本女性を責めている訳ではない。
日本のように旧態依然のジェンダーの強い社会では、
日本女性がジェンダーに囚われて功利主義や利己主義に基づいた行動をとり、
堂々と功利主義的・利己主義的な主張を行うのは寧ろやむを得ないと考える。

だから、日本女性が湯水のように公費を使う認可保育所を利用するのを当然視し、
支払う税に対し余りに過大な公費を貰って平然としているのはジェンダーに支配されているからだ。

日本の高学歴・高所得女性が、低所得女性やシングルマザーの苦境を完全無視して
マイQOL(生活の質)や自分のやり甲斐だけを求めるのもジェンダーに支配されているからだ。

夫が家事育児を手伝わなければ苛酷なほど非難するのに、
女性が夫の家族にひどい文句を言ったり、夫を「利用」していたり、
夫の「稼ぎが悪い」と罵るのに対し何とも言わないのもジェンダーに支配されているからだ。

日本社会においては、それらは単に深層心理にこびりついた
日本型ジェンダーに操られているというだけに過ぎない。

ただ、「やむを得ない」からと言って肯定はできないし評価もできない。
日本経済に打撃を与え、経済縮小と絶望的な少子高齢化・人口減少に直結する以上、
日本社会の古臭いジェンダーに浸潤され事実上「操られている」日本女性が、
真の意味で「自立」し「活躍」できる制度に変えなければならない。

そうした意味で、全く効果がないばかりか
日本女性を旧来のジェンダーに縛られたままにする配偶者控除の「拡大」が
馬鹿馬鹿しい愚策であり、選挙対策の単なる「バラ撒き」であると批判しなければならない。

旧来のジェンダーに囚われた女性を解放し、自立し活躍する女性を支援するため
現物給付を増強し、育児家事関連費用を控除する新しい制度に変えなければならない。
夫が家事育児に関わろうが関わるまいが、夫がいなくとも遠地赴任でも
育児を担う全ての女性に公平な現物給付に切り替えてゆかなければならない。

選挙の票目当てに、日本女性を相変わらずの補助的地位に貶める
自民・公明のバラ撒き政策も壊滅させなければならない。

「女性活躍をぶち壊す、安倍政権・公明・自民のバラ撒き三兄弟」
「「パート減税」どころかただの選挙対策」

とした当ウェブログの警告は、様々な調査によってまさに裏付けられつつある。

 ↓ 予言した通りになった

安倍政権の「配偶者控除見直し」は失敗確実、夫婦控除では全く無意味 - 選挙ばかり気にするバラ撒き体質
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/95d05fea290cf3295b5475d777c24827

▽ 先進国としては「上昇婚」志向が強く就業率の低い日本女性の生活水準は、夫の所得で決定されている

『夫婦格差社会 - 二極化する結婚のかたち』(橘木俊詔,中央公論新社)


当ウェブログが恐れていた通りに、
「口だけで次元の低い「女性活躍」は完全に骨抜き」「逆効果」になりつつある。

「日本企業の中にいる女性が仕事と育児の両立に苦労するのは
 トレンダーズ創業者である経沢元社長が何年も前に指摘したことであり、
 今更取り立てて言うものではない陳腐な話である」

「多忙な夫を選んだなら妻が育児しながら仕事にフルコミットするのは
 極めて困難であると考えねばならない。
 長時間労働にフルコミットしたいなら家事育児の大半をカバーできる夫を選ぶべきだ。
 また、やり甲斐のある仕事を求めるなら起業の道を選ぶのが理の当然である」

「多忙でも社会的地位の高い夫と結婚したい、育児にも時間をかけたい、
 やり甲斐のある仕事も貰って当然、というのは単なる強欲に過ぎない」

「あのアメリカですら、経営・管理層の女性の出生率が低いという事実は重い。
 ましてや北欧のように育児・雇用支援のため重税負担に耐えていない日本では、
 仕事と育児の両立が困難なのは当たり前で、所詮は自業自得でしかない」

「女性は高学歴層ですら他国に比べ専業主婦志向の者が異常に多く、
 しかも大多数が「上方婚」なので仕事を捨てざるを得ない選択肢を自ら選んでいるのだ。
 (女性医師が高所得な同業と結婚して、仕事を自ら辞めるのと似ている)」

「日本経済の停滞と人口動態劣化が強力に進んでいるのは、政治の責任だけではない。
 「育休世代のカリスマ」を含め、多くの人々の視野が狭く自己中心的だから、である。
 日本の女性就労率が歴然と低く、最も効果的な経済回復・所得向上策が実施できないのも同じ理由だ」

「基本的に、「女性」を単一セグメントとして語る論者は
 我が国の社会構造を全く分かっていないと見て間違いない」

「東洋経済オンラインで元大手メディアの高学歴女性が「女性活用」と言っているのは、
 「私達のような高学歴・高所得でハイスペックな夫と上方婚した女性の活躍」という意味である。
 高卒で低賃金で必死に働く労働者や、苦境に喘ぐ大多数のシングルマザーや、
 凡庸な大学・短大を出て仕事より私生活を重視する層は、はなから無視している訳である」

「また、日本の高所得女性については別の問題もある。
 税・社会保険料負担が北欧諸国より遥かに軽い日本では、
 仕事と育児の両立が極めて困難なのは当たり前の話である」

「担税能力が高い高所得女性労働者の負担が軽い現状では、
 誰が一体、育児支援のコストを払うと言うのであろうか。
 いかに裕福な男性でも、その利己主義に対して流石に頭にきてコスト負担を拒むであろう」

「ジャミングばかりで政策議論がまともな方向に進まないのは、
 残念ながら声も影響力も大きい(同世代男性より時間的余裕もかなりある)高学歴女性の責任が大きい」

「日本の女性労働者の多くは負担の重い正社員の長時間労働を嫌っている。
 時間拘束の少ない契約社員や派遣社員の方が実は満足度が高く、
 土日に休める事務職(労働需要は少ない)にばかり希望が集中する。
 低賃金の保育士や介護士は避けられる」

「独身の時は給料が安く税金は高いと不平を言い、
 結婚して子供ができると子育て支援が手薄と政府や行政を咎め、
 育児と両立する環境がないと職場を批判する」

「アメリカでは育休のための制度が整っておらず、無給の場合すらある。
 酷い話にも、学歴によって育休を取得できる率が大幅に違ってもいると言う。
 メイヤーCEOが二週間の育休で復活せざるを得なかったため、大きな議論になったほどである」

「それでもアメリカでは「企業のせい」「政府のせい」「夫のせい」という議論には殆どならない。
 しかも調査では日本よりも遥かに「育児しやすい社会」だとする回答が多いのである。
 (確かに、格安でベビーシッターが見つかる点では優れているが)」

「それなのに、より育休制度が整っていている日本では
 企業や政府や夫への不満が強いのである。不思議ではないだろうか」

「欧州の労働者は平均的な手取りが日本よりも低く、つつましい暮らしをしている。
 日本の親元同居の独身女性労働者のように、大金を美容や旅行といった消費に注ぎ込んでいない。
 (これは調べればすぐ分かる話であり、この層は消費性向が非常に高いのが特徴)」

「もし日本の労働者がそうした欧州国に転居したら、
 年収500万だったら税と社会保険料で年間50万円は手取りが減る。
 年収300万なら年間30万、年収200万なら20万減るのである。
 月単位に換算したらどれ程の負担であるから分かるだろう」

「被害者意識を募らせているばかりでは、永遠に問題は解決しない。
 自称被害者こそ、今の社会システムを支えている張本人だからだ」

「もし真の「女性活躍」を望むなら、企業に丸投げする低次元の政策を改め、
 虫のいい要求を突きつけて企業に責任転嫁する労働者を根絶しなければならない」

「政策によって長時間労働を強力に規制するとともに
 育休等の際の給付や代理要員に所得移転しなければならない」

「独身労働者が一方的に不満を強めたり、
 育児中労働者がフリーライダーとなる社会にしてはならない。
 (公務員だけが悠々と産休育休を取るのも、同様の「ただ乗り」である)
 日本の女性労働者には、そうした健全な意識を持つ層が余りにも少ない」

「真の「女性活躍」とは必然的に、怠惰で他者に依存する女性をも政策誘導し、
 働かざるを得ない状況に向かわせて日本経済と日本社会に貢献して貰う政策だ」

「だから、安倍政権は根本的に間違っている。国民負担を高めて働かない層に課税強化し、
 一生懸命仕事と育児を両立している層に所得移転しなければならないのである」

「三年前に衆院選で「確実に達成する」と大口をたたいた「指導的地位の女性30%程度」が
 到底実現できないことが明らかになり、「1億総活躍」を持ち出したようだ。
 安倍政権の繰り出す「口だけ政策」はこのような竜頭蛇尾ばかりだ」

「そもそも「女性活躍」という概念や目標設定自体が間違っているだけでなく、
 我が国よりも高成長で労働生産性でも一人当たりGDPでも勝っている
 賢明で合理的なスウェーデンの政策から学ぶこともしない始末だ」

「スウェーデンの成長率見通しは3%を超えている。
 次元の低い安倍政権は今年、成長率1%にも及ばないのは確実で、
 スウェーデンの3分の1以下の低成長でしかない己の能力のなさをいまだに認識していない。
 (序でに言えば、間接税は日本の方が軽いから言い訳は許されない)」

「経済政策の面から言う正しい「女性活躍」は女性就業率の引き上げであり、
 労働者の税・社会保険料負担を引き上げて育児支援・積極的労働市場政策に投入し、
 家事育児を集約化して労働投入を増やし、総量でも一人当たりでもGDPを増大させるものだ。
 同時に長時間労働への規制やペナルティを強化すれば労働生産性を改善させることもできる。
 安倍政権はそうした実効性ある施策を何ひとつ実施していない」

「また、日本の女性労働者が求めているのは出世や起業ではなく
 残業等の負担がない職種で安定した所得を得られる、快適な職場環境だ。
 つまり自分にとって都合の良い雇用を求めているに過ぎない。
 自分が結婚・出産したら「企業がサポートして欲しい」が、
 そのために租税負担や社会保険料負担が増えるのを非常に嫌がる」

「「当然、夫が家計を支えるので自分の稼ぎは補助的なもので良い」という意識なのだ。
 誰が家計を支えるべきかとの意識を男女で比較すればすぐ分かる」

「労働市場の現状も理解せず虫のいい願望を持つのが多数派である。
 経沢社長のように、企業や社会を変えたければ他人のせいにせず起業すべきだ」

「横浜市で行われた独身非正規女性への調査が非常に興味深い。
 「正社員になりたい」「転職したい」よりも「収入を増やしたい」との声が多く、
 労働市場における自らの評価を直視せず、「負担なき恩典」を求めているのである」

