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自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆「名残り雪」が「戻り寒波」に豹変するとき 10年前の出来事

2025年03月03日 | ⇒ドキュメント回廊

  きょうの朝は名残り雪がちらちらと降っていた。名残り雪は冬の季節の終わりを告げる旅情的な表現にたとえたものだが、予想を超える雪に豹変することもある。いまから10年前、2015年の3月のことだ。この年の正月三が日は雪のピークで雪すかし(除雪)に追われた。2月に入ってからはほどんどスコップを持ったこともなかった。ご近所さんとも「雪が降らないので助かりますね」と言葉を交わしていた。それが3月に入って、名残り雪のようなものが降ってきた。さらに雪模様が荒れ模様となり、3月12日には自宅周囲で10㌢ほどに積もった=写真=。

  名残り雪なんてものではなく、まさに「戻り寒波」となった。この予期せぬ雪で慌てたのは金沢市役所だった。北陸新幹線の金沢開業の日が3月14日だった。市役所では、春の装いで新幹線客を金沢でお迎えしようと、例年より1週間早く3月3日からJR金沢駅東口のクロマツなどの雪吊りを外したほか、市内メインストリートの街路樹の雪吊りを外していた。

  それが、10㌢ほどの積雪となった。3月の雪は湿気を含んでいて重い。雪でボキリと枝が折れることもある。このとき、石川県が管理する国の特別名勝・兼六園の雪つり外しは例年通りの3月16日で行われ、戻り寒波での樹木などへの被害はなかった。

  北陸新幹線金沢開業に合わせて、早く春の装いを整えようとした金沢市の行政側の心意気はあっぱれだったが、タイミングが外れた。この戻り寒波は数日で止んだ。ちなみに、北陸新幹線は雪に強い。2015年の開業以来、東京と金沢で発生した大雪による運休は、わずか3回のみ。車両の先端部には、線路の積雪を弾き飛ばす「スノープラウ」が装備され、線路両側の防音壁に幅が広いひさしを設置するなど、徹底した雪害対策が施されている。

⇒3日(月)夜・金沢の天気    くもり

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★冬から春へ 2階の窓から見る季節の風景 兼六園の梅開花もそろそろか

2025年02月27日 | ⇒ドキュメント回廊

       長く居座った強烈な寒波から一転、きょうは金沢で気温が12度近くまで上がり、春の訪れを感じさせるような温かさだった。写真・上は、寒気が続いた3連休の最終日の24日午前8時ごろに金沢の自宅の2階から撮った近所の様子。写真・下はきょう正午過ぎのもの。24日の撮影時には積雪が20㌢余りあり、道路も凍結していたが、3日間で屋根や道路の雪はほとんど解けている。  

  写真・左は雪吊りの五葉松。枝ぶりや濃緑色の葉の美しさから庭木の代表格でもある。ただ、金沢の雪は湿っていて重いので、雪吊りを施さないと枝が折れることにもなる。余談だが、雪吊りをめぐっては暖冬か厳冬かによって評価が分かれる。疑問を呈されるのが暖冬だ。関西や関東の友人たちとのメールのやり取りなどで雪吊りの話題になると、「ことしは日本海側は暖冬の予報が出ているのになぜ雪吊りをするのか」といった指摘を受けることがある。確かにそうだ。植木屋にお願いして作業をしてもらうが、職人の数によってそれなりの料金を払うことになる。なので、暖冬の予報があるのなら、雪吊りは必要ないのでは、と自ら思うこともある。

  ただ、そうは言っても暖冬でも数10㌢の雪が降らないとは言い切れない。北陸の冬はそう単純ではないのだ。覚えているのは2007年2月の大雪。1月は金沢は「雪なし暖冬」で観測史上の新記録だった。ところが、2月1日からシンシンと雪が積もり、金沢市内で50㌢にもなった。冬将軍は突然やってくるのだ。北陸のドライバーは暖冬が予想されていても自家用車のタイヤをスタッドレスに交換する。結局、「備えあれば憂いなし」の心構えだ。

