カンボジア経済

カンボジアの経済について、お堅い数字の話から、グルメ情報といったやわらかい話まで、ビジネス関係の方にお役に立つブログです

日本政府 カンボジアに円借款供与 地方道路拡充を支援へ

2023年06月30日 | 経済
 6月20日、プノンペンにおいて、植野篤志駐カンボジア日本国特命全権大使と、プラック・ソコン・カンボジア王国副首相兼外務国際協力大臣との間で、総額257億7300万円を限度とする円借款2件に関する書簡の交換・署名が行われました。対象案件は、 地方道路連結性向上事業(供与限度額:236億9200万円)とシェムリアップ上水道拡張計画(第三期)(供与限度額:20億8100万円)です。
 地方道路連結性向上事業では、円借款で整備を進めてきたプノンペンとタイ国境を結ぶ国道5号線の沿線地域において、橋や道路排水施設を含む地方道路の改良及び拡幅により、当該地域における道路ネットワークの連結性強化、人々の社会経済活動へのアクセスの改善を図るものです。国道5号線に繋がるフィーダー道路38 路線、全長約 530km を対象としています。
 シェムリアップ上水道拡張計画については、2012年に第一期、その後2021年に第二期の署名を行っていましたが、最近の急激な為替変動等により総事業費が増加したことを受け、追加的な円借款で対応するものです。
 なお、供与条件は、金利:TORF+0.4%(下限金利は0.1%。コンサルタント部分は年0.1%)、償還期間:30年(10年の据置期間を含む)という大変譲許的なものです。
 カンボジアの債務状況は良好であり、債務の罠に落ち込む可能性も低いものと見られます。今後とも、重要なインフラの整備に日本の円借款を活用していくことが期待されます。
(写真は、円借款で整備された国道5号線)

外務省の発表
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press7_000056.html

国際協力機構の発表
https://www.jica.go.jp/information/press/2023/1514502_25245.html


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バケン浄水場ようやく稼働 プノンペンの水不足解消に向けて

2023年06月29日 | 経済
 6月19日、プノンペンに上水を供給するバケン浄水場(第1期)の完成を記念する式典が開催されました。式典には、フン・セン首相、チャン・プラシッド工業科学技術革新大臣他多数が参加しました。
 バケン浄水場は、第1期は19万5000立方メートル/日の処理能力で、総工費は2億4700万ドル(約350億円)です。フランス開発庁(AFD)、欧州投資銀行(EIB)、EU等からの支援を受けて建設されました。設計と建設はフランス企業ビンチ・コンストラクション・グランズ・プロジェクツ(VGGP)が受注しています。更に、第2期は、同じく19万5000立方メートル/日の処理能力で2024年第1四半期の完成を見込んでいます。総工費は1億3440万ドル(約190億円)の予定です。
 プノンペン上水道公社(PPWSA)の既存施設の現在の処理能力は、プンプレック浄水場(15万立方メートル/日)、チュロイチョンワ浄水場(13万立方メートル/日)、チャムカーモン浄水場(5万2000立方メートル/日)、ニロート浄水場(26万立方メートル/日)等で、合計約64万立方メートルです。今回のバケン浄水場の完成で処理能力は約83万5000立方メートルに拡大します。
 プノンペンの人口増加と不動産開発の急速な進展で、今年前半の乾期にはプノンペン郊外で水不足の状況となり、給水車も出動していました。ようやくバケン浄水場第1期が完成し一息つくことができた状況です。しかし、プノンペンの都市化は予想以上のスピードで進んでおり、上水需給のひっ迫が懸念される状況です。まずは、バケン浄水場(第2期)の予定通りの完成が期待されます。
 続いて、バケン浄水場の第3期については、フランスの支援を受けてフィージビリティ調査が実施されており、19万5000立方メートル/日の処理能力で建設される見込みで、2027~2028年ころの完成が期待されます。日本の息の長い支援で「プノンペンの奇跡」とまで言われた上水事業が今後ともしっかりとプノンペンの人々の生活を支えていくことが期待されます。
(写真は、AKPより)

