カンボジア経済

カンボジアの経済について、お堅い数字の話から、グルメ情報といったやわらかい話まで、ビジネス関係の方にお役に立つブログです

アジア経済見通し2024秋 長引く不動産不況に懸念

2024年09月30日 | 経済
 アジア開発銀行(ADB)は、9月25日に「アジア経済見通し2024年9月版(Asian Development Outlook September 2024)」を発表しました。ADBでは、アジア・太平洋地域の開発途上国における2024年の経済成長見通しを、堅調な内需と輸出の継続的な増加を背景に上方修正しました。また、域内のインフレ見通しについて下方修正しました。
 アジア開発途上国の経済成長見通しを2024年5.0%(前回2024年4月予測4.9%)、2025年4.9%(同4.9%)と予測しています。アジア・太平洋地域のインフレ率は、国・地域によってかなりばらつきがあるものの、2024年2.8%(同3.2%)、2025年2.9%(同3.0%)と落ち着いてくると予測しています。
 リスクとしては、米国と中国の貿易摩擦の悪化や中国不動産市場のさらなる悪化、地政学的緊張の高まりが挙げられ、さらに、気候変動や悪天候が商品価格、食料・エネルギーの安全保障に与える影響も懸念されているとしています。
 カンボジアについては、2024年のGDP成長率を5.8%(前回5.8%)、2025年6.0%(同5.8%)と予測しています。縫製品輸出の回復等に支えられて、第二次産業の成長率は2024年8.0%、2025年8.4%に達すると予測しています。第三次産業については、観光の回復が続き、2024年5.4%、2025年5.2%の成長となると見ています。しかし、長引く不動産不況には懸念を示しています。第一次産業は、農産品の輸出の伸びに支えられて、2024年1.2%、2025年1.3%成長すると予測しました。
 物価上昇率予測については、2024年は0.5%(前回2.0%)、2025年2.5%(同2.0%)に落ち着くとしています。外国直接投資については、利益率が低下している金融業向けが大きく落ち込んでいると指摘しています。また、外貨準備は2024年6月末には200億ドルに増加すると予測しました。
 リスクとしては、中国等の主要関係国の経済成長の伸び悩み、不動産向け等の民間向け貸付の増大等を指摘しています。
(グラフは、ADBの発表より)

アジア開発銀行のサイト(和文)
https://www.adb.org/ja/news/adb-raises-economic-growth-forecast-developing-asia-and-pacific


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メルマガ「週刊カンボジア経済ニュース」今週号は本日発行です

2024年09月30日 | 一般
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秋分の日2024 アンコールワットの日の出 観光の目玉に

2024年09月29日 | 社会・風土
 9月22日の春分の日、世界遺産のアンコールワットの中央の尖塔の先端から昇る朝日を見に非常に多数の観光客が集まりました。今年は前後の日合わせて4万人もの観光客が集まったとのことです。今年は残念ながらちょっと雲が出てしまって朝日はくっきりとは見えなかったようです。
 アンコールワットの正面は、ほぼ正確に西側を向いており、春分・秋分の日は、アンコールワットの中央の塔の先端から昇る朝日を見るのに最適と言われます。英国の比較サイトMorningsで、このアンコールワットの日の出が「世界一の日の出」に選出されたこともあります。
 アンコールワットの初日の出も、日本人としてはぜひ見たいのですが、東西南北をきっちりと出しているアンコールワットでは、春分・秋分の日もぜひ訪れたいものです。
(写真は、AKPより。資料)



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うどんが美味しい 武蔵

2024年09月28日 | 生活環境
 プノンペン中心部バンケンコンに開店した居酒屋さん「武蔵」です。カウンターとテーブル席があります。メニューはおつまみ類が豊富で、香川県出身のご主人お勧めのうどんも美味しいです。今回はランチタイムにお伺いしました。人数もいたので、ポテトサラダやマリネ、唐揚げ等々をおつまみに頼みました。お勧めメニューの骨付き鶏(3.9ドル!)も美味しかったです。タコ焼き(焼いてくれます)や焼きそばも良い感じです。〆は、うどんを3種類頼みましたが、太めのコシの強いうどんで最高でした。つゆは甘めでしたが、辛口のつゆも選べるそうです。アルコール類も豊富で、生ビールが0.9ドルというのはビール好きには嬉しいです。生ビールは、メガサイズ、ギガサイズというのもあります。お客さんは、日本の方や地元の方が多いようでした。お値段は、リーズナブルです。お勧めです。ぜひお試しください。