   冒頭の話に戻る。金沢地方気象台によると、あす28日の最高気温は金沢と輪島でいずれも13度と、きょうよりもさらに気温が上がる予想となっていて、気温の高い状態は3月2日まで続く見込みという。例年2月から3月にかけての季節の話題は兼六園の梅林の開花だ。気象台の生物季節観測によると、金沢の梅の開花は平年は2月23日となっているが、ことしのデータはまだ記載されていない。寒波の影響で開花が遅れているのだろうか。春の訪れを待ちたい。

⇒27日(木)夜・金沢の天気     くもり

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★寒波の3連休 被災地・輪島に行く~続~ 

2025年02月25日 | ⇒ドキュメント回廊

  3連休の寒波はようやく峠を越えた。きょう午前9時ごろから、曇り空の隙間から、日差しが入り込んできた。日中の最高気温は金沢市で9度、輪島市で8度ときのうに比べて大きく上がると予想されている(25日付・金沢地方気象台)。ただ、不安もある。きのうから頻繁に起きている石川県西方沖を震源とする地震はきょう未明にも震度1以上が2度起きている。

  雪原と化した朝市通り、白い千枚田と紺碧の海、文化財復旧いつ動く

  寒波の最中(23日)に輪島市をめぐった話の続き。去年元日の能登地震で商店や民家など240棟が焼けた朝市通り周辺に行くと雪原が広がっていた=写真・上=。焼け焦げたビルなどの解体作業が進み、かつて朝市でにぎわった風景とは一変した。行政は、地域復興のシンボルプロジェクトとして、「輪島朝市周辺再生」を掲げている。朝市と商店街、住まいの共生を目指した市街地整備を行うとのコンセプトで、市民からの意見を募るパブリックコメントを経て、今月中には正式に決定すると報じられている。ところで気になるのは人気スポットの一つだった「永井豪記念館」のことだ。あの『マジンガーZ』や『キューティーハニー』などの漫画家・永井豪氏は同市出身で、2009年に行政が記念館を創り、永井氏は名誉館長を務めていた。記念館は再建されるのだろうか。

  観光名所として知られる白米千枚田に行った。分厚い雲に荒波が打ち寄せている。日本海の冬の海を感じさせる。大雪で千枚田はすっぽり雪に埋もれていた。秋には黄金の絨毯を敷き詰めたような稲穂で覆いつくされる棚田が白く染まっている。ネイビーブルーの海の色とのコントラストが印象に残る。白米千枚田は4㌶の斜面に1004枚の棚田が広がり、2001年に文化庁の「国指定文化財名勝」に指定され、2011年には国連食糧農業機関(FAO)から認定された世界農業遺産「能登の里山里海」のシンボル的なエリアだった。ところが能登地震で田んぼの多くに亀裂が入り、去年耕作されたのは120枚だった。その後、田んぼの修復はどこまで進んだのだろうか。4月に入ると田起こしが始まる。

  雪に埋もれた文化財。日本史で知られる平氏と源氏が一戦を交えた壇ノ浦の戦い(1185年)。平家が敗れて一族の平時忠が能登に流刑となり、その子孫が輪島市町野地区に根付いて製塩業や海運業など営み、現在も2軒の時国家が継承されている。2軒の住宅(国の重要文化財・2003年指定)のうち上時国家が去年元日の地震で倒壊した。9月の記録的な大雨では裏山が崩れ、敷地全体に被害が及んでいた。現地をめぐると、主屋の屋根にこんもりと雪が積もり、倒壊家屋の様子すらうかがえない。能登の歴史を語る古文書などは国立文化財機構のスタッフが中心となって「文化財レスキュー」活動を行い運び出している。被災地では一般住宅の公費解体は進んでいるが、上時国家を含めた文化財の復旧が本格的に動き出すのはいつなのか。まだ見えてこない。