プノンペン上水道公社の発表(英文です)
http://www.ppwsa.com.kh/en/index.php?page=newsdetail&id=486


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米国 人身取引報告書2023 カンボジアは第3階層

2023年06月28日 | 経済
 6月15日、米国国務省は、世界各国の人身取引に関する報告書の2023年版(2023 Trafficking in Persons Report)を発表しました。カンボジアは、2022年の報告書で最低ランクの「第3階層」に格下げされましたが、今年も第3階層のままとなりました。カンボジアでは、これまでカンボジア人が人身取引の対象となり、だまされてタイ等で強制労働させられるケースが問題視されてきましたが、最近は中国系の犯罪集団によって外国人がカンボジアに連れてこられて特殊詐欺等を行うために強制労働させられるケースが重大な問題となっています。
 米国の報告書では、カンボジアの人身取引対策が不十分であること、汚職等によって捜査が妨げられていること、人身取引の被害者を犯罪者とし開放に賄賂を要求していること等を問題視しています。これに対して、カンボジア政府の人身取引国家対策委員会は、米国の報告書は偏った情報に基づいて一方的に作成されたものだと反発しています。
 なお、報告書では、日本は「ティア2」に分類されています。日本の技能実習制度改革の動きは評価しつつも、引き続きこの制度が人身取引の温床になっている上、日本政府が十分な対応を取っていないと厳しく批判しています。また、性的目的での人身取引や子供の人身取引についても対策が不十分であると指摘しています。
 カンボジアにおいては、中国系の犯罪組織を中心とした人身取引・特殊詐欺等が大きな問題となっています。シアヌークビル等で摘発は続いていますが、その撲滅には、相当の努力と時間を要するものと見られます。日本人の特殊詐欺グループも摘発されており、カンボジア政府と各国政府が協力して対策を強化していく必要性は高いものと見られます。
 なお、在カンボジア日本大使館では、「最近、カンボジアにて好条件の仕事があるなどとして外国で希望者を勧誘し、カンボジアに到着した直後に旅券や連絡手段を取り上げ自由な外出を制限するなど監禁状態に置いた上で、当初約束していた活動とは異なる不法行為に従事させたり、本人の意思に反して労働を強いるような事案が発生しており、少数ですが邦人の被害事例も報告されています。」と注意喚起しています。くれぐれもご留意ください。

米国国務省の報告書(英文です)
https://www.state.gov/reports/2023-trafficking-in-persons-report/

日本外務省の海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/od/ryojiMailDetail.html?keyCd=136133


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アジア動向年報2023 カンボジア経済は回復基調に

2023年06月27日 | 経済
 5月24日、アジア経済研究所は、毎年発行しているアジア各国の動向についての報告書である「アジア動向年報」の2023年版を公表しました。カンボジアを含むアジア23か国・地域の2022年の動向について、国別に政治、経済、対外関係にわたって分析されています。また、「2022年のアジア 揺らぐ国際秩序、不安定な経済」、「アメリカとアジア 危機の1年とその中長期的影響」を取り上げ、アジア情勢の総合的な分析も行われています。
 カンボジアについては、アジア経済研究所の新谷春乃先生が執筆されています。国内政治については、「人民党政権は安定的な権力継承のために、憲法改正や党首残留の方針を示し、地方選挙で台頭した野党勢力に対する締め付けを強化した。フン・セン首相は、首相退任後も党首を継続し、党・政府人事を掌握する方針を示すとともに、憲法を改正し、権力継承に向けた道筋を整えた。」と分析しています。
 国内経済については、「2022年の経済は、観光業の回復や縫製関連品の輸出拡大に支えられ、コロナ禍からの順調な回復を印象付けた。」と分析しています。対外関係では、「3回目のASEAN議長国を務めた。中国との蜜月関係が継続する一方、2020年にEUによる特恵関税が一部撤廃されて以降、最大の縫製品輸出先となっているアメリカとは、国内の政治・軍事問題への介入には応じない姿勢を堅持しつつ、対話を維持する姿勢も示した。日本やインドなど米中に次ぐ国々との関係強化も進んだ。」としています。
 2023年の課題としては、政治面では、7月に実施予定の総選挙に向けて、人民党は党勢を拡大するとともに、野党や市民社会に対する抑圧・懐柔を強化しているとしています。人民党内の権力継承をめぐっては、将来の首相候補と党が定めるフン・マナエトの動向のみならず、その他の党幹部の子女が選挙後に組閣される新政府でいかなる役割を担うのか注目されると指摘しました。経済では、中国人観光客が戻ることで観光業のさらなる回復が見込まれる一方、2023年はアメリカ経済の後退が予想されており、これまで好調だったアメリカ向けの縫製品の輸出は伸び悩むことが懸念されるとしています。対外関係では、最大の輸出先であるアメリカとの関係の維持が課題であると指摘しました。
 この他、重要日誌、参考資料、主要統計等のデータも満載です。全文がネットで公開されていますので、ぜひご覧ください。