武蔵 Musashi Japanese Bar & Restaurant
https://web.facebook.com/profile.php?id=61561812009034

おつまみ各種。安くて美味しいです。


骨付き鶏。これで3.9ドルはお値打ちです。


たこ焼きと麻婆豆腐。タコ焼きは自分で焼くこともできるそうです。


うどん各種。コシの強い太麺で、良い感じでした。



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初のカンボジア欧州官民対話会議 投資環境改善を目指す

2024年09月27日 | 経済
 9月17日、プノンペンのカンボジア開発評議会にて、初のカンボジア欧州官民対話会議(Cambodia-Europe Public-Private Sector Dialogue)が開催されました。スン・チャントール副首相兼カンボジア開発評議会第一議長とイゴール・ドリスマンズEU大使が共同議長を務めたとのことです。会議には、カンボジア政府関係省庁、欧州商工会議所、EU-ASEANビジネス委員会の関係者等が参加しました。
 この対話会議は、すでに進出済の企業の課題の解決を図ることにより、投資環境の整備を進め、新たな投資誘致を目指すものです。カンボジアに対する欧州の投資家が直面する様々な課題に耳を傾け、解決を目指すとともに、カンボジアを投資対象として検討している欧州の潜在的投資家の信頼を得ていくことを目的としているとしています。
 スン・チャントール副首相は、会議での発言で、初のカンボジア・欧州官民対話の重要性を強調し、欧州の投資家の懸念と課題に対してカンボジア政府が真摯に取り組んでいくと述べています。また、カンボジアは世界中のすべての投資に開放されているとし、投資の円滑化や課題の解決により、EUを含む各国の潜在的な投資家を誘致すべく取り組んでいると述べました。
 これまで、カンボジア政府とこうした会議を行っていたのは、日本だけでした。日本とカンボジアは、投資協定に基づき、これまで約15年間で28回の協議を重ね、様々な課題を解決し、投資環境の整備に貢献してきました。EU諸国も日本のこうした活動をうらやましく思っていた模様で、今回ようやく初の対話会議開催にこぎつけたと見られます。EUや欧州商工会議所のカンボジア投資環境改善に向けた協力が期待されます。
(写真は、AKPより)



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LDC卒業の影響 カンボジアは大きく アジア経済研究所

2024年09月26日 | 経済
 9月19日、アジア経済研究所は、「ラオスにおけるLDC卒業の影響」と題する報告書を公表しました。著者は、早川和伸氏と熊谷聡氏です。
 報告書では、ラオスに加え、カンボジア、バングラデシュが後発開発途上国(Least Developed Country: LDC)を卒業したときの影響をシミュレーション分析しています。結果として平均的には、カンボジアやバングラデシュに比べ、ラオスはLDC卒業の影響をほとんど受けないことが示されたとしています。
 2021年11月、ラオスがバングラデシュ、ネパールとともに後発開発途上国のステータスから卒業することが、国連総会で決議されました。これらの国は2026年にLDCのステータスから卒業することが予定されています。また、カンボジアも2029年の卒業が予定されています。卒業により、各国は輸出時にLDC向けの特恵関税制度を利用できなくなり、輸出先市場で価格競争力を失うことが懸念されています。
 今回使用されたモデルは、経済地理シミュレーションモデル(IDE-GSM)です。このモデルは、空間経済学に基づく計算可能な一般均衡(CGE)モデルの一種であり、2007年に東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)の支援を受けてアジア経済研究所で開発が開始されたものです。
 分析結果は、ラオスは大きな影響を受けない一方で、バングラデシュ、カンボジアは、縫製品の輸出を中心に、GDPに下方圧力がかかるとしています。提言として、シミュレーション結果のように影響を最小化するために、FTA税率の利用を促進していくことが重要であるとしています。
 カンボジアはLDC卒業の影響を大きく受けることが懸念されており、主要輸出市場である欧米との自由貿易協定の促進や、輸出先国・輸出品目の多様化が課題となっています。カンボジア政府による地道な交渉等の努力が期待されます。

