みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

関西電力、追い詰められ電力融通・風力発電増強を決める - 北陸電力と四国電力から電力受け入れ拡大へ

2012-05-31 | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える
再生可能エネルギーの固定価格買取制度における焦点は太陽光ではない。
火力並みの低コスト・膨大な普及余地・短い施工期間という
三拍子が揃っている大型風力発電である。

しかも利権勢力が「準国産」と偽称する原子力とは全く異なり、
エネルギー価格上昇・震災・テロに対して極めて強い。
(原子力はこの全てに対して弱い、話にならない脆弱電源だ)

経済的には、部品点数が多いので製造業への恩恵が大きい。
ソーラーパネルと違ってコモディティ化もしていない。

不安定だと主張する者はどうしようもない半可通であり
デンマークやスペインのように設置数を増やせば安定化するのは明らか。
バードストライクに対しても、ゾーニングすればいいだけの話。

漸くにして関西電力も風力発電の受け入れ増を決めたようだ。
何しろ電力大手には「なんちゃって自由化」で誤摩化した実績があるので
はっきり言ってどこまで本気なのかまだ疑わしいが、
当ウェブログが従来から主張してきた通りで結構なことだ。

日本では北海道と東北に風力の膨大な開発余地があることが分かっている。
風力発電所なら地熱や大型火力より施工期間も短くて済む。
太陽電池のスピードには敵わないがボリュームやコストは風力が勝る。

風力発電機を増やせば電力供給が安定化するのは欧州の経験で分かっている。
首都圏の電力不足は理論的には風力だけで充分に解決可能である。
原子力ムラの必死の抵抗があるとは言え、政策のスピードが遅すぎる。

昨年の段階で環境庁が全国を調査して風況と施工期間予測に基づき
優先地域のピックアップとゾーニングを行っておくべきだった。
環境庁の動きが遅いので自治体が突き上げても良かったのだが。

当ウェブログは「2011年は日本の風力発電の本格普及が始まる」と
予言したが、ほぼ想定通りの展開となりつつあると見て良かろう。


 ↓ 参考

風力発電7割増の大攻勢、ユーラスエナジーが強気の計画 - 再生可能エネルギー全量買取制度の威力は歴然
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/0840e89c61a9d419992eda7df739ace3


北海道に2600万kW分もの膨大なエネルギー資源、風力発電の潜在力 - 道北から送電線整備等の要望も
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/3dcafb2aa3ebf30e8665db290aa6d66c


▽ 電力大手が妨害していなければ、風力発電は確実にもっと普及していた

『総力取材! エネルギーを選ぶ時代は来るのか』(NHK出版)


▽ 電事連と経団連が原子力に固執し、風力発電の拡大を妨害してきた

『エコ・ウオーズ 低炭素社会への挑戦』(朝日新聞特別取材班)



関西電力、北陸・四国電力と風力発電拡大に協力合意(response.jp)
http://response.jp/article/2012/05/28/175076.html
”関西電力は、北陸電力、四国電力から地域間連系線を通じて中部電力と協力して電力を受けることで北陸電力、四国電力の調整力を確保し、両エリアの風力発電を拡大する取り組みに協力することで合意した。
 原子力発電所の再稼働が困難な状況の中、関西電力、中部電力、北陸電力、中国電力、四国電力、九州電力の電力5社は、相互に協力し地域間連系線を活用した中・西日本での風力発電導入拡大を図ることで昨年12月に合意。
 先行した取り組みとして北陸電力と四国電力から中部電力と関西電力に電力を送り、北陸電力、四国電力が必要な調整力を確保することで、風力発電導入量をそれぞれ20万kW程度拡大することを目指すことを検討してきた。
 また、関西電力の供給区域である淡路島南部地域は、四国電力の系統から送られてきた電気を関西電力が供給していることから、この地域の風力発電の系統連系は、四国電力の系統に影響を与えることになる。このため今回、関西電力は、四国電力での風力発電の拡大に併せて、淡路島南部地域に風力発電の系統連系受付を行うことにした。”

これ自体は良いことだが、かなり懸念もある。
関西電力管内で圧倒的に風況が良いのは淡路島である。
また、台風対策は必要だが南紀にも良い立地がある。
そちらの方が優先されるべきではないのか。

四国は意外と立地が限られるし、北陸は能登に有望な場所が集中していて
送電ロスの問題がどうしても出てくる。

電力融通は当然として、コストを過大に見せかけようとする可能性があり、
有権者は厳しく監視しなければならない。
(関電役員・正社員の厚待遇は、事業独占と原子力の補助金で支えられてきた)


茨城・神栖沖に風力発電8基増設 ウィンド・パワー(共同通信)
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO41661050R20C12A5L60000/
”風力発電を手掛けるウィンド・パワー(茨城県神栖市、小松崎衛社長)は2013年3月をメドに神栖市沖に風力発電設備8基を増設する。現在稼働している7基と合わせた出力は3万キロワットとなる。東京電力などに売電する。
 同社は現在、神栖市の海岸から約50メートル沖合に日本初の本格的な洋上風力発電として7基を稼働させている。今回はその近くの洋上に8基を増設する。〔以下略〕”

東日本においても当然、風力を増強すべきである。
神栖はあの大震災にもびくともしなかった。
(東京都の構想する湾岸の火力など震災で即刻停止になる)

福島の沿岸部もほぼ条件は同じである。
浮体式の実験もいいがコストの安い着床式風力を急ぐべきである。
漁業組合に資本参加を認めれば漁業権の問題もクリアできる。
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中国は必ず日本に報復してくる - 外交官スパイ疑惑を完全否定、すぐさま中国在留邦人に警告すべき

2012-05-30 | いとすぎから見るこの社会-対アジア・世界
今すぐ日本政府は中国在留日本人に注意喚起を行うべきである。
中国の政府関連・軍関連の重要施設に近づかず、
企業の内部情報にアクセスし得る状況に身を置いてはならない。

中国政府が、自国の外交官のスパイ疑惑から目を逸らさせるために
中国在留日本人の罪をでっち上げ、逮捕拘留する可能性が高い。

中国にはまともな法治システムなど存在していない。
彼の地の政治犯や民主活動家の扱いを見れば明らかだ。
犯罪の捏造など朝飯前、目障りな人物は簡単に拘留できる国だ。

かつて尖閣問題の後に日系ビジネスマンの拘留など
露骨な報復行為を行ったことからも明らかである。

当ウェブログは昨年にチャイナ・リスク増大を指摘している。
その際は主に経済的リスクに焦点を当てたが、
言う迄もなく政治リスクも大きい。


 ↓ 参考

日本に必要なチャイナ・リスク軽減 - 製造業の直接投資先、中国からインドへシフト
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/8827ac11a2a45fc7a23782aee8c20567


