みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

世界最大のメタンハイドレート埋蔵量を誇る国 ― 日本が資源大国へ飛躍するまでの遠い道のり

2008-12-31 | こんな本を読んでいます
年の暮れです。
皆さんは初詣に続々と向かっているところでしょうか。
今回は予約投稿を活用してみました。

この頃漸く北野幸伯氏の言論活動が知られてきました。
北野氏はロシアの名門大学で学んだだけあって、
一般の日本人が鈍感なリアルポリティークに鋭敏です。

今後、資源ナショナリズムと多極化(=脱秩序化)の進む世界を
読み解くために、注目すべき人物の一人であると見ています。


資源大国・日本の誕生:北野幸伯(Voice)
http://news.goo.ne.jp/article/php/politics/php-20081219-04.html?fr=rk

”数年先を知るのは困難だが、長期で未来を予測するのは、逆に簡単である。
 長期的に見ると、世界的エネルギー危機が起こる可能性が高い。
 第1の理由は、世界の人口が年8000万人ずつ増えていること。つまりエネ
 ルギー需要は1年間に8000万人分ずつ増えていくのだ。米商務省の予測に
 よると、世界人口は2013年に70億人、27年に80億人、45年に90億人を突
 破する。
 第2の理由は、世界経済の拡大によりエネルギー需要が増加していくこと
 米エネルギー省によると、1日当たりの世界石油消費量は2000年の約7700
 万バレルから、05年には8500万バレル、10年9400万バレル、15年1億
 200万バレル、20年1億1000万バレルと増加しつづけていく。石油消費量
 が特に急増していく見通しなのが、中国とインド。
 第3の理由は、新エネルギーの普及が進まないこと
 「石油の話ばかりするが、新エネルギーが普及していくのではないか?」
 と疑問を抱かれる人もいるだろう。しかし、現時点での見通しは暗い。
 2000年の時点で、石油は世界のエネルギー消費の39%を占めていた。2位
 は石炭で24%、3位は天然ガス(22%)、4位原子力(6%)。
 20年になるとどうなるのだろうか?
 37%が石油。20年間で2%しか減らない。減るといってもエネルギー消費
 全体内の割合が減るだけで、量は前記のように増加しつづけていく。
 2位は天然ガス(29%)、3位石炭で22%。残り12%のなかに原子力、水
 力、風力、太陽エネルギー、燃料電池などが含まれる。
 新エネルギーと期待される、風力・太陽エネルギー・燃料電池を全部合わ
 せても、20年の段階で全エネルギー消費の5~6%にしかならない。
 第4の理由は、石油が枯渇する日が近づいていること。世界を牛耳るイギ
 リス・アメリカの油田がすでに枯渇しつつあるのは、よく知られた事実で
 ある。そればかりか、遅くても2040年ごろには世界的に石油不足が深刻化
 していくと予想される。
 以上4つから、長期的に石油価格は上昇しつづけていくとの結論に行き着
 く。
 もう1つ重要なのは、石油の供給が減少していく過程で、石油獲得戦争が
 起こる可能性がある。〔中略〕”

 → 私は逆に、代替エネルギーの拡大余地の大きさを
   改めて確認しました。フロンティアは確実に見えています。
   日本の技術力と開発力が世界を救う日が近づいている、
   そのような読み方もできるでしょう。


