みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

「ベースロード電源に天然ガスを入れると一発で原発の比率が下がる」- 利権勢力の走狗になり果てた経産省

2015-04-30 | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える
今回の電源構成の案は、安倍政権と経産省が大嘘つきであることを証明した。
世論に敵対して原子力比率を死守する小細工を行い、
経済合理性に反してレントシーカーに利益誘導を行ったのだ。

安倍政権は元々口先で誤摩化して利益誘導ばかりを行う
腐った体質であることがこれまでの「実績」によって完璧に証明されているので、
何ら驚くべきことではないが、これは明白に国益に反するものである。

原子力のレントが温存されることで国内投資は抑圧され、
省エネ・再生可能エネ導入の努力を怠る企業が
有権者から搾取したカネで安い電力コストを左団扇で享受する。

ただでさえ少子高齢化で停滞している日本で、
このような怠惰で既得権をぬくぬくと延命させる経済が成長する筈はない。
世界で最も原子力比率の高いフランスの成長率が恒常的に低く、
製造業の競争力も低い現実を直視するがいい。

同時にこれは、反成長や原理的な反対ばかり唱える幼稚な脱原発派が
「次元の低い」自民党政権にすら勝てないということを意味する。

原子力というモンスター・システムがいかに強大か、いかに嘘つきか、
カネをバラ撒いて政官を買収するのがいかに巧みか、彼らは全く分かっていない。
政治的先見性に優れたドイツ緑の党の爪の垢でも貰ってくるがいい。

経済界に新しい成長分野を示し、実際に投資と市場成長を実現させ、
原子力の悪質な洗脳術を徹底的に撃破することを優先しないからこうなるのだ。

「コンバインドサイクル火力へのリプレースで燃料は約30%減らせるが、
 熱需要地でコージェネを行うとおよそ40%から45%も節減でき、更に効果が大きい。
 (中小型のコージェネはエネルギー効率70%台、ホンダのエコウィルは90%台であるため)」

「特に平均気温の低い東日本・北日本では、
 小規模分散のコージェネこそ省エネ・投資増のための切り札である。
 投機的な原子力より遥かに安定・安全であるのも言う迄もない」

「中越震災の教訓から正しく学び、原子力の比率を低下させて
 ガス火力を設備更新していれば電力料金もこれほど上がらなかった筈だ。
 既存事業者が原子力のカネに目が眩んでいたから後手に回ったのである」

「技術があっても活用し切れていない日本も、ドイツのようにコージェネ法を導入すれば
 電力の20%以上をコージェネで賄うことができよう」

「問題は、電力大手と癒着してパー券を買って貰っている安倍内閣と自民党が全力で
 コージェネ普及の骨抜きを図ってくる可能性が高いことだ」

としてきた当ウェブログの警告は的中した。
腐った利権癒着政党に大量票をくれてやるから
腐敗した利権は死なないし、日本経済の低迷も続くのだ。

▽ 日本は発電でのエネルギー・ロスが非常に多く、コージェネも省エネも明白な成長分野

『エネルギーを選びなおす』(小澤祥司,岩波書店)


我が国の経済成長のためには、需要のある分野で様々な苦労と工夫を重ね、
努力してイノベーションを起こすことが不可欠なのである。
オープンな市場での競争が起きず、独占的に公費を受け取れる原子力は怠惰で最悪の選択だ。

「原子力は日本経済に有害なのである。
 成長率の低迷が何より雄弁にそれを証明している」

「原子力利権勢力とその「第五列」がコージェネに言及しないのには理由がある。
 コージェネこそ原子力にとどめをさす最終兵器だからだ」

「熱供給を含めたコスト競争力においては、
 エネルギーを垂れ流す無駄の塊である原子力に勝ち目はない。
 過酷事故の危険性・震災への強さ・エネルギー効率の全てにおいて原子力の惨敗だ」

「異次元緩和などと「次元の低い」政策を行っている日本よりも
 明らかに成長率の高いドイツは、コージェネ発電の比率が13%に達している。
 日本経済のために、原子力を撃滅してコージェネに転換するべきなのである」

「ドイツはコージェネ発電の比率を2020年までに25%に引き上げようとしている。
 同じような少子高齢化が進む両国が、成長率で差がついている理由は明白だ。
 日本では原子力利権がのさばって経済成長を抑圧していからだ」

「賢明でかつ投資も増え、経済成長に繋がる合理的なコージェネが普及すると
 確実に電力大手の売上は減り、原子力の必要性が全くないことがバレるので
 利権勢力としては何としても国民にとっては非常に有益なコージェネを普及させたくないのだ」

「残念ながら自民内の脱原発派は強力な代案を出していない。
 コストの安い風力発電のため送電網を整備するとともに、
 (愚劣なバラ撒きである国土強靭化やリニアの10分の1以下の予算で可能だ)
 経済合理性の高いコージェネ発電の買取制度を創設し、
 地中熱での節電分をネガワット取引で売却できるようにすべきである」

としてきた当ウェブログの見通しは直近の成長率の下方修正が実証している。
何度も言うが、「日本経済の投資を抑制させ、成長を妨害しているのは電力利権である」。
異次元緩和などというカンフル剤を打ってもドイツに劣る日本の低成長を直視すべきだ。

 ↓ 参考

コージェネレーションの急成長は確実、2030年迄に全電源の7%に -「15%を目指すべき」との声も
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/b8067d44524b710bec11a333716f6b4f‎

日本は既に省エネ「劣等生」、コージェネが不十分でビルの消費エネルギーも多い -「世界トップから脱落」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/bdbe09d8dd34742ef530ce1011b5cb0c

ガス会社が原発を抹殺し、東電を圧倒する日 -「2030年には1000万kW分のコージェネ導入」と宣戦布告
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/416259413bd719c5f3987882f1720897

▽ 小規模分散の天然ガス利用は合理的であるが、中央集権型の電力システムにとっては特権を奪われる天敵

『天然ガスが日本を救う 知られざる資源の政治経済学』(石井彰,日経BP社)


電源構成:2030年、原発回帰鮮明に 政府案(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20150429k0000m020085000c.html
”経済産業省は28日、2030年の総発電量に占める電源ごとの割合(電源構成)について、原発を20~22%、再生可能エネルギーを22~24%とする政府案をまとめた。原発を新増設するか、原則40年の運転期間を延長しなければ実現しない水準で、安倍政権の原発回帰の姿勢が鮮明になった。
 28日に開いた同省のに提示し、大筋で了承された。
〔中略〕
 政府案は、30年の総発電量を13年度より1割多い1兆650億キロワット時と想定。原発比率を10年度実績(自家発電含む)の26.4%から4~6ポイント低くする一方、再生エネは2倍以上にする。再生エネの内訳は、水力8.8~9.2%程度▽太陽光7%程度▽風力1.7%程度▽バイオマス3.7~4.6%程度▽地熱1~1.1%程度。
 再生エネ比率を原発より高めることで、脱原発を求める世論の理解を得たい考え。だが、40年ルールを厳格に運用した時の依存度(約15%)を上回る水準としたことに対し、「政府のエネルギー基本計画で定めた、原発依存度を可能な限り引き下げるとの方針に矛盾する」との批判も出ている。
 また、電気料金抑制のため、運転(燃料)コストが安く、昼夜問わず一定規模の発電を行う原発や石炭火力などの「ベースロード電源」を12年度実績(38%)を上回る56%程度を確保。火力発電、原発の燃料コストと、再生エネ固定価格買い取り制度にかかる費用との合計を13年の9.7兆円から引き下げる方針も示した。
 政府案は、与党協議や国民からの意見募集を経て、5月下旬にも正式決定される。【中井正裕】”

この有識者委員会は、事務局の傀儡であり
「異分子」を少数入れて見せかけの体裁は整えるが
最初から原子力利権に好都合な結論が出る人数バランスに仕組んである「茶番」である。

また、燃料コスト高騰を招いた真因が安倍政権の円安誘導策であること、
電力大手の燃料購入の不手際も大きいことを全く指摘していない。
これで利権癒着政権・利権癒着省庁として歴史に恥ずべき名を残すのは確定である。

国民に敵対してまで、そんなにカネや天下り先が欲しいのか。
民主主義が嫌なら原発を大増設する中国にでも逃亡するがいい。


再生エネルギー比率30%が実現できる理由 どうする電源構成 東京理科大・橘川教授(東洋経済オンライン)
http://toyokeizai.net/articles/-/67931
”2030年の望ましいエネルギーミックス(電源構成)をどうするか――。経済産業省が今年1月末から有識者委員会を通じて行っている議論がいよいよ大詰めを迎えようとしている。
 電源構成は2010年度には火力61%、原子力29%、再生可能エネルギー10%(うち水力9%)だった。それが東日本大震災後の2013年度には火力 88%、原子力1%、再エネ11%(同)となっている。最大の焦点は、”国策”とされる原子力と再エネのウエート。ドイツは2022年までの原発ゼロを掲げているが、日本はどうすべきなのか。
 この方向付けはエネルギー産業の長期的な投資行動に直結するほか、発電所の安全面や電気料金などの経済面、二酸化炭素排出量などの環境面など、国民の生活にも深くかかわってくる。5月中に結論を出し、6月のサミットで宣言される電源構成目標のあり方について、専門家や業界関係者にシリーズで聞く。
 第1回は、エネルギー政策論の専門家で、電源構成を議論する有識者委員会(総合資源エネルギー調査会 長期エネルギー需給見通し小委員会)の委員も務める橘川武郎・東京理科大学大学院教授に聞いた。
原発依存を下げるという公約と乖離
――有識者委員会の第5回会合で「この小委の議論を聞いていると、どうしても原発比率を上げたいという雰囲気を感じる」と発言しています。
 経産省の事務局は「ベースロード電源比率で6割」、そして「一次エネルギーの自給率で2割」という2つの数字を望ましい目安として示している。ベースロード電源については、石炭、原子力、水力、地熱がそれに当たると経産省は定義し、LNG(液化天然ガス)火力は外した。これで6割とすると、原子力は最低でも 20~25%ということになる。
 一次エネルギーのうち電力は約4割なので、自給率に入れる原子力と再エネの合計で全電力の約5割。再エネは2割強しか入らないと言っているので、原発比率は25~30%ということになる。このように、経産省は非常に巧妙に原発比率を25%前後に持って行こうとしてきた
 しかし、これで本当に「できるだけ原子力依存度を低減する」という政府の公約に沿ったものといえるのか。事務局は、東京電力の東通原発1号機ですら、着工許可済みだとして「既設扱い(将来の稼働を想定)」にしている。あの部屋(小委)の雰囲気と世論とはかなりずれている気がする。
――ご自身は小委の中で「原子力15%、再エネ30%、火力40%、コージェネ(熱電併給)15%」という電源構成を提唱していますが、その理由は。
 まず重要なのは再エネ30%ということだ。再エネ:原子力で2:1ぐらいにする。再エネが2割強では、麻生政権時代の目標とあまり変わらず、「3.11(福島原発事故)」がまるでなかったかのような話になる。
 「FIT (固定価格買い取り制度)だと国民負担が重くなるし、スペインもドイツもやめつつある。だからFITは行き詰まるから、再エネはダメだ」などとも言われる。しかし、FITは最初の立ち上げ段階での効果を狙ったもので、2030年までFITに頼っていては再エネなんて入らない。再エネをどうやって市場価格ベースで導入していくかが大事だ
 私は再エネ30%のうち、水力、バイオマス、地熱で15%、太陽光と風力で15%と考えているが、太陽光と風力は発電コストがかなり安くなっており、あとは送電線のコスト。だが、コストを市場ベースに引き下げる方法はある。
 第一に、廃炉にする原発の送電設備の利用だ。40年運転規制で行けば30年には約30機が廃炉になる。もちろん、その送電線の一部は火力用になるが、かなり余ってくるはずだ。これを太陽光、風力拡大に使えばいい。おかしいと思うのは、廃炉会計の見直しを議論する際には廃炉が前提になっているのに、メガソーラーの受け入れ見直しの議論などでは廃炉を一切前提にしていないことだ。都合がいいように使い分けている。原発推進に有利なように土俵を替えながら議論しているようなものだ。フェアではない。

