みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

前年比8.1%増の急成長市場が日本にあった! - 中国やインドにも負けない高成長分野が目の前に

2010-03-31 | いとすぎから見るこの社会-少子化問題
万年低成長の日本経済で、強烈な成長分野が実在する。
それは他でもない、
育児関連サービス市場だ。
なぜ政府がこれを放置しているのか全く理解できない。

高校無償化のような愚民の人気取りを行っている予算があるなら、
(無償化するなら間接税等を引き上げないとモラルハザードになる)
待機児童をなくす方を優先すべきだ。

経済効果の大小を考えて政策的に戦略集中するという
当たり前の発想すらない政治家、有権者が多過ぎる。

矢野経済研究所の発表によれば、
2008年のベビー関連サービス市場全体では前年比7.2%増の4563億円、
保育園・託児所市場だけに限れば8.1%増である。

リーマンショックの年にこれだけ成長できる市場は、
そうそうあるものではない。


働く母親の増加が背景、伸びる保育園・託児所の需要(BusinessMedia誠)
http://www.excite.co.jp/News/economy/20100310/Itmedia_makoto_20100310077.html

”矢野経済研究所は3月9日、「ベビー関連サービス市場に関する調査結果」を発表、
 2008年のベビー関連サービス市場規模を前年比7.2%増の4563億円と推計した。構成
 比で86.6%と最も大きな割合を占める保育園・託児所市場が、同8.1%増の3950億円
 と伸びたことが影響している。

 同研究所では「経済情勢の悪化を背景に子どもを預けて働く母親が増加しており、ま
 た核家族化も進行していることで、保育園・託児所市場は年々成長を遂げてきた。加
 えて、公立保育所を運営する自治体の財政難を背景に、認可保育所の民営化も進行し
 ている。だが、需要の増加に施設の整備や保育士の確保が追いついていない状況であ
 り
、市場の伸びは前年に比べて鈍化した」とコメントしている。
 働く女性の増加に伴う保育施設の不足と待機児童の増加は深刻化しており、また保育
 所のさらなる民営化促進が想定されることなどから、同研究所では2009年のベビー
 関連サービス市場規模を前年比6.5%増の4859億円と予想している。【堀内彰宏】”

多額の公費が投入されているので、
純粋に自力で成長している訳ではないが、
需要があるからこそここまで伸びるのだ。

待機児童は日本経済のボトルネックのひとつだ。
簡単に雇用を増やせるにも関わらず、
有権者が政治側に圧力をかけていないために改善していない。
(有権者は他人の子供より自分の財布を優先している)

信じられないほど課税の少ない高額の退職金を受け取っていたり、
デフレによって実質価値が更に高まる高額年金を受給する者は
いくらでもいる。(典型例:元役付き公務員)

適正に課税して待機児童解消の原資とするのが社会正義にかなう。





『ウーマン・エコノミー―世界の消費は女性が支配する』(マイケル・シルバースタイン/ケイト・セイヤー,ダイヤモンド社)


BCGのリサーチに基づくこの著書によれば、産休や育休など
女性の育児環境を北欧のような最高レベルに引き上げると
GDPが大幅に伸ばる可能性があるとのこと。
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米紙「日本は3度目の『失われた10年』を迎えようとしている」- 韓国「日本を反面教師にした」

2010-03-30 | いとすぎから見るこの社会-対アジア・世界
今の日本は、開国派と尊王攘夷派とに分かれていた幕末に近い。

開国派は世界情勢に精通し、日本の将来に強烈な危機感を持っている。
海外から貪欲に学ぼうとし、それが日本社会の力に転じると確信している。

尊王攘夷派は他所者への敵意に満ちて目を血走らせている。
世界情勢がどうであろうと自らのドグマを信奉し殉じようとする。

開国派が勝ったのが明治維新であり、
尊王攘夷派が勝ったのが日独伊三国同盟だった。

さて今後はどちらが勝つのだろう。

情動的で軽躁な尊王攘夷派がなぜ主導権を握ったのか
私は長らく不思議に思っていたが、最近理由が分かってきた。
大衆化した社会では感情論が力を得るのだ。
身を捨てて衆愚的な感情論を打破するリーダーが
今ほど日本に必要とされた時代はなかった。そう思う。


記者の目:隣国で感じた日本の衰退=玉置和宏(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/opinion/eye/news/20100318k0000m070140000c.html

