カンボジア経済

カンボジアの経済について、お堅い数字の話から、グルメ情報といったやわらかい話まで、ビジネス関係の方にお役に立つブログです

本年もご愛顧頂きありがとうございました2022

2022年12月31日 | 一般
 ブログ「カンボジア経済」を、本年もご愛顧頂きありがとうございました。2007年11月から始めたこのブログが続いておりますのも皆様のご支援の賜物と心より感謝申し上げます。また、皆様から暖かいコメントも頂き、本当に元気付けられました。

 2020年~2021年は、新型コロナの影響でカンボジア経済も大きな打撃を受けました。2022年から回復を見せており、来年は更に回復するとの見方が多数派です。しかし、海外への輸出、海外からの投資、海外からの観光客に頼っているカンボジア経済は、ロシアのウクライナ侵略に加え、世界経済のスローダウンの影響もあるものと見られます。

 カンボジア総合研究所では、毎日更新のブログ「カンボジア経済」、毎週月曜日の朝にお届けするメルマガ「週刊カンボジア経済ニュース」を発行しております(無料です)。ブログ記事は、フェイスブックやツイッターでもご覧になれます。
 更に、毎週金曜日のモーニングスター「新興国情報EM eye」、Yahoo!ファイナンス、アジアビジネス情報ポータルサイト「タイプラスワン」、毎月更新のみずほ銀行の「MIZUHO Grobal Infostation」、隔月発行の雑誌ニョニュム「ニョニュムタイムズ」等の様々なツールを活用して、カンボジア経済情報を発信しております。皆様のお目に留まれば幸甚に存じます。

 2023年も、引き続きよろしくお願い申し上げます。良いお年をお迎えください。



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2022年カンボジア経済10大ニュース

2022年12月30日 | 経済
 2022年も押し詰まりました。カンボジア総合研究所チーフエコノミスト鈴木博の選ぶ「カンボジア経済2022年10大ニュース」です。(なお、日付はブログ記事掲載日です)
(写真は、カンボジア初の高速道路です)

第1位 新型コロナ対策に成功 アフターコロナに

 カンボジアの新型コロナウイルスの感染状況は、感染が始まった2020年は低レベルでしたが、2021年2月から急増しました。2021年4月15日からプノンペン等でのロックダウンが始まりました。その後、ワクチン接種の進展とともに感染は落ち着き始め、9月末から段階的に経済の再開が進められ、12月にはほぼ正常に戻っていました。2022年に入り、オミクロン変異株の登場で、感染者数は増加に転じましたが、5月には落ち着き、死者数、新規陽性者数ともに低レベルとなりました。9月以降は、陽性者数は減少し、10月~11月には新規陽性者ゼロの日もありました。12月1日のカンボジア保健省の発表によれば、11月末現在の死者は累計3056名(10月31日からゼロ名増)です。累計陽性者数は13万8106名(同114名増)となっています。死者数は、ここ7カ月間ほどはゼロが続いています。
 新型コロナ対策成功の要因となったのは、早期のワクチン接種であったと見られます。世界的に見ても早いペースで接種が進んでおり、既に、3歳以上~成人については2回接種をほぼ完了していると言ってもよい状況と見られます。
 11月1日、カンボジアが外国人観光客の受け入れと全ての社会経済活動を再開してから、1年が経過しました。フン・セン首相は、「開国」が新型コロナウイルス禍からの回復と国民生活の正常化につながったとしています。フン・セン首相は、「開国はワクチン接種、治療、感染拡大の抑制、感染防止策への国民の協力等の状況を勘案して決定した」と述べました。「結果として、2020年にマイナス3%に落ち込んだGDP成長率は、2021年に3%回復し、2022年は5.4%、2023年は6.6%に達するとみられている」としています。
 カンボジアでは、屋外でのマスク着用義務も解除され、「アフターコロナ」と言っても良い雰囲気となっています。カンボジアへの外国人観光客数は激減していましたが、最近は西洋系の観光客をちらほら見かけるようになっています。

12月5日 新型コロナ カンボジアの状況 11月30日 フン・セン首相が陽性に
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/e567031cf740a689a1d5a696f7d21496

12月18日 日本への一時帰国2022秋 カンボジアはコロナ関連の入国規制を全て撤廃
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/b74e6120c106e3c6d532b0c03ac53a71


第2位 カンボジア初の高速道路が開通

 中国企業によるプノンペン~シアヌークビル高速道路は、10月1日から試験運用が開始されました。プノンペンとシアヌークビルを結ぶ高速道路は、プノンペン近郊の環状3号線からスタートし、シアヌークビル近郊までを結ぶ片側2車線、総延長187キロメートルの高速道路です。カンボジア初の高速道路となります。プノンペン中心部からシアヌークビルまで(約230キロ)は、これまで6時間程度かかっていましたが、高速道路を使うと3時間未満で到着可能となっています。高速道路は制限速度120キロであり、2時間未満で到着します。プノンペン市内、シアヌークビル市内の走行時間を加えても3時間程度でした。

10月6日 シアヌークビル高速道路 ついに試験運用始まる
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/4afb640dd65e1d457b9965744f8faea3

10月24日 シアヌークビル高速道路を実走 大幅な時間短縮効果
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/0da7b14dde52e140405c33b5aedaa6ab