再エネ比率30%は実現可能
 第二には、そもそも送電線に乗せる量を減らすこと。分散型で地産地消の再エネを増やすことで、送電線へ負荷をかけないことだ。事務局は、太陽光、風力の出力変動の穴を埋めるのは全部火力であり、しかも石油火力になるとコストが高いと脅しをかけているが、まずは水力で埋めるべきだ。全国各地にあるダム式水力を動員することで、再エネを再エネで出力調整する。ちなみに、ニュージーランドは全電力の75%をFITなしの再エネで賄っており、水力50%、地熱15%、風力その他で10%といった構成だが、風力などの出力変動の調整はすべて水力で行っている。
 第三には、送電線をつくることをビジネスモデルとして確立することだ。東北や北海道で送電線をつくると費用がかさむというが、ちゃんと利用すれば十分回収できるはずだ。電力会社はネットワークでコアコンピタンスを追求するビジネスモデルに変えていく必要がある。個人的に東電は柏崎刈羽原発を動かせないと思うので、東電あたりからそうした会社になっていくのではないか。発送電分離で最も確実に儲かるのは送電事業だ。
 こうした3つの対策をとれば、市場ベースで再エネ30%の世界は十分実現できるはずだ。米国の中西部や豪州、ニュージーランド、北欧の一部など、市場ベースでの再エネ普及を実現している地域こそベンチマークとするべきだろう。
――原発比率15%を提唱する根拠は何ですか。
 40年廃炉原則にのっとれば、2030年には原発比率は15%程度になる。古い原発よりも新しい原発のほうが当然安全性は高いので、15%の枠内でリプレース(建て替え)をしていくというのが私の考えだ。
〔中略〕
――リプレースには反対しないと。
 新設(新しい立地)は考えていないが、更新には反対していない。ただし、2030年以降も長期的に15%を維持すべきかどうかは、バックエンド(放射性廃棄物の処理)の問題次第だ。この問題が解決できないならば、2050年ぐらいに原発ゼロとなる蓋然性もかなり高いのではないか。国が前面に出ようが出まいが、最終処分場を決めることは非常に難しい。本気で原発を維持していく気があるならば、オンサイト(原発敷地内)の乾式中間貯蔵をいま真剣に議論する必要がある。こうした議論のない原子力政策などありえない
電気料金の帰趨決める火力のコスト削減法
――火力発電の課題はどう考えていますか。
 電源構成の中では今後も火力が最大のウエートを占める。電気料金の帰趨を決める最大要因は、原発でも再エネでもなく、火力の燃料費といえる。火力燃料費を抑えるにはどうするか。一つは、一番コストの安い石炭を使うことだが、ただちにCO2の壁にぶつかる。もう一つは、シェールガス革命の中で、いかに安く天然ガスを買うかだ。
 原発を2030年までに30機廃炉にすると約30ギガワットのベースロード電源がなくなるが、電力総需要が変わらないとすると、5ギガワット程度を石炭で、25ギガワット程度を天然ガスで埋めるのが現実的だろう。ただ、石炭を5ギガ増やすのもCO2の問題からして大変なので、外国に技術移転してCO2を減らした分は国内に石炭火力を建てていいといった縛りが必要だろう。
 天然ガスについては、東電と中部電力が LNGを年間約4000万トン共同調達する方向だが、規模は大きいほうがいいわけだから、関西電力や東京ガス、大阪ガスなどが対抗軸などとは言わずに一緒に7000万トンのアライアンスを組めばいい。LNGの輸入量で1位の日本と2位の韓国で全世界の50%を超えるので、日韓協力、さらに台湾、中国を入れた東アジア諸国が協力してバイイングパワー(購買力)を効かせる方法もある。本当はこういう議論をすべきであって、原発と再エネばかりに目を奪われるのは問題だ。
 経産省がベースロード電源の中に天然ガスを入れないのは、それを入れると一発で原発の比率が下がってしまうからだ。
しかし、 3.11以降に天然ガスが一部ベースロード電源として使われてきたのは紛れもない事実であり、将来的にもミドル電源だけでなく、ベースロード電源として使われるのは間違いない。
――コージェネ15%というのは、かなり積極的に感じます。
 正確に言えば、コージェネと自家発電を入れている。現時点でもコージェネが5%弱で、自家発電が5%強と、計10%程度を占めている。それを15%に増やすということだ。ただ、事務局はこのコージェネと自家発電は外すようだ。やはり、これらを入れると原発比率が下がって見えるからだろう。
コージェネ、自家発電を入れて考えるべき
――経済産業省は2030年度の電力消費量全体について、省エネ対策なしでは2013年度比22%増の1兆1769億キロワット時と見込んでいます。また、省エネ対策によって約17%削減でき、2013年度比約1%増の9808億キロワット時になる試算しています。
 私自身、2030年時点での総需要量は近年と変わらない1兆キロワット時くらいが現実的ではないかと思っている。3割ぐらい省エネ可能との見方もあるが、特に産業用の省エネは、ここからはかなりきつい。電力需要は家庭用、業務用、産業用がそれぞれ3分の1ずつ。いちばん減らせる家庭用は3分の1にすぎない。省エネに関しては、政府の試算はかなり頑張ったと言えるのではないか。
――提唱している電源構成では、2030年までの温室効果ガス削減目標はどの程度になりますか。
 2005年基準で25%程度の削減になろう。あと5%程度は上積みしたいが、それはコージェネの拡大で可能になるのではないか。(先進国が)2050年に80%削減するのが本来の目標であり、そこにつなげるには2030年に30%削減が必要だろう。〔以下略〕”

この橘川教授のような議論が合理的なのだが、
腐敗した経産省の事務局は絶対にそのようなまともな議論にはしない。
利権と一体化した自民党と原子力利権に尻尾を振る「忠犬」だから国民の敵になるのだ。
あと数年でアベノミクスは崩壊して世論から袋叩きの運命にあるから、「忠犬」も運命を共にするがいい。

橘川教授はコージェネを推進すること、既存の送電網を利用することを提言しているが、
当ウェブログはそれに加えてコージェネ法と公共事業としての風力の送電網整備の必要性も指摘してきた。
地中熱とヒートポンプによる省エネ余地が大きいことも指摘した。だから断言する。
原発ゼロは可能であるばかりか、日本経済の成長のために必須である。
原発利権を撃滅しなければ、今の低成長から脱することもできない。
潜在エネルギー資源を豊富に持つ地方経済の「創生」の成否もそこにかかっている。
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GWの注目新刊 -『低欲望社会』『中高年ブラック派遣』『格差大国アメリカを追う日本のゆくえ』etc

2015-04-29 | こんな本を読んでいます
連休恒例の新刊紹介です。
今年も各分野でなかなかの力作が出ています。

『関東軍とは何だったのか 満洲支配の実像』(小林英夫,KADOKAWA/中経出版)


 → 日本を滅ぼし、満州の日本人に塗炭の苦しみを与えた元凶である関東軍。
   国防よりも政治に熱心であるという点で、
   公益よりもドグマを優先する今のリフレ派と酷似している。


『低欲望社会 「大志なき時代」の新・国富論』(大前研一,小学館)


 → 今の日本の抱える最大の問題は人口減少であるとひと目で分かる。
   但し北欧型の処方箋でないのは大減点。
   あと高齢層バラ撒きが内需沈滞の元凶であることにも触れていない。


『2015-2016年版 新しい経済の教科書』(日経BP社)


 → 日経BPも人口問題に注目している。
   踏み込みとしてはもう一歩だが以前よりは進歩した。


『格差大国アメリカを追う日本のゆくえ』(中原圭介,朝日新聞出版)


 → デフレと不況はほぼ関係なし。これが歴史的事実であり、
   リフレ派がいかに洗脳された「宗教」であるかが一目瞭然。
   ただ処方箋は非力で、スウェーデンの卓越性に遠く及ばない。


『中高年ブラック派遣 人材派遣業界の闇』(中沢彰吾,講談社)


 → ルポルタージュとしては本当に素晴らしい。
   政府の審議会やら委員会やらでご高説を垂れる世間知らずエコノミストや学者は
   この一冊を熟読して反省すると良い。


『ルポ 保育崩壊』(小林美希,岩波書店)


 → 上の著書ほどの迫力はないが、保育の民営化の内情を抉る一冊。
   但し著者は企業にやたら厳しい割に既得権を持つ官公労や福祉法人に非常に甘く、
   しかも予算をケチる有権者の責任に全く言及しないという通弊が昔からあるので注意。



『金沢・能登の食遺産』(岸朝子 選,KADOKAWA /角川マガジンズ)


 → ここからはおまけ。
   北陸新幹線開業を祝して参考まで。
   寿司も駅から比較的近い乙女を選んでおり、時間が少ない人向け。
   志の助とか照葉とかコアな情報は入っていない。かわむらも入っていないような。。


『ふだんの金沢に出会う旅』(杉山正博/濱尾美奈子/アラタ ケンジ,主婦の友社)


 → 時間のある人はこちらの方が良い。
   丹念に取材してある。(やや女性向けかも)

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「「時給1500円デモ批判」がおかしい労働経済学的な理由」が経済学的におかしい-不毛な議論を招く欺瞞

2015-04-27 | いとすぎから見るこの社会-雇用と労働
「マクドナルドの時給1500円デモ」を巡って局地的に議論が盛り上がっており、
ざっと見てみたのだが、どっちもどっちという感じである。

シェアーズカフェの中嶋氏は、経済成長によっても格差が拡大したり
低所得層の賃金が伸び悩んでいる現状や、
醜く歪んだ日本の社会保障の問題を無視している。

一方、福島大学の熊沢透教授の方は実質賃金や実証研究の視点が完全に抜けており、
これでは労働経済学の研究者からも異論続出であろう。

熊沢教授のツイッターを見る限りでは、「制度学派の立場」と限定していたようので、
そうした重要な点を省いて議論を不毛にしたネットメディア側の責任もあろう。

そもそも経済学においても見解の相違は付きものであり、
理論と実証が食い違うケースはざらにある。

恐らく熊沢教授は実証ではなく理論を重視しており、
(論拠とする研究や論文の内容を明示して貰わないと何とも言えないが)
自らが批判するリフレ派と同じように、前提を排除して現実を捉えようとし、
歪んだ現実像を自ら構築してしまった可能性もあろう。
(関係者の反論があればコメント欄にお願いしたい)

そもそも賃金、しかも時給だけに拘った議論は意味がなく、
実質賃金は年間所得、更には現役世代向けの社会保障にも言及するのが当然であり、
最終的には議会もしくは世論が低所得層への対策として何を重視し何を容認するかが決定的に重要である。
1500円デモを巡る議論ではそうした点に殆ど触れていない。

当ウェブログが何度も取り上げている駒村康平・慶大教授は、
低所得者を支援したければ税を投入するか
消費者がより高い価格で商品やサービスを購入するしかないと指摘している。
これが正しい「経済学的」な考えではないだろうか。

▽ 「失われた20年」の間に日本の所得下位層だけが所得マイナスとなっている(他の先進国の下位層は皆プラス)

『中間層消滅』(駒村康平,KADOKAWA/角川マガジンズ)


以下のように当ウェブログはアベノミクスを批判してきたが、
必ずしも安倍政権だけに責任がある訳ではないのもまた事実。

「日本国民は僅か数年前の事実も忘れていると言わざるを得ない。
 今起きているのは2007年の信用バブルと殆ど同じであり、
 カネが余っているから仕方なく株式市場に流れ込んでいるだけの話だ」