「調査を見る限り、女性非正規労働者自身にも問題があると推測される。
 なぜなら、「転職する意向はない」が「賃金を上げたい」、
 でも「やりがいのある仕事」や「現職場で働き続ける」ことも求めていない」

「こうした意識を持っていること自体が、日本女性がいかに深くジェンダーに囚われているか、
 自分が支援されることを当然視していて納税者として自立する意識がいかに希薄であるかを示唆する」

「これは女性に限らず男性も似たようなもので、
 税負担や社会保険料負担の上昇を非常に嫌がるのに、
 自分が不利な立場に陥ると政府や企業からの支援を求めるのである。
 日本でよくあるバラマキ・リベラルの偽善性もこれと同根だ」

「女性の犠牲者としての側面ばかり強調する愚かなリベラル的言説は、
 拡大しつつある「女性格差」から人々の目を逸らして隠蔽し、
 現状に満足し多大な恩恵を得ている高所得世帯の女性こそが、
 配偶者控除や第3号被保険者の利権を握りしめて貧困層を見殺しにする一般の女性こそが、
 現下の病んだ構造を支え強化しているという現実を見抜かなければならない」

「家庭環境に恵まれず低所得で苦境にある女性労働者を支援するには、
 配偶者控除を全廃するか退職金控除を縮小して給付付き税額控除を適用すれば容易だが、
 豊かで現状に満足している層は全力で反対するだろう」

「労働環境が良くて平等度の高いデンマークと比較すると、日本の労働者の本音が分かる。
 日本はデンマークよりも税負担が軽く、手取りは多いというのが事実であり、
 日本は平等やQOLや手厚い育児支援・両立支援よりも自分の可処分所得を増やすことを重視しているのだ。
 北欧に1人当たりGDPで負け、出生率で負け、女性就労率で負け、成長率で負けるのはそれが原因である」

「致命的な人口老化・生産年齢人口が続く現下の日本において、
 最も効果がある経済政策は女性就業増と出生率向上であるのは
 既に同志社大学の柴田悠准教授の計量分析で証明されている」

「その際に鍵を握るのは「財源」であり、
 「働いていない豊かな層から、努力して仕事と家庭を両立する層への所得移転」
 が絶対に必要であるのは経済合理性の観点から言えば明白である」

「誤摩化しだらけの安倍政権に鉄槌を下し、低レヴェルな「働き方改革」ではなく
 北欧並みの真の女性活躍政策を断行しなければ、日本の潜在成長率を引き上げることはできない」

「はっきり言っておくが、配偶者控除は全廃して現物給付に転換し、
 育児関連費用を控除しないと経済効果は殆どないに等しい」

「同時に保育ママの制度を変えて女性の新規参入を促進すれば
 間違いなく莫大な経済効果が出るのである。
 日本では子育ての終わった後の女性の就業率が欧州よりも明らかに低いからだ
 (賭けてもいいが、安倍政権にはこの程度の知恵すらない)」

「高学歴高収入エリート女性は、日本女性の平均像を分かっていない。
 現状を肯定し恩恵を受けている層が多数派だから社会が変わらないのだ」

「日本には、北欧のように女性に自立を強いる強烈な社会的圧力が殆どない。
 インセンティブも圧力もなければ自ら進んで厳しい労働市場にとどまろうとする筈がない。
 収入が少ないから止むなく働くが、「主な家計を担うのは男性」と固く信じているのが大多数だ。
 (そうした日本型ジェンダーの強固な意識が経済を停滞させ、片親家庭を困窮させるのである)」

「安倍政権は配偶者控除を「拡大」するというとんでもない愚策に出るようだ。
 これで日本経済の低迷が決定的であるばかりか、回復の望みすら潰えたと言えよう」

「このような意味不明の制度に変えようとする理由は明白で、
 「選挙対策」或いは「買票」、つまりただの党利党略である」

「自民党の支持層には企業の経営・管理層の高所得世帯が多く、
 公明党の支持層には低所得の専業主婦世帯(パート含む)が多いことが知られている」

「配偶者控除は、こうした政党にとって「恩を売りつける」あさましい手段となっているのだ。
 まして、就業能力のある女性が働かない、或いは就業時間を抑制することに公費を払うのだから、
 無責任でかつ頭が悪いとしか言いようがない政策である」

「現在、アメリカの成長率よりもスウェーデンの成長率の方が高く、
 女性が働かない韓国・ギリシャ・スペインの財政が悪化し成長率が低迷していることから、
 安倍政権が全く経済政策を理解せず「次元の低い」状態であることが証明されたと言えよう」

「当ウェブログが懸念した通りであり、この愚かで選挙ばかり気にするバラ撒き政権により、
 我が国の経済低迷は愈々逃れられないものとなりつつあると言えよう」

「元々、日本の女性労働者は階層によって全く意識が違っており、
 上層は納税を嫌がるのに社会や企業が自分のWLBを助けるのが当然と思っている。
 中層は長時間労働を嫌って夫が家計を支えてしかも家事育児を手伝うべきと考えている。
 下層は自分が弱者だから社会から支援されるのが当たり前と思って、納税者としての意識が希薄である」

「働けるのに働かない層に課税し、努力して一生懸命に働く層に所得移転しなければ
 制度を利用し「働かないことによって自己利益を最大化」しようとするのは明白だ。
 だから日本の女性就業率の低迷が続き、経済も財政も停滞しているのだ」

「日本女性の多くはジェンダー意識が奥深くまで浸透しており、
 最も発信力や政治力の強い高学歴層ですら北欧並みの自立した意識ではない。
 男性社会を批判しておきながら同時にそれを支えており、自ら平等を放棄しているのである」

「政府が配偶者控除を巡ってみみっちいすったもんだを繰り広げている。
 日本経済が豊かになるにはどうしたら良いかとか、
 働く女性や育児世帯の両立支援には何が必要かとか、
 そういった公益に直結する議論が全くない惨状には溜息しか出ない」

「あるのはただ、「改革ポーズ」は示したいというスタンドプレー根性と、
 選挙が怖くて何としても権力の座にしがみつきたい安倍政権と、
 政権の意向を忖度して出世に響かない小手先の施策ばかり出してくる官庁の保身主義だ」

「そうした本音を見抜いて、日本経済新聞ははっきりと「パート減税」と呼んでいる。
 経済効果が貧相で、大衆に迎合しても票を欲しがる安倍政権に相応しい名称だ」

「はっきり言って、安倍政権は選挙に勝って権力を握ることしか考えておらず、
 真の「女性活躍」に必要な政策など全く理解していないし、関心もない。
 日本のジェンダーギャップ指数が「中東並み」なのは、安倍政権の次元の低さに原因がある」

「まともな先進国のどこに、「配偶者控除」などという頭の悪いバラ撒きがあると言うのか。
 海外先進国の実情に無知な癖に、ふざけるのもいい加減にすべきである」

「本来なら配偶者控除はすぐさま廃止して、育児関連の現物給付に転換すべきである。
 高所得層に所得制限などという馬鹿馬鹿しい小細工をせずに、
 出生率の高い欧州国に倣って、育児や家事の外注費を税控除すべきである」

「成長率でも生産性でも女性就業率でも出生率でもスウェーデンに惨敗しているのだから、
 「劣等生」である安倍政権の閣僚は全員、歳費を大幅カットすべきなのである」

「有権者も、次元が低く無能な安倍政権のもたらした「ぬるま湯」でゆでガエルになりつつある。
 一刻も早く安倍政権を叩き潰し、北欧型の高効率で勤勉な社会に転換しなければ地獄を見るであろう」

「日本の場合、大卒で有能な女性が働かないことにカネを出しているのが諸悪の根源なのだ。
 日本は上方婚と同類婚が非常に多いのだから、
 育児家事は外注しないと絶対に有能な女性の就労継続はできない。
 だから、育児家事の外注を促進するインセンティブを付けなければならないのは自明だ」

「三世代同居の場合には、親世代が保育ママの資格を取って面倒を見るのも一案だ。
 可愛い孫の世話をして収入が増えるのだから、互いにメリットしかない。
 (娘に懇願されボランティアで面倒を見させられるより遥かにましだ)」

「逆に、働けるのに働かず、育児の負担もない妻には絶対に公費を与えてはならない。
 怠惰に対してカネを与えているも同然だからだ」

「社会現象となった「逃げ恥」は日本の文教政策の誤りを警告しているだけでなく、
 安倍政権による「女性活躍」の虚妄と確実な失敗も予言している」

「男性が稼ぎ、女性が家事能力でそれを支えるという図式が鮮明だからだ。
 決して、バリバリ働くみくりと、平匡が家事育児を分担する話ではない。
 つまりこれは古いジェンダーの物語に過ぎず、配偶者控除を受けて
 みくりが家庭で夫のサポートをする手垢のついたストーリーである」

「「逃げ恥」が人気を得た有力な理由の一つは、
 実社会で働く女性の多くが冷酷な労働市場の現実に疲れていること、
 実社会で長時間労働を強いられる独身男性が家事サポートを受けたがっていること、
 つまり「女性活躍」と真っ向から反する願望を抱いている日本人が多いということだ」

「実際の両者は高所得者同士による「パワーカップル」に該当するのだから、
 みくりが妄想する以前に「逃げ恥」そのものが体のいい妄想に過ぎない」

「そうした見え透いた妄想が好感をもって受け入れられるのは、
 旧態依然のジェンダーを望んでいる層が意想外に多いからである」

「つまり、女性は高所得であっても実社会で活躍ではなく家庭重視の生活を望んでいる層が多く、
 男性はみくりのような純朴で家事能力の高い女性(今や天然記念物並みに少ない)を望む層が多い。
 勿論、平匡が京大卒の有能な人物だったからこそ成り立っている物語だということも忘れている」

「もし日本社会が真に「女性活躍」を求め、男女平等と女性の自立を本気で望んでいるなら、
 「逃げ恥」は決して歓迎されることはなかったであろう。
 それどころか、「女性差別社会である日本の象徴」と見られであろう」

「配偶者控除と「逃げ恥」には共通点がある。「建て前と乖離した欲望」だ。
 口では平等を唱えているが、実際には古い価値観に固執し功利主義的な行動をやめない」

「配偶者控除維持どころか「拡大」が決まった日本は、海外先進国から嘲笑されるのは間違いない。
 「逃げ恥」はそうした不平等社会の象徴として、歪んだ日本の自画像として論じられるだろう」