”日本の進路を語るとき、排除されなければならないのは、「石油争奪戦」
 に参戦することである。米中ロは現在、熾烈な資源獲得競争を繰り広げて
 いる。いずれも、自国の利益のためなら何でもありのワイルドな大国であ
 る。日本は第2次大戦時、この3大国を敵に回して敗れた。同じ過ちを繰
 り返してはならない。
 では、日本はどうすればいいのか?
 エネルギー自給率100%をめざすべきなのだ。
 〔中略〕
 メタンハイドレートという新エネルギーがある。簡単にいうと、「凍結状
 態のメタンガス」。メタンハイドレートは、メタンを中心に周囲を水分子
 が囲んだかたちになっている物質で、ほとんどは海底にある。
 見た目は氷と同じ。しかし、火を付けると燃えるので、「燃える氷」と呼
 ばれている。一立方メートルのメタンハイドレートを解凍すると164立方
 メートルのメタンガスになる。
 石油、石炭と比較すると、燃焼時の二酸化炭素は半分ほど。温暖化対策に
 も有効な新エネルギーなのだ。
 米地質調査所とエネルギー省のデータによると、世界のメタンハイドレー
 トは、陸域で数十兆立方メートル、海域で数千兆立方メートル。これは、
 世界天然ガス確認埋蔵量(145兆立方メートル)数十倍。天然ガス、原油、
 石炭の総埋蔵量の2倍以上といわれている。まさに世界を救う新エネルギ
 ーといえる。
 ここからが重要。メタンハイドレートは日本周辺にたっぷりあることがわ
 かっている。
 米エネルギー省によると、南海トラフ(東海地方沖から宮崎県沖)北側に
 4200億~4兆2000億立方メートル。地質調査所の調査では、南海トラフ、
 北海道周辺海域に、6兆立方メートルが存在する。これは、日本の天然ガ
 ス使用量の100年分に匹敵する。
 日本近海は、なんと世界最大のメタンハイドレート量を誇っている。その
 ため、日本は石油枯渇後、世界最大のエネルギー資源大国になる可能性が
 ある。
 実際、政府、東京ガス、三井造船、三菱重工、日立製作所、新日本石油な
 どが、すでに研究開発に取り組んでいる。〔以下略〕”

元記事はもっと長いので、是非全文をお読み下さい。

いとすぎも当ウェブログで書いてきましたが、
メタンハイドレートが実用化されれば

今の日本の抱える問題はほぼすべて解決します。
残るはオランダ病と怠惰とパラサイト根性だけになります。

この未利用資源の重要性を広く伝えた功績は確実に大きいです。

一方、商業利用まで十年はかかると想定されていること、
また、メタンハイドレートの埋蔵海域を巡って
国益追求の姿勢を剥き出しにした中国とロシアとの
紛争に突入する可能性があることも明白です。

北野氏はそこまで言及すべきだったと考えます。

更に、経済政策に関しては国際政治ほどの鋭い分析が見られません。
アメリカは減税だけで経済成長を遂げたのではありません。
イギリスも全般に日本より税負担が重い国です。
日本のように社会保障分野の赤字が巨額(=未来世代に転嫁している)
にのぼる国で、一律減税はすべきではありません。

既に氏の信奉者のなかには自分に都合の良い情報しか見ない
衆愚人が相当数混じり始めています。
氏が影響力を正しく行使することを願ってやみません。

例えば、メタンハイドレートの実用化までは
太陽電池こそが日本経済のフロンティアですし、
日本と同様に森林資源に恵まれた北欧の事例を見れば
日本の木質バイオマスに成長余地があるのは明白です。
その辺りまで言及する必要があるでしょう。

▽ 北野氏は2005年にこの著書を出されています。慧眼恐るべし。





『ボロボロになった覇権国家』(北野幸伯,風雲舎)


▽ 多極化の基本構図を理解するのに最適。





『中国・ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日―一極主義 vs 多極主義』(北野幸伯,草思社)


▽ 最新刊です。





『隷属国家 日本の岐路―今度は中国の天領になるのか?』(北野幸伯,ダイヤモンド社)

中国の脅威に対抗するため、対東南アジア戦略や対南アジア戦略に
注力すべき、という点も是非触れて欲しいところです。
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『週刊エコノミスト』1月6日号 ― 基軸通貨ドルは既に「張子の虎」、通貨バスケット制への移行は必然

2008-12-30 | 『週刊エコノミスト』より
エコノミスト合併号は「恐慌突入」の不吉なタイトルでしたが
良い記事が幾つもあったので、お薦めします。

私は『東洋経済』所載の伊藤忠商事の丹羽会長の意見と同じで、
(丹羽会長は「90%が支持する意見は当たったためしがない」と)
本当に1930年代並みの「恐慌」に陥る可能性は低いと見ています。

『週刊エコノミスト』の内容案内

最新号の内容の確認は、こちらの毎日新聞のサイトの方が正確で早いです。
(定期購読は方式によりディスカウント率が複雑なので御注意下さい)
http://www.mainichi.co.jp/syuppan/economist/

実は、最も面白いと思ったのはP116の「俗論解剖」で、
大和総研の山崎加津子シニアストラテジストが
ユーロ圏と英国の可処分所得と消費動向を分析し、
「消費停滞は国民性ではなく産業構造に由来する」
との興味深い結論を出されています。