「しかも当時より株価と配当利回りは高いのに、成長率は低い。
 これこそが自滅的で「次元の低い」政策の結末であり、
 ジム・ロジャーズが言う通り最後には「アベの背中に矢が突き刺さる」以外にない。
 8年前よりも日本の成長率も財政状況も明らかに悪く、
 これから生じる危機はリーマンショック時よりも更に深刻なものとなろう」

「日本経済新聞の世論調査が、今の日本経済の病巣を象徴する結果となっている。
 主要企業の社長は7割以上が「景気拡大」と回答しているが、
 国民の7割以上が「所得は増えない」と回答している」

「このような惨状になる理由は明白である。
 実質的な通貨切り下げを行ったためドル建てで日本が一気に貧乏になり、
 労働コストを大幅節減でき輸出競争力を高めた輸出関連企業と
 株価操作政策の恩恵を受けた金融業が「神風」で大復活、
 その代償として輸入価格インフレにより国民は貧しくなったからである」

「所詮アベノミクスとは、国民から大企業への所得移転に過ぎないのだ。
 大企業だけ景気が良く、国民が貧しくなっている(実質賃金と購買力の低下)のは
 見え透いた利益誘導政策の当然の帰結と言える。
 (唯一の成果は失業率低下だが、労働コストを切り下げたのだから当たり前だ)
 「次元の低い」安倍内閣は、国民の実質所得を向上させる政策を何一つ実行していないのである」

「毎日新聞の世論調査でも、日本経済の実態が分かる。
 はっきり予言しておくが、来年も再来年も同じように一般国民に恩恵は及ばない。
 安倍政権が国民全体に恩恵のある経済政策を実行していないのだから当然の結果である」

議論の質の低い識者やリベラル、反貧困派にも同様に
今日の事態を招いた重大な責任が間違いなくある。

 ↓ 参考

77%の国民が「所得は増えない」と回答、アベノミクスを完全否定 - 利益誘導で喜ぶのは大企業ばかり
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/06d9b5232b4ef4a8ed506c67573e6d42

2015年も実質賃金の下落は確定、70%以上の企業が増税分を補えず - 企業収益は配当とM&A原資に
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/2dab93e457c6119343648b9cfe58f55f‎

日本企業の収益は海外企業買収と配当に使われる、労働者には「お情け」程度 -「製造業の国内回帰」も虚妄
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/037cab51febbe7e385313cbc6edd3a79

▽ 日本は現役世代1人当たりの成長率は世界最高水準、経済停滞の真因は高齢化・労働人口減少要因

『日銀、「出口」なし! 異次元緩和の次に来る危機』(加藤出,朝日新聞出版)


「マクドナルドの時給1500円でも批判」がおかしい労働経済学的な理由(ハーバービジネスオンライン)
http://news.livedoor.com/article/detail/10038079/
”そのキャンペーンを巡ってネットには数多くの賛否の声が湧き上がった。
※参照 「ファストフード店の時給を1500円にしろ」は非現実的か? 世界の常識か?」(http://hbol.jp/35495)

 福島大学教授で労働経済学を専門にする熊沢透氏もまた、ネットにおいて「時給1500円」を否定する声のほうが幅を効かせていることに違和感を覚えたという。

◆中長期的には賃金引き上げで労働需要は減退しない
「賃金引き上げ策への批判の論拠としてしばしば出されるものに『賃金水準の上昇が労働需要を減退させる』というものがあります。これは、昔の『賃金基金説』的な発想と似ています。確かに賃金水準の上昇が労働需要を減退させるかどうかというと、短期的にはそれはあり得ます。そして個別経営を圧迫する可能性もあるでしょう。
 しかし、影響力を持った経済学では、マーシャル~ケインズへと発展する段階で、賃金基金説はきちんと否定されています。
 というのも、マーシャル以降の経済学では賃金(となるマクロの資金量)は「基金」(つまりストック)ではなくフローとかんがえるので、賃金上昇は生産性の向上や需要の拡大を通じてさらなる投資と雇用を生んで、中長期的にはむしろ労働需要の拡大につながる結果となる可能性を展望します。 
 私は賃金上昇→需要拡大を想定する立場ですから、非正規労働者の賃金はもっと高くしてもいいと考えています。社会的な公正さという観点からもそうですし、効率性の観点からも、実はそうなんです

◆「能力さえ上げれば誰でも高賃金」というお花畑的発想
 また、いわゆる「意識が高い層」や「自己責任論信奉者」が好む<「能力」があがればだれでも高賃金になるという発想><販売する商品の単価が安いとそこの従業員は低賃金になるほかない>などという考えについても異を唱える。
「そもそも、”能力”を高めておけば、その労働者は必ず高賃金が得られるような雇用機会に恵まれ、高賃金が支払われるのでしょうか。そんなことはありません。雇用機会への配当と賃金決定において、”能力の高さ”がなんらかのプラスの効果をもつことは否定しませんが、それは決して充分条件ではありません。
 どこでどんなふうに雇われるか、いくらの賃金が支払われるのかはもっと多様な要因で決まります。運、不運などの要素も影響してくる。
 それゆえ、賃金上昇を求める非正規労働者に対して“お前が自分の費用負担で能力を上げればいい”というのは、非現実的で冷淡であるだけでなく不確実な投機によって問題を自分で解決せよとする極めて無責任かつ無根拠な意見。逆に言えば、<『能力』を向上させれば処遇は改善する>と信じているのならば、ある意味お花畑的な考えです。

 ちなみに、賃金の決まり方・上がり方については賃金学説史上大きく分けてふたつの系列があります。広義の「能力」によって決まる・上がるという系列と、年齢階層別生計費によって決まる・上がるという系列です。両者は現実世界において必ずしも互いに排他的な関係にあるというわけではありません。ただ、どちらの説明力が高いか、という問題です。制度派で歴史的アプローチをする労働研究者は、総じて生計費説のほうが相対的にいって説得力があると考えます。
 また、<販売する商品の単価が安いとそこの従業員は低賃金になるほかない>という考えですが、そもそもハンバーガーの値段、ハンバーガー屋さんの客単価の水準それ自体は、ハンバーガー店の店員の低賃金を規定する要因にはなりません。
〔中略〕
 『1個100円の製品を作る/売る企業』と『1個100万円の製品を作る/売る企業』を比べた場合、賃金の支払い能力は後者のほうが必ず高いということは決して言えません。労務コストの構成と水準、換言すればつまり賃金の支払い能力は、規模や資本構成や売り上げや利益や労務管理方針によって決まるのであって、製品単価そのものの差からは説明できません

◆雇用の安定や賃金水準向上は経済成長の「果実」ではなく「土壌」
 それにしても、非正規雇用労働者の賃上げ要求を、経営者ならばまだしも、自らも被雇用者であるはずの一般人までもがこぞって否定するような風潮は、なんとも殺伐としたものに思えるし、結果的に社会全体を疲弊させるのではないだろうか
「『保障』という考え方は、『優しさ』や『ゆとり』とかいう以上に、持続可能な社会経済体制のためのビルトイン・スタビライザーのようなものです。福祉や雇用の安定や賃金・生活水準は経済成長の”果実”であるというのは、主に低成長期に強調される発想です。保障水準が切り下げられるから、その言い訳として『だって景気が悪くなったのだから、高度成長は終わったのだから』ということですよね。しかし、福祉や雇用の安定や賃金・生活水準は経済成長の”土壌”であるということも事実なのです」 <取材・文/HBO取材班> ”

これで「労働経済学的な理由」とは到底言えまい。
学術的見解と主観的意見とを混同しているだけでなく、
学問の名を借りて客観的根拠がない主張を平然と展開している。

最初この論考を読んだ際には「お花畑的な考え」を謙遜して自論にあてはめたのかと錯覚した。
なぜ自論ではなく他者の主張を「お花畑的」と規定したのか客観的根拠を明らかにして貰いたいものだ。

実際、「賃金上昇→需要拡大を想定する立場」ということならば現実の裏付けを持たない仮説に過ぎない。
また、「なんとも殺伐としたものに思える」「結果的に社会全体を疲弊させるのではないだろうか」
「主に低成長期に強調される発想」「福祉や雇用の安定や賃金・生活水準は経済成長の”土壌”」等々の
客観性に欠けた表現を見ると、社会科学的見解ではなく心理バイアスの発露を疑わせる。

確かに賃金が上昇した方が望ましいのは人情として当然であるが、
なぜマクドナルドの労働者の賃金が上がらないのか、どうすれば上がるのか、
なぜ「時給1500円デモ」への反応が冷淡なのか。
(熊沢教授がどれほど主張してもデモは大して支持されない可能性が高い)
そうした点を経済学的に分析しない限り、低賃金の現状は何ら変わらない。


マクドナルドの「時給1500円」で日本は滅ぶ。(中嶋よしふみ SCOL編集長)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150416-00010000-scafe-bus_all
”ファストフードで時給1500円は高い? 安い?
 先日、ファストフード店の時給を1500円以上に上げるべきだ、というデモが各地で開催された事が報じられていた。
『ファストフード店などで働く人の賃金アップを求める世界的な取り組み「ファストフード世界同時アクション」に合わせ、東京・渋谷など24都道府県30都市で15日、アルバイトの若者らが時給1500円の実現を訴えるアピール行動をした。
<ファストフード>世界同時 賃上げ1500円アピール 毎日新聞 2015/04/15』
〔中略〕
 時給が低いから生活が困窮している、だから時給を上げれば生活は改善する、という事なのだろう。さて、これは正しいのだろうか。結論から言うと100%間違いだ。もしファストフード店の時給が1500円以上になればマックもロッテリアもモスもすべてのお店がつぶれる。

■デモは誰にアピールしていたのか?
 時給は都道府県ごとに最低賃金が定められている。これを上回る限りいくらに設定するかは企業側の自由だ。そう考えるとこのデモは誰に対して何を要望しているのかさっぱりわからない。経営者へのお願いなのか、政治家への要望なのか、それとも世間に向けたパフォーマンスなのか、全く持って意図も目的も不明だ。
 ただ、意味が分からないと切り捨てるのも可哀想だ。加えて給料が上がる事自体は悪い事ではない。では給料アップはどのように実現する事が正しいのか、今回のデモを材料に考えてみたい。

■デモの主張はファストフード店を壊滅させる。
 まず、あえて重箱の隅をつつくようなところから議論を始めると、たとえばファストフード店だけが最低賃金を時給1500円に上げればいけない、というおかしな法律が実際にできたとする。そこで起きることはファストフード店だけが価格を大幅にアップせざるを得ず、他の飲食店やコンビニエンスストア、お弁当屋などに客が流れてファストフード店が壊滅する事だ。
 つまりこのデモの内容をストレートに受け取ればファストフード店を壊滅させる主張だという事になる。マクドナルドやモスバーガーの利益率は、2・3%程度で、他のファストフード店も同水準だろう。従業員の大半を占めるアルバイトの時給がこれだけ上がれば、まともに経営できるはずもない(マクドナルドは利益が出ていた頃)。
 ファストフード店の時給を上げろという主張の真意は、おそらく業種を問わず従業員の最低賃金を上げるべきだ、という事だと思われる。最低賃金の大幅な引き上げは低い時給で働いている人にはプラスになりそうだが、果たして何が起きるだろうか。

■時給1500円の世界で起こる事。
 まずは雇用が減る。給料の高い従業員を雇うとよそと競争が出来ない。全業種の従業員が時給1500円以上なら条件は同じじゃないか、と思われるかもしれないが、今までは人の手でやっていたことが、高コストになるのなら機械に置き換えよう、という事になる。
 半導体を作る工作機械などを見れば、現在の機械がどれだけ素早く、複雑な動きが可能かわかるだろう。飲食店のかなりの部分がオートメーション化も可能だと思われる。今までは高価な機械と人手を比較して割安なほうが選ばれていたのが、時給が高くなれば機械でやろうという事になる。
 現在、アマゾンの配送センターでは急激な機械化が進んでいる。1万5千台ものロボットを導入する事で500億円から最大1000億円の人件費を削減しているとも伝えられている。こういった事例からわかることは、解雇は規制できても雇用は強制できない、という事だ。