⇒25日(火)午後・金沢の天気       はれ

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☆寒波の3連休 被災地・輪島に行く~下~ 

2025年02月24日 | ⇒ドキュメント回廊

  寝ているとグラリときた。地震だ。スマホをチェックすると、午前4時9分に石川県西方沖を震源とするマグニチュード4.9の揺れ。最大震度3は能登半島の羽咋市と志賀町など。自身が住んでいる金沢市は震度1だった。去年11月26日にも同じ県西方沖を震源とするM6.6、最大震度5弱の地震があった。一度目覚めると眠れなくなった。なにしろ、元日の地震では午後4時6分に震度5強の揺れがあり、その4分後の4時10分にM7.6の地震が2回連動して起き、震度7の大きな地震となった。それを思い起こすと「また来るのでは」と身構えて寝れなくなる。午前7時7分にも震度3の揺れがあり、午前中だけで震度1以上の揺れが8回も続いた。不気味だ。

   情報はライフライン、総持寺行きバス車体に「夜の地球」デザイン

  前回ブログの続き。寒波の3連休の初日(22日)に「顕著な大雪に関するに気象情報」が出された輪島市に、きのう往復で現地に行き、イベントを見物してきた。同市町野町で開催された一日限りのFMラジオの生放送。同市町野支所には住民も見学できる公開スタジオが設けられ、元NHKアナウンサーの女性とフリーパーソナリティの男性が司会を務め、地元の住民がゲスト出演していた=写真・上=。30分ほどだったが、自身も見学させてもらった。金沢から移住してきた農業者の若者は、「町野の人は意外と時間にうるさいですよ。寄り合いの集合時間の5分前に着いても、『遅い』としかられるんですよ」などと地元ネタで盛り上がっていた。

  放送時間は午前10時から午後3時までの5時間だったが、主催した団体「町野復興プロジェクト実行委員会」では将来の開局を目指している。被災地のこうした臨時のFM放送は「災害FM」と呼ばれ、災害の軽減に役立つ情報を伝える目的で開局が可能。放送器材は総務省総合通信局から貸与される。被災者にとっては「情報こそライフライン」である。定期放送に期待したい。

  同市水守町にある輪島塗の仮設工房にタペストリーが掲げられていると地元メディア各社の報道(2月14日付)にあったので見てきた。仮設工房の入り口壁面に輪島塗作品や作家・職人の作業の様子をあしらった縦長の幕が飾ってあった=写真・中=。写真の右側は蒔絵師と塗師の夫妻のタペストリーのようだ。仮設住宅そものもはカタチも色も均一なので面白さがない。こうしてタペストリーで自己表現ができるのかと、初めて見て気づかされた。タペストリーは、セイコーエプソン(長野県諏訪市)が同市役所に提供した大型プリンターで作製したもの。行政では「復興デザインセンター」をすでに整備していて、タペストリーを情報発信の一つとして今後活用していくようだ。

  最後に驚いたことを。先月25日付のブログで取り上げた輪島塗の地球儀、作品名「夜の地球 Earth at Night」。それが輪島市内を走っていたバスに車体に描かれていた=写真・下=。追いかけて停車したところで撮影した。時刻表をチェックすると、このバスは「輪島駅」と「門前・総持寺前」のバス停を往復している。総持寺は禅寺で修行僧が世界から集っている。禅の言葉に「宇宙無双日(うちゅうそうじつなし)」がある。宇宙に太陽が二つないように、地球に自分は一人、自信をもって生きなさいと解釈されている。それにしても、総持寺行きのバスにこのデザイン、誰の発想なのだろうか。

⇒24日(月)夜・金沢の天気   くもり

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★寒波の3連休 被災地・輪島に行く~上~ 

2025年02月23日 | ⇒ドキュメント回廊

  能登半島の南部の宝達志水町で21日に6時間で28㌢の雪が降り、同じく北部の輪島市で22日に6時間で26㌢の積雪など、金沢地方気象台は連日、「顕著な大雪に関する気象情報」を発している。強烈な寒波は24日までの3連休は続く見込みで、気象台は大雪による交通障害や、積雪による去年元日の能登地震の被災地での家屋の倒壊などに注意を呼びかけている。