”日本経済の衰退は日本の港の陥没と重ね合わせるのが至当だろう。国内総生産(GD
 P)は今年四十余年ぶりに3位に陥落しそうだ。68年にドイツ(当時西ドイツ)を
 抜いたのだが、今年中国にその座を譲るのは確実だ。いずれ韓国にも抜かれるだろう
 という豪州紙の論評を読んだ時その可能性は十分あると感じた。
 日本の港の衰微は15年前に始まった。世界コンテナ港湾10位以内だった神戸港は
 昨年は40位以下に劇的に陥落した事実が証明している。複式簿記の重要性を指摘し
 た文豪ゲーテが言うように言葉ではなく数字のみが真実を伝えるのだ。
 長い間国際経済を見てきた記者として言うなら、まずリアルな日本を直視することで
 ある。小泉改革をしのぐ「新構造改革」に取り組む覚悟がなければ、日本の再生とか
 国際競争力などという言葉を発することは俗論向けの自慰行為でしかないことが分か
 る。
 この国はバブル崩壊の後処理に没頭するあまりグローバル化に完全に乗り遅れた。正
 月の米経済紙は「日本は3度目の『失われた10年』を迎えようとしている」と論評
 し、独紙も日本経済の末期症状を反面教師として揶揄している。
 それなのに新政権は新自由主義の政治的なあら探しに夢中だ。それは過去の超長期政
 権へのアンチテーゼとしての役割しかなくいずれ理論的にはげ落ちる。実際に地球温
 暖化対策と高速道路無料化という理念と政策の矛盾は極致に達している。
 先日韓国の釜山港を取材してそれを痛切に感じた。前原誠司国土交通相のように日本
 にこれから国際ハブ港湾とか、ハブ空港と言うのはもはや時代錯誤の感すらする。そ
 れを言うのは20年も遅く、無駄な税金をばらまくことになりかねない。残念ながら
 これら国際公共財は韓国に十分整備されつつある。日本の国益はこれをどう活用して
 国際物流の一端を担うかにある。
 せめて10年前ならまだその説得力はあった。だが当時のハブ港造りは進まなかった。
 その理由はコストが高く国際的に競争力のない日本国内の海運(内航海運)と近代的
 とはいい難い港運業者の既得権を守ろうと、政治家と地方自治体が結んで改革に石を
 ぶつけ続けたからである。
 国家戦略として整備された釜山新港や光陽港で取材した韓国の港湾関係者は口々にこ
 う語ったものだ。「日本を反面教師にした。地方港へのばらまきを抑えて戦略的な重
 要港湾に国が直轄で投資してきた成果だ」
と。これは多分仁川空港にも当てはまるだ
 ろう。「選択と集中」を実行したのが韓国で、日本は「選挙と分配」という安易な道
 を選択したツケである。
 日本の港湾がアジアの三流にまで落ち込んだのは製造業の海外移転による経済の凋落
 にも一因があるとするのは言い逃れに過ぎない。ちょうど日航が経営破綻したのは地
 方空港のネットワーク維持のために経営負担を強いられたと言い募るのと同じだ。あ
 ってもその要素は何十分の一ではないか。もしそうなら競合する純粋に民間資本で苦
 闘してきた全日空はもっと先に経営破綻していなければ勘定が合わない。放漫経営に
 1兆円規模の公的資金を投入するのでは事実上2社体制の航空業界で公平な市場原理
 は働かない。ナショナル・フラッグ・キャリアーの救済という情緒的な理屈に日本の
 つぎはぎ資本主義が垣間見えてくる。
 子ども手当と高速道無料、高校授業料無料、農家所得補償で日本は再生するか。国民
 にマネーを移転して経済成長させようとするのは一輪車に「分配」という重い政策を
 載せるようなものだ。いずれ自ら転倒するにちがいない。
 ミッテラン社会党時代のフランスがこれに似ていた。80年代の世界的な民営化の潮
 流に背を向け、銀行の再国営化とばらまきを公約して選挙に勝った。だが子供の数は
 少し増えたが経済力は縮小し大国の地位は揺らいだ。
 もちろん経済規模だけで国の豊かさを見るという時代ではない。経済だけでなく、文
 化の繁栄、社会の安定、国民の安心、人権の尊重を総合的に測る時代だ。それを数字
 で示そうとしたのが「国家ブランド」という考え方である。ブランド力調査「アンホ
 ルト・GMI」(09年)によると、幸いまだ日本は欧米先進国に交じって5位まで
 のランクを死守している。隣国のアジアでは経済的な爆走を続ける中国は22位、韓
 国は31位だ。
 日本は過去の遺産で生きているが、もし経済改革にこれ以上ブレーキをかければG5
 から転がり落ちるのは確実だ。