「この「逃げ恥」ブームは欧米諸国では奇異の目で見られ、
 「女性差別の象徴」「日本のジェンダー意識の古さの証明」として
 批判的なもしくは軽蔑の目で欧米メディアに論じられるのは間違いない」

「「女性活躍」や男女平等などどうでもいいから、自分が心地よい生活ができることを
 第一に考えている層が相当多いことは認識すべきである」

「前々から指摘しているが、夫への要求が多い場合、
 その理由は義理の両親や自分の両親と違い、コントロールし易いためだ。
 どんなにシングルマザーが苦しい生活をしても無関心なのは、
 自分の生活が第一で、他人が苦しんでいようと何とも感じないからだ」

「ある調査によれば、結婚した女性が「いらないもの」として挙げているのは
 「義理の両親」なのだと言う。二世帯同居のため建てられた家を「爆破したい」とか、
 「夫は生活費を払ってくれればいい」との回答もあったそうだ」

「こうした功利主義が多くの者の行動原理となっているのが実態である。
 断言しておくが、一生懸命働く女性を支援する税制とインセンティブにすれば女性就業率は上がる。
 育児世帯に手厚いインセンティブを設ければ確実に出生率も上がる」

「そうしたありのままの事実を認めない限り、男女平等も実現しないし日本経済も甦らない。
 「女性活躍」はインセンティブで促進しない限り実現しないものだからだ」

次元の低い政権と、ジェンダーに操られた国民の「合成の誤謬」である。

▽ 日本は高学歴女性の就業率が低く、OECD平均に劣る「ジェンダー・ガラパゴス」社会

『「教育超格差大国」アメリカ』(津山恵子,扶桑社)


残念ながら「安倍政権による配偶者控除の拡大はただのバラ撒きで論外」は的中した。

「今回の「働き方改革」とは名ばかりの「働き方改悪」、
 いや「経済停滞を決定づけるバラ撒き」の裏事情が分かってきた」

「選挙が怖くて猛烈に反対したのが公明党で、
 それに官邸が同調して配偶者控除の「拡大」などという
 意味不明の愚策になった、という顛末であるようだ」

「おまけに公明は高齢者医療でも負担の適正化にゴネている。
 未来世代にどれだけの重荷を負わせても平気ということなのか、
 時間があって投票率の高い層にカネを配って議席を増やしたいようにしか見えない」

「夫婦控除を主張した自民党は一見「筋を通した」ように見えるが、
 どのみち怠惰を助長するバラ撒きであることに変わりはない」

「碌な成果を出していない癖に尊大で、
 今年も日本経済をアウトパフォームするスウェーデンに学ばず、
 「女性活躍」後進国であるとの自覚の全くない「バラ撒き三兄弟」は、
 これで日本経済の停滞と先細りを決定付けたのだ」

「しかもその理由たるや、「女性活躍」「働き方改革」などと嘘八百を並べて
 その実は「嘘でもバラ撒きでもあらゆる手段を選ばず選挙に勝ちたい」という
 権力へしがみつこうするさもしい根性でしかない訳だから、
 情けないを通り越してもはや唾棄すべき領域に達していると言える」

「経済政策リテラシーの果てしなく低い連中がどうして理解できないのか分からないが、
 真の「女性活躍」「働き方改革」とは先進国としては低い女性就業率を上げること、
 つまり配偶者控除を完全廃止して育児や介護の現物給付に予算移転し、
 「働かない層から一生懸命仕事と家事育児を両立する層へ所得移転」することだ」

「ところが、安倍政権・公明党・自民党の「バラ撒き三兄弟」は
 「働けるのに働かない層」にカネをバラ撒いているのである。
 (本当に「働けない層」はごく一部に過ぎないので全員を控除する必要はない)
 消費も生産性も経済成長率も低迷するのは当たり前ではないか!」

「実際には金持ちを優遇しているのに弱者の味方のような顔をして、
 自党の得票数を増やそうと図るさもしい党利党略しかないのは明白である」

「自民党税調も「現物給付」の「げ」の字も出ないのだから、
 「先進国」スウェーデンに10年以上遅れている「落第生」でしかない」

「日本経済の本格回復の微かな可能性が完全に潰れた」との見通しも、
悲しいことだが事実によって完璧に証明されるであろう。

 ↓ 参考

女性活躍をぶち壊す、安倍政権・公明・自民のバラ撒き三兄弟 -「パート減税」どころかただの選挙対策
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/f0c3b33abfbd10db3befa153c029fabe

7割の未婚女性が結婚・出産で退職を選ぶ?「今の仕事が嫌」「待遇が悪い」- 職場への責任転嫁も多い
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/371ec249c7443eda7409d56a4638edac

母親の三類型「ずるい人、文句ばかりで動かない人、必死で働く人」-世間を知らない「育休世代のカリスマ」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/35403c6328cd6afbc187477e119f45dd

高い教育を受けても就業率が著しく低い日本女性、先進国比で明確 - 配偶者控除廃止への批判が多い理由か
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/5a5b865d08ad919c9fe0115b89a4ac3b

▽ 女性が自立しているスウェーデンは、高負担だからこそ女性就業率も日本より高い





『スウェーデン・パラドックス』(湯元健治/佐藤吉宗,日本経済新聞出版社)


配偶者控除外で働く主婦の年収は?(mynavi.jp)
http://news.mynavi.jp/news/2017/01/24/298/
”保険クリニックは1月20日、「配偶者控除と働き方に関するアンケート調査」の結果を発表した。調査は1月6日~11日、20歳~60歳の女性のうち、働く主婦600名(配偶者控除内・控除外いずれも300名)を対象に、インターネットで行われた。
「2018年から配偶者控除を受けられる年収上限が103万円から150万円になることについてどう思うか」と質問したところ、54.8%で「どちらでもない」が最多に。
〔中略〕
「雇用形態」を聞くと、配偶者控除内の85.0%が「パート・アルバイト」が最多に。次いで「派遣社員」(4.3%)、「フリーランス」「正社員」(いずれも2.3%)。
 配偶者控除外では、42.3%が「正社員」が最も多くなった。以降「パート・アルバイト」(38.0%)、「派遣社員」(8.0%)と続いた。
 次に、「配偶者控除外で働いている人の年収」をみると、47.3%が「年収200万円まで」であることがわかった。最多価格帯は「103万1円~130万円」で22.3%。また、「130万1円~141万円」は3.3%、「141万1円~150万円」が2.7%となり、配偶者控除の新たな対象となる103万1円~150万円の層は、28.3%という結果に。
「配偶者控除の額が変わることで、働き方は変わるか」を聞くと、配偶者控除内で働いている人でも、71.3%が「変わらない」、28.7%が「変わる」と回答。配偶者控除外では、92.3%が「変わらない」、7.7%が「変わる」となった。
 働き方が「変わる」と回答した人を対象に、どのように変わるのか聞いたところ、配偶者控除内で働いている人の58.1%が「社会保障の扶養の範囲内で働く(130万円以下)」と回答。配偶者控除外では「配偶者控除の範囲内で働く(150万円以下)」が60.9%で最多に。
「働き方を変えない理由」については、「夫の会社から扶養手当が出なくなるから」「社会保険の上限が変わらないから」「働く時間が増えても、家事・育児の負担は変わらないから」などが挙がった。

こちらが問題の調査。
安倍政権も公明党も選挙対策の「バラ撒き」に熱心で、
日本社会や日本経済の先を見通す力が欠如しているのは明白である。
両者とも国民を動かす経済インセンティブの概念を全く理解していない惨状だ。


企業アンケ:配偶者手当「廃止する」10% 制度ない6割(毎日新聞)
http://mainichi.jp/articles/20170104/k00/00m/020/021000c.html
”毎日新聞が124社を対象に実施した主要企業アンケートでは、配偶者手当について「廃止する」と答えた企業が10%(12社)あったほか、既に廃止したなど制度がない企業が59%(73社)に上り、配偶者手当をなくす流れが大勢となっていることが分かった。「縮小する」との回答は3%(4社)で、「廃止しない」は13%(16社)にとどまった。
 配偶者手当がある企業の多くは、所得税の配偶者控除に支給条件を合わせており、配偶者の年収が103万円を超えると支給しないことが多い。手当を受け取るために配偶者(多くは妻)が働く時間を抑えるケースもあり、配偶者控除とともに「女性の就労を妨げている」との指摘がある。
 政府は2017年度税制改正で、控除が満額受けられる配偶者の年収上限を現行の103万円から150万円に引き上げる方針。パートの人は勤務時間を増やせるが、企業の配偶者手当の支給基準が変わらなければ働く時間を抑える傾向が続くとみられるため、政府は企業にも見直しを求めている。
〔中略〕
 アンケートで「廃止する」「縮小する」と答えた企業は、理由として「女性の就労を後押しする」(三菱マテリアル)、「少子高齢化など社会情勢の変化に対応するため」(京セラ)、「職務と成果に基づく処遇体系にするため」(T&Dホールディングス)などを挙げた。
 廃止しない企業は「廃止によって不利益を被る社員の納得を得られない」(電力)などと説明した。「今後の社会情勢などから判断する」(鉄道)と廃止を視野に入れた回答がある一方、「(廃止するか)検討したことがない」(物流)という回答もあった。
 また、配偶者手当を他の手当に切り替える動きについても聞いた。19%(24社)が既に「切り替えた」と回答し、「検討している」も12%(15社)あった。「育児や介護をしている社員を支援する」との理由から、「子ども手当」や「介護手当」などへの切り替えが目立った。【立山清也】”

夫の会社からの「手当」についてはこの通りである。
高所得層の「利権」そのものと化している実態が分かるであろう。
つまり利権を奪われまいと必死になる既得権層と何ら変わらないのだ。
「介護手当」ならまだ理解できるが、「子ども手当」は特定層の就業抑制に働くのだから。