   仮設住宅に雪だるま、被災地に貢献の坂茂氏が日本芸術院会員に

  被災地の積雪の様子を見にきょう日帰りで輪島市に行ってきた。同市宅田町の仮設住宅に立ち寄ると、積雪は30㌢ほどだろうか、かなりの雪の量だ。中には雪だるまもあって雪を楽しんで様子もうかがえた=写真・上=。一つ気になったのは、それぞれの仮設住宅では玄関の前は除雪してあるものの、除雪もなく長靴の跡もない住宅がところどころある。不在なのか、あるいは冬ごもりで外出していないのかと案じた。仮設住宅は高齢者が比較的多いといわれているので、積雪で親族の家に身を寄せて不在なのか、と思ったりもした。

  同市杉平町の被災した漆器店に、国内外の被災地での支援活動などで世界的に知られる建築家、坂茂(ばん・しげる)氏が設計した輪島塗の仮設工房があると聞いて訪れた。大雪で仮設工房の屋根や出入り口にはかなりの雪が積もっていた=写真・中=。去年3月に建設されたもので、工房の柱などは「紙管」と呼ばれる硬い筒状に加工した再生紙でできている。広さ12畳の工房は2棟で、輪島塗の職人の作業場として活用されているようだ。坂氏の設計は、珠洲市の見附島近くにある仮設住宅も知られる。こうした災害地における仮設住宅や緊急避難所の設計に尽力し、人間生活を助ける即効性の高い仕事は特筆すべきものがあるとして、文化庁に設置されている国の栄誉機関「日本芸術院」の新会員に選ばれている(2月21日付・メディア各社の報道)。

  坂氏の仮設工房の近くでは、去年9月の奥能登豪雨の被災者向けに石川県が整備している仮設住宅の建設が進んでいる=写真・下=。2階建て104戸で、着工から4ヵ月ほど経っている。能登地震の仮設住宅6882戸は平屋だが、豪雨災害の仮設住宅は2階建て。輪島など奥能登では平地が少なく用地が限られているため、豪雨の仮設住宅は2階建てとなり、その分、建設期間も長くなっているようだ。

⇒23日(日)夜・金沢の天気     くもり時々ゆき

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☆「もてなし」と「美の結晶」 金沢駅とドームに見るゲートウェイのコンセプト

2025年02月22日 | ⇒ドキュメント回廊

  けさの最低気温はマイナス3度、そして予想最高気温は3度となっている。「最強・最長の寒波」第二陣のピークがやってきた。気象庁は石川県に「顕著な大雪に関する気象情報」を発した。能登南部の宝達志水町では6時間で28㌢の降雪が観測され、交通も一部でマヒ状態だ。金沢と能登を結ぶ自動車専用道路「のと里山海道」はきょう午前8時から一部区間(徳田大津-穴水IC、27㌔)で通行止めとなった。この区間は去年元日の能登半島地震で道路側面のがけ崩れや道路の「盛り土」部分の崩落などが起き、全線で対面通行が可能になったのは9月だった。ただ、道路は蛇行や凹凸の状態が続いていて、除雪車が入っての作業は大変だろう。

  前回ブログの続き。JR金沢駅前から降雪の風景を眺めてアートな気分になったと述べた。今度は駅をバックに「もてなしドーム」を眺めてみた=写真・上=。ドームには3019枚の強化ガラスで造られている、とある(パンフレットより)。よく見るとガラスの上に雪が積もっている。雪の重みでドームは大丈夫かと心配になる。何しろ金沢の雪は湿気を含んでいて重い。金沢市役所の公式サイトには、強化ガラスは180㌢の積雪に耐える強度をもっている、とあるが。

  もてなしドームと鼓門はセットになっていて、金沢市が駅東口を整備した。完成したのは2005年3月。市は「金沢のゲートウェイ(正面玄関)」を造ろうと、170億円を投資した。その10年後の2015年3月に北陸新幹線の金沢開業が始まった。それまで市民の間では金沢駅は交通の要所ではあったものの辺鄙(へんぴ)な建物のイメージがあった。それが、金沢市の先行投資に刺激されたのだろうか、新幹線開業を前に普通の新幹線駅では見られないようなアッと驚くような駅にリニューアルされた。コンコースを歩けば美術作品が楽しめるのだ。