事例として挙げられているのがドイツ経済で、
ユーロ圏の輸出国は新興国との競争に晒されて
軒並み「雇用か、賃上げか」の二者択一を迫られ、
雇用は伸びても所得は上がらず、個人消費も盛り上がらない。

「英国は金融サービス業が主要産業であるため、賃金水準が
 高く、インフレ率もユーロ圏より高めに推移する」

この分析には考えさせられますね。
日本の金融がいつまでも貧弱なままでは、
消費停滞もまた継続するのではないでしょうか。

バブルの影響を抑止しつつどう金融を伸ばせば良いのか、
難しい問題です。
個人的には下げ局面に強い運用会社がもっと
増えても良いのではないかと思うのですが。。

    ◇     ◇     ◇     ◇

新刊を出された高橋洋一氏がP92に登場されています。

バーナンキ議長は、「日本のケインズ」高橋是清の政策を
高く評価していた、とのこと。

ただ量的緩和とヘリコプター・マネーだけで
日本経済が回復するものでしょうか。
水膨れ経済になりそうな予感。





『この金融政策が日本経済を救う』(高橋洋一,光文社)

私は金融政策には暗いのでこの本の価値を判断しにくいですが、
産業政策や社会保障・雇用政策は不要なのでしょうか?





『さらば財務省!―官僚すべてを敵にした男の告白』(高橋洋一,講談社)

△ 個人的にはこちらの方が面白かった。
  歴史的にも日本で「洋行帰り」の果たした役割の大きさは明白で、
  ガバナンス能力のない国粋主義者は常にリスク要因でした。

    ◇     ◇     ◇     ◇

最後になりましたが、
P24の新光証券の林秀毅氏の「世界通貨バスケット構想」、
(今回のエントリーのサブタイトルはここからです)
P26の倉都康行氏の投資銀行・ヘッジファンド業界の見通し、
P50「玄」の政所利子代表取締役へのインタビュー、
これらも質の高い記事でした。
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石田衣良氏「金融は汚いと言っている人は資本家のカモになりやすい」「マーケットほど公平なものはない」

2008-12-29 | いとすぎから見るこの社会-全般
正直、驚愕しました。この識見は本物です。

ロイターがインタビューするのも当然でしょう。
個人的には相変わらず大袈裟な野口悠紀雄大先生よりも
遥かに参考になると思います。

「日本のような大きな国がモノ作りだけで生きていくのは無理だ」

「もはやだれもマーケットの影から逃れられない」

「僕は日本の政治のことは諦めていて、国のお荷物だと思っている」

いずれも、石田氏の鋭利な指摘です。

人の不安や猜疑心を煽るのが得意な経済評論家や
CDO並みのご都合価格で情報を売る人々は、
石田氏の爪の垢でも飲んだ方が良いでしょう。

物凄い敏腕投資家ではないかもしれませんが、
石田氏は手堅く賢い投資家に違いありません。


今後も金融ハイテクは必要=作家・石田衣良氏(reuters)
http://news.goo.ne.jp/article/reuters/entertainment/JAPAN-356569.html