アジア動向年報2023
https://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Books/Doko/2023.html


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カンボジア 2023年5月の物価上昇率

2023年06月26日 | 経済
 国家統計庁から発表された2023年5月の消費者物価上昇率(対前年同月比)は、0.5%と、かなり落ち着いてきました。物価上昇率は、2012年以降、安定的に推移しており、2018年1月以降は概ね3%未満で推移していました。2021年9月以降は久しぶりの大幅上昇となっていましたが、2022年7月以降は低下傾向にあります(2018年1月2.0%、2月2.3%、3月2.3%、4月2.4%、5月2.9%、6月2.8%、7月2.3%、8月1.9%、9月2.6%、10月3.1%、11月2.5%、12月1.6%、2019年1月1.6%、2月2.4%、3月2.3%、4月2.6%、5月2.3%、6月1.6%、7月2.2%、8月3.1%、9月1.7%、10月1.3%、11月1.8%、12月3.1%、2020年1月3.6%、2月2.7%、3月2.8%、4月1.9%、5月2.4%、6月3.2%、7月3.1%、8月2.0%、9月2.9%、10月3.7%、11月3.7%、12月2.9%、2021年1月2.6%、2月1.7%、3月2.1%、4月2.7%、5月3.0%、6月2.7%、7月3.3%、8月3.4%、9月5.9%、10月6.8%、11月7.9%、12月6.7%、2022年1月4.1%、2月6.3%、3月7.2%、4月7.3%、5月7.2%、6月7.8%、7月5.4%、8月4.9%、9月4.4%、10月3.6%、11月3.2%、12月2.9%、2023年1月3.0%、2月2.2%、3月0.7%、4月1.1%)。なお、4月と比べると5月は0.2%の上昇でした。
 ガソリン価格は、政府による価格メカニズムにより国際価格に概ね連動して動いています。4月の4621リエル/リットルから、5月は4379リエル/リットルに下落しました。ディーゼルは、4月の4150リエル/リットルから、5月は3950リエル/リットルに下落しました。国際原油価格(ニューヨーク市場のWTI)は、ロシアのウクライナ侵略の影響を受けて急激に上昇し2022年3月初めに130ドル台にまで上昇した後、最近は70ドル前後の動きとなっています。カンボジアはガソリン類を全量輸入に頼っているため、カンボジアのガソリン価格も国際価格に連動しており、2022年中盤に急速に上昇しましたが、国際原油価格の下落を受けて落ち着いてきました。
 国際機関も2023年のカンボジアの物価上昇率については落ち着いてくるものと予測しています。アジア開発銀行は3.0%、世界銀行は2.5%、IMFは3.0%、AMROは3.3%と予測しています。
(写真は、プノンペン市内のガソリンスタンド。5月25日撮影)  


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メルマガ「週刊カンボジア経済ニュース」今週号は本日発行です

2023年06月26日 | 一般
 ブログ「カンボジア経済」は、毎日更新して、カンボジア経済情報をデイリーにお伝えしています。これらの情報をまとめて週刊でメルマガ「週刊カンボジア経済ニュース」を発行しています。毎週月曜日に発行しています。「無料」です。
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コーナンもある大規模ショッピングモール Chip Mong 271 Mega Mall 

2023年06月25日 | 経済
 プノンペン南部271通り沿いに完成していた大規模ショッピングモール「Chip Mong 271 Mega Mall」をようやく訪問しました。イオンにも負けない大規模なショッピングモールです。旗艦店舗は、ファストファッションのZARA、H&M、日本のコーナン、チップモン・スーパーマーケット等です。レストランも多数入居していて、日系ではシャングリラ・ラーメンもあります。この他、小籠包が有名なParadise Dynastyも入居しています。ポールスミスやカルバンクラインといったブランドショップも目白押しです。
 コーナンは、プノンペンに既に3店舗を展開していますが、こちらのお店はかなり大規模なもので、各種工具やアウトドア用品、家庭用品等が取り揃えられています。ちょっと見ていると色々と欲しくなってしまいそうです。

