みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

派遣社員女性のストレスの源は「女性の同僚」?? - ライオンの調査、男性上司への不満を上回る

2009-02-28 | いとすぎから見るこの社会-雇用と労働
面白い調査です。
「実際に調べてみないと実態が分からない」
というひとつの好例だと思います。

一般に男性労働者よりも女性労働者の方が
職場での人間関係を重視する傾向が強いと言われがちですが、
その人間関係を悪化させているのは同性かもしれないようです。

やはり「男」「女」と労働者を単細胞にカテゴライズして
どちらかに責を負わせることはドグマに過ぎないのでしょう。

メディアでもまだそうした「化石」が生き残っていますが
そういうレベルの論は酒の席だけで止めておかないと。

性別だけでなく職種や役職、契約形態など細分化して
新しい傾向を掴む必要がありそうです。


ハケン女性の敵は「男性上司」よりも「女性同僚」(j-cast)
http://www.j-cast.com/kaisha/2009/02/24036499.html

”アンケートは、「女性のココロの潤い」をテーマにしたサイト『うるばな』
 を運営するライオンが、2009年1月27日~28日、インターネット上で実施。
 派遣社員として働く20代と30代の女性400人が調査に応じた。
 まず、「日々の仕事でココロが潤っているか」という質問をしたところ、
 「潤っていない」が19%、「あまり潤っていない」が41%で、あわせて6
 割の女性が否定的な回答を寄せた。派遣社員の女性の多くは職場でなんら
 かの不満を抱えていることがうかがえる。
 また、「仕事中にココロが乾くときはいつか」という質問(複数回答可)
 に対しては、「仕事場の人間関係がうまくいかないとき」をあげた女性が
 71%にのぼり、「残業があるとき」(23.8%)や「難しい仕事を頼まれた
 とき」(19.3%)など他の回答を大きく引き離す結果となった。
 「同年代の女性ばかりだと仕事がやりにくい」
 では、職場で彼女たちの心の潤いを奪うのはだれか? この質問(複数回答
 可)で一番多かったのは、「女性同僚」(41%)で、「男性上司」(35%)
 を上回った。女性の派遣社員にとっては、上司や部下よりも、同性の同僚
 が不満の種となりやすいことが明らかになった。女の敵は女、ということ
 だろうか。
 このような結果について、派遣社員として働いた経験をもつ女性は、
 「たしかに同年代の女性ばかりの職場だと仕事がちょっとやりにくいかも。
 私も女性の同僚にライバル意識をむきだしにされて困ったことがあります
 よ。クッションになる男性社員がいてくれたほうがうまくいくかな」
 と話している。”

男性でもきちんとクッションになってくれる人ばかりだと良いのですが
実際は皆さん御存知のように、人によって全然違います。

女性労働者も、同じように「人によって全く違う」筈なのです。

恐らく性別でカテゴライズするのは女性労働者がまだまだ
社会進出していない「発展途上国」に顕著な特徴であり、
いずれ日本社会でも女性進出が本格化してゆけば
未熟な言説は淘汰され滅んでいくでしょう。

その頃には日本の企業文化も大きく変わっているでしょう。

教条的批判や愚痴しか口にしない人物は、
その多くな潮流に参与できない部外者で終わります。

私個人は、女性進出が進むことで
日本企業の時間の使い方が上手になって
労働生産性が上昇することに期待しています。





『「残業ゼロ」の仕事力』(吉越浩一郎)





『超人気ワークライフバランスコンサルタントが教える キャリアも恋も手に入れる、あなたが輝く働き方』(小室淑恵)


△ 企業社会で名前の出てくる人は、さすがに違います。
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阿久根市の竹原信一市長、市の職員を激烈批判 -「良心の破綻した経営に無能な人間が選挙で選ばれてきた」

