カンボジア経済

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2023年カンボジア経済10大ニュース

2023年12月29日 | 経済
 2023年も押し詰まりました。カンボジア総合研究所チーフエコノミスト鈴木博の選ぶ「カンボジア経済2023年10大ニュース」です。(なお、日付はブログ記事掲載日です)
(写真は、コロナ明けで4年ぶりに開催された水祭りです)

第1位 フン・セン首相が退陣 後任は長男のフン・マネット氏
 7月26日、フン・セン首相は、テレビを通じて演説し、今期限りで首相を退陣すると発表しました。後任には長男のフン・マネット氏が8月22日に指名され、新内閣が発足しました。フン・セン首相は、1985年1月14日に首相に就任し、38年、1万4099日の在任となると述べました。首相退陣後も、与党人民党党首に留まるとしています。また、来年2月に予定されている上院議員選挙に参加し、上院議長職を目指すとのことです。
 フン・セン首相から長男のフン・マネット氏への世襲の権力禅譲は、7月23日の選挙後に実施されるとは見られていましたが、予想よりも早い発表に驚いた関係者も多かったようです。フン・セン首相としては、新首相への確実な禅譲を行い、その後も政権が安定するまで政治的なパワーを維持しようとしているものと見られます。

7月27日 フン・セン首相が退陣を発表 後任は長男のフン・マネット氏
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/3fbdc891c693fe81a1495b68079944a7


第2位 総選挙で与党人民党が圧勝
 8月5日、カンボジア国家選挙管理委員会は、7月23日に投票された国民議会選挙の結果を発表しました。与党のカンボジア人民党が全125議席中120議席を占めるという圧勝に終わりました。
 注目されていた投票率については、971万645人の登録有権者のうち821万4430人が投票し、投票率は84.59%と、前回の2018年の82.17%を上回りました。選挙前に、政権側が、野党等の棄権の呼びかけに対して厳しい対応を取ったため、棄権した場合の後難を恐れ、多くの有権者が投票せざるを得なかったものと見られます。なお、投票するものの投票用紙にバツ印をつける等して無効票とすることで抵抗の姿勢を示す有権者もいた模様で、無効票は44万154票(投票数の5.4%)に達しました。

8月14日 総選挙結果確定 人民党が圧勝
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/012d609b3193fd0f590c94ff709890f4


第3位 フン・マネット新政権発足 貧困対策も拡充
 8月22日、カンボジアの国民議会(下院)は、新首相としてフン・マネット氏の就任を承認しました。また、新首相の下、新政権の組閣人事が発表されました。首相に就任したフン・マネット氏は、フン・セン前首相の長男で45歳、米国陸軍士官学校を卒業したエリートで、人格は温厚と言われています。
 注目の新閣僚は、副首相10人、上級大臣および大臣40人で構成されます。首相を含め30〜40代の若い第二世代が多く、重鎮が軒並み70〜80代に突入していた前政権から大幅に若返りました。欧米諸国での留学経験を持つメンバーも多く、内戦やその後の修羅場をくぐってきた第1世代とは、かなり違った雰囲気となったとみられます。
 また、8月24日、初の閣僚評議会全体会議(閣議)を開催し、演説しました。演説では、平和を維持し、経済成長を実現させると強調しました。中国をはじめ各国から投資を呼び込みたい考えを示し、2030年までに高中所得国に、50年までに高所得国となる目標を掲げました。具体的政策としては、これまでの四辺形戦略を拡充した「五角形戦略(第1期):Pentagonal Strategy-Phase I」を打ち出しました。

8月28日 フン・マネット氏が首相に就任 組閣人事を発表
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/09ac91dc29d51521bef761e3f060c7c2

8月8日 中央銀行のチア・スレイ副総裁 総裁に昇格 父の後任 政権若返りの一環か
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/d8e437eca2db572c16f9d505adc8e1e9

