mukan's blog

つれづれなるままに ひぐらしPCにむかいて

台風の傷跡に意気が挫かれる

2019-10-16 20:17:32 | 日記
 
 今日(10/16)予定されていた山の会の山行が中止になった。台風19号の影響で中央線が高尾から向こうへ行かない。じつは私は、別の予定があったのだが、そちらも台風のために中止となった。今日の天気は悪くない。山へ行かない手はない。
 
 朝、蕨山へ向かった。飯能からバスに乗り換え、名郷へ行く。そこから蕨山に登り、稜線を歩いて緩やかに下って河又に降りる。4時間半ほどのコース。順調に運び、8時40分には歩き始めた。ところが、20分ほど林道を詰めて登山道に入るところで沢を渡る標識があるのだが、沢に降りる道が崩落している。沢の水は茶色に濁って逆巻いている。沢に降りてはみたが、向こう岸へ徒渉するには水が多い。しかも、向こう岸に渡ってからのルートが、倒木と落石でふさがれている。
 
 上流部で徒渉できないかと、大きな岩を迂回して、砂防ダムの上へすすむ。昨日の足跡であろうか、一人誰か踏んでいる。だがそこも、大量な倒木が斜面を流れ下っていて、容易に乗っ越せない。少しばかり上部へまわってみるが、GPSをみると大きくルートから外れてしまう。急傾斜を下って沢に降り立ち、もう一度向こう岸に取り付く先を見るが、崖になっていて、やはり崩落したところをすすむしかないとわかる。
 
 実はここで、自分自身気づいて驚いたのだが、ほぼ意気阻喪していた。冬の山行の下見のつもりでやって来たのに、入口のところで躓いてうろうろしている自分に、がっかりしている。いつもなら、何とかルートを探して「ご正道」へ踏み込む。GPSもあるから、迷う心配はしていない。だが、登山口の様子をみて、行きたくなくなっているのだ。これは、どうしたことか。
 
 山に関する私の直感が「行くな、危険」と囁いているのだろうか。少し考えて、引き返すことにした。バス停に戻る。1時間ほどかかっている。だが、このままバスに乗っては、面白くない。車道をもう少し先まで歩いて山伏峠の先から伊豆が岳の中腹をめぐって、正丸駅へ出るルートが取れる。伊豆が岳に登ってもいいが、意気阻喪が尾を引いて、正丸駅への道をたどることにした。
 
 こちらの沢の水も濁っているが、ずいぶん落ち着いている。アラカンの男の人が通りかかって挨拶する。「いや、すごかったね。いまはだいぶ収まったがね」と台風の話をする。スギ材を伐りだし、皮を剥ぎ切りそろえて積み上げている。西川材といって、この地の名産品だ。車道はくねくねと曲がり曲がって標高を高める。幾軒もの民家が、先々にある。屈曲する車道をショートカットする道がところどころにある。そこへ踏み込む。鉄の階段もあれば、とても急な傾斜の舗装路が立ち並ぶ民家の間を抜けて上へ向かう。抜けられるかな? そう思いながら進んでいると、民家の庭で高齢の女性が何やらしている。「抜けられますか?」と訊ねる。「ええ、ええ。あの一番上の家の裏を回り込んで、行ってください。山伏峠へ行くんですか」と丁寧に教えてくれる。
 
 山伏峠は、車道の脇に標識がぽつんと立つだけ。前後にも左右にも、何もない。伊豆が岳へのルートはさらに先へ行かなければならない。左の方、武川岳から降りてくる道がある。そこに、伊豆が岳への上り口もある。しかし私は、もう少し先へ進んで、正丸駅へ向かう峠越しへ向かう。古びた大きな看板が「飯能市上栗山」の山をイラストにしている。ふたたび山へ踏み込む。
 
 伊豆が岳と正丸駅との分岐で、早いがお昼にする。11時15分。一枚上着を羽織って冷えないようにする。豚汁がうまい。そのあとのコーヒーも、なかなかだ。おかずの里芋の煮っころがしが鶏肉とうまく絡んで、おいしい。ゆっくりお昼を済ませて、正丸駅へ下っていく。風に飛ばされた枝や木の葉がルートを塞いでいる。うん? 匂う。柏餅の匂いだと気づいて、落ちているのをみると、まごうかたなく柏の葉っぱ。トチノキも葉もホウの木の葉もミズナラの葉も、吹きちぎられて積もるほどだ。道を塞いでいるのは、落ちた枝葉を大量の雨が押し流して来たからだね。
 
 このルートが、大きく崩落していた。カール状にえぐれ、樹木も葉をつけたまま下へ落ちて泥にまみれている。その幅は20m、長さは60m。その下に沢が流れ、間もなく伊豆が岳からの下山路と合流する地点だ。崩れていない、杉の葉の上に倒木が流れ落ちて溜まった急斜面を、滑り落ちないように下る。ときどきキックステップにして、踏み込まないと、ふかふかと積もった杉の枯れ葉と一緒に崩れていってしまいそうだ。半ばへ来て、崩落した土面に踏み込む。靴が深く沈む。ストックでバランスをとって転ばないように支え、ゆるゆると降っていく。沢の際で伊豆が岳からのルートへ踏み下りる。
 
 そこを少し下ると、階段を降りてくる合流点がある。そうか、ここへ出るのに、崩落地点から少し上を巻く手もあったと思う。でも、いまさらだね。すぐに舗装林道に出て、正丸駅へあと30分ほどになる。下っていると、5人ほどの若い学生らしいのがにぎやかに登ってくる。伊豆が岳へ行くのだろうか。「山が荒れてるから、気を付けてね」と挨拶をしてやり過ごす。駅手前のガードをくぐるところで、電車が出てしまった。あと30分ある。今日の行動時間、3時間59分。10km。19600歩。まずまずの、山散歩であった。

コメントを投稿