▽ 門倉貴史氏が中国国内のナショナリズム高揚を指摘している





『中国経済の正体』(門倉貴史,講談社)


▽ 中国は正面から対抗するだけでなく、老獪な変化球も得意な国である





『暗流―米中日外交三国志』(秋田浩之,日本経済新聞出版社)



中国書記官スパイ活動か、身分偽り口座開設(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120529-OYT1T00139.htm
”在日中国大使館の1等書記官(45)が、外国人登録証明書を不正に使って銀行口座を開設し、ウィーン条約で禁じられた商業活動をしていた疑いが強まり、警視庁公安部が外務省を通じて中国大使館に書記官の出頭を要請していたことが政府関係者への取材でわかった。
 書記官は一時帰国した。中国人民解放軍の情報機関「総参謀部」出身で、公安部は、日本国内で 諜報活動をしていたとみており、書記官が接触していた関係者などから一斉に事情を聞き、実態解明を進める。
 開設された口座には日本企業から顧問料などが振り込まれ、工作資金に充てられた疑いもあり、公安部は外国人登録法違反(虚偽申告)での立件に向け捜査している。中国の外交官が日本の国内法規に抵触して立件対象になるのは初めて。”

ロシアも中国も大使館には確実に諜報活動を行う人員がいるものだ。
国際条約など彼らは眼中にない。寧ろ国際条約を破ってまで
党への忠誠心を示す見事な活躍と見なす筈である。


「書記官は日本研究者」 中国外務省、スパイ疑惑を否定(朝日新聞)
hhttp://www.asahi.com/national/update/0530/TKY201205300489.html
”在日中国大使館の李春光・1等書記官(45)が外国人登録証を不正に更新したとされる事件で、中国外務省の劉為民報道官は30日の定例会見で「(李氏が)スパイ活動をしていたという報道にはまったく根拠がない」と述べ、スパイ疑惑を全面的に否定した。
 劉報道官は「彼は長い間日本研究に携わってきた学者だ。中国社会科学院から大使館に、経済担当として一時的に出向した」と説明。「任期満了で帰国した」とし、日本側にもこうした立場を伝えたという。
 ただ、李氏が2008年に外国人登録証を不正に更新した疑いなどについては、劉報道官は「関係部門が事実確認をする」とした。
 一方、在日中国大使館の楊宇報道官は30日の定例会見で、「不正登録とビジネスについては調査し、確認する」と述べた。スパイ疑惑については「根拠もなく非難するのは、まったくくだらない」と訴えた。(北京=金順姫)”

この強い調子での否定がいかにも怪しい。限りなくクロに近いと言えよう。
もし本当に根拠のない疑いなのであれば、もっと余裕ある対応の筈である。

疑惑発覚で中国が焦っている場合、カモフラージュのために
中国在留日本人に難癖をつけ冤罪を捏造して拘留する可能性がある

最終的に無罪になろうとも、日本人を拘留という事実が重要なのだ。

くれぐれも中国在留の日本人は警戒して欲しい。


中国のサイバー攻撃断定=空母キラーミサイルを警戒―米報告書(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2012051900119
”【ワシントン時事】米国防総省は18日に公表した2012年版の「中国に関する軍事・安全保障年次報告書」で、米政府機関や企業へのサイバー攻撃の多くは中国が発信源と断定した。中国政府が組織的に米政府の情報を収集している可能性も示唆した。
 報告書は、11年に世界のコンピューターネットワークを標的にしたサイバー空間侵入や情報の盗難があり、攻撃の「発信源の多くは中国内からだ」と指摘した。昨年の報告書では「いくらかは中国から発せられたようだ」としていた。
〔中略〕
 国防総省は有事の際に、中国がサイバー攻撃で米軍の指揮系統をまひさせることを強く警戒している。
 このほか報告書は、中国海軍が外洋進出を拡大させる一方で、有事に中国周辺海域への米軍の接近を阻止するミサイルを開発していることを懸念。中国の第2砲兵(戦略ミサイル部隊)が沖縄から台湾、フィリピンに至る第1列島線の外で活動する米空母や艦船を精密攻撃できるよう、通常弾頭型の中距離弾道ミサイル(MRBM)を多数配備しているとして、警戒感を示した。”

中国がそもそもこのような存在であることを忘れてはならない。
勿論アメリカも似たような諜報活動を行っている訳だが
中国の場合は国際法や国内法、メディアによる制約が著しく弱いという問題がある。
つまりまともな先進国では不可能な、あらゆる選択が可能なのだ。
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電力料金引き上げも原発再稼働も国民のためではなく、カネのため - 値上げ分でボーナス・廃炉・賠償費用

2012-05-29 | いとすぎから見るこの社会-全般
電力自由化や10年前に阻止された固定価格買取制度の際の騒動を知っていれば
我が国の電力利権の本性はよく理解できる訳であるが、
福島事故以来、それが漸く国民全てに明らかになった。

因に今でも、電力大手の関係者が各方面に
何とかいい話を書いて欲しいと頼み込んでいると言われている。

エネルギー政策・電力政策など知りもしないジャーナリストが
提灯持ちの記事を書いているのが散見されるが
あの連中や媒体は「電力ステマ」である可能性が高い。

我が国の電力供給の実態は事業の実質独占・地域独占という「利権」である。
電力の安定供給や原子力の優位性を実態以上に誇大に強調した理由はそこにある。

だからこそ、低成長の時期でも電力消費量が増えているのだ。
この利権を解体することで経済成長率も引き上げられる可能性が高い。


 ↓ 実例

東電の退職金積立、驚きの高額で上場企業平均の3倍 - 原子力はエネルギー政策ではなくただの利権だ
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/3b00d30fd3a7a666301681977bb1bc6b


 ↓ 因に、他の電力大手も大同小異である

関西電力の経営判断の誤りは明白 - 不安定な原発に依存し、老朽化した火力発電の設備更新を怠った報い
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/7fc84acbad73e16aa4e9fe5aeeea466d


▽ 原発は事実上、実質独占を守るための手段になっていた

『震災復興 欺瞞の構図』(原田泰,新潮社)


