週刊東洋経済のサプリ特集は非常に面白かった。
リテラシーがあれば健全から程遠い不透明な業界体質も読み取れる。
先週、「サプリ会社の原価率は相当低いに違いない」と書いたが、
完璧に予想通りの内容だった。宣伝の出し方を見れば大体分かるというものだ。
P45のコラムでは業界の不都合な事実を窺わせる数字が出ており、
「原価率が3割を切ると通販専業は赤字に」
「テレビ通販だと販売単価の5~6割がテレビ局の取り分」
「原価が1割台ということも珍しくない」
という病弊としか言いようのないおかしな業界事情が分かる。
そもそもサプリを買っていること自体に経済合理性がなく、
テレビ局など宣伝・販売する経営体にばかりメリットがあるという惨状である。
テレビ局が健康情報番組を濫発し、メディアに関連商品の宣伝が多い理由は明白だ。
「一般大衆が踊らされやすく、それだけ業界が儲かるから」に他ならない。
そもそも価格の安いサプリを求めて健康増進を期待するのは、
宝籤を買って大金持ちになろうとするようなものである。
公営ギャンブルと同じで胴元ばかり潤わせる愚民ぶりと言えよう。
個人的には「大量の宣伝を行う企業の製品は質が低い」と確信していたが、
案の定である。食の分野では「常識」であろうが、サプリ業界もよく似ている。
P100では世界需要を読む「神通力」を失ったコマツの苦渋が分かる。
しかしコモディティ価格の停滞と中国経済の減速を見れば
コマツの失速は想定の範囲内ではなかろうか。
(コマツ・日立建機と竹内との格差は更に拡大するだろう)
収穫だったのはP102の佐藤優氏のコラム。お蔭で長年の謎が解けた。
「こいつ本を読まないで書評を書いているのか」と疑問に思うケースが何度もあったが、
実際に出版社の資料通りに宣伝文を書評に書く恥ずべき連中がいるらしい。
成程、だから低能なベストセラーに見え透いた提灯持ちの書評が出るのか。
本質的にはただの「買収」に過ぎない。
▽ 著者推奨のこちらを読んでみようと思う
ただ宮家氏は中国の近未来のメインシナリオとして
米中軍事衝突の発生を想定しているそうだが、同意し難い。
中国は伝統的に大規模な対外戦争で王朝が衰退する経験を繰り返してきた。
キューバ危機と同じように、土壇場で衝突を回避する可能性が高いと考える。
何しろ相手は世界最強の米軍であり、中越戦争の時のように面子だけ立てて撤退など不可能だ。
中国の最新鋭の軍用機や船が無惨に沈んだら確実に共産党最高幹部クラスの首が飛ぶ。
◇ ◇ ◇ ◇
今週の『週刊ダイヤモンド』はトヨタ特集。
企業文化のせいでもあろうが、今の時期は面白みのないテーマでは。
デザインをちょっと変えても企業文化は容易に変わらないものである。
矢張り一人負け状態の日産特集の方が良かったと思う。
自動車業界は意外に大変動が少なく、
「トヨタvs日産」や「欧州車vs日本車」の図式の方が面白くなる。
特にドイツ勢は中国市場だけでなく日本市場でも無視できなくなっている。
(個人的にはフランス車の方が好きなのだが)
◇ ◇ ◇ ◇
『週刊エコノミスト』の「介護離職」特集は先進的だがまだ熟成不足の気味がある。
日本経済全体にとっての巨額損失という観点が必要だと思う。
厚生労働省の調査から17万人の介護離職者でGDPマイナス0.18%と
試算されているが、少子高齢化の進展で更なる打撃が容易に予想される。
現物給付で援護し労働投入を増やす契機にする一石二鳥が正しい対応だ。
介護離職せず済んだ幸運な労働者の退職金控除を大幅削減すれば
容易に現物給付のための財源を確保できる。
つべこべ言う利己的な輩は無視して英断を行うべきであろう。
何しろ生涯賃金で億円単位の格差が生まれるのである。
国民負担の引き上げによってリスク分担しないと虐待事件が激増することになろう。
育児よりも一部の世帯に負担が集中する傾向があり、社会全体でリスクを分担する必要がある。
◇ ◇ ◇ ◇
次週は何と言ってもエコノミストに注目。来年は間違いなくアベノミクスの「終わりの始まり」の年になる。
▽ 恩恵は投資家や企業経営・管理層にばかり及び、社会的弱者は間違いなく苦しくなる
▽ 東洋経済は定番特集、いつまで宴が続くのか不安一杯?のゼネコン特集
▽ ダイヤモンドも定番、流通特集だが個人的にはタイガーなど北欧系に興味あり
サブ特集の「地域住民の異議申し立て」に期待している。
リテラシーがあれば健全から程遠い不透明な業界体質も読み取れる。
先週、「サプリ会社の原価率は相当低いに違いない」と書いたが、