 ノーベル賞経済学者ハイエク「隷属への道」の一節「地獄への道は善意で舗装されて
 いる」をもじって言う。
 「分配の一輪車で地獄への道に進むな。改革を伴った成長との二輪車で繁栄の道を駆
 け抜けよ」と。(本社特別顧問、NPO総合政策研究会理事長)”

全部に賛成ではないのですが、基本的な認識は全く同じです。
ただ私は北欧型の社会保障、積極的雇用政策のような
「攻めの分配」であれば寧ろ積極的に導入すべきだと考える。

森ビルの森社長もそうですが、国際的舞台で活躍する日本人が
斜陽の祖国を案じる気持ちはいやましに高まっている。





『ヒルズ 挑戦する都市』(森稔,朝日新聞出版)

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『週刊東洋経済』4月3日号- JR東海がペンタゴンの人材リクルート、葛西敬之会長は鉄道輸出に本気だ!

2010-03-29 | 『週刊 東洋経済』より
今週の『週刊東洋経済』の特集は「鉄道新世紀」、
直近1年で幾度か組んだ東洋経済の鉄道特集の内、
最も質の高い号だと言ってよいでしょう。
国内外における日本の鉄道産業の現状がバランス良く整理されています。

あとは表紙にインパクトが欲しかった。
K-1のように「対決! JR vs シーメンス」なんて面白いのでは。





『週刊東洋経済』2010年 4/3号


メイン特集で見ておきたいのは、
P54の「高速鉄道オールジャパンの幻」。

JR東海が昨夏からアメリカへの鉄道売り込みに俄然積極的になったこと、
葛西会長が国防総省から人材をリクルートしたこと。
ラスベガスやマイアミで新幹線N700系の疾駆する姿が見られるかも!

ただ期待のベトナムもブラジルも不確定要素が大きく、
鉄道事業者の方針も一致せず車輛製造会社も小粒の日本勢は苦しそう。

P58の「ビッグ3の世界売り込み戦略」と題した
サトーレイルウェイリサーチの佐藤芳彦氏は、
「高速鉄道は戦略商品」
と断言されています。矢張り政治の役割が大きいのでしょう。

そうそう、P47の資料は着眼点も情報の整理も完璧。
やたらめったら図表を並べるより遥かに上質になった。

次世代鉄道構想「スマートカー」が地方を救うかもしれない。

     ◇     ◇     ◇     ◇

今週、本当に素晴らしいと思ったのは
P9の八代尚宏ICU教授の寄稿です。

不況期の雇用調整として、

 米国型 → レイオフ

 欧州型 → ワークシェア

 日本型 → 非正社員の解雇と新卒採用抑制


と整理されており、(最も既得権優先で偽善的な日本)
「急速に進む高齢化社会の下で、大企業の男性正社員の
 高い年功賃金カーブという既得権を、いつまでも維持
 することはできない」

と明確に喝破されています。

     ◇     ◇     ◇     ◇

P176の山田昌弘中央大教授の寄稿も素晴らしい。
タイトルは「生活レベルが親よりも低下する」。(………)

高卒若年層の「アスピレーション(向上心)の低さ」が
教授のゼミ生の調査で示されたという衝撃的な話も出ています。
(いい研究だが、暗い話だ)

     ◇     ◇     ◇     ◇

さて今週の『週刊ダイヤモンド』、
池田信夫教授が「差し替え」特集だと暴露されていたので
どうだろうと懸念していましたが、こちらも鋭い特集です。

これからソーシャルアパートメントやシェアハウス、
コミュニティ関連NPOの拡大は必至なのでしょう。





『週刊ダイヤモンド』2010年 4/3号


そうそう、質の高い分析の多い「Data focus」では
小林慶一郎氏が日本のデフレを分析し、
日本のデフレの犯人は金融政策よりも生産性低下
であると鋭く指摘されており、私も全く同感です。
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市場を迷わせるドル急騰 - アメリカ経済の驚異的復活の前兆か、「悪い金利上昇」か

