小説も読んだが、印象はかなり違う。俳優が具体的に、演技すると小説のイメージとはちがってくるのは仕方がないとしても、青春物語の色彩が、より濃いようにみえた。
作家として、芥川賞を受賞するのだから、それまでの自伝物語となるのだろう。社会のいわば底辺のなかで、かなり、「キビシイ」生活を過ごしているにもかかわらず、深刻ではない青年の暮らしぶりは、実相をみせてくれているとしても、それが、感動を呼ぶわけではない。
それでも、ものを書き出したときに、救いのイメージがどっと具体化してくる。書くしかなくなって、あるいは、猛烈に書きたくなっていくプロセスとしては、さすがに説得力がある。実話だからだろう。
物語のなかで、気になったのは、「日雇いだから、労災にならないんだって・・・」という台詞を言わせていることである。当然ながら、日雇い労働者のケガは、労災対象である。
労災対象であるにもかかわらず、企業側が、労災隠しをしている実態をいれたということかもしれないが、疑問をもたない「読書家」はいただけない。
また、中卒コンプレックスが、再三登場するが、これも、「読書家」であれば、当然ながらクリヤしているはずである。高校や大学といっても、内容がどんなものかは、少し時間をかけて読書するならば、解ることである。
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