20代追跡調査:出産後は仕事やめる 10年前の4分の1(毎日新聞)
http://mainichi.jp/articles/20161123/k00/00m/040/022000c.html
”20代の若者の意識や生活の変化を追跡する厚生労働省の調査で、結婚後も働く意向のある独身女性のうち子どもを産んだら仕事をやめたいと考える人は6.9%と、10年前の同じ調査(24.5%)と比べ4分の1に減ったことが、22日分かった。
〔中略〕
 対象は2012年の調査開始時に20代だった男女で、今回の調査時点では23~32歳。02年から始めていた同様の調査と比較すると、働く独身女性の「結婚後も仕事を続ける」との回答は44.6%と10年前より2.8ポイント増え、「結婚を機にやめる」は4.8ポイント減の17.1%だった。結婚後も続けると答えた人のうち、出産後も続けるとした割合は13.8ポイント高い65.1%に上った。
 また、独身者に世帯収入のあるべき姿を聞いたところ、10年前は男女とも「夫が主に責任を持つ」が最多だったが、今回の男性のトップは「夫妻いずれも同様に責任」(49.0%)。女性も「夫が主」と「夫妻いずれも」が約40%でほぼ並んだ。【山田泰蔵】”

日本女性が依然としてジェンダーに支配されているのは明白である。
この厚労省調査の男女差、仕事への意識ほど家計責任への意識が変化していないことから、
日本女性のかなりの数が「働くのはあくまで家計補助のため」と考えており、
北欧のような自立など望んでいないことがはっきりと浮き彫りになっている。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「他省庁ではもっと大規模に天下りが行われ、人事課も関わっている」-隠蔽工作は、官庁全体に蔓延している

2017-01-30 | いとすぎから見るこの社会-全般
日本が国際競争力ランキングにおいて技術やインフラにおいて
世界的に高く評価されているのは周知の通りである。

しかし、評価の低い項目、つまり国際的に劣っていると見られている分野は
大体決まっていて、それが日本の評価を低めているのである。
ひとつは「政府の効率性」であり、もう一つは「経済成長」だ。

今回の文科省の天下り騒動で、日本政府の効率性が相変わらず低い要因の一つが
図らずもまた一つ発見されたと言えるのではないだろうか。

個人的には天下りを全て否定するものではない。
日本社会に利益をもたらす公正で透明性の高いものであれば
何ら問題はないとすら考えている。

しかし、今回の天下りは、と言うよりも今回発覚した「氷山の一角」は、
明らかに日本社会のためのものではないばかりか、公正でも透明性のあるものでもない。

自民党政権がバラ撒いている補助金を利用して
官僚組織上層部の利益と保身のために行われたものである。

案の定と言うか、こうした天下り隠蔽は霞が関全体に蔓延しており、
文科省などよりも大規模かつ組織的に行われている
との証言が出ている。
(少し話を聞いたことのある者なら、大体あそことあそこが酷いのだろうと察しがつく)

安倍首相は相変わらず口先だけで、天下りを根絶するかのように大言壮語しているが、
全くこの天下り問題の構造を分かっていない実態を自ら証明している始末だ。

国民を欺く欺瞞的な天下りが起き、公益よりも組織益が優先される理由は明白だ。
代々の自民党政権が補助金バラ撒き政策を実行してきたため、
官僚組織による裁量余地が大きく拡大したからである。

文教政策で言えば、場当たり施策を打ち出して検証もせず、
ポスドクだのロースクールだので死屍累々の結果をもたらした自民党政権が、
天下り隠蔽工作のチャンスを提供したのである。

無責任で愚かな歴代自民党政権が、教育政策を散々に振り回してきたため、
各学校が「ヒラメ」状態になって文科省との結び付きを強めようとしたのだ。

相変わらず愚かな補助金バラ撒き政策を続ける安倍政権も、
天下り問題をもたらす不透明な構造を支える犯人の一人である。

▽ 日本より遥かに賢明で合理的な北欧では、労働市場に対応して再構築された大学教育が行われる

『スウェーデン・パラドックス』(日本経済新聞出版社)


日本の文教政策は事後検証が行われないだけでなく、
必然的に癒着をもたらすという意味で、二重に愚かである。

「愚劣な責任転嫁を平然と行う中教審の議論の「猫の目ぶり」を見れば
 文教政策が頭の悪い「モグラ叩き」でしかないことは明白だ」

「大学乱立は自民党政権時の愚かな規制緩和の必然の結果である」

「日本では教育問題の議論が常に目先のことばかりで
 利害関係者の方では必死に姑息な情報操作を行い、
 しかもメディアや国民がそれを見抜けないという情けない状況にある」

「文科省の審議会や認可が大学の質向上において
 殆ど無意味に近いのは、議論の余地のない明白な事実である」

「だから文科省が認可した大学でも次々と定員割れと経営危機を起こしている。
 最近では法科大学院の惨状は100%間違いなく文科省の制度設計に原因がある」

「文科省はそもそも大学教育の質や大学運営の質を評価する指標を持たないし、
 指標に基づいて政策調整しなければならないとの意識が全くない」

「計量経済学や計量社会学の専門家を雇い、
 若年人口の変動が大学経営に与える影響を測定し、
 労働市場の変化と人材需要に基づいて政策決定をしなければ
 日本の大学は悲惨な状況に追い込まれてゆくだろう」

「自民党は今年春に「理数系教育の強化」を提唱していたが、
 図に乗ったそうした低次元の論をあざ笑うかのような報道があった」

「PIAAC(国際成人力調査)で日本が世界一となり、
 「数的思考力」もフィンランドを上回りトップだった」

「現代日本の停滞や閉塞の原因が教育にあるとする連中は
 基本的に大嘘つきであると立証されたと言って良かろう」

「そもそも日本の競争力ランキングを見ると教育水準や技術力は
 向上余地はあるものの常に高く評価されている。
 評価が低いのは公共部門(政府・自治体等)の非効率性と財政赤字である」

「PIAACの結果からは日本はブルーカラーや中卒者の高い能力を
 経済分野で活用できていないことが推測されるが、
 これも日本の政治と行政、つまり公共部門の抱える問題点と言える筈である」

「少なくとも「失われた20年」を招いた責任が教育にないことは明らかであり、
 教育を犯人扱いしてきた低能な論者を黙らせる効果はありそうだ」

「確かに日本の高等教育には多くの課題がある。
 しかし日本の病巣は教育ではなく寧ろ程度の低い教育論議と政策にあるのである」

「権力に弱い官僚は、傲慢不遜な自民の圧力に負けて
 人文系学部と大学院の規模を縮小するそうだ。
 己の失態の責任も取らず、よくも若者に責任転嫁できるものだ」

「大学の粗製濫造やロースクールの大失敗は自民党と文科省が「A級戦犯」であり、
 これから確実に問題になるであろうポスドク量産の元凶も自民党と文科省である。
 平然と歳費や給与を得ている厚顔無恥な態度と無神経はおぞましいとすら言える」

「責任を取って役立たずの与党議員の歳費大幅カット、
 キャリア官僚の給与・退職金の大幅カットは理の当然であろう。
 どうして成果も出さずに国民のカネを受け取っているのか」

「これから確実に労働者の需要が増えるのは介護士と保育士、そして観光関連人材だ。
 (全て労働集約型なので、確実に労働力を必要とする)
 基本的にはみな人文系であり、自民と文科省のスタンスは根本的に間違っているのである」

「危険なほど速い少子化を放置して大学の粗製濫造を続けてきた自民党と官僚が、
 己の大失敗を隠して国民に責任をなすりつけている」

「教育・保育分野において雇用を創出したスウェーデンの積極的労働市場政策と比較すると、
 我が国の保守退嬰・自己保身の「選良」達は恥ずかしくなるほど程度が低い」

「福祉関連学部の惨状を見よ。
 労働者を低賃金でこき使い、選挙のためカネを高齢者にバラ撒き、 
 福祉利権と癒着してきた自民党と官庁がこの大失態を招いた元凶である」

「「社会的要請の高い分野」であるにも関わらず学生が集まらないのは、
 明らかに政策の失敗であり、与党政治家と官僚の能力が低く制度設計を間違えたからだ」

「日本の文教政策の最大の特徴は、農政以上の「猫の目」で
 明らかに失敗した政策でも全く検証されず誰一人として責任を取らない点だ」

「周知のようにロースクールが惨憺たる失敗になりつつあるのに、
 中教審は「専門職業大学」を構想しているらしい」

「理由としては「職業人に求められる能力も高度化・多様化している」とのことだが、
 「実務経験のある教員の配置」やインターンシップのように陳腐なメニューばかりだ。
 なぜ学部学科や課程の改変ではなく「大学」が必要なのか、まともな説明がない。
 そもそも審議会メンバーの能力に疑問があると言わざるを得ない」

「従来の文教政策も中教審の役割も厳しい検証が必要である。
 今までの失敗を誤摩化すために、安倍内閣のように
 新しい政策を打ち出して看板を代えるだけで終わっているなら税の無駄でしかない」

「文科相の「脱ゆとり宣言」も同じような無責任体質の象徴だ。
 「強靭化」というただの言葉遊びに過ぎず指標も数値目標も皆無、
 予算対効果も成果検証の概念も全く理解していない始末だ」

「おまけに流行のアクティブ・ラーニングまで持ち出して、
 政策検証ばかりかアクティブ・ラーニングも欠落しているのが
 中教審や官庁であることを自ら立証するものである」

「傲慢で現実を無視した軍上層部が無数の兵士を死なせた
 太平洋戦争とまさに同じ図式である」

「今回の「脱ゆとり」でも「専門職大学」でも
 学習能力のない愚かな失敗を繰り返すしかない」

と当ウェブログが指摘してきた通り、日本の近視眼の教育政策は相変わらずだ。

▽ アメリカでは、大卒者の48%が大卒資格が必要ない職に就いているという惨状である

『「教育超格差大国」アメリカ』(津山恵子,扶桑社)


安倍政権には、天下り問題を「根絶」などできる筈がない。

「英米で欠点が見えつつある制度を、
 いかにもバラ色の素晴らしいものであるかのように偽り、
 日本の粗忽で目立ちたがりの連中が喧伝する事例が多い」

「そうした「政策を売り歩く」輩に騙されて周回遅れで導入、
 見事に大失敗するという愚行はこの日本でよくある話である」

「ゆとり教育もロースクールもそうした失敗の一つで、
 次には専門職大学院とアクティブラーニングも同じ末路に至るだろう」

「安倍政権や文科省がそもそもアクティブラーニングができておらず、
 まともに検証していない政策を有権者受けだけ考えて打ち出すから失敗するのだ」」

「今、英米で問題になりつつあるのは、「オーバーエデュケーション」、
 つまり教育過剰で相応しい職が足りないという問題だ」

「日本も教育をいじくり回せば経済が回復できるように偽る詐欺師たちが大勢いる。
 なぜ日本より大学進学率の高い韓国が経済低迷に陥り、
 日本より大学進学率の低いドイツが日本より成長率も賃金上昇率も高いのか、
 そうした現実を無視している連中だから、絶対に信用してはならない」

