みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

『週刊東洋経済』3月1日号 -「1997年と今回は極めて強い類似性」MUFJMS・藤戸則弘氏の警告

2014-02-28 | 『週刊 東洋経済』より
今週の『週刊東洋経済』は「単身社会」の特集。
キャッチーではあるが重要な点に言及していない。

単身世帯はイコール「育児負担を免れているモラルハザード世帯」である。
放っておくと彼らは他人の子供の稼ぎを食い物にして老後を過ごすことになる。
大量に生活保護になだれ込んでくる可能性も極めて高い。

本特集の中でも分かる単身女性の貧困ぶりを見れば明白である。
彼ら彼女らが豊かな場合は徴税もしくは保険料徴収を強化すべきである。
貧しい場合にはよりましな就業へと公的支援を手厚くするとともに、
健康でも働かない単身者に就業を強要するシステムにしなければならない。
(それが最終的には社会保障財政を健全化し、彼ら彼女らを救うことになる)

『週刊東洋経済』2014年 3/1号


「育児負担から逃れ他人の子にのっかって老後を過ごす単身は、
 日本社会の「不良債権」になりつつあると思う」

と当ウェブログは先週に書いたが、それは現下の日本では、
親元で暮らす低所得非正規労働者が増加し続けているからだ。
山田昌弘教授がその「困窮化」を以前より繰り返し指摘している。

▽ こちら参照

『なぜ日本は若者に冷酷なのか: そして下降移動社会が到来する』(山田昌弘,東洋経済新報社)


しかしメイン特集より素晴らしいのは、数日前にも触れたが
MUFJモルスタの藤戸則弘氏による切れ味鋭い分析、
「日本株は新興国株と同じ 消費増税にも警戒感募る」(P30)である。

日経平均株価の推移はさほど似ていないと思うが、
消費者態度指数は不吉なほど酷似している。
矢張りアベノミクスは早くも「終わった」と見てよい。

    ◇     ◇     ◇     ◇

『週刊ダイヤモンド』の塾・予備校特集は売れているようだが、
絞り込みが甘く突っ込み不足の感が否めない。

「エリート育成は塾」などと古臭い教育内容の営利事業体の
宣伝文句を鵜呑みにしてそのまま書くのは愚劣である。
難関大向けの小規模塾は単純なポジショニングに成功しただけの話だ。

匿名座談会は対決方式にするか、それとも
複数の子が複数の塾予備校に通った保護者に比較して貰い、
ライバル同士を比較させれ優劣や適性を明確にした方が面白い。

個人的に興味があるのは、個別指導は集団指導より費用対効果でどれほど劣るのか、
資格系予備校でよく言われる「映像授業は合格率が低い」点がどこまで本当なのか。
あと「国公立学校に通わせて費用節約し塾予備校に回す」のがどれほど有効なのか。
ダイヤモンド得意の「就職力ランキング」と組み合わせると面白かろう。

『週刊ダイヤモンド』2014年 3/1号


また、家庭の所得水準で学力や学歴が左右される度合いが強まっている。
学校や塾予備校への教育投資の額で最終学歴が違ってきている筈だ。
ネット調査で良いのでそこも調べられると思う。

▽ 教育においては、「階層化」が進んでいる

『中学受験』(横田増生,岩波書店)


尚、サブ特集に関してももうひと踏ん張りを望みたい。
租税は興味深い分野であるのだが、徴税率だけでなく
滞納税の額あるいは比率と徴税の工夫をレーティングして
質の低い自治体にプレッシャーをかけて欲しい。
(それが結局は彼らのためになる)

    ◇     ◇     ◇     ◇

『週刊エコノミスト』は投信・ETF特集。
「負けない」と銘打った時点で既に負けていると思うが。。

頑張った内容だとは思うが先を読む助けにはならない。
1年前のポートフォリオを仮定して分散投資の重要性を強調した方が良いと思う。

例えば直近では投資信託は日本成長株型の圧勝だが、
今年はその反動が出るので大きくパフォーマンスを落とすだろう。
過去の実績は参考資料の一つであって未来を予測することはない。