■時給1500円で国内産業は空洞化する。
 次に起こることは国内産業の衰退だ。人件費が上がればあらゆるモノの価格が上がる。すると企業にとって仕入れコストが上がる。これを抑えるには海外からの輸入品で代替しようという事になる。今までは輸送コストなどを考えれば国産品のほうが安かったものが人件費の高騰で割高になれば輸入品に切り替えよう、という事になるだろう。
 産業空洞化を押しとどめるために関税も上げてしまえ、という事になれば相手国にも関税をあげられて、外貨を稼ぐ輸出産業が壊滅するだろう。現実的に考えて高い賃金を維持するために関税を引き上げることは不可能だ。
 そして言うまでもなく価格上昇で需要が減る。
〔中略〕
■賃金は付加価値に対して支払われる。
 このように考えると、時給1500円をほかの部分を何も変えずに実施したところでしわ寄せがどこかに行くだけでデメリットのほうが大きいことがわかる。時給1000円ならば雇えた人でも雇えなくなるからだ。
 なぜこういうことが起きるのか。それは時給1000円の付加価値しか出せない人に1500円を払う事は企業にとってマイナスとなり、それをさけるために企業は別の手段を考えるからだ。繰り返すが解雇は規制出来ても雇用は強制できない。逆に言えば、1500円の時給をもらうにはそれに見合った仕事をすれば良い、という以外に回答は無い。
 経営者や株主の取り分を減らしてでも時給をもっとアップすべきだ、と主張をしても法律に基づかない主張を受け入れるかどうかは企業側の自由だ。これが発展すればストライキになるが、春闘が企業と労働組合の話し合いによってほどほどの水準で妥結するのは、企業にとってストライキは困るが過剰な賃金アップも困る、従業員は給料を上げてもらいたいけど会社がつぶれたら元も子もない、という相互依存の形になっているからだ。どちらか一方の都合だけでは給料アップはできない。
 ファストフード店のアルバイトが給料アップを勝ち取るには、日本全国のアルバイトが一致団結してストや退職を武器に戦うという方法もあるだろう。ただし、それをやったところですでに説明したように利益率を考えれば時給1500円は無理だ。経営者側は数十円とか100円くらいの上昇なら譲歩はあるかもしれないが、現在の1.5倍から2倍近い賃金を要求されたら、それなら辞めて下さい、今の時給で働いてくれる人を募集しますので、という回答しか出てこないだろう。

■副作用とインセンティブを無視した提案は誰も受け入れない。
 今回書いたような事は、何も特別な話ではない。細かく説明するまでもなく、時給1500円なんて無理でしょ、と多くの人が考えているだろう。今回のデモは海外から輸入したようだが、いささか発想が短絡的だ。すでに説明したように、時給を1500円に上げることによって、経営者にどのようなインセンティブ(動機付け)が働くか、そしてどのような副作用が生まれるか何も考えていないからだ。
 お祭り騒ぎのようなデモは大々的に報道され、参加者は大成功だ!と喜んでいるかもしれないが、一旦冷静に考えてみることをお勧めする。時給を1500円に上げたら何が起こるのか? なぜ自分は時給900円で、あの人は時給が1500円なのだろう?と。ただし、被害者意識を持っている限り、低賃金から抜け出すことはできないだろう
 そしてデモの主催者には、多くの人に受け入れられる根拠のある形へと主張を練り直す事をお勧めしたい。お祭り騒ぎのようなデモで給料が上がる事は決してない。

■「健康で文化的な生活」を保障するのは企業ではない。
 結局今回のデモに参加した人の動機は、今の低い賃金ではまともに生活できないという事なのだろうが、日本国憲法には次のようにある。
「第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」
 文面にある通り、主語はあくまで国であって企業ではない。企業に過剰な責任を求めることは雇用の縮小につながる。結果的に皆が貧困に陥る危険性があり、すでにそのような状況になりつつある。もう雇用をセーフティネットかのように考えるのは辞めるべきだ。それによって、失業保険や生活保護など本来のセーフティネットが脆弱なまま放置され、解雇されたとたん貧困に陥る状況になっている。これは「残業代ゼロ法案は正しい」と「安定した雇用という幻想」でも説明したとおりだ。
 企業は徹底した競争を、国は手厚いセーフティネットを。これが当たり前の環境にならない限り、失われた20年は失われた30年になってしまうだろう。

こちらが批判されている論考。
「日本は滅ぶ」という或る種の「釣り」タイトルを付けただけの話で、
経営の観点から言えばよくある主張に過ぎない。
(ただ、時給を上げた場合には労働時間をカットして人件費総額を抑制するのが最初の反応である)

ただ、マクロの観点から言えば「企業は徹底した競争を、国は手厚いセーフティネット」というのは
経済成長に必ずしも繋がらない。(現金給付の手厚い欧州国は総じて低成長だ)

GDPの構成要素は資本・労働・イノベーションであり、
成長分野で企業の積極的な投資を促すこと、(例:省エネや育児関連)
労働力が不足している分野で労働投入を増やすことの方が遥かに重要だ。


スイスのマクドナルドはなぜ時給2000円を払えるのか?(中嶋よしふみ SCOL編集長)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150422-00010000-scafe-bus_all
”スイスのビックマック価格は2.4倍!
 先日、ファストフード店の時給を1500円以上にあげるべき、というデモが行われた。
 デモの根拠として、「ドコの国は時給が○○円だから日本でも1500円は可能」という意見も散見された。国名は人によって異なるが、アメリカ、オーストラリアなどの国がいくつか挙げられていた。果たしてこの意見は正しいのだろうか。
 結論を先に言ってしまえば100%間違いである事は議論の余地もない。物価水準が異なり、なにより豊かさの水準が異なるからだ。ただ、このような指摘はファストフード店の非正規雇用者にとどまらず、なぜ日本人の所得は下がっているのかを考えるきっかけとなりうる。

■ビッグマック指数とは?
 購買力平価(こうばいりょくへいか)という考え方がある。簡単に説明すると世界各国の物価水準は摩擦が無く貿易されれば同じ物なら同じ価格になるように為替水準は調整されるはず、という理論だ。
 そして世界中で売られているマクドナルドのビックマックを基準に購買力平価を計算したものが「ビックマック指数」だ。ただし、同じ商品であっても国ごとに原価が違うので半分くらいは冗談も含んだ「雑な指標」という事になってしまうが、マクドナルドの賃金を考えるのなら多少は参考になるだろう。
 日本で時給1500円が可能という根拠として、以下のような国が挙げられていた。
 アメリカ、オーストラリア、ドイツ、スイス、ルクセンブルク、ノルウェー
 実際、アメリカのマクドナルドは給料の引き上げにより平均時給が10ドルになったと先日報道された。今の為替水準ならば1200円くらいになる。地域によって最低賃金はもっと高く引き上げられる場所もあるようだ。アメリカ以外でも最低賃金が今の為替水準で1500円以上の国もあり、スイスにいたってはマックの店員は時給で2000円も貰っているという。

■世界各国のビックマック価格
では日本とこれらの国をビックマック指数で比較するとどうなるか。以下の一覧は2015年1月時点で円換算した際の価格だ(1ドル117.77円 56か国)。

1位 スイス      888円 2.4倍
2位 ノルウェー    742円 2.01倍
6位 アメリカ     564円 1.52倍
15位 オーストラリア  509円 1.38倍
18位 ドイツ      501円 1.35倍
38位 日本       370円 
※ルクセンブルクは調査対象外
(世界のビッグマック価格ランキング 世界経済のネタ帳)

 いずれの国も日本より随分高い。スイスは世界一物価が高い国として知られるが、日本の2倍以上とかなりの高水準だ。これらの数字を見れば、賃金格差の大きな原因として価格差、つまり物価の差がまずはあげられる。これだけ価格差があれば賃金格差も当然という事だ。
 さて、これらの国を見てもう一つの事に気づいた人もいるのではないかと思う。いずれも先進国であり、しかも日本より豊かという点だ。

■日本は「世界第3位の経済大国」では無い。
 日本は世界第3位の経済大国で、他国よりこんなに賃金や物価が低いのはおかしいと思う人も居るかもしれない。
〔中略〕
 日本はGDPで中国に追い抜かれたが、中国を日本より豊かな国だと思う人はあまりいないだろう。人口を考慮すれば一人あたりの所得水準は日本よりかなり低いからだ。ではそれと同じように各国の一人あたりのGDPを日本と比較するとどうなるか(2014年、187か国)。

1位  ルクセンブルク   111,716ドル  3.07倍
2位  ノルウェー      97,013ドル  2.67倍
4位  スイス        87,475ドル  2.41倍
5位  オーストラリア    61,219ドル  1.69倍
10位  アメリカ       54,597ドル  1.50倍
18位  ドイツ        47,590ドル  1.31倍
27位  日本         36,332ドル 
(世界の一人当たりの名目GDP(USドル)ランキング - 世界経済のネタ帳)
 北欧やスイスは日本と比較して2倍から3倍と際立って高い。他の欧米諸国も日本より何割も高い数字が並んでいる。
 日本より上位には多くの先進国と一部の産油国がランクインしている。しかも28位にイタリア、29位にはスペインと、欧州危機の引き金になると言われるほど経済が悪化していた国(PIGS)が肉薄している。
〔中略〕
■日本は貧乏な国になりつつある。
 そしてなにより日本の27位という数字に驚いている人も居るかもしれないが、これが実態という事だ。なんで他の国は時給1500円を実現出来ているのに日本には出来ないのか?と問われるなら、「日本が他の国より貧乏だから」というほかない。
 つけくわえれば新興国の成長により相対的な豊かさも低下している。この点について最近は多少落ち着いたものの、長期的なエネルギー・食料品・資源価格の高騰などを見ても分かる。自国が横ばいでも他国が成長すればそれは衰退と同じだ。
 日本人の所得は名目で下がり続けているが、これはデフレが原因ではない。国として貧乏になりつつあり、所得が下がって購買力は落ち、結果としてデフレになっていると考える方が正しい。名目所得は過去20年でアメリカは7割、欧州でも4割上がっているが、日本は1割も下がっている(日本総研 政策観測 No.33 2012/02/27)。
 しかも現在の水準は毎年膨れ上がる莫大な借金と極端な金融緩和で下支え・水増しされている事も考慮すれば、身の丈に合った所得水準・生活水準はもっと低いと考える方が自然だ。

■時給900円で1500円分の仕事をやらされている?
 給料を上げろというデモが起きた背景に、仕事と賃金のバランスが崩れてきたことがあげられるだろう。年々増加する非正規雇用者の割合を考えれば、社員が担っていた業務をアルバイトが行う事もすでに珍しい事ではない。
 同一労働・同一賃金が実現していない日本で、非正規雇用者の増加とはつまり賃金の低下だ。なぜこんな事が起きるのか。それは経済がほとんど成長していないのに年金・医療など社会保障費の支出が毎年増え続けているからだ。帳尻を合わせるには誰かがワリを食う以外にやりくりする方法は無い。
 過去に景気が好調な時でも「景気回復を実感できない」と繰り返し言われてきたが、それもなんらおかしい事ではない。1%や2%程度の成長では現状維持がやっと、というほど日本は高コスト体質になっている。これらのひずみが若者と非正規雇用者に集中している。
 仕事がきつくなっているのに賃金が増えなければ実質的な所得の低下ともいえるが、それも株主や経営者が搾取しているせいではなく、国全体が高コストで貧乏になっている事が強く影響している。同じ仕事内容でも発展途上国なら時給で1ドル、日本なら10ドル、北欧なら20ドルという事はあるだろう。この賃金格差は経済格差、豊かさの格差としか言いようがない。
 経営者の報酬をゼロにしてもアルバイトの時給は1%も増やせない。「マクドナルドの原価を調べて見た」でも書いた通り、現在のマックは店舗の人件費が1割増えただけで粗利が消える。株主への還元を辞めれば資金の出し手がいなくなる。結局給料を上げる方法は経済を成長させる事、という以外に解決策はない。
 現在の日本は経済を成長させるには様々な足かせがある。それらを外せば給料は放っておいても上がる。豊かな国がいずれも日本より高い賃金水準にある事を考えれば、やはり国がやるべき事は賃金アップの要請ではなく、手厚いセーフティネットの構築と成長戦略という事になるだろう。”

