一人で昼食を取ることになったゴールデンウィーク最終日。
今年のゴールデンウィークは「下町のお蕎麦屋さんを飲み歩く」をテーマに掲げたものの、時間が作れず思うような飲み歩きが出来なかったことから、東京の下町にあるお蕎麦屋さんで連休を締めくくろうかと思いましたが、「翌日から仕事」という思いに気持ちも煮え切らず、結局、一度訪れてみたいと思っていた東急東横線・学芸大学駅から徒歩7~8分の所にある『手打蕎麦・いしおか』さんの暖簾を潜ってみることにしました。
『手打蕎麦・いしおか』さんは中休みのあるお蕎麦屋さんなので、お昼時は外すにしてもあまり遅いとのんびり出来なくなってしまうため、「きっと混雑しているだろう。」と思いながらも13時半頃暖簾を潜ってみると、予想以上に混雑していて、カウンター席に僅かな空席があるだけでテーブル席は全て埋まっています。
そんな、混雑している状況にも関わらず、花番さんは「狭いので・・・。」とカウンター席を進めませんでしたが、「狭くても良いです。」と伝えて蕎麦打ち場を目の前に見るカウンター席に着いてみると、確かに、4人掛けテーブル席にお誕生日席を加えて5人家族でお蕎麦を食べているお客さんに背中が当たりそうですが、花の生けられた花瓶が置かれている清潔感漂うカウンター席は綺麗で広く、何ら問題ありません。
ということで、清潔感の漂うカウンター席に着いて早速メニューを広げると、一品料理が価格別にギッシリと書かれていて、その品数の多さに驚きです。そして、あれこれ悩んだ結果、「穴子煮こごり」と「たけのこ煮」を宮城県の地酒「特別純米・綿屋」(わたや)と一緒にお願いします。
2品のお通しを肴にいただいた特別純米「綿屋」は、冷え具合も程良く、まろやかな味わいとサッパリした後味がなかなか旨いです。
しばらくして目の前に置かれた「穴子煮こごり」は、ほのかな甘味と柔らかい食感とヒンヤリした冷たさが美味しく、添えられていた辛子を付けていただいてみましたが、振り掛けられている山椒がなかなか良いアクセントになっているので、辛子は付けずにそのままでも十分美味しいと思います。
間も無く14時という時間になるとお客さんの出入りも落ち着いてきましたが、店内の混雑具合はそれ程変わらず、料理にも少々時間を要しているようです。そんな状況に、「まぁ、連休最終日だし、なかなか良いお店だから仕方ないかな?。」と思っていると「すみません。筍が切れてしまって・・・。」とのこと。
無いと言われると、どんな料理だったのだろうか?と気になってしまい、「食べたい!」という思いがより強くなってしまいますが、無い物は無いので、料理を「にしん山椒漬」に変更し、一緒に、連休を締めくくるお酒として山口県の地酒「純米大吟醸・獺祭」をお願いします。
「獺祭」については、賛否両論様々な意見も見られますが、休日の日中に一人のんびりいただくお酒としては何も言うことの無い、納得の一本ではないかと思います。
いただく機会の多い「煮」では無く「漬」でいただいた鰊は、適当な歯応えと絶妙な酸味が美味しく、先にいただいた「穴子煮こごり」と併せて、料理の質の高さが伺えます。
さて、お酒と料理に高い満足感が得られ、また、店内に空席も見られるようになってきたことからもう少し蕎麦前を楽しみたいところではありますが、満腹になる前に蕎麦をいただくことにします。
いただいたのはオーソドックスな「せいろ」で、もう少し料理をいただいても大丈夫だったかな?と思われる量でしたが、お酒をいただいた後なので、まぁ、適量といったところでしょうか?。
今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『手打蕎麦・いしおか』さんは、清潔感の感じられるスッキリした店内で、親しみ易い接客を受けながら美味しいお酒と料理を気持ち良くいただくことの出来るお蕎麦屋さんでした。
そして、多くのお客さんで賑わっているにも関わらず、一人静かにそっと休日の昼下がりをのんびり過ごすことの出来るお蕎麦屋さんで、今年のゴールデンウィークを気持ち良く締めくくってくれました。
ごちそうさまでした。