蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

『市川一茶庵@本八幡』さんの甘くて美味しい「玉子焼」

2014-11-02 11:30:00 | 千葉県

珍しく電車で千葉県へ帰省したその帰り道、JR総武本線・本八幡駅近くにある『手打そば・市川一茶庵』さんに立ち寄って蕎麦前と蕎麦をいただくことにしました。

こちらの『手打そば・市川一茶庵』さんは、線路沿いの通りに面している「立ち食い店」と、その裏手にある老舗の風格が漂う「座敷店」とがあり、今回はのんびりしたいので「座敷店」へと向かいます。


道路から少し入ったところにある門を潜り、お店の入口に到着したのは開店時間の11時半丁度でしたが、既に「商い中」となっていたことから、趣のある外観の撮影もほどほどにしてお店の引き戸を開けます。

するとそこは玄関で、民家と同じように靴を脱いで店内に入り(上がり)ます。
料理をいただく部屋は3部屋(かな?)あり、いずれの部屋にもがっちりした木製の座卓が敷き詰められていて、若い花番さんの案内でその中の一つ、2人用の座卓席に着きます。

立派な座卓席に着き、のんびりした一時を楽しむための料理とお酒の流れを考えます。
まず料理ですが、一品料理は冊子になっているメニューにもありますが、壁に貼られている半紙のお品書きから選ぶといった感じで、その中から「玉子焼」と直ぐに出てきそうな「わさびみそ」をお願いします。


次に飲み物ですが、ビールをいただいた後に「樽酒・黒松白鹿」という美味しそうな日本酒をいただくことを前提に、まず、お蕎麦屋さんでは珍しい「ブラウマイスター」の生(小サイズ)をお願いします。


なお、ビールと日本酒が並んでいる「お飲み物」のメニューとは別にワインリストが用意されていて、一見お店の雰囲気とワインとは似合わないかな?という印象を持ちますが、お酒の種類と料理の組み合わせは「自由な物」と思っているので、蕎麦前の料理を肴にワインをいただくのも面白いかもしれません。


よく冷えた美味しいブラウマイスターを飲みながらいただいた「わさびみそ」は、緩~く柔らかいワサビ味の味噌で、味噌の甘味とワサビの辛味とのバランスが絶妙な、日本酒との相性が良さそうな一品でした。


蕎麦と一緒に注文するお客さんが多いように思われる「玉子焼」は、お蕎麦屋さんでいただくことの多いフワフワでふっくらした玉子焼とは異なり、しっかりした歯応えの明確な甘さの玉子焼で、個人的な好みで選ぶ美味しい玉子焼の上位に入る実に美味しい玉子焼でした。


さて、軽くビールを飲んでからお願いしようと計画していた「樽酒・黒松白鹿」ですが、周りのお客さんは蕎麦だけのお客さんが多く、また、調理にやや時間を要するようで皆さんお茶を飲みながら静かに蕎麦を待っていて、一品料理を肴にビールを飲んでいるだけでも何となく場違いな感じです。

更には、入れ替わり立ち替わり続々とお客さんがやって来て席もほぼほぼ埋まっていることから、何となく飲み難い雰囲気を感じてしまい、ビールが残っている状態でしたが時間も掛かりそうだったので早めに蕎麦をお願いすることにします。

なお蕎麦ですが、「九段下・一茶庵」さんでいただいた田舎蕎麦がとても好印象だったことから深山(田舎)をいただこうか?。それともやけに気になる「まぼろしの辛味大根そば」をいただこうか?。と少々悩みましたが、結局、一般向きのおそばと説明書きされている「おせいろ」をいただくことにします。


そして待つこと数分。
ビールがなくなりましたが、ずっと蕎麦を待っていた周りのお客さんが蕎麦を食べ始めたばかりなのでまだまだ時間が掛かりそうです。じゃあ、ビールをもう1杯いただきながら待つか?。ならば当初の計画通り「樽酒・黒松白鹿」をお願いしようか?。でも今から頼むのも何だかな・・・。なんてあれこれ考えていると、目の前に蕎麦汁と薬味が置かれます。ということで、「静かにひたすら待つ」ということが決定です。


そして待つこと更に数分。
平らな板の上に「簾」が敷かれ、その上に蕎麦が盛られた「おせいろ」が運ばれてきます。

まず蕎麦汁を舐めてみると、キリっとした辛口ですが、出汁の味わいは控えめでまろやかな印象です。
そして、蕎麦は腰のある細麺で、量も多く食べ応えのある蕎麦でした。
なお薬味の葱ですが、万能ネギかな?と思われる細い緑の葱でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『手打そば・市川一茶庵』さんは、年齢層の比較的高いお客さんが入れ替わり立ち替わり途切れること無く訪れるお蕎麦屋さんで、約40席程(?)ある座卓席が常時8割程度埋まっているのではないかと思われる、年配の方にとても人気の高いお蕎麦屋さんでした。

そして、その途絶えることの無いお客さんの対応に当たっている花番さんは、女子高校生のアルバイトかな?と思える2人の若い女の子でした。

しかしこの若い花番さん、お客さんがぞくぞくと訪れても、あちこちから「すみませ~ん!。」と声が掛かっても、バタバタと慌てる事も無く手際よくしっかりさばいていました。また、複数の部屋に分かれている客席がほぼ満席に近い状態にも関わらず、全ての席にキチンと目を向けていて、「お一人様蕎麦湯お願いします!。」といった感じで蕎麦湯を出すタイミングを計りながら必要とする量を添えて厨房に蕎麦湯を依頼しているなど、見事な接客振りとテキパキとした仕事振りがとても好印象でした。

更に、厨房近くの席だったことからご主人らしき方と女性3名程度があわただしく作業している厨房でのやり取りが耳に入りましたが、そのやりとりに意気込みと活気が感じられ、花番さんのそつの無い見事な接客と併せてお店に対する印象は良く、1時間の滞在時間の中で待ち時間もそれなりにあったものの、「待たされている」という印象は全く無く、料理にも接客にも高い満足感を感じた魅力あるお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。

なお、最後を締めくくる今日の写真ですが、以前、雑誌に掲載されていたセピア調の写真が強く印象に残っていることから、独特の風情ある佇まいを、真似してセピア調にしてみました。