自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆元旦の「雪すかし」

2015年01月01日 | ⇒トピック往来
   元旦の朝、少々驚いた。一気に30㌢余りの積雪だ。昨晩(19時ごろ)は雨は降っていたが積雪はなかった。真夜中に雪に変わったのだ。天気予報では、「石川県内は31日夜から年明け2日にかけて冬型の気圧配置が強まり、北陸地方は荒れた天気となりそう。31日夜からから1日にかけて予想される最大風速は陸上で12㍍、1日の午後6時にかけて予想される24時間降雪量は山間部を中心に多いところで80㌢、平野部の多い所で30㌢の見込み」となっていたので、予報が的中した。

   8時すぎ、近所の方々の「雪すかし」が始まった。雪すかしは除雪のこと。スコップで敷地や玄関先の道路を除雪する。平面に積もった雪を空き地に立体的に積上げるのである。「おはようございます。ことしも一年よろしくお願いします」と新年のあいさつを兼ねたあいさつだ。こういう近隣のあいさつは近所付き合いの上で大切なので、当方ももちろん通りに出て、雪すかしのあいさつをした。「ことしもよろしくお願いします」(当方)、「それにしもよく積もりましたね」(近所)、「天気予報では10年に一度の大雪とか言ってましたが、その通りになりましたね。3日ごろまでこんな感じで降りそうですよ」(当方)、「いつもの雪より軽くて楽やけど、ことしの正月三が日は雪すかしで終わりやね(笑い)」(近所)、「本当ですね。ことしもよろしくお願いします(笑い)」(当方)

   たわいもない言葉交わしの中に、日常のさまざまな情報や感情がこもっている。確かに、今回の雪は12月のベトベトした雪より、軽いのである。地上の気温が下がったせいか、綿のような雪だ。ややパウダースノーに近いと表現したよいかもしれない。「正月三が日は雪すかしで終わりやね」は意味深である。「これだと初詣がぜいぜいで、外出もままならない、何とも手のかかる(労力のいる)雪すかしだけのつまらない正月ですね」と天気を恨んでいるのである。

   ところで、ご近所では雪すかしに暗黙のルールがある。まず、第一に道路の除雪は家の間口を決まりとする。つまり、道路に面する家の敷地が幅となる。10㍍あれば、10㍍の雪すかしとなる。しかし、道路に面している敷地でも、角地で玄関が横道に面している場合は横の道路が間口となる。玄関側の道路を「雪すかし」すればよいのである。道路に面した2方向を除雪する必要はない。

   また、道路の除雪は全面除雪ではなく、おおむね歩行者側の幅でよい。車が走る中央部は除雪しなくてよい。通学の子どもたちへの配慮のようなものだ。また、除雪は側溝に落としてもよい。もちろん、これは私が住む金沢市全体の暗黙のルールではない。街の成り立ちや町内会の歴史、町内会を構成する人々の顔ぶれに、高地低地の地域的な積雪量、面する道路が県道か国道か市道かによっても違い、まして道路幅にもよるだろう。それぞれの決まりごとはちょっとした条件で異なり、無理せず長く続くルールづくりが歳月をかけてつくられてきたのである。

⇒1日(木)朝・金沢の天気     ゆき   
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