みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

2016年7月第4週チャート

2016-07-31 | 注目投資対象・株価の推移
予想通り鍍金の剥がれた黒田日銀は、
追加緩和がバズーカどころか「水鉄砲」であることを自ら証明した。

黒田日銀の「無力」が示され、米GDPが悪化したことで
為替は急変して元の木阿弥、日経先物は大幅下落している。
市場関係者は、これでドルが100円を割れるのを確信したであろう。


米利上げ期待だけで戻していたドルは対円で急落、矢張りダウントレンドに戻った


ユーロへの影響は比較的小さいがダウントレンドに変わりはない


ポンドも勿論、ダウントレンド継続で再び130円割れが射程に入った



輸出関連は基本的にショート、早々と下方修正を出した6914もショートだろう


人材関連も週明けに急落か、原油ベアが再浮上するかに注目


6914はかつて株主であり、良い会社だと思うのだが仕方がない。
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『週刊エコノミスト』7月12日号 -「安倍首相は経済政策に力を入れているふりだけ」メガバン幹部

2016-07-29 | 『週刊エコノミスト』より
今週の『エコノミスト』のヘリマネ特集は隔靴掻痒の観はあったが悪くない。
(後で取り上げる週刊ダイヤモンドの加藤出氏のコラムの方が痛烈である)

何よりも爆笑だったのは、既に晩節を汚しつつある浜田宏一氏が
アベノミクスが完全に失敗に終わっているのを認めずに
「民間は政府の刺激だけに頼るべきではない」
「リスクをおかして投資し、日本経済を向上させる気概に欠けている」
と、
己の提言した政策がうまくいかないから八つ当たりしている点だ。

そんなにリスクを取るべきと主張するなら、自分の資産の全額で日本株を買えばいい。
高齢になると脳機能が低下するのは医学の認めるところだから、
早く受診された方が良いのではないだろうか。

アベノミクスが経済政策として完全に間違っていて、
たまたま時期が一致した米経済回復の恩恵を受けた僥倖と
安倍政権の薄汚い利益誘導政策によって儲かっているに過ぎないのだから、
企業が投資抑制しているのは当たり前である。

35頁のトレンドGDP成長率が相変わらず低迷している現状からも明白だ。
トレンドインフレ率とトレンドGDP成長率の相関性が低いのも明白であり、
リフレ派は今や信用度暴落と威信失墜の瀬戸際にあるのだ。
(単に鍍金が剥がれただけだから、所詮は自業自得であろう)

『週刊エコノミスト』2016年08月02日号


エントリーのサブタイトルはメイン特集冒頭より。
編集部の取材に対し、あるメガバンク幹部が
「安倍首相の本当の目的は憲法改正。国民の支持が必要なため
 経済政策に力を入れているふりをしているのではないか」

と的確な観察をしている。

実際には「のではないか」ではなく「間違いなくそう」なのであり、
日本の有権者がこの安倍政権の腐った本性に気付いて選挙で叩き潰さないと、
日本経済に及ぼされる害悪は刻一刻と深刻になるだけなのだ。

    ◇     ◇     ◇     ◇

『東洋経済』のゼネコン特集は、日本の経済危機の到来を確信させるものだった。
当ウェブログは「ゼネコンが大儲けする国が栄えたためしはない」と書いたが、
あと数年以内にゼネコンの収益は急速に悪化し、「地獄」を見ることになろう。

ゼネコンの収益が日本経済の成長率とも賃金上昇率とも大きく乖離しており、
利権政党への政治献金による政策で儲けているのが明白だから
だ。

メイン特集パート3「構造問題を解決できるか」を見ても、
この業界が相変わらずの旧態依然であることが分かる。

『週刊東洋経済』2016年7/30号 (ゼネコン バブル超え)


EU離脱とイギリスの海外高度人材については、
9頁の刈谷剛彦教授の寄稿が素晴らしい。
イギリスは海外高度人材の活用が非常に巧みで、
排他的な日本は遠く及ばない程である。

    ◇     ◇     ◇     ◇

『週刊ダイヤモンド』の警察特集は関係者必見だろう。
頭を下げずに済み、ぶっきらぼうでもやっていけて定時に帰れる仕事
としてありがちな再就職先が高速料金所やスーパー巡回員、警備員だそうだ。
(とてもよく分かる)

個人的には「平成経済録」の方を高く評価する。
今のゼネコンバブルの帰結が悲惨なおのとなることが予見できるからだ。

日本では景気対策と称して公共事業を増やすたびに財政が悪化して金利は低下、
企業が一生懸命に海外生産を増やしても平均給与は上がっていないのが現状だ。
(実質賃金やドル建て1人当たりGDPでは更に悲惨な状況)
おまけに対内投資が貧弱な日本では企業のダイナミズムも低下している。

だから当ウェブログは、企業収益と日本経済はディカップリングしている、
人口政策が最重要だと何度も何度も繰り返してきたのである。

『週刊ダイヤモンド』2016年 7/30号 (日本の警察)
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実は最も重要なのは加藤出氏の連載コラムである。
これまでの歴史上でヘリマネは確実に失敗し、
例外なく悲惨な最後を迎えることになる
とはっきり分かる。

異民族に滅ぼされた宋王朝も、革命で滅びる前のブルボン朝も、
今で言うヘリマネ・スキームで紙幣増刷を止められなくなった末の破綻だった。

コンソル債を発行したイギリスには言及されていないが、
今の日本とは財政の健全性も人口増加率でも全く違うので、
基本的に加藤氏の見解は正しいと考えられる。

    ◇     ◇     ◇     ◇

次週の注目は東洋経済、程度の低い凡庸な安倍と格が違う小泉元首相への独占インタビューは必見だ。

▽ メイン特集では「裏特待」への切り込みに期待、強豪校にとって「カネの成る木」なのだろう

『週刊東洋経済』2016年8/6号 (高校野球 熱狂の表裏)



▽ ダイヤモンドは「偉人の逝き様 8大分類」が目を惹く

『週刊ダイヤモンド』2016年 8/6号 (どう生きますか 逝きますか 死生学のススメ)


▽ エコノミストは例年通り一足早い合併号、トランプ大統領のリスクシナリオに注目

『週刊エコノミスト』2016年08月16日号

個人的には、何年も前からナショナリズム台頭を鋭く分析してきた萱野稔人氏に期待している。
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北海道稚内で日本最大級の風力発電所建設、国内に風力適地はまだある - 地熱発電より開発速度は遥かに上

2016-07-28 | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える
福島での風力発電の大規模開発計画に続き、
北海道でも日本最大級の風力発電所の建設が決まった。

カネが欲しい原子力利権勢力は喧しく電力不足と喚いてきたが、
当ウェブログはその虚妄と有権者を欺く薄汚い動機を暴き、
一貫して「東日本は電力不足になどなる筈がない」と主張してきた。

どちらが正しかったか、どうやら事実が立証しつつあるようだ。
東日本ではまだ強風で知られる北東北での潜在風力が未開発のまま眠っている。
西日本では淡路島などの潜在風力資源が出番を待っている。

最近では、矢張り予想通り地熱発電の開発遅滞も明白になっており、
当ウェブログがそのコスト優位性を取り上げている
地中熱とコージェネの優秀さとポテンシャルが益々はっきりしてきた。

風力発電・コージェネ・地中熱が日本経済の癌細胞である原子力を撃滅し、
投資が増えるだけでなくエネルギーコストも低下し燃料輸入が激減する。
自家消費の太陽光発電のコスト低下で震災対策も強化される。
原子力利権勢力にとっては自業自得だが、日本経済には微かな希望が見える。

各地の自治体も一刻も早く目覚めるべきである。
投資を抑圧し地域経済の独自技術を育てない原子力を排し、
エネルギーシフトで中長期的に経済を支える政策に転換しなければならない。

▽ 原子力利権勢力は、カネ儲けの障害になる風力発電を口汚く罵って妨害してきた

『総力取材! エネルギーを選ぶ時代は来るのか』(NHK出版)


当ウェブログが厳しく批判してきた利権勢力は、現実の前に後退を余儀なくされつつある。

「日本では世耕弘成・官房副長官への原子力マネーの「上納」が発覚して
 衆目の一致する通り自民党の金権体質と利権癒着が益々明白になっており、
 安倍政権も日本財界もエネルギー政策の後進性を国際社会に証明することになった」

「個人献金を装って国民の目を欺く原子力業界の事実上の「買収」行為は、
 電力大手役員の横並び献金と同質の醜い「お家芸」である」

「電力の「ベストミックス」などという欺瞞的な文言をまた持ち出したのは、
 「利権癒着政党と業界にとってのベストミックス」で国民を騙し儲けるためだ。
 再稼働で誰にカネが流れるかを調べれば明白である」

「せこい小細工と情報操作に長けた彼らによる、国民を欺く「戦略」は
 再生可能エネルギーを普及させるなら同等には原子力シェアを維持し、
 たっぷりと原子力利権勢力が稼げるような態勢に持っていきたい、というものだ」