「ボーナス出したいから値上げさせてくれ」と正面から頼めば良いものを、
そろっと滑り込ませる姑息な方法を使うから更に強い批判を受けるのである。


東電:賞与も値上げ分に 今冬147億円、人件費に計上(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20120529k0000m020110000c2.html
”家庭向け電気料金の平均10%超の値上げを枝野幸男経済産業相に申請している東京電力が、社員の今冬の賞与(ボーナス)147億円分を料金値上げの原価となる人件費に計上していることが28日分かった。福島第1原発事故の処理と賠償で財務内容が悪化し、国から1兆円規模の公的資金投入を受ける東電は今夏のボーナス支給は見送ったが、冬のボーナスに関しては「未定」としていた。
 電気料金値上げの妥当性を審査している経産省の有識者会議「電気料金審査専門委員会」(委員長・安念潤司中央大法科大学院教授)は、東電に対し、人件費の一段の削減を通じた値上げ幅圧縮を促したい考え。同専門委は29日に会合を開き、人件費や修繕費などの計上が適正か審査するが、委員からは「公的資金を投入される立場を考慮し人件費を決めるべきだ」との厳しい声も出ており、冬のボーナスの大幅削減を迫られる可能性がある
 東電が経産省に示した資料によると、12年度はボーナスを147億円計上。13~14年度も各290億円強のボーナス(夏・冬含み)を見込んでいる。東電は福島第1原発事故以降、社員の年収を20%(管理職は25%)削減したが、専門委では「実質破綻企業の合理化策としては甘過ぎる」との指摘が出ている。東電は燃料費や人件費などに一定の利益を上乗せした総額を基に、7月から家庭向け電気料金の平均10.28%値上げの認可を枝野経産相に申請している。【小倉祥徳】”

福島原発事故で故郷を追われた人々、
農業など仕事ができなくなった福島の人々、
観光客激減で倒産被害に遭ったり苦境に陥った人々は間違いなく激怒する。
国民も納得する訳がない。それすらも理解できていないのだ。


東電値上げ1%超分に廃炉・賠償関係費用(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20120529-OYT1T01049.htm
”東京電力の家庭向け電気料金値上げの総原価に、新たに福島第一原子力発電所の汚染水処理などの廃炉関係費用や、賠償業務費用が関連人件費を含めて年間計957億円盛り込まれていることが29日、わかった。
 総原価の1.6%を占め、値上げ幅(平均10.28%)の1%超分を占める計算で、一連の費用の料金への転嫁が適切かどうか、今後の焦点となりそうだ。
〔中略〕
 福島第一原発事故の緊急的な処理や廃炉費用は、特別損失としてこれまでの東電の決算で計上している。東電が被災者に支払う賠償金は、政府の原子力損害賠償支援機構から資金支援を受けて充当するため、いずれも料金の算定根拠となる総原価には盛り込めない。”

こちらも問題である。いずれ電気料金か税金に転嫁されるものだが、
決して不透明な形、関係者の利害で決めてはならない。


核燃サイクル「秘密会議」:まるでムラの寄り合い(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20120524k0000m040126000c.html
”扉の向こうに信じがたい光景が広がっていた。4月24日、東京・霞が関で開かれた「勉強会」と称する核燃サイクルを巡る秘密会議。一線を画すべき国家公務員と電気事業者が談笑する様は、まるで「原子力ムラ」の寄り合いだ。参加者の手元にはなぞの文書が配られる。取材班は後に内閣府原子力委員会の小委員会で示される報告案の原案だったことを突き止めた。【核燃サイクル取材班】
  ◇反対派批判、一斉に笑い
 4月24日午後5時前、東京・霞が関の中央合同庁舎4号館7階743会議室。開けっ放しのドアから三々五々、背広姿の男たちが入室していくのを記者は目撃した。原子力委員会、内閣府、経済産業省・資源エネルギー庁、電気事業連合会、日本原燃、東京電力……。反対・慎重派の姿はなく、推進派ばかりだ。
〔中略〕
 2人の内閣府職員が「ロ」の字に並べられた机の上に1部ずつ原案を配布していく。電事連幹部らが笑顔で受け取る。扉のすぐそばに座っている高速増殖原型炉「もんじゅ」を運営する「日本原子力研究開発機構」幹部は熟読していた。やがて雑談が始まり、1人が反対派の論客である環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長らの名前を挙げ批判すると、一斉に笑い声が起こった。
 午後5時10分、開けっ放しだった会議室のドアが静かに閉まり、秘密会議が始まった。関係者によると、青森県六ケ所村の再処理工場を運営する「日本原燃」幹部が再処理事業の生き残りを意味する「再処理・直接処分併存(併用)」政策で小委員会の議論をまとめるよう依頼した。「六ケ所をやめて直接処分にするとあちこちが大変になる」と強調する幹部。再処理事業が破綻すると、六ケ所村に貯蔵中の約2919トンの使用済み核燃料は施設外に搬出しなければならないとされる。
 小委員会は今月23日、新大綱策定会議に併存に有利な表現の並んだ「総合評価」を盛り込んだ取りまとめを報告した。経産省関係者は「再処理しても最後はごみを捨てなければならない。政府と役人が一体となって最終処分場を造るために汗を流さなければならない時に、時間稼ぎに過ぎない政策を推進している」と嘆いた。
  ◇「うっかり」は通用しない
 長期的な原子力政策を論議する「新大綱策定会議」(議長・近藤駿介原子力委員長)の議案が原発再稼働の妨げになるとして隠蔽(いんぺい)された問題を毎日新聞が報じた(8日朝刊)際、近藤氏は主に二つの理由から「問題ない」との見解を示した。しかし、秘密会議問題で発覚した経緯に照らすと、今度は同じ弁明は通用しない。
 議案隠蔽問題は4月19日、事務局の内閣府職員が「(原子力と)地域社会との共生」と題した同24日の策定会議の議案を経済産業省・資源エネルギー庁や電気事業連合会に渡したところ「『(地域には再稼働に慎重な)滋賀県は含むのか』と追及され策定会議が紛糾する」と言われ、この議案をとりやめたというもの。
 近藤氏は電気事業者に渡った点を不適切としながらも「議案ではなくメモ。議案なら(パソコンのプレゼンテーションソフトである)パワーポイント形式にする」「事務局がメモをうっかり電子メールで流してしまった」などと釈明した。
 しかし今回発覚した秘密会議疑惑で配られた原案はパワーポイント形式。さらにメールではなく会議室で事業者に手渡している。所管大臣である細野豪志原発事故担当相は議案隠蔽発覚時、近藤氏擁護論を展開した。対応が注目される。【核燃サイクル取材班】〔以下略〕”