第3位 カンボジアがASEAN議長国

 2022年は、カンボジアがASEAN 議長国であり、プノンペン等で多数の関連会議が開催されました。カンボジアは、議長国としてミャンマー問題に積極的に取り組みましたが、成果は限られたものでした。10年前の議長国の際には「親中国」として動き過ぎて、共同声明が出せないという失態を犯しましたが、今回はそれを挽回するため、バランスの取れた対応を行ったと見られます。

11月30日 ASEANサミット プノンペンで開催 米中冷戦の狭間で
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/63b9477332a2c6f8867f0d38bd44b54b


第4位 地域的な包括的経済連携(RCEP)協定 発効

 地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が、2022年1月1日に発効しました。RCEPは、関税の削減などを通じて貿易の自由化を進める協定で2020年11月に15カ国(ASEAN10か国、日本・中国・韓国・オーストラリア・ニュージーランド)が署名しました。参加国の国内総生産(GDP)と人口の合計は世界の3割を占める規模となります。環太平洋経済連携協定(TPP)に比べると貿易自由化率やルール水準は低いものの、中国が参加する唯一の大型自由貿易協定となる見込みです。
 カンボジアは、今後設立される予定のRCEP事務局をプノンペンに誘致しています。

1月7日 RCEP ついに発効 カンボジアへの効果は未知数
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/68b1879ff7ca30c34dc8cc5339641b45


第5位 日本とカンボジア 緊密な首脳外交

 カンボジアは、アジアで最も親日の国と言っても良いかと思います。今年は、ASEAN議長国ということもあって、多くの首脳会談、閣僚級会談が実施されました。首脳会談だけでも、3月20日に岸田首相がカンボジアを訪問して会談したのを皮切りに、4月23日で訪日したフン・セン首相と熊本で会談、9月28日に安倍元首相の国葬儀に参列するために訪日したフン・セン首相と会談、11月12日にASEANサミット関連でカンボジアを訪問した岸田首相と会談等、親密な関係を示しました。
 なお、親日国のカンボジアは、7月10日を、暗殺された安倍晋三元首相を追悼する日とし、街中には多くの半旗が掲げられました。カンボジア政府と国民の方々に心より感謝したいと思います。

3月24日 岸田首相 カンボジアを訪問
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/fed5c885e770d3bd1728faecf372748a

4月26日 日本・カンボジア首脳会談 熊本にて
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/55862fb3fa77a05c2f100115e6a5c311

7月10日 カンボジア 7月10日を安倍元首相追悼の日に
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/071671df26615337b1be7297014a40a6

10月4日 フン・セン首相 安倍元首相の国葬儀に参列 岸田首相とも会談
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/1c23f7a355b8d2b8f28b396cf1ed662e

11月16日 日本カンボジア首脳会談 外交70周年記念ロゴも
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/784ee1d96c5f9530a9586f31b4ac3ba1


第6位 リアム海軍基地 中国支援で拡張開始 緊張高まる

 6月8日、シアヌークビル近郊のリアム海軍基地で、中国の資金援助を得て倉庫やドックを建設する工事の起工式が開催されました。他方、米国等は、カンボジアと中国がリアム海軍基地の利用に関して秘密合意を行っていると批判しており、中国軍の拠点拡大の兆候として警戒しています。 11月12日、バイデン米国大統領は、首脳会談でリアム海軍基地問題を取り上げました。米中対立激化の中で綱渡り外交を続ける小国カンボジアにとって、慎重な対応が必要な状況と見られます。

6月15日 リアム海軍基地 中国支援で拡張開始 緊張高まる
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/c801afa5a5b13bf5cd914d4350c805d6

11月22日 米国カンボジア首脳会談 リアム基地問題を提起
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/fc11d2db466905b632264089b95e3943


第7位 カンボジア 初の国債発行 金利上昇局面で入札は不調

 9月7日、カンボジア初の国債の入札が実施されました。対象となったのは、リエル建て1年債です。落札金利は2.2%でした。なお、1年債の表面利率は2.0%とのことですので、額面より安い値段で落札されたこととなります。残念ながら入札は、「未達」となったものと見られます。米国の国債(ドル建て)の1年債の金利が3.6%前後、ACLEDA銀行のリエル建て1年物定期預金の金利が7.35%であったことを勘案すると、リエル建て1年債の表面利率を2%としたのはかなり強気であったものと見られます。米国連邦準備委員会(FRB)が金利を急激に引き上げていることもあり、カンボジアの金融機関や社会保障基金等の応札側も、腰が引けた対応となったものと推測されます(債権の金利が上がることは、債券価格が下落することを意味します)。

9月6日 カンボジア初の国債 近く発行手続き開始へ
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/412b8cdf0b0be0ba5eb47f7e981f9399

9月20日 初の国債 9月7日に初入札 落札金利は2.2%
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/22675cd006571251d0e9d5a55503b35b