労働経済学の観点で言えば、この購買力平価や実質賃金の話も触れなければならないだろう。
中嶋氏は不充分ながら触れているが、熊沢教授も計量分析を元に反論して欲しいものだ。

ただこの中嶋氏の議論にも大きな欠点はあり、
所得が増えないのは「国全体が高コストで貧乏になっている」ためではない。
低成長で全体のパイが増えていない上に現役世代向けの社会保障が極端に貧弱で、
高付加価値の雇用を新たに創出できていないからである。

また、日本経済の大きな「足かせ」は20兆円を超える高齢者三経費のバラ撒きと
生産年齢人口の長期減少トレンド、先進国としては低い女性就労率であり、
簡単に「外せる」ようなものではない。

卓越した政策先進国スウェーデンがなぜ日本より成長率が高いのか、
もっと研究してから論考を発表することをお薦めする。

▽ スウェーデンの手厚いセーフティネットや高福祉は、日本より厳しい逆進税があるからこそ実施できる

『スウェーデン・パラドックス』(湯元健治/佐藤吉宗,日本経済新聞出版社)


熊沢教授も中嶋氏も言及していないが、
給付付き税額控除を適用すればすぐに低所得層の賃金を引き上げることができる。
但し言う迄もなく財源が必要なので、有権者がそれに同意するかどうかが問題なのである。
(個人的には、口は出すがカネは出さない日本の有権者がそれに同意する可能性は低いと見る)
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小賢しい情報操作に必死な安倍政権、だから安全保障政策も支持されない-沖縄知事も古賀氏も「工作対象」

2015-04-27 | いとすぎから見るこの社会-対アジア・世界
安倍内閣が集団的自衛権に拘るのは、国益のためではない。
根本的には「普通の国」を目指す単細胞なドグマに基づいたものであり、
リアルポリティークの観点から言えば米国やその同盟国の利益に貢献するものである。

その証拠に、安倍首相がアメリカから国賓待遇で招かれている。
米国の意向に沿って東アジア安全保障により積極的に関与し、
カネも装備も兵力も出すと言っている
のだから、
そうした「忠犬」ぶりを愛でて「ご褒美」を与えられたということに過ぎない。

経済政策における安倍政権の「次元の低さ」はマイナス成長の数字で完全に証明されたが、
安全保障政策における「次元の低さ」もまた、証明されつつある。

安倍政権はよほど自信がないのか、自らの推進する安全保障政策に邪魔な
沖縄県知事や古賀茂明氏を対象に情報操作工作を行っているようだ。

これは慧眼な井上久男氏が見抜いた通り、
安倍政権と言うよりはその周辺の阿諛追従の輩が
政権の意向を「忖度」し先回りして「忠勤」に励む媚び諂いによるものだろう。

「安全保障においては保守もリベラルも根本的に当てにならず、
 他の分野でもジャミングと内ゲバばかり展開している情けない状況だ」

としてきた当ウェブログにとっては想定内の話であるが。
安倍政権には経済成長率を改善する力は全くないものの
ジャミングだけは非常に巧みなので悪質である。
(まるで広告とマーケティングだけが上手い企業のようだ)

ニクソン政権におけるあのウォーターゲート事件も似たような状況で起きた。
正々堂々と政策や議論により状況を打破するのではなく、裏工作に頼ったのだ。

恫喝と圧力によりメディア・コントロールを得意とする安倍政権も
何か重大な一撃を受ければ攻守が逆転して十字放火を受ける可能性が高い。

これまで傲慢不遜に振る舞っていただけに良識ある者には不満が溜まっていること、
今は「忠勤」に励んでいる飼い犬達は本質的にオポチュニストだから
裏切った際には小早川秀秋よろしくまず味方に矛先を向けるからである。

特にメディア界には安倍政権の裏工作をじっと観察している者が多い。
当ウェブログの見るところでは2016年か17年には政府の無策による経済悪化で
安倍政権が馬脚をあらわして支持率が沈没する可能性が高い。
海外要因や致命的なスキャンダルがあれば早ければ今年にも地雷が炸裂する。

その際に、安倍政権は独善的なメディア・コントロールの報いを受けることになろう。
言う迄もなくそれは自業自得ではあるが。

▽ 日本の右寄り勢力の歴史的な特徴は、対立する国内勢力への攻撃である(だからこそ外敵に惨敗した)

『太平洋戦争と新聞』(前坂俊之,講談社)


毎日新聞の最新世論調査は、当ウェブログの以下の主張が正しかったことを裏付けている。

「各媒体の世論調査が興味深い傾向を示している。
 集団的自衛権をはじめとする安倍内閣の安全保障政策への支持率は低く
 概ね半数を割り込んでいるが、自衛隊に対する世論は対照的だ」

「自衛隊への信頼度は安倍内閣支持率より高く、印象も良い。「自衛隊を強化すべき」も過去最高だ。
 つまり安倍内閣の安全保障政策より自衛隊への支持率の方が歴然と高いのである」

「人よりコンクリートにカネを使い、土建バラ撒きで寧ろ復興を妨害している安倍内閣より
 震災や災害で泥をかぶり必死で生存者やご遺体を探す自衛隊の方が
 国民に支持されているのは極めて当然である」

「そうした「支持率格差」が生じるのは他に重大な理由がある。
 戦後の日本が、歴史上初めて安全保障上の脅威を実感しているからだ。
 それは言う迄もなく、中国の軍事力強化と膨張主義である」

「そうした現実を理解できず、世論を読めていない保守と安倍政権支持派は
 安倍内閣への支持率の主因が「他に人がいない」「民主よりはまし」である事実も見えておらず、
 現下の日本の安全保障問題についても誤った認識を持っている」

「現代における安全保障は国力すなわち経済力に裏付けられたものであり、
 自衛隊が最前線で何とか優位を保っていられるのも過去の経済成長の「遺産」である。
 無意味な異次元緩和でゼロ成長、若者は急減して財政悪化は依然として変わらない日本が、
 減速しつつあるとはいえ5~6%成長で10倍の人口を擁する中国に対し、
 互角以上に相対していくことには重大な困難がある」

「しかも脆弱極まりない原発銀座を抱え、狭い国土に人口が密集している日本が、
 ミサイル戦になったら致命的に弱いという事実も益々明らかになってきている」

日本の安全保障論議における最大の問題は、
実際に起こり得るケースに即したリスクシナリオの想定分析と、
費用対効果を踏まえた現実的な対抗策が殆ど論じられていないことだ。

 ↓ 参考

支持されない安倍政権の安全保障政策、自衛隊を信頼する真因は「中国の脅威」- 経済的劣位も重要
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/52b252f68c5939b0364eff4664767cf0

フランスの英雄は国歌を歌わず、ドイツの教員は国歌1番を歌うとクビ - 日本の保守論者が語らない現実
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/df28d76a69d85e4c61fe550c985c0b39

首相の靖国参拝への賛意は「ゆとり教育」の悪影響、単なる無知と敵愾心 - まず近代史の理解が足りない
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/048d33b0c60b40732c69e1cd59104e77‎

▽ 日本の安全保障にとって重要なのは集団的自衛権ではなく、中国のアクセス拒否戦略への的確な対抗策である

『米軍と人民解放軍 米国防総省の対中戦略』(布施哲,講談社)


本社世論調査:辺野古移設 政府対応に「反対」53%(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20150420k0000m010086000c.html
”毎日新聞は18、19両日に全国世論調査を実施した。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設を巡って、移設に反対する沖縄県と対立を深めている政府の進め方について尋ねたところ、「反対」が53%と過半数を占め、「賛成」の34%を上回った。
 安倍晋三首相が17日に翁長雄志(おなが・たけし)知事と初めて会談するなど、政府は対話を重視する姿勢に転じたが、計画通り移設を進める方針は変えていない。
〔中略〕
 移設反対を掲げて当選した翁長氏が昨年12月に知事就任して以降、首相や菅義偉官房長官は会談に応じてこなかった。翁長氏は今年3月、沖縄防衛局に辺野古での移設作業の停止を指示。これに対し、林芳正農相が執行停止措置をとるなど、溝が深まっていた。
 菅氏は今月沖縄を訪問し、5日に翁長氏と初めて会談。知事の要望を受けて首相との会談も実現した。政府の方針転換は、世論に対話姿勢をアピールする狙いがある。だが、首相や菅氏と翁長氏の会談はいずれも平行線に終わった。
〔中略〕
 政府が集団的自衛権の行使を含む安全保障関連法案を今国会で成立させる方針について聞いたところ、「反対」が54%で、「賛成」の34%を上回った。賛否とも前回3月調査からほぼ横ばいだった。政府は来月中旬に法案を閣議決定して国会に提出し、6月24日までの会期を8月上旬まで延長したうえでの成立を目指しているが、世論の反対は根強い。
 関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の再稼働について、福井地裁が新規制基準などの安全基準が不十分として差し止めた仮処分決定については、「評価する」が67%で、「評価しない」の24%を大きく上回った。
 安倍内閣の支持率は47%で前回3月調査より3ポイント増加。不支持率は33%で1ポイント減少した。【仙石恭】”

こちらが直近の毎日新聞世論調査。
安全保障問題においても原発再稼働問題においても、
安倍内閣は支持されていない。
(それでも支持率が下がらないのは、ひとえに民主党政権の失態のおかげである)

「集団的自衛権については安倍政権は信用されておらず、有権者は海外派遣にも慎重である。
 以前の調査では、集団的自衛権を認めても脅威は低下しないとの回答が多数派であり、
 安倍内閣よりもこの国民の認識の方が遥かに賢いと言えよう」


と当ウェブログが書いた通りである。

ただ、辺野古移設に反対するなら少なくとも他都道府県に米軍配備を分散しなければならないし、
或いは自衛隊の戦力を相当に増強しなければならない。
そこまで考え抜いているとは思えない。


安倍政権 「翁長沖縄知事は中国の手先」との情報工作進める(ポストセブン)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150417-00000023-pseven-soci
”普天間飛行場の辺野古移設に反対する翁長雄志(おなが・たけし)・沖縄県知事に対し、徹底した会談拒否方針を貫いてきた安倍政権だったが、急遽、方針を一転させて菅義偉・官房長官が沖縄を訪問。翁長知事と会談した。基地移設について「粛々と進めていく」と語る菅官房長官に対し、翁長知事が「上から目線」だと批判をすると、菅氏はすぐに「粛々と」は封印すると語った。
 宥和姿勢を装う裏で、政府側は翁長知事に対する情報工作を進めている。本誌が昨年12月、沖縄知事選の情勢を取材していると、複数の公安や内閣情報調査室(内調)の関係者から「翁長の疑惑を何か掴んでいないか」という探りが入った。同時期、別の情報機関の関係者が沖縄県に入り、翁長氏の当選を阻むためのスキャンダルを探し回っていたという証言もある。
 結局、翁長氏は仲井眞弘多(なかいま・ひろかず)氏に大差をつけて勝利したが、辺野古移設問題が暗礁に乗り上げるやいなや、虚実ないまぜのネガティブキャンペーンが展開された。「翁長は中国と近すぎる危険人物」という情報である。
 一つが、那覇市の若狭緑地に建設中の中国風のモニュメント「龍柱」をめぐるものだ。
〔中略〕
 福建省・福州市との友好都市締結30年を記念し、「那覇の新しい玄関口としての魅力を高めたい」と龍柱建設を計画した。それは翁長市長時代に決められたプランであり、「翁長氏に中国側から賄賂が流れた」という怪情報が地元で流されているのである。加えて「龍柱が完成したら、龍の目は上海を向く」というイチャモンのような話も広められた。
 菅官房長官の沖縄入りと前後して、情報工作はさらに熱を帯びた。
「翁長知事の娘は長く中国に留学していた」
「娘は、上海市政府に勤める中国人と結婚している。相手は習近平人脈に連なるエリート共産党員だ。中国に行ったままなかなか帰国を認めてもらえない。人質に取られているも同然だから、基地問題で中国寄りの姿勢をとらざるを得ない」
 そんな内容で、一部のネットメディアにリークされ、同じタイミングで自民党議員や番記者たちも噂を広めていた。それがネトウヨたちに転載されて一気に広がった。
 しかし実際は、娘は結婚も留学もしていない。
「龍の目が上海を向く」も、単に空港からの車の流れや港に着く船からの人の動線を考慮して「海側に向けられただけ」だった。”