2010-03-28 | 注目投資対象・株価の推移
             ↑ USD/JPY(infoseek)

今週、ひとまずドルが底を打ったことが明らかになりました。
米経済の本格回復を示唆するものかどうか分かりませんが、
内輪喧嘩の続くユーロ圏より遥かにましです。
(UBSがドル円を買い推奨し、97円を目標値としたとか)

急騰の発端は米国債入札不調による長期金利上昇のようですが
それだけで是程の急激な動きになるとは考えにくい。
(雇用指標の改善を見込んだ買い控えとの説が出ている)
まだ見えない新しい胎動が始まっているのだ。

▽ 理解の浅い門外漢が騒ぎ始めるのは、大転換の予兆である。





『ドル凋落―アメリカは破産するのか』


直近の豪ドルの推移

http://finance.www.infoseek.co.jp/MnForex/fxchart/?fx=F1004

 → 週初に急落しましたがあっという間に急回復。
   週後半の米ドル急騰に吊り上げられて上昇し、
   一時は84円台に達していました。


今回のドル急騰に関して市場が迷いを見せています。
幾つか報道を見てみましょう。


ユーロ/ドル10カ月ぶり安値、円は一時92円後半に=NY市場(reuters)
http://www.asahi.com/business/news/reuters/RTR201003260015.html

”25日のニューヨーク外国為替市場で、ユーロが対ドルで10カ月ぶり安値をつけた。
 ユーロ圏会合の合意文書草案によると、ギリシャ支援をめぐりユーロ圏諸国と国際通
 貨基金(IMF)が支援を分担することが明らかになった。投資家は、IMFがギリ
 シャ救済を主導すると、欧州の域内問題の対処能力にマイナスの影響が及ぶとみてい
 る。
 ロイターが入手した合意文書の草案によると、ギリシャが要請すればユーロ圏諸国と
 IMFが支援を分担するが、半分以上はユーロ圏が負担する。また、ユーロ加盟国に
 よるギリシャ向け支援は二国間融資の形で行われる。
 また、欧州連合(EU)筋によると、ギリシャ支援の負担はユーロ圏が3分の2、I
 MFが3分の1になる見通し。
 スコシア・キャピタルの為替ストラテジスト、サッチャ・ティハンイ氏は「自らの通
 貨統合を完全に支援すべきであり、そうでなければ共通通貨を維持することに何の意
 味があるのだろうか」と述べた。 
 ロイターのデータによると、ユーロ/ドルは0.2%安の1.3283ドル。一時20
 09年5月以来の安値となる1.3279ドルに下落した。
 ユーロは海外市場での取引から値動きの荒い展開となった。アジア市場で10カ月ぶ
 り安値をつけた後、欧州連合(EU)首脳会議でギリシャ支援をめぐり合意に達する
 可能性があるとの期待から上昇。
 その後、トリシェ欧州中央銀行(ECB)総裁がIMFがギリシャ救済の責任を負う
 ことになると、マイナスのメッセージを送ることになるとの見方を示したことを受け、
 大幅安となった。
 また、フランスのサルコジ大統領とドイツのメルケル首相がEU首脳会議に先立ち、
 ギリシャに対する支援計画をめぐり合意したことを受け、1.3386ドルに上昇す
 る場面もあった。
 ギリシャをはじめ、一部ユーロ圏諸国の債務問題をめぐる懸念から、ユーロは年初か
 ら対ドルで7%下落している。
 ドル/円は0.6%高の92.75円。一時、1月8日以来の高値となる92.95円
 をつけた。ドル/円は200日移動平均を上抜け、ドルが今後一段高となる可能性を
 示唆した。

 朝方発表された米新規失業保険週間申請件数が大幅減となったことも、対円でのドル
 の上昇を支えた。〔以下略〕”

 → これはドル高を支えたユーロ要因です。
   ユーロ圏は加盟国間で利害が割れて対立すると
   中学校の学級会と同じ、自力解決できないので
   暫くドルを追い上げることは難しいでしょう。

   とは言うものの、短期的には先週書いたように
   「ユーロを崩し切れず、売り手は暫く苦境に陥る」可能性大。


東京外為市場・正午=ドル92円半ば、2カ月半ぶり高値から緩やかに下落(asahi.com)
http://www.asahi.com/business/news/reuters/RTR201003260057.html