完璧に予想通りの内容だった。宣伝の出し方を見れば大体分かるというものだ。
P45のコラムでは業界の不都合な事実を窺わせる数字が出ており、
「原価率が3割を切ると通販専業は赤字に」
「テレビ通販だと販売単価の5~6割がテレビ局の取り分」
「原価が1割台ということも珍しくない」
という病弊としか言いようのないおかしな業界事情が分かる。
そもそもサプリを買っていること自体に経済合理性がなく、
テレビ局など宣伝・販売する経営体にばかりメリットがあるという惨状である。
テレビ局が健康情報番組を濫発し、メディアに関連商品の宣伝が多い理由は明白だ。
「一般大衆が踊らされやすく、それだけ業界が儲かるから」に他ならない。
そもそも価格の安いサプリを求めて健康増進を期待するのは、
宝籤を買って大金持ちになろうとするようなものである。
公営ギャンブルと同じで胴元ばかり潤わせる愚民ぶりと言えよう。
個人的には「大量の宣伝を行う企業の製品は質が低い」と確信していたが、
案の定である。食の分野では「常識」であろうが、サプリ業界もよく似ている。
『週刊東洋経済』2013年 11/30号 | |
P100では世界需要を読む「神通力」を失ったコマツの苦渋が分かる。
しかしコモディティ価格の停滞と中国経済の減速を見れば
コマツの失速は想定の範囲内ではなかろうか。
(コマツ・日立建機と竹内との格差は更に拡大するだろう)
収穫だったのはP102の佐藤優氏のコラム。お蔭で長年の謎が解けた。
「こいつ本を読まないで書評を書いているのか」と疑問に思うケースが何度もあったが、
実際に出版社の資料通りに宣伝文を書評に書く恥ずべき連中がいるらしい。
成程、だから低能なベストセラーに見え透いた提灯持ちの書評が出るのか。
本質的にはただの「買収」に過ぎない。
▽ 著者推奨のこちらを読んでみようと思う
『語られざる中国の結末』(宮家邦彦,PHP研究所) | |
ただ宮家氏は中国の近未来のメインシナリオとして
米中軍事衝突の発生を想定しているそうだが、同意し難い。
中国は伝統的に大規模な対外戦争で王朝が衰退する経験を繰り返してきた。
キューバ危機と同じように、土壇場で衝突を回避する可能性が高いと考える。
何しろ相手は世界最強の米軍であり、中越戦争の時のように面子だけ立てて撤退など不可能だ。
中国の最新鋭の軍用機や船が無惨に沈んだら確実に共産党最高幹部クラスの首が飛ぶ。
◇ ◇ ◇ ◇
今週の『週刊ダイヤモンド』はトヨタ特集。
企業文化のせいでもあろうが、今の時期は面白みのないテーマでは。
デザインをちょっと変えても企業文化は容易に変わらないものである。
『週刊ダイヤモンド』2013年 11/30号 | |
矢張り一人負け状態の日産特集の方が良かったと思う。
自動車業界は意外に大変動が少なく、
「トヨタvs日産」や「欧州車vs日本車」の図式の方が面白くなる。
特にドイツ勢は中国市場だけでなく日本市場でも無視できなくなっている。
(個人的にはフランス車の方が好きなのだが)
◇ ◇ ◇ ◇
『週刊エコノミスト』の「介護離職」特集は先進的だがまだ熟成不足の気味がある。
日本経済全体にとっての巨額損失という観点が必要だと思う。
厚生労働省の調査から17万人の介護離職者でGDPマイナス0.18%と
試算されているが、少子高齢化の進展で更なる打撃が容易に予想される。
現物給付で援護し労働投入を増やす契機にする一石二鳥が正しい対応だ。
介護離職せず済んだ幸運な労働者の退職金控除を大幅削減すれば
容易に現物給付のための財源を確保できる。
つべこべ言う利己的な輩は無視して英断を行うべきであろう。
『エコノミスト』2013年 12/3号 | |
何しろ生涯賃金で億円単位の格差が生まれるのである。
国民負担の引き上げによってリスク分担しないと虐待事件が激増することになろう。
育児よりも一部の世帯に負担が集中する傾向があり、社会全体でリスクを分担する必要がある。
◇ ◇ ◇ ◇
次週は何と言ってもエコノミストに注目。来年は間違いなくアベノミクスの「終わりの始まり」の年になる。
▽ 恩恵は投資家や企業経営・管理層にばかり及び、社会的弱者は間違いなく苦しくなる
『エコノミスト』2013年 12/10号 | |
▽ 東洋経済は定番特集、いつまで宴が続くのか不安一杯?のゼネコン特集
『週刊東洋経済』2013年 12/7号 | |
▽ ダイヤモンドも定番、流通特集だが個人的にはタイガーなど北欧系に興味あり
『週刊ダイヤモンド』2013年 12/7号 | |
サブ特集の「地域住民の異議申し立て」に期待している。