ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [6月29日(金)~7月1日(日)]

2018-07-03 23:31:16 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸あっという間に1年の半分が過ぎてしまいました。最初に「年をとると時が過ぎるのが早いなあ」と思ったのはたしか30代に入った時でした。今や、その時の比ではありません。逆に言えば、それだけ密度が薄くなったということ。体力も思考力も・・・。ブログ記事の更新が遅くなっているのもそのためかもしれません。
 さて、今年上半期観た映画は計45作品。昨年よりも4つ少ないですが、多いです。もっと減らさなければ・・・というより、もっと食費等を切り詰めなくては、というのが大きな課題。それはそれとして、その上半期の印象に残った作品をあげると、まずは「朴烈(パクヨル) 植民地からのアナキスト」「坂道のアポロン」「犬ヶ島」がベスト3か。それから「すばらしき映画音楽たち」「自白」「ロープ/戦場の生命線」「謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス」等々。韓国映画オタクとしては、「キング」「タクシー運転手」「犯罪都市」「グッバイ・シングル」「天命の城(南漢山城)」等も興味深く観ました。また「巫女図」「地獄花」といった韓国映画史で必見の作品を観ることができたのはとてもラッキーでした。未見の作品では「レディ・プレイヤー1」、「レディ・バード」、日本映画では「孤狼の血」あたりが気になるところ。

▸7月1日久しぶり(4ヵ月ぶり)のシネマジャック&ベティで「港町」鑑賞。やっぱり想田和弘監督の<観察映画>はおもしろい! 前作「牡蠣工場」と同じ岡山県牛窓町を撮っていますが、雰囲気はちょっと違う感じ。
 その想田監督の新作「ザ・ビッグ・ハウス」を今上映中なのが渋谷のシアター・イメージフォーラム。この映画館では「ワンダーランド北朝鮮」の上映も始まっています。このドキュメンタリーについては、私ヌルボ、ちょっと否定的な感想を書きましたが、まだ書きかけ。あと1回分残っていますが、もう1度観て確認した上で書くことにしました。まあ一言でいえば、韓国の進歩系の人の目で見た<自分の見たい北朝鮮像>に沿った北朝鮮の人々&社会の<自然な姿>を撮った、というのが私ヌルボの感想。それも1つの北朝鮮の姿ではありますが・・・。それにしても、この作品の→公式サイト「これはプロパガンダか?それとも現実か?」というキャッチコピーはよくできていると思います。    
「朝鮮日報」6月29日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。)

열 살 소년의 솜사탕 같은 사랑
열 살 게이브(오른쪽)는 열한 살 로즈메리를 좋아하게 되면서 달콤함과 메슥거림을 동시에 느낀다.

 《週末の劇場街》で紹介

  「小さな恋のものがたり」


   10歳の少年の綿菓子のような恋

 [写真説明] 10歳のゲイブ(右)は、11歳のローズマリーを好きになり、甘さとムカツキを同時に感じる。

 「魔女」
   今までにない血だらけ ★★★



 「ヤンヤン 夏の想い出」

   一重ではない生の真実 ★★★☆



 「ボーダーライン2」

   前作よりゆるい緊張感 ★★☆


 「小さな恋のものがたり」は2005年のアメリカ映画ですが日本ではDVDのみで劇場公開はなし。離婚寸前の両親を持ち、何をやってもダメな少年ゲイブがたまたま空手教室で再会した幼稚園時代の知り合いの少女ローズマリーに生まれて初めて淡い恋を抱くというロマンティック・コメディ。「ヤンヤン 夏の想い出」は2000年公開のエドワード・ヤン監督作品の再上映。他の作品についてはすべて以下の記事の中で紹介しています。

         ★★★ NAVERの人気順位(7月3日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
          ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。