「誤爆」の多い週刊誌なので正しいかどうかは何とも言えないが、
安倍政権に関しては今迄の動きから見て確度はかなりある。
例えば以下を参照。


「古賀氏は近々、新党結成」(首相官邸筋)、『報ステ』利用した古賀氏の宣伝活動は大成功(Business Journal)
http://zzasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150408-00010001-bjournal-soci
”「古賀茂明氏は近々、新しい政党を立ち上げると聞いています。もしそれが事実だとしたら、一般的な意味でのコメンテーターではない。だからこそ官邸としても、古賀さんの言動には神経質になってしまう」
 安倍晋三首相側近と目される首相官邸中枢スタッフはこう打ち明ける。
 3月27日放送のテレビ番組『報道ステーション』(テレビ朝日系)生放送中に起こった、キャスター古舘伊知郎氏と元経済産業省官僚・古賀氏の激しいやりとりが、今に至るも大きく尾を引いている。
 改めて指摘するまでもなく、この1件は「古舘氏vs.古賀氏」という矮小化された見方では、絶対にその本質に迫ることはできない。しかし、「官邸からの圧力」の有無にフォーカスしてみたところで、ピント外れになってしまう
 そもそもテレビ業界の基本的な受け止め方は、「よくもテレビ朝日は、これまで古賀氏を使い続けたものだ。ある意味で驚きであり、皮肉を込めて言えば、その点で『報ステ』は立派」(テレビ局関係者)というもの。これまで古賀氏をコメンテーターなどで起用していたテレビ局は極めて限定的で、ほぼテレビ朝日と TBSのみだった。ここ最近ではそのTBSでも出演期間は少なかった。
 その理由は、あまりにも激しい政権批判がテレビ局にも嫌われていたからにほかならない。その点については古賀氏も十分に認識しており、「僕が出られるのはテレビ朝日くらい」と語っていたという。
 しかし、そのテレビ朝日ですら国政選挙期間中は古賀氏がレギュラー出演する番組でも起用を見合わせていたのが実情だ。つまり、古賀氏の発言が特定党派を利することになりかねないと判断されたからにほかならない。メディアとしての公正中立という立場を考えると、こうした対応もやむを得ないといえよう。
 少なくとも官邸、そして自民党サイドは、冒頭の官邸スタッフのコメントからも明らかなように、古賀氏が特定の政治勢力をバックアップすることを意図してコメントしていると認識しているのだ。
 そうした点でいえば、今回の一件の核心は「古賀氏vs.官邸」という政治的な対立構造にある。
〔中略〕
 いずれにしても大多数の視聴者は、古賀氏を「正義」と位置づけたのではあるまいか。もしもそうだとしたら、古賀氏のプロパガンダ(宣伝活動)は大成功といえる。 (文=須田慎一郎/ジャーナリスト)”

これは官邸の情報操作を手伝っている記事である。
執筆者にいかなる意図があろうと、古賀氏を中傷し官邸を正当化する内容だ。

「古賀氏の発言が特定党派を利する」と書くこと自体がプロパガンダであることを、
メディア関係者ならよく分かっている筈である。
(恐らく官邸寄りの記事を書くことで特別に情報提供を受けたいとの意図だろう)

日テレのトップですら官邸の「圧力」と認めているのだから、
「ピント外れになってしまう」などと平気で書ける神経には感心する他ない。
国民ではなく官邸を向いて記事を書いていると言うより他になかろう。
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「政府の介入するような組織で、誰が審議委員でも大差ない」- 傀儡化する日銀に冷ややかな市場関係者

2015-04-26 | 注目投資対象・株価の推移
              ↑ USD/JPY(ZAI) ドルはまた叩き落とされて下落余地拡大

今週は第五週ながらFOMCと製造業ISMが控えている変則的な月で、
おまけに米消費支出と米GDPも重なっており大忙しだ。
バカンス気分に浸りかけていると大変なことになりかねない。

元々円高アノマリーの強いGWを控え、まず上値追いは考えられない上に
今回は根拠のない追加緩和期待も意外に強く、
益々もって30日の政策会合で「セル・オン・ファクト」の可能性が高まっている。

黒田日銀総裁は「物価目標率2%を達成する」と大見得を切って見事にコケるという、
実体経済を無視して希望観測的な理論に縋る悪い癖があるが
為替介入に長らく関わっていただけに短期的に市場を驚かせるのは得意だ。
市場が追加緩和を予想している際に追加緩和を行う愚行はないと予想する。
市場が油断している時にこそ金融政策は最大の効果を発揮するのである。
金融政策は短期的な不況対策に過ぎず、中長期的な経済成長には無関係であることがここからも分かる)

また、言う迄もなく最近の東証の堅調ぶりは米経済の減速と
GPIFをはじめとする官製マネーの流入によって支えられているため
何ら日本経済の実態を反映していない「株価操作」である。

5月は追加緩和期待の剥落懸念だけでなく、日本が連休の間に
ISM非製造業、ADP雇用と重要指標が連続しており、しかも「官製マネー」もバカンスに入る。
連休明けに東証の「値が飛んでいる」可能性があり、海外スペックもそれを心得ている筈だ。
全力で売りを仕掛けて連休明けに公的マネーに買って貰えば往復で稼げる。

何のことはない、公的年金を高リスクに晒す安倍政権の株価操作政策が
海外スペックを二重に稼がせるという余りにも間抜けな構図になりかねない訳である。
(「株高=経済活況」と洗脳されている愚民がそれを喜ぶという最低の展開も考えられる)

「日本は安倍政権の株価操作政策で一部の連中だけが
 好景気であるかのように吹聴しているが、マイナス成長の現実はびくともしない。
 表面的な糊塗を重ねて誤摩化しを続けるほどこの反動は甚大なものとなろう」

「これは政策要因で突発高になっている香港市場も同様であり、
 今年人口動態においてポイント・オブ・ノーリターンを通過する中国経済は
 日本と同様かそれ以上の長い苦渋の時代を経験することになろう。
 (中国の統計はいい加減極まりないから、日本よりも悲惨な人口動態劣化の可能性が高い)」

「日経平均2万円は偶然と株価操作の産物に過ぎず、
 決して日本経済や日本企業の強さを示すものでは全くない」

「公的年金基金が過大なリスクを取って株価を無理に押し上げても
 その分が消費に全く回らないのは明白だ。
 冷厳な低成長の現実を変えることはできない」

「今、バフェット・インディケーターがバブルを示唆しているばかりか
 NT倍率も過去最高の水準へ接近しており東証の脆弱さは明白だ」

「2015年も2%に満たない低成長は確定である。
 次元の低い安倍政権が真の成長政策を全く行っていないので当然の話だ。
 消費マインドの改善もごく僅か、日経報道が示唆するように
 「実際の消費増」は殆ど見られていないのが実態である」

「長らくリードされていたムンバイに急速な勢いで
 キャッチアップしつつある香港だが、実力かどうかは何とも言えない。
 一時的な政策要因で今年の天井となる可能性もある。
 成長率では遠からず中印逆転となるのは間違いないので「最後のあがき」かもしれない」

としてきた当ウェブログの見方は変更しない。
日本も中国も短期的な株高は政策で演出できるものであり、実体経済から乖離すれば調整は必然である。
東証については「2万円に届こうが届くまいが、バブルであることに変わりはない」である。

「そろそろ調整局面かと警戒する声が増えてきた。
 外国人が買い始めて2ヵ月ほど過ぎ、頃合いではある」

「逆指標としても東洋経済が派手な表紙の株式特集を組み、
 当たらないことで定評のある大衆週刊誌が「東証2万円」を掲げ、
 嫌が応にも不吉な予感が濃厚になりつつある」

「当ウェブログが最も警戒しているのは
 巨額の先物を買い込んで相場をリードしてきたスペックの動向だ」

「「バフェット指標」は東証が既にバブルに突入したか、
 或いはかなり接近している状態であることを示唆しており
 今の東証の水準がまともだと思ってはならない」

「官製市場が言われてきても小幅の調整は経ている訳だから、
 今年年初の下落と2月以降の急騰は外国人の売買なくして説明できない」

「日本では、金融緩和によるデフレ脱却という、
 歴史の教訓を完全無視した馬鹿馬鹿しい宗教が金融当局を蝕んでいる。

「黒田日銀の主張とは正反対にCPIは刻々と低下しており
 市場では4月30日の追加緩和を予想する向きが増える始末だ」

「黒田日銀は完全にリフレ・ドグマに浸潤されて、
 デフレ脱却という愚劣な目標が自滅的であることに全く気づいていない。
 特定層だけを潤し、日本経済を破局へ追い込む追加緩和に追い込まれるより他に道はないのだ」

「GPIFの巨額買い支えも急ぎ過ぎて今年でほぼ弾切れの可能性があり、
 新規投入される三共済年金マネーもGPIFの4分の1弱の規模である。
 所詮は株価操作でしかなく、信用バブルと同様に持続的に市場を上昇させることはできない」

「GPIFの買い余力は5兆円強だから、
 三共済マネー3.5兆円との「連合軍」でも総計8.5兆円程度、
 2013年の外国人買い15兆円の半分強に過ぎない」

「官が株価操作している今の官製市場においては、
 見せかけの好況では成長率も1人当たりGDPも改善する訳がない」

「安倍政権の中には株価さえ上げておけば何とかなるとあさはかな了見を持つ者がいるのだろう。
 そうした近視眼の輩の愚行の報いで日本経済が危機に陥ることになる。
 歴史は真実を語っており、株価を操作しても実体経済を欺くことはできない」

「「東証がバブルに突入した」と判断した。
 カネ余りで急速にPERが上昇する現象は、2007年にも起きていた。
 業績に直結しないテーマで浮かれた上昇が続出していたのである。
 経験則では、こうした異常事態が起きると2年以内に景況が暗転する。
 2007年ばかりではなく、2000年もそうだった」

「アベノミクスの「三本の矢」は間違いなくインチキだが
 東証を支える株価操作の「三本の柱」は強固だ。
 この株価操作の報いで日本市場は遠からず塗炭の苦しみを味わうことになるだろう」

「米経済は矢張り減速感が強まってきており、楽観視できない。
 インデックスで東証にアウトパフォームされたのは
 日本経済が強い訳では全くない。米経済が想定外に弱いためだ」

「当ウェブログの懸念通り原油安でシェール産業が苦しくなり、
 アメリカの投資と雇用にも悪影響が生じつつある」

「結局ギリシャ問題は何とか峠を越えたものの、
 ウクライナ問題の余波とユーロ安誘導の困難で欧州経済の低迷は変わらないであろう。
 ユーロ円チャートはこの買い戻しも一時的なものに過ぎないと示唆している」