9月1日 カンボジア新政権の政策パッケージ 五角形戦略を発表
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/bd949b6387c069f83540cfb90c1cc7ba


第4位 日本カンボジア友好70周年 日本ASEANも50周年
 1月9日、日本とカンボジアは、1953年の外交関係樹立から70周年を迎えました。同日、プノンペンの駐カンボジア日本大使公邸での外交関係樹立70周年記念式典において、岸田文雄内閣総理大臣とフン・セン首相(当時)の祝辞、林芳正外務大臣(当時)とプラック・ソコン副首相兼外務国際協力大臣(当時)の祝辞が交換されました。
 12月2日・3日、シェムリアップのアンコール遺跡であるバイヨン遺跡で日本カンボジア国交樹立70周年記念の「伝統文化交流イベント」が開催されました。ライトアップされたバイヨン遺跡の前で、日本とカンボジアの伝統文化が紹介されました。カンボジアからは、クメール宮廷古典舞踊や仮面劇、日本からは能や尺八の演奏等が披露されました。

1月16日 日本・カンボジア外交関係樹立70周年 開始式典
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/5b3885bf496bdca383ef16200d600673

12月9日 日本カンボジア国交樹立70周年記念 伝統文化交流イベント
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/f8c6c8b7365473a9b3320e2c481e00da

12月22日 日本ASEAN友好協力50周年特別首脳会議
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/37a9382daa6d66abe6ffe6b9d4a61024


第5位 カンボジア拠点の特殊詐欺 日本人も逮捕
 11月8日、カンボジアで身柄を拘束された日本人の特殊詐欺グループ25人について、北海道に住む女性から現金をだまし取ったなどとして、日本の警察は、カンボジアから日本に移送中の航空機内で逮捕しました。このグループは、少なくとも8道府県の特殊詐欺事件に関わっているとみられ、警察は実態解明に向けて本格的に捜査する方針です。
 カンボジアから移送され、航空機内で逮捕された20歳から42歳の25人は、羽田空港に到着後、埼玉県内の警察署に身柄を移されました。逮捕されたのは、職業不詳の石原寛和容疑者(29)ら25人です。調べによりますと、今年3月から8月にかけてカンボジアに順次入国し、現地から日本の被害者に電話をする「かけ子」として、拠点にしていたプノンペン市内のアパートから、日本の高齢者を中心にうその電話をかけていたとみられ、9月に現地の捜査当局に拘束されていました。

11月17日 カンボジアで特殊詐欺か 日本人25人を逮捕 
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/02e0703fc29a715347f6bb8ee5e0186b

9月2日 中国系犯罪集団によるカンボジアでの人身取引 日本人にも被害が
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/c3b78262e34c3c9c702ce2870994e382


第6位 東南アジア競技大会 カンボジアで初開催 大盛況
 5月5日、カンボジアで東南アジア競技大会(SEA Game)の開会式が挙行されました。この大会には、ASEAN 加盟10カ国(カンボジア、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)と加盟予定の東ティモールの合計11か国が参加しています。1959年に開始された伝統ある大会ですが、カンボジアがホスト国となるのは今回の第32回大会が初めてとなります。カンボジアにとっては、一大イベントで、日本が1964年に初めて東京オリンピックを開催した時のような高揚感があります。
 開会式は、大変に素晴らしいもので、各国からも称賛の声が上がっています。全部は見ていないのですが、聖火の点火シーンは特に素晴らしいものがありました。昨年の東京オリンピックの開会式を完全に凌駕していたと言っても過言ではないかと思います。

5月15日 東南アジア競技大会 盛り上がりを見せる
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/2bf1aea85dc8ef3d52cdddc37694eade