『エコノミスト』2014年 3/4号


投信・ETFを選ぶのは個別で大型株を選ぶのと同様にかなり難易度が高い。
それよりも、どのような局面でどのような金融商品のパフォーマンスが良くなるか、
商品特性を詳細に分析した方が良いのではないだろうか。

    ◇     ◇     ◇     ◇

次週はタイムリーなエコノミストに注目。「誰も正解を知らない」問題にどこまで斬り込めるか。

▽ ソロスのコメントに注目したい

『エコノミスト』2014年 3/11号


▽ 重要テーマではあるが、日本社会の老化を反映した特集が続く

『週刊東洋経済』2014年 3/8号


▽ 実はダイヤモンドが最も売れそうだ

『週刊ダイヤモンド』2014年 3/8号

メイン特集は渡邉正裕氏の協力だろうか?
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JR東日本が風力発電事業参入か、秋田で調査開始-日立やGEも日本に適した風車を投入し「風力の時代」へ

2014-02-27 | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える
当ウェブログでは、送電網投資負担と消費地との距離とを考えれば
風力発電で重要なのは北海道ではなく東北であると指摘してきた。

同時に、土建と民宿と飲み屋ばかり儲かる「劣等生」の原子力とは違い、
製造業及びメンテナンス業務の必要性によって広く地域に恩恵を及ぼす風力発電は、
東日本大震災の復興においても大きく貢献すると主張してきた。

折しもJR東日本が秋田で風力発電事業を検討していると報じられた。
送電線を持つJRは、発電事業を拡大させる余力を充分に持つ事業体である。
青森・岩手・福島での事業展開も大いに期待できる。

加えて日立やGEも日本に適した風車の開発を積極的に行っており、
当ウェブログは「原発停止で投資が増え、経済効成長につながる」
主張してきたが、これら事実によって証明されたと言えるだろう。

他方、「経済のために原発再稼働が必要」と騙る利権勢力のプロパガンダが
矢張りとんもでない大嘘であることも実証されたと言って間違いない。
(彼らの言う「経済」とは、一部の者の利権や恩恵を意味する)

東日本には膨大な風力発電の潜在能力がある。
(おまけに木質バイオマスの熱供給の潜在能力も極めて高い)
原子力利権の政治力に邪魔されていなければ、
そもそも東日本で電力不足になどなる筈がない。

▽ 日本国内の風力発電は問題点をひとつひとつ改善しており、バードストライクも航空機より遥かに少ない

『風力発電が世界を救う』(牛山泉,日本経済新聞出版社)


電力不足で真っ先に責められるべきは原子力規制委員会ではなく、
恵まれた潜在風力資源を抑圧してきた電力大手の利権擁護の経営陣だ。
より罪が深いのは、利権と癒着して日本経済を歪める自民党の族議員である。

「もともと北電は風力の発電分を抽選で決めるという
 風力普及の妨害としか思えない方式で風力を買い叩いていた。
 原発停止で収益が悪化しても自業自得と言われるであろう。
 何故あれほど恵まれた風を活かしてこなかったのか、
 有権者と株主に対し納得できるような説明が必要ではないのか」

「何度も当ウェブログで繰り返し主張しているように、
 日本経済が内需主導で成長するためには
 コージェネと風力発電が絶対に必要である」

原子力利権勢力とその手先が邪魔をしなければ、
日本の風力発電シェアは全体の5%には届いていたであろう。
彼らの低次元な洗脳は、日本経済のために撃滅しなければならない。

 ↓ 参考

北海道の電力不足懸念は原発が原因、コージェネと風力で解決可能 -「人命に関わる」は再稼働プロパガンダ
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/34029cf38d57704541d226c11d9ddf81

世界の風力発電は20%もの急伸、僅か3%増の日本の出遅れが鮮明に - 震災復興にも風力は不可欠
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/334c817c352fb605f27d67511b95b61b

▽ スペインは風力シェア10%以上でも電力を安定供給している

『総力取材! エネルギーを選ぶ時代は来るのか』(NHK出版)