2009-02-26 | いとすぎから見るこの社会-格差の拡大
蟻のひと穴から大きな堤防が崩れそうです。

他の件では危なっかしい言動も見られる首長ですが、
この市職員給与の公開の件では紛れもなく大手柄です。

利益配分システムで結びついた政治と役所、そして
強力な労組の「鉄のトライアングル」が死守してきた腐敗が、
遂に暴かれて批判の十字砲火を受けることになるでしょう。

ノーチェックで高い年功賃金を受け取ってきた自治体職員の
給与を削減し、医療や育児、教育、環境などダイレクトに
有権者の生活向上に影響する分野に投入すると公約すれば
竹原市長は次の選挙でほぼ100%勝てます。


鹿児島のブログ市長、今度は職員給料268人分をHP公開(読売新聞)
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20090224-567-OYT1T00121.html?fr=rk

”鹿児島県阿久根市の竹原信一市長(49)が、市のホームページに2007
 年度当時の市長、教育長ら幹部を含む職員計268人の年収、給料、手当の
 明細を1円単位で公開していることがわかった。
 消防を除く全職員について表組みで掲載。年間の給料に加え、「諸手当」、
 「期末、勤勉」など3項目の手当が記載され、正確な年収が明らかになって
 いる。いずれも1円単位で給与総額が多い順に番号を振って公開。名前はな
 いが、医師、市長、副市長、教育長は役職を記載している。
 竹原市長は自身のブログで「年収700万円以上の職員が54パーセント、
 大企業の部長以上の給料を受け取る人間が過半数にもなる組織が阿久根市民
 の上に君臨している」などと職員批判をしている。読売新聞の取材には「税
 金の使い道の話だから公開して当然」と話した。
 昨年9月に就任した竹原市長は、市長選でブログを使った選挙運動を展開。
 副市長、教育長人事で議会が同意しなかった人物を採用するなど物議を醸し
 ている。議会は今月6日、市長不信任を可決したが、竹原市長は議会を解散。
 出直し市議選(3月22日)は市を二分する様相だ。”

 → さすがの保守地盤でも次の選挙は大いに
   動揺するものと思われます。

   「民間に人材がいない」と嘆く自治体がありますが、
   そういう地域は例外なく官民格差が大きいのです。
   民間の人材を育てたければ公務員の給与を下げる、
   これこそ最上の特効薬です。


物議の阿久根「ブログ市長」全職員の給与明細一覧を公表(j-cast)
http://www.j-cast.com/2009/02/24036512.html

”ブログで「辞めさせたい議員」の投票を呼びかけるなどして議論を呼んだ、
 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長(49)の行動が、また波紋を呼んでいる。
 市のウェブサイトに、07年度当時の職員268人の給与明細を公開したのだ。
 地方自治体が給与の平均額を公表するのは珍しくないが、氏名を伏せている
 とはいえ、全職員の明細を公開するのは異例だ。市役所の関係者であれば、
 「どの欄が誰の給料か」と類推できる可能性も高いが、市長は「市民からも
 市職員からも、何も反響は来ていない」と話している。
 〔中略〕
 リストは年収順に並べられ、最も年収が多かったのが、市立診療所に勤務す
 る医師の2,586万円で、2位が市長の1,016万円。3位には一般職員がランク
 インし、その額は909万円だ。これら268人分の人件費総額は約17億3000万
 円だ。さらに、2月24日の夕方にはファイルが差し替えられ、「手当」の項
 目が簡略化されたほか、リストに掲載されている人の54%以上が700万円以
 上の報酬を受け取っていることなどを示す記述も追加された。
 竹原市長は2月23日のブログの記事で、給与明細一覧のファイルにリンク
 を張った上で、
 「阿久根市の税収はわずか20億円。今後は景気の悪化で税収は更に減るだ
 ろう。市民は収入の減少で生活維持に必死だ。経営という観点から市役所
 人件費の状態を見れば滅茶苦茶だ。職責や能力と給料の関係もデタラメと
 しか言いようがない。良心の破綻した経営に無能な人間が選挙で選ばれて
 きた結果だろう。阿久根市の将来は先ず市役所の人件費を適正化できるか
 どうかにかっている」