第8位 中央銀行 電子支払のための統一QRコードを主導

 7月4日、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)は、電子支払のための統一QRコードとなる「KHQR」の導入を記念する式典を開催しました。カンボジアでは、電子支払が急速に拡大していますが、金融機関がそれぞれ別個のQRコードを加盟店に発行してきたため、レストランのレジには数多くのQRコードが並んでしまうという事態となっていました。こうした状況を改善するため、NBCでは、中央銀行デジタル通貨のバコンに加盟する金融機関37機関と協力して統一QRコードであるKHQRを開発しました。遅れた国と思われているカンボジアですが、過去のしがらみや既得権益層の反対等が少ないこともあり、フィンテック等の新たな分野では、日本ではなかなかできないような取り組みを次々に実現させています。今後も、ITやフィンテックの分野での劇的な発展が期待されます。

7月12日 中央銀行 電子支払のための統一QRコードを主導
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/abda01bf5ef904eb5e57f2f1c4e20d23


第9位 カンボジアに過去最大規模の円借款を供与 シアヌークビル港に414億円

 8月7日、フン・セン首相のご臨席を得て、過去最大規模の円借款の交換公文及び借款契約が調印されました。対象となる事業は「シハヌークビル港新コンテナターミナル拡張事業(第一期)」です。金額は413億8800万円、金利0.75%/年(コンサルタントサービス部分は0.01%)、期間30年(うち据置期間10年)という大変譲許的な条件です。本事業は、順次建設予定の3つの新コンテナターミナルのうち、第2ターミナル及び第3ターミナルの建設等を行うものです。「中国化」が進むシアヌークビルですが、この港だけは、中国の影響下に置かれることがあってはならず、この観点からも日本の継続的な協力が期待されます。

8月11日 カンボジアに過去最大規模の円借款を供与 シアヌークビル港に414億円
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/6f2aa88b26cde67fe942f9103b29472c


第10位 プノンペン南部にイオンモール3号店 12月15日に先行オープン

 12月5日、イオンとイオンモールは、カンボジア3号店となるショッピングモール「イオンモール・ミエンチェイ」を12月15日に一部先行オープンすると発表しました。グランドオープンは、2023年春の予定としています。イオンモール・ミエンチェイは、プノンペンの中心地から南へ8キロメートル、フンセン通り沿いに位置します。

12月14日 プノンペン南部にイオンモール3号店 12月15日に先行オープン
https://blog.goo.ne.jp/economistphnompenh/e/409fe9891e715d84023b6b5f060dea82




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カンボジア西部の現状 その4 国道6号線を東へ

2022年12月29日 | 経済
 2022年12月に、バッタンバン、ポイペト、シェムリアップ等のカンボジア西部の主要都市とそれらを結ぶインフラの現状を視察する機会がありました。
 シェムリアップからプノンペンを目指して、国道6号線を東に向かいます。国道6号線は、プノンペンとタイ国境のポイペトを結ぶ重要路線です。プノンペン~チョロイチャンバー橋~スクン~コンポントム~シェムリアップ~シソポンまでの411kmを結び、シソポンからは国道5号線でタイ国境に至る南部経済回廊の重要な一角ともなっています。途中には、人口が最も多いコンポンチャム州、トンレサップ湖北岸で米作の主要州であるコンポントム州、アンコールワット等の観光の中心となっているシェムリアップ等があります。プノンペンから国境までほとんど平坦な道です。1990年代から、日本、世界銀行、アジア開発銀行等の支援を受けて修復が進められましたが、次第に老朽化が目立つようになっていました。2018年に中国の支援でプノンペン~シェムリアップ間の再改修が完了しました。プノンペン~スクン間は片側2車線、スクン~シェムリアップ間は片側1車線です。スクンやコンポントムのほか、中堅の街については、バイパスが整備されています。今回、実走したところ、完成してわずか数年にも関わらず、補修の跡だらけであり、中国の低品質工事の悪影響が見られました。また、実際に補修工事中の現場もありました。日本が提唱する「質の高いインフラ」の反面教師とも言えます。工事当初は、「早くできる」「安価である」等と言いますが、すぐに穴が開き、補修に追われることとなり、ライフコストで比べると高くつくことを示す実例と言えます。カンボジア政府は、こうした低品質工事を防止する対策を強化する必要があるものと見られます。
 途中で、シェムリアップ新空港の建設現場にも立ち寄ってみました。アポなしだったので、中には当然入れませんでしたが、アクセス道路(新空港~国道6号線:約24キロメートル)の工事状況等を見ることができました。シェムリアップ新空港は、シェムリアップ市街の東約60キロメートルに位置し、敷地面積約750ヘクタール、滑走路延長3600メートル、ターミナル面積8万平方メートルで、旅客処理能力年間700万人、貨物取扱能力年間1万トンの計画です。総工費は約8億8000万ドル(約1160億円)で、契約期間55年間のBOT方式で建設されています。中国の雲南省投資控股集団(雲投集団)傘下のアンコール・インターナショナル・エアポート・インベストメントが工事を請け負っています。新型コロナの影響もあり、工事は遅れている模様です。建設会社によれば、予定通り2023年3月末までに工事を完了させ、同10月に試験運用を行う予定としていますが、2022年9月末の工事進捗率は約44%であるとしており、スケジュール通りの完工はかなり厳しくなりつつあるものと見られます。
 なお、フン・セン首相は、プノンペン~シェムリアップ間に第3の高速道路を建設する構想について、事業化調査を実施すると発表しています。高速道路が完成すれば、大幅な時間短縮効果が期待されますが、他の高速道と同様にBOT方式となる場合、採算性に十分な留意が必要なものと見られます。
(写真は、中国支援で再整備された国道6号線。日本の円借款の支援で高規格・高品質で整備された国道5号線と比べると残念な感じです)

