「ノロノロ台風」なのか「グズグズ台風」なのか。当初の気象庁の予想では、台風10号が石川県に最接近するのは今月27日だったが、最新情報では遅れて31日から9月1日の見込みとなっている。さっさと日本列島から立ち退いてほしいものだ。
それにしても、気が気でないのは能登半島地震の被災地の人たちではないだろうか。地盤沈下が起きた能登町宇出津港の周辺では、満潮を迎えると海面と道路の高さがほぼ同じになる状態が続いている=写真・上、7月9日撮影=。これに台風10号による高潮が発生したらどうなると地域の人たちは不安を抱えていることだろう。
能登半島地震の復旧・復興の一つのステップとして、仮設住宅と仮設商店についてこのブログで取り上げた。被災地で必要な仮設住宅は6804戸で、うち6262戸は今月中に完成する予定。残り542戸は9月以降となる。仮設店舗は七尾市では今月、手始めに4店舗が営業を始めた。輪島市では9月をめどに3ヵ所で32店舗、珠洲市でも8店舗が開業に向け準備が進んでいる。もう一つの仮設が学校の校舎だ。
石川県教委の調査(2月13日時点)によると、公立学校(小中高など)344校のうち、292校が地震で被害を受けた。全体の85%に相当する。地元メディア各社の報道によると、輪島市に隣接する穴水町の穴水小学校は柱が破損するなど、文科省による被災度区分判定で「半壊相当」の被害となった。このため、小学校の校庭に軽量鉄筋造り2階建ての仮設校舎の建設が進められていた。授業は直線距離で700㍍ほど離れた中学校に間借りするカタチで行われていた。
仮設校舎は2学期に間に合わせるように今月下旬に完成した。先日(今月24日)奥能登を訪れた折に、仮設校舎に立ち寄った=写真・下=。外観はプレハブ校舎だが、入り口の戸が開いていたので入ると、玄関や教室はよく見る小学校の雰囲気だった。各クラスのほか、理科室や音楽室、保健室なども設けられていた。
穴水小学校はきょうが登校日で、来月2日に始業式。仮設校舎とは言え、児童たちにとっては「母校」に戻った気分ではないだろうか。行政とすると、教育環境を整えると同時に新校舎の建設に向けてのスタートだろう。町では復旧・復興に向けてことし12月までに復興計画を、来年3月までに整備計画を策定する段取りだ。それまでに新校舎の立地場所などを決定することになる。
能登地震の復旧・復興プロセスが穴水小学校のケースに凝縮されているようにも思える。
⇒29日(木)午後・金沢の天気 くもり時々あめ
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