毎日新聞が鋭く真相の一端を暴いている。
これは核燃料サイクルでの話であるが、
残念ながら原子力関係もエネルギー政策関係も全て同じである。

事情を知っている者にとってはまったくもって想定内の話で、
国民の批判が厳しくなっている今の時期になっても
相変わらず隠蔽体質が変わっていないことが分かる。

▽ 電力自由化も再生可能エネルギーも全く同じ構造

『総力取材! エネルギーを選ぶ時代は来るのか』(NHKスペシャル「日本新生」取材班)


電力10社利益、7割は家庭向け 再稼働なしで15%値上げも(共同通信)
http://www.47news.jp/news/2012/05/post_20120523113334.html
”経産省が電力10社の収支構造を調べたところ、06年度から5年間の平均で、販売電力量に占める割合が38%しかない家庭向けから利益の69%を上げていることが23日、分かった。企業向け電気料金は、顧客との交渉で価格が決まるが、家庭向けは制度規制で割高となっている。東電はその傾向が最も顕著で利益の91%が家庭から。東電は同日、柏崎刈羽原発が再稼働しなければ値上げ率は15.87%に達するとの試算を公表。”

当ウェブログは「不都合な事実はまだまだある」と明言したが、
その通りの展開である。はっきり言っておくが、
不都合な情報の隠蔽はまだまだある。
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生活保護問題の本質は、不正受給ではない - 制度そのものが根本的にモラルハザードの誘因になっている

2012-05-28 | いとすぎから見るこの社会-格差の拡大
当ウェブログは昨年、「反貧困運動は冬の時代を迎える」と
予言したが案の定の展開となっている。
経済停滞が続けば遠からず弱者を見捨てざるを得ない社会となるだろう。

↓ 参考

反貧困運動は、もう世論の支持を期待できない - 生活保護の期限設定にも医療扶助見直しにも強硬に反対
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/5923b5e80c3c104b1482e391d9fd0ef5


現在、本質ではない部分に焦点が当たっているだけでなく、
「生活保護費の削減」という愚劣な方向へ話が進んでおり、
この国の政策リテラシーの低さがありありと現れており寒心に堪えない。

まずはっきり言っておくと、自民党がこの問題を批判するのは
見え見えの政治的パフォーマンスに過ぎない。

自民が長らく政権与党の座にあり、成長率が低下し失業率が上昇する中で
雇用政策にも貧困対策にも大した施策を打ち出さなかったのは明白な事実だ。

麻生内閣の雇用助成と民主党政権の生活保護受給増は
どちらも本質的に変わらない。両者とも明白なバラマキである。

更に、低所得層の実態を踏まえ社会保障制度を再構築すべきだったのに、
乏しい税収から高齢者3経費へのバラマキを続けてきた責任は重い。
生活保護は3兆円程度だが高齢者3経費にはその10倍前後の公費が投入されている。
(しかも巨額資産を持つ者にもバラまいているという無責任ぶり)


生活保護を批判する前に、以下の基本は踏まえておきたい。
不正受給は悪質であるが率としては低い。

○生活保護費の一人当たりの額は大きいが、要支援層のカバー率は低い
 (=ずうずうしい人間の方が正直者より得をする構造)
○生活保護は受給者の給付への依存度を高める悪影響あり
○生活保護の世代間継承(親が生活保護なら子も生活保護)が確認されている
○就労支援の仕組みが無いに等しい
○生活保護費のほぼ半分が医療扶助、不正が疑われている
○高齢人口が増大し続けるため、生活保護受給増は必至

急がなければならないのはまず医療扶助の不正摘発である。
これは不正受給より圧倒的に額が大きい。

一部の病院・診療所が生活保護を食い物にしているのは明らかであり、
患者名を伏せて症状と治療内容、給付額を病院・診療所ごとに公表すべきである。
不正が発見された場合には重罰もしくは医師免許の停止が必要だ。

↓ 参考

社会保障を食い荒らす人々 - 利権化する生活保護、医療扶助を狙う診療所が増加中
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/11007818569d7537006882401f4a14e4

第2に、生活保護受給者とその家族の情報把握に問題がある。
マイナンバー制度を生活保護受給者とその家族からまず適用すべきである。

資産把握ができない欠陥を持つマイナンバー制度も改善すべきである。
2世議員の多い自民が抵抗するだろうが、見逃してはならない。

そして生活保護不正受給(特に所得隠蔽)に対しては脱税と見なし、
税務調査の適用対象とすべきである。

↓ 資産把握ができないのは明白な欠点

預金4000万円でも生活保護を受けた悪徳経営者 - 富と倫理性は比例せず、橋下維新公約の資産課税は正しい
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/8f4d072653ce180257e239a62b164637

第3に、年齢が若く健康で働ける稼働層は、生活保護と別枠にすべきである。
経済に無知な反貧困の「活動家」が批判するだろうが妥協してはならない。

北欧のように、給付額を逓減(徐々に減らす)させるともに
職業訓練の義務づけ、職業斡旋の拒否に制限をかけるべきである。
鈴木亘・学習院大教授の提言する強制貯蓄口座も検討すべきだ。

▽ 北欧は数万円の所得も課税対象、銀行口座に個人番号が付く厳しい監視社会。

『スウェーデン・パラドックス』(湯元健治/佐藤吉宗,日本経済新聞出版社)