 と、人件費の切り下げを進めたい考えを改めて強調した。
 実際、阿久根市の職員の給与は、比較的高い水準にある。総務省の「地方公
 務員給与実態調査」によると、国家公務員の給与水準を100とする「ラスパ
 イレス指数」は、全国の地方公共団体平均で95.5(07年4月1日現在)。地
 方公務員の給与水準は、国家公務員のものよりも若干低いことがわかる。
 それに対して、阿久根市の指数は99.1で、鹿児島県内に49ある市町村のう
 ち上から3番目。”

 → この記事が非常に詳しかったですね。

   竹原市長は、市職員の給与を調べて、
   「自分でもびっくりした」と語っています。

   全国にこの情報公開が「当然」のこととして
   爆発的に広まってゆくに違いありません。

   「自治体に貢献しようがしまいが給与・手当はお手盛り」
   という実態は明らかであるからです。

▽ 詳しくはこちらの一冊を。





『公務員の給与はなぜ民間より4割高いのか』(北見昌朗,幻冬舎)


ちなみに、民間の給与水準については
下の記事がひとつの参考になります。


「下流過ぎて涙出てくる」 ネットに晒された20、30代「給与明細」(j-cast)
http://www.j-cast.com/2009/02/26036697.html

”このスレを立てた人は、31歳で上場企業の子会社に勤務する平社員で、デー
 タアナリストと自己紹介している。勤続して7年目。妻は働いておらず子供
 はいないそうだ。給与は総支給額が282,096円。控除は62,552円で手取りが
 219,544円。この男性は自分の給与について、「会社から補助無し 死にたい
 下流過ぎて涙出てくるわ」と書いている。
 このスレで自分の給与を「晒し」ているのは主に20代、30代。どんなものが
 書き込まれているかというと、飛行機会社のグループ会社に勤める29歳の独
 身者は、基本給が147010円。これに時間外手当や住宅補助などがつき、控除
 の39345円を差し引くと、「月5日~10日夜勤の変則勤務がつらい」のに手取
 りは192514円だそうだ。テレビCMでも有名な介護関係会社で介護福祉士を
 している23歳の独身者は、総支給額が184581円。控除を差し引けば手取り
 は163000円ほど。
 サービス業の24歳は、総支給額が170417円で、手取りが147112 円。「ク
 レーム聞いて精神病んだ対価がこれ(低賃金)とか・・・」などと嘆いてい
 る。製鉄会社に5年勤めている23歳の独身は、総支給額229,748円で、控除
 が131,190円もあり手取りは98,558円。某大手鉄道会社に勤める大卒の24歳
 は、残業が30時間あるのにも関わらず、手取りが187000円 だと書いている。
 〔中略〕
 国税庁の「民間給与実態統計調査」や厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」
 によれば、07年のサラリーマンの平均年収は437万円。20歳~24歳は251万
 円。30歳~34歳は406万円だった。また、国家公務員の平均収入は662.7万
 円。地方公務員は728.8万円になっている。”

世代がずれているのでそのまま比較はできませんが、
参考まで。
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経済産業省、環境省に突き上げられFIT導入に急転換 - 太陽光発電「抵抗勢力」の電事連は四面楚歌

2009-02-25 | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える
成程、省益や省の面子がかかってくると官僚の対応は光速なのですね。
(国民の情報公開要求にはすぐ門前払いを食らわすのに)
官僚対策として「省と省とを競わせる」ことは非常に有効です。

1月頃には時代遅れの補助金を提案していた経済産業省、
環境省の検討会がいきなりFITの提案をぶち挙げたので
びっくり仰天して(幹部の方々の慌てぶりが想像できる)180度反転、
FITつまり固定価格買取制度の導入を発表しました。

長年の「朋友」にいきなり裏切られた電気事業連合会は、
今頃は大騒ぎになっているでしょう。

固定価格買取制度で太陽光発電が拡大普及すれば
自らのテリトリー(縄張り)と雇用に響くのは必定。
これまで太陽光発電の普及をサボタージュしてきた電事連ですが、
(ドイツの太陽光発電の伸び率と比較すればその怠慢ぶりは明白)
漸く尻に火がついてきて、これから猛烈な巻き返しに出るでしょう。


太陽光発電:電力会社の「固定価格買い取り制度」導入へ(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/science/news/20090225k0000m020049000c.html