国道6号線スクン~プノンペン区間。完成後数年だというのに、穴や傷みを補修した跡だらけとなっています。


カンボジア政府による補修工事現場。中国の低品質施行の尻ぬぐいで高いコストがかかっています。


シェムリアップ新空港建設現場近くです。


新空港と国道6号線を繋ぐアクセス道路。スケジュール通りの完成は難しいものと見られています。



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カンボジア西部の現状 その3 大きく変わったシェムリアップ

2022年12月28日 | 経済
 2022年12月に、バッタンバン、ポイペト、シェムリアップ等のカンボジア西部の主要都市とそれらを結ぶインフラの現状を視察する機会がありました。
 3年ぶりにシェムリアップを訪問しました。シェムリアップは、アンコールワット等のアンコール遺跡群を擁する観光都市です。しかし、2020年以降、新型コロナの影響で訪問客数が激減し、経済は大きな打撃を受けています。カンボジア観光統計報告書2021年12月によりますと、カンボジアへの外国人訪問客数は、ピークだった2019年の661万592人から大幅に減少し、2020年130万6143人、2021年19万6495人へとピーク時の40分の一にまで減少していました。2022年は200万人程度まで回復するものと見られていますが、カンボジア観光省では2019年のレベルまで戻すのは2025年以降になると見ています。今回の訪問でも、廃墟と化したホテルやシャッターが閉まったままの商店等が散見されました。飲食店も、撤退したところもかなりあるそうです。しかし、欧米系を中心として、観光客も復調しつつあるのは事実のようで、繁華街のパブストリートや、アンコールワットでは、多くの観光客が戻ってきていました。
 カンボジア政府も、観光客誘致の努力を続けています。今回訪問して驚いたのが、シェムリアップで行っていた大規模な道路改修工事の効果です。この事業で改修した道路は、合計38本で、総延長は108.7㎞、総工費は約1億5000万ドル(約172億円)とのことです。この道路工事は、シェムリアップ観光開発マスタープランの一環として実施されたもので、2021年12月に完成しました。工事中は、道路が通行止めになったり、家から車が出せなくなったりと、色々と不便もあったようですが、道路が出来上がって見違えるようになったところも多いようです。新型コロナで観光客がほとんどゼロだったこの2年間で工事を行えたことは、不幸中の幸いであったものと見られます。改修工事では、今後回復すると見られる観光にも好影響を与えるべく、道路沿いの植栽や景観に配慮するとともに、川沿いに遊歩道を設けたり、サイクリングレーンを整備するといった工夫も見られます。対象となった道路は、市内中心部だけでなく郊外まで及んでおり、道路整備の経済効果の大きさが目に見えるようでした。
 シェムリアップでは、新空港の建設工事も進められています。また、日本の支援による水道の拡充事業も実施されています。観光が主要産業であるシュムリアップにとって、こうした基礎インフラの整備は欠くことのできないものです。維持管理を含めて、今後もインフラ整備に向けた地道な努力の継続が期待されます。
(写真は、夜明け前のアンコールワット)

整備された道路。昔とは比べ物にならないほどの改善です。


アンコールワットの夜明けを見に集まった観光客。この後、更に増えていました。


シェムリアップの繁華街のパブストリートの夜。盛り上がっていました。



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カンボジア西部の現状 その2 国境の町ポイペト

2022年12月27日 | 経済
 2022年12月に、バッタンバン、ポイペト、シェムリアップ等のカンボジア西部の主要都市とそれらを結ぶインフラの現状を視察する機会がありました。
3年ぶりにタイ国境のポイペトを訪問しました。タイとのこれまでの国境には、入国管理等を行う新しく大きな建物が完成していました。以前は平屋の小さな建物でしたが、面目を一新していました。新型コロナの影響で国境も一時は閉鎖されていましたが、現在は、水際規制は完全に解除され、平常に戻っている感じでした。多くのコンテナトラックが行きかい、その間を荷物を満載したリヤカーが行きかっていました。なお、昨日の記事にも掲載した通り、貨物専用の国境施設を近郊のストゥンボットに建設中で、国境を通過する貨物の手続き迅速化が図られる計画です。
 鉄道北線のポイペト駅は、貨物輸送で潤っているようでした。最近は、フォードの完成車を一度に100台以上も輸送する貨物列車も運用されています。訪問当日は、タイからのセメント等をトラックから貨車に積み替えていました。タイ国鉄と接続する鉄橋や線路も数年前に完成しているのですが、新型コロナの影響もあって二国間交渉が進んでおらず、直通列車や貨物の一貫輸送の実現には至っていません。
 ポイペトには、日本企業が進出している経済特区が二つあります。ロイヤルグループ・ポイペト経済特区とサンコー経済特区です。サンコー経済特区内には、豊田通商グループのテクノパークポイペトもあり、中小企業の方にも魅力的な場所となっています。新型コロナの影響もあって、ここ2年ほどは日系の大きな新規投資はないようでした。しかし、ポイペトは、カンボジアの労賃の低さとタイとの連結性から、タイに進出している日系企業、特に労働集約的部品産業のシフト先としては、非常に有望な候補となる場所と見られ、カンボジア政府も日系企業の誘致に力を入れています。1月20日には、バンコクでJETRO主催の「タイ+1としてのカンボジア国境活用セミナー」が開催される予定です。カンボジアは、労務費が上昇した周辺諸国から労働集約的な工程を切り出し、労賃の安い国に移すフラグメンテーションの好例となることが期待されており、特に、タイの東部臨海地域に多数進出している日系企業の「タイプラスワン」の候補地となることが期待されます。
 ポイペトでの日本の方の生活基盤も以前に比べると整ってきているようで、タイ系のスーパーBigC、サンコー経済特区入り口前の長期滞在型ホテル、1階に和食の国境食堂HARUが入居するアパートメント等が完成していました。
 国境付近にはタイ人向けのカジノが多数あります。そのうち一つを訪れてみました。平日の昼間でしたが、フロアの3分の一程度は埋まっており、タイ通貨のバーツの札束を握りしめたタイ人がバカラ等に熱中していました。カンボジアにとって観光も重要な産業であり、タイからの観光客数の復活も大いに期待されるところです。
(写真は、ポイペト国境の新しい入国管理事務所の建物。真ん中をコンテナトラックが数多く行きかっています。)