同時に、強力な雇用創出政策と給付付き税額控除の創設が必要だ。
長期的にモニタリングし、根気よく制度の細部を手直ししなければならない。


時給1000円1日8時間のバイトを週5でやるよりも生活保護なのか!?(excite)
http://www.excite.co.jp/News/reviewbook/20120528/E1338126738649.html
「今の生活保護制度は、いったん受給してしまうと、そこから抜け出すインセンティブ(動機)がまったくない制度となっている。そこが一番の問題です」
 社会保障論を専門とする鈴木亘教授からこの言葉を聞いて、NHK取材班は共感したという。それまでの取材で彼らも繰り返しそれを感じていたからだ。
 近年受給者が急増し、不正受給も多いとされ、問題視されている生活保護。それについてNHK取材班はずっと、取材してきた成果をまとめ、何度も番組にしてきた。2012年現在その集大成番組ともなった『生活保護3兆円の衝撃』が、書籍化された。
 生活保護は年間3兆3000億円支給され、増加中。大阪では18人に1人が受給しているなど、その多さも問題になっている。受給者は医療費や年金も免除される。受給者の医療費は3兆円の中の半分くらいを占めている。運営の厳しい病院が、受給者に本当は必要ない薬を処方しまくって儲けるような問題も多い。
〔中略〕
 受給者本人の所得があるのに隠していたり、そういう不正は当然許されない。しかし現在の受給者200万人以上のことを考えると不正を調べる職員給与だけでも相当な額になる。なにより、一部の不正を正すために、本当に必要な人が受給できないようでは福祉の意味がない。2009年までの生活保護問題はそういう、「不正との戦い」だけで済んでいた。
〔中略〕
 リーマンショック後、派遣切りや工場閉鎖などで失職した人が急増した。2008年末、厚生労働省前の日比谷公園「年越し派遣村」のことを覚えている人も多いだろう。本来失業者は雇用保険の給付などで生活しながら次の仕事を探す、というシステムになっているが、給付日数が終わるまでに次の仕事が見つからなかったり、そもそも保険をもらえる条件を満たせない人が多かった。
 20年以上働いていても、失業すれば150日しか雇用保険の給付は行われない。10年未満だと90日。3か月でなんとかしないといけない。もらえない場合、貯金だとか世話してくれる人がなければ、すぐに生活できなくなる。
 こういう人たちが生活していくために、緊急で生活保護の基準を「働けるけど仕事が見つからなくてお金もなくて困ってる人」もオッケーということにしたのだ。
 本書ではさまざまな理由で生活保護を受けることになった受給者に取材しているが、やはり「働けるけど働けない受給者」の問題は深刻だということが理解できる。
 失業者を支えるいくつかのセーフティーネットはあるが、その網目が、どれも新しい時代の失業者を受け止めることができていない。失業者を生活保護でしか受け止められなくなっており、生活保護は失業者のためにデザインされたものではなかったので、失業者が元の生活に戻ることを阻害してしまっているのだ。
 時給1000円、1日8時間のバイトを週5でやっても、年金やら税金を払うと生活保護のほうが多くなったりする。役所もハローワークも、職員は大勢の失業者を受け持っていて、細かいチェックや手厚い就労支援までは手が回らない(そもそも就労支援のデザインとかも疑問が多いもので、職業訓練などの成果も極めて低い)。
 そしてそのうち働く意欲そのものがなくなってしまう受給者が少なくないという。それは受給者への取材の印象でもそうだし、本書中にデータでも出されいる。念のため書いておくが、多くの受給者は、働く意欲を持っていて、だけど失業中の生活をなんとかする手段が他にないので生活保護を選んだ。だけど持っていた意欲が下がるような要素がそこにあるのだ。
 そうした新しい問題に加え、もらうべきなのにもらえない人、相変わらず悪さをしているやつ、いろんな問題が残っていて、それぞれの問題が次々にマスコミで報じられる。すると人々はどの問題がどの程度の大きさで、何がどういう条件で「不正」なのかとか、よく解らないままごちゃごちゃになり、「とにかく生活保護はやばいらしい」という問題意識になっていく。
〔中略〕
 本書『生活保護3兆円の衝撃』では生活保護制度の経緯、受給者の事例、役所で働く人への取材、専門家の考え、そういったものが一通り読める。一般の人向けに書かれており、読みやすい。
(香山哲)”

高齢層や重病人のように働けない人々と、
働ける人々の生活保護とは完全に別にして、
「受給しやすいが継続はされず、就労支援に重点を置いた給付」が必要だ。

▽ 紹介されているのはこの本。お薦めである。

『NHKスペシャル 生活保護3兆円の衝撃』


不正受給ではなくモラルハザードが問題の本質であることを
この問題の当事者が気づいていない。この件は「延焼」するだろう。


河本母親「世間が勘違い。悪いことは何もしていない」(デイリー)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120526-00000003-dal-ent
”次長課長・河本準一の母親の生活保護費受給問題で、渦中の母親が25日、フジテレビ系報道番組「スーパーニュース」の取材に応じ、「(不正受給の)事実はない」と主張した。
 同日午前に都内で会見に臨んだ河本には電話で「頑張って話をしなさい。一切そういう(不正受給の)事実はないんだから」と伝え、送り出したという。騒動に関して母親は「決して悪いことは何もしていない。勝手に世間の人が勘違いして騒いでいるだけ。言う人は言うし、私はあんまり気にしていない」と力強い口調で話していた。”

第4に、世代間継承を防ぐために生活保護受給世帯の子供の
教育・就労支援を強化すべきである。支援と不正摘発の両輪が必要だ。

この意味で、問題の所在を知らしめた河本問題の功績は大きい。
聞くところによると河本母だけではなく姉なども受給者であるという。

▽ 慶大の駒村教授が生活保護受給の世代継承と悪習に言及されている。

『大貧困社会』(駒村康平,角川SSコミュニケーションズ)


第5に、高齢化の進展による生活保護費の膨張は不可避である。
駒村教授の調査で無年金が貧困高齢層の特徴であることが分かっている。
歳入庁の創設を急ぎ、年金から生活保護への流入を防ぐべきである。

また、労働力の増加による税収増がなければ福祉は破綻必至だ。
人口政策と女性就労率引き上げ策を同時に推進し、
保育・看護・介護など慢性的に人不足の分野で給付付き税額控除の適用を急ぐべきだ。


不正受給防止策も必要だが費用対効果や制度設計を考えなければならない。
例えば給付の9割を個人番号入りのバウチャーにすれば
不正は激減するだろうが、行政コストは間違いなく上昇する。

▽ 北欧は常に厄介なモラルハザードとぶつかり、制度を手直ししてきた

『福祉国家の闘い―スウェーデンからの教訓』


監視体制を学ぶとしたら効率的な北欧社会に限る。
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ECBは市場に利下げを催促され、史上最安値も視野に入る - ユーロショートも史上空前の規模に膨れ上がり

2012-05-27 | 注目投資対象・株価の推移
           ↑ USD/JPY(ZAI)ユーロからの逃避先として踏みとどまる?

