ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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児童書で学ぶ韓国史 ①手っ取り早く朝鮮史の流れがわかる「こども 朝鮮王朝実録」全5巻

2015-05-25 23:48:53 | 韓国・朝鮮関係の知識教養(歴史・地理・社会等)
 先月、韓国旅行直前に近所に住まいする韓国オタクF氏と横浜西口の居酒屋で会ったら、次のようなメモを渡されて関係の本があったら買ってきてくれと頼まれました。
 なんじゃ? この判じ物みたいなメモは? と首をかしげると「4.19」と「허정(ホジョン)」を線で結んで、「とくにホジョンでなくても4.19について書かれたものであれば・・・」とのことで、「そういえば(4.19革命で倒された)李承晩政権の時代あたりで許政(ホジョン)という名前が出てきたなー」と、この頃よくあるボンヤリと思い出す、というやつ。もう1つの「순조(スンジョ)」は朝鮮国王ね。イサンすなわち正祖の次の純祖。しかし、私ヌルボの乏しい知識では、純祖といえば安東金氏による勢道政治が彼の時代から始まって、国王といってもロボット的存在にしかすぎなかった、・・・とこれだけですからねー。そんな国王を中心に書いた本なんてあるの? ま、そんな人物に関心を抱くところがF氏らしいところかもしれません。許政への関心も同様でしょう、たぶん。

 ・・・と、そんな依頼を受け、ソウルでは (いつもの)教保文庫光化門店の棚を眺めたり検索機を用いたりして探しましたがな。専門的な歴史書はむずかしいのでジュニア向きの本でいいよね、と事前確認しておいたのは正解。その中から厳選して購入した本が次の2冊です。
    

 左は「어린이 조선왕조실록 5(こども 朝鮮王朝実録 5)」、右は「왜 4.19 혁명이 일어났을까?(なぜ4.19革命が起こったのか?)」です。
 文章が読みやすいことと、前者では純宗が独立した章となっていること、後者では4.19革命がテーマの本であるとともに、許政自身が語っている部分がある(!?)ということで決めたのですが、帰ってからまた落ち着いてパラパラ読み始めるとなかなかおもしろいのです。数日後F氏と近所の焼き鳥屋で会った時にその旨話すと、「読み終えてからくれるということでいいですよ」とのことだったので、そうしてもらってほどなくして読了しました。

 ホントはぜひオススメ!というのは「なぜ4.19革命が起こったのか?」の方なのですが、「こども 朝鮮王朝実録 5」にまずふれておきます。歴代国王を中心に朝鮮の歴史が挿絵入りでわかりやすく書かれているシリーズ本で、この最終巻では18世紀後期の第22代正祖から1910年日韓併合により廃された第27代純宗までを約100ページに収めちゃっているのだからテンポよくどんどん読み進められます。正祖や高宗は別として、その他大勢の王様は2つほどのネタで次と交代といった感じ。純祖ももちろんその1人で、やはり勢道政治がひどくなったことと、洪景来(ホン・ギョンネ)の乱が起こったことの2つで、計10ページだけ。でもまあ1つの章が設けられてるのだから文句ないでしょ。第25代哲宗はと見ると19歳になるまで江華島でお百姓さんをやっていてちゃんとした教育も受けていなかったが、なりゆきで国王の座につくことになっちゃったこと、そして1862年晋州をはじめ各地で民乱が起こり、東学も発生したことのやはり2つ。そういえば最近観た映画「群盗」の時代設定も1862年でした。
 今回読んだのはこの巻だけですが、考えてみれば1392~1910年の500余年27代に及ぶ朝鮮王朝の歴史を全5巻で通読できるというのはとてもお手軽感ありです。今度韓国に行った時、アラディン中古書店あたりで1~4巻まであったら買って読んでみようかなと思います。
 なお、この本の出版社はジュニア・キムヨン社。キムヨン社の系列会社ですね。あの「食客」とか「遠い国 近い国(먼나라 이웃나라)」といった人気漫画の他、学習書・教養書、マイケル・サンデルの本や文学書等々幅広い分野の本を刊行しています。日本でいうと、小学館あたり?

 当初は「なぜ4.19革命が起こったのか?」についてだけ書くつもりだったのになー。ま、それは続きでということで・・・。