mukan's blog

つれづれなるままに ひぐらしPCにむかいて

お試し山行・黒部五郎岳(4)天晴れな北アルプス

2024-07-25 05:16:15 | 日記
 第4日目。黒部五郎岳登頂という今回山行の目的を達したせいもあったろう。だがなによりも、目が覚めて外を見たとき、黒部五郎岳や笠ヶ岳のモルゲンロートを目にし、昨日までの五里霧中が一気に解き放たれて、360度全周見渡せる快晴に恵まれたことであった。朝だけではない。この日一日雲は高く、夕方まで北アルプスの山々に雲がかかることはなかった。こんなこともあるんだ。
 黒部五郎小舎からの帰り路は、黒部五郎岳カールの岩場よりもきつい上りだ。ゆっくり歩を進めないとすぐにバテてしまう。所々で開ける眺望が歩度を緩め、疲れを忘れさせる。コースタイム1時間半の地点、三俣山荘への巻道との分岐が、ドンピシャリの同タイム。そこから40分ほど上りに上ると三俣蓮華岳2841mの山頂に着く。小舎で同室だった二人が前後して歩いてくる。ちょうどこの北アルプスの中央部に位置する三俣蓮華岳は、この日の絶景眺望台であった。それについてはこの連載の初回に記したから繰り返さないが、昨日までの雨がどうであれ、これを見るために来たんだよと口にしたいほど、見事な絶景であった。
 この山頂で重い荷を担いでいる単独行者に出会った。70歳でテント泊をしている。雨に祟られてうんざりしていたが、この晴れで報われたと悦ぶ。へえ、午年なんだと声をかける。ちょうど私より一回り若い。それをテント泊で頑張ってるなんてすごいじゃないか。そのペースであと12年は大丈夫ですよと、ヘンな励まし。
 前後して歩く同室者の一人はここから雲ノ平に向かう。もう一人は双六小屋までは私と同じだが、その先、槍ヶ岳へ向かう60代。後者の方とは、ほぼ双六小屋まで前後を歩き、双六小屋でお昼を摂って別れた。私はそこから2時間ほど。彼はそこから約5時間。4時にはつけるかなあと心配そうにしていた。
 双六岳も、東を槍ヶ岳や奥穂高岳の峰に、西を黒部五郎岳に挟まれ、その稜線を縦走するのは、晴れていればこそだが、天下を観望しながらの豪快な歩行となった。ただ西からの風が強い。稜線の東側を歩いているときは、汗ばむほどの陽気、西側にかかるとウィンドブレーカを着た方が良いほどの風に晒される。ハイマツの間を飛び交うホシガラスを何羽も見かけた。ある時は目の前の枯木に二羽のホシガラスが羽を休めていて、しっかりと姿をカメラに収めさせてもらった。あとで見ると、この日は99枚もシャッターを切っている。そのほかにスマホでも何枚か撮って、10年前に一緒に槍ヶ岳に登った孫に送ってやった。去年も笠ヶ岳への縦走路でとった槍ヶ岳を送ったことを思い出し、「今年の槍ヶ岳」とコメントをつけた。その返信。《天気いいね―――! いつ見ても立派》とあり、そのあとに富士山の絵文字をつけていた。ははは。彼と登ったときの槍ヶ岳はすっかり雲の中。ただ上ったという岩場の緊張感が槍の実感だったに違いない。
 弓折分岐に近づくと、下の方に鏡平小屋の赤い屋根とその周りの青々とした三つの池が、まるで緑に包まれた箱庭を見るようにこぢんまりとみえている。ああ、今日はあそこまでだと思うと、そこまでの6時間を忘れる。まだ11時半だ。
 12時に鏡平小屋に着いた。ここはコロナの所為もあってか、単独行者は約1畳分より少し広い蚕棚式のベッド。板の仕切りがある。頭の先には小窓があって、開けられる。足元ははしご段になってカーテンで仕切ることができる。ちょうど廊下の端っこだったので、はしご段の前にザックを置いて、必要なものだけ上に持ち込んで休むことができた。
 歩きながら、来月の裏銀座ルートのことをどうするか考えていた。
(1)5日間ほどが限界だとすると、裏銀座はムツカシイ。
(2)小屋をとるのに雲ノ平などは4月10日から受け付け、4/20に申し込んだら、開いている日がここしかなかったから、それを予約して、そこから逆算して、今日ここを上っているという人の話も聞いた。う~ん、それほどまでして、入山するというのも、何だかワタシの山歩きと違うって感じがする。
(3)水晶岳や野口五郎岳などの目的の山名が決まれば、5日間程度で行程を組んで、アクセスしやすいところから入山して退去するプランを組むことはできる。歳相応ということなら、そういう計画にした方がいいんじゃないか。
(4)いやなによりも、今回の山行はどれほどのダメージを身体に与えているか、あと四、五日様子をみてかからねばならない。
 ま、そんなことを考えながら、ボーとして過ごした。この日は、もっていった本を少し読むことができた。また、小屋の生ビールを飲むこともできた。ビールを飲む元気が戻ってきたと感じていた。
 さあ、明日は下山だ。


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