※ BLOGOSの方、このカテゴリー転載不要です。

重苦しい市況が続いている。ギリシャの再選挙までこの調子なのだろうか。
しかもギリシャから、ユーロは維持したいが緊縮財政は嫌だ、
といった不可思議な声が聞こえてきて、更なる問題の混迷が予想される。

しかしながら考えてみれば「社会保障は維持したいが増税は嫌だ」
「経済成長はいらないが社会保障給付の削減は嫌だ」とほざいている
我が日本にもギリシャ人を笑えない愚民が多数いることも確かである。
ギリシャと同じく厳然たる事実を目前にしないと悟らないのであろう。

さて先週、当ウェブログで書いた通りの状況になっている。

「市場に追い立てられたECBの追加措置(利下げが有力)に向け
 着々と包囲網が敷かれている情勢と言えるだろう」

最新のCFTCの公表値ではユーロショートが更に増加、円ショートが急減している。
豪ドルロングもさすがに耐え切れず大幅に減少しており、
(当ウェブログで散々警告したのに……)
ターニングポイントに向けて近づきつつあることは分かる。

しかし現時点でそれがどこにあるかは全く見えない。
残念ながら、微かな音すら聞こえてこない。


以下の当ウェブログの見解は今週も維持する。
ECBの利下げが接近しつつある。

「強烈なモメンタムで続伸できるような環境も動向もなく、
 安易なロングポジションの構築は控えなければならない」

「中国が半年余りの間に3度目の預金準備率の引き下げを決め、
 中国経済の減速が疑いようのないものとなっている」

「遅くとも4月中に今年前半のピークを付けるだろう」

「各市場とも完全にモメンタムを失ってしまった。
 心理的にこの打撃は大きい。初秋まで高値を奪回できない可能性が高い。
 当然、短期的な戦略はショート中心となろう」

「市場の動きから見てセリングクライマックスはまだ先ではないかと思うが、
 米指標から見て晩秋までじりじり嫌な下げが続いた昨年の二の舞はない」

「ゴールドは「完全に終わった」と断言して良い」

「香港や上海市場を見ても分かるように、
 今の中国では内需主導で高成長を持続するのは不可能である」

「香港の市況停滞も明確になってきた。
 原油価格が下がればムンバイにアウトパフォームされるかもしれない」

「円安は明確に日本経済にとってポジティブである」

「米経済の回復が日本経済や中国経済にも恩恵を与え、
 今年は矢張りささやかながら良い年になりそうだ」

「ユーロ圏への輸出依存度が高いロシアと中国。
 それにユーロ圏の守護神であるドイツ、
 自国の金融機関を守ろうとするアメリカ、
 円高ユーロ安を避けたい日本の5国が共同で
 ユーロ圏支援に踏み切るシナリオもあり得るだろう」

「結局ドイツも追い詰められてユーロを防衛せざるを得ないだろう」

「仏独の合意にはまだまだ遠い道のりで、
 11年前のユーロ危機の水準(100円割れ)にならないと
 本格合意には至らないと見ている」

「ユーロ圏は深刻な経済悪化ではないだろうが停滞は必至」

「ユーロ圏の根源的特質として果断な危機対策はできない。
 市場に催促されながら後手後手で防御策を小出しにするだろう」

「ECBはリセッション回避のためにも利下げ以外の選択肢はない。
 ユーロは低空飛行を続けると思われる」

「中途半端に買戻しがきてしまったために
 ユーロ圏救済策は数ヶ月単位で遠ざかると判断」

「油断したところで再度利下げに追い込まれる局面に警戒が必要だ。
 その時に再度ユーロ円が100円を割り込む可能性がある。
 (それがあるとしたら今年中だろう)」


さて概況は変更なし。予想より市況の落ち込みは深刻で急回復は望み薄。

「米経済の回復ペースが鈍化しているのは間違いありませんが
 当ウェブログで書いたように大勢は上です。それは揺らぎません。
 問題はどの地域、どの企業、どのセクターの回復が早いかです」

との見方も引き続き変わりません。
ユーロは下落トレンドから抜けていません。


↓ EUR/JPY(ZAI)再び100円割れ、底が見えない


↓ AUD/JPY(ZAI)下落モメンタムが鈍ってきたがユーロ次第


先週初めは小康状態かという状況でしたが
水曜にあっと言う間に楽観が吹き飛ばされ
再びユーロが100円割れへ、という週でした。


ドル79円前半、ユーロは短期筋の買戻しで1.28ドル台へ(reuters)
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE84K01V20120521
”正午のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べ若干ドル高の79円前半。ユーロは短期筋の踏み上げ(損失確定の買い戻し)を受け、一時1.28ドル前半まで反発。ユーロ/円では本邦実需筋の買いも手伝い、101円前半まで強含んだ。
 午前の取引でドルは79.06―79.27円と狭いレンジに収まった。オプション関連の防戦買いに支えられ、79円割れは回避した。一方、ユーロ/円は100.86円から一時101.42円付近まで上値を伸ばし、反発力の強さが目立った。朝方の取引で一部の商社がユーロ/円を買う動きが見られたとの指摘が複数聞かれた。
〔中略〕
 ユーロ/ドルは朝方の安値1.2745ドルから一時1.2813ドルまで上昇。18日の東京時間の取引で一時1.2642ドルと4カ月ぶり安値を更新。しかし、多くの短期筋はそのあと「ショートカバーの機会を失い、やっとカバーできたのは東京時間のきょう(午前)4時過ぎ」(外銀)で、それ以降も「ダラダラとした踏み上げが続いている」(同)という。
 踏み上げの力を借りて、ユーロは一時1.2813ドル付近まで値を戻したが、踏み一巡後は1.28ドル付近での一進一退となっている。
 ただ、「ユーロはこれで大底を打ったわけではない。今回のユーロ安の起点1.29ドル台まで戻して、もどり売りを浴び、その後どこまで下押しするかを見定めたい」(運用会社)という。
 この日のユーロ/円や豪ドルの反発のきっかけは、「中国が追加的な成長支援策に前向きであることが伝わったこと」(運用会社)との意見も出ていた。
 中国の温家宝首相は20日、成長を支援する追加的な取り組みが必要との認識を示した。世界第2位の規模を持つ中国経済が第2・四半期に一段と減速する可能性を示唆する経済指標が相次いでおり、政府として景気を支える姿勢を示した。
 新華社によると、温首相は「われわれは、成長維持の優先順位を上げつつ、引き続き積極的な財政政策と穏健な金融政策を実行すべきだ」と述べた。
〔中略〕
 外為市場では、豊富な外貨準備を保有するロシア等の国々が、最近のユーロ下落時にユーロを購入しているとの指摘が継続的に出ているが、この日も、ロシアの外貨準備が話題にあがっていた。
 ロシアのメドベージェフ首相が19日、主要8カ国(G8)首脳らに対し、自国外貨準備のユーロ比率を維持する意向を示したことが明らかになった。
〔中略〕
 ロシア中央銀行が16日に公表した年次リポートによると、中銀は外貨準備に占める米ドルとカナダドルの比率を引き下げる一方、ユーロの比率を引き上げた。
 1月1日時点のロシア外貨準備における各通貨の比率は、米ドルが45.5%、ユーロが42.1%、英ポンドが9.2%、円とカナダドルは、それぞれ1.6%だった。
  <IMM>
 米商品先物取引委員会(CFTC)が発表したIMM通貨先物の取組(5月15日までの週)によると、対主要通貨でのドルの買い越し額が前週から増加し、少なくとも2008年半ば以来、約4年ぶりの高水準となった。ドルの主要6通貨(円、ユーロ、ポンド、スイスフラン、カナダドル、豪ドル)に対する買い越しは285億2000万ドル。前週は209億5000万ドルだった。
 NZドルとメキシコペソを加えた主要8通貨に対するドルの買い持ちは276億3000万ドルとなり、ドルの買い持ちとしては過去最高になった。さらに、ユーロのネット売り持ち高は217億3000万ユーロと、前週の180億ユーロから拡大し、ユーロの売り持ちとしては過去最大となっている
〔中略〕
 枚数ベースでは、円ショートが3万4315枚(5月15日)と前週の4万1093枚から縮小。ユーロショートは17万3869枚と、前週の14万3984枚から増加した。カナダドルのロングは5万1005枚と、前週の6万0095枚から縮小。豪ドルのロングは4734枚と、前週の2万5104枚から大幅に縮小した。〔以下略〕”