”作家の石田衣良氏はロイターとのインタビューで、米国を起点にした世界
 的なバブル崩壊現象を踏まえたうえで、金融機能を全否定するのではなく、
 規制や運営方法を見直した上で金融ハイテク技術は必要だと指摘した。
 その上で個人が市場経済の影響から免れることはできないとし、積極的に
 リスクと向き合う個人投資家にエールを送った。金融市場が個人にも開か
 れていることを強調し、社会として欲望をコントロールする新しい価値観
 を創造することの重要性についても述べた。
 〔中略〕
 ――今回の金融危機をどう受け止めたか。
 「今回のバブル崩壊は、震源地のアメリカ経済の規模が大きかったので、
 それが破れて大変なことになったというだけのことだ。構造変化が大きく
 起こっているわけではなく、何かの終わりの始まりだとか、経済がまった
 く変わるのだとは考えなくてもいい。どこの国でもバブルは必ずある」
 「日本人は潔くあることが好きだ。1980年代のバブル時に当時の日銀
 総裁が、バブルの泡は一粒たりとも見逃さないと発言して極端な引き締め
 政策を取った。今回の件でも、金融市場主義が崩壊したとか、金融はもう
 一切ダメだという雰囲気になっている。しかし、人間が作ったさまざまな
 技術はやはり必要で、多くの人にとって有用だから生き残っている。今回
 も金融に対する規制や運営方法を見直した上で、金融ハイテク技術も必要
 だと考えるべきではないか」
 ――モノ作りに回帰すべきだという意見もある。
 「モノ作りもちゃんとやり、金融もきちんとやらなくてはならない。日本
 のような大きな国がモノ作りだけで生きていくのは無理だ。日本が資本主
 義国として成熟してきた今、金融だけ、あるいは、モノづくりだけという
 どちらかだけでは成り立たない。額に汗して働くことも大事だが、その本
 業と同時に金融技術も伸ばしていかないといけない。そこを認めた上で、
 自分の本業と自分と金融市場との付き合い方やあり方を考える時期ではな
 いか」
 ――強欲資本主義の象徴としてマーケットが見られているのではないか。
 「日本では、お金に対する欲望が全否定になる。欧米ではプロテスタンテ
 ィズムなどの宗教で全肯定されている。宗教の根付いていない日本では難
 しいかもしれないが、金融やお金の分野で、うまく折り合いをつける新し
 い価値観をつくっていった方がいい。今回の金融危機で明らかになったの
 は、フリーターや普通の会社員、主婦、学生にまでマーケットの影響がも
 のすごく及んでいるという点だ。学生の就職活動では、春採用と秋採用と
 では状況が一変した。春まではすごく売り手市場で、内定を取った2―3
 社を蹴って秋に賭けた学生が全滅している。もはやだれもマーケットの影
 から逃れられない
」”

 → お金に対する欲望が全否定になるというよりも、
   人格分裂しているのだと思います。

   お金よりも大切なものがあると口で言っておきながら
   いざ自分の取り分が減ると激怒して道徳論にすり替える。

   自分はお金を得ようとして必死になるのに、
   他人が同じことをして成功し大金を掴むと、
   祝福するよりもむしろ憎悪する。

   他人がお金に困って苦しんむのには同情するのに、
   自分はほとんど何もせず政府や企業の責任にする。

   何もおかしいと思わないのでしょうか。。


”「個人にとってマーケットほど公平なものはない。自動車工場をこれから
 作りたいと思っても不可能だ。しかし、(マーケットでは)少額でも自分
 のビジョンを持って参入し、1つの利益構造を作り上げることができる。
 得をしてもおごらずに成長できる人が理想の資本家、投資家だと思うが、
 そうなれる可能性が多くの人に開かれている。金融は汚い、働けばいいん
 だ、と言っている人は逆に言うと資本家のカモになりやすい」
 ――危機の中で日本の経済社会にとってのチャンスは何か。
 「日本の問題は金融危機ではなく、政治危機だ。今さら麻生太郎首相の悪
 口は言ってもしょうがないが、その対抗馬である民主党の小沢一郎党首も
 30年前の顔だ。僕は日本の政治のことはあきらめていて、国のお荷物だ
 と思っている。
しかし、2009年には総選挙もあり、ここにメスが入る
 可能性がある」
 「多くの人が金融や市場の悪だけを見ている。その中にはチャンスがあっ
 たり、新しい展開があるはずだ。
日本にはまだまだ余力があるはずなのに、
 恐れているだけで手を引いてしまっている。アメリカの株式を直接日本の
 公的資金で買い取る組織を作るとか、中国と日本とでアメリカの不動産を
 買い支えるなどの議論があってもいいのではないか」
 ――個人投資家が株式市場に参入してきている。 
 「リスクと向き合う個人投資家の参入は素晴らしいことだと思う。日経平
 均5000円の可能性もあるので、これから先にひと山もふた山もあるだ
 ろう。しかし、勇気ある人はいつか必ず報われる。逆に言うと、政治にと
 って一番大事なのはそういう希望を作り出すことだ。
明日はよくなるかも
 しれないという希望を作り出す仕事をしてほしい。アメリカはオバマ大統
 領就任でそれを作ろうとしている。日本でそれができていない。それが日
 本のマーケットの一番のマイナス要因だと思う」”