「雇用市場の現状を踏まえた教育改革でなければ意味がない。
 そうした本質を教えているのが英米の抱えている問題であるが、
 安倍政権も文科省も視野狭窄で何も見えないまま失敗へ突き進んでいる」

「大卒である必要のある高度な職種がないと大学も意味がない。
 殆どの大学生は研究界ではなく実社会に出て働くことになるからだ」

「まして、安倍政権の失敗により経済低迷、実質賃金マイナスのままの日本では、
 大学教育の投資収益もマイナスになる可能性が極めて高い」

「流行るドラマには、必ずその放映時の社会背景に一致し、
 心理的要求に応える要素が含まれている」

「『逃げ恥』のヒロインは大学院卒で就職失敗、
 家事能力で必要とされて自己承認を得られるという役どころである」

「『逃げ恥』がこれだけ話題を呼んでいるという事実は、
 高等教育を受けていてもそれに相応しい所得や職を得られない、
 何十万人、年百万人という「みくり」(みくお?)がこの日本に存在することを意味している」

これまでの見当違いな施策への反省も全くなく、
経済政策同様に大根芝居と口だけの成果を掲げて誤摩化すであろう。
天下りもどうせ、一罰百戒で幕引きにするしか芸のない政権なのだから。

 ↓ 参考

「逃げ恥」が予言する、日本の大学改革の失敗 - 英国で「大卒者の増加が経済にマイナス影響」との警告も
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/5fd28cdf6aa2f330050b8d3b0db01af5

ロースクールを失敗させた文科省、専門職大学院もアクティブラーニングも同じ運命に - 反省皆無の惨状
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/9a0ef0c26d3a1876f3273a69f83a2156

教育世界一でも日本経済停滞、教育改革論者は信用できない - 国際成人力調査PIAACの結果より
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/0f0655df5ffb8fbd6d173b2ec18ecaea

文科省が認可した大学でも、続々と定員割れになっている - 問題の本質は田中真紀子大臣の不認可ではない
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/6839b2d4f7aa07d1ad724d2146a3415e‎

大学生に責任転嫁する中央教育審議会、自らの分析不足を認識せず -「勉強時間」しか判断基準がない貧弱さ
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/62943717b497b8613c43f5d980ed62b1

▽ 日本の教育改革は総じて、場当たり的で目先しか見ない愚かな議論と政治によって決まる

『格差社会と教育改革』(苅谷剛彦,岩波書店)


文科次官辞意:天下りあっせん「他省庁でも」(毎日新聞)
http://mainichi.jp/articles/20170119/k00/00e/040/224000c.html‎
”「国民の批判は強い」「やむを得ない」。文部科学省の「天下り」あっせん問題で同省事務方トップの前川喜平事務次官(62)が辞任の意向を固め、省内に衝撃が広がった。
〔中略〕
 関係者によると、文科省では以前から、人事課の幹部職員らが中心になって、個室が与えられる各局の幹部職員らの天下りをあっせんしてきたという。ある職員は「実際にあっせんに関わるのはごく一部だが、前から続いている」と明かした。
 2007年の改正国家公務員法成立で天下りの規制が強化されたこと自体は多くの職員が認識しているが、再就職については定年退職が近くならなければ意識することは少ないため、細かな規制の内容について知る職員は多くはないという。
 一方、この職員は「他省庁ではもっと大規模に天下りが行われ、人事課の課長級以下の職員までかかわっている役所もあると聞く。再就職等監視委員会に情報提供があって調査が始まったと考えられるが、『なぜ文科省だけが責められるのか』と多くの職員が感じているのではないか」と省内の“本音”を代弁した。
 また、ある幹部職員は「首相官邸としては次官の辞任で幕引きを図りたいのだろうが、他省庁でも天下りがあるのは霞が関の常識で、他の役所にも問題が発展する可能性がある。その場合にも次官を辞めさせるのかどうか。あしき先例になる恐れがある」と話した。【佐々木洋】
◇最近の主な省庁トップの辞任・退任(※組織名、肩書は当時)
2011年8月 原発シンポジウムの「やらせ問題」の責任を取り、経済産業省の松永和夫事務次官ら関連省庁トップ3人が辞任
 10年12月 元特捜検事の証拠改ざん事件後、大林宏検事総長が辞任
 09年9月 公務員制度改革を巡り政府・自民党と対立した谷公士人事院総裁が辞任
 07年8月 小池百合子防衛相と対立した守屋武昌事務次官が退任
 02年1月 牛海綿状脳症(BSE)問題を受け、農林水産省の熊沢英昭事務次官が辞任
 02年1月 小泉純一郎首相が国際会議でのNGO排除問題を巡り、外務省の野上義二事務次官を更迭
1999年11月 茨城県東海村の臨界事故とH2ロケット打ち上げ失敗を受け、科学技術庁の岡崎俊雄事務次官が辞任
 98年11月 防衛庁調達実施本部の背任事件を巡る証拠隠滅疑惑を受け、秋山昌広事務次官が辞任
 98年1月 大蔵検査官の接待汚職事件を受け、大蔵省の小村武事務次官が辞任
 96年11月 社会福祉法人からの利益供与問題で厚生省の岡光序治事務次官が辞任”

いち早く、毎日新聞が文科省の本音と
霞が関に蔓延っている天下り隠蔽の現状を伝えている。
厳しく調査したら、ほぼ全での省庁で隠蔽問題が発覚するだろう。


天下り:背景に補助金、悪弊消えず…文科次官辞任へ(毎日新聞)
http://mainichi.jp/articles/20170120/k00/00m/040/075000c.html
”文部科学省の天下りあっせん問題は、事務方トップの辞任へと急展開した。再就職等監視委員会が発足するなど規制強化へと手は打たれてきたが、違反行為は後を絶たない。【伊澤拓也、大場弘行】
 天下りのあっせんは、2008年施行の改正国家公務員法で全面的に規制された。従来は離職後2年間について、離職前5年間に在職した国の機関と密接な関係がある営利企業への再就職を原則禁止しただけだった。改正のきっかけとなったのは、06年に発覚した国土交通省の水門工事談合事件と、農林水産省所管の緑資源機構談合事件。省庁OBらの受け入れが多い企業に優先受注させたことが厳しく批判された。
 改正とともに設置した政府の再就職等監視委員会を12年に始動させ、癒着につながるような天下りに目を光らせるが、これまで違法と認定したのは2例にとどまる。この2例はいずれも個人の不正行為と結論付けており、今回、組織ぐるみの違法な天下りを認定すれば初のケースとなる。
 こうした規制強化の後も文科省で天下りあっせんが疑われる背景には、特有の事情がありそうだ。私立大は文科省から私学助成金などさまざまな補助金を受け取っており、文科省とのパイプが補助金確保に有利となるとの見方がある。日本私立学校振興・共済事業団によると、私立大の運営費に占める国の補助金の割合は15年度で9.9%。年々減少しているものの、文科省は特色がある教育を支援する特別補助金事業を創設するなど、一律ではない新たな補助金もつくっている。
 天下りについて詳しい太田肇・同志社大教授(組織論)は「経営難に苦しむ私立大は予算配分に強い関心を持っており、文科省の影響力は大きい」と指摘。そのうえで「補助金を受けやすくするために天下りを受け入れることはあり得る」と警鐘を鳴らす。
〔中略〕
 新藤宗幸・千葉大名誉教授(行政学)は「文科省は過去に多くの職員を天下りさせており、組織の中に悪弊として残っていたのではないか。不正を根絶するために、定年まで省庁で働く人を増やすような取り組みが必要だ」と指摘した。”

この毎日記事も非常に素晴らしい。
元文科省官僚の寺脇氏のコメントは省略したが、そちらも読んでおきたい。

補助金行政が天下りの温床であることが明瞭に分かる。
いま安倍政権は東京五輪関連分野や「働き方改革」でも補助金バラ撒きを行っているから、
間違いなく天下りや癒着が今この瞬間も黴のように広がっている筈だ。


天下り斡旋、氷山の一角 文科省、組織的に関与(産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170120-00000066-san-soci
”■2カ月で再就職横行
 国家公務員が関係の深い民間企業などに再就職する「天下り」。平成24年に再就職等監視委員会が始動するなど規制強化が進められているが、文部科学省で今回発覚した斡旋(あっせん)問題は氷山の一角とみられる。離職から再就職まで2カ月程度と短期間のケースが多いからだ。水面下で組織的な斡旋が行われているのは「暗黙の了解」(関係者)との見方もあり、根は深い。
 管理職だった国家公務員が民間企業や団体に再就職した場合、離職後2年間は内閣人事局への届け出が必要となる。
 文科省の場合、管理職だった職員の再就職先は民間では学校法人が多い。27年度に再就職を届け出た元管理職の約3割が大学や中学・高校などを運営する学校法人に職を得ており、業務内容は「教育・研究」となっている。
 定員外の一時的な職名である「大臣官房付」を最後に59歳か60歳で離職するケースが一般的で、法人や法人が運営する大学の事務局長、副事務局長に就任するケースが目立つ。法人理事や大学副学長といった肩書もみられた。
 ただ、注目されるのは離職日から民間の企業や団体に再就職するまでの期間が短いことだ。退職から2カ月後に早稲田大学教授に再就職した元高等教育局長のケースと同様に、2カ月程度と短い場合が多い。
〔中略〕
 同省では、在職中の求職活動や人事課などによる組織的な斡旋が横行している可能性も否定できない。
 再就職の透明性を高めるために設けられた内閣府官民人材交流センターもほとんど活用されておらず、再就職活動の実態は不透明なまま。再就職の斡旋を規制した19年の改正国家公務員法の成立以降、再就職活動は厳しくチェックされているが、斡旋行為は続いているようだ。
 「受け入れ先との間で記録の残るやりとりはしない。再就職する職員との電話でも、用件が再就職だと分からないように話す」。別の省庁関係者はこう打ち明ける。
 「“あうんの呼吸”で通じる団体や企業を選んでいる」という関係職員もおり、歴代のOBによって引き継がれているポストも少なくない。
OBに退いてもらえるよう現役幹部が関与するケースもあるという。”

天下り隠蔽の実情については、この産経報道が優れている。
歴代自民党政権が裁量の大きい補助金バラ撒きを行っているから、
このように隠れた天下りが温存されるのである。