一週間前のIMM通貨先物の取り組みはこのようになっていた。
これだけユーロショートがたまっていて大した買い戻しがないのが凄い。

最近ロシアがユーロ安に警戒を強めているようで、
ユーロ圏がより危機的な状況に陥れば
流石に他国と協調支援に踏み切ってくるだろうと予想する。
(プーチン政権が安定するかどうかはロシア経済次第であるため)


ECB利下げ観測強まる、9月末までに0.5%引き下げとの見方も(reuters)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE84N06J20120524
”24日発表されたユーロ圏の経済指標が弱い内容となったことを受け、エコノミストの間で欧州中央銀行(ECB)の利下げ観測が強まった。
 5月のユーロ総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は、2009年6月以来の低水準となった。企業が値下げで消費喚起を図っているにもかかわらず、製造業、サービス部門ともに予想以上のペースで低下した。5月の独IFO業況指数も予想以上に低下した。
 これを受け、エコノミストの間では、経済と政策金利の見通しを修正する動きが相次いだ。ECBが過去最低の1%となっている政策金利を向こう数カ月間に引き下げるとの見方が広がった。
 大和証券(ロンドン)のエコノミスト、トビアス・ブラットナー氏は「ギリシャ情勢や最新の統計を受けて、経済予測の見直しを行った。ECBは追加利下げを実施することにより、経済見通しの悪化に対応する公算が大きい」との見方を示した。
 その上で「利下げ時期が7月になるのか、あるいは昨年11月に予想外の利下げに踏み切ったように、来月利下げを行ってわれわれを驚かせるかが現時点で唯一の問題だ」と話した。
 JPモルガン、BNPパリバも利下げ方向に金融政策見通しを修正した。
 BNPパリバのケン・ワットレト氏は「金利見通しを修正した。現在は、6月に0.25%の利下げがあり、第3・四半期末までに0.5%になると予想している」と述べた。
 シティも年内は主要政策金利が1%に据え置かれるとの見通しを修正し、第3・四半期までに0.5%引き下げられるとの見方を示した。
 同行のユーロ圏エコノミスト、ヨーガン・ミッシェルズ氏は「われわれは新たなシナリオとして、ギリシャのユーロ圏離脱を想定している。その結果、ECBは追加の長期資金供給オペ(LTRO)を実施し、政策金利を0.5%まで引き下げると予想している」と語った。〔以下略〕”

当ウェブログの予想通り、ECBが利下げに追い込まれつつある。
この100円割れの状況で更に政策金利0.5%への引き下げとなると、
ユーロは史上最安値(1ユーロ88円)更新の可能性すらあると言えるだろう。

当然、ユーロ圏との取引の多い中国・ロシア経済だけでなく
米国や豪州も無傷ではいられない筈だ。


ユーロ/ドルが約2年ぶり安値、スペイン自治州の支援要請重し(asahi.com)
http://www.asahi.com/business/news/reuters/RTR201205260014.html
”25日終盤のニューヨーク外国為替市場では、ユーロが対ドルでおよそ2年ぶり安値に下落した。ギリシャに加え、他の重債務国もユーロを離脱しかねないとの懸念が出ている。
 スペインで最も裕福とされるカタルーニャ州はこの日、資金繰りに窮したとし、中央政府の支援が必要であることを明らかにした。
 これがユーロを圧迫した。影響は金融市場全体にも広がり、スペイン・イタリアの国債が売り込まれたほか、株価は下落し、米原油先物は下げに転じた。
 ウエストパック・セキュリティーズの首席為替ストラテジスト、リチャード・フラヌロビッチ氏は「カタルーニャ州の問題は重大だ。スペイン政府が一段の債務負担を余儀なくされることを示しているが、政府にその余力はないからだ」と述べた。
 その上で「当面は危機波及が焦点だ」との見方を示した。
 午後終盤の取引で、ユーロ/ドルは0.2%安の1.25116ドル。
〔中略〕
 ユーロは今月に入り、対ドルで5.5%下落しており、週間では4週連続の下落となる見通し。
 総選挙後のギリシャ政局混乱を受けて、マクロファンドや機関投資家はユーロに売りを浴びせている。
 投資家はまた、スペイン銀行セクターへの懸念を強めているほか、ユーロ圏が深刻な景気低迷に陥る可能性や危機脱却に向けた抜本策が欠如していることを嫌気している。
 スペインが支援に乗り出した銀行バンキアは同日、190億ユーロ(237億7000万ドル)の資本注入を政府に要請した。これは政府が当初想定していたおよそ2倍の規模となる。
 ドル/円は0.1%高の79.63円。米市場の連休を控え、日本の輸入業者の買いや投資家の持ち高調整が支援した。市場関係者によると、およそ80円の水準で売り注文が入り、ドルの上値を抑えている。
 米国市場は28日、メモリアル・デーのため休場となる。
 ユーロは対スイスフランで1.2008フランと、横ばいとなった。
 市場関係者によると、スイス国立銀行(中銀)は対ユーロでの上限1.20フランを死守するため、過去数週間にユーロ買いを実施している。
 だがオプション市場では依然として、ユーロ債務危機の悪化によりフランが今後数日間に上限を突破すると見込み、ポジションを積み増す向きもある。”