国境付近では、コンテナトラックの隙間を縫って、昔ながらの人力のリヤカーも健在です。


ポイペト駅。貨物列車は増加している模様です。


カンボジアとタイを結ぶ鉄道の国境の鉄橋。閉鎖されています。ここを通過して直通列車が走る日が期待されます。



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メルマガ「週刊カンボジア経済ニュース」今週号は本日発行です

2022年12月26日 | 一般
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カンボジア西部の現状 その1 国道5号線を西へ

2022年12月26日 | 経済
 2022年12月に、バッタンバン、ポイペト、シェムリアップ等のカンボジア西部の主要都市とそれらを結ぶインフラの現状を視察する機会がありました。
 まず、プノンペンから国道5号線を西に向かいます。国道5号線は、プノンペンから近郊のプレッククダムまで(約40キロ)は中国の支援で整備されましたが、それ以外の区間は、日本の円借款による支援で改修工事が行われてきました。日本が支援している国道5号線改修事業の対象は、プノンペン近郊のプレッククダムから主要都市のコンポンチュナン、プルサット、バッタンバン、シソポンを経由してタイ国境のポイペトまでの区間(366㎞)で、これまでの2車線・簡易舗装の道路を4車線化・アスファルトコンクリート化し、主要都市(ウドン、コンポンチュナン、プルサット、バッタンバン、シソポン)についてはバイパスを建設する計画です。日本政府はこれまでに7件、総額876億1000万円の円借款を供与してこの国道5号線の改修を支援しています。借款の条件は、金利0.01%/年、償還期間40年(10年の据え置き期間を含む)という大変譲許的なものです。
 国道5号線の改修工事は、北、中央、南の3区間に分かれて実施されており、北区間(バッタンバン~シソポン間:84.7km)は、市街を迂回するバイパス建設(バッタンバン:23.1km、シソポン:13.4km)も含めて2022年に完成済です。他の2区間の主要部分の完工は2023年の予定です。今回、視察したところ、今年着工したシソポン~ポイペト区間を除き、来年の完成が見込まれる状況でした。完成済の北区間では、高規格・高品質の道路で快適な走行でした。日本の支援のキーワードは「質の高いインフラ」であり、日系企業による高品質の施工が行われており、完成してもすぐに穴だらけになる中国や韓国の支援とは一線を画すものです。国道5号線では、プノンペン近郊の中国区間は、既に補修工事の跡だらけであり、日本の質の高さが際立ちます。なお、中央・南区間では、工事中の区間で対面交通となっている区間もあり、特に夜間は安全運転に留意する必要があります。
 国道5号線の終点であり、タイとの国境であるポイペト近郊では、タイの支援によって貨物専用の新たなストゥンボット国境施設を建設中です。国境に架かる橋は既に完成していますが、国境の検査施設等はタイ側の入札手続きの遅れ等により、未だに工事中の状況です。ポイペト付近の経済特区や、タイとプノンペンを結ぶ南部経済回廊にとって、新国境建設は通関の改善に必要不可欠であり、早期の完工が望まれます。
 国道5号線は、プノンペンとタイ国境を直結する重要なルートであり、プノンペン周辺に進出している日系企業にとっても、サプライチェーンの一環としてタイとの連結性を確保するために必要不可欠となっています。来年の主要部分の完成により、非常に大きな効果が出るものと期待されます。
(写真は、完成済みのバッタンバン・バイパス)