Chip Mong 271 Mega Mall
https://web.facebook.com/271MegaMall

コーナン。相当に広いです。


コーナンのねじ売り場。すごい品揃えです。



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何でも揃う 電気部品屋さん PP General Electrical Accessories

2023年06月24日 | 生活環境
 プノンペン中心部、モニボン通り沿いにある電気部品屋さん「PP General Electrical Accessories」です。以前は、昔ながらの建物だったのですが、最近ビルに建て替えて面目を一新しました。スイッチやコンセント、電線といった電気部品や、様々な工具類が並んでいます。種類も品数も相当な数で、何でも揃うと言ってもいいかもしれません。なお、プノンペンでは白熱電球や蛍光灯はほぼなくなっていて、LEDがメインになっているのを実感しました。今回は、延長コード、潤滑剤、ダイヤル南京錠等を購入しました。プノンペンで電気部品というと、市場や町の電気屋さん等で買うことが多いのですが、乱雑なお店も多いのが実情です。こちらのお店のように、きちんと陳列して、値札も表示されていると、本当に助かります。お試しください。

PP General Electrical Accessories
https://en.pp-electrical.com/

延長コードもたくさんの種類があります。


きれいに並べて陳列してあります。蛍光灯ではなく、全部LEDです。



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カンボジア・オクニャ協会 正式に発足

2023年06月23日 | 経済
 6月10日、カンボジア・オクニャ協会が正式に発足したことを記念する式典が開催されました。オクニャは、カンボジア国王から民間人に贈られる称号の最高位です。オクニャの称号は、財閥のトップ等、経済活動等に目覚ましい功績をあげた民間人に与えられるもので、現在1299人がオクニャと呼ばれているとのことです。なお、オクニャの称号を得るためには、政府に寄付金として50万ドル(約7000万円)以上を収める必要があります。
 オクニャ協会の名誉会長はフン・セン首相で、会長はリー・ヨン・パット氏が選任されています。オクニャ協会の目標は、国王より贈られるオクニャの称号の至高性を維持・発展させるとともに、カンボジアの社会・経済的発展や人道的活動でカンボジア政府に協力していくこととされています。フン・セン首相も、「オクニャの称号に恥じない評価を得て、国王の信頼に応えてほしい」と述べています。
 カンボジアン・ドリームを体現して、成功を収め、財閥のトップ等となったオクニャですが、商売上のいざこざや、私生活での問題が話題となることもあります。他方、与党にとっては、重要な献金者でもあります。フン・セン首相や政府関係者は、オクニャ同士の争いの調停等に頭を悩ませることも多いと言われます。選挙前にオクニャ協会を立ち上げたのは、オクニャの行動を律するとともに一般国民の怨嗟を和らげるといった狙いもあるものと見られます。オクニャ協会が、品位と名誉を重視した活動を行っていくことが期待されます。
(写真は、オクニャ協会のフェイスブックより)



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新税法を施行 各種関連法を統合 罰則も強化

2023年06月22日 | 経済
 5月17日、新たな税法が施行されました。新税法は、既存の税務関連法と一部の政令、省令を統合し、近年新たに制定された投資法や労働関連の政令や省令など、各関連法の改定に合わせて再構成されたものです。
 今回の税法改正では、所得税の適用範囲に協会や政党などが加わったほか、投資適格案件企業が国内から原材料を調達した際の付加価値税(VAT)の免除、会社の譲渡や合併などの際の過去の税債務の引継ぎ等に関する規定が新たに設けられました。また、カンボジアでの無形資産を含む動産・不動産またはその持分の売却・譲渡による利益も源泉所得に含むこと、直接・間接的に保有する不動産が総資産の50%を超える企業を「不動産会社」に分類し株式譲渡時の印紙税率を4%とすること(不動産会社以外の企業は0.1%)、税務当局から納税者への通達に電子メールの利用を認め情報発信日を通達の日付とすること等も明確化されました。また、法令で定められた税務手続きを怠った場合の罰則の強化(罰金の引上げ等)も盛り込まれています。
 他方、企業が税務当局の汚職を指摘した際の対応として、新税法では汚職防止ユニット(ACU)が当該事案の調査を行うと明記し、汚職撲滅に向けた取り組みも強化しています。
 カンボジアでは、法人所得税率は最高でも20%と低いレベルにあるものの、税務当局の恣意的な対応や、国際慣行とかけ離れた解釈といった課題も指摘されてきました。カンボジア日本人商工会は日本大使館等と協力して、税務当局とも様々な対話を行っており、問題点を一つ一つ改善してきています。カンボジア政府側でも、様々な努力がなされており、今後、税務に関する透明化や効率化も含めて改善が継続されることが期待されます。
(写真は、新税法を審議する国会。プノンペンポスト紙より)