「今回の外国人買いはボリュームが乏しい。
 東証を大きく浮上させ得る確信を持った大口買いではなく、
 スペックの先物売り仕掛けも警戒すべきだろう」

「原油価格が再度急落し、例えばバレル40ドルを下回ると
 予想外のパニックが起きる可能性があることを警戒しておきたい」

「今の世界経済にはドル独歩高の負担は重過ぎる」

としてきた当ウェブログのスタンスは今週も維持する。

「RBA(豪中銀)が予想外の利下げを行い、
 資源国の苦境が改めて浮き彫りになっている。
 原油大幅安を受け、今後も資源国の景況下振れのリスクに注意が必要だ」

「外国人投資家からは「日銀緩和しか円安材料がない」との声が上がっており、
 当ウェブログが予想したように今年最大の材料は追加緩和ということになりそうだ。
 今年に限っては米利上げより大きなイベントになり得る」

「原油安にとって最も大きな打撃を受けるのがシェール業界である。
 アメリカ経済の回復に大きな貢献を果たしてきたシェール産業は、
 ハイイールド債市場で大きなプレゼンスを持っているため、
 シェールバブル崩壊の余波で米経済は更なる下振れも考えられる」

「ドルが停滞し、ユーロが量的緩和の圧力を受けるとなると、
 東証が続伸して上値を伸ばすのは非常に難しくなる」

「2015年は紛れもなく、我慢の年になりつつある」

としてきた当ウェブログの想定も依然として維持する。
直近では東証がダウをアウトパフォームしているが、
こうした期間は長続きしないと経験則は教えている。

「ECBもQEを実行することとなり、市場では効果が覿面に出ている。
 ロイター調査ではQEの効果に懐疑的な意見が多数を占め、
 ずるずると量的緩和策を続けざるを得ないとの見方が優勢である。
 (日銀についても間違いなく同様の結果となるだろう)」

「漸く日銀は、自らの掲げた物価目標が誤っていることを認める路線に軌道修正し始めている。
 物価目標は未達確実、成長率見通しも下方修正なのだから、
 黒田日銀のこれまでの政策そのものが間違っていた訳である」

「追加緩和を行っても日本経済が停滞から脱却する筈がない」

「失業率も雇用者数も市場予想を上回ったにも関わらず、ドルもダウも下落した。
 賃金下落のショックによるとも言われているが、それでだけでは説明できない。
 「買われ過ぎ」の水準にあると言わざるを得ないだろう」

「原油安が続くとの世銀の見通しも重要である。
 エネルギー投資は費用も労力もかかる。そう簡単にV字回復する状況にはない」

「更に悪いことに、投資家が皆ドルに対して強気であるため、
 その投機ポジションの重みでドル自体が沈んでしまいそうな需給になっている。
 たとえ見通しが正しくとも、市場には「多数派が間違う」という皮肉な真理がある」

「当ウェブログは、日本のGDPを20%近く切り下げて
 国民を大幅に貧しくした張本人である黒田日銀が
 今年前半に更なる追加緩和の愚行に走ると見ている」

「一部の層に収益機会を提供する点で「投資家の神」だが
 経済全体は成長せず「一般国民の疫病神」である黒い日銀は、
 マイナス成長を受けてもまだ目が覚めていない」

「最後には日本財政の救世主になるが、その代わりに経済危機の「A級戦犯」となる。
 概ねそのような結末しか残っていない。
 (因にジム・ロジャーズ氏は2016年から17年頃の危機を予想している)」

東証の「片肺飛行」でも官製マネーで内需関連は続伸した。
GPIFの買いは意想外に大きいことが明らかになり、「バブル」との判断は的中しつつある。

「焦点はエネルギー価格に景況が大きく左右されるロシアだ。
 ロシア経済のエネルギー依存体質は全く変わっていない。
 これほど急激かつ大幅に原油価格が下落すると、
 ロシア経済に甚大な打撃が与えられるのは間違いない」

「為替急落の後は実体経済の悪化が来るのが通例だ。
 原油急落は必ずしもOPEC減産見送り要因ばかりでなく、
 世界経済の減速による需要停滞観測も確実にあるものと言えよう。
 暗い影がかかっているのはロシア経済ばかりではない」

「経済悪化が鮮明になっているだけに
 特に内需関連の急反落を警戒しておかなければならない。
 (輸出関連は結局ドル円次第なので日本経済の好不況とはまた別である)」

「最悪の場合、鼠のレミングのように
 自滅的な集団行動へと向かっているとも考えられよう」

「当ウェブログは黒田総裁が異例の辞任に追い込まれると予想しているが、
 その見通しを補強する会合内容と言えよう。
 ここまで理のある反対意見を押し切って追加緩和を決断したからには、
 これから確実に生じる甚大な副作用の責は全て総裁に帰する以外にない」

「ここ数年、見たことのないような原油価格急落だった。
 OPECの減産見送りの背景には、OPEC内での多極化の進展だけでなく、
 サウジ等の大産出国がアメリカのシェールオイル採掘を牽制し、
 体力勝負に出た側面もあろう。
 それがもって回ってロシアを直撃しつつある状況、
 場合によってはロシア発の危機や地政学リスクの再燃もあり得る」

「今は恩恵が大きいように見える原油大幅安だが、
 デフレ脱却という愚かな宗教に感染した黒田日銀の追加緩和を招くだけでなく、
 コージェネをはじめとする省エネの努力を怠らせて電力利権を延命させる副作用もある。
 決して良い話ばかりではない」

と書いてきた当ウェブログのスタンスは今週も変わっていない。
ギリシャ問題を無事棚上げにできても欧州低迷は変わらず、
米経済減速も明確になってきている。

尚、昨年の追加緩和の時点では以下のように想定していた。

「追加緩和の決定は天災と同じような緊急速報で伝えられたが、
 日本国民に甚大な被害をもたらす点でも天災と似ている」

「黒田日銀総裁は市場の裏をかいて追加緩和を行った訳ではなく、
 異次元緩和の効果が出ていない失策を糊塗するために決断したようだ。
 これで任期途中の辞任の可能性が高まったと言える」

「勿論、「悪い円安」は確定である。
 1日で3%以上も円が急落することは、日本のGDPに換算すると
 ドル建てで15兆円以上も日本が貧しくなっていることになる」

「黒田バズーカ第2弾の害悪は、第1弾と比較にならないほど破滅的である。
 このように「発散」と呼ぶに相応しい急激な勢いで円が暴落している。
 120円に達する速度は予想できないほど速いと見ておいた方が良い」

「70年代や80年代の教訓から正しく学んでいれば、
 デフレ脱却で日本経済が好転するなどというカルト宗教の虚妄は明白である。
 資産価格バブルが健全な経済をもたらさないことも言う迄もない」

「実質的な円の切り下げは資産家を急速に豊かにし、
 ミドルクラスには資源・エネルギー・食料の悪性インフレをもたらす。
 アンダークラスにとっては最悪の状況で、エンゲル係数の高い家計が行き詰まる。
 軽犯罪が増え、日本の治安は悪化する可能性が高い」

「これから円安倒産が急増し「クロダ倒産」と呼ばれるようになり、
 愚劣な黒田バズーカ第2弾が、庶民の生活を破壊することが明らかになろう。
 昭和恐慌時の団琢磨と同様に、テロの標的とされる恐れすらある」

「投資家の稼ぎは日本が貧しくなった分の付け替えであり、特に為替は所得移転に過ぎない。
 人々の暮らしが苦しくなるのと引き換えに、一部の者に富が転がり込んだのである」

「2015年は安倍内閣が破滅の淵に叩き込まれるだけでなく、激動の修羅場となる。
 「円安=日本株高」という今世紀の常識がどこかで通用しなくなるだろう」

「当ウェブログは、これほど粗暴で破壊的な緩和策を全く予想していなかった。
 今迄の見方を全て転換し、「悪い円安」が急速に接近していると判断した。

「日本経済は危険な激動期に突入しつつある。
 マーケットのボラティリティが急激に拡大するなかで
 一部の者だけが豊かになり、足蹴にされた国民が憎しみの目で彼らを見る」

……当ウェブログが予想した事態は、より速く、より深刻な形で実現しつつある。

「ドル高円安が進行することで日本の輸入物価高・CPI上昇を招き、
 スペックの仕掛けによる自己実現的な円安トレンド定着の可能性も見えてきた。
 2013年前半にジョージ・ソロスが不吉な予言を行ったように、
 「円安が止まらなくなる可能性」を見ておくべきである」

「財務省の法人統計で衝撃的な数字が出た。
 米経済回復でドル高円安が進み輸出業に大きな恩恵が及んだにも関わらず、
 日本企業の自己資本比率は過去最高の水準となったのである。
 投資増の勢いは依然として弱く、人件費に至っては前年比で5%も減少している。
 自民党政権と経済界が結託して労働者の実質所得を減らしていると考えざるを得ない」

「このような内向きの日本企業を優遇したところで、
 日本経済が強く回復する筈がないのは火を見るよりも明らかである。

「成長率が低下しているにも関わらず政策に嘴を挟む大企業と癒着し、
 経営層や株主ばかりに恩恵を及ぼす自民党の旧態依然の体質が露見する。
 2014年に急落するのは間違いなく安倍政権の支持率である。
 2015年にはリフレ派への評価は地に墜ち、アベノミクスは嘲笑の対象となろう」

一方、余計な追加緩和によって「事実上のマネタイズ」との見方はほぼ的中した。

「目先の円安に幻惑され、日本の将来に不吉な影がかかっている」

「当ウェブログが予測していた「悪い円安」が、異様な速度で到来することになる。
 安倍・黒田コンビが市場を軽視したために、財政危機もほぼ確実に接近する。
 「剣によって立つ者は剣によって滅びる」との箴言と同じく、
 金融政策によって立つ者は金融政策によって滅びるのであろう」

「黒田総裁の「次元の違う」量的・質的緩和は、事実上のマネタイズである」

「日本の国債市場は再起不能になり、財政再建を果たす可能性はほぼ失われた」

「黒田バブルに便乗して億単位の稼ぎを得る者が続出するだろうが、
 今から警告しておく。決して調子に乗って騒いではならない。
 ツケを回された国民の強い怒りは決してそのような輩を許さないであろう」

「今年は苦難の始まりの年となるだろう」とした予言が、悲しいことに実現しかけている。
危険な「悪い円安」の時代は「もうすぐそこまで迫っている」のではなく、既に「迎えつつある」のだ。

↓ EUR/JPY(ZAI) ユーロ買い戻しのモメンタムが抵抗線で阻まれている形


↓ GBP/JPY(ZAI) ポンドは独歩高に近い形だが、BOEが黙ってはいないだろう


先週、ドルはしぶとく切り返したものの、
引き続き米経済指標が冴えないものばかりで
結局は上値切り下げに回帰してしまった。


ドル119円半ば、株価の上げ拡大で連れ高(reuters)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0NC0HZ20150421
”午後3時のドル/円は、前日ニューヨーク市場午後5時時点に比べ、ドル高/円安の119円半ば。早朝、海外ファンド勢の売りでいったん弱含んだものの、下値ではすかさず本邦勢の買いが流入し、底堅さが確認された。正午以降は動意に乏しかったが、午後3時にかけて株価の上げ幅拡大に連れて上昇し、この日の高値をつけた。
 ドルは早朝の取引で、一時119.17円付近まで下落。売りの主体は海外ファンド勢だったが、下値では東京勢の買いが間髪入れず流入し、下押しを阻止した。118円半ば以下では、まとまった規模で実需勢のドル買い需要が予想されているほか、テクニカル面では118.30円に支持線があるとされ「下値は盤石」(外銀)だとみられている
 午前11時までに119.50円まで買い進まれたが、その後は伸び悩み、午後2時にかけて119.40円付近で小動きとなった。目立った手掛かり材料もなく、「積極的にポジションを傾ける感じはない。119円半ばを超えてくれば違ったと思うが、そこもいったん止められたので動きにくい」(邦銀)との声が出ていた。
 その後、日経平均が上げ幅を拡大する中、ドル/円は連れ高となり、一時119.55円まで上昇した。
〔中略〕
 テクニカル面では、119.70―119.95円の水準に日足一目転換線と基準線が重なっているため、「この水準を上抜けると短期バイアスが上向きになる」(みずほ証券・投資情報部のチーフFXストラテジスト、鈴木健吾氏)との指摘もあった。