アジア経済研究所のサイト
https://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Reports/AjikenPolicyBrief/197.html


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カンボジア 災害リスク対策5か年計画を発表

2024年09月25日 | 経済
 9月2日、災害リスク削減国家行動計画2024年~2028年(National Action Plan on Disaster Risk Reduction (NAP-DRR) 2024-2028)が発表されました。国家災害管理委員会(NCDM)が発表したもので、そのビジョンは、持続可能な国家開発のための強靭で安全なコミュニティを構築するというものです。行動計画には、4つの戦略と18の優先プログラムが定められています。
 国家災害管理委員会では、カンボジアは毎年、洪水、干ばつ、強風、落雷、川岸の崩壊、火災、伝染病など多くの危険に直面しているとしています。2024年には、洪水により2万世帯以上が影響を受け、8月20日時点で2人が死亡しています。また、2万5563ヘクタールの稲作が被害を受け、165キロメートル以上の道路が洪水の影響を受けました。
 今年8月までに、600件以上の火災が記録されました。家屋624軒、市場の屋台120軒に損害を与え、15人が死亡、45人が負傷しました。また、241回の激しい嵐が記録され、強風により482軒の家屋が倒壊し、3800軒の屋根が損傷し、4人が死亡、32人が負傷しました。また、落雷被害も94回記録され、50人が死亡、43人が負傷したとのことです。
 カンボジアは、地震や台風の被害がほとんどありません。他方、プノンペンでも乾期と雨期の水位差がメートルもあり、毎年10月には国土の三分の一が水没していると言われます。災害を無くすことは難しいものの、災害の被害を計画的に削減することを目指すことはできるものと見られます。今回の行動計画が、しっかりと実施され、災害の被害が軽減されていくことが期待されます。
(写真は、AKPより。2020年の洪水の状況)



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2025年の最低賃金 208ドルで決着

2024年09月24日 | 経済
 2025年1月1日から縫製業等に適用されるカンボジアの最低賃金は、208ドル/月で決着しました。現在は204ドルで、2.0%の上昇となります。カンボジアの最低賃金の上昇は、2012年61ドルから2013年80ドル(31.1%増)、2014年100ドル(25.0%増)、2015年128ドル(28.0%増)と急激なものがありましたが、労働諮問委員会で客観的基準を使用し始めた2016年は140ドル(9.4%増)、2017年153ドル(9.3%増)、2018年170ドル(11.1%増)、2019年182ドル(7.1%増)、2020年190ドル(4.4%増)、2021年192ドル(1.1%増)、2022年194ドル(1.0%増)、2023年200ドル(3.1%増)、2024年204ドル(2.0%増)と上昇幅が落ち着いてきています。2025年の最低賃金は、世界経済の減速傾向の影響で経済に不透明感が広がっている中、上昇幅が抑え込まれたものと見られます。
 最低賃金は、政府、雇用者、労働組合の3者の代表51名が参加する労働諮問委員会で討議されてきました。9月19日の会議において投票が行われ、51票中46票が賛成した206ドルで合意し、労働大臣に答申されました。この結果を受けて、毎度おなじみの首相の鶴の一声で2ドル増額を加えることを決定し、最終的に208ドルで決着しました。なお、使用者側からの意見もあって、フン・セン前首相が始めた追加の金額は2019年までの慣例だった5ドルから、2020年は3ドルに、2021年以降は2ドルに縮減されています。
 内需振興のためにも、最低賃金の引き上げは必要不可欠ですが、急激な上昇は外国投資家の懸念となっていました。カンボジア政府では、最低賃金の検討に当って、労働生産性上昇率や物価上昇率等の客観的基準を2016年の最低賃金から使用し始めており、雇用者側も労働者側も納得感が高い決定方式が次第に定着しつつあります。
 2020年以降は、新型コロナの影響が大きく、工場の閉鎖や労働者の失業・一時帰休が大きな問題となっており、こうした情勢も反映したものと見られます。昨年と今年は、他通貨に比べてドル及びリエルが増価しており、輸出競争力を勘案すると賃金の上昇幅を抑える必要もありました。他方、2022年以降は、名目GDP成長率の伸びに賃金の伸びが追いついておらず、労働分配率が低下しているものと推測されます。カンボジア経済回復のための国内需要を喚起する観点からは、すくなくとも物価上昇・GDP成長に見合う実質賃金が確保できるような最低賃金の見直しが必要です。こうした様々な要因の間でバランスをとりつつ上昇幅を決定していくことが重要なものと見られます。



