デラシネ日誌

私の本業の仕事ぶりと、日々感じたことをデイリーで紹介します。
毎日に近いかたちで更新をしていくつもりです。

チケットを売り切る劇場

2014-03-31 14:38:07 | 買った本・読んだ本
書名「チケットを売り切る劇場-兵庫県立芸術文化センターの軌跡」
編著 垣内恵美子・林伸光  出版社 水曜社 出版年 2012

なかなか刺激的なそしてそそられるタイトルである。新聞広告で見たとき、すぐに読みたいと思ったものである。全国に公立の会館と言われるものが1800館ほどあるらしいが、このタイトルを見て、ほとんどの会館の担当者は購入したのではないだろうか。
神戸の震災後につくられ復興のシンボルともなっていった西宮に作られた県立のホールのある意味サクセスストーリーとそれをさまざまな数字で裏付けていく本である。
まずこの分析の手法について、アート行政という視点でいろいろな方法論が講じられているようだが、マーケティングの手法を応用できるよということなのだろう。そうした分析がそんなに求められている、あるいは必要があるものなのだろうかという疑問が生じる。いいものをどうやって見せていけばいいのかということが一番大事であって、こんな数字での裏付けなんてどんな意味があるというのだろう、というのが私の立場。
このホールの成功についていろいろ分析はされているのだが、要は起用した芸術監督の佐渡さんが良かったこと、それとそれを表にだしたPRが功を奏したということだと思う。無料の会員制度とか、マーケティングを生かした方法とかいろいろとりあげられているが、根本はそこにあったのではないかと思う。ということはこの影にはいわいる代理店の力もあったのではないかと思ったのだが、それは深読みかな。
公立のホールで採算をメインにして考えるというのはどうなのだろう。そんな成功談はむしろ必要ないのでは。税金でまかなわれているものなのだから、住民のためにどんな文化サービスができのかというを第一義にすることが大事ではないかとも思った。佐渡さんの芸術監督が良かったと思うのは、そういう視点があってみんなが親しめるものをというところがあったのではないだろうか。俺が芸術監督やるんだから、俺がやりたいものをなんて言ってもそれは公立の施設ではどうなのだろう。神奈川芸術劇場の宮本亜門が監督をやめたとかいうのを聞くと、そんなことも考えてしまう。
こういう分析の方法があるということを知ったこと、そして芸術監督って大事だなということを知ったことが収穫かな。



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