JR東、秋田で風力発電検討 風況を調査(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO67194230R20C14A2L01000/
東日本旅客鉄道(JR東日本)秋田支社は21日、風力発電の開始に向けて3月上旬から風況調査を始めると発表した。風力発電に向けた調査の実施はJR東日本では初めてという。対象地は秋田市内の沿岸の近くにある同社の防砂林の用地。約1年間をかけて地上50メートルの位置の風向・風速観測、風力発電導入の可能性を検討する。
〔中略〕
 発電した電力は固定価格買い取り制度を利用して売電する計画だ。”

風力発電と言えば潜在力の高い北海道に焦点が当たるが、
送電網投資負担と送電ロスを考えれば重視すべきなのは東北である。

同じ秋田でのワタミの風力発電所は初年度から黒字を出した。
事前調査を入念に行っておけば、JR東日本も大成功を収めるであろう。


日立、弱い風の発電力向上 新型風力発電機を開発(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD27091_U4A100C1TJC000/
日立製作所は弱い風でも発電量を高めることができる新型風力発電機を開発した。ブレード(羽根)の改良などにより、風速4~12メートルの発電量を従来機種に比べて15%高めた。日本国内は風力発電に向いた場所でも年間の平均風速は6~7メートル程度のことが多い。日立は2014年初めにも実証実験を始め、16年までに市場投入したい考えだ。
 従来機に比べ、ブレードの直径をおよそ1割大きくすることで風のエネルギーを…〔以下略〕”

原発停止をビジネスチャンスと見て、
日立が日本の風況に適した新製品を投入する予定である。

欧州製は日本に向かない点が多々あり、修理も困難と指摘されてきた。
こうしたデメリットは順調に解消されるであろう。


GE、風力で日本再参入 日立や東芝と競争激化 高出力の発電機を開発(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2401K_U4A220C1MM8000/
”【ニューヨーク=小川義也】風力発電機世界最大手の米ゼネラル・エレクトリック(GE)は日本市場に再参入する。再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を背景に安定した需要が見込めるためで、日本の事情に合わせた高性能の機器を新たに開発。今春から販売を始める。他の外資も存在感を高めており、日本メーカーとの競争が激しくなりそうだ。〔以下略〕”

世界の巨人GEも日本市場に狙いを定めている。
日立など日本勢も負けずに国内市場で活躍して欲しいものだ。
競い合って日本の風力発電市場を急成長させることができよう。
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ニート対策を口実に天下り死守の厚労省、安倍政権の庇護で増長する - 無駄な予算がゾンビのように復活

2014-02-26 | いとすぎから見るこの社会-雇用と労働
質の低い保守というものは国益よりも自らの権力欲の方が優先される。
従って、権力奪取・維持のために国益を破壊する行為が屢々見られるのだ。
(例:古くは満州事変や日独伊三国軍事同盟、現代では靖国や尖閣諸島の騒動)

安倍政権は優秀な官房長官の働きもあり、前回よりも賢くなった。
第一次内閣の際の最初の躓きは、官僚機構と全面対決姿勢を見せたために
スキャンダルのリークを初めとした全力での妨害行為を受けた点にあった。

その教訓に学んで、今回は「官僚機構を満足させる」予算バラマキを開始したのだ。
国土交通省に公共事業バラマキという餌を与えたのがその典型である。
相手が尻尾を振って自分に媚び諂ってくることをよく理解しているのだ。

しかし、これまでの日本経済の停滞と社会システムの機能不全を招いた責任は
これまでの自民党政権の政治家だけでなく官僚機構の自己革新能力の低さにもある。
安倍政権の賢さは、「自らの権力を短期的に維持する賢さ」に過ぎず、
近い将来の日本経済に大打撃を与えるものである。


その証拠に、日本財政の「死に至る病」である高齢者三経費バラマキは増え、
日本にとって最も死活的な女性就業率・出生率の引き上げは絶望的である。
(愚劣な「育休三年」は、就業率や出生率に良い影響を殆ど与えない)