「国民を欺くには「再生可能エネは高価」「不安定」と洗脳し、
 馬鹿で騙されやすい連中から操って切り崩してゆく意図であろう」

「「国土強靭化」と称するバラ撒きの一部でも使えば送電網整備と風力開発が飛躍的に進む。
 発電部門でのエネルギー効率が悪い日本では省エネの拡大余地が膨大にあり、
 太陽光発電は自家消費を優先して他を大幅に引き下げれば済む話であるが
 利権勢力やその第五列どもがそのような「正論」を語る訳がない。
 (そんなことをしたら自分達にカネが入ってこなくなる)」

「日本では原発の近くの強風地帯で容易に送電網に接続できる場所が複数あり、
 5~10%の程度のシェアであれば電力供給が不安定になどなる筈がない」

「原子力が市場で淘汰されつつあるアメリカでは、
 風力発電強化という合理的な政策に踏み出しつつある」

「稼働率とコスト面を考慮するなら、投機的な原子力を徹底排除し、
 沿岸・陸上風力と効率の良いコージェネを普及させるのが理の当然である」

「風力大国スペインと同じ緯度で偏西風に恵まれたこの国で
 風力が普及していないのは、原子力利権勢力の稼ぎが減るため
 国益を無視してカネを狙う連中が全力で妨害してきたからだ」

「原子力利権勢力の言う「送電線の容量に限度が」という次元の低い言い訳も、
 鉄道会社の場合は全く通用しない。人口集中値に鉄道網があるのだから、
 潜在的発電能力は高く送電ロスは低く、需要地も近い。
 (寧ろ、大都市圏から遠い原発の方が垂れ流すエネルギーロスが多い無駄の塊だ)」

「我が国の風力発電は、スペインと同じ偏西風に恵まれた地域特性にも関わらず、
 そして既に風の強い原発立地に立派な送電線が設置されているにも関わらず、
 エネルギー政策の「次元の低い」、しかも利権癒着政権がのさばっているために
 産業規模や発電量の伸びは遅々として進んでいない」

「産経報道では日本の大型風力発電設備が再び増加傾向にあるようだ。
 今まで散々FITに反対してきた立場上、FITが風力増の要因のひとつであると
 明言しないのは実に産経らしいところではある。
 (猶、増加まで時間がかかったのは環境アセスメントの影響)」

「当ウェブログが前々から指摘していた通り、
 日本における風力発電の拡大には送電網増強のコストを考慮し、
 消費地に近く初期コストの低い場所を選ぶべきだったのである。
 (具体的には東北や淡路島、敦賀半島、御前崎、玄界灘等である)」

「当然、洋上風力も浮体ではなく着床式で都市部に近い場所を優先しなければならない。
 環境省は送電網増強コストを試算し、ゾーニングを行うべきである」

「それでこそ健全で合理的な再生可能エネルギーの拡大が可能になり、
 日本経済が内需で成長できるようになるのだ。
 風力のシェアは最低でも電力供給全体の5%には達するポテンシャルがある」

「利権勢力が風力発電を妨害し中傷する理由は、
 高コストな太陽光と違って原子力の真の脅威となるからだ。
 (「劣等生」原子力のような突然の事故や稼働率急低下といった投機性は、風力にはない)」

「一部利権勢力とエネルギー多消費企業だけが儲かる原子力と違い、
 風力と省エネ(コージェネ等)は日本経済そのものを大きく成長させる」

「それなのに現実を認めない原子力擁護派は古臭い認識を改めず、
 風力は安定しないだの稼働率が低いだの「敗者の言い訳」を重ねている。
 利権勢力の安定収益に貢献するだけの悲しい言説でしかない」

「彼らは円安が進んでいた時期は「原発停止で国富流出」などと
 ふざけた主張をしていたが、輸入燃料費と日本のGDP成長率はもはや無関係だ。
 それが原油安で明白になってきて、次の口実を探すのに必死だ。
 何をやっても嘘の上塗りにしかならない惨めな連中である」

「経済効果や投資促進効果において、原子力は明白な「劣等生」だ。
 嘘だと思うなら日本の原発の総発電量の推移とGDP成長率を比較するがいい。
 寧ろ逆相関と言っても過言ではないのが事実である」

「真に日本経済に貢献する風力発電や省エネに力を入れない限り、
 一部利権勢力にカネをバラ撒くエネルギー政策を続ける限り、
 現下の低成長と投資抑制は変わらない」

「彼ら利権擁護者の主張は徹頭徹尾間違っている。
 原子力代替の主力はガス・コージェネレーションであり、
 最近素晴らしい進歩を遂げている地中熱のような省エネ技術である」

「それに風力発電と、夏期日中のスーパーサブである太陽光発電が加わり、
 あと10年以内にEV・PHVやその中古蓄電池の活用が確実に進むので、
 原子力は自動的に不要になる。原発立地自治体は確実に人口流出するので
 老朽原発だけが残されて若者がいないゴーストタウンになるだろう」

献金やパー券といったカネの力でも、厳然たる現実は変えられないのだ。

▽ 風力発電は真の「純国産資源」で原子力のような投機性がなく、地域経済への波及効果は大きい

『風力発電が世界を救う』(牛山泉,日本経済新聞出版社)


原子力利権勢力の見え透いた嘘とプロパガンダなど、
世界のエネルギー事情を見ればたちどころに打破できる。

「IRENA(国際再生可能エネルギー機関)によれば、
 2015年の再生可能エネルギーの設備容量は世界で8%超の成長、
 風力だけで17%、太陽光は26%もの増加だった」

「あくまでも設備容量なので発電量はこの10分の1程度であろうが、
 計画ばかりで一向に進まない原発より優れているのは明白である」

「勿論、風力と太陽光発電のコストも着々と低下していて、
 安全コストが重くなる一方の「劣等生」原子力とは大違いである」

「コストに気を遣って制度設計し、賢く普及を図れば、
 これほど強力な成長分野はなかなかない。
 コスト競争力の高い省エネと併用して原発利権を撃滅し、
 経済を力強く成長させるまたとない切り札である」

「こうした明々白々な数字を見れば、IRENAの設立時に
 経産省が後ろ向きだった理由がよく分かるというものだ」

「日本のエネルギー政策が何年もガラパゴス化しており、
 利権擁護の保守退嬰型であることが誰の目にも明らかになるからだ」

「折しも原発事故で甚大な打撃を受けた福島で、
 風力発電の新設計画が進んでいる。
 投機的な原子力と違い、安全で経済効果の高いエネルギーが
 中長期的に福島の復興に貢献するであろう」

「風力発電が有望な地域は福島以外にも数多い。
 北海道、北東北、遠州灘、敦賀、淡路、佐多岬、玄界灘。
 地域経済ばかりでなく日本経済の成長とエネルギー安全保障のために、
 風力発電を拡大させなければならない」

と当ウェブログが指摘してきた通りになろう。

 ↓ 参考

世界の再生可能エネの成長が過去最高、風力タービンの価格大幅低下 - 日本でも東京ガスが風力発電に参入
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/a2db7f0f30e7ea7ea81d26c2aff09c43

日本の風力発電能力は今の約3倍、原発10基分に急成長する - 原子力擁護派は旧套墨守の言い訳ばかり
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/6935d93b30d1c04dce1a1b3bda6cc6fa

米政府が全電源の35%に風力を拡大させる計画、IBMやGEも協力 - 安倍政権と財界は「周回遅れ」に
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/8d4aace5e6a01b83d535811d8ee5f88a

世界の風力発電は2030年迄に5倍増か、IEAの保守的な見通しでも3倍増 -「コストが下落している」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/b861851c2b4460d0c70dfe318c82024a‎

▽ 日本よりも成長率の高い欧州国では、風力発電とコージェネが普及している

『欧州のエネルギーシフト』(脇坂紀行,岩波書店)


