慶應大学の駒村教授は近著で、少子化問題が改善しなければ
社会保障制度も実質的に崩壊するとの認識を示されています。
内需と雇用創出が求められている今こそ、
育児関連部門へ大規模に予算を投入して
海外への輸出に依存しない経済を構築すべきです。
暫く前の、毎日新聞の福島記者のコラムを紹介します。
視野がグローバルで着眼点が鋭く、
読んでいて参考になるのでお薦めします。
発信箱:産めば得する社会=福島良典(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/science/news/20090318k0000m020130000c.html
”「あなたは結婚していますか」「結婚はしていません。子供は3人います」
「独身です。ブリュッセルで8年前から、彼女と一緒に住んでいます」
言葉は社会を映す鏡だ。通っている語学学校での教科書や会話練習から、
未婚の母や同居カップルを受け入れる欧州の結婚観や家族の形が透けて見
える。
フランスでは同性愛者を念頭に10年前に導入された婚姻によらない共同
生活契約「連帯市民協約」(PACS)の裾野が広がり、今では契約カッ
プルの約9割が事実婚の異性同士だ。
07年の大統領選でサルコジ仏大統領と争った社会党のロワイヤル元家庭
担当相もPACS組だった。事実婚や同居のカップルは社会的に認知され
ている。
結婚よりも肩ひじ張らない共同生活は、少子化対策の効果も生んでいる。
フランスで生まれる子供の2人に1人は結婚しないカップルの「婚外子」
だ。
見逃せないのは、結婚・非婚を問わず、共同生活と出産を「促す」社会の
仕組みだ。2人なら税金は約半分。子供が多いほど手当は厚く、税金は安
い。フランスでは大学まで授業料無償のため教育費も家計を圧迫しない。
「産めば得する社会」だ。
日本での少子化対策を巡る議論は、出産・子育てと仕事との両立をいかに
「支える」かに集中する傾向がある。しかしそれでは、両立に疲れ、保育
所費用の捻出(ねんしゅつ)と教育ローンに追われる親を大量生産するだ
けだ。
知人の欧州人女性は「もっと産みたい」と口をそろえる。日本人は「お金
がかかるから」と尻込みしがちだ。「誰もが家計の心配をせずに子供を産
み、育てられる社会」の実現を日本は最優先すべきだ。
(ブリュッセル支局)”
高齢層に偏った社会保障予算配分のために、
家族政策(育児関連)へ廻す予算が不足し、
大規模な雇用と労働力を生み出せる好機を
みすみす逃しているのが今の日本です。
子供を扶養しない世帯の税率の引き上げや、
積み立て分を大幅に上回る額の高額年金に課税しても、
何としてもこの分野を確実に成長させる必要があります。
社会保障制度も実質的に崩壊するとの認識を示されています。
内需と雇用創出が求められている今こそ、
育児関連部門へ大規模に予算を投入して
海外への輸出に依存しない経済を構築すべきです。
『大貧困社会』(駒村康平,角川・エス・エス・コミュニケーションズ) |
暫く前の、毎日新聞の福島記者のコラムを紹介します。
視野がグローバルで着眼点が鋭く、
読んでいて参考になるのでお薦めします。
発信箱:産めば得する社会=福島良典(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/science/news/20090318k0000m020130000c.html
”「あなたは結婚していますか」「結婚はしていません。子供は3人います」
「独身です。ブリュッセルで8年前から、彼女と一緒に住んでいます」
言葉は社会を映す鏡だ。通っている語学学校での教科書や会話練習から、
未婚の母や同居カップルを受け入れる欧州の結婚観や家族の形が透けて見
える。
フランスでは同性愛者を念頭に10年前に導入された婚姻によらない共同
生活契約「連帯市民協約」(PACS)の裾野が広がり、今では契約カッ
プルの約9割が事実婚の異性同士だ。
07年の大統領選でサルコジ仏大統領と争った社会党のロワイヤル元家庭
担当相もPACS組だった。事実婚や同居のカップルは社会的に認知され
ている。
結婚よりも肩ひじ張らない共同生活は、少子化対策の効果も生んでいる。
フランスで生まれる子供の2人に1人は結婚しないカップルの「婚外子」
だ。
見逃せないのは、結婚・非婚を問わず、共同生活と出産を「促す」社会の
仕組みだ。2人なら税金は約半分。子供が多いほど手当は厚く、税金は安
い。フランスでは大学まで授業料無償のため教育費も家計を圧迫しない。
「産めば得する社会」だ。
日本での少子化対策を巡る議論は、出産・子育てと仕事との両立をいかに
「支える」かに集中する傾向がある。しかしそれでは、両立に疲れ、保育
所費用の捻出(ねんしゅつ)と教育ローンに追われる親を大量生産するだ
けだ。
知人の欧州人女性は「もっと産みたい」と口をそろえる。日本人は「お金
がかかるから」と尻込みしがちだ。「誰もが家計の心配をせずに子供を産
み、育てられる社会」の実現を日本は最優先すべきだ。
(ブリュッセル支局)”
高齢層に偏った社会保障予算配分のために、
家族政策(育児関連)へ廻す予算が不足し、
大規模な雇用と労働力を生み出せる好機を
みすみす逃しているのが今の日本です。
子供を扶養しない世帯の税率の引き上げや、
積み立て分を大幅に上回る額の高額年金に課税しても、
何としてもこの分野を確実に成長させる必要があります。