直近の事例で言えば、朝日新聞が報道したように
安倍政権下で「無駄」と判断された事業予算が補正で「復活」している。

中でも、厚労省がニート支援を口実に復活させた事業は天下りだらけで、
官僚の本音が予算確保にあり、国益や公益ではなく組織益をしか眼中にないことを
何よりも雄弁に語っている。

▽ 我が国の官僚機構は、残念ながら北欧の合理性に大きく劣っている





『スウェーデン・パラドックス』(湯元健治/佐藤吉宗,日本経済新聞出版社)


以下の当ウェブログの主張は、事実によって証明されている。

「政府や省庁の現在の雇用政策が実質的に利権擁護であることは
 火を見るよりも明らかである」

「省庁においては、労働経済学を全く理解していない
 法律系の官僚を政策決定の場から排除すべきである」

「日本の省庁の一番の欠点は、誰にも費用対効果を検証されない点である。
 予算が不毛極まりない「分捕り合戦」になる理由がそこにある」

「官僚の中で最も有能で意欲的な人材を選抜して
 内閣直属機関に期間限定で採用し、省庁の政策の合理化を行うべきだ。
 天下りよりは遥かに有益な人材活用である」

「手間がかかり過ぎる企業と若者とのマッチングには所詮、限界がある。
 試行錯誤して就労支援策を常に検証・改善し続け
 公共セクターの非正規雇用で吸収する北欧方式の方が優れている」

「成長率や一人当たりGDPを見れば、中欧より北欧の雇用政策こそ手本である。
 公務員の一人当たり賃金は低く、情報公開も日本より遥かに進んでいる」

「その特徴は育児・教育・介護などの福祉部門で多くの雇用を吸収している点であり、
 賃金はフラットで労組も日本のように自己中心的ではないので国民の不信は少ない」

「驚くべきことに公的機関でもビルド・アンド・スクラップが日常的で
 公務員全員が日本の非正規雇用同然の国である。
 (勿論その背景には重い国民負担と手厚い就労支援・給付がある)
 思考停止して利権に固執する日本が効率性に劣るのは当然と言えよう」

「しかも社会人が大学で学び資格を取ってキャリアアップするという
 実践的な学校教育と雇用政策の融合を行っている」

官庁の雇用政策は小手先の誤摩化しばかりで、
従来の政策を否定することができない小心と事勿れ主義のため、
日本の労働市場に必要な改革を怠っている。

1000万人にも及ぶ女性潜在労働力を活動できない理由が、
政府や官庁それ自体にあるということがどうして分からないのか。

 ↓ 参考

若者をダシにして予算確保を狙う省庁の醜態 - 藤原和博氏が抗議の辞任「各省の要望を予算要求しただけ」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/1016b941bfd820cc048c7ed494ea546d

生産年齢の無業女性は約1000万人、就業増こそ成長政策-妨害するのは安倍政権の「次元の違う」低レベル
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/d2eddf4b5cc094ca569d552d61a2486c

▽ 北欧は日本のように正社員化に固執せず、手厚い転職支援とセーフティネットで効率的な労働市場を築いた



『消費税25%で世界一幸せな国デンマークの暮らし』(ケンジ・ステファン・スズキ,角川SCC)