コンポンチュナンの国道5号線の旧道。昔は全線こんな感じでしたので、大きな発展を感じます。


工事中の区間では、完成済みの部分を使って対面通行となっているところもありますので、ご留意ください。


プノンペン近郊の中国支援区間。早くも大規模補修の跡が数多くみられ、中国企業の低品質施行を防止する強い対応が必要と見られます。


ストゥンボット国境施設の工事現場。大幅に遅れていますが、建屋の建設が進められていました。



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南国のクリスマス カンボジアで涼しいクリスマス

2022年12月25日 | 社会・風土
 カンボジアは、仏教国ということもあって、クリスマスはまだ一般に浸透しているとは言い難い状況です。「サンタクロース」を知らないカンボジア人もまだ相当に多いものと見られます。ただ、外国人やプノンペン等の若い層は、クリスマスパーティやコンサート、プレゼント等のクリスマスのイベントを楽しむようになってきています。クリスマスを前にして、バザーやクリスマスフェアも開催されています。イオンモールでもクリスマス用品売り場が設置されています。また、ラッフルズホテルやソフィテルホテル等では、クリスマスツリーの点灯式が華やかに行われていました。
 カンボジアでは、新型コロナを何とか乗り越えて、クリスマスを迎えられる状況となっています。この時期は、プノンペンやシェムリアップでは最低気温が20度ほどにまで下がります。南国のカンボジアでのちょっと涼しいクリスマスもなかなか良い感じです。 
(写真は、バタナックタワー前のクリスマスツリー)


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プノンペンシンガーズのクリスマスディナーコンサートとバレエの夕べ

2022年12月24日 | 生活環境
  12月17日、プノンペン在住の音楽好きの方々の集まりであるザ・プノンペンシンガーズによる「クリスマスディナーコンサートとバレエの夕べ」が開催されました。Pizzeria Matteoで美味しいクリスマスディナーと共に音楽とバレエとを楽しむイベントでした。演奏会は三部構成で、第一部は「花は咲く」を始め懐かしい日本の曲、第二部はチャイコフスキーによる「くりみ割り人形」をピアノ連弾とバレエで、第三部は美しいクリスマスソングでした。クリスマスのバレエといえば「くるみ割り人形」であり、ピアニスト達の連弾による演奏と、その生演奏に合わせたプノンペン・ダンススタジオのバレリーナ3名のバレエが今回の演奏会でのハイライトでした。
 コンサートには、多くの方々がいらっしゃいました。また、ご家族連れも多く、楽しい雰囲気でした。17日は、2回の公演がありましたが、2回とも満員の盛況でした。大変楽しい時間を過ごさせていただきました。
(写真は、プノンペンシンガーズのフェイスブックより)

プノンペンシンガーズ
https://www.facebook.com/ThePPSingers


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世界銀行 カンボジア経済アップデート2022冬 カンボジア経済にも逆風

2022年12月23日 | 経済
 12月7日、世界銀行は「カンボジア経済アップデート2022年12月:世界経済の逆風の中で」を発表しました。
 カンボジアの成長率予測については、2020年のマイナス3.1%から、2021年3.0%、2022年4.8%(前回6月予測4.5%)、2023年5.2%(同5.8%)、2024年6.3%(同6.6%)へ回復すると予測し、中期的には6%程度の成長を続けると見ています。新型コロナの影響は、特に観光業や建設・不動産業で深刻でしたが、縫製品や部品等の輸出等が堅調であったことから、2021年後半から経済回復の途上にあるとしています。また、影響が深刻だった観光業も、「Withコロナ政策」の成功により、観光客数が回復しつつあると指摘しています。しかし、2022年後半から、ウクライナ侵攻や欧米での金利上昇等により世界経済がスローダウンしていて、逆風を受けつつあるとしています。
 物価上昇率は、世界的な原油価格の上昇の影響を受けて大きく上昇するとしていましたが、予測を引き下げています。2022年6.0%(前回6月予測7.2%)、2023年4.2%(同4.5%)、2024年3.8%(同4.0%)と予測しています。石油製品を全量輸入しているカンボジアでは、ガソリン価格上昇から交通費、食料価格、肥料価格等に伝播してインフレが進行すると懸念しています。インフレは、消費の落ち込みや財政収支にも影響を与えると見ています。
 対外収支は、石油輸入価格上昇の一方で輸出が健闘していることから、経常収支赤字(対GDP比)は2021年の41.9%から、2022年25.0%、2023年15.6%、2024年12.6%と次第に落ち着いてくると予測しています。また、対外債務も「低リスク」であるとして問題ない状況としています。財政については、新型コロナ対策で歳出が増加したことから、赤字(対GDP比)は、2021年7.6%にまで上昇しましたが、2022年4.6%、2023年5.3%、2024年3.5%と落ち着きつつあります。
 カンボジア経済のリスクとしては、世界経済のスローダウン、欧米の金利上昇、国際商品価格の高騰等をあげています。対応する政策としては、柔軟な新型コロナ対策、不動産融資等の不良債権化に備えた金融安定化、国内需要の喚起(道路インフラ拡充、上下水道の整備、電力へのアクセス改善等)、物流の改善等を提言しています。
 なお、特別フォーカスとして、「カンボジアのインフレの貧困と分配への影響」と題する調査報告も含まれています。

世界銀行の発表(英文です)
https://www.worldbank.org/en/news/press-release/2022/12/07/cambodia-s-economy-is-recovering-but-could-face-headwinds-world-bank-report-says