全くもって同意見です。

今更に金融の悪を声高に批判する衆愚人は、
決して好機を捉えられず、社会に資することもありません。
従って新たな地平を拓くことも未来永劫できないでしょう。
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慶大の深尾光洋教授、米金融機関の時価会計を指弾 ― Mark-To-Myth(作り話に合わせた会計)

2008-12-28 | 注目投資対象・株価の推移
週末は原油先物が急騰しました。
CRB商品指数も200台目前で辛うじて反発、
株式とともに意想外の反発となりました。

いつまでこれが続くやら……


直近1年の豪ドルの推移
http://quote.yahoo.co.jp/q?s=audjpy=x&d=c&k=c3&h=on&z=m

 → 今週はじり高の展開でした。
   クリスマス休暇で静かなものです。
   問題は来週ですね。

▽ infoseek にドル円20年チャートあり。
http://finance.www.infoseek.co.jp/MnForex/fxchart/?fx=F1001


米SECが漸くCDS清算サービス開始を認めましたが、
勿論これだけでは本格反騰には不十分です。
加えて米不動産価格が下げ止まらないと。。

米SEC、CDS清算サービス開始を英LCHクリアネットに暫定許可(reuters)
http://news.goo.ne.jp/article/reuters/business/JAPAN-356068.html

”米証券取引委員会(SEC)は23日、ロンドンに本社を置く清算・決済
 サービス会社のLCHクリアネットに対し、米国でのクレジット・デフォ
 ルト・スワップ(CDS)取引の清算・決済サービスの提供を暫定的に許
 可した。
 LCHクリアネットは既に欧州でCDSの清算・決済業務を行っている。
 同社は今年10月、米国の株式取引のほぼ全てを決済する米証券保管振替
 機関(DTCC)に9億7500万ドルで買収されることに合意した。
 企業の信用リスクを取引するCDS市場は過去5年間で急成長し、現在の
 規模は約45兆ドルに上るとされる。市場の急拡大にもかかわらず、金融
 当局の管轄外に置かれている上、大半の取引が企業間の相対取引で行われ
 るため、取引の透明性の向上が課題となっている。
 このため、米金融当局はCDS取引を集約的に清算する機関の設立を計画。
 その一環としてLCHクリアネットに対して同社が清算・決済サービスを
 提供できるよう、暫定的な許可を与えた。SECのコックス委員長は声明
 で「この暫定的な許可は、中心的な役割を果たす清算機関の早期の立ち上
 げ、早期の機能開始につながる。さらに当局の監視の下に置くことで投資
 家保護にも貢献する」と述べた。〔以下略〕”

 → 今年最大の災厄の種であったCDSの清算機関、
   漸く動きが出てきたようです。

   偉そうに言っていますが、いとすぎは
   この機関のシステムを全く知らないし、
   当然ながら公平な評価もできません。

   しかし、遠い夜明けに向けた努力のひとつです。
   少なからぬ市場関係者が「ひょっとしたら…」と
   思い始めたら一筋の光が見えてくるでしょう。

09年の見通し:為替、ドル全面安で円は最高値突破か(reuters)
http://news.goo.ne.jp/article/reuters/business/JAPAN-356083.html