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カンボジアの若手クリエイター向け技術講習会 国際交流基金の支援で

2024年09月23日 | 経済
 9月6日、株式会社アクアスターは、カンボジアの若手クリエイターを対象としたオンライン技術講習会を8月30日に開催したと発表しました。この講習会は、国際交流基金が実施する「次世代共創パートナーシップ 文化のWA 2.0」事業の一環で行われ、プロのイラストレーターを目指すカンボジアの参加者に、日本文化の理解を深める貴重な機会を提供しました。
 当日の参加者数は62名で、講義中も参加者から次々と質問が寄せられ、熱心な姿勢が強く感じられたとのことです。
 国際交流基金は、日本ASEAN友好協力50周年(2023年)を契機に、日本とASEANの次世代の交流促進と人材育成を目的とする包括的な人的交流事業「次世代共創パートナーシップ-文化のWA2.0-」を、10年間にわたり集中的に実施する計画です。
 この取組は、JFが2014年~2023年にかけて実施したアジアとの文化交流事業「文化のWA(和・環・輪) 知り合うアジア」を発展的に継承するものであり、特にASEAN各国から期待が大きかった「日本語パートナーズ事業」を継続するものです。
 カンボジアの産業開発政策では、外資の誘致、地場中小企業の育成を重点としつつ、「イノベーション産業」の育成に取り組むとしています。カンボジアでは、中央銀行デジタル通貨バコンの導入等のフィンテック、デリバリーや配車サービスといったDXが進展し、様々なしがらみで改革が進まない日本に追いつき、追い越しつつあります。こうした中で、日本が得意とするアニメやゲームの分野でのカンボジアへの日系企業の進出が期待されるところです。今回の講習のような機会が日系企業にとっても大きなチャンスとなっていくことが期待されます。

アクアスターの発表
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000078.000055500.html


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2024年09月23日 | 一般
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カンボジアでスーパーカーのラリー Gumball 3000

2024年09月22日 | 社会・風土
 9月15日~17日に、多くのスーパーカーが参加するラリー「Gumball 3000」が、カンボジアを横断しました。1999年から毎年開催されているこのラリーは、2024年はホーチミンから出発し、カンボジア、タイ、マレーシアを経てシンガポールを目指すというものです。
 15日に、バベット国境からカンボジアに入り、当日プノンペンに到着して、王宮前や独立記念塔等でイベントが開催されました。16日は、プノンペンを出発してシェムリアップに向かい、アンコールワット等でイベントが開催されました。17日はポイペト国境からタイに向かいました。
 このラリーには、約150台のスーパーカーが参加したそうです。大いに盛り上がった模様です。
 カンボジアの観光業界は回復途上にあり、こうしたイベントが開催されるのは大歓迎といったところです。
(写真は、Gumball 3000のフェイスブックより)

