ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画の興行成績 [4月28日(金)~4月30日(日)] ►日本アニメが次々とベスト10上位に! ►ウェブトゥーンが原作のホラー「玉水駅の幽霊」は、LINE漫画でも見られる短編漫画の実写化

2023-05-02 19:10:36 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
韓国で公開された日本映画の観客動員数についてのメモ
 ・2016年公開の「君の名は。」は観客累計約381万人に達し、それまで1位だった「ハウルの動く城」(301万人)を超えた。それまでは2位「千と千尋の神隠し」(220万人)、3位「崖の上のポニョ」(150万人)と、宮崎駿監督作品がトップ3を独占していた。
 ・ところが今年1月4日公開の「THE FIRST SLAM DUNK」が3月5日に「君の名は。」を超えた。
 ・すると3月8日公開の「すずめの戸締まり」がこれを急追、4月15に448万人を超えて歴代1位となった。4月30日現在で「すずめの戸締まり」は約511万人、「THE FIRST SLAM DUNK」は約458万人である。

▶韓国で上映中の映画一覧を眺めると、日本アニメが目につきます。以前から多かったのですが、最近は観客動員ランキングの上位に複数の作品が並んでいます。今回も上記の「すずめの戸締まり」「THE FIRST SLAM DUNK」の他に「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」(←日米合作)「魚港の肉子ちゃん」「かがみの孤城」、今回はランク外ですが「劇場版 アイカツ!」「かぐや様は告らせたい ファーストキッスは終わらない」、そして異色のアニメ「プリメア」も上映されています。その他新海誠監督の旧作等々も。そして5月4日にはヒット確実の「クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝」も始まります。
 これらの中で私ヌルボが観たのは最初の2つと「プリメア」と、新海誠監督の旧作いろいろ。一番印象に残っているのは「言の葉の庭」かな? 2013年角川シネマ新宿(当時)で初めて観た新海作品です。

★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績4月28日(金)~4月30日(日) ★★★

            「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」が1位に

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・・上映館数
1(8)・・ザ・スーパーマリオブラザーズ・・4/26 ・・・・614,612・・・・・・・・・769,114・・・・・・・7,721・・・・・・1,526
       ・ムービー(米・日)
2(新)・・ドリーム(韓)・・・・・・・・・・・・・・・4/26・・・・・・381,967・・・・・・・・・538,866・・・・・・・5,185 ・・・・・・1,285
3(1)・・ジョン・ウィック ・・・・・・・・・・・・4/12・・・・・・220,679・・・・・・・1,598,635 ・・・・・16,625 ・・・・・・・・925
       :コンセクエンス(米)
4(2)・・すずめの戸締まり(日) ・・・・・・・3/08 ・・・・・・134,663・・・・・・・5,118,726・・・・・・52,588・・・・・・・・710
5(4)・・玉水駅の幽霊(韓日)・・・・・・・・・4/19 ・・・・・・・48,428・・・・・・・・・154,799・・・・・・・・・710・・・・・・・・265
6(6)・・THE FIRST SLAM DUNK(日)・・1/04 ・・・・・・32,707・・・・・・・4,589,708・・・・・・47,860・・・・・・・・269
7(3)・・リバウンド(韓)・・・・・・・・・・・・・・4/05 ・・・・・・・30,836・・・・・・・・・659,055・・・・・・・6,339 ・・・・・・・・412
8(5)・・キリング・ロマンス(韓)・・・・・・・4/14 ・・・・・・・12,294・・・・・・・・・171,121・・・・・・・1,638 ・・・・・・・・145
9(新)・・無名(中)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4/26・・・・・・・・・8,016・・・・・・・・・・15,976 ・・・・・・・・・142 ・・・・・・・・201
10(28)・・魚港の肉子ちゃん(日) ・・・・・4/07・・・・・・・・・3,311・・・・・・・・・・・5,803・・・・・・・・・・・53 ・・・・・・・・121
  ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン

 1位「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」は4月28日から日本でも公開されています。韓国題は「슈퍼 마리오 브라더스」です。
 2位「ドリーム」は韓国のサッカー映画。予期せぬ事件に巻き込まれて懲戒処分中の常識のない元サッカー選手ホンデ(パク・ソジュン)が<ホームレス・ワールドカップ>に出場する韓国代表チームの監督を任されることに・・・。そして情熱のないPDソミン(IU)が彼らのドキュメンタリーを撮るということでカメラを持ちます・・・。この<ホームレス・ワールドカップ>という大会は実際に2003年から開催されている大会なのだそうです。ホームレス状態の人が選手として参加するもので、過去には日本代表チーム<野武士ジャパン>が出場したこともあるとか。本作は2010年大会に初出場した韓国代表チームを題材としているそうです。原題は「드림」です。
 3位「ジョン・ウィック:コンセクエンス」はキアヌ・リーブス主演のアクションシリーズの第4作。韓国題は「존 윅 4」。日本公開は今年9月の予定です。
 4位「すずめの戸締まり」。韓国題は「스즈메의 문단속」です。
 5位「玉水[オクス]駅の幽霊」は韓国のホラー。原作はホランというウェブトゥーン[ネット漫画]作家が2011年にNAVERウェブトゥーンで公開した同名の短編ホラー漫画。その内容は、夜遅く青年が地下鉄駅のホームで終電を待っています。自分1人かと思ったらもう1人若い女性が目に入りますが、酔っているのか踊っているような奇妙な動きをしています。これはウケるネタだと思いSNSでその様子を伝えると数人の応答があり・・・、というもの。
 このウェブトゥーンはLINE漫画で「プラットホームの幽霊」という邦題が付けられ、無料で見ることができます。→コチラ。(音声付き)
 なるほど、たしかに怖い! 注目されたというのもわかります。ただ、この短い原作を1時間20分の実写に伸ばすには新たに盛り込んだ部分が少なからずあるのでは? あの「リング」の脚本家・高橋洋が本作の脚本担当とのこと。で、評論家5人の共通項は「思い出のビデオを振り返る懐かしさと共に短所も散見されるとか。
 ※なお、ホランの別の短編注目作「奉天洞[ポンチョンドン]の幽霊」も「裏参道の幽霊」の邦題で見られます。→コチラ
    