”2009年の為替相場はドルの下落を予想する声が大勢だ。金融危機と景
 気悪化、経済対策などに伴う政府負担の増大が世界同時に発生するため、
 グローバルな資本フローは行き場を探して神経質に動き回りそうだ。
 米国の劣勢が相対的に目立ち始める形でユーロ/ドルは上昇、ドル/円は
 1995年につけた最安値(円の最高値)79.75円を突破して下落する
 可能性もある。ほぼ5年ぶりの為替介入を予想する声も出ている。ドルの
 底打ちは米財政出動の効果が出始める年後半から翌年にかけてになりそう
 だ、との見方が多い。 
 市場関係者の予想レンジとコメントは以下の通り。
 〔中略〕 
 <三井住友銀行 市場営業統括部チーフエコノミスト 山下えつ子氏>  
  …予想レンジ ドル/円:75―100円
 09年は積極的な財政・金融政策の効果への期待感あるいは失望感がドル
 相場を主体的に動かすことが多くなるだろう。
 まず注目されるのは、オバマ米大統領が1月に発表する景気対策の規模と
 内容。また、米政府及び米連邦準備理事会(FRB)が打ち出す住宅市場
 対策や、FRBのバランスシート拡大を伴う大胆な資金供給措置の実施も
 ポイントとなる。新政権に対する市場の期待感から、ドルは1―2月は堅
 調に推移する可能性が高い。ただ、その期待感も3―4月に剥落し始め、
 秋口にはドル安圧力が増幅、ドルが新安値を更新する局面も来るとみてい
 る。しかし09年終盤には、金融・財政の政策効果が薄くでも現れると思
 われ、年末にかけてドル買い戻しとなる相場イメージだ。
 08年はドルの全面安が進行しなかったが、09年は米国のゼロ金利政策
 や量的緩和に加えて、米財政赤字のさらなる膨張も見込まれ、ドル安が進
 行しやすい地合いが続くだろう。
 ここでのポイントは、米国がドル安を黙認する姿勢を見せるかという点だ。
 民主党は本来、保護主義的な政策に傾きやすく、米国で雇用問題が深刻化
 するなかで、製造業の競争力維持のためにも、ある程度のドル安が進行し
 ても、ドル防衛的な行動に出ない可能性がある。ただ、ドル安が、外国人
 投資家によるドル資産の投げ売りを伴う「ドル危機」に発展するリスクが迫
 った場合は、米国主導のドル買い協調介入も考えられる。〔以下略〕”

 → もう目を通された方も多いでしょう。
   為替投資家は勿論必読です。

   三井住友銀行の山下氏の見解が鋭いと感じましたので
   参考まで転載させて頂きました。

   JPモルガン・チェース銀行の佐々木融氏の
   よりシビアな見解も見逃せません。
   (私もドル最安値更新は充分あり得ると見ています)

「架空資産バブル」の崩壊はこれから、BISの積極関与も必要(reuters)
http://news.goo.ne.jp/article/reuters/business/JAPAN-356378.html

”各国中銀、政府を挙げての危機対応が進む中で、欧米金融機関の動揺がな
 かなか収まらない。
 7000億ドル(約63兆円)の米不良資産救済プログラム(TARP)
 は、瀕死の米自動車大手への174億ドルのつなぎ融資という想定外の拠
 出があったとはいえ、米金融機関のサブプライム関連不良資産をカバーす
 るには十分な金額のはずだった。それでも動揺が続く背景には「架空資産
 バブル」がまだ潰れていないことがあると識者は語る。
 金融危機が実体経済の悪化をもたらし新たな損失を招いているが、欧米金
 融機関に対する不信の本源は、彼らが精緻な資産査定を怠っており、隠れ
 た損失がまだ明らかになっていないことにある。
 「かつて山一証券が倒れたときは、負債は資産の100%をわずかに上回
 る程度だった。だが、リーマンの負債総額は資産の10倍だった。典型的
 な投資銀行では、資産の過大計上、負債の過小評価が行われている可能性
 が高い。これまでの資本注入が十分なのか、外部からは知るすべも無い」

 と、慶應義塾大学商学部の深尾光洋教授はいう。
 90年代後半の日本の金融危機では、1998年から1999年にかけて、
 金融機関の資産を査定した上で、資本注入の必要性の有無や、破綻処理の
 必要性などを判断した。しかし、米国は同様の査定を実施していない。
 米国では、Mark-To-Market(時価会計)ではなく、Mark-To-Model(自
 行に都合の良いモデルを使った会計)やMark-To-Myth(作り話に合わせ
 た会計)が日常化している可能性があるという。
 〔中略〕
 深尾氏は今後の課題として、投資銀行のデリバティブ・ブックを徹底的に
 検査し、各カテゴリーごとの勝ち負けを明確に出すこと、SIV(ストラ
 クチャード・インベストメント・ヴィークル)など金融機関本体外に置か
 れている組織についての連結の見直すこと、プライム・ブローカレッジ業
 務における顧客の預かり資金の担保流用の有無などを明らかにすることな
 どが必要だという。
 デリバティブの中でもCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)は特
 に評価が難しい。CDSのようなデリバティブは本来ゼロサムであり、勝
 ちの総額と負けの総額は一致するはずだ。しかし、「現状では金融機関が
 お互いに甘く評価し合い、総額で大きなプラスになっている可能性がある」
 と深尾氏はいい、デリバティブ・ブックの勝ち負けの集計にはBIS(国
 際決済銀行)が主導するべきであると述べる。BISではデリバティブ・
 ブックの集計を行っているが、総額しか公表していない。
 著名投資家のウォーレン・バフェット氏は、彼が運営するバークシャー・
 ハザウェイの2003年2月の年次報告書で、「デリバティブは時限爆弾
 である」とした上で、デリバティブを「金融界の大量破壊兵器」に匹敵す
 ると表現している。〔以下略〕”