”ドル/円は海外市場で92.96円まで上昇し、2カ月半ぶり高値をつけた。米債入
 札の不調で米長期金利が3.88%付近まで上昇したことに加え、ギリシャ問題をに
 らんだユーロ売りが止まらず、この裏側のドル買いがドル/円にも波及した。
 しかし「期末接近で、東京市場では輸出の売りが出るためドルの上昇がストップした。
 日中を通じて上値が重そうだ。ただ、海外勢のドル買いが強いため、海外時間には買
 い直されるだろう」(邦銀)という。
 きょう発表された日本のCPIを受けて「デフレ基調が続いている一方で、米国金利
 の上昇もあって金利差がついてきた。実需売りが一服する4月以降、ドル/円は1月
 高値(93.78円)をクリアできれば95円が現実味を増す」(国内銀行)との声
 も聞かれた。

 ユーロ/ドルは未明の下攻め局面で10カ月ぶり安値となる1.3267ドルまで売
 られたものの、その後続いた下攻めでもこの水準が底堅く一段の下値をトライできな
 かったことから跳ね返された。「ギリシャ支援に関してトリシェ欧州中銀(ECB)
 総裁がIMF(国際通貨基金)の関与を容認する発言をしたことがユーロを支えてい
 るようだ」(ドイツ証券シニア為替ストラテジスト、深谷幸司氏)との声も聞かれた。
 〔中略〕
 「ギリシャを足元の材料にはしているが、参加者の関心はギリシャから欧米間の景気
 格差に移っており、ファンダメンタルズをにらんだユーロ売りになっている」(ドイ
 ツ証券、深谷氏)との声も出ている。拡大するソブリン・リスクは欧州周辺国を中心
 に財政による景気刺激の足かせとなることに加え、金融政策の出口戦略を遅らせると
 みられ、市場では景気の回復で米国に出遅れるとの見方が広がっている
 ギリシャの資金繰りへの不安感は後退しており、ぎくしゃくしながらも収拾が図られ
 つつあるが、深谷氏は「ユーロの下落トレンドが転換することはない。ユーロ/ドル
 はリーマン・ショック後の安値である1.23ドルを目指す可能性がある」とみてい
 る。
  <FRB議長の慎重な政策スタンスに対し米長期金利は4%視野>
 バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は25日、国内経済には依然として超低
 金利政策による支援が必要との認識を示した上で、経済の拡大が「成熟」すればFR
 Bは刺激策を解除する用意があると述べた。市場では「引き続き慎重な金融政策スタ
 ンスが続いている」(国内金融機関)と受け止められている。
 一方、5年債に続いて7年債入札も不調だったことで米10年債利回りは3.88%
 付近に上昇した。「海外からの需要が落ちている。人民元をめぐる対立もあり、市場
 では中国からの需要に懸念も出てきそうだ。4月の為替操作国認定を睨んで、米中関
 係が米国金利のポイントになる」(住友信託銀行マーケット・ストラテジスト、瀬良
 礼子氏)との声が出ている。
 FRBの慎重な政策スタンスに対して、これまでのレンジ上限を試す10年債利回り
 という不整合が起きており「10年債利回りが4%を超えてくるようなら、米当局か
 ら口先介入などが入る可能性がある。ただ、ファンダメンタルズでなく需給による上
 昇のため、センチメントを落ち着かせる意味からはやはり米中関係をみておきたい」
 (瀬良氏)という。
 一方で「入札の不調は、来週末に発表される米雇用統計への期待感によるもの。ファ
 ンダメンタルズの改善を見込んで投資家が買い控えた」
(ドイツ証券、深谷氏)との
 見方も出ている。直近22日時点のロイター予測では、非農業部門雇用者数は16万
 8000人の増加となっている。
 現時点で慎重な米金融政策に対して「市場は期待を先取りして動くため10年債利回
 りの4%もありえなくはない。しかし、金利にらみの資金流入もありそうで、政策と
 市場とのかい離がそう一本調子に進むとはみていない」(ドイツ証券、深谷氏)とい
 う。”

 → レベルの高い分析が交錯しています。
   ただこれは明らかに転換期を予告する特徴。
   ドルは当面、最悪期を脱したと考えるべきでしょう。


東京外為市場・15時=ドル92円半ば、2カ月半ぶり高値圏(asahi.com)
http://www.asahi.com/business/news/reuters/RTR201003180076.html

