mukan's blog

つれづれなるままに ひぐらしPCにむかいて

主婦の床屋政談(2) とてもじゃないが、付き合いきれない

2014-07-14 21:36:24 | 日記

★ 日本外務省の見解

 

 尖閣諸島が日本領土であるという根拠は、何なのだろうか。そのことについて外務省は、次の2点を挙げて説明している。

 

《1、第二次世界大戦後,日本の領土を法的に確定した1951年のサンフランシスコ平和条約において,尖閣諸島は,同条約第2条に基づいて日本が放棄した領土には含まれず,同条約第3条に基づいて,南西諸島の一部としてアメリカ合衆国の施政下に置かれました。1972年発効の沖縄返還協定によって日本に施政権が返還された地域にも含まれています。
2、尖閣諸島は,歴史的にも一貫して日本の領土である南西諸島の一部を構成しています。即ち,尖閣諸島は,1885年から日本政府が沖縄県当局を通ずる等の方法により再三にわたり現地調査を行い,単に尖閣諸島が無人島であるだけでなく,清国の支配が及んでいる痕跡がないことを慎重に確認した上で,1895年1月14日に現地に標杭を建設する旨の閣議決定を行って,正式に日本の領土に編入しました。この行為は,国際法上,正当に領有権を取得するためのやり方に合致しています(先占の法理)。尖閣諸島は,1895年4月締結の下関条約第2条に基づき,日本が清国から割譲を受けた台湾及び澎湖諸島には含まれません。》(外務省ホームページ)

 

 「1、」は連合国による戦後処理において「日本領」と認知されていること、「2、」は歴史的経緯を根拠として挙げている。

 

 「1、」はしかし、ソ連、中国共産党政府は同意していないという問題点を残している。
これについて外務省は、《中国共産党の機関紙である人民日報は1953年1月8日の記事「琉球諸島における人々の米国占領反対の戦い」において,米国の施政権下に入った琉球諸島の中に,尖閣諸島を明示的に含めて記述しています。その後も同国は,1970年代まで,サンフランシスコ平和条約第3条に基づいて米国の施政権下に置かれた地域に尖閣諸島が含まれている事実に対して,何ら異議を唱えていません》と、中国共産党政府が異議申し立てをしていない事実をあげています。

 

 「2、」は、「国際法上,正当に領有権を取得するためのやり方に合致しています(先占の法理)」と断っているように、いわば東アジアにおいて日本が最初に「(ヨーロッパ法理的に)近代化」したということを意味しており、「早い近代化のご褒美」であるともいえる。だから、中国が「欧米ルールが国際ルールとは言えない」と宣言した時点で、「歴史論争」になる。

 

★ 中国の「正論」

 

  清華大学当代国際関係研究院・劉江永副院長は、「人民網日本語版」(2012年7月28日)において、長文の「釣魚島問題で歴史的根拠がないのは一体どの国か」を発表し、主として産経新聞の提示した「論拠」に対する反論を試みている。大づかみにその要点をいうと、「琉球王国が中国によって興り、日本によって滅亡させられた歴史を持つことは否定できない事実だ」と明が冊封していたことをあげて、中華大陸を中心とした支配体制から説き起こしている。これでは尖閣諸島どころか、「漢の倭の那國」から始めると、九州辺りも含めなければならなくなるね。ともあれ、この中華大陸の冊封制度という支配体制と「近代の領有権」につながるかどうかを論ずるには、国家とはなんであり、近代国家と近代になっていない国家とは時系列的な並びになっているのかということから、取り上げなければならない。まさに、欧米ルールと中華ルールの「覇権争い」になると思われるが、私たちはそんなところから考えなければならないのだろうか。

 

 尖閣諸島が編入されたのが1895年1月、4月の下関条約よりも早かったことについて劉江永副院長は、「1895年1月14日、「当時と今とでは事情が異なる」として10年間狙ってきた釣魚島を沖縄県に編入することを閣議決定した。事前交渉もなく、戦争の終結も待たず、秘密裏に中国の領土を占領するという行為は、下関条約を利用して中国の領土を占領するよりも卑怯なやり方だ」と非難する。

 

 「早く近代化したご褒美」と私は位置づけて、話を近代以降に限定しようと考えている。だが、欧米ルールと争うとするなら、その時点で近代以前も組み込まなければならない。そうなると、次のような「論点」は、どこに位置づけられるのであろうか。

 

 中国は、「(日本の尖閣諸島国有化は)世界反ファシスト戦争の勝利の成果に対する公然たる否定であり,戦後国際秩序と国連憲章の趣旨・原則に対する深刻な挑戦である」と主張している。こういう、時代を取り違えてイデオロギー的に非難するという雑然とした論法が、中国当局の「常套論法」になっており、こういうやりとりでは、両国の間の冷静な論議ができるとは思えない。

 

★ 「暗黙の合意」か「自民党政権の勝手な拿捕・強制送還」措置なのか

 

 1972年の国交回復のときに、田中角栄―周恩来の間で「合意」があったということについて外務省は、「我が国の立場は一貫しており,中国側との間で尖閣諸島について「棚上げ」や「現状維持」について合意したという事実はありません」と明確に述べている。なるほどこれなら、「尖閣諸島に関して領土問題はない」ということが、そのまんま通用する。

 


 では、宮台真司が述べていた「自民党内閣時代も、拿捕・強制送還する習わしが続けられてきた」のは、なぜなのか。自民党政権の恣意的な振舞いの結果なのか。それとも「暗黙の合意」が、隠されているのか。これについては、どこにも記されていない。

 

 などと考えていたら、今日の報道で、沖縄返還における日米密約があったかなかったかで、最高裁の判決が出たという。「密約文書があったということを訴える側が証明しなければならない」という趣旨だそうだ。この裁判官は、馬鹿じゃないか。そんなことができるわけがないじゃないか。文書を扱う役所が、我が身を守るために、訴えられたのちに(当の文書を)廃棄したとしても、内部告発でもない限り「証明」などできるわけがない。かくも、国家のお役人・お役所は、専守防衛的に機密処理をするものだという証明のような話。国にたいする信頼が損なわれるような判決だよ。

 

 主婦の床屋政談では、とてもじゃないが、お付き合いできないですよね。


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