”経済産業省は24日、家庭などでの太陽光発電による余剰電力を、一定価格
 で電力会社が買い取ることを義務づける「固定価格買い取り制度」を導入す
 ると発表した。電力会社の負担増加分は電気料金に上乗せされる予定で、標
 準的な家庭で最大100円程度の値上げになる見通しだ。
 開会中の通常国会に制度を盛り込んだ新法を提案し、来年からの実施を目指
 す。これまでは電力会社が自主的に、通常の電気料金と同じ1キロワット時
 24円程度で太陽光による余剰電力を買い取っていたが、制度導入に伴い約
 2倍の価格で10年程度買い取り続けることを義務づける。
 政府は地球温暖化対策として、太陽光発電の導入量を20年に現在の10倍、
 30年には40倍に拡大する目標を掲げている。経産省は1月、太陽光を導
 入した家庭に標準的な設備で20万~25万円程度の補助金を出す制度を導
 入。当初は電気料金の値上げにつながる固定価格買い取り制度には消極的だ
 ったが、補助金だけでは政府の目標達成は困難との見方が強く、方針転換し
 た。
買い取り価格を約2倍に引き上げれば、太陽光発電設備の大幅な普及拡
 大が見込めるとみている。”

 → 先月は全く別の提案をしていたような気がするのですが、
   まあそれは良しとしましょう。
   日本社会と環境セクターにとってめでたいことです。

   もうひとつ付け加えると、もっとも二酸化炭素の
   排出量が多いことで知られる石炭火力発電に
   環境税を課すのも有力な財源です。

   天然ガスやバイオマス混焼にシフトすべきなのです。
   電力業界は強烈に嫌がると思いますが
   確実に排出二酸化炭素量は大幅削減できます。


温室効果ガス:排出量は実現可能な目標に 電事連要求(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/science/news/20090220k0000m040086000c.html

”2020年までの日本の温室効果ガス排出目標を考える政府の中期目標検討
 委員会(座長、福井俊彦・前日銀総裁)が19日、開かれた。出席した電気
 事業連合会(電事連)が、大幅削減の前提となる太陽光発電の劇的な普及は
 困難
として、実現可能な目標設定を求めた。日本自動車工業会もハイブリッ
 ド車などは思うように普及しないと指摘した。主要排出源の産業界が大幅削
 減に難色を示したことは今後の議論に影響を与えそうだ。
 検討委は20年までに90年比7%増~25%減となる六つの選択肢を検討
 している。
 電事連は選択肢のうち最も厳しい25%減について、実現には高効率給湯機
 器を全世帯の9割に導入が必要と説明。家庭用の太陽光発電も新築だけでな
 く既存住宅にも最大限導入しなければならないとして、実現困難との見方を
 示した。
 環境省によると、07年度の二酸化炭素排出量(速報値)のうち、電力など
 エネルギー転換部門は全体の6%、運輸は19%を占めている。”

電気事業連合会はどう見ても必死で「現状維持」を
目指しているとしか思えませんよね。

欧州並みの比率で天然ガス利用を拡大させる想定で、
一度は排出二酸化炭素削減量を計算してみては?





『天然ガスが日本を救う 知られざる資源の政治経済学』(石井彰,日経BP社)

