先月、日本経団連が移民政策の議論を求める声明を出しました。
私は甚だ不思議に思っているのですが、
日本は伝統的に他国の長所を巧みに取り入れるのが
世界一と言ってよいほど得意であるのに、
なぜ移民政策や社会保障政策に関しては
全く他国を手本にしようとしないのでしょうか。
伝統的な進取の気質が劣化したとは思いたくありませんが。
移民受け入れと言うとすぐ韓国中国と騒ぎ始める
無教養で公正さの欠落した方々にもうんざりです。
日本は有能な人材、魅力ある人材には敬意を払う社会なので、
移民政策が円滑に実施され得るとしたら
「シンガポール型」しかあり得ません。
竹島慎吾 シンガポールの移民政策(nikkeibp)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20070523/125447/
”もし外国に住んでいて、「永住権取得を考えてみませんか?」という書き出
しで始まる手紙と申請書類一式が、その国の政府からあなたの元に送付され
てきたら、恐らく驚くのではなかろうか。しかし、シンガポールでは、永住
権取得を勧誘するレターに出くわすことは珍しくない。
「シンガポールはあなた自身のキャリアアップや家族との生活に適した理想
の都市であり、この地を生活の基盤とすることでシンガポールの発展に貢献
することを歓迎する」。シンガポール政府から送られてくるレターにはこう
した趣旨の内容が記されている。よく読むと、「本状は永住権取得を保証す
るものではない」と釘を刺しているものの、しかるべき手続きを踏めば永住
権が得られる可能性が高いと思わせる内容となっている。
シンガポール政府が海外からの移民受け入れに積極的な背景には、急速に進
む少子化がある。5月に発表されたシンガポールの2006年の合計特殊出生率
(女性が生涯の間に出産する子供の数)は、1.26と前年の1.25からわずかに
上昇したが、既に人口が減少に転じた日本は1.25(2005年時点)とほぼ同
水準にあり、アジアでも有数の少子化国と言える。もっともアジアを見渡す
と、香港は0.97(2005年)や韓国は1.13(2006年)など、さらに出生率
が低い国・地域もあるが、少子化が深刻な問題になっているという点は共通
である。
一般に所得水準が上昇すると出生率は低下する傾向にある。所得水準が上昇
するにつれ、子供に家計扶助の役割を期待するメリットが小さくなる一方、
教育費や女性の機会費用などのコストが大きくなるためである。女性の機会
費用とは、出産・育児により失われる所得のことで、女性の社会進出が進む
につれ、就業機会の増加と賃金が上昇する分、機会費用も大きくなる。”
→ シンガポールの移民受け入れ政策に関しては、
この日経BPの記事が参考になります。
この永住権レターでどれほどの人が
シンガポール国民となったのか分かりませんが、
高度人材を狙って国内に受け入れるには、
有効な施策であることは確かです。
特定の国を対象に、フルブライトやローズのような
奨学生制度と組み合わせて実施するのも有望です。
(これで東南アジアや南アジアとの太いパイプができる)
▽ 少しシンガポールの研究をしてみようと思う。
日本経済の競争力維持へ移民受け入れを 経団連が提言書(日本経済新聞)
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20081014AT3S1401L14102008.html
”日本経団連は14日、人口減少社会に向けた提言書を公表した。高度な技能
を持つ人材や留学生を中心とする移民を海外から受け入れ、日本経済の競
争力を保つべきだとの見解を示した。これまでも外国人の働き手が必要と
主張してきたが、移民の受け入れまで踏み込んだのは初めてとなる。
「人口減少に対応した経済社会のあり方」と題する提言をまとめた。今後
50年の間に、日本では働き手となる15―64歳の人口は4600万人弱に減る。
今よりも半減することを踏まえ、人材確保が欠かせないと強調した。その
柱として「日本型移民政策」の検討を掲げ、関連法整備や担当大臣設置を
求めた。高度人材や留学生に加え、看護師といった一定の資格をもつ「中
度人材」の活用にもふれた。
経団連の試算によると、現状の医療・介護分野のサービスを維持するには
2055年時点で約180万人が足りないという。単純労働者については「先
進国の過去の移民政策の失敗もあり、さらに議論を深めていくべきだ」と
慎重な姿勢を崩していないが、相当規模の受け入れを想定した議論が欠か
せないとした。”
これが日本経団連の発表要旨です。
…… 議論としてはこれで構わないのですが、
経済界は本気で移民受け入れのコストを払うのですか?