  コンコースの中にある1224本の門型柱にそれぞれ工芸プレートがあり、石川県の伝統工芸である輪島塗、山中塗、金沢漆器、九谷焼、珠洲焼、木工芸、加賀象嵌などの作品が柱ごとに収まっている=写真・中、九谷焼作家の三代浅蔵五十吉氏の作品=。また、コンコース1階に陶板がある。陶板は、金沢で江戸時代初期より360年の伝統をもつ大樋焼の陶芸家、十代大樋長左衛門氏の作品『日月の煌き』=写真・下=。作品には、月の満ち欠けや太陽が描かれ、時の流れと金沢の春夏秋冬を感じさせる。こうした陶板や門型柱24本の作品を見て回ると、さながら「エキナカ美術館」の雰囲気だ。

  話はもてなしドームに戻る。広さは1万9400平方㍍(東京ドームの半分足らず)あり、ドームのサイドにバスターミナル、タクシー乗降場などが連なる。雨や雪の多い金沢なので、「駅を降りた人に傘を差し出す、もてなしの心」を表現したドームのようだ。最後に冒頭の大雪の話に戻るが、これ以上雪が降らないことを祈る。ドームの積雪が180㌢を超えないことを。

⇒22日(土)夜・金沢の天気     ゆき

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★見慣れた雪景色を「なんでもアート」目線で眺めてみる まったく別の景色

2025年02月21日 | ⇒ドキュメント回廊

  週末の三連休はさらに雪が積もるようだ。きょうも断続的に降雪が降っていて、自宅周辺では積雪30㌢ほどになっている。庭を眺めると別世界をイメージする。雪を被ったムクゲの木などがまるではしゃいでいるようにも見えるのだ。普段ならばそれぞれに季節の花を咲かせ、悠々としている風景だが、冬の別世界で白い衣を着て木々がじゃれあっているようにも見える=写真・上=。アートっぽい感じがして面白い。

  きのう午後、JR金沢駅周辺に用事があって出かけた。吹雪いていて、あの鼓門(つづみもん)がぼんやりとかすんで見えた=写真・中=。鼓のカタチをした、高さ14㍍ほどの2本の太い柱に支えられた門構えは圧巻である。金沢駅での待ち合わせ場所と言えば鼓門で定着している。ここで記念撮影は見慣れた光景でもある。それが、吹雪のせいか人影はまばらだった。雪を珍しそうに眺め、鼓門をバックに撮影するインバウンド観光の人たちもいるにはいた。それにしても、雪でかすむ鼓門を眺めていると、長谷川等伯の松林図屏風(国宝)のような風景イメージが沸いてくる。

  ふと鼓門の下を見ると、まるで参道のようにまっすぐに除雪がしてあった。さすが、金沢駅のまさに山門のような鼓門なので係員が雪すかしをしたのだろうと思っていたが、パンフレットをチェックすると、「無散水融雪装置」と書かれてあって、水をまく融雪ではなく、道路にあたる地面の下に温かな地下水をくみあげる放熱管が敷いてあり、道路の上の雪が溶ける仕組みとなっている。初めて知った。

  鼓門前の同じ地点から市街地側に身を向けると、これもアートのような冬景色が広がる。駅前の高層ビル(ホテル)と雪吊りの松が競うような光景だ=写真・下=。松の木は五葉松だろうか。ほかの季節ならば気にもならないビルと松の木だが、雪吊りが施された松の木はその形状からまるで天に向かってようにも見える。それが妙に高層ビルを意識しているような存在感を漂わせる。

  上記のような自己流の見つめ方は「なんでもアート」だと思ったいる。足しげく通った奥能登国際芸術祭(珠洲市主催・2017年、2021年、2023年開催)に影響されているのかもしれない。身近なテーマや日常の風景にさらにイメージの加飾を施すことで、アート作品のように見えてくる。やっかいな大雪でも、アートとして眺めるとそれはそれで楽しくもある。

⇒21日(金)夜・金沢の天気    ゆき

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☆再び最強・最長の寒波 車のスタック防ぐため予防的に通行止めも