”海外市場で一時92.96円まで上昇、1月8日以来2カ月半ぶり高値を更新したド
 ル/円は、東京市場で一時92.39円まで下落。輸出企業などの実需筋やこれまで
 ドル/円を買い上げた短期筋の利益確定売りに押されたという。
 しかし、午後に入るとドルは再び92円半ばから後半へじりじりと反発。「テクニカ
 ル的に上抜けてきたことに着目した海外ファンド勢の買いが活発」
(外銀)で、ドル
 の下値では複数の外銀を経由した買いが断続的に入った。ドルは92.77円まで上
 昇した。
  <米10年物スワップ・スプレッドの行方に関心、ドル/円上昇を左右か>
 ドル/円が2カ月半ぶり高値へ上昇した手掛かりとなっている米金利の急上昇をめぐ
 り、市場の議論が活発化している。今回の金利上昇は、23日の米金利スワップ市場
 で10年物スワップ金利が1年2カ月ぶりに10年債利回りを下回り、24日の取引
 でさらに水準を切り下げたことを受けて「スプレッド拡大方向に賭けていたファンド
 勢がいっせいに損失確定の反対売買に動き、取引金融機関の国債売りが活発化した」

 (外銀)のがきっかけとの声が大勢。しかし、金利急騰が米国で中国人民元について
 の公聴会が行われた24日だったことで、「売りの背景に最大保有国である中国から
 無言の圧力があった可能性もあるとの観測も出ている」(邦銀)という。前日の米債
 市場で10年債利回りは一時3.93%と9カ月ぶり高水準をつけた。
 米金利の上昇がファンド勢の損失確定なら「一時的な問題で金利の上昇も限られ、ド
 ル/円もそろそろ戻り売り」(都銀)との見方に傾きやすい。「いずれにせよ『悪い
 金利上昇』なのでドル/円を(金利上昇に)追随して買い上げるのは危険」(別の外
 銀)との声もある。しかし、テクニカル的に上抜けとなったドル/円は、海外勢が買
 い姿勢を強めてきたタイミング。「このまま金利上昇基調が続けば、ドル/円は上が
 らざるを得なくなる」(さらに別の外銀)との見方もあった。”

 → 金曜昼の報道です。
   市場関係者の見解が分かれ、
   強気弱気が交錯していると解釈できます。
   (短期的にはどちらの立場も根拠があると思う)


    ◇     ◇     ◇     ◇

注目銘柄。丸紅が580円になかなか届きません。

 丸紅(東証一部 8002) 404 → 437 / 453
                    450

 三菱商事(東証一部 8058) 1,700 → 1,890 / 1,914
                        2,287

 住友金属鉱山(東証一部 5713) 1,492

 マツダ(東証一部 7261)  232
               201

 昭和シェル石油(東証一部 5002) 987 → 1059 / 966
                  716 → 723

 SUMCO(東証一部 3436) 1,743

 コマツ(東証一部 6301) 1,842

基本的には上でしょう。


NY原油、3日ぶり反落(時事通信)
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/business/jiji-100325X737.html

”【ニューヨーク時事】24日のニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相
 場は、対ユーロでのドル高や原油在庫の積み増しを嫌気し、3営業日ぶりに反落した。
 米国産標準油種WTIの中心限月5月物は前日終値比1.30ドル(1.6%)安の1
 バレル=80.61ドルで引けた。”

 → これまでのドル上昇局面と比較して
   原油先物が軟調なのが気にかかる。
   香港株との連動性も弱まっている印象あり。





『会社四季報』2010年 04月号


    ◇      ◇     ◇     ◇

  【 いとすぎの為替ポジション 】

基本的に変化なし。
週初の豪ドルのV字急反発、そしてドル急騰は予想外でした。
少し動いたのですが面倒なので省略します。

 2009/10/29 83.08 AUD/JPY Lev ×1.5
 2009/10/29 82.75 AUD/JPY Lev ×1.5
 2009/07/22 76.77 AUD/JPY Lev ×1.5 (ショート)