【 「玉水駅の幽霊」のウェブトゥーン(左)と実写映画 】
 6位「THE FIRST SLAM DUNK」。韓国題は「더 퍼스트 슬램덩크」です。
 7位「リバウンド」は韓国のバスケ映画ですがアニメではありません。2012年釜山の弱小高校バスケ部が全国大会で決勝に進出という快挙成し遂げた実話に基づくスポーツ感動作。
 大韓バスケットボール協会長旗全国中・高バスケットボール大会でその奇跡を起こしたチームは釜山中央高校バスケ部でした。
 バスケットボール選手出身の公益勤務要員ヤンヒョン(アン・ジェホン)は解散の危機にあるそのチームの新任コーチになります。しかし全国大会の初戦の相手は高校バスケ最強の龍山高校。チームワークが崩れた釜山中央高は没収試合の敗北という屈辱の結果に・・・。学内ではバスケ部の廃部まで論議されます。ヤンヒョンはMVPに輝いた高校時代を思い出し、再挑戦を期して選手たちを集めます・・・。原題は「리바운드」です。
 8位「キリング・ロマンス」は韓国のコメディ。
 島国の財閥ジョナサン(イ・ソンギュン)と運命的な恋に落ちて突然引退を宣言したトップスターのヨレ(イ・ハニ)はファンクラブ3期生出身の4浪ボム(コンミョン)に会い、奇想天外なカムバック作戦を企てることに・・・。原題は「킬링 로맨스」です。 ※イ・ソンギュンとイ・ハニは大ヒット作「エクストリーム・ジョブ」(2018)で共演してるんですね。
 9位「無名」は第2次世界大戦下の上海を舞台にした中国のスパイ映画。
 1937年日中戦争勃発後日本軍は上海を占領しました。そんな汪兆銘政権下の上海でも命を危険にさらして情報を収集し続けた中国共産党の特務機関が結成されていました。正体を隠したまま日本組織内に侵入した要員たちは秘密裏に諜報作戦を繰り広げますが、裏切者たちの続く妨害により危険にさらされます。誰が誰の敵かもわからず仲間さえ信じられない混乱の時代、名もないスパイたちの戦いが始まります。香港のトップスター、トニー・レオンと、ボーイズグループUNIQの中国人メンバー、ワン・イーボーがダブル主演しています。韓国題は「무명」です。
 10位「魚港の肉子ちゃん」。韓国題は「항구의 니쿠코짱!」です。

【独立・芸術映画】
順位 ・・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・すずめの戸締まり(日)・・・・・・・・3/08 ・・・・134,663 ・・・・・5,118,726・・・・・・52,588・・・・・・・・・770
2(7)・・魚港の肉子ちゃん(日)・・・・・・・・4/07・・・・・・・3,311・・・・・・・・・・5,803 ・・・・・・・・・・53・・・・・・・・・121
3(2)・・かがみの孤城(日)・・・・・・・・・・・・4/12・・・・・・・1,511・・・・・・・・・40,145・・・・・・・・・396・・・・・・・・・・28
4(3)・・ライスボーイ ・・・・・・・・・・・・・・・4/19・・・・・・・1,298・・・・・・・・・21,630・・・・・・・・・189・・・・・・・・・・51
       ・スリープス(カナダ)
5(新)・・ブレードランナー・・・・・1993/4/19・・・・・・・1,277・・・・・・・・・14,286 ・・・・・・・・・132・・・・・・・・・・15
       ファイナルカット(米)

 1・2位については上述しました。
 3位「かがみの孤城」。韓国題は「거울 속 외딴 성」。ふうん、孤城を<외딴 성>と訳すのか。
 4位「ライスボーイ・スリープス」は韓国からの移民女性を主人公としたカナダのドラマ。
 韓国女性ソヨン(チェ・スンユン)はより良い教育環境を求めて90年代にカナダに移住しました。ソヨンにとって息子ドンヒョン(イーサン・ファン)は人生のすべてでした。ドンヒョンは成長して父親のことを尋ねますが、ソヨンは何も答えません。その後韓国から養子縁組でカナダに来た男サイモン(アンソニー・シム)がソヨンに接近します。ソヨンは彼に少しずつ心を開き始めますが、それは母子の葛藤の元にもなります。そんなある日、突然母子は長い間忘れていた韓国を訪問しなければならないことになります・・・。
 韓国系カナダ人俳優でもあるアンソニー・シム監督の2作目の本作は2022年のトロント国際映画祭や釜山国際映画祭等で部門賞を受賞し、第2の「ミナリ」(2020)になるかどうか注目されています。
 5位「ブレードランナー ファイナルカット」は、「ブレードランナー」(1982)を、初公開から25年を迎えた2007年にリドリー・スコット監督自らが再編集とデジタル修正を施して甦らせたもの。日本ではDVD等で観られるようです。韓国題は「블레이드 러너: 파이널 컷」。※あの酸性雨で荒廃したロサンゼルスの光景は2019年という設定だったのですね。