mukan's blog

つれづれなるままに ひぐらしPCにむかいて

俎の上の鯉

2024-10-02 08:22:58 | 日記
 昨日(10/1)は一日、苦汁と安堵に満たされた。大腸検査の日。前日9時以降は食べ物を口にしない。ま、いつも9時には床に就くからそれは一向に構わない。朝起きたときから、水以外は飲んではならない。ま、これも、たいして苦にならない。
 午前中いっぱい、前夜につくり冷蔵庫に入れておいた、モビプレップという「配合内用剤」2㍑を、2時間にわたって少しずつ飲む。10分に約170mlをコップに注いで、少量ずつ飲む。これが難儀。一時に飲めば何でもない量のように思える。
 でも少しずつ10分掛けて飲むというのは難しかろうと、スタートの時刻を7時45分とした。こういう半端な時刻で10分ずつを刻む方が、精確でよかろう。
 案に相違して、スムーズに飲めない。甘い。山を歩くときに飲むポカリスウェットやアクエリヤスも同様だ。だから市販のボトルではなく、粉末を買って3分の1とか4分の1に薄めて私は持参している。飲みやすくするために、これらを甘くしているのなら、辞めてもらいたいといつも思う。だが1時間、1㍑飲んでもまだ排便には至らない。次の1㍑に取りかかる前に水を500mlは飲めとある。たぶん下痢便にして腸で吸収する前に水分を排泄するから、身体の水分が不足するのを補うためであろう。
 この水がおいしい。口中にこびりついた甘みを取り払うほどの力は無かったが、無味無臭の水のうまさがじんわりと胃の腑を通る。でも、ま、あと1㍑かとおもったのが甘かった。次の170mlを口にしたとき、飲み込めない。というか、飲むには飲んだのだが、危うく吐き戻しそうになった。胃の腑が「もういいよ。いい加減にしてくれ」と叫びだしそうだと感じた。飲み終わるはずの10分が15分になっていた。次の170mlは、25分かかった。その次の160mlは、とうとう1時間かけてやっと飲み終えた。
 なにより苦痛に感じたのは、こうやってじわりじわりと飲むという行為は、他のことがまったくできないことだ。時刻を気にしていると、他のことに手がつけられない。もし他のことをやり始めると、必ずと言っていいほど、時刻を忘れる。薬液も飲めなくなる。加えてこの甘さが、とても他のことに気持ちを振り向ける余裕を消し去ってしまっている。これは私のクセなのか、誰もがそうだということなのかは、わからない。
 その間に何度かトイレに駆け込む。全部記録用紙に書き込むようになっているから覚えているのだが、固形便が、泥状になり、カスが残り、透明になる、という順序に従っているかどうかをチェックして、一杯ごと、つまり10分ごとに記録する。透明になったら飲みやめるともあったから、トイレに行くごとに「もういいかい」と問うようであった。
 1.5㍑は飲んだものの、次の分量はコップに注いだまんま目の前において、1時間以上、とうとう手をつけられなかった。その間もときどきトイレに向かい、チェック表に印を付ける。でもまあ、もういいか、と断念したのは11時を軽く回っていた。正午を過ぎてから医院に向かう。
 手続きをして、「透明になったか」と聞かれ、「半透明ですね」と応えるのが精一杯。大腸カメラを入れて、目障りな固まりとか濁っていたら医者は困るだろうなあと思いながら、でもしょうがない、これ以上の無理はできないと難行苦行の苦汁をおもった。
 幸い、すでに腸から排出したいモノはないらしく便意を催さない。私の前の検査者が手間取っているらしく、30分くらい待たされた。レントゲン室。検査着に着替えている身には、待つよりも空調が寒く感じられて微熱が出ているかと思うほどであった。途中若い看護師が膝掛けをもってきて、「済みませんね」と断ってきたので、ちょっとホッとした。忘れられているのではなかったようであった。
 検査は、坦々と進んだ。初めて大腸カメラを入れた二十年ほど前は、苦しくてうんうん呻った覚えがある。たぶんカメラも小型になったであろうし、ご近所のカメラ検査がうまいと評判の医者に変えたせいもあろうか、さほどの苦痛も覚えずに終了した。
 ポリープを一つとった。もう一つポリープが直腸の出口にあるが、これは出血の多い個所だから、大病院でとるようにした方がよい。とったポリープの検査をして、その結果をお知らせするときに、紹介状を書くという。
 去年も大腸検査をしたときには難なく通過したから、今年もやることはなかろうかと、検便結果を聞いて大腸カメラ検査をする必要があると聞いたときは、迷った。でもね、もう八十路を回って二合目にいる。「注意」を耳にしたときは素直に応じたがよかろうと、今回の検査を受けた。それが正解であった。
 大腸の清浄下剤を飲むのは苦しいけど、検査をしてよかったっていうことか。
 ポリープをとったので、一週間は繊維の多い野菜や刺激物、お酒はダメといわれ、カミサンはあれやこれや食事に気を配るのがタイヘンだ。だが、二週間後に大病院を紹介され、手術日程が決まれば、また入院手術ということになる。大腸癌かただの腫瘍かわからない。いずれにせよ、術後の食事にも関わるからカミサンはまた、気配りが増えそうだ。
 なるようになる。なるようにしかならない。私はもうすっかり、俎の上の鯉である。

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