所用で朝早くから出掛けた週末土曜日、せっかくの週末なので蕎麦前と蕎麦をいただいてから帰宅しようと思い、東急東横線・自由が丘駅近くにある『二八庵・さらしん』さんへと向かいました。
お店に到着したのは、昼食には少し早いかな?と思う11時数分過ぎで、「お好きな所にどうそ」との案内だったことから、雨天の11時なので混雑はしないだろうと予想し、10人程度が座れる大きな相席用のテーブルには着かず店内一番奥の4人掛けテーブル席に着きます。
席に着くと、目の前に「おすすめ一品」というオススメ料理を紹介したメニューがあったので、昼でもいただけるのか花番さんに確認したところ、「玉子焼は17時からですが、それ以外は大丈夫です」とのこと。
ならばそのおすすめ料理をぜひいただこうと思い、瓶ビールと一緒に「穴子と茗荷の甘酢和え」と「京にしん」をお願いします。
ビールをいただきながら料理を待っていると、しばらくしてソフト身欠ニシンを自前で煮上げたという「京にしん」が運ばれてきましたが、京都の伝統料理「にしんの棒煮」らしく大き目の鰊が関西風の薄い色の汁に浸かっていて、早速箸を入れてみるととても柔らかいです。
そして、一切れ大きめに崩していただいてみると、骨を感じないほど柔らかく温かい鰊で、自由が丘というお洒落な町にも、「京にしん」というその名前にも相応しい、穏やかで上品な味わいの鰊煮でした。
続いて運ばれてきた「穴子と茗荷の甘酢和え」は、「これって茗荷なんだろうか?。穴子はどこに?」というのが第一印象で、その色合いからスッパそうに見えましたが、赤く染まった茗荷をいざいただいてみると酸っぱさを感じることは無く、なかなか美味しいです。
また、穴子はひつまぶしに入れる鰻のように細く切られて茗荷の下に埋まっていましたが、先にいただいた茗荷の美味しさが口の中に残っていたこともあってか印象は薄く、酒の肴としていただくなら茗荷だけでも良いかな?と思ってしまう程美味しい茗荷の甘酢和えでした。
なかなか興味深い料理をいただきながら何気なく店内を見渡してみると、11時半前という時間ではありますが、2人掛けと4人掛けのテーブル席はほぼ埋まっていて、「雨天の11時なので混雑はしないだろう」と思い4人掛けテーブル席に着きましたがその選択は間違っていたかな?という感じです。
そんな状況になんとなく罪悪感を感じてしまったことから少々ペースを上げて料理をいただき、1900円という価格に戸惑ったものの「野菜天せいろ」をいただくことにしますが、蕎麦と天婦羅をいただきながらお酒を一杯だけいただこうかな?と思い、枡酒を一緒にお願いします。
目の前で、枡から溢れたお酒が皿にタップリ溜まるまで注いでくれた枡酒は、木の香りはさほど感じられませんでしたが、新潟県の地酒「吉乃川」なのか、なかなか美味しい枡酒でした。
なお、いただいた「野菜天せいろ」は、少々硬目かな?と感じてしまうほどしっかりした歯応えの蕎麦でしたが、喉越しは悪く無く、季節感の感じられる天婦羅と一緒に美味しくいただきました。
今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『二八庵・さらしん』さんは、ザッと見渡したところ60席ほどありましたが、開店と同時にぞくぞくとお客さんが訪れ、12時前でありながら空席待ちのお客さんが出るほどの賑わいを見せるお蕎麦屋さんでした。
そして、一人のお客さんにも、知人友人とワイワイ楽しんでいるお客さんにも、子供連れの家族にも、そしてお酒のお客さんにもお蕎麦のお客さんにも、どんぶり物をガッツリ食べたいお客さんにも、付かず離れずの程良い距離感でそつ無く対応している花番さんの接客が好印象な、訪れる様々なお客さんみんながそれぞれの価値観で楽しい一時を過ごすことのできる、みんなの町のお蕎麦屋さんでした。
ごちそうさまでした。