
4月24日、世界銀行は、東アジア・大洋州地域半期経済報告(2025年4月)を発表しました。今回の報告書は「長期的な見通し(A Longer View)」と題されています。
報告書では、「世界的な不確実性の高まりは、企業や消費者の信頼感に影響を及ぼし、投資と消費を妨げている。貿易制限は東アジア・大洋州地域の輸出に影響を与えるとみられ、世界的な成長鈍化は外需を一段と冷込ませる可能性がある。」と分析しています。
カンボジア経済については、2025年のGDP成長率予測を4.0%(2024年10月予測5.3%)に引き下げました。2026年は4.5%(同5.5%)、2027年は5.1%と予測しています。カンボジアは、輸出の対GDP比が60%と高い上に、対米輸出が輸出の39%を占めており、トランプ関税の影響を強く受ける可能性があるとしています。また、長引く不動産不況にも懸念を示しています。
物価上昇率は、2025年は4.0%、2026年4.0%、2027年4.1%と安定的と予測しています。経常収支(対GDP比)の赤字は2021年のマイナス29.1%、2022年のマイナス18.8%から、2025年5.1%、2026年4.6%、2027年4.6%と落ち着いてくると予測しています。2025年1月末の外貨準備は、前年同期比15.5%増の222億ドル(輸入の7か月分)に増加し、非常に安定的なレベルを維持しています。
金融セクターについては、建設・不動産の不況を大きな要因として、不良債権比率が、銀行7.9%(前年5.4%)、マイクロファイナンス9.0%(前年6.7%)に急上昇していることに懸念を示しています。
リスクとしては、米国の貿易政策の不確実性、世界経済の停滞等をあげています。特に、長引く建設・不動産不況の中で、金融機関の不良債権比率の悪化は重要なリスクとなっていると指摘しています。中長期的には、建設・不動産に偏った成長モデルからの脱却を図る必要があると提言しています。
世界銀行の新聞発表(和文)
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