2025年02月17日 | ⇒ドキュメント回廊

  けさから風が吹き荒れている。最強・最長の寒波が再びやってきた。ウェザーニュースWeb版(17日付)によると、きょうから冬型の気圧配置が強まり、19日にかけて強い寒気が流れ込む。寒気の影響は長く続く見込みで、日本海側では三連休にかけて断続的に雪が強まる。寒波による大雪に警戒を呼びかけていて、北陸や東北の平地では20日夜までで内陸の地域では100㌢以上の雪が降り、山沿いの多いところでは150㌢以上の積雪の増加が見込まれている。

  国交省北陸地方整備局と新潟地方気象台、高速道路会社「NEXCO東日本」はきのう16日午後、共同会見を開いた。気象台の説明では、今回の寒気は今月4日から北陸地方に大雪をもたらしたこの冬一番の寒気と同じ程度の強さで、23日までの1週間ほど居座る見込みという。 17日夕方からの24時間に降ると予想される雪の量は新潟の山沿いで最大70㌢で、その後も雪が続く見通し。北陸地方整備局とNEXCO東日本は、大雪の際には道路を通行止めにする可能性もあるとして、最新の情報に留意し不要不急の外出を避けるよう呼びかけた。また、金沢地方気象台は大雪による交通障害や高波、着雪、雪崩、落雷、竜巻の突風などに注意を呼びかけている。

  国交省金沢河川国道事務所と中日本高速道路は、雪の降り方によっては車の立往生を防ぐために予防的に通行止めを行う可能性があると発表している。通行止めの可能性があるのは、石川県内の「のと里山海道」の徳田大津インターチェンジと穴水インターチェンジの間、国道8号の加賀市の熊坂交差点から福井県にかけての3.4㌔の区間、北陸自動車道の県内すべての区間など。通行止めを実施する可能性が高まった場合、1日前に呼びかけを始め、3時間前には通行止めを実施する時間帯や具体的な区間を決めるとしている。(※写真は、能登半島の積雪の道路側溝にはまり動けなくなった大型トラック=今月7日撮影)  

  石川県は災害対策本部連絡員等会議を開き、被害発生時の連絡体制を確認。水道管の凍結防止対策なども呼びかけた。去年元旦の地震では輪島市の朝市通り周辺の240棟が焼損した。このとき、水道管の凍結が原因で消火栓が断水状態となり、火災が広がったとされている。

  再びやってきた最強・最長の寒波でこれから1週間は緊張が続く。

⇒17日(月)夜・金沢の天気     ゆき

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★政府が備蓄米21万㌧放出へ コメの小売価格が半年前より7割アップ

2025年02月14日 | ⇒ドキュメント回廊

  このところ近所のスーパーで地元産のコシヒカリが高騰している。きょうの価格は5㌔袋で3780円(税抜き)だった=写真・上=。米価について去年8月25日付のブログでも述べているが、そのとき同じスーパーで購入した新米は10㌔袋で4580円(税抜き)だった。5㌔で換算すると2290円なので、1490円高くなり、率にして7割近くのアップだ。コメの小売り価格の高騰は金沢市だけでなく全国に広がっているようだ。  

  そんな中、江藤農林水産大臣はきょう午前の記者会見で、米価の価格高騰に対応するため、政府備蓄米の放出について発表した(メディア各社の報道)。それによると、大手の集荷業者を対象に販売数量は21万㌧と定める。初回は3月上旬にまず15万㌧の入札を開始し、3月半ばには落札した集荷業者への引き渡しを始める。実際に備蓄米が店頭に並び始めるのは3月下旬から4月ごろになると見込んでいる。残り6万㌧に関しては今後の状況をみて判断していくとしている。江藤大臣は備蓄米の放出について、「この状況をなんとしても改善したいという強い決意の数字だ」「必要があればさらに数量を拡大することも考える」と述べていた。

  そもそも、なぜコメの小売価格が高騰しているのか。去年、コメの小売価格が高騰したのは、2023年産米の収穫量が前年比1.4%減の661万㌧と過去最少となったことが原因だった。猛暑のため、イネの吸水が蒸散に追いつかずに枯れてしまう「高温障害」が各地で発生。この障害で白濁したコメが大量に出て、コメどころ新潟県などで深刻な被害が出た。去年夏、金沢のスーパーでも一時品切れ状態が続いた=写真・下、2024年8月20日撮影=。秋に新米の季節となりようやく落ち着いた。では、去年秋に収穫されたコメはどうだったのか。農水省の公式サイト(12月10日付「令和6年産水陸稲の収穫量」)によると、2024年産米の収穫量は前年比2.7%増の679万2000㌧で、収量が増加に転じるのは2018年産以来6年ぶりと発表していた。それなのになぜ価格高騰が続いているのか。