第7位 カンボジアはコロナ明け 水祭りも盛り上がる
11月26日から28日までは「水祭り」の3連休でした。新型コロナの影響で、2020年~2022年はイベントは開催されませんでした。2023年は4年ぶりに様々なイベントが行われ、大いに盛り上がりました。プノンペン都によりますと、3日間で延べ約500万人の観光客が集まったとのことです。
 11月12日に、第16回カンボジア日本人会盆踊り大会が開催されました。新型コロナの影響で、こちらも4年ぶりの開催となりました。今年も、2000人以上の多くの方が来場されたとのことです。日本の方だけでなく、カンボジアの若い方々も多数参加して、大変な盛況でした。

12月2日 水祭り2023 4年ぶりの本格開催で大盛況 延べ500万人を集める
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/e178354106ff3153e6178a8328641013

11月18日 カンボジア日本人会盆踊り大会2023 2000人が参加
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/290c4c7b7d10edf2db996b89a2c9c041


第8位 シェムリアップ新空港が開港
 11月16日、シェムリアップの新空港「シェムリアップ・アンコール国際空港」が正式に開港し、記念式典が開催されました。式典には、フン・マネット首相他多数が参加しました。フン・マネット首相は、スピーチで、この空港の完成は中国の一帯一路の成果であると強調し、中国のカンボジア支援を評価しました。
 旧空港は、シェムリアップ市街からすぐ近いというメリットがありましたが、周囲にアンコール遺跡等があり、運用に様々な規制がありました。そうした中で、かなり遠くとなりますが、大型機も発着可能な空港がコロナ明けと共に完成したことは、新型コロナで深刻な打撃を受けてきたカンボジアの観光業界には朗報と言えます。他方、新空港は市外から遠く離れているため、アクセスが課題となっています。

11月27日 シェムリアップ新空港が正式に開港 交通アクセスに課題
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/7ea6c3952a5aaca4003fd6fd0661fc13


第9位 中田さん・高田警視が亡くなられてから30年
 内戦後のカンボジアで1993年4月、国連ボランティアとして選挙監視に赴いた中田厚仁さんが凶弾に倒れて、4月8日で30年が経ちました。当時25歳だった中田厚仁さんは、国連のボランティアとしてカンボジアの総選挙を支援していた最中に、銃撃され、亡くなられました。
 カンボジアで国連平和維持活動(PKO)に参加していた岡山県警警視、高田晴行さん(当時警部補、33歳)が武装集団に殺害された事件も発生から30年となりました。5月2日、カンボジアで追悼行事が行われました。
 カンボジアのために命を懸けた日本人がいたことを決して忘れてはならないと強く思っております。高田警視と中田厚仁さんのお二人のご冥福を心よりお祈りしております。また、日本の国際貢献活動が、カンボジアの復興に大きく貢献したこと、そして多くのカンボジアの方々が日本に感謝していることもぜひ強調しておきたいと思います。これまでの関係者の方々の献身的な努力に敬意を表します。

4月17日 カンボジア国連ボランティア中田さんの死から30年
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/2930ebb4e713ae60ffee9bc2b0b1925b

5月8日 故高田警視殉職から30年 カンボジアで慰霊の集い
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/3fa7c0a15001332cfbc5aa03757c0017


第10位 セルカードの携帯会社等が証券取引所に上場
 6月27日、携帯通信サービス「セルカード」を展開するCAMGSM社が上場しました。CAMGSM社は、カンボジアの財閥ロイヤル・グループ傘下の携帯通信事業者で、携帯通信の主要3社の一角です。
 6月28日、教育機関のMengly J Quach Education Plc (MJQE)が、カンボジア証券取引所に上場しました。
 カンボジア証券取引所への上場は、カンボジアの民間企業の資金調達手段の多様化に大きな役割を果たしつつあります。また、上場により、企業情報・財務情報の開示等が実施されており、企業の透明性確保にも貢献しているものと見られます。今般、カンボジアの財閥系企業であるCAMGSM社が初めて上場を承認されたことは、大きな意義があるものと見られます。

7月5日 カンボジア証券取引所 2社が上場
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/4aec223e6d10da074a6c6f609f2ce58c



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