石井彰氏は上掲書で次のように記されています。
まるで今日の事態を予見したかのように。

“夢を語っている内はあまり現実の軋轢は生じないが、天然
 ガスの場合は極めて現実的であるが故に直ちに軋轢が生じ
 る。例えば、天然ガス発電のさらなる導入は、大型発電所
 における天然ガス・コンバインド・サイクル発電の普及促
 進にとどまらず、従来の大型発電所と長距離送電網システ
 ムという中央集権型ネットワークに替えて、発電機の廃熱
 の有効利用をおこなうコジェネレーション(電熱併給)の
 核になり分散型発電システム導入をも促進する。
 このため、エネルギー効率の大幅改善、即ち環境問題軽減
 には極めて有効であるが、従来型の中央集権システムに固
 執したい電力業界からは歓迎されない。しかし経済や政治
 の他の分野と同様、既存の業界秩序維持や縄張りの維持ば
 かりに神経を使っていれば、社会的な損失はとめどなく膨
 らんでしまう。〔中略〕
 日本の現在の天然ガス需要は、世界の3%程度に過ぎず、
 世界の価格に大きな影響を与える量ではないし、後で詳し
 く論じるが、日本周辺には未利用の天然ガス資源が腐るほ
 ど大量に眠っている。
 次に原子力推進は結構であるが、政治的現実としてこれか
 ら国内で原子力発電所の大量の新規建設が本当に可能なの
 であろうか。将来、万が一中国などで重大な原子力事故が
 発生すれば、再び全面的に日本国内でも新規建設が止まっ
 てしまう可能性すら排除できない。また、直下型地震だっ
 た2007年7月の新潟県中越沖地震によって世界最大の
 新潟の柏崎刈羽原子力発電所が長期間休止中である。天然
 ガス発電所であれば復旧は遥かに早い。”


太陽光発電の普及拡大と全く同じ図式です。

マスコミの皆様も、「抵抗勢力」の隠れた本音を知るために
是非この貴重な一冊をお読み下さい。
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「農林水産業に注力を」が7割、農林業を捨てた世代の自己矛盾 - 応分のコストは払うつもりがあるのか

2009-02-24 | いとすぎから見るこの社会-全般
昨年の調査です。
あくまでもインターネットの調査ですが、
余りにも現状を理解していないので愕然としました。

第1次産業の従事者は減少する一方で、
今や数%にまで低下しています。
農林水産業の後継者問題は深刻であり、
国内一次産業を捨て安い輸入農産物を散々食い散らかした世代が
今になって農林水産業が大事だと主張するのは
とんでもない自己欺瞞に他なりません。

また、離職率の高い介護労働者の賃金の低さは
下手すると公的年金給付額を下回るほどの惨状です。
大事だと思っているのならどうしてコストをかけないのでしょうか。


「農林水産業に注力を」7割 日本に関するアンケート(FujiSankei Business i)
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200812180095a.nwc

”企業・行政・学校などにおける広報活動を支援するNPO法人(特定非営利
 活動法人)広報駆け込み寺(東京都港区)が17日発表した「日本に関する
 アンケート」によると、日本が今後注力すべき産業は農業・林業・水産業が
 68%でトップだった。頻発する食の安全への揺らぎや食料自給率の低さを
 反映し、第1次産業の重要性が再認識される結果となった。
 第1次産業は年配層ほど支持率が高く、特に女性の40~60代で70%を
 超えた。2位は生活に直結した医療・介護で62%。男女・年齢を問わず、
 60%前後の支持を集めた。3位は製造業の44%。一方、急激な景気後退
 の原因となった金融業は14%にとどまった。
 日本が好きかどうかを尋ねたところ、「好き」が84%に上った。「日本に
 生まれてよかった」も86%に達し、「治安が良いから」「インフラ(電気
 ・水道など)が整っているから」などを理由に挙げている。ただ「日本を世
 界に自慢できる」は60%にとどまり、「好きだが、誇れるとはいえない」
 人も約30%に達した。
 日本が世界に誇れるものを聞くと、伝統文化、伝統工芸、伝統技術、技術力
 が90%を超え、アニメ・漫画などの新興文化が続いた。一方で政治は6%
 と極端に低かった。これを反映し、これから日本が取り組んでいくべきこと
 のトップは「政治の質を向上させる」ことで78%だった。。男女・年齢を
 問わず高く、政治への改善要求の強さが伺えた。「日本の伝統を大切にする」
 「凶悪犯罪を減らす」が続いた。また、日本と聞いて思い浮かぶものは富士
 山がトップで43%となった。島国18%、日の丸14%、四季12%と続
 いた。
 調査は、11月11・12日にインターネットで、全国の20歳以上の男女
 1000人を対象に実施した。”