天北エナジー、9月着工 稚内市に風力発電所 総事業費100億円(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO04902520V10C16A7L41000/
”風力発電最大手のユーラスエナジーホールディングス(東京・港)が出資する特定目的会社、天北エナジー(稚内市)は稚内市内で総出力3万キロワットの風力発電所を9月に着工する。総事業費は約100億円。2018年2月の稼働予定で、発電した全量を北海道電力に売電する。同市での風力発電は総出力が10万キロワットに達し、市は道内トップの集積地として地域活性化を目指すが、今後は送電網の整備が課題となる。
 新設する「天北ウインドファーム」は市中心街から南東の恵北・増幌地区に10基の風車を縦列に配置する。出力は各3千キロワットで、合計3万キロワットは一般家庭で約1万9千世帯分の電力供給に相当。温暖化ガスの二酸化炭素(CO2)排出量を年間で約5万2千トン削減できる効果があるという。
 風力発電機は米ゼネラル・エレクトリック(GE)製を導入する。風車は国内の地上風力発電では規模が最大級。
〔中略〕
 設計・施工は大林組の札幌支店が担当する。資材を運ぶ道路整備などは今春から始めており、9月から立地点の基礎工事や送電線の敷設に取り掛かる。北電の変電所に系統連系し、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度に基づき、1キロワット時当たり22円(税別)で20年間売電する。
 稚内市によると、年間の平均風速は地上20メートルの高さで秒速7メートル。市内では現在5つの風力発電施設が稼働中で、計74基の合計出力は約7万6千キロワット。6番目の天北が加われば10万キロワットを超す。15日に開かれた安全祈願祭に駆け付けた工藤広市長は「風力発電の聖地としてこの地の発展につながる」と期待を示した。
 発電所設置の契機を作ったのが、ユーラスとともに天北エナジーに出資する稚内グリーンファクトリー(稚内市)。けい藻土販売や農業コントラクターを営み、12年に北電から系統連系の権利を取得した。渡辺義範社長は祈願祭で「風を測る風況ポールを独自に設置したのは16年前。強い風を利用した再生エネルギーで地域おこしができないかと模索してきた。感無量だ」と語った。”

大変良い話であり、確実に地域経済が潤されるであろう。
風力はメンテナンス需要があり中長期的な雇用にも繋がる。

但し、稚内は強風地帯であるものの需要地から遠い。
北海道のエネルギーの主力はコージェネである。
札幌や函館それ自体に巨大な熱需要があるから、原発など要る訳がない。


地熱発電:国が来年度から調査支援 開発リスク低減(毎日新聞)
http://mainichi.jp/articles/20160720/k00/00m/020/192000c.html
”経済産業省は地熱発電所の拡大に向け、立地地点絞り込みの調査を支援する。火山が多い日本は、地熱発電の地下資源量で世界3位だが、掘削調査に時間がかかる上、調査しても熱源を発見できないリスクがあることなどから、開発が停滞している。
〔中略〕
 地熱発電は一度開発されれば燃料が不要で、安定した電力供給源となる。政府は2030年度までに地熱発電量を3倍にする目標を掲げる。ただ、採算性の高い熱源を発見するには、約5年の掘削調査が必要。発見できなければ、投資が無駄になるリスクがあり、開発業者が二の足を踏むケースが多い。
 そこで経産省は、政府出資の石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が立地有望な地点を深さ約500メートルまで掘削し、地下の温度データを収集して高温域を絞り込む事業に乗り出す方針を固めた。初期段階の調査を一定程度国が負担し、成果を民間事業者に利用してもらうことで、事業のリスクやコストを低減する狙いだ。来年度予算の概算要求に盛り込む。
 政府はこれまでも多様な地熱発電の開発促進策を実施しているが、効果が上がっていない。12年には固定価格買い取り制度導入のほか、国内の建設適地の大半が分布する国立・国定公園内での環境規制を緩和。JOGMECを通じ、開発業者向けに地質調査や試掘費用の助成や債務保証も行っている。だが、小規模の計画は増えたものの、出力7000キロワット以上の大型計画は停滞し、具体化したのは昨年着工した秋田県湯沢市の計画など3件で、合計出力は約6万キロワットに過ぎない。政府は昨年策定した電源構成目標で、地熱発電を現在の52万キロワットから約3倍に増加させる方針だが、達成にはほど遠い。
 開発のハードルは技術的な問題だけではない。地熱発電は都道府県の許可が必要だが、温泉源への影響を危惧する周辺の温泉業者から理解を得にくいのが実情だ

〔中略〕
 このため政府は今年6月、専門家23人で構成する「地熱資源開発アドバイザリー委員会」をJOGMEC内に設置し、自治体の求めに応じてデータ分析や情報提供を行うサービスを開始。8月には、地熱発電に関するデータやノウハウを、自治体同士で共有するネットワークも整備する。専門家からは「一歩前進だが、温泉業者の抵抗感は根強く、大きな変化までは期待できない」との声も出ており、利害関係者の調整を進めるためのもう一工夫が問われそうだ。【宮川裕章】
◇キーワード・地熱発電
 地下1500〜3000メートルの地熱貯留層にある高温の蒸気や熱水を利用し、タービンを回して発電する。少ない運転費用で安定供給でき、発電時の二酸化炭素(CO2)排出量がほぼゼロという利点がある。掘削調査期間が長く、初期投資が高いのが難点。また地熱資源の8割が環境規制の厳しい国立・国定公園内に集中している。日本では1970年代の石油危機で一時、開発機運が高まったが、原発重視政策もあって下火に。2011年3月の福島第1原発事故以降、環境規制の緩和など開発支援に力を入れ始めた。政府は総発電電力量に占める地熱発電の割合を、30年度までに現在の約0.3%から1〜1.1%に増やす目標を立てている。”

福島原発の後に、エネルギーに無知な論者が賞揚した地熱発電であるが
案の定、大して期待できないことが判明しつつある。
(最初から分かり切っていたことなのだが)

地熱発電に関しては、鹿児島や東北のように温泉業者との軋轢が比較的少ない地域は良かろうが、
成長性では風力発電に大きく劣り、開発のリードタイムや需要地への近さにおいては
コージェネや地中熱に遥かに劣る。促進策もよくよく検討して行うべきだろう。
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「隠れ待機児童」は5万人超、「認可保育所利権」を放置してきたツケ - 自治体が公表した数値は捏造か

2016-07-27 | いとすぎから見るこの社会-少子化問題
日本の「待機児童」報道には重大な問題がある。
待機児童問題が生じる根本的な原因から目を背け、
「認可保育所に入れることを当然視する」発想がそもそもの間違いだ。

学習院大学の鈴木亘教授は利用者の負担額を調査しており、
認可保育所の利用者(子を預けている保護者)は
せいぜい3割程度しか負担しておらず、その倍以上の公費を得ている
ことが判明した。

自治体は、認可保育所の利用者がいかに高額な公費を受け取っているか、
はっきりと通知すべきである。高所得層ですら結構な額の補助を得ているのだ。

この「認可保育所利権」は、運営側と保育所利用者が共に恩恵を得ており、
ふんだんな公費を占有して我がものとしているのである。

我が国よりも育児関連予算の多いフランスですら、
保育所へ預けるのは半数以下であり、保育ママの利用がそれ以上に多い。

まして日本では、フランスよりも税や社会保険料負担が軽いのだから、
地価も人件費も高い大都市圏で、園庭のある、
しかも保育料の安過ぎる認可保育所に「行列」ができるのは当然だ。

自治体が「捏造」した待機児童数を公表するのは、
問題の根底にあるこうした利権を放置したままで
数値だけ粉飾して「解決」ではなく「誤摩化し」を図っているからだ。

待機児童を真に解決するためには、
認可保育所利用者にだけ湯水のようにカネを与える歪んだ制度を廃し、
育児バウチャーで平等公平に保育所でも保育ママでも使えるようにしなければならない。

▽ 日本では認可保育所だけが湯水のように補助金を使っているために、「行列」ができる

『社会保障亡国論』(鈴木亘,講談社)


また、日本は税負担に対する抵抗が非常に強いから、
財源は配偶者控除を現物給付に転換することと、
そして自治体の行政・財政改革により確保しなければならない。

▽ 長野県下條村も、岡山県奈義町も、行政コストを削減し育児関連の現物給付を増やして出生率を上げた

『超少子化: 異次元の処方箋』(NHKスペシャル「私たちのこれから」取材班,ポプラ社)


実際に出生率向上に成功した国内の自治体の事例を無視し、
行政コスト削減による財源確保という重要な改革から逃げて
小手先の数字操作で誤摩化そうとしているから待機児童がなくならないのだ。

自民党は利権勢力と癒着した族議員の巣窟だから、
有権者やメディアが正しく批判しない限り行動を改める訳がない。

「我が国の人口動態の劣化と少子化対策の遅れに関しては、
 政治家ばかりでなく大手メディアの認識の甘さも当然、糾弾されるべきである」

「我が国の低出生率の根源には、社会保障給付が極端に高齢層向けに偏り、
 家族向けが著しく低いという異常な社会保障の歪みがあるからだ」

「少子化で絶望的な経済縮小を迎えるのは今後の韓国も中国も同じだが、
 真っ先に転落するのが日本なのだから他人を嘲笑っている場合ではない」

「日本は高齢者増加と生産年齢人口減少が同時に経済を抑圧しており、
 しかも世界一の異様に速いスピードで進行しているため非常に危険である」

「今、「最後のチャンス」であった団塊ジュニアの出産可能年齢が過ぎつつあり、
 我が国は長い長い下り坂をまっしぐらに、ゆっくりと墜落しつつある」

「メディアはその真因が選挙目当ての高齢層向け社会保障バラ撒きと
 世界で最も歪んだ持続性最悪の社会保障制度にあることを語らない。
 我が国は、太平洋戦争と同様、壮烈な自滅の道を驀進している」