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日本のロボット カンボジアの地雷原へ

2022年12月22日 | 経済
 11月18日、日本のスタートアップ企業のIOS株式会社は、カンボジアでロボットによる地雷除去作業を開始したと発表しました。IOS株式会社は、危険を伴う地雷の掘削作業を機械化するための開発を行ってきました。同社は元々、ソーラー発電所の除草や橋梁点検の自動化ロボット等の研究・開発を行っていました。地雷問題に取り組むようになったのは、ロボットの可能性を模索していたころに、JICAとの面談の機会を得て、地雷除去ロボットの開発・導入にビジネスチャンスを見出したことがきっかけだったとのことです。その後実際にカンボジアへ渡航し、カンボジア地雷除去センター(CMAC)長官との面談や地雷除去現場を視察して、ロボットの開発を進めていました。その際に、JICAの中小企業・SDGsビジネス支援事業の案件化調査(途上国発イノベーション枠)に採択され、CMACとの協議を重ねながら、地雷除去ロボット「DMR(Demining Robot)」の開発を進めました。
 ロボットDMRは、作業員に代わって目標地点の掘削作業を行います。安全距離とされている15m以上離れた場所からリモコンを使って遠隔で操作できるため、万一の際の作業員の人的被害を軽減することができます。エアーコンプレッサーを使った空気圧で掘ることも特徴であり、従来のシャベルで掘る方法では避けられなかった土壌中の木の根や石といった障害物を避ける必要がなく、より迅速に作業を進めることができます。また、従来の大型機材と比べ、分解・組立が容易で軽量であるため、地雷除去チームが手分けして持ち運ぶことができ、傾斜地など大型機材の利用が困難な場所でも作業を行うことができるとのことです。
 日本はこれまでもカンボジアの地雷除去に協力し、被害者数の減少に貢献してきました。その中で、日本の技術力を生かして、ロボットによる除去作業が開始されたことは、大きな意義があります。また、ロシアの侵攻を受けているウクライナでも地雷除去が課題となっており、今後、日本とカンボジアが協力して地雷除去を目指してウクライナを支援する方針です。ロボットDMRの今後の活用拡大が期待されます。
(写真は、IOS株式会社の発表より)

IOS株式会社の発表
https://ios-robot.com/archives/post_news/605

JICAのサイト
https://www.jica.go.jp/priv_partner/information/sdgs/2021/20220331_02.html


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JBICアンケート調査2022 投資有望国 カンボジアは20位に

2022年12月21日 | 経済
 国際協力銀行(JBIC)では、毎年、海外で事業を行っている日本の製造業企業を対象とした「わが国製造業企業の海外事業展開」に関するアンケート調査を実施しています。今年は531社から回答を得ています。今回の調査では、「事業実績評価」、「中期的な事業展開姿勢」、「有望事業展開先国・地域」などの定例テーマに加え、個別テーマとして「ウクライナ侵攻の影響」、「サプライチェーンと地政学リスク」、「サステナビリティに向けた取り組み」などについて調査を実施しました。
 調査の結果として、「昨年度までコロナ禍の影響を受け減速・停滞していた海外事業展開に回復の兆しがみられる結果となった。2021年度の海外売上高比率及び海外生産比率ともに昨年度比で上昇に転じ、更に、2022年度実績見込みの海外売上高比率及び中期計画の下での2025年時点の海外生産比率は、コロナ禍以前に近い水準まで回復する見通し。海外収益実績評価も一部地域を除き改善が見られ、今後の事業展開姿勢も大企業を中心に国内外ともに拡大意欲が回復傾向にある。」としています。
 中期的な有望国では、第1位はインド(前回2位)、第2位中国(前回1位)、第3位米国(前回3位)となっています。カンボジアは20位(前回21位)となりました。周辺国では、ベトナム4位(前回4位)、タイ5位(前回4位)、インドネシア6位(前回6位)、フィリピン8位(前回7位)、ミャンマー25位(前回16位)等でした。
 個別テーマのウクライナ侵攻の影響については、「ロシアのウクライナ侵攻でマイナスの影響があったと回答した企業は全体の約9割にのぼった。具体的な影響としては「燃料価格の上昇」「物流の混乱」「為替変動に伴うコスト増加」が上位を占め、間接的な影響を幅広く受けている一方、「事業の縮小・撤退」「経済制裁対応」などの直接的な影響を受けている企業は相対的に少ない結果となった。また、ウクライナ侵攻の影響で化石燃料価格が上昇する中で、クリーンエネルギー導入進展への期待を反映し、脱炭素の取り組みが加速すると答えた企業が減速するとした企業を大きく上回った。」と分析しています。
(写真は、水祭りで賑わうプノンペンの王宮)

国際協力銀行のサイト
https://www.jbic.go.jp/ja/information/press/press-2022/1216-017128.html