根深い関与、体質露呈=私学助成で癒着も―文科省(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017012000853&g=soc
”文部科学省の天下りあっせん問題で、政府の再就職等監視委員会の調査結果は、人事課OBを仲介させるなど組織ぐるみのあっせんが常態化している同省の体質を浮き彫りにした。同時に、助成金の配分で関わりの深い同省と私立大の癒着も改めて露呈した。
 監視委の調査や文科省によると、人事課が退職予定者の個人情報や法人からの求人情報を同課OBに提供し、適任者を「マッチング」してもらう手法が横行。2008年末に施行された改正国家公務員法で、省庁によるあっせんが禁じられたのを受け、規制違反を免れようと09年ごろから行われているという。引責辞任した前川喜平前事務次官も文科審議官だった16年3月ごろ、このOBを介して退職予定者の再就職をあっせんしていた。
 また、今回問題となった早稲田大教授に再就職した元高等教育局長のように、大学行政を所管する同局出身者が私立大に再就職するケースは多い。資金獲得で有利になるよう私大側がOBを受け入れる構図が、天下りの温床となっているとの指摘もある。
〔中略〕
 同省は一連の問題を受け、天下り規制に関する業務を、違反に関与していた人事課から総務課に移管。松野博一文科相は「省全体として法令順守の意識が不足していた」と認め、研修を通じて職員の意識改革を徹底するとした。再発防止には、組織ぐるみの慣習や私大との関係など根深い体質の改善も求められる。”

松野文科相は「法令順守の意識が不足」としているが、とんでもない。
「法令順守の意識が全くなかった」の誤りである。
文科省の法令順守どころか法令無視の実態ははっきりしている。


天下りあっせん:手口は二つ「現職ルート」「OBルート」(毎日新聞)
http://mainichi.jp/articles/20170121/k00/00m/040/146000c.html
”◇「OBルート」規制強化の直後に構築、事実上骨抜きに
 文部科学事務次官の辞任に至った文科省の天下りには、人事課による「現職ルート」と、人事課OBを介する「OBルート」の二つが存在していた。政府の再就職等監視委員会の調査によると、OBルートは2008年12月の改正国家公務員法施行で天下り規制が強化された直後に構築されていた。規制は事実上骨抜きにされていた。
 文科省の違法な天下りが発覚する端緒になったのが現職ルートだ。16年に内閣人事局が取りまとめた再就職届で、吉田大輔・元高等教育局長の早稲田大再就職が判明。採用面接が文科省退職のわずか2日後だったことから、監視委は在職中の再就職準備やあっせんを疑い、調査に着手した。
 その結果、吉田元局長の在職中に人事課が受け入れを早稲田大に打診し、元局長と共に作成した履歴書や研究業績に関する資料を送付して採用面接の日程調整まで担った実態が分かった。
 違法行為の偽装・隠蔽(いんぺい)は徹底していた。「元局長の文科省時代の3年先輩で、早稲田大に再就職したOBが仲介した」。人事課は虚構をつくりあげ、元局長と早稲田大の人事担当者に口裏合わせを依頼した。監視委の調査に備えた想定問答まで用意した。元局長らは調査に対し、数カ月にわたって虚偽の説明を続けたという。際立つ悪質さに、監視委は「こんな組織的な天下りは初めて。驚いた」と漏らした。
 一方のOBルート。監視委によると、大学や企業からの求人情報が人事課に流れ、人事課が仲介役OBに求人情報と退職予定者の個人情報を提供した。監視委は100件以上の情報提供を確認している。
 仲介役OBは求人と求職をマッチングし、その結果を法人や人事課に伝えていた。監視委によると、人事課による情報提供自体に違法性はないが、現役職員が仲介役OBを通して特定の人物の再就職に関与すると違法になる。辞任した前川喜平事務次官はこのパターンだった。
〔中略〕
 OBを使った仲介は他省庁にもある。国土交通省の複数の幹部は「再就職を仲介する大物OBが調整している」と話す。
 「私は来年辞める。いい人がいたら教えてほしい」。企業や団体に再就職したOBからそんな連絡があれば、仲介役OBが調整に乗り出すという。建設、不動産など分野ごとに仲介するOBがいるといい「OB同士が連絡を取り合って、後輩の退職時期などを情報交換している。長年引き継がれた慣習だ」と明かした。【佐々木洋、金秀蓮、杉本修作、内橋寿明】
◇背景に「官僚の独特な組織構造」
 天下りのあっせんがなくならない背景には、官僚の独特な組織構造がある。キャリア官僚で事務方トップの事務次官になれるのは通例では同期入省の中で1人だけ。ほとんどは40代後半から次々と役所を去り、その結果、「ピラミッド型」と形容される組織になる。
 そうした出世競争からふるい落とされる官僚の受け皿になる天下り先にもメリットがある。業務を所管する中央省庁とのパイプができるからだ。

 国交省や厚生労働省などに比べ、文科省は民間企業との接点が少ない事情が今回の不正の背景にあるとの見方もある。元文科省大臣官房審議官の寺脇研・京都造形芸術大教授は「天下り規制が強化され、今まで以上に再就職先に苦労するようになったのでは」と話す。
 天下りに詳しい中野雅至・神戸学院大教授(行政学)は「官僚組織が変わらない限り、天下りはなくならない」としたうえで「能力のある官僚が自らの力で再就職すること自体は何も悪くない。天下りのあっせんとは明確に区別すべきだ」と指摘する。文科省の不正を突きとめた再就職等監視委員会についても「今回も含めて違法認定したのは3例で、少なすぎる。組織的なあっせんを許さないという姿勢をもっと見せるべきだ」と注文した。【伊澤拓也】”

このように、監視委が仰天するような隠蔽の実態だ。
日本の教育問題にはここまで熱心に取り組んでいたのだろうかと
つい疑いたくなるような入念で巧緻な裏工作の数々である。

早期退職と再就職の仕組みを根底から変えないと、
こうした隠蔽と癒着の構造はなくならないであろう。


文科省、天下り規制の研修せず 19日にも監視委から調査結果(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO11858460Z10C17A1CC1000/
”文部科学省の元幹部が組織的あっせんを受け再就職したとされる疑惑で、国家公務員の再就職規制が厳格化された2007年の法改正以降、再就職の規制に関する研修が省内で実施されていないことが18日分かった。内閣人事局は各省庁に制度の周知を求めているが、徹底されていない。
 政府の再就職等監視委員会は、19日にも同省に調査結果を通知する見通し。
 問題になっている元幹部は文科省の元高等教育局長。15年8月に文科…〔以下略〕”

日経新聞がかなり早い段階でこの記事を出している。
文科省が真面目に法例を守る気がなかったこと、
天下りを何ら問題視せず、寧ろ隠れて維持しようと考えていたことは明白である。


天下り:文科省が隠蔽工作 架空話でっち上げ「想定問答」(毎日新聞)
http://mainichi.jp/articles/20170125/k00/00m/040/097000c.html
”文部科学省が元高等教育局長の早稲田大への天下りをあっせんしていた問題で、文科省人事課が違法行為の発覚を防ごうと、関係者の口裏合わせのために作成した想定問答の内容が分かった。実際には無関係の文科省OBが再就職を仲介したという話をでっち上げ、組織的な隠蔽(いんぺい)工作をしていた。元局長、早大、OBの3者それぞれに想定問答を用意して口裏合わせを依頼する徹底ぶりだった
 天下り問題を追及している民進党の要求に応じ、文科省が24日、想定問答の文書を開示した。
 政府の再就職等監視委員会の調査によると、文科省人事課の職員らは吉田大輔元局長が在職中の2015年6〜7月、早大への再就職を打診して履歴書を送付したり、採用面談の日程調整をしたりしていた。
〔中略〕
 しかし、想定問答では実際とは逆に、大学側が高等教育行政に詳しい人材を求めたいと考えて、以前、早大に勤務していた文科省OBに仲介を依頼した−−という虚偽のストーリーを設定。(1)OBが15年7月下旬の報道発表で吉田氏の退職を知り、早大に「吉田氏なら採用の可能性があるか」と電話連絡(2)大学側は「吉田氏なら是非連絡をとってほしい」と回答(3)OBが吉田氏と早大副総長との面談日時を調整−−など、実際にはなかった会話のやりとりを作り上げていた
 早大などの説明によると、早大の人事担当者は16年8月にあった監視委の1回目の調査では想定問答に基づいて虚偽の回答をしたが、11月の2回目の調査で口裏合わせの事実を認め、違法な天下りのあっせんが発覚した。
 国家公務員法は省庁が職員の再就職をあっせんすることを全面的に禁止しており、監視委はOBが仲介した形を取ることで合法性を装ったとみている。【佐々木洋、遠藤拓】”

この隠蔽工作に、文科省の体質が露骨に出ている。
国益より省益、国民には情報を出さない、
都合の悪いことは全力で隠す、ということであろう。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2017年1月第4週チャート

2017-01-29 | 注目投資対象・株価の推移
水曜からのダウ急伸でまず東証が、次にドル円が吊り上げられた形。
木曜迄にショートは終了でロングに切り替えなければならない状況だった。
ネガティブな米GDPにも負けずに強含みの展開だったので、
俊敏な海外ファンド勢はまだ上を狙っているものと見える。

FOMCと雇用統計に備えて買い戻しは来るだろうと見ていたが、
思いの外に早く切り返してきたという印象である。

さて今週はISM、FOMC、雇用統計と忙しい週になる。
FOMCは大方の予想通りに無風だろうが、
だからと言ってボラティリティが高まらないとは言えない。
トランプへの失望売りはいつ起きてもおかしくないので依然として要警戒である。


ドル円はダウや東証に比べれば戻りが鈍く、株式に引き摺られる形か


何故か豪ドルが強含み


動きの極端なポンド、急反落に注意



為替より貸借倍率で動いている印象、マツダの回復が鈍い


7606がインデックスに逆行している、原油反落はひとまず小休止


Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『週刊ダイヤモンド』1月28日号-「米中は75%の確率で覇権戦争に至る」、〝トゥキュディデスの罠〟か

2017-01-27 | 『週刊ダイヤモンド』より
今週の『週刊ダイヤモンド』の地政学特集はかなり良かった。
今後、メディアが「地政学特集」を組む際のデファクトスタンダードになろう。
(勿論、あくまでも国内でのデファクトであるのだが)

ジオポリティクスは日本国内で生まれた学問ではないので、
海外の理論としてまず正確に理解し(だから半可通の日本人は避けるべき)、
各理論や概念の生まれた世界背景を押さえるとともに
具体的な事例で検証するという知的作業が必要不可欠である。