厚労省若者育成担当者「ニートと呼ばれる人働けば景気回復」(週刊ポスト)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140225-00000000-pseven-soci
”安倍晋三政権は4月からの消費増税による消費の冷え込み、すなわち「増税デフレ」を防ぐという名目で5.5兆円の景気対策(補正予算)を打ち出した。
 安倍首相は消費増税の実施を決断した後の昨年11月、各省庁の無駄な事業をチェックする“安倍仕分け”を指示した。そして今年1月20日、麻生太郎・副総理兼財務相は全省庁の予算概算要求から「34事業4574億円」の無駄な事業を削ったと胸を張った。しかし、補正予算で無駄とされた事業のうち8割が復活していたのだ。その一つが「ニート」対策だ。
 安倍仕分けで大鉈を振るわれたのが、厚生労働省の「地域若者サポートステーション事業」だ。全国160か所に置かれた地域若者サポートステーション(サポステ)でNPOなどの専門家がハローワークにも行けない若者に“約束の時間を守らせる”ところからアドバイスし、就職相談に乗る事業だが、「わかものハローワーク」や「ジョブカフェ」(就職支援センター)など、似た事業が多いことから、仕分けでは44億円の予算がいきなりゼロにバッサリ切られた。
 ところが、である。厚労省は補正予算で「若者育成支援事業」と名前を変えて同じ事業に35億円の予算を復活させていたのだ。厚労省の言い分が振るっている。
 「ニートと呼ばれる人が働くようになれば納税者になります。消費者にもなるから景気回復にもつながる」(キャリア形成支援室)
 シロアリたちには予算をゼロにされては困る事情があった。
厚労省はこの数年で急激にサポステの数を増やしてきた。そのサポステ運営の指導や研修を委託されている日本生産性本部は、民主党時代の事業仕分けで天下りが27人いると癒着を批判された組織だ。
 現在の天下り人数を聞くと、「担当者不在で答えられない」とのこと。厚労省は予算を日本生産性本部への委託費やサポステの人件費に充てているため、なくすわけにはいかない。「ニート支援」はシロアリ利権の絶好の隠れ蓑になっているのである。”

言葉遣いを除けば実に素晴らしい記事で、簡潔かつ無駄のない内容だ。
この週刊誌報道に負けずに各メディアも必死でこの問題を追及しなければならない。
安倍政権が権力を握り続けるために手綱を緩めているからこうなるのである。

「ニートと呼ばれる人が働くようになれば…景気回復に」という見解は笑止千万である。
日本の公共部門のコストコントロール能力は極めて低く、世界的に見てもその非効率性は有名だ。
そのもたらす効果以上のコスト(勿論、税金)を使っているのは間違いない。

それにニートは全国でせいぜい60万人程度で、潜在的な女性労働力と比較して
数の面でも質の面でも大きく劣っており、大きな効果を望める筈がない。
全く労働市場を理解していない何よりの証拠である。

▽ 財政悪化に直結する労働力ギャップの大きさこそが問題の根幹、厚労省の認識は甘過ぎる

『なぜ日本は若者に冷酷なのか: そして下降移動社会が到来する』(山田昌弘,東洋経済新報社)

日本の男性就業率は世界一高い。しかし男女の就業率ギャップの高さでも世界最高水準であり、
厚労省の不作為がそうした惨状を招いているのである。

日本は、女性が働かないイタリア・韓国・ギリシャ同様の大幅財政赤字になっている。
そのA級戦犯は他でもない、長時間労働を放置し配偶者控除と3号被保険者の利権を守り、
高齢者三経費をバラ撒く自民党政権と厚労省の連合体である。
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日本はポルトガルに劣る、海外投資家の長期滞在促進を - カナダの教訓に学び英語限定と国籍条項を忘れず

2014-02-25 | いとすぎから見るこの社会-対アジア・世界
日本の財界が言わない「不都合な事実」の一つに、
日本のFDI(外国からの対内直接投資)が先進国比で極端に低いという事実がある。

沈黙している理由は明白で、FDIが盛んになれば
日本の保身的なサラリーマン経営者が競争に負け、
放逐され地位も厚待遇も失う可能性が極めて高いからである。

まして国益・公益よりも自分が貰える勲章にばかり目がゆく
財界の高齢化した保身主義者はFDIになど触れる訳がない。

「日本経済の成長のために、保守退嬰の財界人の利益誘導を看破する必要がある」
という考え方は、今や一般法則に近いものとなっている。

また、日本の右翼勢力には「口は出すがカネは出さない」ケチ右翼も多く、
例えば対馬の産物購入も観光消費も行わないのに
韓国からの投資に文句だけ言う地元にとって迷惑な者が少なくない。
こうした排外的で単純粗雑な態度も日本経済を停滞させる一因だ。