 → 今週最高の記事です。
   現在の状況を最も鋭く抉っています。

   結局、日本もアメリカも金融機関の振舞いに関しては
   そう大差はなく、巨大損失を必死に隠そうとする点では
   同じ穴のムジナという結論になりそうです。




『企業ガバナンス構造の国際比較』(深尾光洋/森田泰子,日本経済新聞社)

△ いとすぎが最初に読んだ深尾教授の著作

    ◇      ◇     ◇     ◇

注目銘柄は、時間不足のため省略します。

シクリカル関連のショートポジションは持続、
昭和シェルのみロングポジション拡大の想定です。




「鉄鋼・機械など重厚長大のシクリカル銘柄は
 そう簡単に回復することはできないでしょう」

最近、環境関連銘柄をモニタリングしています。


鉱工業生産指数:過去最大の下げ幅…11月8.1%低下(毎日新聞)
http://mainichi.jp/life/money/news/20081226k0000e020022000c.html

”経済産業省が26日発表した11月の鉱工業生産指数(05年=100、
 季節調整済み速報値)は、前月比8.1%低下の94.0と2カ月連続で低
 下し、現在の形で統計を取り始めた1953年1月以来、最大の下げ幅と
 なった
。12月の予測も8.0%低下と、予測調査では過去最大の下げ幅。
 金融危機に端を発した世界的な景気悪化で、自動車など輸出産業を中心に
 生産が激しく落ち込んだ。同省は基調判断を前月の「低下傾向」から「急
 速に低下している」と下方修正した。
 業種別では、石油・石炭製品を除く全15業種で低下した。輸送機械工業
 は過去最大の同14.9%下がった。普通乗用車やトラックが国内や欧米
 向け輸出などで大幅に減少した。一般機械は、欧米向けの掘削機械など9.
 7%低下。電子部品・デバイス工業も、中国向けの携帯音楽プレーヤー用
 の液晶などで11.6%低下した。
 基調判断の下方修正は3カ月連続。「急速な低下」という表現を使ったの
 は初めて。12月の指数が予測通りだと、10~12月期は前期比11.1
 %低下と、四半期ベースで過去最大の下げ幅になる見通しだ。”

 → セクター別に分類してとてもよく整理されており、
   分かり易い図表付きの毎日新聞の記事です。

   投資家としては「石油・石炭製品を除く」の
   部分が要注目ですね。

    ◇      ◇     ◇     ◇

  【 いとすぎの為替ポジション 】

なかなか豪ドルが下がりません。
ショートポジションを増やしたので
苦しい状況です。

中立に近いポジションに戻すかも。

 2008/12/16 61.83 AUD/JPY Lev ×2 (ショート)
 2008/12/16 60.94 AUD/JPY Lev ×2 (ショート)
 2008/12/13 60.29 AUD/JPY Lev ×2 (ショート)
 2008/11/07 66.58 AUD/JPY Lev ×1

    現在 > 62.20 豪ドル/円 (損益105%)