既に愛知県では日系人の子弟の教育コストを
地元自治体に押し付けていますよねえ。
きっと自動車産業などは、下請けが雇っているのだから
俺の知ったことではない、と言うに違いありません。
「総論賛成、各論反対」になりそうな予感。。
尚、医療・介護に関しては人件費を値切ろうとするから
こうなるのであって、まともな給与さえ払えば
働く人はいくらでもいます。
(日本の女性の労働力率の低さを見よ)
私は甚だ不思議に思っているのですが、
日本は伝統的に他国の長所を巧みに取り入れるのが
世界一と言ってよいほど得意であるのに、
なぜ移民政策や社会保障政策に関しては
全く他国を手本にしようとしないのでしょうか。
伝統的な進取の気質が劣化したとは思いたくありませんが。
移民受け入れと言うとすぐ韓国中国と騒ぎ始める
無教養で公正さの欠落した方々にもうんざりです。
日本は有能な人材、魅力ある人材には敬意を払う社会なので、
移民政策が円滑に実施され得るとしたら
「シンガポール型」しかあり得ません。
竹島慎吾 シンガポールの移民政策(nikkeibp)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20070523/125447/
”もし外国に住んでいて、「永住権取得を考えてみませんか?」という書き出
しで始まる手紙と申請書類一式が、その国の政府からあなたの元に送付され
てきたら、恐らく驚くのではなかろうか。しかし、シンガポールでは、永住
権取得を勧誘するレターに出くわすことは珍しくない。
「シンガポールはあなた自身のキャリアアップや家族との生活に適した理想
の都市であり、この地を生活の基盤とすることでシンガポールの発展に貢献
することを歓迎する」。シンガポール政府から送られてくるレターにはこう
した趣旨の内容が記されている。よく読むと、「本状は永住権取得を保証す
るものではない」と釘を刺しているものの、しかるべき手続きを踏めば永住
権が得られる可能性が高いと思わせる内容となっている。
シンガポール政府が海外からの移民受け入れに積極的な背景には、急速に進
む少子化がある。5月に発表されたシンガポールの2006年の合計特殊出生率
(女性が生涯の間に出産する子供の数)は、1.26と前年の1.25からわずかに
上昇したが、既に人口が減少に転じた日本は1.25(2005年時点)とほぼ同
水準にあり、アジアでも有数の少子化国と言える。もっともアジアを見渡す
と、香港は0.97(2005年)や韓国は1.13(2006年)など、さらに出生率
が低い国・地域もあるが、少子化が深刻な問題になっているという点は共通
である。
一般に所得水準が上昇すると出生率は低下する傾向にある。所得水準が上昇
するにつれ、子供に家計扶助の役割を期待するメリットが小さくなる一方、
教育費や女性の機会費用などのコストが大きくなるためである。女性の機会
費用とは、出産・育児により失われる所得のことで、女性の社会進出が進む
につれ、就業機会の増加と賃金が上昇する分、機会費用も大きくなる。”
→ シンガポールの移民受け入れ政策に関しては、
この日経BPの記事が参考になります。
この永住権レターでどれほどの人が
シンガポール国民となったのか分かりませんが、
高度人材を狙って国内に受け入れるには、
有効な施策であることは確かです。
特定の国を対象に、フルブライトやローズのような
奨学生制度と組み合わせて実施するのも有望です。
(これで東南アジアや南アジアとの太いパイプができる)
▽ 少しシンガポールの研究をしてみようと思う。
『目覚めよ日本―リー・クアンユー21の提言』(リー・クアンユー,たちばな出版) |
『シンガポールの国家建設―ナショナリズム、エスニシティ、ジェンダー』(田村慶子,明石書店) |
日本経済の競争力維持へ移民受け入れを 経団連が提言書(日本経済新聞)
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20081014AT3S1401L14102008.html
”日本経団連は14日、人口減少社会に向けた提言書を公表した。高度な技能
を持つ人材や留学生を中心とする移民を海外から受け入れ、日本経済の競
争力を保つべきだとの見解を示した。これまでも外国人の働き手が必要と
主張してきたが、移民の受け入れまで踏み込んだのは初めてとなる。
「人口減少に対応した経済社会のあり方」と題する提言をまとめた。今後
50年の間に、日本では働き手となる15―64歳の人口は4600万人弱に減る。
今よりも半減することを踏まえ、人材確保が欠かせないと強調した。その
柱として「日本型移民政策」の検討を掲げ、関連法整備や担当大臣設置を
求めた。高度人材や留学生に加え、看護師といった一定の資格をもつ「中
度人材」の活用にもふれた。
経団連の試算によると、現状の医療・介護分野のサービスを維持するには
2055年時点で約180万人が足りないという。単純労働者については「先
進国の過去の移民政策の失敗もあり、さらに議論を深めていくべきだ」と
慎重な姿勢を崩していないが、相当規模の受け入れを想定した議論が欠か
せないとした。”
これが日本経団連の発表要旨です。
…… 議論としてはこれで構わないのですが、
経済界は本気で移民受け入れのコストを払うのですか?
既に愛知県では日系人の子弟の教育コストを
地元自治体に押し付けていますよねえ。
きっと自動車産業などは、下請けが雇っているのだから
俺の知ったことではない、と言うに違いありません。
「総論賛成、各論反対」になりそうな予感。。
尚、医療・介護に関しては人件費を値切ろうとするから
こうなるのであって、まともな給与さえ払えば
働く人はいくらでもいます。
(日本の女性の労働力率の低さを見よ)