 <政府、日銀審議委員候補にトヨタ相談役の布野氏を提示>
 政府は21日、日銀審議委員にトヨタ自動車相談役の布野幸利氏(68)を充てる国会同意人事案を衆参両院に提示した。任期は5年間。6月30日に任期を迎える森本宜久委員の後任となる。
 布野氏は、神戸大卒業後にトヨタ自動車販売(現・トヨタ自動車)に入社した。トヨタ関係者によると、マーケティングへの関心が高く、その分野の知識が豊富なことで知られていた。
〔中略〕
 市場参加者の間では、布野氏の認知度が低く、これまでのところ目立った反応を見せていない。「政府の介入で、政策決定会合が中断されるような組織において、だれが審議委員を務めても大差はないのではないか」(市場関係者)との意見が出ていた。
 異次元緩和第2弾を決めた昨年10月末の決定会合では、政府の出席者が、財務相および経済財政担当相と連絡を取るため、会議の一時中断を求めるという異例の事態が発生した。

 <ギリシャ、公的機関の現金準備を中銀に移管>
 前日の東京市場終盤から欧州序盤にかけて、ギリシャ懸念が再燃した。
 ギリシャ政府は20日、資金難に対応するため、公的部門の機関や団体に対し、利用していない現金準備を民間銀行などから中央銀行に移管する法的措置を導入した。
 この措置を通じて約30億ユーロを確保し、公務員などへの給与支払い(11億ユーロ)、社会保険料(8億5000万ユーロ)、5月12日に期限が到来する国際通貨基金(IMF)の債務9億5000万ユーロの返済に充当する。
 ギリシャのチプラス政権は3月以降、公営企業などに対して準備金を政府に預けるように促してきたが、資金繰りがひっ迫したことを受けて強制措置に踏み切った。
 チプラス首相は、ギリシャの債務不履行(デフォルト)回避に向け、今週24日にラトビアの首都リガで開かれるユーロ圏財務相(ユーログループ)会合前に改革の具体案を示す必要がある。〔中略〕 (為替マーケットチーム)”

こちらは日経平均が切り返してきた火曜日の報道。
日銀審議委員候補についての市場関係者のコメントが興味深い。
官邸の思惑通り、日銀の「傀儡化」が着々と進んでいると言えよう。
「五族協和」という空虚な美名を唱え影で関東軍が操っていた満州国とそっくりだ。


ドル下落、弱い米住宅指標で=NY市場(reuters)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0NE2N220150423
”23日終盤のニューヨーク外為市場では、米住宅指標が弱く米経済の先行き懸念が増す中ドルが下落した。一方ユーロは、ギリシャの債務不履行観測が和らいだことで買われた。
 3月の米新築住宅販売は年率換算で前月比11.4%減の48万1000戸となり、2013年7月以来の大きな下落率となった。また米新規失業保険申請件数は3週連続の増加となり、4月のマークイット製造業購買担当者景気指数(PMI)も予想を下回った。
 終盤の取引でドル/円は0.3%安の119.52円、ドルの主要6通貨に対するドル指数は0.8%安となっている。
〔中略〕
 ユーロ/ドルは1%以上上昇し、1.0835ドルで取引されている。ギリシャのチプラス首相は23日のドイツのメルケル首相との会談後、ユーロ圏債権団との間で行われている債務問題解決のための話し合いを合意に向けて加速するよう要請した。
 あるギリシャ政府当局者によれば、両首脳ともギリシャのユーロ圏離脱を促すような行き詰まりを打開すべく、協議に「著しい進展」があったと述べた。
 ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(ニューヨーク)の通貨戦略部門責任者、マーク・チャンドラー氏は「ギリシャ支援問題の解決に向けて、わずかな希望があるのかもしれない」との見方を示した。〔以下略〕”

米鉱工業生産指数の大幅低下に続き、この新築住宅販売も衝撃的だった。
天候不順と港湾ストだけでこれら指標悪化を説明するのは無理がある。
ドル高による企業収益低下、原油安によるシェール産業減速の悪影響と考えざるを得ない。


ドル下落、米民間設備投資の軟化示す統計で=NY外為市場(asahi.com)
http://www.asahi.com/business/reuters/CRBKBN0NF2AL.html‎‎‎
”24日のニューヨーク外為市場では、米耐久財受注統計で民間設備投資の減速が示されたことで、ドルが売られる展開となった。
 終盤の取引でドル/円は0.6%安の118.87円。
 ドルの主要6通貨に対するドル指数は0.4%安となっている。ドル指数は一時およそ3週間ぶりの低水準に落ち込む場面もあった。週間では0.6%の低下となる。
 米商務省が朝方発表した3月の耐久財新規受注は、前月比4.0%増と、昨年7月以来の大きな伸び率となったものの、民間設備投資の先行指標となる、非国防資本財から航空機を除いたコア受注は0.5%減少し、7カ月連続でのマイナスとなった。市場は0.3%の増加を見込んでいた。
 このところ米国では小売売上高や住宅着工のほか、雇用関連の統計も軟調となっており、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ開始時期が後ずれするのではないかとの観測も出ている。
〔中略〕
 ユーロ/ドルは0.4%高の1.0866ドル。一時は2週間ぶり高値となる1.09ドルまで上昇する場面もあったが、ギリシャ支援交渉進展への期待が後退するに従い上げ幅が縮小した。
 この日にラトビアのリガで開かれたユーロ圏財務相会合では、ユーロ圏はギリシャに対し完全な経済改革計画に同国が合意しない限り新たな支援は提供できないとの立場を示し、同国が要請した支援金の一部の早期支払いを拒否。ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のデイセルブルム議長は会合終了後の記者会見で、ギリシャが支援融資を受けるためには包括的な改革リストを提出する必要があるとあらためて表明し、ギリシャに作業の加速を要請した。
 英ポンドは0.75%高の1.1572ドル。5月7日の総選挙を前に不透明感が高まっていることがポンドのリスクになるとの見方が出ているものの、一時は5週間ぶり高値をつける場面もあった。〔以下略〕”

週末にはドルが再び急落したが、その背景がこちら。
ユーロについてはギリシャ支援拒否でも頭打ちなのでまだ楽観が強い状況、
その一方でポンドとの乖離が広がっており今週も注目していきたい。

    ◇     ◇     ◇     ◇

注目銘柄、食品関連のロングポジションは市況を見ながら組換えを進める。
PF組み入れ比率は ①東京建物、②マツダ、③サイゼリヤの順で、ショートの比率が上昇中。

 ↓ 食品関連(Yahoo.finance) 食品バブルは主役交代か、優待銘柄の8200と3397が上昇気配



 サイゼリヤ(東証一部 7581) 2,014

 リンガハット(東証一部 8200) 2,319(今週より)

 トリドール(東証一部 3397) 1,733(今週より)

 マツダ(東証一部 7261)  232 → 306 / 178 → 275 / 87 → 217 / 130
               298 → 314 / 332 → 425 / 380 → 522
                (以降、5→1の株式併合)
                2,497 → 2,772 / 2,266 → 2,989 / 2,989(ショート)

 森精機製作所(東証一部 6141) 1,335・1,122(ショート)→ 1,289 / 1,550(ショート)

 マネックスG(東証一部 8698) 455 / 393 → 455 / 343・292・242(ショート)→ 278
                 272(ショート)→ 265 / 317(ショート)

 東京建物(東証一部 8804) 298 → 312 / 277 → 413 / 541 → 615 / 857 → 923
              1,128 / 890 → 801(ショート)/ 945

 ケネディクス(東証一部 4321) 604 →

 ユナイテッドアローズ(東証一部 7606) 1,044 → 1,215 / 1,087 → 1,284
                     1,146 → 1,526 / 1,341 → 1,752
                     1,906 → 3,160 / 3,410 → 3,650
                     4,025 → 3,345 / 3,780(ショート) / 3,110(ショート)

 ユナイテッド(東証マザーズ 2497)   2,800 / 1,696

 サンフロンティア(東証一部 8934) 61,600 → 114,600 / 77,700 → 154,100 / 88,300 → 154,100 /
                   132,300 (比較のため分割前の換算)

 トーセイ(東証一部 8923) 25,170 → 59,300 / 83,600 → 102,100 / 67,200 → 79,100 /
              82,100 → 64,200 / 75,600 (比較のため分割前の換算)

 インテリックス(東証一部 8940)  861 →

JPMがUAの目標株価を引き下げた。妥当なところだろう。
自社株買いがなければもっと株価水準は低かった筈である。

 ↓ 輸出関連(Yahoo.finance) 輸出関連は明らかな「売り」、過去最高決算のマツダも市場予想を下回った




輸出企業出身、円安に理解? 日銀審議委員にトヨタ布野氏(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF21H1H_R20C15A4EE8000/
”日銀審議委員にトヨタ自動車相談役の布野幸利氏(68)が就く見通しとなった。6月30日に任期を終える東京電力出身の森本宜久委員(70)の後任で、政府が21日、国会に人事案を示した。代表的な輸出企業の出身者が金融政策を決める日銀政策委員会に加われば、円安を伴う大胆な金融緩和を進めやすくなるとの見方もある。
 「円安のプラス効果を認識されているのではないか」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の嶋中雄二…〔以下略〕”

日本経済新聞ではトヨタ出身の日銀審議委員選出を
金融緩和政策強化のサインとする観測記事を載せている。
黒田日銀は所詮、官邸に操られた「傀儡」で滅亡するまで緩和中毒に陥る以外にない。


『日経会社情報』2015・春号 2015年 04月号


    ◇     ◇     ◇     ◇

  【 いとすぎの為替ポジション 】

依然としてユーロショート維持、「反発しても売り直しの局面が来る」とのスタンス。
週後半に突然ドルが崩れ落ち始めたのでドルもショートにした。

 2015/02/09 134.91 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2015/04/24 119.71 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)

    現在 > 129.30 ユーロ/円(損益118%)← 今年の損益率
         180.68 ポンド/円
         118.97 米ドル/円

 ◎ 2014年の損益率(手数料等除外)> 128%
 ◎ 2013年の損益率(手数料等除外)> 164%
 ◎ 2012年の損益率(手数料等除外)> 142%
 ◎ 2011年の損益率(手数料等除外)> 138%
 ◎ 2010年の損益率(手数料等除外)> 147%
 ◎ 2008年秋~09年末の損益率(手数料等除外)> 353%

  ▼ ポジション解消済み
 2015/03/20 119.97 USD/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2015/02/20 182.89 GBP/JPY Lev ×1.5
 2015/01/22 135.05 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2014/12/10 187.06 GBP/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2014/10/30 174.99 GBP/JPY Lev ×1.5
 2014/10/24 136.70 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2014/10/02 175.54 GBP/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2014/09/26 138.76 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2014/09/19 177.76 GBP/JPY Lev ×1.5 (ショート)

 …以下省略…

「ドル100円割れ」はなくなったと判断している。
120円に達する速度が異様に速く、「ドル150円時代」が接近している。
黒い日銀が円を切り下げ、格差が急激に拡大するステージに入った。

しかし今はリスク要因が多く、リスクオフを警戒すべき局面と見ている。
愚かな黒田日銀の追加緩和による「悪い円安」はひとまず減速の局面。

当ウェブログの予想通り、ドル上昇の「モメンタムは充分ではない」局面。
先週同様、「クロス円よりドル円が危うくなってきた」という見方を維持する。
投資家はギリシャ以外への打撃は限定的と楽観視しているようだが、市場では盲信は禁物である。

※ くれぐれも投資家各位で御判断下さい。
※ このウェブログを参考とし、めでたく投資収益を得られた方は、
  収益への課税分を社会に貢献する組織・団体に寄付して下さい。
  (当ウェブログのこちらのカテゴリーも御覧下さい。)
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