このダイヤモンドの特集は、古典的な地政学理論を紹介するとともに
現代世界における各国の視点を対比し、リスク要因を浮かび上がらせている。

「トゥキュディデスの罠」からは米中の衝突が
(特集では「戦争」だが、「衝突」が正しいと思う)
75%の確率で起きるという結論が導き出されている。

但し、第二次世界大戦後は覇権争いが起きても戦争の「回避」が増えている。
各国間の経済的関係が深まった(つまりグローバル化)が原因と思われるが、
トゥキュディデスの罠も決して未来を予言するものではないことには留意したい。
実際、今の中国は低成長化による諸問題への対処に悪戦苦闘しており、
対外的に事を構える余裕があるようにはとても見えない。

この特集でシミュレーションしているような日中間の軍事衝突がもし起きたら、
人民解放軍の飽和攻撃で初戦は甚大な打撃を受けるのは間違いない。
小規模の限定衝突なら兵器と人員の質に優る日本の優位、短期の大規模衝突なら人民解放軍の優位、
時間が経って米軍が本格的に動き出したら日米の勝利であるのは確実であるので、
簡単に日本の優位と決めつけるのは間違った結論であろう。

『週刊ダイヤモンド』2017年 1/28号 (劇変世界を解く 新地政学)


メイン特集はエネルギー分野だけは凡庸だが他はかなり良い。
特に、「中東三国志」の捉え方は的確と思う。

ロシア国家・国民性の歴史的分析はかなり良いが、
ロシアは軍事面以外ではもはや大国ではないので
実力を過大評価しているような印象である。

また、当ウェブログが注目しているトッドの主張については
54頁で近著の内容を元に綺麗に整理しているのが良い。

但し、トッドはユーロについて今のところ予言を外しているので
「ドイツ帝国」は明らかな過大評価と考えた方が正しく、
ユーロが失われフランとマルクに戻ったら大幅通貨変動と経済混乱は必至だから
ユーロを維持するためだけに欧州各国は協力し合う可能性が極めて高い。
(ユーロのもたらした為替の安定性は死活的な威力を持っており、ユーロ圏はもう引き返せない)

    ◇     ◇     ◇     ◇

『週刊エコノミスト』の「徴税強化」特集は想定内の内容だが良かった。

資産逃避が続いているそうだが、別に日本にとっては出て行って貰った方が望ましい。
25頁を見れば分かるように、質の悪い富裕層は相変わらず経済成長できないとか
財政再建できないとか散々に陳腐な捨て台詞を繰り返しているが、
その大義名分の裏には利己的な守銭奴の本性が透けて見えている。

OECDは寧ろ、格差が経済成長を阻害するととのレポートを公表しているし、
ロシアやメキシコの大金持ちが母国の経済成長に本当に貢献しているか、
よくよく考えてみれば良かろう。
アメリカにしろ、今は重税のスウェーデンに成長率で敗北している始末だ。

他罰的な貧困層と税制批判ばかりの富裕層は精神的によく似ており、
(日本で稼ぎカネを受け取っていながら文句を言う点で酷似している)
シンガポールでも香港でもどこへでも出て行って貰って構わない。
税負担が軽くなる分、日本で消費して貰えばいいだけの話である。

日本の低成長と財政悪化は人口要因と高齢層バラ撒きのためであり、税制など関係ない。
(事実、高齢者三経費が激増するとともに生産性がガクンと下がって上昇しなくなった)
被害妄想の強い富裕層のメンタリティは、僻み根性で凝り固まった中流層の利己主義とも
鏡に映したようにそっくりであり何ら変わるところはないのだ。

『週刊エコノミスト』2017年01月31日号


「「シズム論」は所詮、リフレ派の最後のあがきでしかない」と先週書いたが、
想定内の内容だった。アメリカでは成長率が低下し金融政策の限界が見える中で
財政出動との合わせ技が考えられているようだが、これは既に日本で失敗している。

安倍政権が行っている程度の低い「アベノミクス」こそシムズ論の「走り」である。
見事に失敗して吃驚するような低成長・実質賃金低迷に陥っている日本経済を見れば、
シムズ論がただの思い付きに過ぎないのは明らかである。

同時に、スウェーデン経済にパフォーマンスで完全に劣ってきた
アメリカ経済の斜陽と識者の無力が明確になってきたと言えよう。

    ◇     ◇     ◇     ◇

『週刊東洋経済』の「マイホームが「負」動産になる」は良い特集だった。
「市区町村別 空き家率ランキング」は保存版だろうし、
首都圏でも空き家の実態がかなり深刻であることが分かる。

「マンション建て替え」の大変さもこの特集で理解できるだろう。
当ウェブログは前々からタワマンのリスクの高さを指摘してきたが、
この特集の「超高層マンションは廃墟化する」はまさに予想通りだった。

建て替えできるかどうかすら分からないタワマンは、そもそも歴史が浅過ぎる。
想定外の事態が起こる可能性も考慮しておかなければならない。

『週刊東洋経済』2017年1/28号 (マイホームが「負」動産になる 持ち家が危ない)


記事「「働き方」どころじゃない 繰り返される組合潰し」は良かった。
ただ、組合を潰す企業に社会的制裁が加えられない限り事態は変わらない。
ブラック企業アワードだけでなく、例えば悪質事例の調査報道を行う、
不買運動を展開して悪質な企業や経営層に打撃を与えるなど「行動」が必要である。

    ◇     ◇     ◇     ◇

次回も東洋経済に注目、原発とともに轟沈しかかっている東芝特集である。

▽ まさにOBの証言通り、「原子力部門が優遇されすぎた」のが元凶であろう

『週刊東洋経済』2017年1/28号 (東芝解体 沈没する19万人企業)


▽ ダイヤモンドは先週の東洋経済特集より価格に拘ってきめ細かくしたような感じ?

『週刊ダイヤモンド』2017年 2/4号 (上げ下げマンション大調査)


▽ 「廃炉は8兆円で済まない」と皆が思っていることを代弁したエコノミスト特集

『週刊エコノミスト』2017年02月07日号

河野太郎+泉田裕彦という絶妙な人選によるインタビューも見逃せない。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2030年に日本の製造業が温暖化ガス排出量を14%削減へ-東南アジアへ排熱発電の輸出開始、省エネは威力大

2017-01-26 | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える
安倍政権が原発を輸出しようと過剰保護政策を進めているが、
早くもベトナムへの輸出に失敗し自業自得の有様になっている。
(たとえ案件が取れても、アレヴァを見れば分かるように原発は投機的な分野だ)

一方、日本企業によるアセアンへの排熱発電システム輸出が決まった。
省エネの方が堅実でリスクの少ない「優等生」で、原発とは比較にもならない。

また、日本国内での省エネも着々と進んでおり、
利権にたかる保守退嬰企業とは違い、製造業は大幅な排出二酸化炭素削減を狙っている。
2030年までに14%ものカットができるとしているそうだ。

省エネにより日本経済が成長することは間違いないと言えよう。
そして、省エネを妨害する原子力は日本経済のため撃滅しなければならない。

但し、製造業だけの省エネでは不充分である。
エネルギー転換部門での無駄こそが「隠れたエネルギー」なのであり、
大型発電所でのエネルギーの垂れ流しを徹底して削減し、
熱需要地でのコージェネレーションを強力に推進しなければならない。

また、ここ数年は地中熱による省エネの技術進歩が著しい。
熱需要の少ない西日本では安全安心で無尽蔵の地中熱による省エネで、
安く快適な空調を実現しておまけにエネルギー消費も減らすことができる。

この二つの省エネ政策によって、日本も欧州国のように
エネルギー効率を高めつつ経済成長率を実現することができるのだ。

▽ 欧州の高成長国は寧ろエネルギー消費を減らしている、エネルギー消費が多く低成長の日本と真逆

『欧州のエネルギーシフト』(脇坂紀行,岩波書店)


▽ 原発利権勢力はメディアにカネをバラ撒いて国民を騙し、省エネ再生可能エネを妨害してきた

『原発プロパガンダ』(本間龍,岩波書店)


いかに優秀な個々の企業が省エネに邁進しても、
政府のエネルギー政策が古臭くて利権擁護なので残念なことだ。

「現政権は骨の髄から利権癒着の自民党が主体、
 エネルギー関連の審議会・委員会は利害関係者が背後で操る茶番となり
 まるでかつての「満州国」状態で魑魅魍魎が跋扈する現在、
 国のエネルギー政策には全く期待できない」

「パー券や献金をたっぷり貰ってそのお礼に
 せっせと利権勢力にカネを流す腐敗政党がのさばっている以上、
 日本経済の成長も抑圧されることは間違いない」

「「危機的な電力不足」「人命にかかわる」と喚いて国民を脅し、
 原発再稼働に持っていこうとする利権勢力とその手先のプロパガンダは
 案の定ながら真っ赤な嘘であることが明らかになった」

「電力不足という脅し文句が通用しなくなったので、
 「電力料金高騰で国民負担が増加」「日本経済に打撃」
 「温暖化対策として原発再稼働が必要」
 などと、心にもない厚顔無恥な口実を唱えている」

「国民には隠している本音を翻訳すると
 「国民負担を口実にして原発を再稼働し、左団扇で儲けたい」
 「温暖化対策を利用して参入障壁の高い原子力でカネを貰いたい」
 「原発停止は我々にとっての重大な打撃」
 といった意味でしかない。利己的な彼らは決して本音を語らないので
 賢い有権者はそれを見抜かなければ騙されて食い物にされるだけである」

「原発で国民のカネをふんだくり、安定的に稼ぐには省エネは邪魔である。
 だから、最近は世界のトップクラスから脱落しかかっている日本の省エネ分野の劣勢に沈黙し、
 エネルギー効率を高める投資を妨害しているのである」

「何しろ、日本で最もエネルギーの無駄を生み出しているのは発電部門であり、
 発電部門で効率化を進めることは電力利権・原子力利権から力を奪うことになるからだ。
 特に、いずれ日本の電力供給の15%超を担うと予想されているコージェネレーションは、
 利権勢力にとって最大の脅威なのである。(国民にとっては大きな恩恵だが)」

「予想通り、保守退嬰な経済団体のプロパガンダは真っ赤な嘘であった。
 原発停止で電力コストが上昇しただの、五重苦だの六重苦だの言いながら、
 大幅円安という他力本願で収益が急回復しても国内投資増どころか
 寧ろ海外投資を進める彼らの二枚舌は、国民を欺くものである」

