デラシネ日誌

私の本業の仕事ぶりと、日々感じたことをデイリーで紹介します。
毎日に近いかたちで更新をしていくつもりです。

開国への道

2008-12-09 16:57:08 | 買った本・読んだ本
書名 「日本の歴史 江戸時代 十九世紀 開国への道」
著者 平川新  出版社 小学館 出版年 2008  定価 2400円(+税)

人のモノの動きを軸に世界史を見ていくと、いろいろな発見があるということを教えてもらったのは、講談社の「興亡の世界史」シリーズだったが、日本史の出来事も、こうした人とモノの動きを軸に論じるものがあってもいいのでは思っていたときに、やっとそんな本にめぐり合った。それが本書である。
しかもわが漂流民たちも、この書のなかでは、大活躍しているということもあって一気に読むことになった。この書でとりあげられるテーマは大きくいうとふたつある。ひとつは環太平洋を舞台にして、人のモノの動きを追うなかで、江戸後期の日本が、世界史の大きな渦のなかに巻き込まれ、動いていていたことを描くことである。毛皮を追い求め北太平洋に進出してくるロシア、さらにはいままで南太平洋に進出していたポルトガル、フランス、イギリスも北太平洋に注目するなかで、環太平洋が、世界史の大きな舞台となっていく。鎖国時代の江戸は、こうした世界史のうごきの中で見ると、いままでの日本史では語られることのなかった新たな相貌を見せる。この切り口は斬新で刺戟に満ちている。さらにこの太平洋を漂流し他国に漂着した漂流民たちも、単に通商を求めるための道具というだけでなく、情報を伝えるという意味で、大きな役割を果たしていたこともわかるのだ。
もうひとつのテーマは、そうした世界史の動きに大きく巻き込まれようとしていた江戸後期の日本の中で、いわいる権力側の対応だけでなく、そこで生きていた市民たちの役割、時代に対する関わりというところにも目を向け、さまざまな史料を駆使し、分析していることである。
世論を取り入れざるを得なくなった幕府権力側の苦渋もあったわけだが、ここで市民たちがさまざまな行政プランを生み出し、それを実践していくということもわかる。それは民の活力となり、幕藩体制を補完しつつも、開国そして明治維新という新しい時代の土台もつくっていくことになる。
庶民剣士、大塩平八郎の乱についての新たな見方など、いままでの日本史では見えなかったところにも光を当て、問題提示をしている。
このシリーズは日本史シリーズの一環であったわけで、一般の読者を対象とした本であり、非常に読みやすく書かれているが、ここで書かれている内容は、日本史の世界であらためて論じ合われていい注目すべき問題が多々提示されている。最近読んだ歴史書の中では、ベストの一冊である。
満足度 ★★★★


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今年の忘年会

2008-12-09 14:11:57 | お仕事日誌
出社して、昨日できなかった中国行きの精算を済ます。キエフのサーカス学校の生徒さんからまたウエスタンユニオンで送金してもらいたいというSOS。電話してみると、やはりカードがうまく使えないようだ。明日送金することに。
年末も残すことあと2週間。忘年会のスケジュールを決めてしまう。結構タイトなスケジュールになってしまった。
ヤクーツクの写真を整理。
渋谷図書館に寄って、本を返却。GW用にオファーしていた芸人さんからOKの電話。これでひとつ問題クリアー。雨足が強くなったなか帰宅。

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