週末にはバンキア、カタルーニャと悪いニュースが続き、
ダウも米指標が良かったにもかかわらずじりじり後退。
どうしてクロス円が下抜けしないのか不思議な程の市況でした。

ユーロは1.20ドルに向けて崩れ落ちかかっている。
スペイン国債の動きも要警戒で、
まだギリシャの再選挙まで2週間以上あるのに先が思いやられる。
スイス中銀の必死のユーロ買いもどこまで通用するか。。

    ◇     ◇     ◇     ◇

注目銘柄。かなり割安感が出てきたが、まだ待った方がいい。

 丸紅(東証一部 8002) 404 → 437 / 453 → 587 / 450 → 587
             542 → 608 / 494 → 577 / 540 → 577
             541 → 602 / 529 → 602

 三菱商事(東証一部 8058) 1,970 → 1,931 / 1,622 → 1,931

 東京建物(東証一部 8804) 298 → 312

 富士重工(東証一部 7270) 467 → 670

 タカラレーベン(東証一部 8897) 458 → 472 / 544 → 743

 ユナイテッドアローズ(東証一部 7606) 1,044 → 1,215
                     1,087 → 1,284
                     1,146 → 1,526
                     1,341 → 1,752

 マツダ(東証一部 7261)  232 / 178

 昭和シェル石油(東証一部 5002) 987 → 1059 / 966
                  716 → 723 / 688

東京建物を野村證券がBuyに格上げし、ドイツ証券もそれに続いている。
概ね正しい判断だと思うが、まだ下方圧力は残っている。

↓ 東京建物(Rakuten.sec) 


タカラレーベンの方がまだ下がりそうな印象だ。

↓ タカラレーベン(Rakuten.sec) 



選挙勝利でもユーロ圏残留=ギリシャ左派党首が明言(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2012052300011
”【ベルリン時事】今月6日のギリシャ総選挙で第2党に躍進した反緊縮派、急進左派連合のツィプラス党首は22日、ベルリンで記者会見し、6月に実施される再選挙で勝利しても、ユーロ圏を離脱しない方針を明確にした。
 同党が再選挙で勝利すればギリシャが緊縮策を放棄し、ユーロ圏離脱に向かう可能性も指摘されている。これについて、同党首は「われわれはユーロを維持する。緊縮計画の拒否はユーロ圏離脱を意味しない」と強調した。”

さて欧州の問題児ギリシャ。
「ユーロ離脱しないのでカネを出してくれ」ということなのか?

ギリシャは世論調査でもユーロ維持派が欧州で最も高い比率になったとか。
モーセのように神が現れて債務を帳消しにしてくれるとでも思っているのだろうか。
このような国は遠からず財政の独立性を失うことになろう。

『会社四季報』2012年2集 春号


    ◇     ◇     ◇     ◇

  【 いとすぎの為替ポジション 】

いきなりユーロが切り返してきたのでユーロショート解消。
週央に案の定、高値から叩き落とされたので再びユーロショート。

 2012/05/23 100.68 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)

    現在 > 99.68 ユーロ/円(損益131%)← 今年の損益率
         77.69  豪ドル/円
         79.65  ドル/円

 ◎ 2011年の損益率(手数料等除外)> 138%
 ◎ 2010年の損益率(手数料等除外)> 147%
 ◎ 2008年秋~09年末の損益率(手数料等除外)> 353%

  ▼ ポジション解消済み
 2012/05/14 102.44 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2012/05/11 128.50 GBP/JPY Lev ×1.5
 2012/04/27 106.60 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2012/04/19 130.30 GBP/JPY Lev ×1.5
 2012/04/13 128.88 GBP/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2012/04/06 84.02 AUD/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2012/03/30 132.57 GBP/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2012/03/22 85.75 AUD/JPY Lev ×1.5
 2012/03/13 128.51 GBP/JPY Lev ×1.5
 2012/03/13 83.48 CAD/JPY Lev ×1.5
 2011/07/11 80.40 USD/JPY Lev ×1.5
 2012/02/17 125.76 GBP/JPY Lev ×1.5
 2012/02/10 102.33 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2012/02/02 81.42 AUD/JPY Lev ×1.5
 2012/01/27 101.79 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2012/01/25 77.71 USD/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2012/01/20 99.72 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2011/12/16 77.65 USD/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2011/12/28 101.49 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2011/12/23 79.27 AUD/JPY Lev ×1.5
 2011/12/16 101.31 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2011/12/09 78.70 AUD/JPY Lev ×1.5
 2011/12/03 104.55 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2011/12/03 77.87 USD/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2011/11/25 102.89 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2011/11/15 78.22 AUD/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2011/10/31 77.98 USD/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2011/11/09 79.33 AUD/JPY Lev ×1.5
 2011/07/11 80.40 USD/JPY Lev ×1.5
 2011/11/04 107.39 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2011/08/05 82.27 AUD/JPY Lev ×1.5
 2011/10/21 76.15 USD/JPY Lev ×1.5
 2011/09/12 80.52 AUD/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2011/09/29 103.76 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2011/09/14 115.03 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)

 …以下省略…


「資源国通貨は底打ちしました。
 豪中銀は政策金利を引き上げ始めており、
 豪ドルは緩やかな上昇トレンドに入っています」

豪ドルの中長期的な見通しは変わりません。72円が当面の底になりそう。

「90円から72円のレンジ圏を想定」

目先はネガティブだが、引き続きクロス円の急激な買い戻しに注意。
ユーロショートのポジションが空前の規模に膨張している。

ドル円は三角保ち合いでどちらに出るか分からない。
豪ドルは高水準のロングポジションが整理されてきていて好機接近か。

※ くれぐれも投資家各位で御判断下さい。
※ このウェブログを参考とし、めでたく投資収益を得られた方は、
  収益への課税分を社会に貢献する組織・団体に寄付して下さい。
  (当ウェブログの こちらのカテゴリーも御覧下さい。)
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