Gumball 3000
https://web.facebook.com/gumball3000


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プノンペンでラーメンと言えば 翁さんラーメン

2024年09月21日 | 生活環境
 プノンペン中心部バンケンコン310通りのラーメン屋さん「翁さんラーメン」です。週末にスペシャルラーメンと称する色々なラーメンがその時々に提供されています。最近お気に入りが、大勝軒風つけ麺(写真上)です。一口食べてこれはうまいと思わせてくれる味です。今回は、お勧めのメンマときくらげをトッピングしました。スペシャルラーメンも、博多バリカタ、家系、大勝軒風、二郎風、煮干し、海鮮濃厚等マルチな品揃えです(毎回違うのでフェイスブック等でお確かめください)。翁さんラーメンはお気軽な居酒屋さんとしても流行っていて、タイで仕入れてくる新鮮なマグロの刺身や、もつ系の料理も人気です。私の好物は、シンプルなネギチャーシューで、ビールのお供に最適です。店内がいつも明るい雰囲気なのもおじさんには嬉しいです。お勧めです。ぜひお試しください。

Oh San Ramen & Beyond
https://web.facebook.com/OhSanRamen

好物のネギチャーシュー。本当に美味しいです。


おつまみに頼んだカツ煮と水餃子。いい感じです。



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大林組 コンストラクション国際賞を受賞 プノンペンの日本橋改修で

2024年09月20日 | 経済
 9月12日、建設会社大手の大林組は、国土交通省が主催する「第7回JAPANコンストラクション国際賞(国土交通大臣表彰)」の建設プロジェクト部門において、大林組がカンボジアで手がけた「チュルイ・チョンバー橋改修計画」が受賞したと発表しました。なお、大林組がJAPANコンストラクション国際賞を受賞するのは、今回で5年連続、6回目とのです。
 JAPANコンストラクション国際賞は、日本の優れた技術力やプロジェクト管理能力などを通じて、質の高いインフラを実現した海外プロジェクトを表彰するものです。海外における日本の建設業の競争力向上と海外進出の支援を目的に2017年度に創設されました。
 チュルイ・チョンバー橋は、1964年に日本の援助により完成し、その後の内戦の被害により不通となるも、1994年に再び日本の援助により修復(大林組施工)され、再開通しました。日本とカンボジアの友好のシンボルとして「日本橋」の愛称で親しまれており、地域住民にとって重要な生活道路である、主要国道上の橋です。
 本プロジェクトは、老朽化や交通量の増大によって著しく損傷したチュルイ・チョンバー橋の全面的な改修・補強を行うものです。近隣住民や隣接する学校などへの影響を最小限にするため、また安全・環境保護・品質管理の観点からも、日本の技術や手法、資材を採用して工事を進めました。主橋の再塗装では、旧塗装の除去で生じた研磨材を分離回収・再利用する日本の工法を採用したことで、研磨材廃棄物の削減も実現しています。
 今回の受賞では、維持管理費用を低減できる補修方法・材料を採用し、かつ効率的な施工方法の提案や関係者協議を通じて工期を短縮したことや、産業廃棄物の削減や騒音・振動・粉じん発生を抑制したこと、周辺の緑化を行ったことが高く評価されました。
 なお、大林組は、日本の円借款事業であるカンボジアの国道5号線改修工事に関して今年の「第44回エンジニアリング功労者賞」も受賞しています。
(写真は、大林組の発表より)

大林組の発表
https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20240912_1.html


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シアヌークビル港コンテナターミナル拡張工事完成 100万TEUに

2024年09月19日 | 経済
 9月12日、日本からの円借款を活用して工事が進められていたシアヌークビル港の既存コンテナターミナルの拡張工事が完工し、記念式典が開催されました。式典には、フン・マネット首相、植野篤志大使他関係者多数が参加しました。式典で、フン・マネット首相は、日本の支援に対する感謝の意を表するとともに、今後の継続的な支援を要請しました。
 今回完成した事業は、カンボジア唯一の大水深港であるシアヌークビル港において、既存のコンテナバースを253メートル延長し、コンテナターミナルを拡張するものです。現在、約70万TEU/年の取扱能力を有するシアヌークビル港ですが、2023年には取扱量が約80万TEUとなっていました。取扱能力がほぼ限界に達しつつあるため、今回の拡張工事が行われたもので、拡張によって100万TEU/年に能力が拡大します。
 日本は、これまでも多額の円借款や無償資金協力で、シアヌークビル港の整備に協力してきました。シアヌークビル港の新コンテナターミナルについても、第1フェーズ向けに2017年8月に235億200万円の円借款を供与したのに続き、2022年8月に第2・第3フェーズ向けに413億8800万円の円借款を供与して、その建設を支援しています。
 日本の円借款を活用して現在工事中の新コンテナターミナル第1期は、350メートルのコンテナバースを有し、取扱能力は145万TEUとなる予定で、2026年の完工を目指しています。その後も第2期・第3期の工事が実施される計画となっています。
 シアヌークビル近郊のリアム海軍基地には中国海軍の艦艇が常駐する等、米国等を刺激する状況も続いています。カンボジアで最も重要なコンテナ港であるシアヌークビル港は、日本の継続的な支援によって、特定国の影響下に置かれないようにしていくことも重要な課題となっているものと見られます。
(写真は、シアヌークビル港湾公社のフェイスブックより)

