自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆続・いま伝えるべきこと、誰が伝えるのか

2018年04月16日 | ⇒メディア時評
  週刊誌で報道された財務省の福田淳一事務次官による女性記者へのセクハラ発言について、腑に落ちないことがいくつかある。一つには、前回コラムで述べたように、女性記者が福田氏への取材過程でこれはセクハラ発言と受け止めたのであれば、なぜ記者本人が告発しないのだろうか。また、その録音データを週刊誌サイドに渡し、週刊誌での告発としたのだろうか。

   女性記者は上司に報告しなかったのだろうか。その報告を受けて、会社として対応できるのではないか。。たとえば、部長クラスが財務省に出向き、事務次官に「今後言動を慎んでほしい」と申し入れすべきではないか。

  16日財務省が発表した福田氏からの聞き取りの調査が、時事通信Webサイトで掲載されていたので引用する。

【(1)週刊誌報道・音声データにある女性記者とのやりとりの真偽】
  週刊誌報道では、真面目に質問をする「財務省担当の女性記者」に対して私(福田事務次官)が悪ふざけの回答をするやりとりが詳細に記載されているが、私(福田事務次官)は女性記者との間でこのようなやりとりをしたことはない。音声データによればかなりにぎやかな店のようであるが、そのような店で女性記者と会食をした覚えもない。音声データからは、発言の相手がどのような人であるか、本当に女性記者なのかも全く分からない。また、冒頭からの会話の流れがどうだったか、相手の反応がどうだったのかも全く分からない。

【(2)週刊誌報道・音声データにある女性記者の心当たり】
  業務時間終了後、男性・女性を問わず記者と会食に行くことはあるが、そもそも私(福田事務次官)は、女性記者との間で、週刊誌報道で詳細に記載されているようなやりとり(また、音声データおよび女性記者の発言として画面に表示されたテロップで構成されるやりとり)をしたことはなく、心当たりを問われても答えようがない。

  上記の福田氏のコメントを読むと、音声データの内容を完全に否定しているようにも感じる。聴取したのは、麻生財務大臣の指示を受けた矢野大臣官房長。福田氏は今回の週刊誌報道が事実と異なり、名誉毀損で提訴に向けて準備を進めているようだ。

   そして、財務省が異例の対応を記者クラブに対して行っている。以下引用。

本日(4月16日)、財務省の記者クラブ(財政研究会)の加盟各社に対して、各社内の女性記者に以下を周知いただくよう、要請した。【各社内の女性記者への周知を要請した内容】 一 福田事務次官との間で週刊誌報道に示されたようなやりとりをした女性記者の方がいらっしゃれば、調査への協力をお願いしたいこと。 一 協力いただける方の不利益が生じないよう、責任を持って対応させていただくこと。

   要するに、このようなセクハラ被害を受けた女性記者は名乗り出てほしいとメディア各社に要請したのだ。メディア各社から果たして返答はあるのか。なければ、音声データの真贋が問われる。財務省側は先手を打った。

⇒16日(月)夜・金沢の天気    くもり 




   
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