利益誘導を図る財界人は、不都合な真実を隠してはならない。
あのシンガポールは低い法人税率によってではなく、
巨額の対内投資を集めて成長してきたのである。

同様に、日本にとって必要なのは既得権層を利する法人減税ではなく、対内投資促進策である。
対内投資増によって苦境に陥る劣等経営の企業を保護してはならない。
それこそが安倍政権も自民党も理解の足りない経済原理である。

▽ シンガポールは低い法人税で成長できたのではない。

『物語 シンガポールの歴史』(岩崎育夫,中央公論新社)


その富裕国シンガポールが余りにも抑圧的な社会であるためか、
自由で文化的に豊かな日本の人気が高まっているのが何とも皮肉な話である。

「「減税すれば大きな経済効果が望める」「税率が高いので富裕層が海外に逃げる」
 という実に馬鹿馬鹿しい傑作ファンタジーが流布された時期があったが、
 これは見え透いた利益誘導もしくはポジショントークに他ならない」

「日本社会から膨大な恩恵を得ながら、自らの損得勘定だけで脱出するという
 「裏切り者」は批判されるのが当然である。

「英米やシンガポールはもともと拝金的階層社会だから仕方があるまい。
 我々はそうではない。角倉了以も福沢桃介もこの日本のために尽くした。
 我が国の倫理的伝統に背いているから批判されるのである」

「当ウェブログは寧ろ、国民もしくは日本社会との利益相反と見ている。
 90年代後半の日本での所得税減税の後に家計金融資産(特に預貯金)が堅調に増えたが
 他方で経済成長率は低迷し、重税のスウェーデンに抜かれてしまった事実は否定できない」

「日本には所詮富裕層は200万人程度しかいない。
 その10%が脱出しても税収減は多寡が知れている。
 そもそも民主主義国なので彼らを拘束して国内にとどめる訳にもいかない」

「腐敗した富裕層や黒いカネをも周辺から吸い込むシンガポールと
 この日本が不毛な租税競争を行うのには根本的な無理があるのだ」

「物理的に富裕層を国内にとどめることが不可能であり、
 富裕層の個々の倫理観が大きく異なっている以上、
 定期的に日本で戻って消費を増やすよう促す政策の方が賢い」

「一定額以上の国内投資にインセンティブをつけても良かろう。
 しかし彼らの打算を見抜けず税制を歪めるのは愚かである」

「彼らは税制に精通しており口も達者なので常に政策介入を図ってくる。
 彼らの多くは表向きに立派な題目を唱えるが、裏の狙いは自分の利益である」

「本当に日本経済のためを思うならば、
 預貯金を死蔵させている我が国の高齢富裕層に負のインセンティブを課し、
 海外から日本に長期滞在・長期投資を行う海外の富裕層に正のインセンティブを与えるべきである。
 我が国の経済規模は大きいので効果は限定的だが、海外富裕層ならば確実に恩恵を及ぼす」

「豊かなアジア人は日本のサービスや文化が大好きである。
 消費性向の低い我が国の富裕層よりも内需に貢献する可能性がある」

と当ウェブログは主張してきたが、
日本はポルトガルの成功から学び、カナダの失敗からも学んで
賢い対内投資促進策を実行しなければならない。
(企業の対日投資促進は北欧に学ぶことも忘れずに)

 ↓ 参考

ロシアの富裕層が国外への資産逃避を進める、国内経済低迷が原因 - プーチンの脅しも税率も関係ない
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/29dc1d00711ccae80bef11c8790e9a3c‎

海外移住して後悔している経営者は多い、と大前研一氏 -「日本という国は金持ちにとって最も快適」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/a1f546b5d0ba039a8b9d09fb7b0ec9e0‎

日本に必要なのは「海外の金持ち優遇」、国内富裕層への利益誘導ではない - シンガポールは大の日本好き
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/0facd0770c1b7fb9e502d35c6f5e5234

▽ 富裕層には、基本的に自分の利害を隠して美辞麗句で偽りの大義名分を語る習癖がある

『タックスヘイブンの闇 世界の富は盗まれている!』(ニコラス・シャクソン,朝日新聞出版)