シアヌークビル港湾公社のフェイスブック(クメール語と英語)
https://web.facebook.com/pas.gov.kh/posts/pfbid0BBGeKUJGdKB3csLiRvtrSvTqi6i4hMQCYgXaHkFwQ9J7WbsEVP5HtBm2ujZzGA96l


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米国 カンボジアの財閥に制裁 特殊詐欺関連で

2024年09月18日 | 経済
 9月12日、米国財務省の外国資産管理局(Office of Foreign Assets Control: OFAC)は、カンボジアの財閥グループであるLYPグループ(L.Y.P. Group Co., LTD)及びその総帥であるLy Yong Phat上院議員(オクニャ)、関連会社のO-Smach Resortに対し、人身売買・強制労働・特殊詐欺に関わっているとして制裁を科すと発表しました。なお、ガーデンシティホテル・コッコンリゾート・プノンペンホテルも関連企業として指定しています。
 OFACは、O-Smach Resortにおいて組織的な特殊詐欺が実行され、そのために集められた被害者は暴行を受ける等して犯行を強要され、逃げようとした2名が死亡しているとしています。
 OFACでは、「本日の行動は、人身売買やその他の虐待に関与した人々の責任を問うという厳格な方針に則ったものであり、アメリカ人を含む無数の無防備な個人を標的とする投資詐欺スキームを運営する能力を弱体化させるためのものである」としています。
 制裁は、米国内にある指定者のすべての資産凍結、指定者との米国人または米国内(または通過)によるすべての取引禁止等となっています。
 カンボジア外務省は、9月13日に今回の制裁措置について遺憾であるとする声明を発表しています。
 なお、OFACによる制裁措置の実施は、原則として米国人・米国企業に義務付けられるものですが、特定の場合には非米国人も制裁を遵守しないと罰則の対象となるケースもあるとのことです。2022年にはオーストラリアの企業が罰金刑を受けたケースもある模様です。日系企業においても米国から疑念を持たれないよう、専門家に相談する等の慎重な対応が求められるものと見られますので、十分ご留意ください。
(写真は、コッコンリゾート。2008年撮影)

米国財務省の外国資産管理局(OFAC)の発表
https://home.treasury.gov/news/press-releases/jy2576


免責事項
(1)「カンボジア経済」は、カンボジア総合研究所(以下「弊研究所」)が発行するブログです。本ブログの著作権は弊研究所に属し弊研究所の事前の許可なく複製・再配信等を行うことはできません。
(2)本ブログに掲載された内容は、執筆時における筆者の見解・予測であり、情報の正確性や完全性について保証するものではありません。また過去の実績は将来の結果を保証するものでもありません。
(3)本ブログは情報提供のみを目的としており、投資勧誘を目的としたものではありません。
(4)弊研究所は有価証券価格や為替レート等の上昇または下落について断定的判断を提供することはありません。
(5)弊研究所は本ブログの内容に依拠してお客さまが取った行動の結果に対し責任を負うものではありません。投資にあたってはお客さまご自身の判断と責任でなさるようお願いいたします。

   カンボジア総合研究所 CEO/チーフエコノミスト 鈴木 博


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