産業構造の変化、農林水産業の低い賃金水準、低利益率も知らずに
このような保守退嬰の意識を改めないのでは
有権者としての資格を疑われます。

厚生労働白書「産業構造の変化と人口移動」
http://wwwhakusyo.mhlw.go.jp/wpdocs/hpax200501/b0002.html

「政治の質を向上させる」というのは、
実質的に「有権者の質が低いので向上させることが必要」
ということに他なりません。

第1に、農業と医療介護を主産業とした国で
一人当たりGDPを高く保っている国は存在しません。
日本を貧しくする衆愚的発想です。

第2に、エネルギー自給率の極端に低い日本が
かつて石油の禁輸を発端として開戦したのを
完全に忘れたものと思われます。

食料自給率よりもエネルギー自給率の方が
圧倒的に低いのをなぜ分からないのでしょうか。

太平洋戦争の教訓が既に失われているのに
重大な危機感を覚えずにはいられません。

    ◇     ◇     ◇     ◇

尚、『Supercapitalism』でライシュ氏は
「消費者の利益という観点しか持たない」米社会を
厳しく批判しています。





『暴走する資本主義』(ロバート・ライシュ,東洋経済新報社)


日本も同じです。安全は求めるが負担を嫌がる、
社会保障は求めるが税負担は拒否する、
「消費者の帝国」への批判なくして未来はありません。
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『週刊エコノミスト』3月3日号 - 佐々木融氏「円は好景気で売られ、不景気で買われる通貨」

2009-02-23 | 『週刊エコノミスト』より
今週の『週刊エコノミスト』の特集は「円ドルの攻防」でした。
…この微妙な時期に為替の特集を組むのも
きっと大変だったでしょう。お察しします。

『週刊エコノミスト』の内容案内

最新号の内容の確認は、こちらの毎日新聞のサイトの方が正確で早いです。
(定期購読は方式によりディスカウント率が複雑なので御注意下さい)
http://www.mainichi.co.jp/syuppan/economist/

JPモルガン・チェース銀行の佐々木融ストラテジストと
ドイツ証券の深谷幸司ストラテジストの両者の見通しが
前者が「1ドル=70円」後者が「ドル反転」と完全に割れており、
両論を比較するのも興味深いものです。

現状はやや後者に軍配が上がるものと思われますが、
今後はどうなるか分かりません。市場が教えてくれるでしょう。
フレームワークはどちらも有用だと思います。

(今回エントリーのサブタイトルは前者の引用です)

P21の図やP25のマトリックスも保存版ですので、
為替投資家は是非目を通されると良いでしょう。

いずれにせよ資源国通貨が最悪期を脱する可能性は高そうです。

私のように資源国通貨の取引が多い方は
P36の国際金融情報センターの高橋宏彰氏の分析を
読まれると良いでしょう。

「反転のカギは内需と資源価格上昇」とのこと。
私も全く同意見で、資源国通貨の分かり易さは有り難いです。

    ◇     ◇     ◇     ◇

最近注目を浴びている農業関連の記事もありました。
P88の垂直統合マーチャンダイジングの記事、
(でも、これを実行して成果を上げるのは大変ですよ。。)
P91の「EUの直接支払制度」が素晴らしいです。

抜き打ち検査や補助金カットの罰則まで設け徹底している
EUの農業政策に関しては今後もより深い研究が望まれます。

日本でもこの制度は悪質な業者を排除するのに
大きな効果を発揮するのではないでしょうか。

ただいずれにせよ農業で雇用創出など夢物語であるのは確か。

    ◇     ◇     ◇     ◇

P76の田中弥生 准教授の「行政の下請化するNPO」も
関心のある方には興味深い記事でしょう。

通常、OECD諸国ではジニ係数と寄付額は比例し、
(ジニ係数:所得格差の代表的指標)
社会保障負担率の高さと寄付比率は反比例するそうですが、
日本は正反対で「格差は比較的大きいが寄付は少なく」
「社会保障負担は低めなのに寄付比率が低い」とのこと。

うーん。どうしたものか。。

    ◇     ◇     ◇     ◇

尚、今週の『週刊東洋経済』で
中国経済に与えられた傷の深さが分かります。





『週刊東洋経済』2009年 2/28号

やはり中国の逆資産効果は甚大のようです。
富裕層の資金余力が明らかに低下しています。
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