「日本政府が何一つまともな対策を行っていないため、
 (目先の省益や利権争い、こけおどしの低次元な政策しか出ていない)
 あと数年したら泥縄で外国人労働者を受け入れざるを得なくなるのは自明である」

「高度人材が大挙して衰退経済日本に来る筈がないのであるから、
 カネばかり欲しがる単純労働者しか来ず、間違いなく日本国内にスラムができる。
 治安は悪化し、低所得世帯は移民に育児を外注することになり問題が頻発するであろう」

「今、何も見えないふりをして税負担を回避し、
 女性就労率を引き上げる努力を怠り、
 高齢層に集中する富を説得して再分配する努力を放棄すれば、
 当面の安逸は確保できる。しかしそれは経済収縮必至、地獄への道である」

「デンマークやスウェーデン並みの家族政策を断行したら
 出生率は間違いなく急上昇するから試してみればいい。
 (出産も医療費も保育料も公立学校授業料もみな無料であるから当たり前だ)」

「また、「先進地」長野県下條の施策を都市部の自治体が取り入れて、
 公務員の人件費を大幅カットして育児世帯への現物給付にしても確実に子供が増える。
 我が国の少子化は間違った政策と自己欺瞞がもたらした「人災」に他ならないのだ」

「我が国にとって最大の脅威は、中国ではない。
 驚異的な高成長をもたらした人口急増が逆転して、
 壊滅的な生産年齢人口の減少が続くことこそ死活的な問題である」

「今の低出生率の惨状を招いた責任は、間違いなく歴代の自民党政権にある。
 少なくとも2006年までに本格的な少子化対策を実行すべきだった」

「配偶者控除や公的年金控除を原則全廃すれば予算などすぐ出てくる。
 退職金への盛大すぎる税控除(明白な差別制度だ)を削減すれば更に上積みできる。
 その分をすぐさま育児関連の現物給付に移転すれば出生率はすぐ上がるし待機児童も改善される。
 保育料や家事育児の外注は「仕事の必要経費」だから税控除の対象とすべきである。
 その程度も実行できない政治家は、低能と言われて当然であろう」

「最も責任の重い「A級戦犯」である自民党議員が全員、議員年金を返上して
 育児支援予算のため、次世代育成のために差し出すべきである。
 (結果を出さない癖にのうのうと老後を過ごすことなど許されない)」

「ただでさえ政治家は相続税において庶民には許されない特権を持っている。
 公益に貢献する選良として優遇されているのだから、
 公益のため不相応な特権は返上するのが正しい道と言うものであろう」

「聞きかじったインチキ経済政策で大失敗の低成長率に終わった安倍首相は、
 懲りずにできもしない「出生率1.8」などというリップサービスを行っているらしいが、
 口だけ政治家は嘘の上塗りなどせずにさっさと辞めるべきである」

「対GDP比で日本の社会保障制度と比較すると、
 家族政策(育児支援関連)予算はドイツは2倍、英・仏・北欧は3倍である。
 日本が「育児支援先進国」並みの予算を組んだら、数兆円もの増額が必要になる」

「そうした政策リテラシーが完全に欠けている菅官房長官は即刻、辞任させるべきだが、
 育児支援でも次元の低い政党、少子化の元凶である自民党は全く進歩がない」

「先進国において出生率を引き上げるには二つの方法しかない。
 一つは英仏や北欧のように手厚い育児支援を公費で行うこと。
 それが嫌ならアメリカのように大量に移民を受け入れなければならない。
 日本で大量の移民受け入れを行ったら、間違いなく過半が中国や韓国から流入するのだが、
 本気でそのような日本社会を望んでいると言うのだろうか」

「OECD加盟国の2009年時点の家族政策(ほぼ育児支援と同義)の政府支出を比較すると
 対GDP比で日本の「後進国」ぶりは明白である。

  日本       1.0%
  OECD平均    2.3%
  ドイツ      2.1%
  フランス     3.2%
  イギリス     3.8%
  スウェーデン   3.7%

 まずはこの現状を何とかしなければならないのだが、
 例の「1億総活躍社会」の国民会議での議論は
 レヴェルが低すぎて話にならない惨状だ」

「報道によれば、保育所の受け皿を拡大するとか、
 非正規の正社員化とか、教育費負担の軽減とか、
 全く日本の現状も費用対効果も分かっていない寝言ばかりである」

「待機児童が発生する最大の原因は、認可保育所への異常な優遇である。
 認証や認可外保育所を差別してカネを高コストの認可にばかり投入するから行列ができるのだ。
 また、働かない者にカネを与え、仕事と育児の両立に努力する層を苦しめる制度を維持しているからだ。
 「先進国」北欧の社会システムを見ればすぐに分かる話である」

「そもそも「先進国」の北欧は待機児童が存在せず、
 日本のような利権まみれの既存事業者が政策介入してこない。
 既存事業者が保育を利権化して補助金を占有している現状すらどうして理解できないのか」

「また、北欧の労働者は日本で言う「非正規」に近く転職は日常茶飯だ。
 そして教育費負担軽減の前に保育や学童の問題が先である。
 (教育費負担と出生率の相関性はどう見ても低い)
 根本的な予算と社会保障の歪みの問題をどうして無視するのか。
 これでは低能の証拠と言われても反論できない」

「反省はない、能天気で海外から警告されても理解できないという始末で、
 少子化の「A級戦犯」は今日も納税者からカネを受け取って仕事したふりをしている」

「愚鈍極まりない安倍政権や1億総活躍の「国民会議」は全く危機感がない。
 有権者が彼らに報酬を支払うなどとんでもないことだ。
 寧ろ彼らの無知と無能を咎め、報酬をカットするのが理の当然である」

「他国と比較すれば家族政策のボリュームが決定的に重要なこと、
 育児支援は現金給付より現物給付の方が効果的であること、
 教育費負担と出生率の関係が希薄であることは明白なのに、
 (アメリカとドイツ、或いはドイツとスウェーデンの出生率の差を見よ)
 どうしてこのような馬鹿馬鹿しい議論になるのか全く理解できない」

「予算の非効率性は、早くも少子化対策において明らかになりつつある。
 ベビーシッター補助金で愚かな制度変更を行ったために
 利用実績が10分の1ほどに激減するという大失態が明らかになった厚労省は、
 男性育休の推進においてもあれこれ細かな制限を付けた補助金バラ撒きという
 使い勝手が悪い上に大した効果が望めない「戦力の逐次投入」を行おうとしている」

「このように予算を使って「仕事したふり」を装うスタンスでは、
 ガダルカナルと同様の惨敗に終わって誰も責任を取らないことになろう」

「日本の女性の多数派は自分の利害で意見が左右されるので育児世帯のための負担を嫌がっており
 他人の育休に非協力的な者が意想外に多い。そこを政策で動かさなけれならないというナローパスである。
 厚労省による、無駄に小細工を弄した補助金など「焼け石に水」に過ぎない」

「補助金は天下り先を維持もしくは拡大する「省益」には貢献するが、
 政策目標の達成においては「too little,too late」である。
 ましてや市場メカニズムの活用が伝統的に著しく下手な厚労省だから失敗は目に見えている。
 若しくは砂粒のような功績を誇大に宣伝する「安倍政権方式」しかない」

「また、厚労省は男性育休について根本的な勘違いをしている。
 日本の少子化の最大の要因は「非婚化」であり、結婚した者は平均2人近い子を持っている。
 「第2子」を増やそうとしても効果は出生率0.01上がるかどうかで、話にならない」

「仏や北欧のように「育児世帯に所得移転を行う」制度にしないと
 出生率の低迷は変わらないであろう。これは政府と厚労省の無策が元凶、ということになる」

「メディアや識者が「先進国」北欧から学ばず、
 「劣等生」である厚労省や安倍政権を厳しく糾弾しないから
 こうした情けない実状は全く変わらないのである」

「少子化対策において無能な安倍政権が口だけで何もできないのは想定内だが、
 まして学習能力も進歩もない厚労省が旧態依然となると、日本の人口問題の未来は暗黒だ」

「安倍政権の「1億総活躍」はもとより選挙向けの「宣伝コピー」に過ぎず
 大嘘になった「2%物価目標」「持続的な経済成長」だけでなく、
 早くも大嘘になりつつある「GDP600兆円」と同様、
 新味がなくなり馬脚をあらわすとポイ捨てされるものに過ぎない」

「「1億総活躍」には、決定的に欠けているばかりか
 日本経済に重大な害を及ぼす要素が含まれている」

「それは「人口動態の老化」への対策が全くなく、
 「希望出生率1.8」が口先だけで、有効な施策を伴っていないことだ」

「日本に近い水準の豊かさ(1人当たりGDP)を持つ国で、
 出生率が1.8を超えているのは例えばイギリス、フランス、北欧諸国である。
 (アメリカは数値的には合致するが、移民社会なので除外する)」

「人口問題が愈々深刻になってきているが、
 安倍政権は相変わらず間違った認識で愚かな政策を打ち出している」

「「経済規模拡大で税収を確保して」などと大嘘をついている始末で、
 「実質賃金を切り下げて税収を確保したから日本が貧しくなった」のが実態であり、
 元々低賃金の保育士や介護士の実質賃金を更に切り下げた「戦犯」なのだから
 歳費は返上し議員を引退するのが理の当然だろう」

「「労働規制の緩和」などと見当違いの言葉まで飛び出す始末で、
 北欧のような積極的労働市場政策も行わず、
 北欧のように保育・介護で女性雇用を創出せず待遇を切り下げている政権だから
 またこれまでのように大失敗するのは目に見えている」

「野党も情けない状況で、所得の低い沖縄が高出生率なのだから、
 問題は非正規ではなく社会保障の中身であることは明白だ。
 本当に非正規を擁護したいなら正規労働者に課税して公平な現物給付に移転すれば良かろう」

「自民党の高齢者バラ撒きによって死蔵されている1000兆円近い金融資産に、
 適正に課税して毎年1兆円でも育児支援策に投入すれば待機児童は容易に改善したであろう。
 その程度ができない安倍政権と自民党は、税金を浪費する国家のシロアリである」

「また、保育利権と癒着した族議員を抱え、待機児童問題を深刻化させている罪も重い。
 政官と結託した既存事業者にだけ湯水のように公費を投入しているから
 いつまで経っても「行列」ができ「被害者」が増えるのである」

「安倍政権下で待機児童が急増しており、民主党政権時よりもカーブが急激である。
 待機児童問題の深刻化は、安倍政権の失政で実質賃金が低下したため、貧しくなった現役世代が
 仕事を続けざるを得なくなったからである」

「安倍政権は消費増税の財源のごく僅かしか育児支援に使っておらず、
 しかも自民党と癒着している既得権層にバラ撒いている。
 育児世帯が苦しんでいるのは、こうした恥知らずな癒着政権に原因がある」

「大前研一氏は、フランスや北欧の手厚い家族政策と比較して日本が劣っていること、
 必ず来ると分かっていた人口減少に対して日本が殆ど何もしてこなかったことを挙げ、
 今までの日本政府はこの人口問題に「真剣に取り組んでいない」と厳しく批判している」

「真にこの国の待機児童問題や少子化問題を改善したければ、
 一部有権者や利権層に媚びたバラ撒きなど行う必要はない」

「まず時代遅れの配偶者控除を原則廃止し、正規公務員の人件費を合理化し、
 退職金控除を縮小させて未来世代のために現物給付を大幅増強する筈である」

「もちろん異常に肥大した高齢者三経費を大幅削減し、
 富裕高齢層の資産を捕捉して公費を育児世帯に移転させなければならない。
 (我が国の高齢層は1000兆円を超える資産を死蔵させているのだから)」

「もはや意味のない第3号被保険者制度を廃止し、家事育児の外注費に税控除を適用して、
 育児支援分野を成長産業として育てる筈である」

「安倍政権だけでなく与党も野党も、必要な施策を何ひとつ実行していない。
 これこそ経済停滞・低出生率・資産死蔵の真の原因となっているのだ」

と当ウェブログが批判した情けない現状は、全く改善されていない。

▽ 出生率をV字回復させた「先進国」デンマークでは保育ママが活躍している(賃金も日本より上)



『消費税25%で世界一幸せな国デンマークの暮らし』(ケンジ・ステファン・スズキ,角川SCC)


次元の低い安倍政権が待機児童問題を理解しておらず、
有効な対策もなくただ小手先の誤摩化しに終始しているのは予想通りだが、
大都市の自治体もまた現状に安住して根本解決を怠っている。

「日本政府の「少子化対策」は嘘と欺瞞の塊で、
 なぜ日本が家族政策(或いは少子化対策)「後進国」なのか実によく分かる」

「少子化白書が発表されると内閣府や厚労省のコメントや分析が示されるのだが、
 情けないことにいい加減極まりないものばかりが並んでおり
 これでは舛添知事と同等の税の浪費と言っても過言ではない」

「同時に、日本政府そのものが少子化の「戦犯」に他ならず、
 自らの重大な責任すら認識できないという点に救いようのない無能さが示されている」

「例えば、白書では経済的不安が非婚や未婚の原因であるように書いているが、
 「結婚生活について不安に感じること」が「結婚生活にかかるお金」であるとの回答が
 2010年から2015年にかけて10%近くも急増し、約37%にも達したことから、
 「安倍政権の失政が若い夫婦に経済的不安をもたらした」のは明白だ。
 (安倍政権下で実質賃金は明らかに低下している)」

「また、この意識調査をそのまま翻訳すれば、
 日本国民は「お金の不安がなければ、相性は気にせず結婚する」と考えている可能性がある。
 情けない話だが、育児支援をスウェーデン並みにすれば確実に出生率が上がるだろう」

「また、この間に出生率は小幅改善しているため、
 「経済的不安の強まりと出生率の相関性は高くない」という結論が妥当である」

「また、厚労省の担当者は出生率の小幅上昇を「経済状況が好転」と
 人事権を握る政権に媚び諂って見苦しいお世辞を弄している」

「今よりも成長率も賃金水準も高かった2005年には
 出生率が1.3を割り込んで現在よりも低かったのであるから、
 また所得の高い都市部より所得も求人倍率も低い地方の方が出生率が高いのだから、
 「経済状況の好転」など嘘八百であることは明白である」

「出産年齢を見れば、以前の「出産先送り」に晩産化が加わった結果に過ぎず、
 今後の出生数増には相当の努力が必要であるとすぐ分かる筈である。
 どうしてその程度が理解できないのだろうか」

「日本の少子化問題を生んだのは歴代自民党政権であり、
 その過ちを助長したのが実効性ある政策をひとつも出していない官庁である。
 そうした問題の本質を報じないメディアも「同罪」だ」

と当ウェブログは警告してきたが、
大多数の自治体も待機児童問題を理解せず、寧ろバラ撒きを放置して深刻化させている。

 ↓ 参考

「結婚についての経済的不安」が急増、若年層を貧しくした安倍政権の罪は重い - 少子化白書の調査より
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/f208373bda2867125207f1259fab299d

自民党と共産党はまさに同類、待機児童問題を「利用」してバラ撒き競争 - 亡国の白アリ政党だらけの日本
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/9e6d7dee85f29f7e1e22bc22ec187127

主要国で日本だけが人口減少、安倍政権と自民党の無能無策が証明された - 高出生率の沖縄県だけが人口増
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/8210936475d40b88a652908549222071

「奇跡の村」下條の出生率回復は住宅等の現物給付が主因、行政改革でも卓越 - 低次元の安倍政権と大違い
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/508bd9d382dd2624bd567b845d473189


隠れ待機児童:5万人…公表の3倍 152市区町村(毎日新聞)
http://mainichi.jp/articles/20160723/k00/00m/040/123000c.html
”毎日新聞は、政令指定都市や東京23区など計156市区町村を対象に、認可保育所などの待機児童数に関して調査した。回答のあった152市区町村の4月1日時点の待機児童数は前年より833人(5%)少ない計1万7661人で、減少傾向にある。ただし、保育所などに入れなくても待機児童に数えない「隠れ待機児童」は5万801人に上り、前年より5903人(13%)増加。保育環境が改善したとは言えない
 昨年4月1日時点で待機児童が50人以上いた市区町村と政令市、中核市、東京23区を対象に調査。大阪府吹田、枚方、兵庫県尼崎の3市は回答がなかった。今年の待機児童数が未回答の福島市は集計から外した。
 半数近い73市区町で待機児童は減少。熊本市(前年397人)など28市区町は待機児童0だった。認可保育所などの定員の総計は119万9698人で、6万2624人増えた。
 待機児童数は昨年4月に5年ぶりに増加していたが、子どもの預け先が増加し、抑制につながった形だ。ただ、東京23区は5598人と前年より596人増えた。
 一方、認可保育所などに入れなくても待機児童に含まれない子どもがいる。認可施設に入れなかったにもかかわらず、「待機」にならないことに、保護者の不満は根強く、「隠れ待機児童」と呼ばれている。毎日新聞は、認可保育所などの利用申込数から、入所できた児童数と待機児童を差し引いて計算した。
 厚生労働省は「待機児童の定義」の中で除外できる要件を示している。東京都の認証保育所など、自治体が独自に認定しているものの認可保育所より基準が緩い認可外施設などを利用していたり、保護者が特定の保育所などを希望したりするケースだ。
 また、求職活動を休止している場合は除外、育児休業中のケースも除外できる。しかし、求職活動休止の確認は自治体に委ねられ、育休中の扱いも自治体の判断次第だ。
 隠れ待機児童の増加の背景には、自治体に待機児童数を少なく見せたいとの意識が働いている面がある。

〔中略〕
 厚労省は昨年4月1日時点で全国約6万人に上ると公表している。【堀井恵里子】”

毎日新聞が隠れ待機児童の実数を計算したのは大手柄だが、
「認可保育所に入る」ことがいかに高コストで
いかに公費をがぶ飲みしているか、はっきりと明示すべきである。

認可保育所の利用者は、年間に60万円から100万円近い
とんでもない額の公費を使っているフリーライダーである。
(一部の高所得者は必ずしもそうではないが、平均値で見ると確実にそうなる)

つまり認可保育所が「安過ぎる」から待機児童が増えるのだ。
これこそ待機児童問題の「不都合な真実」なのである。


隠れ待機児童:遠い保育所、断れば待機外 集計法は曖昧(毎日新聞)
http://mainichi.jp/articles/20160723/k00/00m/040/127000c.html
”全国152自治体への毎日新聞の調査で、待機児童の約3倍に当たる5万人以上が確認された「隠れ待機児童」。自治体が待機児童数を見かけ上だけ少なくもできることを示した数字で、保護者からの不満は強い。
〔中略〕
 昨年4月の待機児童数が全国ワーストだった東京都世田谷区。保坂展人区長は6月の記者会見で、今年は昨年を16人上回る1198人となったことを謝罪しつつ、強調した。「育児休業の延長を(待機児童に)含めるべきだと考え、1198人としたが、除いている自治体も多い。厚生労働省に基準の統一を求め続けている」
 厚労省は、親が育休中の場合は「待機児童に含めないことができる」としている。育休中でも保育サービスの必要性は家庭ごとに異なるため、個々の事情を把握できる自治体の裁量に任せた形だが、世田谷区や品川区、浜松市などを除き、大半は待機児童としてカウントしていない。千葉県船橋市や仙台市は「他の自治体が含めていない」ことを理由に挙げ、数字を比較されることに敏感になっている様子がうかがえる
 曖昧さは他にもある。特定の保育所などを希望し、近くに空きがあっても入らないケースは除くことになっており、厚労省は「自宅から20~30分未満」との基準を示す。一見厳格のようだが、これも運用の幅がある。
 「待機児童を減らすよう号令がかかり、『ここには通えないだろう』と思いながら、自宅から遠い保育所を指定し、断ると待機児童から外した」。3月の参院予算委員会で、共産党の田村智子議員が首都圏のある自治体職員の証言を紹介した。九州のある自治体の担当者も「落とそうと思えば、ずいぶん定義上の待機児童を減らせる」と話す。
 「求職活動の休止を確認できる場合」も一律に外すことができる。確認方法は自治体任せで、静岡市は「保護者に電話し、1件ごとに確認」、兵庫県姫路市は「アンケートを送って『休止している』を選択した人」、茨城県つくば市は「本人からの申し出」と、対応はバラバラだ。大阪府茨木市は「把握が困難で、確認できていない」という。
 この結果、待機児童の少なさに期待して転居した世帯が、子どもを認可保育所に入れられないという事態が起きる。公表している待機児童数がわずか7人の横浜市に住む母親は「入れなかった人が周囲に何人もいる」と憤る。
 大分市は「集計方法に差異が出たり、恣意(しい)的な判断が入ったりしないよう定義を明確にしてほしい」と指摘。神奈川県藤沢市は「認可保育所などに入れなかった児童数の公表だけでいいのではないか」としている。【堀井恵里子】
◇統一定義が必要
 保育行政に詳しいジャーナリストの猪熊弘子さんの話 保育所に入れないからこそ、育児休業を延長したり求職活動を休止したりせざるを得ない。特定の保育施設の希望にも、食品アレルギー対応が必要な場合や、兄姉が通園している場合などがある。こうしたケースは素直に待機児童に入れるべきだ。現状では必要な子どもの受け入れ枠が増やせているか、分からない。待機児童の統一定義も必要だ。”

必然的に待機児童が発生する歪んだ構造を維持しているから、
自治体の幹部が「号令」を下すとまず数字を「捏造」することになる。

自治体は、こうした信用できない待機児童数を公表するよりも、
育児中のひと世帯当たりの育児関連給付額を公表すべきである。
そしていかに認可保育所利用者に恩恵が集中しているか公表しなければならない。
保育ママや小規模の認可外保育所のコスト優位性がどれほどか公表しなければならない。

どれだけ予算を増やしても、認可保育所利権を放置している限り待機児童は絶対になくならない。
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「企業は不景気を見越して派遣を増やしている」- 雇用政策でも次元が低い、安倍政権の働き方インチキ改革

2016-07-26 | いとすぎから見るこの社会-雇用と労働
安倍政権は、その次元の低さに相応しい低次元の雇用政策を打ち出した。
毎度のことながら話にもならない内容なのだが、低能は不治の病ということであろう。

メディアに報じられたところによると、
残業時間の制限と雇用保険料の低減が「働き方改革」なのだそうだ。
馬鹿馬鹿しいにも程がある小手先のインチキ改革である。

これでは、程度の低い安倍政権が低成長・低労働生産性をもたらし、
「先進国」スウェーデンに惨敗しているのも当然と言えよう。
言ってみるならばこれは「プロとアマチュアの差」である。

厚労省の調査では、日本では働いていない母親がまだ30%もいる上に、
雇用が増えたと言っても短時間勤務ばかりである。
短時間勤務の低賃金雇用が増えても、消費や成長率への影響は「誤差の範囲」でしかない。

スウェーデンと比較すれば、あと10%は就業率を引き上げる余地がある。
多子世帯でもないのに、介護でもないのに就業を抑制している者が大勢いるのである。

北欧並みに、理由もなく働かない者の税負担を引き上げなければならない。
努力して仕事も育児も両立させている層を支援しなければならない。

配偶者控除や第3号被保険者などという差別制度は原則全廃しなければならない。
「老人手当」よりも育児関連の現物給付を増やさなければならない。
北欧のように中・高所得層には育児関連費用の税控除を認めなければならない。

生産性の低い劣等企業を淘汰しなければならない。
労働法を軽視する悪質企業から転職しやすくしなければならない。
産休育休の際の代理の人件費を税や保険料で補わなければならない。

残業割増率を引き上げて時短を強力に推進し、
労基署の機能を強化しなければならない。
残業代不払いの時効を延長させなければならない。

安倍政権は、こうした実効性ある政策を何一つ実行していない。
だからスウェーデンに経済パフォーマンスで惨敗するのだ。

▽ 日本よりも高成長で豊かなスウェーデンの政策は、働かない労働者と劣等企業に厳しいのが特徴

『北欧モデル 何が政策イノベーションを生み出すのか』(日本経済新聞出版社)


安倍政権は生産性向上でも賃金引き上げでも相変わらず次元が低い。

「安倍政権の生産性向上策はてんで話にならない異次元の低レヴェルで、
 たっぷり大企業から献金を貰って残業代ゼロ法案を通し
 馬鹿な国民が騙されている内にこそこそ適用拡大してゆくという算段だ」

「そうした見え透いた本音を塩崎厚労相が財界要人に漏らして、
 しっかり録音されネット上で公開される始末だ。
 (国会答弁では塩崎厚労相はその発言を否定して恥の上塗りに)」

「昨年の我が国の経済成長率がマイナス1%という惨憺たる数値になったのは、
 こうした大企業と癒着してその利益誘導を行う腐敗した安倍政権の責任である」

「アメリカで問題になっている制度を周回遅れで導入するという
 馬鹿馬鹿しい安倍内閣の行状はもはや末期的と言える」

「企業から政治献金を貰って甘やかす自民党政権が、
 経済政策において劣っているのは当たり前の話である」

「経済団体の主張は基本的に仲間内の利益成長政策でしかなく、
 水膨れの株価時価総額や役員報酬とは正反対に
 日本経済の停滞が依然として続いている現状に対しては、
 日本企業の利己的行動にも重大な責任が間違いなくある」

「我が国の成長率が奇跡的な数字を記録していた高度成長期には、
 日本企業は経営に忙しく政治に対しあれこれ要求を突きつけることは少なかった。
 (金権政党自民とのカネのスキャンダルが発覚することは多々あったが)
 日本経済の低迷が明らかになってから要求が多くなったのである」

「つまり、日本企業の政治活動は低成長期における椅子取りゲームに過ぎないのだ。
 経済団体の要求を鵜呑みにしても企業収益や株主利益、役員報酬が伸びるだけである。
 拝金国家アメリカと同様の惨状に陥り、国民への恩恵は雀の涙でしかない」

「名前だけ変えて国民を騙そうとしているWEと同様、
 派遣法改正も企業収益を増やすだけで、日本経済を成長させるものではない」

「ジャーナリスト池上氏がテレ東の番組でドイツを取材し、
 日本よりも大幅に高い労働生産性の理由を探ったところ、
 浮かび上がってきたのが「短時間勤務」だ」

「これはユーロ統合の恩恵をドイツが最大限に享受しているためだけではない。
 ドイツ以外に短時間で効率の良い働き方をしている北欧諸国は、
 押し並べて日本よりも労働生産性が高い。
 日本は1人当たりGDPでもこれらの国々に敗北している始末だ」

「従って、安倍政権が財界と癒着して導入を狙っている
 「高度プロフェッショナル制度」が根本的に間違っているのは明白だ」

「経済団体も、自己破壊的なアベノミクスを擁護した報いで
 あと数年の内に大打撃を受け世論の厳しい指弾を受けることになろう」

「とは言え、企業が自己利益を追求するのは当然の行動である。
 諸悪の根源は、そうした企業の利己的行動があたかも日本経済のためになると
 大嘘をついて国民を騙す反社会的な政治家と政党なのである」

「労働生産性を向上を本気で実現するなら、
 政策と規制で労働時間の短縮を強要し、
 生産性の低い企業を市場から退場させなければならない」

「企業経営層には生産性を上げるインセンティブが乏しく、
 非正規労働者や外国人実習生を使ってコストカットした方が楽に利益を出せるのだ。
 経営努力するより自民党に献金して政策を操れば更に容易に稼げる。
 この程度のことも、経営リテラシーの欠如した与党政治家は理解できないのだ」

「はっきり言っておくが、次元の低い安倍政権の施策では生産性が上がる筈がない。
 上がるとしたら「誤差の範囲」でここ数年の実質賃金と同じ情けない結果になる」

「第一に、経済界からカネをたっぷり貰っていて株主・経営層に利益誘導していること、
 第二に、無数の違法企業を放置して無駄な長時間労働への規制を怠っていること、
 第三に、保育利権を死守して待機児童問題を放置し、有能な女性労働力を活用していないこと。
 いずれも安倍政権の程度の低さが遺憾なく証明されている」

「中堅企業も大企業も残業割増賃金を払っていないケースが多い。
 人不足の官庁ではなく企業や非営利組織にアウトソースして
 企業の違法行為を暴いて罰金から成功報酬を払う制度に変えれば、
 いかに日本企業がいい加減で遵法意識が低いか白日の下に暴かれるであろう」

「自民党政権に日本経済を上向かせる能力が欠如しているのは、
 我が国の経済成長率が一貫して低落している事実を見れば明白である。
 自民党の施策が伝統的に分配・バラ撒きであることも事実が証明している。
 (だから日本の財政が大赤字になったのだ)」

「適用範囲の狭い最低賃金増は、「B29に竹槍」のような話にならない下策である。
 所得増を実現する強力な施策では全くない」

「今回の最低賃金引き上げ方針について、海外メディアが興味深い指摘をしている。
 国内の御用メディアや官邸から監視されている大手メディアでは
 口にし難い「不都合な事実(政権にとって)」を明らかにしているのは大きな功績だ」

「フィナンシャル・タイムズやロイターは、今回の最低賃金引き上げ方針を
 首相が「本来の仕事ではない」のにスタンドプレーで演出しているのは
 「日本経済を刺激するための選択肢が安倍首相に不足している」
 「安倍政権は、日本経済を改善できることを示す必要に迫られている」
 と評している。
 つまり、安倍首相には日本経済を改善させる能力がないことを認めている訳だ」

「また、FT紙は最低賃金の引き上げの恩恵は労働者200万人程度とし、
 「ラーメンに卵か焼き豚1枚が追加できればラッキーなぐらいのもの」と形容している。
 総労働時間がどうかによって変わってくるのでやや過少な表現であるが、
 いずれにせよ首相の言う通りの最低紙賃金引き上げが実現しても、
 大した経済効果が望めないのは言う迄もない。
 大企業だけが賃上げしても効果が乏しいのと同じである」

「日本の生産年齢人口はおよそ8000万弱、総就業者数は7000万強なので
 200万人はせいぜい2%台の人数だから、大企業の賃上げの方が
 まだしも経済効果があるかもしれない」

「おまけに忘れてはならないのは、安倍政権が成立して以来、
 実質賃金は大きく低下しており原油安で下げ止まっているものの
 低水準での推移が続いているため民主党政権時にすら大きく劣るのが現状なのだ」

「1000円を徴収して200円を返されたようなもので、
 ここでも矢張り安倍政権の次元の低さが証明されている」

「給付付き税額控除を適用すればすぐに大幅な賃上げと消費増が実現するが、
 次元の低い安倍政権と選挙目当てのバラ撒きしか能のない自民党では
 その程度のことすら実行できないという訳だ」

「「GDP600兆円」はただの選挙向けのビッグマウスに過ぎず、
 最低賃金引き上げ方針が有権者に媚びるバラ撒きの変種であるのは明白だ。
 (まともな有権者ならば実質賃金の低下の方が大きいので、寧ろ怒る筈である)
 同時にあからさまな選挙向けバラ撒きを高齢層に行っていることからも明白である。
 「カネやるから自民党に投票しろよ」という実質的な買収政策に他ならない」

「安倍政権はこのような「口だけで効果が乏しい」政策ばかりであり、
 もはやこの次元の低さは政権のDNAと言えよう」

出発点からして間違っているのだから、期待する方が間違っている。

▽ アベノミクス失敗を予見していた吉本佳生氏は、女性や非正規の所得増が重要と指摘していた

『日本の景気は賃金が決める』(吉本佳生,講談社)


おまけに厚労省が安倍政権と同レヴェルかそれ以下の政策を打ち出してきている。

「どこの官庁もそうなので特に厚労省に限ったことではないが、
 今回の「シングルマザーの就業支援」には空いた口が塞がらない」

「就業率の高いシングルマザーへの就労支援強化ということは、
 彼女らの貧困を固定化して予算の継続獲得を狙っていると疑いたくなる。
 (厚労省はこれまで殆ど予算対効果を真面目に評価したことがない)」

「次元の低い安倍政権以上に程度の低い政策を、よくも平然と立案できるものだ。
 日本のシングルマザーの就業率は80%を超えて世界最高水準であり、
 生産年齢の女性の就業率より10ポイント以上も上回り勤勉に働いているにも関わらず
 平均所得は200万円程度しかない。「働いているのに困窮している」のだ」

「しかも、我が国の歪んだ社会保障給付のために、
 片親家庭は再分配後も貧困が緩和されないのである。
 それどころか、再分配によって貧困率が悪化するとの研究結果もある」

「つまり、厚労省は雇用政策においても社会保障政策においても
 必死に働く片親家庭の貧困を二重に深刻化させている「貧困の元凶」なのである」

「嘘だと言うのなら、北欧諸国の貧困率や子供の貧困問題が、
 日本と比べてどうなっているかよくよく目を開けて見るがいい」

「更に言えば、高福祉高負担の北欧諸国では公務員に年功賃金が存在せず、
 しかも日本より手取りが10%以上は低い。
 厚労省が本気でシングルマザーを支援しようと考えるなら、
 職員の賃金を北欧並みの水準に「適正化」して
 (中高年の正規公務員は大幅切り下げ、若手と非正規は切り上げになる)
 片親家庭への育児・住居・教育関連の現物給付に投入すべきである」

選挙で安倍政権を叩き潰さなかったため、
日本経済の低成長と低生産性が続くのは既に確定している。

 ↓ 参考

貧困を利用して予算獲得を狙う厚労省の醜態 -「シングルマザーの就業支援」だけでは貧困が再生産される
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/1287f551c2360e201652b95d81fb23bf

海外メディアが安倍首相の非力を嘲笑、「最低賃金引き上げも効果は限定的」- 恩恵は労働者の2%程度
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/c77e43ddd427f2a8785c1b1069303f6a‎‎

労働基準法を無視する経済界、残業割増代を払わない違法企業だらけ - 中堅企業の50%・大企業の25%
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/0805d0d38088c275021c8173dfa16741‎‎

ドイツより45%も低い日本の生産性、安倍政権の次元の低さがまた証明された - 労働時間短縮こそ最重要
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/9427cb2c906e66883485d9e294322434

▽ 真のグローバル企業であるイケアは日本企業と違って生産性が高く、休暇も確実に取らせる

『イケアはなぜ「理念」で業績を伸ばせるのか』(立野井一恵,PHP研究所)


働き方改革で成長底上げ 残業時間に上限など 財務・厚労省(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS14H27_U6A710C1MM8000/
”財務省と厚生労働省が経済対策の目玉として盛りこむ働き方改革の原案が14日、分かった。残業時間に上限を設けるなどして長時間勤務を抑制するとともに、最低賃金の20円超引き上げや雇用保険料の大幅な引き下げで働き手の所得を増やす。女性や高齢者など働く人の裾野を広げつつ、働き方改革に取り組む企業も支援し、経済成長を底上げする。
 安倍晋三首相は12日、石原伸晃経済財政・再生相に対し「働き方改革をはじめとする…〔以下略〕”