南欧、新興国の富裕層を呼び込み 不動産投資条件に(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM04023_U4A200C1FF1000/
”【パリ=竹内康雄】南欧諸国の間で中国など新興国の富裕層マネーを呼び込む動きが広がっている。不動産投資を条件に長期滞在許可を出し、欧州債務危機で疲弊した経済の立て直しにつなげる狙い。2012年10月に制度を導入したポルトガルで成果が出始めており、スペインやギリシャが続いた。フランスも制度改正の検討に入った。
 ポルトガルは12年10月、外国人がポルトガルの不動産を50万ユーロ(約6800万円)以上購…〔以下略〕”

ポルトガルはスペインと似た風光明媚な地域であるので、
効果が出易いところはあるのだろう。
(日本でも南関東・北海道・南紀・瀬戸内・九州のポテンシャルは大きい)
ただ問題は、質の悪い中国マネーである。

▽ 親日的なアセアンの富裕層は歓迎したいが。。

『経済大国インドネシア - 21世紀の成長条件』(佐藤百合,中央公論新社)


カナダ“投資家移民”廃止に中国富裕層反発 「排斥の動きだ」(sankeibiz)
http://www.sankeibiz.jp/express/photos/140225/exd1402251057002-n1.htm
”カナダ政府が今月、多額の投資をカナダに行うのと引き替えに永住権を与える移民制度の廃止を決めた。
〔中略〕
 カナダ政府が廃止を決めたのは「投資家移民制度」と呼ばれ、少なくとも160万カナダドル(約1億5000万円)の資産があり、政府認可の投資案件に80万カナダドル(約7500万円)を無利子で5年間融資した外国人に永住権を付与するというものだ。
 中国人民解放軍が民主活動家を武力弾圧した1989年の天安門事件以降、中国共産党の強権体質に嫌気がさした多数の香港住民がこの制度を使ってカナダに脱出。さらに、英植民地だった香港が97年に中国に返還されることになり、香港で共産党中央政府の影響力が強まるのを警戒した人々のカナダ行きに拍車がかかった。
 永住権付与の条件とされる融資額は、中国の富裕層にとっては決して高い額ではない。このため最近は、中国本土の大金持ちから申請が殺到していた。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、カナダ政府は2月11日に投資家移民制度の廃止を発表。これにより、この制度の下で移住が認められるのを待っていた中国の投資家ら4万6000人以上が影響を受けることになるという。
 一方、これら中国人の多くが定住先として希望する、カナダ西部ブリティッシュ・コロンビア州のバンクーバー市では、中国人が地域に溶け込もうとしていないとして、カナダ政府の決定に賛成する声が強いという。彼ら裕福な中国人は、相場より高値で不動産を購入する傾向が強く、結果として市内の生活費を高騰させたと見なされているためだ。

 また、カナダ政府がこうした制度を導入したのは、裕福な移民が国内で事業活動を行うことで税収が増えることを期待したためだったのだが、実際には移民の多くは、中国国内で稼いだ資産をカナダに移転し、高齢者や職のない一族を呼び寄せた後は再び中国に舞い戻っているケースが多いとされる。
 カナダ政府や自治体にすれば、税収増にはつながらないばかりか、英語ができない中国移民のために中国語の道路標識や案内板を設置しなければならず、「割に合わない」との声が強まっていた。

〔中略〕
 一方、カナダ紙フィナンシャル・ポスト(電子版・12日付)によると、一部の市民の悪感情とは別に、これまで中国からの移民を上客としてきたカナダ国内の不動産業界の間では、投資家移民制度の廃止で高級住宅の販売が低迷するのでは、との懸念が広がっている。ある不動産業者はポスト紙に、「米国を含む先進国の中で、カナダほど移民が住宅市場の下支えで重要な役割を果たしている国はない」と述べた。
 また、米紙ウオールストリート・ジャーナル(電子版・18日付)は社説で、カナダ政府の対応は「間違いだ」と手厳しく批判。社説は、ビザを申請している中国人の多くが「中国でも選りすぐりの人材だ」とし、「彼らは中国の政治制度が機能不全を起こしていることを理解し、より良い何かを求めて故国を離れたがっている」と分析し、「カナダが彼らを必要としないのなら、その才能は他国に流れていく」と警告した。実際、一部の移民はカナダに見切りをつけ、英国や豪州に申請先を変更する動きが出ているという。(SANKEI EXPRESS)”