「日本保温保冷工業協会が調べたところ、日本の工場では保温材の劣化だけで
 消費エネルギーの3%が無駄になっており、何と原発7基分のロスとなっているそうだ」

「経済団体が省エネ投資を怠る劣等企業を擁護する圧力団体に過ぎないことは、
 この調査からもはっきりと分かる。つまり仲間内にばかり甘くいのである。
 情報操作を行って政策を操り、それによって稼ごうとする圧力団体の思惑は、
 営利企業としてはごく自然な行為であるが、公益を害するものでもある」

「原発再稼働により利害関係者がカネにたかろうとすることで、
 我が国の省エネ投資が進まず国富損失と投資停滞につながるからだ」

「論より証拠、コマツは驚異的な省エネを実現した工場を国内で立ち上げているし、
 最近では静岡ガスが年間エネルギー消費を半減させる省エネ本社を実現させた。
 公費にたかってエネルギーを垂れ流す原子力より、遥かに我が国の経済に貢献しているのだ」

「最近、密かに注目を集めている地中熱利用において、
 初期コストが半分以下になる革新的な工法が開発されたのだ。
 (風力や太陽光を除き)資源に乏しい我が国にとっては、油田を発見したに等しい手柄だ」

「レント(利権)でかつ「隠れた高コスト」の原子力が論外なのは当然として、
 再生可能エネルギーの推進もきちんとコスト面を考慮して行われているとは言えない」

「何故なら、エネルギー効率で最も有利なのは火力でも原子力でもなく、省エネだからである。
 特に地中熱利用と寒冷地のコージェネはエネルギー効率でもコスト対効果でも極めて優秀である。
 (発電コストだけなら石炭火力が最強であるが、これはエネルギー効率が極めて低い)」

「更に、省エネはエネルギー安全保障や災害時においても非常に優れている。
 コージェネの拡大により大幅に天然ガスの輸入を削減できるし、
 半永久的に利用できる地中熱は、まさに「純国産」かつ「災害に強い」エネルギーだ。
 半永久的に有害な核物質を排出する「劣等生」原子力とは大違いである」

「安倍政権は温室効果ガス削減策でも歴代自民党政権同様にレヴェルが低く、
 「次世代地熱発電や蓄電池」のイノベーションに注力するなどと
 相変わらず実効性に欠けるどうしようもない無能ぶりを発揮している」

「所詮は温室効果ガス削減目標もアベノミクス同様の「口だけ」で、
 コージェネや地中熱といった強力な省エネを怠り、環境税で投資促進もできない、
 「次元の低い」目標になり下がっている」

「その証拠に、アメリカのシンクタンクが2000年〜14年のデータを比較した結果、
 アメリカとドイツは高成長なのにCO2排出量を減らし、
 日本は低成長にも関わらずCO2排出量を増やしていたことが分かった」

「日本は、資源エネルギー庁が認めているように
 エネルギーの半分以上を熱として捨てている国である。
 日本企業には優れた省エネ技術がありながら、怠けて投資を怠っているのだ」

「低コストで低炭素と投資増、経済成長を同時に実現するためには、
 コージェネや地中熱利用といった省エネの加速が本道であるだが、
 ひとつには政権の認識が間違っていて決定的に政策が劣るため、
 更には「乾いた雑巾」説を吹聴して省エネ投資を怠っている財界への甘さのため、
 こうした省エネによる経済成長は夢のまた夢となっているのだ」

膨大な熱を垂れ流している発電部門を放置し、
優れた省エネ技術の活用を怠る安倍政権の愚かなエネルギー政策こそ、日本経済の癌細胞だ。

▽ ドイツのようにコージェネ発電を買い取ってエネルギーを効率化すれば、日本も経済成長できる

『エネルギーを選びなおす』(小澤祥司,岩波書店)


予想通りではあるが、本当に情けない結果である。

「矢張り原子力は省エネの敵、ひいては日本経済の敵であることがはっきりした。
 原発が停止して以来、日本のエネルギー消費が急実に減っているのだ」

「原子力の発電シェアと日本の経済成長率が寧ろ負の相関であること、
 近年には原発再稼働を始めると同時に成長率が下がったという明白な事実からも
 傍証は揃っていた訳だが、エネルギー消費でも改めて立証されたと言える」

「僅かな期間で、しかも事前の用意が充分でなくいきなり福島原発事故が起きたのに、
 10%近い大幅な省エネが実現できたのは大きな成果である」

「ドイツ並みにコージェネが拡大し、地中熱が普及したら
 10%どころかそれ以上の驚異的な省エネが実現し、国内経済が活性化するのは間違いない」

「原子力の特徴として挙げられるのは「出力調整が出来ない」ことであり、
 そうした意味では太陽光発電や風力発電と何ら変わらない」

「国民を騙す気満々の原子力利権勢力は、「安定的な電源」と欺瞞的な言葉を使うが、
 それは実質的には「我々にとっての安定的な金づる」であるに過ぎない」

「だからこそ昼も夜も原子力の電気をたっぷり使って
 原子力利権勢力にカネを貢いでくれないと困るのである」

「彼らが最も儲かるスキームが、エネルギー効率の面では劣等生である「オール電化」だった。
 省エネは「原子力で儲けたい連中」にとっては邪魔になるものだから、
 表向きは「乾いた雑巾」説や「原子力はクリーン」説を垂れ流し、
 裏では国民に隠れて省エネや風力といった「邪魔者」を弾圧してきたのである」

「本間龍氏が彼らが垂れ流したプロパガンダを暴いており、
 1991年に科学技術庁と原子力文化振興財団が委員会を作り
 言わば「宣伝方針」を決めたことが分かっている」

「その委員会のトップこそ中村政雄・元読売新聞論説委員であり、
 「信頼感を国民に植えつける」という傲慢不遜な表現で国民を侮辱し、
 真っ向から民主主義に敵対する暴言を文書の形で残している。
 業界団体だけでなく、メディア人や官庁の人間が最初からプロパガンダに加担していたのだ」

「2014年以降に急激に原発広告を増やした新聞は読売と産経であり、
 社説で原発再稼働を擁護しつつ原子力事業者からカネを受け取るという、
 メディアとして恥ずべき状況にあることも明らかになっている」

「これは事実上、「カネを貰って記事を書いた」に等しい。
 読売も産経も、社説でエネルギー政策を論じる場合は、
 自社が事業者や原子力関連団体から貰った広告費を公表すべきであろう。
 (原子力利権勢力はカネの出所を粉飾することがあるので、当然それも含め公表しなければならない)」

「読売新聞の橋本五郎・特別編集委員が原発広告に登場するのは当然だったのだ。
 メディアでコメントをしていること自体も社の「営業活動」であり、
 原子力事業者を利する行為だと見ることができる」

「日本のエネルギー政策が旧態依然の利権擁護を続けていること、
 日本経済が低迷を続けていることは、当たり前ではないか!」

エネルギー政策でも思考停止の安倍政権は、存在自体が経済の害悪になっている。

 ↓ 参考

原発停止により発電所およそ36基分、大幅な省エネが実現した -「隠れた燃料」が日本経済を救う
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/90295e202ee99eec6f6a80d3add73b53‎

米独は高成長でCO2排出減、日本は低成長でCO2排出増 - 日本の省エネが進まないのは政策面で劣るため
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/7b52996e488d7946b67df37bed16cd77‎

H型杭を利用した格安な地中熱冷暖房、初期コストが約3分の1に急減 - 福井大と三谷セキサンの革新的開発
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/894adea03314c7377886a4bf250e1c63

2030年までに省エネで18%もの節電が可能、経済効果の大きさは明白 - 利権勢力は早くも妨害開始
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/b4d7191adce4c1e713d0a4f72566aa09

地中熱で4割以上の大幅省エネ、ビルの熱融通でも4割省エネ - 原発停止で投資増・経済成長は確実
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/d12c722e3eaf9563ceb892613dba7e49‎

▽ 省エネ関連分野には兆円規模の成長余地があり、確実に日本経済に貢献する

『原発を終わらせる』(石橋克彦,岩波書店)


製造業、温暖化ガス削減加速 30年度14%減 本社調査(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ20ICO_Q7A120C1MM8000/
日本の主要製造業が2030年度の温暖化ガス国内排出量を13年度比14.4%減らせる見通しであることが、日本経済新聞社の第20回環境経営度調査でわかった。温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」を受け、政府が掲げた地球温暖化対策計画の目標を上回る。先進的な環境対策を進めてきた自動車業界などで、本業の競争力に直結するとして一段と深化させる動きが相次いでいる。
 16年11月に発効したパリ協定にあわせ、政府…〔以下略〕”

矢張り日本の製造業は優秀だ。
雇用を生み出す力は以前よりも低下しているが、
省エネが経済を前進させる動力だということをよく理解している。


工場向け排熱発電、東南アで販売 NTTデータ経営研(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO11450140X00C17A1TJC000/
NTTデータ経営研究所は、東南アジアでセメント工場の排熱発電設備の販売を始めた。まずベトナムとタイで現地のセメント会社に設備を納入。2017年度にも運転を始める予定だ。経済成長が続く東南アジアはセメント工場の新設が相次ぐ。排熱で自家消費用電力をつくれば、温暖化ガスの排出抑制にもつながる利点を訴え、東南アジアで販売拡大を狙う。
 ベトナム北部にあるハイフォン市、タイ中部のサラブリ県にあるセメ…〔以下略〕”

事実、博打のような原発輸出とは違い、
省エネ技術の輸出は着実に実績を挙げている。

アセアンとインドは省エネ分野においても巨大な市場である。
日本企業が活躍する広大なフィールドが待っている。


ヤッホーブルーイング、佐久醸造所で環境投資 煙突の廃熱回収(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFB19H64_Z10C17A1L31000/
国内クラフトビール最大手のヤッホーブルーイング(軽井沢町)は佐久市の醸造所で本格的な環境改善投資に乗り出した。1997年の完成から20年を迎え老朽化が目立つなか、廃水処理設備の安全性を高め、煙突から出るにおいへの対策を実施。人件費削減につながる自動化投資と合わせて総額9千万円を投じた。経営基盤の安定を背景に、周辺環境に配慮し「環境に優しいビール会社」をアピールしていく。
 3つの設備投資のうち最大…〔以下略〕”

ヤッホーは元々星野リゾートと密接な関係にある。
星野リゾートと同じく優秀な企業で、エネルギー分野での投資も俊敏だ。
経済団体は相変わらず「護送船団方式」で省エネ分野での競争促進が甘いから、
星野リゾートのような先駆者が先んじて行動しなければどうしても後ろ向きになる。

原発再稼働で楽して儲けようとする経営者が大恥をかき、
省エネ投資で先行するビジョナリーな経営者が活躍するようにならなければならない。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする