みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

「官邸批判を書いたら尾行され、無言電話がきた」- 大手メディアは皆、菅官房長官の「圧力」を知っている

2015-03-31 | いとすぎの見るこの社会-コミュニティ関連
安倍内閣が「戦争」に向かっているとの説は勿論のこと嘘だが、
メディアが「戦時中」と極めてよく似た状況であるのは確かだ。

テレ朝の「古賀茂明発言」でメディア界が特に大騒ぎしているのは、
古賀氏の向こう見ずな行動が、日本のメディア界の構造問題に命中したからだ。
最も痛いところに爆弾発言の直撃を受けて混乱の極み、周章狼狽しているのだ。

日本の凡庸な保守が権力を握るとまずメディアを「支配」しようとする。
国益を騙って大きく国策を誤りながら、真の敵に向かうのではなく
言説における国内の「敵」を必死に攻撃するのである。
(日本の「真の敵」とは、そうした連中自身だったことは史実が証明している)

単に目先しか見えていない連中が権力を握ることは
このように深刻な害悪を日本に与えるものであるが、
同時にそうした状況を生み出された原因は国民の側にもある。
政治側からの情報操作とメディアの嘘を見抜く者が少ないからだ。

「御用新聞や御用テレビが事実上買収されているというのは、
 様々な状況証拠から考えて恐らく正しいだろう。
 報道内容を見ていればすぐ分かる」

「官邸と自民の「接待攻勢」は当初、最初は政策をPRして貰う意図だったと推測するが、
 カネで相手を支配してゆく中で段々勘違いしてきて、毒が自分に回ってくる」

と予言してきた当ウェブログの主張通りになってきている。
日本は財政だけでなくメディアも太平洋戦争時の状況と似てきたのである。

『少年H』の時代と同じく、転換点は必ずやってくる。
安倍政権に尻尾を振っていたメディアはいきなり掌を返し、
安倍政権の失政に全ての原因があるような殲滅的な報道を行うだろう。
(実際、その通りなのではあるから仕方がないのだが)

▽ 太平洋戦争で日本を破滅に突き落とした「国賊」は、まず国内メディアを攻撃し統制した

『太平洋戦争と新聞』(前坂俊之,講談社)


また、これも矢張り当ウェブログで触れたように
先見性のない有権者が自民党ごときに大量票をくれてやったのが
そもそもの元凶である。およそ80年前に酷似している忌まわしい現象だ。
(日本を泥沼に突き落とした満州事変の際に、歓呼の声をあげて関東軍を支持したのは当時の国民だった)

「アベノミクスの「次元の低さ」が発覚した安倍政権は
 しくじりがバレて今度の選挙に勝つ自信に乏しいらしく、
 マスメディアに姑息な圧力をかけてきた」

「追い込まれて「今でないと不利になる」党利党略解散で
 しかもメディアへの圧力で少しでも有利になろうという政党に対し、
 選挙で鉄槌を下すのが良識ある有権者というものである」

「しかし、直近の世論調査によれば、安倍政権に不満があり
 アベノミクスによる恩恵を受けられていない者が圧倒的多数であるにも関わらず、
 安倍内閣に警告を与える意思のある有権者は過半数に達していない」

「そうした数値を見て、「ああ、日本国民は変わっていない」と実感する。
 ただの雰囲気に流されて大挙して民主党に投票し、
 民主党アマチュア内閣を生み出したのがこうした大衆である」

「彼らは安倍内閣と自民党に有権者が侮られており、
 今回の衆院選で過半数の議席が得られたら
 アベノミクスで既に失敗している落第生に
 あと数年のフリーハンドを渡すことが分かっていないのだ」

「「自民党は没落への長い下り坂を転がり落ち始めた」との見方を維持する。
 衆院選に勝っても負けても同じである。
 有権者の鉄槌を受けて敗北した方がまだましかもしれない」

「放送法に違反しているのは、安倍政権である。
 何しろ、「自分が出るのは問題なく、批判されるのは不公平だ」と考えているのだから」

「自民党が「公平」を語れると認識していること事態が根本的な誤りだ。
 支持率が落ちたら、メディアのせいだと考えるような連中だから、
 メディアに圧力をかけて選挙を有利にしようと考えるのも不思議でない」

ここ暫く、自民党政権からメディアへの不満が余り漏れてこないのは、
大手メディアの「調教」にかなり成功して思い通りの報道をさせているからである。

 ↓ 参考

安倍内閣は明白な放送法違反、御用メディアを利用して一方的に露出 - 自民党に「公平」を語る資格なし
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/

また始まった自民党の実質的なメディア「買収」- 国民の税金を使いテレビ・新聞関係者を豪華接待
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/c6ea38e668d685302ed8d3694b022c75

「日本人は勉強しろ」「(支持率低下は)報道のせい」- 尊大・独善・民意無視の「自民病」は永遠に不滅
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/961a4da25984afbecb414bc15d340599

▽ 保守派が長期に政権を維持すると、独善的な凡人・愚かな大衆・利己的な特権階級が跋扈する

『なぜ、アメリカ経済は崩壊に向かうのか―信用バブルという怪物』(チャールズ・モリス,日本経済新聞出版社)


なぜ元経産官僚の古賀さんは「報ステ」降板に腹をたてたのか(Business Media 誠)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150331-00000022-zdn_mkt-ind
”報道ステーションの放映中に元経済産業省の官僚の古賀茂明さんがコメンテーター降板をめぐって古館伊知郎さんにかみついたことが話題になっている。
 冒頭でいきなり、「テレビ朝日の早河(洋)会長と古館プロジェクトの会長のご意向で、今日が最後になりました」と切り出した古賀さんは、それはちょっと話が違うんじゃないのと諌(いさ)める古館さんに、会話を録音していたことを告げ、暗にテレ朝上層部が官邸からの「圧力」に屈したことを匂わせた。ダメ押しに最後は「I am not ABE」という紙まで広げていた。
 一般人の感覚では、テレビ番組を降板させられるというのは単に「話が面白くないからでしょ」とか「数字がとれないからでしょ」なんて考える。だが、古賀さんによるとどうもそうではないらしい。それが事実かどうかはこれからジャーナリストのみなさんにしっかりと検証していただくとして、個人的には古賀さんがあのような発言をするのはごくごく自然なことだと思っている。
 このコラムでも何度かお話をしてきたが、高級官僚はマスコミというものをかなり“下”に見ている。古賀さんと同じく「脱藩官僚」の高橋洋一さんが『さらば、財務省』(講談社)で書いているように、高級官僚から見みると、マスコミ記者というのは、何も知識がなく、官僚側が出すペーパー(情報)をくれくれとなんの疑いもなく食っている「ヤギ」のような存在なのだ。
 私自身も新聞記者になった時、身内の官僚からまったく同じことを言われたことがある。ヤギをうまく飼いならし、自分たちの政策に合う記事を書かせることが官僚の仕事なのだ、と。
 そんな風に飼いならしていた連中から、ある日突然切り捨てられる。飼い犬どころか家畜に手を噛まれたわけだ。古賀さんにとって、胸をかきむしりたいほどの屈辱だったということは容易に想像できる。自分を袖にするということは、他の「飼い主」に乗り換えようってことかというのは当然思う。ご存じのように古賀さんといえば反原発、反安倍の急先鋒。となれば、自分を裏切って霞ヶ関や官邸側に寝返りやがったなという疑心暗鬼になるのもよく分かる。

●情報源と親密になる取材スタイル
 その一方で、もしも古賀さんが主張されるように「官邸からの圧力」に屈して古賀さんをサクっと切ったのが真相だとしても、たいして珍しくもないというか、さして驚くような話でもないと思っている。
 これはマスコミ批判でもなんでもない。この産業のビジネスモデルというのが「権力」にすり寄らなくては成り立たない構造的な欠陥があるということを申し上げたいのだ。
 みなさんもご存じのように、政府や官庁を取材するマスコミは「記者クラブ」というものに属する。ここに所属をすると、分け隔てなく情報が配分されるのだが当然それだけでは各社の差別化はできない。クラブ発表だけを記事にしていたら単なる「官報」だからだ。
 そこでどうするかというと、記者たちはクラブ外で高級官僚やら政治家という「権力」側の人間を取っ捕まえて、独自の情報をリークしてもらう。それを加工して発信したものが、特ダネやらスクープというもので各報道機関の売りになっているわけだ。つまり、いかに権力に肉薄するかというのが勝負の分かれ目なのだ。

 もちろん、海外の報道機関でも多かれ少なかれそういう部分はある。だが、ここまで権力とズブ……いや、親密になる取材スタイルはなかなかない。それを象徴するのが、人事制度だ。最近は少し変わってきてはいるが、日本のマスコミというのは採用をされると、地方赴任をする。そこで警察、県庁、地方政治をフォローして、中央へというのがオーソドックスなキャリアパスなのだが、冷静に考えてみるとジャーナリストの育成という点で、これほど非効率な方法はない。

●なぜゼネラリストを育成するのか
 2年や3年で担当がコロコロ変われば、専門知識は蓄積されない。その分野を俯瞰(ふかん)するほどの視野も広がらないし、なによりも取材に不可欠な人脈も広がらない。そろそろ、この分野も慣れてきたなというタイミングで配属換えがあるのだ。そんなもんサラリーマンだから当然じゃないかと思うかもしれないが、海外のジャーナリストの目にはかなり異様に映る
〔中略〕
 なぜスペシャリストではなく、ゼネラリストを育成するのか。
 私が入った新聞社では「同じ部署にいると権力と癒着するから」「地方の実態を見て中央での経験をいかす」なんて説明を受けたが、実はこういう建前でまったく同じように全国を転々とする人々がいる。もうお分かりだろう、高級官僚である。
 彼らが言うようにマスコミが従順なヤギだとすれば、飼い主に尻尾を振ってついていくのは当然だ。実際にそうなっている。某新聞の社長と知事やら政治家が若いころにどこそこの支局で一緒だったとか、政治部長とどこそこの事務次官がペーペーのころからの付き合いだ、みたいな話はこの業界ではよく聞く。
 高級官僚と足並みをそろえるために、非効率な配属換えをつくったとするといろいろなモヤモヤがすべて説明できる。なぜ日本ではマスコミをやめて政治家になる人間が多いのか。国民が本当に知りたいことが、テレビや新聞ではあまり報じられていないのか。そして、なぜ古賀さんが自身の降板を「官邸の圧力」に結びつけたのか――。
 先ほども申し上げてきたように、この問題はマスコミで働いている人たちの個人的な資質がどうのこうのとか、「朝日新聞は反日だ」とかいう問題ではなく、マスコミという業界のシステムエラーだと思っている。
 先日、国境なき記者団が発表する「世界報道自由度ランキング」で、2015年に日本が順位を61位まで下げたことが大きく報じられた。大統領の悪口を書いた産経新聞の記者が起訴されたことで、韓国はとんでもない国だ、報道の自由がないだなんだと言われているが、その韓国も60位だ。この驚くほどの自由度の低さの背景にあるのは、マスコミが権力から本当の意味で「自由」になっていないからだというのは明らかだ。

●日本式経営が限界に達しているのはマスコミ
 では「自由」になるためにはどうするか。個人的にはマスコミ自身も「権力」になるしかないと思っている。といっても、ナベツネさんみたいなことを言っているのではない。高級官僚も一目置かざるをえない「スペシャリスト」になればいいのだ。
 日本のマスコミ記者はゼネラリストがゆえ、情報のサプライヤーである高級官僚にすり寄ってヤギになるしかない。専門知識をもったスペシャリストになれば、今のように必要以上に権力にすり寄る必要もなくなってくるのだ。
 簡単に言うけれど、具体的にはどうすりゃいいのさと思うかもしれないが、実は非常にシンプルな方法で解決できる。
 まず、記者はすべて専門分野を明確にして採用をする。そして、全国紙を廃止にするのだ。朝日新聞なんかもすべて都道府県ごとに分社化して、記者も営業も地域で採用して独立採算制にするのだ。
〔中略〕
 本来、記者は技術職だ。技術にコミットするのではなく、権力にコミットする今のやり方を変えない限り、いつまでたっても報道自由度は上がらない。
 マスコミは日本の家電産業などが苦境に立たされているとして、企業のあり方をこうしたほうがいいとか、ここが足りんとか立派な提言をしている。なぜその厳しい分析眼を我が身に向けないのか。マジで不思議でしょうがない。 [窪田順生,Business Media 誠]”

この件に関しては、元メディア界の論者の見解が興味深い。
窪田氏は長期政権化することでメディアと政権が癒着し、
報道が歪められてゆく構造を明らかにしている。

朝日新聞があのようなおかしな時期に慰安婦報道で謝罪したのは
国民に対して誠実に報道したためでは全くなく、
安倍政権に媚を売るためであったとすれば全てが説明できる。

当ウェブログは、国民に相応の水準であるメディアは
そう簡単に変わらないと考えているが、記事としては非常に良質だ。
安倍政権に媚びるみっともないメディア人は顔面蒼白だろう。


メディアも、自動車会社も・・・権力者の意向を「忖度」する人間が出世していくという怖さ(現代ビジネス)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150331-00042690-gendaibiz-bus_all
”元経済産業省官僚の古賀茂明氏のテレビ朝日「報道ステーション」の降板(古館キャスターは降板ではないと言っている)や、NHK「ニュースウォッチ9」の大越健介キャスターの交代がネットなどのニュースで話題になっている。
〔中略〕
権力者の意向を忖度する
 筆者は23年間、報道に携わる仕事をしてきたが、権力者から圧力があったのか否かを証明することは容易ではないと思う。しかし、今回の場合は、長年記者をやってきた者の「直感」として、権力側から何らかの「圧力」が影響しての降板や交代であると思う。
 一般読者の方は、「圧力」と聞けば、たとえば官邸サイドから「あのコメントやニュースの報じ方はけしからん」といったような直接的なプレッシャーがあったのではないかと想像するだろうが、20年以上、報道の現場にいて、現場に見える形であるいは聞こえる形で露骨に「圧力」がかかってくることはほとんどない。多くの場合、それは「忖度(そんたく)する」ことから生まれている。「忖度」とは、人の気持ちを推しはかることである。
 朝日新聞勤務時代、筆者の場合は、スポンサー企業を批判したくてもできない時に文句を言うと、「大人になれよ」という表現でよくかわされた。他の記者がそう言われているのもよく見た。この「大人になれよ」も「忖度しろ」という意味に近い。
 その「忖度」することが、問題である。今回のケースは、官邸の意向を「忖度」した結果、起こったことだと思う。取材を通じて得た情報や、それを通じて醸成された意見を活字や映像で表現するのではなく、権力者の意向を忖度しながら発信されるものは、本来のニュースではない。
 ニュースとは、読者の知る権利に応えるためのものであり、今社会で何が起きているのか、権力はどこに向かっているのかを、たとえ権力者に都合が悪いような話でも率直に伝えるべきものである。一般論として社会は「右傾化」し、中国や韓国を叩くニュースが「売れる」と言われる。こうした「世論」に配慮してニュースを作ることも「忖度」することに含まれる。

メディアの自主規制
 今回のケースに限って言えば、安倍晋三首相が「安保政策」「戦後70年談話」「原発再稼働」など自分がリーダーシップをもって進める政策がどのように報じられるか非常に気にしていていることを、メディアが察知して、政権が求める、あるいは気に入る報じ方をしようと、メディア自身が自主規制的に動いているのではないか。
 首相の周辺にいる人々が、メディアが自主規制に動くような画策をしていることも否定できない。
 また、長期政権が想定される以上、政権に気に入られた方が経済的にも利点があるとメディアの経営者は思っているに違いない
。オリンピック関連事業などは政治とは切っても切り離せないので、政権とは仲良くしておいた方が得策と考えているのであろう。
 そして、筆者が最も問題だと思うのは、メディアの経営に影響を与える番組審議会などの第三者機関的な組織に、政権に近い出版社や鉄道会社のトップといった現代版「政商」のような人物が入り込んだり、影響を与えたりして、メディアの方向性を制御していることも少なからず影響していると思う。
 たとえば、一例を挙げると、筆者は朝日新聞OBなので多少知り得る立場にあるが、「池上彰氏のコラム掲載拒否問題」など一連の朝日新聞の大問題は、木村伊量前社長が、健全な保守新聞を目指すことを密かに掲げて、政権に近い出版社社長に安倍政権との仲介を依頼、その際に「手打ちの条件」として、「過去の従軍慰安婦報道の検証をすることを政権側から迫られ、それを拙速に行った結果、あのような問題に発展した」(朝日幹部)そうだ。
 朝日新聞のリスク管理を担っていた会社も、自民党の広報戦略を担っていた広告代理店の幹部が独立して作った会社でもあった。
 今の官邸のように情報操作に長けた政権は、直接圧力をかけて「証拠」が残るようなことはせずに、メディア側にそうした権力者の意向が伝わるしかけを、官邸サイドでしているのである。そこに、現代版「政商」がかかわっている構図だ。
 筆者は昨年秋、尾行された。それは朝日新聞に関する官邸批判を雑誌に書いた直後だった。
その雑誌は書店にはほとんど置かれておらず、会員制で部数も少ない。電車に乗ると、背広姿の男が私の横にぴたりと付き添い、そのマイナー雑誌で私が書いたページを開いたまま、私が降りるまでずっと立っていた。
 筆者は公安関係者による尾行だと思っているが、相手に身分の開示を求めたわけではないので、それが「尾行」だという証拠はない。しかし、記者のような商売をしていたら、付けられていることくらい分かる。その後、自宅に無言電話がかかってきたり、私の家族構成などを調べるような訪問者も自宅に来たりした。さらに、詳細は書かないが、実家にまで意味不明の気持ち悪いハガキが届いた
〔中略〕
 でもそれが官邸の意向かどうかなんて証拠もないし、筆者のような雑魚記者に官邸が注目するほど暇ではないだろう。おそらく、官邸の意向を「忖度」した暇な公安関係者がやったことではないか

内向き文化は世界のトレンドを見失う
 権力者を「忖度」する風潮は日本で強まっているが、これは何も政治権力に関しての話だけではない。筆者はふだん、自動車産業などの企業取材をよくしているが、企業においても社内で経営トップの意向を「忖度」する人が出世して地位が高くなる傾向にある。
 何が正しいか、何をやるべきかと是々非々で議論するのではなく、トップの意向を過度に「忖度」する風潮が蔓延し始めている

 たとえば、トヨタ自動車では、豊田家の意向を忖度できる否かが出世を左右する傾向にある。エアコン大手のダイキン工業でも、長年社長・会長を務めた実力者の井上礼之氏の意向を最も忖度できる秘書が、いきなり後継の社長に抜擢された
〔中略〕
 豊田家や井上氏が直接指示しているわけではないのに、その意向に沿うことを社内が競って考えるようになり、内向き志向になる。しかし、トヨタ、ダイキンともに業績が抜群によいので、こうした風潮は問題提起すらされず、むしろ好業績を出していることだけが褒め称えられる。
〔中略〕
 こうしたことを続けていればいずれ将来に禍根を残すだろう。
 企業に関していえば、今年の春闘でも、各社がベースアップ(ベア)を大盤振る舞いしたが、これは、過去の業績や今後の励みなどを考慮して真摯な労使交渉の結果、経営者が労組に「回答」したのではなく、賃上げを強く求める政権の意向を「忖度」したものであり、「政権への回答」と筆者には映った
 企業体力を超えるか、あるいは将来に禍根を残すような回答もあるように見えた。モノ言う経営者で知られる軽自動車大手、スズキの鈴木修会長は、こうした「官製春闘」に苦言を呈し、「こんなことを毎年続けていたら自滅の道を行くことになる」と語った。
 これまで述べてきた「忖度文化」の課題は、世間に阿(おもね)ることにつながる。阿るとは、世間に気に入ることを言ったり、したりすることで、媚びへつらうことだ。そして、こうした風潮は「内向き文化」を醸成し、世界のトレンドを見失うことにもつながりかねない。
井上久男”

更に素晴らしいのは元朝日の井上久男氏のこの分析だ。
特に、以下の指摘は重要である。
「メディアの経営に影響を与える番組審議会などの第三者機関的な組織に、
 政権に近い出版社や鉄道会社のトップといった現代版「政商」のような人物が入り込んだり、
 影響を与えたりして、メディアの方向性を制御している」

事情を知っている者なら、これが誰を指すがすぐに分かると言うものである。

当ウェブログは政権にシッポを振る大手を「御用メディア」と呼称してきたが、
完全に正しい表現だったと判断している。


事実無根じゃない! 菅官房長官が古賀茂明を攻撃していた「オフレコメモ」を入手(LITERA)
http://news.livedoor.com/article/detail/9952324/
”『報道ステーション』(テレビ朝日系)で爆弾発言を行った古賀茂明氏へのバッシングが止まらない。ネットでは、古賀氏に対して「捏造だ」「被害妄想だ」「陰謀論を平気で事実のようにしゃべっている」という声があふれ、そして、30日には、菅義偉官房長官が記者会見で、古賀発言を完全否定した。「テレビ朝日の『報道ステーション』のコメンテーター」が、生放送中に菅官房長官の名を挙げて「バッシングを受けた」と語ったことを、「まったくの事実無根」「事実に反するコメントだ。公共の電波を使った行為であり、極めて不適切だ」と批判したのである。
 よくもまあ、こんな白々しい嘘がつけるものである。そもそも、菅官房長官は、この会見で「放送法という法律があるので、まずテレビ局がどう対応されるかを見守りたい」と発言。テレビ朝日に対して、あからさまな圧力をかけていたではないか。
 これだけでも、菅官房長官が日常的にメディアに圧力をかけていることの傍証となるものだが、本サイトはもっと決定的な証拠を入手した。
 古賀茂明氏が『報道ステーション』で「I am not ABE」発言をした少し後の2月某日、菅は会見の後のオフレコ懇談ではっきりと、古賀バッシングを口にしているのだ。その「オフレコメモ」を入手したので、ここに紹介しよう。
 メモはまず、官房長官会見でのこんなやりとりが書かれている。

(会見)

Q イスラム国の事件を受けて、今月初めごろにフリージャーナリストや作家がマスコミの間で政権批判を自粛するような雰囲気が広がっていると指摘するような声明が出た。マスコミも政権批判をすれば取材がしにくくなるという懸念があって、これをもって政府から暗黙の圧力という指摘もあるが。
A まず、政府としては、もとより憲法が保障する報道、表現の自由は最大限尊重されると考えている。
〔中略〕
 つい先日、この運動をやっているかたが、テレビに出て発言をしていましたけれども、ISILへの対応について、政府を批判してましたけれども、あたかも政府が人命に本当に危険迫るようなことをしたと、あたかも見てきたような、全く事実と異なることを、テレビ局で堂々と延々と発言していました。そういうことを見ても日本はまさに自由がしっかりと保障されているのではないでしょうか。はき違えというのもあるかだろうと思います。

 公式会見でも十分、マスコミ報道を皮肉るものだが、その後に、オフレコ制限がついた部分のメモがこう続いている。

(オフレコ)

Q 会見で出た、ISILの件でまったく事実と違うことを延々としゃべっていたコメンテーターというのはTBSなんでしょうか。
A いやいや、いや、違う。
〔中略〕
Q 古賀茂明さんですか?
A いや、誰とは言わないけどね。(※肯定の反応)ひどかったよね、本人はあたかもその地に行ったかのようなことを言って、事実と全然違うことを延々としゃべってる。放送法から見て大丈夫なのかと思った。放送法がある以上、事実に反する放送をしちゃいけない。本当に頭にきた。俺なら放送法に違反してるって言ってやるところだけど。

 どうだろう。これは古賀氏が『報ステ』発言の動機として説明したことと完全に合致する。古賀氏は『IWJチャンネル』でこう語っていた。
 「官房長官は名前は出さないけど明らかに私を攻撃してくる。『俺だったら放送法違反だと言ってやったのに』と言ってるという話も聞いている。官房長官という政府の要人が、放送免許取り消しもあるよという脅しですよ」
 ようするに、嘘をついていたのは古賀氏でなく、菅官房長のほうなのだ。
明らかに、「放送法違反」という言葉で古賀氏と『報道ステーション』を攻撃しなから、平気で「事実無根」などと強弁する。
〔中略〕
 しかし、信じられないのが、マスコミの対応だ。彼らはこのオフレコ懇談の席に同席し、誰よりも菅官房長官が嘘をついていることを知りながら、なんの追及もせずに、「事実無根」発言を垂れ流していたのである。
 もっとひどいのが、当事者である『報道ステーション』だ。菅官房長官の会見やその後のオフレコ懇談には、当然、テレビ朝日の担当記者も出席しており、同様のメモが報道局全体で共有されていた。
 ところが、昨晩の『報道ステーション』では、そういう報道は一切なかった。
菅の圧力を否定する会見をコメントなしで流し、古舘伊知郎が「古賀さんがニュースと関係のない部分でコメントをしたことに関しては、残念だと思っております。テレビ朝日と致しましてはそういった事態を防げなかった、この一点におきましても、テレビをご覧の皆様方に重ねておわびをしなければいけないと考えております」と謝罪したのだ。
 しかも、30日の会見VTRからは、わざわざ菅がテレビ朝日に圧力をかけた傍証となる「放送法という法律があるので、まずテレビ局がどう対応されるかを見守りたい」をカットしていた。
 チーフプロデューサーの更迭で4月から番組そのものが大きく変わるといわれている『報道ステーション』。改編を前にすでに報道を捨てたということなのだろうか。(山水 勲)”

安倍政権が成立してから、大手メディアの報道は
週刊誌やネットメディアへの大敗が続いている。

所詮は彼らはサラリーマンである。
菅官房長官がメディアに強く圧力をかけているのは明白なのに、
保身のため誰も口を開こうとしない。みっともない限りだ。
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BIS「デフレと経済成長の関連は薄い」、リフレ派を完全否定-日本の労働人口1人当たり成長率は米の2倍

2015-03-30 | 株式・為替マーケット全般
日本経済でこれまで起きてきたことを数値に基づいて見れば、
「デフレ脱却」などという馬鹿馬鹿しい目標に全く意味がないことは明白だ。

CPIと経済成長率は殆ど関係がなく、
GDPに金融政策が中長期的な影響を与えたこともない。

何故ならGDPに決定的な影響を与えるのは人口・資本・イノベーションであり、
一時的な効果しかない金融政策もCPIも、所詮は脇役に過ぎないからだ。

最近BIS(国際決済銀行)が非常に興味深い調査結果を発表しており、
予想通りにリフレ派の視野狭窄とお粗末さを証明するものとなった。

我が国の労働者は、今世紀に入ってから人口1人当たりの成長率で
アメリカの2倍近い素晴らしく良好な数値を叩き出しており、
BISは日本経済の低迷は急速な高齢化と人口減少要因と指摘している。
(BISは我が国の豊かな高齢層への巨額バラ撒きを見落としているから、実態は更に悪い)
そればかりか、遠回しに安倍政権とリフレ派が
「根底にある原因と政策の効果」を理解していない
と示唆しているのだ。

麻生副総理はアベノミクスが「日本よりも海外で評価されている気がする」などと
ナイーブな珍言を発していたが、勿論のことリテラシーの低さによるものだ。
GDP成長率は、次元の低過ぎるアベノミクスが張り子の虎でしかないことを証明している。

……矢張り当ウェブログの懸念していたように
立花証券の石井久・元社長の警告通りの展開になってきた。

○市場活況はせいぜい1~3年
○10年後には予想もしないような円安へと進む
○中長期的には少子・高齢化が大きな問題
○一般の人が気づいた時には大きな損失が出ている
○政府が悪いのではなく、国民が愚かなだけ

当ウェブログも殆ど同じ見解である。
例えば馬鹿馬鹿しい幻想が強かった時期から、以下のように断言してきた。

「当ウェブログは昨年から「コラテラル・ダメージ」の到来を予言している。
 愚劣な財政拡張と高齢層バラまき温存のために日本財政が行き詰まり、
 我が国の高齢層に占有されている金融資産が急激に減価して
 昭和の貧しい日本に回帰するということである」

「有権者は財政危機への扉を自ら開いたと言わざるを得ない。
 安倍政権は「悪い円安」を招いた財政危機の初期事例として
 経済学の教科書に記載されることになるだろう」

「今金利が上がっていないから大丈夫と放言する馬鹿者は、
 バックミラーを睨んで運転する危険な運転者と同類である」

こうしたことは先見性のある人々が早くから指摘してきたことに過ぎないが、
目先しか見えない近視眼の人々には伝わらないものである。

▽ 加藤出氏の指摘通り、日本の労働人口1人当たりの成長率は先進国でも最高水準

『日銀、「出口」なし! 異次元緩和の次に来る危機』(加藤出,朝日新聞出版)


▽ ソロスは、マーケットが「エゴ破壊装置」であると語っている(愚かな政治家の長広舌など一撃で破壊される)

『ヘッジホッグ―アブない金融錬金術師たち』(日本経済新聞出版社)


前々から言ってきたように、そろそろ「危険領域」に入ってきた。

「日経のサイトに石井久・立花証券元社長へのインタビューが掲載されている。
 僭越ながら当ウェブログのこれまでの主張と極めてよく似ており、
 是非是非熟読されるようお薦めしたい」

「2015年以降に危機が生じると予想してきた
 当ウェブログの見通しと時期までもが一致している」

「折しもマーケットの怖さを何一つ知らず図に乗って喋る
 安倍首相と麻生副総理の軽過ぎる長広舌がメディアに流れている。
 賢者と愚者の対比がこれほど鮮やかになっている図式はなかろう。
 遠からず歴史の審判が下り、愚者は恥辱とともに表舞台から追放される」

「安倍内閣の命運はせいぜいあと2年で、その後には壊滅と破局が待っている」

「中身のないアベノミクスを囃して調子に乗って騒いでいる連中は、
 悉く恥辱とともに滅びることになる。因果応報である」

としてきた当ウェブログの警告は、経済成長率の低迷によって証明されつつある。

↓ 参考

麻生副総理は市場の怖さを全く理解していない、輸入インフレは不可避 - 市場を侮る者は市場で滅びる
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/edf565a9d37bc39c6f6192665c0f9e7e

物価目標2%達成で日銀に16兆円もの評価損、墓穴を掘った黒田日銀 - 無謀な金融緩和で自滅に向かう
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/3639b6e6b8e56ba54da94a6e2150ae6e

アベノミクスの帰結は1000兆円超の政府債務+金利上昇 - 財務省が財政危機を事実上認める試算発表
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/d7d54acd2408cc63f24a9d86b0d67753

▽ GSの元パートナーは、日本の高度成長は「急激な人口増加のおかげ」とはっきり言い切っている

『イギリス人アナリスト 日本の国宝を守る 雇用400万人、GDP8パーセント成長への提言』(デービッド・アトキンソン,講談社)


デフレと経済成長率、関連性薄い=BIS(reuters)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0MG0CJ20150320
国際決済銀行(BIS)は18日公表した調査報告書で、デフレと経済成長率の関連性は薄いとの見方を示した。経済成長率は、資産価格デフレとの関連性のほうが強いとしている。
 38の経済を1870年までさかのぼって調査した結果、デフレは全期間の約18%で発生したことが明らかになったが、経済成長率が大きく低下したのは1930年代初頭に米国で起こった大恐慌の時だけだったという。デフレが債務問題の悪化につながったという証拠はないとも指摘した
 多くの中銀は利下げを正当化するために、デフレが景気に深刻な打撃を与えるとの主張を展開しているが、こういった見解に疑問を投げかけた格好となった。
 報告書は、デフレが続いた日本経済について、人口の伸び悩みと急速な高齢化が経済成長の重しになったと分析。デフレと経済成長の関係を分析する際には、人口要因を考慮する必要があるとしている。
 報告書によると、日本の実質国内総生産(GDP)は人口1人当たりのベースでは、2000─13年の累計で10%成長。労働人口1人当たりでは累計20%の成長を記録したという。米国はそれぞれ約12%、約11%だった。
 報告書は、デフレに対応して政策を運営する場合は、根底にある原因と政策の効果を理解することが不可欠だとしている。
 BISは調査によって、不動産市場をはじめとする資産価格の崩壊の悪影響のほうが大きいことが判明したと指摘。
 BIS調査責任者のヒュン・シン氏は「特に不動産価格の下落は、物価のデフレよりもはるかに規模の大きい生産の減少に関連づけられている」と説明。
〔中略〕
 社債をはじめとする債券市場については、銀行ディーラーの市場からの撤退が流動性の問題を引き起こすなか、脆弱(ぜいじゃく)性の高まりを示す兆候があると警告。
 調査によると、ディーラーは資本をそれほど必要としない市場に一段と注目しており、米国といった主要市場でも、国債などでリスクを取ることに消極的になっているため、社債にも悪影響が及んでいる。”

視野の狭いリフレ派の自己洗脳に影響されていると時間の無駄にしかならない。
こちらの記事をよくよく読むべきである。成長率は嘘をつかない。

BISの言うように、物価上昇率よりも重要なのは人口問題であり、成長率の向上である。
安倍政権はどちらも完全に手抜きしている。(と言うより、改善させる能力に欠けている)


金融サイクルで判明! ジム・ロジャーズが語る「今から日本で起きる悲劇」(president.jp)
http://president.jp/articles/-/14427
”「安倍首相は日本を破綻させた人物として歴史に名を残す」とまで言い切るのは、著名投資家のジム・ロジャーズ氏。その根拠は繰り返される金融の「歴史」にある。
■2~4年以内にバブルが起こる
──アベノミクスをどのように評価していますか?
【ジム・ロジャーズ】安倍晋三首相は最後に放った矢が自分の背中に突き刺さって命取りとなり、日本を破綻させた人物として歴史に名を残すことになるでしょう。自国通貨の価値を下げるなんて、狂気の沙汰としか思えません。円はここ数年で45~50%も下落していますが、これは先進国の通貨の動きとしては異常です。このようなことが起きると国家は崩壊し、時には戦争に発展します。
 これまで英国、ドイツ、フランス、イタリア、アルゼンチン、エクアドル、ジンバブエなど多くの国がこの手法を試みましたが、成功例は皆無です。米国は2度も失敗しました。
 一度目はアメリカ独立革命のとき、大陸会議が「コンチネンタル」という紙幣を発行したのですが、暴落して紙屑同然になった。ところが、南北戦争で同じ過ちが繰り返されます。財政難に陥った南部連合は紙幣を大量に刷りますが、ひどいインフレが起きました。救済策として綿花で保障しようとしましたが、大戦に勝利した北軍兵に綿花を焼き払われてしまう。北軍も、やはり同じ失敗をしています。いわゆる「グリーンバック」という裏が緑色の紙幣を大量に発行しましたが、価値が大幅に下がってしまった。

──2014年10月31日、日銀の黒田東彦総裁は追加金融緩和策を決定しました。これを評価する声もありますが。
【ジム・ロジャーズ】短期的には株が上がりますから、投資家にとっては喜ばしいことです。私も日本株を持っていて、黒田総裁の発表直後にも買い足しました。底を打ったときと比べると、株価は倍になっています。今後3倍にまで上がるかもしれない。
 安倍政権がバブルを起こそうとしているかどうかはわかりませんが、このままお金を刷り続けるのなら、潜在的には2~4年以内にバブルが起こりうる。しかし、インフレは国のためにならないことは歴史が証明しています。「少しくらいは大丈夫」とインフレを容認した結果、どの国も失敗しています。制御不能なほど勢いづいたインフレを止めるのは非常に難しい。

■外国人、金融関係者、メディアが標的に
──インフレは社会にどのような影響をもたらしますか。
【ジム・ロジャーズ】政府はやがて年金をカットするなどの過酷な政策を実施せざるをえず、国民を苦しめることになります。歴史を紐解けば、インフレは生活費を上昇させ、真面目に働いて貯蓄に励む人たちの暮らしを破壊することは明らかです。
 そして、彼らの怒りが高まると、深刻な社会不安を招きます。
モラルが低下した人々は安易な解決策を求め、白馬に乗った女性が現れて「私があなたがたを救う。私に従ってください」と言ってくれるのを待つようになる。
 真っ先に非難の矛先が向かうのは外国人です。「体臭がきつい。食べ物まで臭い」などと言われ始め、それが戦争へとつながっていく。次のターゲットは銀行で、悪の権化のように言われます。聖書には、激高したイエスがテーブルをひっくり返して神殿から両替商を追い出す場面が出てきます。いつの時代も、生活が悪化すると金融関係者は嫌われる。メディアも敵視され、「ろくでなしの記者たちが煽るから問題が発生した」と言われ、これが検閲につながるのです。インフレで苦しめられた国民がこの3者を責めるという図式は、いつの世にも当てはまります。

──日本が崩壊するシナリオが現実になるのを防ぐには、なにをすべきでしょうか。
【ジム・ロジャーズ】増税ではなく、減税です。財政支出も大幅に削減しなければダメです。日本は先進国のなかでも突出して借金を多く抱えています。しかも少子高齢化で人口は減少している。このような状況ですべきことは少子化対策か移民の受け入れですが、日本はそれもやろうとしない。
〔中略〕
───簡単に国外へ脱出することのできない人々が実践できる自己防衛策はありますか。
【ジム・ロジャーズ】日本株と外貨を購入すべきです。私だったら米ドル、香港ドル、人民元を買います。そして海外に銀行口座を開設すること。個人も法人も、ある程度の資産を保険として海外で保有したほうがいい。
 若い人は絶対に中国語を勉強すべきです。日本に骨を埋めるつもりなら、農地を買ってトラクターを運転できるようにもなってください。これからは農業の担い手が不足するので、食糧を生産できる人の将来は安泰です。
〔中略〕
 中国語の勉強と同じで、ライバルが少ないうちに始めれば、15年後に農家として大成功したあなたのもとに「ここで働かせてください」と言ってくる人が現れますよ。
----------
Jim Rogers(ジム・ロジャーズ)
米国アラバマ州出身。イェール大学卒、オックスフォード大学ベリオールカレッジ修了。ジョージ・ソロスと投資会社クォンタム・ファンドを設立し、驚異的なリターンを上げる。37歳で引退し、世界を旅する。2007年、一家でシンガポールへ移住。著書に『中国の時代』『ストリート・スマート』がある。
----------
(原賀真紀子=取材・構成)”

ジム・ロジャーズの主張は一貫している。
農業については厳しい検証が必要であるし、
日本ではこれまで減税が全く効かなかった事実を知らないのは残念だが、
リフレ政策が自滅的なものでしかないこと、
不可避の破局の後、外国人や金融業、マスメディアに敵意が向けられることは間違いない。
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米GDP見通しが続々と下方修正に、アメリカは世界経済を牽引できない - 米耐久財指標が意想外の悪化

2015-03-29 | 注目投資対象・株価の推移
              ↑ USD/JPY(ZAI) レンジ圏に逆戻りか

そろそろ調整局面かと警戒する声が増えてきた。
外国人が買い始めて2ヵ月ほど過ぎ、頃合いではある。

逆指標としても東洋経済が派手な表紙の株式特集を組み、
当たらないことで定評のある大衆週刊誌が「東証2万円」を掲げ、
嫌が応にも不吉な予感が濃厚になりつつある。

当ウェブログが最も警戒しているのは
巨額の先物を買い込んで相場をリードしてきたスペックの動向だ。
先週末の激しい日経先物の動きは、機を見るに敏な彼らが
大きく売り崩すための仕掛けを始めている兆候とも見える。

「イエレンは「patient」を削除した(=利上げの接近を想起させるドル高材料)にも関わらず
 巧みなアナウンス効果により市場の利上げ観測を後退させ、
 ドル高を強く牽制することに成功したのである」

「日銀と違い、FRBを生み出したのは民間企業である。
 米企業が苦境に陥ってゆくのを平然と見物だけしている訳がない」

「イエレンに対抗してマリオがどのようなマジックを披露するのか、
 言わば米国経済とEU経済の代理戦争のような展開になってきた」

「東証の先物を大量に買い込んだ外国人は売り時を窺っており、
 小康状態も「嵐の前の静けさ」に過ぎないのだろう」

「「バフェット指標」は東証が既にバブルに突入したか、
 或いはかなり接近している状態であることを示唆しており
 今の東証の水準がまともだと思ってはならない」

と当ウェブログは先週書いた。
言う迄もなくドル高円安は東証の強力なエンジンである。
年頭のようにまた推進力を失い、片肺飛行に陥るのだろうか。

NY原油もまた急落しており、
資源国リスクや米ハイイールド債市場リスクも再び要警戒だ。
……予感通り今年は難しい相場になるのだろう。

「エコノミストからも企業に賃上げを求める声があるが、
 根本的な誤りであると考えざるを得ない」

「人口急増とともに内需が爆発的に伸びており、
 企業が必死で労働力を確保しようとした高度成長期とは違う。
 企業の「賃上げ」は口だけで、手元資金は成長する海外市場で使うに決まっている。
 或いはせいぜい株主還元強化である」

「GPIFの巨額買い支えも急ぎ過ぎて今年でほぼ弾切れの可能性があり、
 新規投入される三共済年金マネーもGPIFの4分の1弱の規模である。
 所詮は株価操作でしかなく、信用バブルと同様に持続的に市場を上昇させることはできない」

「GPIFの買い余力は5兆円強だから、
 三共済マネー3.5兆円との「連合軍」でも総計8.5兆円程度、
 2013年の外国人買い15兆円の半分強に過ぎない」

「官が株価操作している今の官製市場においては、
 見せかけの好況では成長率も1人当たりGDPも改善する訳がない」

「安倍政権の中には株価さえ上げておけば何とかなるとあさはかな了見を持つ者がいるのだろう。
 そうした近視眼の輩の愚行の報いで日本経済が危機に陥ることになる。
 歴史は真実を語っており、株価を操作しても実体経済を欺くことはできない」

「「東証がバブルに突入した」と判断した。
 カネ余りで急速にPERが上昇する現象は、2007年にも起きていた。
 業績に直結しないテーマで浮かれた上昇が続出していたのである。
 経験則では、こうした異常事態が起きると2年以内に景況が暗転する。
 2007年ばかりではなく、2000年もそうだった」

「アベノミクスの「三本の矢」は間違いなくインチキだが
 東証を支える株価操作の「三本の柱」は強固だ。
 この株価操作の報いで日本市場は遠からず塗炭の苦しみを味わうことになるだろう」

「米経済は矢張り減速感が強まってきており、楽観視できない。
 インデックスで東証にアウトパフォームされたのは
 日本経済が強い訳では全くない。米経済が想定外に弱いためだ」

「当ウェブログの懸念通り原油安でシェール産業が苦しくなり、
 アメリカの投資と雇用にも悪影響が生じつつある」

「結局ギリシャ問題は何とか峠を越えたものの、
 ウクライナ問題の余波とユーロ安誘導の困難で欧州経済の低迷は変わらないであろう。
 ユーロ円チャートはこの買い戻しも一時的なものに過ぎないと示唆している」

「今回の外国人買いはボリュームが乏しい。
 東証を大きく浮上させ得る確信を持った大口買いではなく、
 スペックの先物売り仕掛けも警戒すべきだろう」

「原油価格が再度急落し、例えばバレル40ドルを下回ると
 予想外のパニックが起きる可能性があることを警戒しておきたい」

「今の世界経済にはドル独歩高の負担は重過ぎる」

としてきた当ウェブログのスタンスは今週も維持する。

「大企業にとっては増益要因ではあるものの、
 一般国民にとっては輸入インフレ要因でしかないので成長率は殆ど改善しない」

円安の効果については以上の通りの見方である。
黒田日銀はそう思っていないようだが、冷厳な成長率の数字によって叩きのめされるだろう。

「RBA(豪中銀)が予想外の利下げを行い、
 資源国の苦境が改めて浮き彫りになっている。
 原油大幅安を受け、今後も資源国の景況下振れのリスクに注意が必要だ」

「外国人投資家からは「日銀緩和しか円安材料がない」との声が上がっており、
 当ウェブログが予想したように今年最大の材料は追加緩和ということになりそうだ。
 今年に限っては米利上げより大きなイベントになり得る」

「原油安にとって最も大きな打撃を受けるのがシェール業界である。
 アメリカ経済の回復に大きな貢献を果たしてきたシェール産業は、
 ハイイールド債市場で大きなプレゼンスを持っているため、
 シェールバブル崩壊の余波で米経済は更なる下振れも考えられる」

「ドルが停滞し、ユーロが量的緩和の圧力を受けるとなると、
 東証が続伸して上値を伸ばすのは非常に難しくなる」

「2015年は紛れもなく、我慢の年になりつつある」

としてきた当ウェブログの想定も依然として維持する。
直近では東証がダウをアウトパフォームしているが、
こうした期間は長続きしないと経験則は教えている。

「ECBもQEを実行することとなり、市場では効果が覿面に出ている。
 ロイター調査ではQEの効果に懐疑的な意見が多数を占め、
 ずるずると量的緩和策を続けざるを得ないとの見方が優勢である。
 (日銀についても間違いなく同様の結果となるだろう)」

「漸く日銀は、自らの掲げた物価目標が誤っていることを認める路線に軌道修正し始めている。
 物価目標は未達確実、成長率見通しも下方修正なのだから、
 黒田日銀のこれまでの政策そのものが間違っていた訳である」

「追加緩和を行っても日本経済が停滞から脱却する筈がない」

「失業率も雇用者数も市場予想を上回ったにも関わらず、ドルもダウも下落した。
 賃金下落のショックによるとも言われているが、それでだけでは説明できない。
 「買われ過ぎ」の水準にあると言わざるを得ないだろう」

「原油安が続くとの世銀の見通しも重要である。
 エネルギー投資は費用も労力もかかる。そう簡単にV字回復する状況にはない」

「更に悪いことに、投資家が皆ドルに対して強気であるため、
 その投機ポジションの重みでドル自体が沈んでしまいそうな需給になっている。
 たとえ見通しが正しくとも、市場には「多数派が間違う」という皮肉な真理がある」

「当ウェブログは、日本のGDPを20%近く切り下げて
 国民を大幅に貧しくした張本人である黒田日銀が
 今年前半に更なる追加緩和の愚行に走ると見ている」

「一部の層に収益機会を提供する点で「投資家の神」だが
 経済全体は成長せず「一般国民の疫病神」である黒い日銀は、
 マイナス成長を受けてもまだ目が覚めていない」

「最後には日本財政の救世主になるが、その代わりに経済危機の「A級戦犯」となる。
 概ねそのような結末しか残っていない。
 (因にジム・ロジャーズ氏は2016年から17年頃の危機を予想している)」

東証の「片肺飛行」でも官製マネーで内需関連は続伸した。
GPIFの買いは意想外に大きいことが明らかになり、「バブル」との判断は的中しつつある。

「焦点はエネルギー価格に景況が大きく左右されるロシアだ。
 ロシア経済のエネルギー依存体質は全く変わっていない。
 これほど急激かつ大幅に原油価格が下落すると、
 ロシア経済に甚大な打撃が与えられるのは間違いない」

「為替急落の後は実体経済の悪化が来るのが通例だ。
 原油急落は必ずしもOPEC減産見送り要因ばかりでなく、
 世界経済の減速による需要停滞観測も確実にあるものと言えよう。
 暗い影がかかっているのはロシア経済ばかりではない」

「経済悪化が鮮明になっているだけに
 特に内需関連の急反落を警戒しておかなければならない。
 (輸出関連は結局ドル円次第なので日本経済の好不況とはまた別である)」

「最悪の場合、鼠のレミングのように
 自滅的な集団行動へと向かっているとも考えられよう」

「当ウェブログは黒田総裁が異例の辞任に追い込まれると予想しているが、
 その見通しを補強する会合内容と言えよう。
 ここまで理のある反対意見を押し切って追加緩和を決断したからには、
 これから確実に生じる甚大な副作用の責は全て総裁に帰する以外にない」

「ここ数年、見たことのないような原油価格急落だった。
 OPECの減産見送りの背景には、OPEC内での多極化の進展だけでなく、
 サウジ等の大産出国がアメリカのシェールオイル採掘を牽制し、
 体力勝負に出た側面もあろう。
 それがもって回ってロシアを直撃しつつある状況、
 場合によってはロシア発の危機や地政学リスクの再燃もあり得る」

「今は恩恵が大きいように見える原油大幅安だが、
 デフレ脱却という愚かな宗教に感染した黒田日銀の追加緩和を招くだけでなく、
 コージェネをはじめとする省エネの努力を怠らせて電力利権を延命させる副作用もある。
 決して良い話ばかりではない」

と書いてきた当ウェブログのスタンスは今週も変わっていない。
ギリシャ問題を無事棚上げにできても欧州低迷は変わらず、
米経済減速も明確になってきている。

尚、昨年の追加緩和の時点では以下のように想定していた。

「追加緩和の決定は天災と同じような緊急速報で伝えられたが、
 日本国民に甚大な被害をもたらす点でも天災と似ている」

「黒田日銀総裁は市場の裏をかいて追加緩和を行った訳ではなく、
 異次元緩和の効果が出ていない失策を糊塗するために決断したようだ。
 これで任期途中の辞任の可能性が高まったと言える」

「勿論、「悪い円安」は確定である。
 1日で3%以上も円が急落することは、日本のGDPに換算すると
 ドル建てで15兆円以上も日本が貧しくなっていることになる」

「黒田バズーカ第2弾の害悪は、第1弾と比較にならないほど破滅的である。
 このように「発散」と呼ぶに相応しい急激な勢いで円が暴落している。
 120円に達する速度は予想できないほど速いと見ておいた方が良い」

「70年代や80年代の教訓から正しく学んでいれば、
 デフレ脱却で日本経済が好転するなどというカルト宗教の虚妄は明白である。
 資産価格バブルが健全な経済をもたらさないことも言う迄もない」

「実質的な円の切り下げは資産家を急速に豊かにし、
 ミドルクラスには資源・エネルギー・食料の悪性インフレをもたらす。
 アンダークラスにとっては最悪の状況で、エンゲル係数の高い家計が行き詰まる。
 軽犯罪が増え、日本の治安は悪化する可能性が高い」

「これから円安倒産が急増し「クロダ倒産」と呼ばれるようになり、
 愚劣な黒田バズーカ第2弾が、庶民の生活を破壊することが明らかになろう。
 昭和恐慌時の団琢磨と同様に、テロの標的とされる恐れすらある」

「投資家の稼ぎは日本が貧しくなった分の付け替えであり、特に為替は所得移転に過ぎない。
 人々の暮らしが苦しくなるのと引き換えに、一部の者に富が転がり込んだのである」

「2015年は安倍内閣が破滅の淵に叩き込まれるだけでなく、激動の修羅場となる。
 「円安=日本株高」という今世紀の常識がどこかで通用しなくなるだろう」

「当ウェブログは、これほど粗暴で破壊的な緩和策を全く予想していなかった。
 今迄の見方を全て転換し、「悪い円安」が急速に接近していると判断した。

「日本経済は危険な激動期に突入しつつある。
 マーケットのボラティリティが急激に拡大するなかで
 一部の者だけが豊かになり、足蹴にされた国民が憎しみの目で彼らを見る」

……当ウェブログが予想した事態は、より速く、より深刻な形で実現しつつある。

「ドル高円安が進行することで日本の輸入物価高・CPI上昇を招き、
 スペックの仕掛けによる自己実現的な円安トレンド定着の可能性も見えてきた。
 2013年前半にジョージ・ソロスが不吉な予言を行ったように、
 「円安が止まらなくなる可能性」を見ておくべきである」

「財務省の法人統計で衝撃的な数字が出た。
 米経済回復でドル高円安が進み輸出業に大きな恩恵が及んだにも関わらず、
 日本企業の自己資本比率は過去最高の水準となったのである。
 投資増の勢いは依然として弱く、人件費に至っては前年比で5%も減少している。
 自民党政権と経済界が結託して労働者の実質所得を減らしていると考えざるを得ない」

「このような内向きの日本企業を優遇したところで、
 日本経済が強く回復する筈がないのは火を見るよりも明らかである。

「成長率が低下しているにも関わらず政策に嘴を挟む大企業と癒着し、
 経営層や株主ばかりに恩恵を及ぼす自民党の旧態依然の体質が露見する。
 2014年に急落するのは間違いなく安倍政権の支持率である。
 2015年にはリフレ派への評価は地に墜ち、アベノミクスは嘲笑の対象となろう」

一方、余計な追加緩和によって「事実上のマネタイズ」との見方はほぼ的中した。

「目先の円安に幻惑され、日本の将来に不吉な影がかかっている」

「当ウェブログが予測していた「悪い円安」が、異様な速度で到来することになる。
 安倍・黒田コンビが市場を軽視したために、財政危機もほぼ確実に接近する。
 「剣によって立つ者は剣によって滅びる」との箴言と同じく、
 金融政策によって立つ者は金融政策によって滅びるのであろう」

「黒田総裁の「次元の違う」量的・質的緩和は、事実上のマネタイズである」

「日本の国債市場は再起不能になり、財政再建を果たす可能性はほぼ失われた」

「黒田バブルに便乗して億単位の稼ぎを得る者が続出するだろうが、
 今から警告しておく。決して調子に乗って騒いではならない。
 ツケを回された国民の強い怒りは決してそのような輩を許さないであろう」

「今年は苦難の始まりの年となるだろう」とした予言が、悲しいことに実現しかけている。
危険な「悪い円安」の時代は「もうすぐそこまで迫っている」のではなく、既に「迎えつつある」のだ。

↓ EUR/JPY(ZAI) ユーロに再び下落の予兆か


↓ GBP/JPY(ZAI) BOEはポンドを下げようとしている?



四月の波乱を予感させるような嫌な一週間だった。
ショートポジションを持っていれば特に問題ないわけだが、
いずれにせよ二月、三月のような簡単な相場には幕が下りつつあるようだ。


ドル続落、FRBの緩和策継続観測で=NY市場(reuters)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0MJ2D820150323
”23日のニューヨーク外為市場では、ドルが主要通貨に対して続落した。米連邦準備理事会(FRB)がしばらく緩和策を続けるとの見方で、ドルの買い持ちポジションが巻き戻された。
 ドルの主要6通貨に対するドル指数は直近1.07%安の96.860。ドル/円は終盤の取引で0.24%安の119.750円となっている。
〔中略〕
 ユーロ/ドルは続伸。欧州中銀(ECB)のドラギ総裁は欧州議会での証言で、ユーロ圏のインフレ率は今後数カ月きわめて低い水準ないしはマイナス圏にとどまる可能性があるものの、年末にかけては徐々に上昇していくだろうと述べた。
 アナリストによれば、市場はこれをECBが債券買い入れプログラムを早期に終わらせるかもしれないとのサインと受け止めた。ユーロ/ドルは終盤1.31%高の1.09650ドルで取引されている。
〔中略〕
 BKアセット・マネジメント(ニューヨーク)のマネジング・ディレクターのキャシー・リーン氏は「ドラギ総裁の楽観的コメントは、ユーロの買い戻しの動きを刺激した」と指摘した。
 またフォーリン・エクスチェンジ・アナリティクスのパートナーのデビッド・ギルモア氏は「市場はまだドルを買い持ちに、ユーロを売り持ちにしている。どんな調整でもポジションの巻き戻しが起こりやすい状況だ」との認識を示した。〔以下略〕”

先週前半はやや買い戻し優勢だったが、
あくまでも買い戻しなので問題は週後半の動きだった。
大きく動いた週央については以下参照。


ドル1カ月ぶり118円台に沈む、株安・米金利低下(reuters)
http://jp.reuters.com/article/forexNews/idJPL3N0WS2GJ20150326
”午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べてドル安/円高の118円後半だった。株安の流れの中、サウジアラビア主導でイエメンの反体制派に空爆開始と伝わって米金利が低下するのを眺めつつ、1カ月ぶりに118円台に沈んだ。
 ドルは仲値公示後にいったん119.27円まで下げたが、その後は、イエメン関連の報道には目立った反応を示さず、日経平均が300円を超えて下げ幅を拡大しても下げ渋った。
 「119.20円付近では実需筋と年金系のまとまったドル買い需要がある」(外資系金融機関)との指摘もあり、下値リスクが足元では限定的との見方が多かった。
 午後に入って米金利が弱含むと下げ足を速め、一時1カ月ぶり安値118.85円まで下落した。朝方からの株安で、これまで119円前半に多く観測されていた実需筋の買い需要が減ってきていたという。サポートとして意識されてきていた119.20円を下抜けたことで下げ足が速まった。
 118円半ばから後半にかけては、再び実需筋の買い注文が観測される一方、ドルを高値で買った投資家があきらめて売る水準でもあるとして、断続的にストップロスも観測されているという。
〔中略〕
 金融市場ではこの日の朝方、サウジ主導のイエメン軍事作戦の開始が伝わった。
 為替市場の反応は鈍かったが、その背景として「中東地域での地政学的リスクの問題の高まりは、原油の供給問題を通じて従来はリスクオフにつながりやすかったが、最近は原油の供給過剰という環境で、明確な影響が表れにくい」とプレビデンティア・ストラテジーの外為ストラテジスト、山本雅文氏は話している。
 一方、原油先物はバレル当たり51.98ドルまで上昇し、3月5日以来、3週間ぶり高値をつけた。原油先物上昇の原動力はファンド等の投機筋による買い戻しとみられており、供給減への懸念とは関係がないという。
〔中略〕
 駐米サウジアラビア大使は25日、サウジおよび湾岸諸国がイエメン暫定政府の要請に応じ、イスラム教シーア派系の武装組織「フーシ派」に対する空爆を開始したことを明らかにした。
 米ホワイトハウスによると、オバマ大統領は、サウジ主導の軍事作戦への物資・情報収集面の支援を承認している。
〔中略〕
 前日の海外市場では、予想外に弱い内容となった米耐久財新規受注を受け、ドルが119.23円付近まで弱含んだ。
 2月の耐久財新規受注は前月比1.4%減となり、市場予想の0.4%増に反して減少した。
 米アトランタ地区連銀は、耐久財新規受注の低下を受けて第1・四半期の国内総生産(GDP)の伸び率予想を、17日に発表した当初予想の0.3%(前期比年率)から0.2%に引き下げた。
 アトランタ地区連銀は、商務省経済分析局が使用しているものと同様の手法でGDPを試算する予測モデルを採用している。これにより算出した経済予想は多くのエコノミストの予想を下回っており、トレーダーらから最近注目されるようになっている。
 予想外に弱い内容となった2月の米耐久財新規受注統計を受け、民間金融機関も予想引下げに動いた。
 ゴールドマン・サックスは25日、第1・四半期の米GDP予想を2.0%増から1.8%増に引き下げた。
 米JPモルガンも25日、第1・四半期の米GDP予想を1.5%増とし、従来の2.0%増から下方修正した。
(為替マーケットチーム)”

先週、最も市場が荒れた木曜の市況。
イエメン空爆はペルシャ湾と違って大事にはなりにくそうだが
(とはいえ紅海ルートへの依存の高いインドでは市場が敏感に反応した)
問題は耐久消費財の下方修正だ。予想通りアメリカは世界経済を牽引できないと思われる。


ドル小幅安、FRB議長講演の影響は限定的=NY外為(asahi.com)
http://www.asahi.com/business/reuters/CRBKBN0MN2Q7.html‎‎‎
”27日終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが主要通貨バスケットに対し小幅安となった。3月の米雇用統計の発表を翌週に控え、ドルを積極的に買う動きは限られた。
 イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は同日の講演で、FRBとして金融緩和の解除開始を「真剣に検討」しており、年内の利上げが正当化され得るとの認識を示した。同時にコアインフレや賃金の伸びが下振れれば、据え置きを迫られる可能性もあるとした。
 ドルは当初、イエレン議長がハト派的な発言を行うとの思惑から売られていたが、利上げを検討していると強調した点がややタカ派と受け止められ、下げを一部縮小した。
 ただ利上げ時期は指標次第とするなど、議長の発言は18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明のメッセージを概ね再表明した内容だった
 オアンダ(トロント)のシニア通貨ストラテジスト、アルフォンソ・エスパーザ氏は議長の講演は「先週のFOMC声明のほぼ焼き直し」とし、「FRB当局者は指標待ちの状況」と指摘した。
 ユーロ/ドルは小幅高の1.08910ドル。
 ドル/円は小幅安の119.150円。
〔中略〕
 主要6通貨に対するICEフューチャーズUS(旧NY商品取引所)ドル指数は0.06低下の97.374。〔以下略〕”

イエレン発言は特にサプライズなく、
やや穏やかな金曜となったがどうも市況の雰囲気が怪しい。
雇用統計前に新たな動きが出る可能性も見ておきたい。

    ◇     ◇     ◇     ◇

注目銘柄、食品関連のロングポジションを縮小し警戒モードに。
PF組み入れ比率は ①東京建物、②ロックF、③サイゼリヤの順で、ショートの比率は2分の1以下。

 ↓ 食品関連(Yahoo.finance) 「食品バブル」に警戒信号点灯、2910以外は即時撤退の用意も



 サイゼリヤ(東証一部 7581) 2,014

 カルビー(東証一部 2229) 4,855 

 ロックF(東証一部 2910) 2,439

 ヱスビー(東証二部 2805) 4,570 → 5,100

 ハウスG(東証一部 2810) 2,520 → 2,524

 大戸屋HD(JASDAQ 2705) 1,942 → 2,011

 マツダ(東証一部 7261)  232 → 306 / 178 → 275 / 87 → 217 / 130
               298 → 314 / 332 → 425 / 380 → 522
                (以降、5→1の株式併合)
                2,497 → 2,772 / 2,266 → 2,989 / 2,989(ショート)

 森精機製作所(東証一部 6141) 1,335・1,122(ショート)→ 1,289 / 1,550(ショート)

 富士フィルムHD(東証一部 4901) 4,190 → 4,222

 東京建物(東証一部 8804) 298 → 312 / 277 → 413 / 541 → 615 / 857 → 923
              1,128 / 890 → 801(ショート)/ 945

 ケネディクス(東証一部 4321) 604 →

 ユナイテッドアローズ(東証一部 7606) 1,044 → 1,215 / 1,087 → 1,284
                     1,146 → 1,526 / 1,341 → 1,752
                     1,906 → 3,160 / 3,410 → 3,650
                     4,025 → 3,345 / 3,780(ショート) / 3,110(ショート)

 ユナイテッド(東証マザーズ 2497)   2,800 / 1,696

 サンフロンティア(東証一部 8934) 61,600 → 114,600 / 77,700 → 154,100 / 88,300 → 154,100 /
                   132,300 (比較のため分割前の換算)

 トーセイ(東証一部 8923) 25,170 → 59,300 / 83,600 → 102,100 / 67,200 → 79,100 /
              82,100 → 64,200 / 75,600 (比較のため分割前の換算)

食品バブルに警戒信号発生、大戸屋・ヱスビー・ハウスGはここまでとする。
ロックFを除きいつでも撤退できる用意を。富士フィルムもひとまず終了。

 ↓ 輸出関連(Yahoo.finance) 富士重工とマツダはショート方向だろう




「秋以降に物価上昇率が加速」 黒田日銀総裁(共同通信)
http://www.47news.jp/CN/201503/CN2015032801001278.html
”日銀の黒田東彦総裁は28日、TBSのBS番組に出演し、物価動向に関して「秋以降、上昇率が加速していくと思う」と述べ、2015年度末にかけて2%の物価上昇目標を達成できるとの認識をあらためて示した
 27日に発表された2月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は、原油安の影響を受け、消費税増税の影響を除くと前年同月から横ばいとなった。黒田氏は原油安の影響がなくなるまで「0%程度の低い上昇率にとどまる可能性がある」と説明した。
 黒田氏は、外国為替相場の円安の定着で輸出が持ち直しており「経済全体がうまく回り始めた」とも指摘した。

黒田日銀は完全にリフレ・ドグマに浸潤されて、
デフレ脱却という愚劣な目標が自滅的であることに全く気づいていない。
特定層だけを潤し、日本経済を破局へ追い込む追加緩和に追い込まれるより他に道はないのだ。


『日経会社情報』2015・春号 2015年 04月号


    ◇     ◇     ◇     ◇

  【 いとすぎの為替ポジション 】

ドルショート追加が奏功しているが、
ポンドショートの方が効率良さそうかも。両方の動きを注視したい。

 2015/02/09 134.91 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2015/03/20 119.97 USD/JPY Lev ×1.5 (ショート)

    現在 > 129.66 ユーロ/円(損益118%)← 今年の損益率
         177.05 ポンド/円
         119.10 米ドル/円

 ◎ 2014年の損益率(手数料等除外)> 128%
 ◎ 2013年の損益率(手数料等除外)> 164%
 ◎ 2012年の損益率(手数料等除外)> 142%
 ◎ 2011年の損益率(手数料等除外)> 138%
 ◎ 2010年の損益率(手数料等除外)> 147%
 ◎ 2008年秋~09年末の損益率(手数料等除外)> 353%

  ▼ ポジション解消済み
 2015/02/20 182.89 GBP/JPY Lev ×1.5
 2015/01/22 135.05 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2014/12/10 187.06 GBP/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2014/10/30 174.99 GBP/JPY Lev ×1.5
 2014/10/24 136.70 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2014/10/02 175.54 GBP/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2014/09/26 138.76 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2014/09/19 177.76 GBP/JPY Lev ×1.5 (ショート)

 …以下省略…

「ドル100円割れ」はなくなったと判断している。
120円に達する速度が異様に速く、「ドル150円時代」が接近している。
黒い日銀が円を切り下げ、格差が急激に拡大するステージに入った。

しかし今はリスク要因が多く、リスクオフを警戒すべき局面と見ている。
愚かな黒田日銀の追加緩和による「悪い円安」はひとまず速度減速の局面。

当ウェブログの予想通り、ドル上昇の「モメンタムは充分ではない」局面だった。
ドル・ユーロの双方ともで円安に急ブレーキがかかり、
場合によっては反転する可能性も出てきた。

※ くれぐれも投資家各位で御判断下さい。
※ このウェブログを参考とし、めでたく投資収益を得られた方は、
  収益への課税分を社会に貢献する組織・団体に寄付して下さい。
  (当ウェブログのこちらのカテゴリーも御覧下さい。)
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『週刊エコノミスト』3月31日号 - 新興国株価に2割ほど下落余地あり、加ドル安は新興国株安の予兆か

2015-03-27 | 『週刊エコノミスト』より
今週の『週刊エコノミスト』の水素特集は概ね予想通りだったが、
それ以外の記事が非常に素晴らしかった。

当ウェブログが毎回注目している富国生命の市岡繁男氏は、
ロイターにコラムを載せているカレツキー氏の指摘を引用し、
原油が20ドルまで下がり得る」としている。

中国の資源需要が減少して原油ばかりか鉄鉱石も銅も暴落、
資源輸出への依存度の高い新興国(ブラジル等)への悪影響は間違いない。

市岡氏はMSCI新興国株価とカナダドルとの連動性の高さを指摘しており、
その連動性が維持されるとするなら新興国株価は20%ほどの下落余地がある


メイン特集には話題のレドックスフロー蓄電池の記事(P36)もある。
興味深い技術ではあるが、コスト面で普及へのハードルが高過ぎる。

家庭用ではハイブリッドやEVの電池リサイクルに到底勝てず、
業務用ではよりシビアなコスト競争力を要求されるので厳しいだろう。
(業務用は、昼に太陽光パネルで発電した電気をすぐ使った方が効率的、ということもある)

技術で先行しても量産化と市場シェアで韓国に大敗する「いつもの展開」も懸念され、
技術化先行だけで満足しているのは誤りである。

『エコノミスト』2015年 3/31号


今週は他にも読むべき記事が複数ある。

P46では第一生命の柵山順子エコノミストが
安倍政権が検討している「夫婦控除」の効果を否定しており、
(安倍政権の「改革」は押し並べて口だけ、看板倒ればかりだから当然であろう)
低所得層支援としても給付付き税額控除の方が有効と指摘している。
これが正論なのだが、働かないでバラ撒きを望む既得権層が抵抗するから経済低迷が続くのである。。

P80では同志社大に移った橘木俊詔教授が
日本の児童・家族関連給付がいかに北欧や英仏に比べて低い水準かを明らかにしている。

ただ、「脱成長で福祉国家の構築」と、逃げ切り世代らしい無責任な論を展開しているのは困ったものだ。
スウェーデンは強制就労で現物給付に力を入れており、日本よりアメリカより高成長である。
福祉と成長が両立できるとの認識が根本的に欠けている。
もし今のような低成長で福祉を維持したいと言うのであれば、
負担もせずに給付を受けている富裕高齢層への福祉バラ撒きを全額カットするのが理の当然
だ。

利権という観点で言えば、P82で小松正之氏が批判している
「漁業利権」も重要である。氏が言うように農協よりも問題が大きい。
(何しろ彼らは、多額の補助金を受け取っているのに会計は非公開)
「オリンピック方式」で漁業資源を70年代から一貫して損耗させてきた責任は重大だ。

    ◇     ◇     ◇     ◇

今週の『週刊東洋経済』の株式特集は凄い。
何が凄いって、見事な迄の「逆指標」ぶりが凄い。
東洋経済が派手な株式特集を組んだら下落すると見て良いかもしれない。

数少ない見所としてはP60「局所バブルが静かに進む」で、
矢張り当ウェブログで触れてきたように割高セクターが更に買い進められる状況だ。
(「食品バブル」だけでなく医薬品や鉄道セクターも同様のようである)

これも当ウェブログで触れた「バフェット指標」にも言及されている。
PERがさほど上昇していなくとも、バブルはバブルだ。
危険度は高まっていると見なければならない。

余談ながら「バフェット指標」は「Buffett indicator」の訳で、
最近は「バフェット指標」や「バフェット指数」と呼ぶ人が出てきており、
東洋経済のように「バフェット指標と呼ばれる」と断言するのは適切ではない。

『週刊東洋経済』2015年 3/28号絶好調企業の秘密/海外で稼げる力/技術力で利益創出/独創的なビジネスモデル/[特別企画]「会社四季報」最新予想でお宝発掘 有望銘柄ランキング300/[巻頭特集]株価爆上げ 2万円/[深層リポート]シャープ重大局面再び/テリー・ゴウ「シャープよ 銀行よ 私と話をしよう」


「絶好調企業の秘密」もよく知られた企業が多く、
研究熱心な読者ほど白ける可能性が高い。

    ◇     ◇     ◇     ◇

『週刊ダイヤモンド』の特集はもうひとつ、といったところだろう。
そもそもタイトルは「叱る力」の方が良い。

全般的に良い叱り方と悪い叱り方があり、
あとは「相手や状況を見て」臨機応変に変えなければならないものだから、
人材マネジメントのディテールの巧拙は明確な区分が必要と思う。

或いは「叱られたい部下」の心理分析・社会学的分析でも良く、
編集部としてもこれでは不完全燃焼を感じていることだろう。

『週刊ダイヤモンド』2015年3/28号特集1 叱れない上司 叱られたい部下/「叱り方」を学べば関係が劇的に変わる!/特集2 新日鐵住金「失地回復計画」


新日鐵住金を取り上げたサブ特集の方が面白いかもしれない。
ミタルやポスコの「敵失」で有利な立場に押し上げられただけで、
成長性が見えず先行きも視界不良という状況で、
なぜ日本の鉄鋼業界が原発再稼働によるコスト低減(=国民へのツケ廻し)と
原発産業からの受注に固執しているのか、実によく分かる。
もはや産業や企業そのものの成長期待がほぼ失われたからだ。

    ◇     ◇     ◇     ◇

次週はダイヤモンドに注目。メイン特集は一見「NHKのガバナンス問題」かと思ったが違っていた。 ┐(´д`)┌

▽ サブ特集「春闘狂騒! 遠い景気回復への道」が最も重要である

『週刊ダイヤモンド』2015年4/4号特集1 NHK英語の秘密 TOEIC®の謎 禁断の英語攻略/ NHK英語徹底解剖「おとなの基礎英語」「実践ビジネス英語」…制作現場に潜入!超人気4講座の作られ方/前代未聞の逆解析で判明!TOEIC®最速学習法/最小コストで最大成果!驚異のオンライン英会話


▽ 表紙は派手だが内容は?? メイン特集より「匿名座談会 ベンチャーバブルに踊らされるな」が重要かと

『週刊東洋経済』2015年4/4号ビジネスに効く 世界史&宗教/佐藤優の世界史の極意/宗教がわかると世界がみえる/出口治明/[第二特集]スカイマーク破綻続報/[第三特集]ベンチャー投資の舞台裏


▽ エコノミストは「投資」を前面に押し出すと却って投資での有効性が低下する傾向があるような気が。。

『週刊エコノミスト』2015年 4/7号

「植物工場」を取り上げるエコノミストレポートに注目。
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2030年までに省エネで18%もの節電が可能、経済効果の大きさは明白 - 利権勢力は早くも妨害開始

2015-03-26 | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える
「危機的な電力不足」「人命にかかわる」と喚いて国民を脅し、
原発再稼働に持っていこうとする利権勢力とその手先のプロパガンダは
案の定ながら真っ赤な嘘であることが明らかになった。

しかし「彼ら」の嘘つきの本性は全く変わらず、
最近は微妙に内容を変えながら相変わらず嘘をつき続けている。

電力不足という脅し文句が通用しなくなったので、
「電力料金高騰で国民負担が増加」「日本経済に打撃」
「温暖化対策として原発再稼働が必要」
などと、心にもない厚顔無恥な口実を唱えている。

骨の髄から嘘つきの彼らは、国民負担や温暖化対策など内心では気にもしていない。
普段の彼らの言動を見ていれば、それらに大して関心を持っていないのは明白だ。

上の言葉も、国民には隠している本音を翻訳すると
「国民負担を口実にして原発を再稼働し、左団扇で儲けたい」
「温暖化対策を利用して参入障壁の高い原子力でカネを貰いたい」
「原発停止は我々にとっての重大な打撃」

といった意味でしかない。利己的な彼らは決して本音を語らないので
賢い有権者はそれを見抜かなければ騙されて食い物にされるだけである。

彼らが今、力を入れ始めているのは「省エネ」の効果を否定する情報操作である。
かつてやかましく喧伝された「乾いた雑巾」説に見られるように、
省エネ余地が大きいとなると原発で独占的に稼ぐことができなくなる。

原発で国民のカネをふんだくり、安定的に稼ぐには省エネは邪魔である。
だから、最近は世界のトップクラスから脱落しかかっている日本の省エネ分野の劣勢に沈黙し、
エネルギー効率を高める投資を妨害しているのである。

何しろ、日本で最もエネルギーの無駄を生み出しているのは発電部門であり、
発電部門で効率化を進めることは電力利権・原子力利権から力を奪うことになるからだ。
特に、いずれ日本の電力供給の15%超を担うと予想されているコージェネレーションは、
利権勢力にとって最大の脅威なのである。(国民にとっては大きな恩恵だが)

▽ 日本は大型発電所で膨大なエネルギーロスを生み出しており、省エネ余地は非常に大きい

『エネルギーを選びなおす』(小澤祥司,岩波書店)


地道に省エネ投資を進めることで、確実に投資が増え成長率に貢献できるが。。

「無策の安倍内閣は原発停止が重大な問題であるかのように偽っているが、
 言う迄もなく真っ赤な嘘である」

「我が国のエネルギー効率は先進国として凡庸なものに過ぎない。
 その理由は、需要サイドでいくら省エネに努力しても
 大型発電所で無駄にエネルギーを捨てているからである」

「エネルギー転換部門(つまり発電)で省エネを進めることが
 我が国の輸入燃料を大幅カットする最善の策である」

「しかし電力利権勢力としては日本経済にはプラスでも
 自らの利益にならない徹底的な省エネは絶対に避けなければならない。
 (だから消費者を口先で騙してオール電化を導入させるのである)」

「そうした利権勢力の策動に対抗する手段は、
 「太陽電池で自家発電する」「電気を冷暖房・熱供給に使わない」ことだ。
 だから太陽光発電の固定価格買取制度はメガソーラーを排除して自家消費を優遇すべきであるし、
 コージェネと需要側での省エネを促す政策を推進しなければならない」

「特に首都圏・京都・札幌において地中熱の導入はメリットが大きい。
 安心安全・半永久的に使える点で原子力より遥かに勝っている」

「スカイツリーで導入しているヒートポンプ式の地中熱であれば
 西日本で威力を発揮する。地域特性に合わせて賢く使える、日本に合った技術だ」

当ウェブログが書いたように、利権勢力の利益誘導が日本経済の成長を妨害している。

 ↓ 参考

積水ハウスが革新的な断熱材を開発、断熱リフォーム事業の売上7割増へ - 地中熱も普及拡大期に入る
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/9f0043118225d01ba1c4dd2ead683395

サンポットの地中熱システムが光熱費を半分以上カット、販売急増 - ネガワット取引と併用すれば効果倍増
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/a7a03b2507c0112d07882e02284c1fac

地中熱で4割以上の大幅省エネ、ビルの熱融通でも4割省エネ - 原発停止で投資増・経済成長は確実
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/d12c722e3eaf9563ceb892613dba7e49‎

▽ 省エネ関連分野には兆円規模の成長余地があり、農業よりも成長余地が大きい

『原発を終わらせる』(石橋克彦,岩波書店)


経産省、2030年の電力需要見直し 「省エネ効果過大視」指摘受け(日本経済新聞)
www.sankeibiz.jp/macro/news/150324/mca1503240500001-n1.htm
”2030年時点の電力確保の手段を示すエネルギーミックス(電源構成比)の策定で、経済産業省が有識者会議で2月に示した30年の電力需要見通しを見直すことが23日、分かった。専門家から「省エネルギーの効果を過度に見込み、見通しが低すぎる」との指摘が相次いだためだ。高い温室効果ガスの削減目標を打ち出したい政府は、原発の活用が思うように進まない中、省エネに頼らざるを得ないジレンマに直面している。
 電源構成比は、将来の電力需要を試算し、火力や原子力などを何%ずつ組み合わせて確保するかを示す。電源構成比を議論する経産省の「長期エネルギー需給見通し小委員会」は2月末、経済成長率を1.7%と仮定し、省エネ効果を織り込む前の30年の電力需要を1兆1440億キロワット時と示した。また、幅広い省エネ対策で需要を18%減らせると暫定的に試算した。
 これには委員から「需要推計が過小だ」との指摘が出た。電力需要は経済成長に応じて増える法則があるが、30年までの伸び率が低すぎるためだ。省エネ効果を織り込む前の見通しが、「すでに省エネを組み入れた推計になっている」(電力中央研究所の杉山大志上席研究員)と算出方法が誤りだとする見解も根強い。そのため経産省は、省エネ効果に加え、電力需要見通しを再検討。省エネ後の見通しを修正する公算だ。
 政府は6月の主要7カ国首脳会議(サミット)で、温暖化ガスの削減目標を示す方針で、欧州などが発表した目標を念頭に、政府内に「2030年に05年比で20%台後半の高い削減比率を示すべきだ」(与党幹部)との見方もある。
 ただ、温暖化ガスを排出しない原発は、世論の反発を考えると高い供給比率を打ち出せない。再生可能エネルギーも、将来の導入促進費の国民負担増が懸念され、「政府は省エネに頼らざるをえない」(専門家)のが実情だ
〔中略〕
 政府は本格化する目標の策定作業で難しい判断を迫られそうだ。”

矢張り省エネ効果を「過大」などととんでもない嘘をついているのは電力関係者だ。
彼らにとっては省エネ効果が「過大」でないと所属組織の存亡に関わる。
嘘だろうがデマカセだろうが、あらゆる手段で省エネ効果を否定するに決まっている。

コージェネレーションと地中熱を最大限普及させた想定での試算を行えばすぐ分かる。
省エネは凄まじい成長分野であり、電力利権を破壊する程のポテンシャルがあるのだ。


2030年の電力消費、12年度を下回る 省エネ実施なら(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF27H0X_X20C15A2PP8000/
”経済産業省は27日、2030年時点に家庭や企業などで使う電力消費量の試算を示した。省エネルギー対策を実施すると電力消費量は約9373億キロワット時に減り、12年度実績(約9680億キロワット時)を下回る。将来の電力消費量が減れば、発電所を増やす必要も薄れることになる。
 原子力や再生可能エネルギーの望ましい電源構成(ベストミックス)を議論する「長期エネルギー需給見通し小委員会」で示した。
〔中略〕
 経産省は省エネ対策を実施しない場合、30年度の電力消費量が約1兆1440億キロワット時になり、12年度実績に比べて18%増えると試算した。一方で、省エネ対策を実施すれば、30年度の見通しは12年度実績から3%減の約9373億キロワット時になる。消費電力が少ない発光ダイオード(LED)照明に切り替えたり、高効率の生産設備などを導入する省エネ対策で約2067億キロワット時の電力消費量の削減効果があるとみている。
 政府は1月から、30年時点の望ましい電源構成の検討を始めた。夏までに構成を固め、温暖化ガスの削減目標を決める前提にする考えだ。”

利権勢力が目の敵にしている試算がこちら。
内訳にコージェネと地中熱が入っていないようなので、
省エネ効果がこの数字よりも大きくなるのは断言できる。


北海道、今冬の平日ピーク電力1%減 節電進む(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO83000620Z00C15A2L41000/
”北海道電力は9日、1月末時点での今冬の電力需給状況を発表した。2014年12月から15年1月にかけての平日のピーク電力は、気温の影響を除くと前年同期に比べ6万キロワット(1%)減った。供給余力を示す供給予備率は最も低い日でも16.5%と、安定供給に最低限必要な3%を大きく上回った。
 12年度、13年度と道内では冬の節電期間(12月~翌年3月)に数値目標を設けたが、14年度は数値目標のない節電となった。蓄電池の機能を持つ揚水式の京極発電所(出力20万キロワット)が14年10月に稼働し、発電能力に余裕が生じたためだ。節電期間の中間時点として、状況をまとめた。
 需要をみると、今冬のピーク電力は14年12月16日の534万キロワットと、前年度を6万キロワット下回った。気温の影響を除くと、電力の需要が最も大きかった10年度と比べ14年度は7%ほど減った。13年度比では1%の減少で、勢いは鈍っているが着実に節電が進んでいる。
 使った電気の全体量である販売電力量でみると、13年度比でやはり1%程度減った。
家庭用やオフィスビル・商業施設などの業務用は13年度より利用が減ったが、工場などの産業用は利用が増えた。
〔中略〕
 これまでより供給に余裕が生じているが、老朽化した火力発電の故障が前年同期より28%多い73件生じた。北電は火発の故障が重なると需給が逼迫する恐れがあるとして、引き続き節電を求めている。”

サンケイ報道で「電力需要は経済成長に応じて増える法則がある」とあったが、嘘である。
(実際、日本は低成長が続いているのに福島事故まで消費エネルギーは増え続けていた)
このように、大した設備投資がなくとも7%もの節電を実現している。
本格的にコージェネレーションと地中熱を導入したら、この2倍以上の省エネは確実だ。

また、北海道は膨大な潜在風力資源やバイオマス資源を持っているのだから、
そもそもエネルギー不足になどなる訳がない。
寧ろ「エネルギー自給率」を高めて域内に利益を循環させるのが地域活性化に直結する。
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