能登半島地震で損壊した住宅などの公費解体は進んでいるのだろうか。先日(7月24日)、半島尖端に位置する珠洲市をめぐった。倒壊した家屋の解体作業が行われていて、ショベルカー2台が屋根や壁、柱などは解体していた。その中から木材や金属類、家電製品などを分別するのは手作業だ。それを終えて、ショベルカーでトラックの荷台に積み込んでいた=写真=。この後、市内に設けられた災害ごみの仮置場に運んでいく。この様子を見ていると、徐々にではあるものの復旧・復興へと向かっているようにも感じた。
公費解体は4月から本格化に始まり、4ヵ月余り経った。珠洲市の場合は、公費解体の申請件数は5095棟、うち7月15日までに完了したのは465棟、解体完了率は9%となる(環境省公式サイト「公費解体の課題と取組状況について」より)。このほか、穴水町は11%となっている。ただ、輪島市は3%、七尾市は4%と進捗状況についてはバラつきがある。石川県は、申請の総件数2万3400棟におよぶ公費解体を2025年10月までに完了させる目標を立てているが、目標達成は可能なのだろうか。
では、公費解体のハードルは何か。石川県は、解体作業の業界団体「石川県構造物解体協会」に依頼し、解体チーム664班を編成しているが、まだフル稼働には至っていない。また、原則として建物の所有者が解体作業に立ち会うことになっているが、遠くに避難している所有者の場合、日程調整に時間がかかる場合があるようだ。1つの現場で解体を終えるには1週間から10日ほどかかる(環境省公式サイト「公費解体の課題と取組状況について」などより)。公費解体を終えて、新たな住まいづくり計画している世帯も多いはずだ。長い道のりではある。
一方で、公費解体などせずに集落ごと集団移転する動きがある。輪島市門前町の浦上地区では26集落に235世帯455人が居住していたが、震災でほとんどの住家が全半壊となり、市外に避難している人も多く、11集落が無人となっている。そこで、地区として60世帯にアンケートを実施したところ、8割が「災害公営住宅」への入居を希望した。同地区の区長らが今月1日、輪島市長を訪れ、浦上地区の中心部に災害公営住宅の建設を求めた(8月1日付・共同通信Web版)。地区では、一人暮らしの高齢者も多く、自力での住宅再建が困難であるとの背景があるようだ。
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