  ▼ ポジション解消済み
 2008/12/12 59.16 AUD/JPY Lev ×3
 2008/11/07 66.58 AUD/JPY Lev ×1.5
 2008/11/07 66.58 AUD/JPY Lev ×2.5
 2008/12/05 58.44 AUD/JPY Lev ×2
 2008/12/05 58.12 AUD/JPY Lev ×3
 2008/11/11 65.78 AUD/JPY Lev ×5 (ショート)
 2008/11/06 65.33 AUD/JPY Lev ×4
 2008/10/29 61.08 AUD/JPY Lev ×5
 2008/10/24 58.49 AUD/JPY Lev ×5 (ショート)
 2008/10/17 70.33 AUD/JPY Lev ×6 (ショート)
 2008/10/10 63.58 AUD/JPY Lev ×3 (ショート)
 2008/10/06 77.21 AUD/JPY Lev ×10 (ショート)
 2008/09/30 83.32 AUD/JPY Lev ×4
 2008/10/01 83.65 AUD/JPY Lev ×3
 2008/10/02 82.58 AUD/JPY Lev ×3
 2008/09/19 87.10 AUD/JPY Lev ×4 (ショート)
 2008/09/18 84.02 AUD/JPY Lev ×3 (ショート)
 2008/09/20 89.04 AUD/JPY Lev ×3 (ショート)
 2008/09/12 88.02 AUD/JPY Lev ×3 (ショート)
 2008/09/11 87.58 AUD/JPY Lev ×4 (ショート)
 2008/09/10 85.29 AUD/JPY Lev ×3 (ショート)
 2008/09/01 92.84 AUD/JPY Lev ×10 (ショート)
 2008/08/28 94.43 AUD/JPY Lev ×10
 2008/08/11 94.12 AUD/JPY Lev ×10 (ショート)
 2008/08/05 99.18 AUD/JPY Lev ×5.0 (ショート)
 2008/08/04 99.98 AUD/JPY Lev ×5.0 (ショート)
 2008/07/16 101.87 AUD/JPY Lev ×2.5 (ショート)
 2008/07/15 104.40 CAD/JPY Lev ×5.0 (ショート)

 …以下省略…


「資源国通貨の時代は終わりました。
 豪ドルは今後、主としてショートの対象となるでしょう」

中長期的な見通しは変わりません。

「57~62円のボックス圏を想定、
 短期的に64円前後まで戻す可能性あり」

短期的な見通しを修正しました。
豪ドル63円台の可能性を鑑みて、
ロングを増やし中立寄りのポジションを考えています。

何しろ年末なので安全第一です。

※ くれぐれも投資家各位で御判断下さい。
※ このウェブログを参考とし、めでたく投資収益を得られた方は、
  収益への課税分を社会に貢献する組織・団体に寄付して下さい。
  (当ウェブログのこちらのカテゴリーも御覧下さい。)
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革命的な竹エタノール生産技術 ― 中崎清彦・静岡大教授の研究チーム、殊勲の発見!

2008-12-27 | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える
凄い凄い!
この技術は、日本国内のエタノール生産を
根本から変えてしまうものかもしれません。

竹林は日本各地でじりじりと拡大しており、
もはや「害」と言っても差し支えない水準まで達しています。

その旺盛な成長力は、逆に言えばエタノールの原料としての
「優秀さ」「適性の高さ」の証明でもある訳です。

残る問題は何と言ってもコスト。
そして竹エタノール製造に要する化石燃料の量です。


静大:竹からバイオ燃料開発 食料と競合なく 研究チーム(毎日新聞)
http://mainichi.jp/life/today/news/20081221k0000m040081000c.html

”石油に代わる燃料として注目されるバイオエタノールを、竹から高い効率
 で作る技術を中崎清彦・静岡大教授(生物化学工学)の研究チームが開発
 した。サトウキビやトウモロコシと違って食料と競合する心配がなく、木
 材より成長が早いことが魅力という。
 竹からエタノールを作るには、繊維質の主成分セルロースを糖(グルコー
 ス)に変えて発酵させる必要がある。しかしセルロースは分解しづらく、
 研究開始当初は糖に変える効率が2%程度だった。
 研究チームは、竹を従来の10分の1の50マイクロメートル(マイクロ
 は100万分の1)の超微細粉末にする技術を開発。レーザーで細胞壁に
 含まれる高分子リグニンを取り除き、分解効率の高い微生物を選ぶなどの
 工夫を重ね、糖化効率を75%に高めた。今後3年間で効率を80%まで
 高め、生産コストを1リットル当たり100円程度にすることを目標にし
 ている。
 農林水産省などは2030年までに、バイオエタノールの消費量を年間2
 20万キロリットルにすることを目指しているが、現在は輸入に頼ってい
 る。研究チームの試算では、国内には約9300万トンの竹があり、年間
 330万トンまでなら採り続けても生態系への影響はない
。これで燃料を
 作れば目標消費量の約10%を賄えるという。”

バイオエタノールは多くの問題を抱えていますが、
綺麗に燃焼すること(排ガスですぐ分かる)と
化石燃料よりも国内調達が容易であること、
エネルギー安全保障上のメリットは見逃せません。

Comments (5)
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