  流通の在り方を問う見方が出ている。2024年産米を巡っては、JAなど既存のメインの流通業者に加え、中小業者や外食チェーンなど新興勢力も買い付け競争に参加した。買い付け業者の増加で在庫が分散したり、一部の業者が在庫を抱え込んだりした結果、JAなどを通じた主要なルートに流れるコメの量は前年比21万㌧減った(14日付・日経新聞Web版)。農水省が今回用意する備蓄米21万㌧は、この主要ルートで減った分を根拠に放出するようだ。

  また、1月下旬に農水省で開かれた有識者会議では、出席者の一人から「スーパーがコメの販売抑制目的で値上げに踏み切っている」といった指摘が出ていた。卸からの供給が減るなか、店頭から商品が消える事態を避けるため、売価を上げることで販売数量をコントロールしているという(同)。流通サイドにいかるな理由があったとしても、消費者へのしわ寄せは止めてもらいたいものだ。

⇒14日(金)夕・金沢の天気    くもり時々はれ

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★転出超過が大幅アップ 能登半島地震で県外へ移住増えたのか

2025年02月12日 | ⇒ドキュメント回廊

  最強寒波は一服状態となった。金沢では夕方から小雨が降っていて、気温も10度ほどになった。しばらくこの状態が続きそうで、晴れで最高気温が12度との予報もある。ただ、それもつかの間。気象庁は北陸地方に「低温と大雪に関する早期天候情報(北陸地方)」を発表している。17日からは冬型の気圧配置が強まり、降雪量もかなり多くなるとの予報。 この早期天気情報は、10年に1度程度しか起きないような著しい低温や降雪量となる可能性が高まっている時に出される注意喚起の情報だ。最強寒波が再びやってくる。    

  震度7の地震、記録的な大雨、そして今月4日から北陸に吹き荒れた最強・最長の寒波。 3災の能登半島を3日間(今月6-8日)かけてめぐった。最終日、金沢に戻ると面白いが景色があった。金沢大学角間キャンパス近くの山側環状道路を車で走ると、中央分離帯に「雪団子」が並んでいる。一つや二つではない。串に刺した団子状態でしばらく続いていた。雪国ならではの景色だ。(※写真は、金沢市もりの里の外側環状道路。中央分離帯の植え込みに雪が積もって団子のように=8日正午すぎ撮影)

  話は変わる。総務省がまとめた令和6年(2024)の人口移動報告(ことし1月31日公表)によると、去年1年間で石川県からほかの都道府県に転出した人は2万2247人だったとの統計が出ている。前の年に比べて1271人、率にして6%増えたことになる。転出者を年代別にみると、20代が1万349人と全体の4割以上を占め、次いで30代が3942人で、20代と30代で6割以上を占めた。県内に転入した人は前の年より444人少ない1万8071人で、転出から転入を差し引くと、4176人の転出超過となる。2023年の転出超過は2461人、2022年は2360人だったので、2024年は転出超過が大幅に増えたことになる。

  転出超過には能登半島地震が関連している可能性がある。石川県外の公営住宅に暮らしている被災者255世帯を対象に、石川県庁が電話で意向調査(12月9-27日)を行った。回答があった176世帯の集計で44%に当たる78世帯が「石川県には戻らない」と答えた。その理由は「安定した仕事を見つけた」などの回答が多かった。一方で、21%に当たる37世帯が「戻りたいが課題がある」と答えた。その中では、公費解体や修繕など「住まい」の問題を挙げる世帯が多かった。震災で自宅に戻れなくなり、県外に転出した20代、30代の世代が就職や子育てのためにそのまま移住するケースが増えているのではないだろうか。

⇒12日(水)夜・金沢の天気     あめ

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