日本貿易振興機構(JETRO)のサイト
https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/06/f0823de54adf98e6.html


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カンボジア金融業界 富裕層を狙って特別チーム

2023年06月21日 | 経済
 新聞報道によりますと、カンボジアの金融業界では、「富裕層」の獲得競争が起きており、富裕層の顧客獲得のための特別チームや部署を拡充する方向にあるとのことです。金融業界筋によりますと、富裕層(金融資産100万ドル以上)の顧客は、一般顧客の50~100人分の取引をもたらすとしています。カンボジアでは、明確な統計はないものの、プノンペンを中心として過去10年間で富裕層が大幅に増加したとしています。また、外国人富裕層もカンボジアで事業を実施したり、カンボジアへ投資したりすることに興味を有しており、こうした外国人富裕層を獲得することも重要となっている模様です。
 日本では、野村総研が純金融資産保有額別の世帯数と資産規模を、各種統計などから推計した結果を公表しています。2021年の純金融資産保有額が1億円以上5億円未満の「富裕層」、および同5億円以上の「超富裕層」を合わせると148.5万世帯で、内訳は、富裕層が139.5万世帯、超富裕層が9.0万世帯でした。2021年の富裕層・超富裕層の合計世帯数は、この推計を開始した2005年以降、最も多かった2019年の132.7万世帯からさらに15.8万世帯増加しました。日本の富裕層は事業オーナーである場合が多く、金融資産1~5億円の富裕層では、その約3分の1が事業オーナーであるとしています。なお、金融機関には、富裕層が抱える悩みや課題を把握、理解することが求められていると指摘しています。
 貧しい国と思われているカンボジアですが、街では多くの高級車を見かけます。また、高級ショッピングモールにはブランド店も進出してきています。カンボジアでも富裕層が増加しているのは確実であるものと見られ、富裕層を対象としたビジネスや、質の高い海外富裕層を誘致するビジネス等は、今後の拡大が期待されます。
(写真は、商業銀行最大手のACLEDA銀行本店。記事とは直接関係ありません)

野村総研の発表
https://www.nri.com/jp/news/newsrelease/lst/2023/cc/0301_1


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カンボジア国家カシューナッツ政策 発動

2023年06月20日 | 経済
 6月15日、カンボジア国家カシューナッツ政策2022年~2027年を記念する式典が開催されました。式典には、パン・ソラサック商業大臣他250名が参加しました。カシューナッツは、カンボジアにとって重要な農産品加工業の対象となる重点農産品の一つであり、今回の政策では、国際競争力の向上と生産性の向上を目指すとしています。具体的には、生産・加工・マーケティング等で競争力を高め、サステナビリティの確保と経済多様化に資することを目的とするとしています。また、カンボジアが、世界で最大級のカシューナッツ生産・供給国となることを目指しています。
 カンボジアカシューナッツ協会では、今回の政策により、より多くの投資を誘致するとともに、農民によるカシューナッツ栽培拡大が振興されることに期待を示しています。また、仲買人に買いたたかれることが多い現状を変えて、農民や国内加工業者に付加価値が分配されるようになることも期待しているとしています。
 カシューナッツは、カンボジア東北部を中心に栽培されており、農林水産省によりますと、栽培面積は約33万ヘクタールで、2022年の生産量は約51万トンです。このうち、47万トンは主にベトナムに未加工のまま輸出されています。カンボジア国内で加工されて輸出された量は1557トンにとどまっています。
 カンボジアは、カシューナッツの栽培に適しており、今後の生産拡大が期待されます。他方、生産されたカシューナッツは、低価格で仲買人に買われて、ベトナムに輸出されベトナムの工場で加工されベトナム製品として輸出されているのが現状です。国内でのカシューナッツ加工産業を振興し、カンボジア国内で付加価値を高めてから海外に輸出する方向で、生産、加工、輸出等を総合的に振興していく必要性が高いものと見られます。
(写真は、プノンペンポスト紙より)