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JETRO日系企業実態調査2022

2022年12月20日 | 経済
 12月15日、日本貿易振興機構(JETRO)は、「2022年度海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)」を公表しました。2022年8~9月、北東アジア5カ国・地域、東南アジア9カ国、南西アジア4カ国、オセアニア2カ国の計20カ国・地域に進出する日系企業に対する現地での活動実態に関するアンケート調査の結果となります。有効回答は4392社でした。調査結果は、営業利益見通し、今後の事業展開、経営上の問題点、原材料・部品の調達、輸出入の状況、環境問題への対応、サプライチェーンにおける人権に関する方針、賃金実態の8点にまとめられています。
 全体的には、「2022年の営業利益を黒字と見込む企業の割合は上昇し、新型コロナ前の2019年度調査と同水準に。ASEANは6割を超え、インドは新型コロナの反動を中心とした内需拡大で7割を超えた。一方、中国はゼロコロナ政策の影響で黒字企業の割合が減少」と分析しています。また、「今後1~2年の事業展開の方向性について、ASEANは「拡大」の意向が上昇し、5割に迫る水準となった。一方、中国の「拡大」意向は3割となり、2007年度調査以降最低の水準に。また、ミャンマー、スリランカは3割程の企業が「縮小」と回答。」としています。
 カンボジアについては、景況感を示すDI値が2022年20.6,2023年46.3(20カ国中第6位)まで回復しています。今後1~2年の事業拡大意欲も、53.3%が拡大するとしており(20カ国中5位)、回復に向けた動きが示されています。カンボジアでの経営上の問題点としては、従業員の賃金上昇、通関等諸手続きが煩雑、競合相手の台頭(コスト・価格面で競合)、税務(法人税、移転価格課税など)の負担、従業員の質等が挙げられています。マーケット成長への期待については、現在の市場規模と市場の成長性を比較した数値で、20か国中第1位となり、ポテンシャルの高さを示しています。また、日本の製造原価を100とした場合、現地での製造原価を見てみると、カンボジアは2022年54.2(2019年62.9)と19カ国中で2番目に安価に製造できるとしています
 製造業・作業員の給与年間実負担額(本給、諸手当、社会保障、残業、賞与などの年間合計。退職金は除く。)は、カンボジアは3541ドル(前年3286ドル)となっています。中国1万1854ドル、タイ7596ドル、ベトナム4783ドル、ラオス1572ドル、ミャンマー1312ドル、バングラデシュ2222ドル等の周辺国と比べてみてもいまだに低いレベル(17か国中13位)にあります。周辺国の賃金が為替の変動(ドル高)で目減りしている中で、カンボジアはドル化経済のため影響が少なく、カンボジアの賃金の上昇が目立っています。しかし、カンボジアの相対的な低賃金は当面は維持されるものと見られます。
(写真は、日系企業が多数進出しているプノンペン経済特区)

JETROの発表
https://www.jetro.go.jp/news/releases/2022/9d782aad41a05104.html


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メルマガ「週刊カンボジア経済ニュース」今週号は本日発行です

2022年12月19日 | 一般
 ブログ「カンボジア経済」は、毎日更新して、カンボジア経済情報をデイリーにお伝えしています。これらの情報をまとめて週刊でメルマガ「週刊カンボジア経済ニュース」を発行しています。毎週月曜日に発行しています。「無料」です。
 配信御希望の方は、下記のアドレス、またはブックマークから、まぐまぐのページで皆様のメールアドレスのご登録をお願いします。

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公的債務統計報告書2022第3四半期 債務状況は問題ないレベル

2022年12月19日 | 経済
 12月5日、カンボジア経済財政省は、公的債務統計報告書(Cambodia Public Debt Statistical Bulletin)第16号を公表しました。2022年9月末現在のカンボジア政府の債務状況について詳細な統計により報告しています。
 2022年9月末の公的対外債務残高は、94億7420万ドル(約1兆2790億円)と2021年12月末の95億272万ドルから0.3%の減少となっています。国別では、中国が最大で38億5814万ドル(全体の40.7%)、以下、アジア開発銀行19億4743万ドル(20.6%)、日本9億7038万ドル(10.2%)、世界銀行8億7964万ドル(9.3%)、韓国4億4796万ドル(4.7%)等となっています。
 債務持続性分析を見てみると、2022年末予測で公的対外債務の現在価値の対GDP比率は24.9%(基準値40%)、同対輸出比率33.9%(同180%)、債務返済比率(債務返済の対輸出比率)2.1%(同15%)、債務返済の対歳入比率7.8%(同18%)と、いずれも健全とされる基準値を大きく下回っており、全く問題ありません。ストレステストでも基準値を超えることは全くなく、対外債務については、カンボジアは大変な優等生ということができます。世界銀行・国際通貨基金の判定でも「低リスク国(青信号国)」に分類されています。
 多くの途上国が、新型コロナ対策や世界的インフレで多額の財政支出を余儀なくされ、また、経済状況も悪化する中で、対外債務に苦しみ始めています。また、米国の金融緩和終了に伴うドル金利上昇やドル高によって、いくつかの新興国で懸念が高まっています。既に、スリランカが破たんし、パキスタン等も厳しい状況です。しかし、カンボジアは、債務の過半が日本や世界銀行・アジア開発銀行からの譲許的借款であることに加え、債務マネジメントをしっかり行ってきたため、対外債務については概ね問題なく、急激な為替レートの変動や外貨危機の可能性も低いと言えます。いわゆる「債務の罠」に陥る可能性は現状では低いものの、特定国に偏り過ぎないようにバランスを取りつつ、引き続き公的債務を管理していくことが必要と見られます。

経済財政省のサイト(英文及びクメール語です)
https://mef.gov.kh/documents/%e1%9e%96%e1%9f%92%e1%9e%9a%e1%9e%b9%e1%9e%8f%e1%9f%92%e1%9e%8f%e1%9e%b7%e2%80%8b%e1%9e%94%e1%9e%8f%e1%9f%92%e1%9e%9a%e2%80%8b%e1%9e%9f%e1%9f%92%e1%9e%90%e1%9e%b7%e1%9e%8f%e1%9e%b7%e2%80%8b%e1%9e%94-3/


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