フジサンケイGは、しょうもないイデオロギーが絡んでいない場合は
このように素晴らしい情勢分析をしてくれる。

日本はカナダの教訓から賢く学ばなければならない。
日本で投資移民もしくは投資滞在優遇策を設けると
あっと言う間に中国と韓国からマネーが殺到する。

国籍条項を設けて国籍ごとに枠を設けて特定民族に集中させないこと、
(コミュニティを作って同化を拒否し、政策に干渉してくる危険性が高い)
言語は行政側の労力を口実に英語だけに限定するべきである。
そうすれば自動的に中国系移民を強力に抑止でき、
親日的なアセアンや台湾の人々の割合を高められる。

後で災厄を招く投資移民であれば、実施しない方がましである。
実施するのであれば、賢い政策設計を行うべきである。
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消費税引き上げ前だが、もう不動産はひと相場終わった。

2014-02-25 | 注目対象…譲渡益税分は寄付に廻して下さい
東証のモメンタムが一向に上向かず、愚劣なアベノミクスブームはもう老衰期に入った。

それも自業自得で、経済政策リテラシーが相変わらず低い自民党が
消費税を引き上げて高齢層バラマキを維持するという意味不明の決断をしたのだから当然だ。
単に高齢化した有権者に媚びた買票的行為に過ぎないのかもしれないが、
景況悪化・可処分所得低下という結論は同じである。

間接税を引き上げた分を給付付き税額控除と現物給付に所得移転し、
女性就労支援と雇用創出を同時並行的に行えば内需は支えられただろうに、
官僚と癒着してバラ撒きシステムを改めないのだから
因果応報で必ず自民党は悲惨な敗北を喫することになろう。


本社世論調査:「家計支出抑制」65%…4月消費増税で(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20140217k0000m010057000c.html
”毎日新聞は15、16両日に全国世論調査を実施した。今年4月に消費税率が8%へ引き上げられた場合に家計の支出を抑えるかどうかについて尋ねたところ、抑えようと「思う」と答えた人が65%に上り、「思わない」の31%を大きく上回った。
 政府は消費増税による景気失速を防ぐため5.5兆円の2013年度補正予算を成立させたが、買い控えなどによる個人消費の落ち込みが抑えられるかは微妙だ。
〔中略〕
 「今年は景気がもっと良くなると思うか」を聞いたところ、「思わない」と答えた人が63%で、「思う」は30%だった。内閣支持層では「良くなると思う」は47%、「思わない」は45%だったのに対し、不支持層では「良くなると思う」は11%にとどまり、87%が「思わない」と答えた。また景気回復については「実感している」は21%、「実感していない」は75%だった
 内閣支持率は52%で昨年12月の前回調査から3ポイント増。不支持は2ポイント減の32%だった。【木下訓明】

◇調査の方法◇
 2月15、16日の2日間、コンピューターで無作為に数字を組み合わせて作った電話番号に、調査員が電話をかけるRDS法で調査した。〔以下略〕”

特に深刻なのは不動産セクターである。
「消費税増税の後の方が値引きでお買い得になる」と言われることもあるが、
当然ながらこれは関連企業の収益悪化要因に他ならない。
予見性のある株価は、3月を待たずにもう下抜けしようとしている。

  ↓ ケネディクス(Rakuten-sec) 376


こちらも追加。

  ↓ 東京建物(Rakuten-sec)   874 


▽ MUFJモルスタの藤戸氏は、97年の消費者態度指数の推移が現在と酷似していると指摘している。

『週刊東洋経済』2014年 3/1号


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