この原案は既に「終わっている」政策である。
ポーズだけの何ちゃって政策であり、大した効果はない。
最低賃金20円引き上げとか、ふざけるのもいい加減にしろ。


雇用保険料、引き下げへ 政府検討、育休給付金の拡充も(朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/ASJ7H4TZZJ7HULFA01K.html
働き手が失業した時の失業給付のために労使で積み立てる雇用保険料が、引き下げられる方向になった。政府が経済対策の一環として検討しているもので、働き手と企業の負担を軽くする。
〔中略〕
 雇用保険料は労使折半で負担する。今年4月には、賃金の1.0%から0.8%へ過去最低水準に下げられたばかり。引き下げは4年ぶりだった。今回実現すれば短期間でさらに下げられることになる。
 5月の失業率は3.2%と改善が続き、失業給付を受ける人は減っている。雇用保険の積立金は6兆円と余裕があり、政府はさらなる料率引き下げが可能と判断したとみられる。

 引き下げ幅は年末までに詰める。料率が0.2%分(労使で0.1%分ずつ)下がって0.6%となった場合、年収400万円の人の保険料負担は年1万2千円ほどになり、従来より4千円ほど少なくなる。
 政府は雇用保険の積立金が財源の育児休業時の給付金も拡充する方針。受給できる育休の期間を、最長で1年半から、2年にのばすことを検討している。
 こうした措置は働き手の負担軽減になるが、景気が悪化すれば失業給付の受給者が増え、雇用保険の積立金は目減りする。短期間での相次ぐ料率引き下げは、雇用保険の収支を不安定にする懸念もある。”

雇用保険料の「大幅な引き下げ」が年に数千円程度。
口だけ政権に相応しいインチキ改革の象徴と言えよう。

せめて育児関連費用の税控除に充てれば良いものを、
政策リテラシーの低さは如何ともし難い。


働くママ、過去最高の68% 非正規が4割 厚労省調査(朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/ASJ7D4VV1J7DUTFK006.html
18歳未満の子どもがいて仕事をしている母親の割合が68.1%に上り、統計を取り始めた2004年以降で最も多くなった。母親の4割近くが「非正規」で働き、一番下の子どもの年齢が高いほど増える傾向にある。厚生労働省が12日に発表した15年の国民生活基礎調査でわかった。
〔中略〕
 母親のうち、「非正規の職員・従業員」が37.2%で最も多く、「仕事なし」が31.9%、「正規の職員・従業員」が22.4%だった。
 「非正規」の母親は一番下の子どもが0歳で10.9%だったが、15〜17歳では46.7%に上昇。逆に「仕事なし」は子どもが0歳なら60.8%で、15〜17歳では21%と大きく低下した。”

負のインセンティブと現物給付で強力に就業を後押ししないから、
能力がありながら労働市場に貢献しない者が100万人以上いるという始末。
歪んだ制度による就労抑制が、日本経済を抑圧しているのである。


“時短派遣”事務系人材難で急増 即戦力を非正規雇用「パートよりはずっといい」(sankeibiz)
http://www.sankeibiz.jp/econome/news/160610/ecd1606100500001-n1.htm
”女性が中心の事務系職種で、“時短派遣”が急増している。1日の勤務時間を短くしたり、週5日未満にするなど、多様な勤務を採用する企業が増加。人手不足の解消とともに、人件費の抑制もできるためで、子育てや介護を理由に正社員を離職した女性層の受け皿になっている。企業側と退職女性のニーズが合った格好だが、一方で、女性が待遇の劣る非正規雇用に流れざるを得ない実情も浮き彫りにしている。
 小学生と保育園児のいる今川佳奈子さん(43)=仮名=は、東京・青山の専門学校で、人事労務の担当者として働く。勤務時間は週5日午前10時から午後4時までという派遣社員だ。子供に手がかかる中「この勤務形態は本当に助かる。仕事も経験の長い分野で働きやすい」と、今川さんはしみじみ言う。というのも、下の子が生後4カ月で復職した前職では、大変な思いをしたからだ。
 最初の出産で離職していた今川さんは、子供が2歳の時に再就職。証券会社で正社員として管理職を任されていた。2人目の出産の後は、同社では育児休業取得者第1号として復帰したが「時短勤務」は名ばかり。午後5時退社のはずが、4時半から会議が始まる。復帰前と仕事量は変わらない。夫や離れて暮らす親に「間に合わないので保育園のお迎えをお願い」と机の下でメールを打つ日々だった。中耳炎を繰り返していた子供が症状を悪化させたことで「もう無理」。離職を決めた。
 会社は辞めても仕事は続けたいと派遣会社に登録。午後5時までという条件付きでもすぐに声がかかった。時給は1600円程度。月収で40万円近くあった正社員時代に比べ大きく下がったが「パートよりはずっといいし、勤務時間を考えればむしろ満足」と感じている。
 派遣大手スタッフサービスでは、今川さんのような勤務制限付きの派遣社員を「コアタイム人材」と呼んでいる。午前10時から午後3時の仕事の集中時間(コアタイム)は働けるという意味合いだ。同社では月労働時間が80時間以上100時間未満のコアタイム人材は、4月末時点で2年前の6倍という。「派遣先企業は勤務制限のある人を受け入れないと、即戦力を採用できなくなっている」。急増の背景を、スタッフサービスの営業担当者はそう明かす。
 10万人の派遣社員を抱えるテンプスタッフでも、短時間や週5日未満勤務を希望する新規の派遣登録者(首都圏)が11年度から5年間で2.8倍と急増。担当者は「子育て中でも経験を生かして働きたい女性が増えている。今後は介護を理由に男性でも増えるのでは」とみる。
 派遣求人サイト運営のエン・ジャパンによると、週3日勤務の求人案件は15年1月で前年同月比約1.6倍、1日5時間以内だと約1.5倍に増えている。同社は時短求人を集めたサイト「女の求人マート」を昨年立ち上げた。「人材難の結果、派遣各社は時短案件に力を入れている」という。
 2002年に設立した新興のビースタイルは、創業時から主婦人材に特化した「パートタイム型派遣サービス」を展開してきた。当初は「フルタイム人材に勝てるわけがない」と業界内ではささやかれた。しかし企業が「優秀なら短時間でも来てほしい」となった今、同社は「短時間勤務でもレベルの高い主婦人材のデータベースがある」(担当者)と競争力をつけている。
 短時間勤務の派遣スタッフでは、派遣先が望む時間帯に対応しきれない「穴」があきがちだ。そこで同社は派遣先の会社の業務パターンを分析。シフト勤務にしたり繁忙期には複数人を派遣したりと、派遣先に対応策を提案しているという。
 時短派遣の増加は、派遣市場も変容させている。女性が主の事務系派遣社員といえば「リーマン・ショック前までは(派遣先企業から)『若い子にしてよ』といった声はざらだった」(派遣大手の営業担当者)。しかし労働市場から20代は減り続け、一方で時短派遣拡大もあって子育て世代が増加。日本人材派遣協会の調査によると派遣社員の平均年齢は14年時点で38.1歳と、ここ数年で急速に高くなった。事務系派遣には“35歳限界説”があったが、すっかり様変わりした。
〔中略〕
 時短派遣が増える背景には、単純な人手不足とは別の一面もある。求職者1人に対し何件の求人があるかを示す有効求人倍率は、4月時点で前月比0.04ポイント上昇の1.34倍。1991年11月以来、24年5カ月ぶりの高水準だった。しかし個人消費は落ち込んだままで、求人増とは裏腹に景気回復が実感されていないのが実情だ。
 「派遣先の企業は不景気を見越して、人件費をできるだけ変動費化させたがっている」。
エン・ジャパン派遣支援事業部の担当者は、時短派遣が増える背景をこう指摘する。派遣社員の年齢や制約条件の緩和が進んではいるが、派遣社員は雇用調整の対象になりやすい。再び景気が落ち込めば契約を切られてしまう可能性のある、不安定な雇用に変わりはない。
 日本総研チーフエコノミストの山田久氏は人手不足により「派遣社員に働き方の選択肢が増えている面はあるが、正社員の働き方を見直す前に、安価な労働力として企業が派遣に頼っているのも事実」と指摘する。しかし働き方の多様化が正社員にも及ぶのは時間の問題だ。少子高齢化により、年功序列や終身雇用といった雇用慣習は崩れ始めている。正社員とはいえ、従来の滅私奉公的な働き方を強いるには限界がある。
 山田氏は、加速する働き方の多様化と雇用の流動化に対し、派遣社員に限らず「個人のスキルやキャリアが雇用の保障となる時代がくる。欧州の職業大学や職能資格のような、職場が変わってもキャリア形成を支援する社会の仕組みが求められる」と、政策的なセーフティーネットの必要性を訴えている。(滝川麻衣子)”

生産性の低い長時間労働を改めない劣等企業は、
この記事からも分かるように残業時間制限などで行動を改める訳がない。

今の人不足も、低賃金の働き方ばかり求める歪んだ労働市場を形成させ、
力強く経済を支え消費を増やす原動力にはなり得ないのだ。
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