    現在 > 83.53 豪ドル/円(損益124%)← 今年の損益率に修正。

 ◎ 2008年秋~09年末の損益率(手数料等除外)> 353%

  ▼ ポジション解消済み
 2010/03/04 80.12 AUD/JPY Lev ×1.5
 2010/02/16 81.15 AUD/JPY Lev ×1.5
 2009/11/04 81.01 AUD/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2010/01/29 80.01 AUD/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2009/12/11 81.38 AUD/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2010/01/06 84.86 AUD/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2009/12/03 81.69 AUD/JPY Lev ×1.5
 2009/12/28 80.92 AUD/JPY Lev ×1.5
 2009/10/29 81.10 AUD/JPY Lev ×1.5
 2009/10/07 79.54 AUD/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2009/10/07 79.58 AUD/JPY Lev ×2
 2009/09/10 79.92 AUD/JPY Lev ×2
 2009/10/12 81.36 AUD/JPY Lev ×2
 2009/09/25 78.88 AUD/JPY Lev ×2
 2009/09/19 79.40 AUD/JPY Lev ×2 (ショート)
 2009/09/10 79.38 AUD/JPY Lev ×2
 2009/09/11 78.08 AUD/JPY Lev ×2.5 (ショート)
 2009/09/02 77.40 AUD/JPY Lev ×2.5
 2009/08/20 77.82 AUD/JPY Lev ×2.5
 2009/08/21 77.04 AUD/JPY Lev ×2.5
 2009/08/11 80.43 AUD/JPY Lev ×2.5 (ショート)
 2009/07/28 78.38 AUD/JPY Lev ×2.5 (ショート)
 2009/07/29 77.40 AUD/JPY Lev ×2.5 (ショート)
 2009/07/01 78.02 AUD/JPY Lev ×2.5
 2009/07/23 77.38 AUD/JPY Lev ×2.5

 …以下省略…


「資源国通貨は底打ちしました。
 豪中銀は政策金利を引き上げ始めており、
 豪ドルは緩やかな上昇トレンドに入っています」

中長期的な見通しは変わりません。

「85円から76円のレンジ圏を想定」

83円台からの反落が一瞬で終わったので、
短期的な見通しを微修正します。

「豪ドルは85~86円を目指すが、
 モメンタムは弱く小反落を繰り返す可能性が高い」

金曜に84円台から強く押し戻されたので、
短期的には上値の重さが予想されます。

先週と同じく、ポジションを大きく傾けないようにしましょう。
トラップを使った自動売買の方が有利な市況です。

※ くれぐれも投資家各位で御判断下さい。
※ このウェブログを参考とし、めでたく投資収益を得られた方は、
  収益への課税分を社会に貢献する組織・団体に寄付して下さい。
  (当ウェブログのこちらのカテゴリーも御覧下さい。)
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世界最先端を疾走する、日本のバイオコークス技術 - 中国企業が数十億円で特許買い取りを打診か

2010-03-26 | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える
今環境関連で最も売れている本が武田邦彦氏の「年収半減」説。
環境産業の市場規模予想や成長性すら調べずに
ただ自分の財布の減りを心配する内容で、本当に日本の「民度」が憂慮される。

日本社会に貢献するのは、このように意図的に極論で煽る本ではない。
地道に黙々と研究開発を行い、ソリューションに邁進する人々だ。

未来のために尽力する者のみがフロンティアを拓き得るのだから。

しかし出版物として売れるのは、
「損する」「騙される」等の軽佻浮薄な情動に訴える、
大衆の頭脳で理解できる単純なメッセージである。





『「CO2・25%削減」で日本人の年収は半減する』(武田邦彦,産経新聞出版)


▽ 森谷氏は環境関連産業が「50兆円規模に育つ」と予想されています。





『温室効果ガス25%削減は実現できる!』(森谷正規,東洋経済新報社)


全く対照的な2冊だが、真実は両者の中間にある。
デンマークやドイツ経済の実情を見る限り、
真実が後者の方に近いのは火を見るよりも明らかだ。


廃プラスチック+生ごみ=石炭なみ 静岡大が開発、3年後実用化目指す(毎日新聞)
http://mainichi.jp/life/ecology/news/20100304dde041040005000c.html