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公的債務統計報告書2023第1四半期 債務状況は問題なし

2023年06月19日 | 経済
 6月8日、カンボジア経済財政省は、公的債務統計報告書(Cambodia Public Debt Statistical Bulletin)第18号を公表しました。2023年3月末現在のカンボジア政府の債務状況について詳細な統計により報告しています。
 2023年3月末の公的対外債務残高は、102億3249万ドル(約1兆4330億円)と2022年12月末の99億7052万ドルから2.6%の増加となっています。国別では、中国が最大で39億6250万ドル(全体の38.7%)、以下、アジア開発銀行21億1103万ドル(20.6%)、日本11億8695万ドル(11.6%)、世界銀行9億7502万ドル(9.5%)、韓国5億2012万ドル(5.1%)等となっています。
 債務持続性分析を見てみると、2023年末予測で公的対外債務の現在価値の対GDP比率は24.9%(基準値40%)、同対輸出比率32.5%(同180%)、債務返済比率(債務返済の対輸出比率)2.1%(同15%)、債務返済の対歳入比率7.8%(同18%)と、いずれも健全とされる基準値を大きく下回っており、全く問題ありません。ストレステストでも基準値を超えることは全くなく、対外債務については、カンボジアは大変な優等生ということができます。世界銀行・国際通貨基金の判定でも「低リスク国(青信号国)」に分類されています。
 多くの途上国が、新型コロナ対策や世界的インフレで多額の財政支出を余儀なくされ、また、経済状況も悪化する中で、対外債務に苦しみ始めています。また、米国の金融緩和終了に伴うドル金利上昇やドル高によって、いくつかの新興国で懸念が高まっています。既に、スリランカが破たんし、パキスタンやラオス等も厳しい状況です。しかし、カンボジアは、債務の過半が日本や世界銀行・アジア開発銀行からの譲許的借款であることに加え、債務マネジメントをしっかり行ってきたため、対外債務については概ね問題なく、急激な為替レートの変動や外貨危機の可能性も低いと言えます。いわゆる「債務の罠」に陥る可能性は現状では低いものの、特定国に偏り過ぎないようにバランスを取りつつ、引き続き公的債務を管理していくことが必要と見られます。

経済財政省のサイト(英文及びクメール語です)
https://mef.gov.kh/documents-category/publication/public-debt-bulletin/


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メルマガ「週刊カンボジア経済ニュース」今週号は本日発行です

2023年06月19日 | 一般
 ブログ「カンボジア経済」は、毎日更新して、カンボジア経済情報をデイリーにお伝えしています。これらの情報をまとめて週刊でメルマガ「週刊カンボジア経済ニュース」を発行しています。毎週月曜日に発行しています。「無料」です。
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最近のお気に入り BLTサンドイッチ Tatie’s 2nd

2023年06月18日 | 生活環境
 プノンペン北部、カナディアタワー近くのお洒落なパン屋さん・カフェの「Tatie’s 2nd」です。フレンチ・ビストロのPepeの姉妹店で、1号店はPepeの向かいにあり、今回開店した2号店はロシア大通り沿いです。Pepeのシェフ等、3人の職人さんたちが集まって始めたそうです。
 最近の私のお気に入りは、BLTサンドイッチです。BLTサンドイッチは、ベーコン(B)、レタス(L)、トマト(T)だけを使ったシンプルなサンドイッチですが、このお店のは、本当に美味しくて、リピートしています。結構なボリュームで、おそらくバゲット1本分かと思います。バゲットが売り切れの時は、パンを選べて、フォカッチャで作ってもらったのですが、これも美味でした。量が多いので、女性の方でしたら、二人でシェアするか、半分はテークアウトにされるといいかもしれません。お値段は、5ドルと、このお店としてはリーズナブルな価格です。お勧めです。お試しください。

Tatie’s
https://www.taties-phnompenh.com/
https://www.facebook.com/taties.pp/


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コメント
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