”生ごみと廃プラスチックから石炭並みの熱量がある燃料を製造する技術を静岡大工
 学部の佐古猛教授(物質工学)らの研究グループが開発したと3日、発表した。コ
 ンビニやスーパーから出されるプラスチック容器入りの食品廃棄物や農作物の非食
 用部分などから「国産」の燃料を作り出すことができる。3年後の実用化を目指す。
 【瀬上順敬】
 200度・20気圧の亜臨界水と呼ばれる高温高圧の「水」の中で、生ごみと廃プ
 ラスチックを約30分かき混ぜると、直径1~5ミリに分解されたプラスチックの
 周りに生ごみからできた可燃性粒子が付着する。これが粉末燃料となり、添加物な
 しで加圧するだけでペレット状に加工することができる。
 石炭の熱量が1キロ当り6750キロカロリーに対し、この粉末燃料は同6250
 ~7000キロカロリーとほぼ同じ。硫黄酸化物は発生せず、窒素酸化物やダイオ
 キシンなどの発生も一般のごみ焼却場の排出基準を大幅に下回る。
生ごみ1トンと
 廃プラスチック200キロから400キロの燃料を作ることができ、焼却灰は燃焼
 前の数%と少なく、リンなどを含むため無機肥料として再利用できる可能性もある。
 一部の自治体では、生ごみに接着剤や石灰を混ぜてペレット状にするRDF(ごみ
 固形燃料)を製造するプラントが導入された。だが、RDFは熱量が低く重油など
 の助燃剤が必要になる場合があるほか、焼却灰に石灰が残り処理費用がかかるなど
 の問題があった。また、発酵によって発生したメタンガスが原因とみられる火災が
 発生するなどのトラブルもあり、普及していない。今回の技術は、こうした問題を
 いずれも回避できる
という。”

 → 生ゴミから石炭代替燃料を生産するという、
   驚くほどに革命的な技術です。
   これまで指摘されていたRDFの欠点をほぼ解決しており、
   採算性をクリアできれば爆発的に拡大するでしょう。


バイオコークスでエコな事業 植物性、CO2排出実質ゼロ(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100310/biz1003101251013-n1.htm

”■近大と森林組合タッグ 高槻に工場建設
 二酸化炭素(CO2)排出量が実質ゼロで、石炭に代替できる植物性の固形燃料「バ
 イオコークス」の事業化に、近畿大学と大阪府森林組合(大阪市)などが乗り出す。
 平成22年度に大阪府高槻市に工場を建設、24年度から本格生産する予定だ。
 エコ燃料の創出と放置林の解決という一石二鳥の効果が期待され、農林水産省も「世
 界初の事業では。林業復権と国産資源の創出を同時にできる」と産学協同プロジェク
 トに熱い視線を寄せている。
 技術を開発した近畿大学理工学部の井田民男准教授(47)によると、バイオコーク
 スは乾燥させた植物を細かく砕き、荷重や熱などを加え、鉄以上の硬度を持つまで圧
 縮する。
 石炭の燃焼時のCO2排出量は1キロ当たり約2キロ以上だが、バイオコークスは素
 材の植物が光合成で吸収する量と燃焼時の排出量がほぼ同じ。実質排出量ゼロ(カー
 ボンニュートラル)とされる。
 近大と府森林組合、炉機メーカーなどは18年に技術提携し、燃焼能力のデータ収集
 や材料の確保など事業化に向けた研究を進めてきた。実証実験では、石炭と20%を
 入れ替えても必要な熱量が出ることが確認されたという。
 国内には放置林を含め、利用可能な山林が800万トンあり、事業化が可能と判断し
 た。
22年度中に高槻市に工場を建設し、生産を開始。市場テストを経て、24年度
 から年間2700トンの本格生産に乗り出す。当面は大阪府北部のスギやヒノキの間
 伐材などを使う。
 こうしたエコ燃料の製造技術への関心は高く、国内外の企業から問い合わせが殺到。
 中国の企業からは数十億円での特許買い取りの打診もあったという。

 井田准教授は「国産資源の創出、環境対策の両面に貢献できる技術。もっとデータを
 重ねて、広く使えるようにしたい」。府森林組合三島支店(高槻市)の主査、武山一
 夫さん(41)は「これをきっかけに山林の価値が向上すれば、放置林の解決の糸口
 となる。林業の復活につなげたい」と意気込んでいる。”

もっと驚いたのはこの産経新聞の報道です。
こちらは日本各地に放置されている間伐材を資源化できる上に、
既に実証実験が成功しているのが大きい。

あと残る問題はやはり「コスト」ですね。

もし本当に政権与党が法人税を引き下げるなら、
バイオコークス関連のように将来性ある分野に戦略集中すべき。

政策効果は市場規模や売上高で検証すれば良いでしょう。
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