①(-) ハー・ストーリー(韓国)  9.52(1,176)
②(2) アイラ  9.50(574)
③(5) ボムシェル:ヘディ・ラマー・ストーリー  9.26(103)
④(8) 霊魂の巡礼道  9.16(37)
⑤(9) TOMORROW パーマネントライフを探して  9.13(23)
⑥(7) 機動戦士ガンダム THE ORIGIN 誕生 赤い彗星(日本)  9.05(39)
⑦(6) 犬ヶ島  9.04(398)
⑧(-) アイ・フィール・プリティ  9.01(2,087)
⑨(-) 顔たち、ところどころ  9.01(143)
⑩(-) 巨大な梨の信じられないような物語  9.10(237)

 順位は大きく入れ替わりましたが、新登場は①「ハー・ストーリー」だけです。この作品については後述します。

     【記者・評論家による順位】

①(2) 顔たち、ところどころ  8.86(7)
②(3) エセルとアーネスト  7.75(4)
③(4) バーニング(韓国)  7.69(13)
④(6) 犬ヶ島  7.50(10)
⑤(7) 瑞山[ソサン]開拓団(韓国)  7.50(2)
⑤(7) メイプルソープ  7.50(2)
⑦(9) CUSTODY/カストディ  7.40(10)
⑧(-) 聖なる秩序  7.40(5)
⑨(10) デトロイト  7.13(8)
⑨(10) 遺伝  7.13(8)

 ⑧「聖なる秩序」(仮)だけが今回の新登場です。スイスの女性監督ペトラ・ボルペによる、スイスの女性参政権をテーマにしたドラマ。スイスといえば、直接民主制の国ということを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか? しかし、女性参政権は長く認められないままでした。第二次大戦前から労働者たちは女性の参政権を要求しましたが、これといった進展はなし。1961年市民5000人女性の参政権を要求して首都ベルンでデモを展開し、1971年になってようやくスイス連邦共和国はヨーロッパで最も遅く、女性参政権が認められたとのことです。そして最終的には1990年アッペンツェル州で女性参政権が認められて制度的には終止符が打たれることになったそうです。その間、この問題に取り組んだ多くの女性たちのことを歴史に残さなければ、というのが監督の思いだったのでしょう。この作品は、平凡な日常を生きていた主婦ノラが勇気を出して巨大な波を作り出す過程をユーモアも交えて描いた作品です。韓国題は「거룩한 분노(聖なる憤怒)」。日本公開は未定のようです。女性参政権をテーマにした作品では、キャリー・マリガン主演の「未来を花束にして」がありましたね。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績6月29日(金)~7月1日(日) ★★★

         クォン・サンウ&ソン・ドンイルのシリーズ第3作「探偵:リターンズ」が2週連続1位

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・・上映館数
1(31)・・魔女(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・6/27 ・・・・・・・・・734,557 ・・・・・・・・958,800・・・・・・・・8,250 ・・・・・・・1,117
2(1)・・探偵:リターンズ(韓国) ・・・・・・6/13 ・・・・・・・・・419,374・・・・・・・2,829,899・・・・・・・24,275・・・・・・・・・932
3(2)・・ジュラシック・ワールド/炎の王国・・6/06 ・・・・172,835・・・・・・・5,588,628・・・・・・・49,175・・・・・・・・・571
4(3)・・オーシャンズ8・・・・・・・・・・・・・・6/13 ・・・・・・・・・101,245・・・・・・・1,284,883・・・・・・・11,276・・・・・・・・・461
5(17)・・ハー・ストーリー(韓国) ・・・・・6/27 ・・・・・・・・・100,953 ・・・・・・・・203,578 ・・・・・・・・1,513・・・・・・・・・606
6(新)・・ボーダーライン2 ・・・・・・・・・・・6/27・・・・・・・・・・・92,059 ・・・・・・・・154,978 ・・・・・・・・1,293・・・・・・・・・261
7(新)・・幽霊船:時間の宝箱 ・・・・・・・・6/27・・・・・・・・・・・53,983 ・・・・・・・・・59,513・・・・・・・・・・460・・・・・・・・・414
8(5)・・ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~・・6/21・・41,709 ・・・・・・・166,783 ・・・・・・・・1,415・・・・・・・・・268
9(4)・・督戦[トクジョン](韓国)・・・・・・・5/22 ・・・・・・・・・・28,530 ・・・・・・・5,053,161・・・・・・・43,399・・・・・・・・・262
10(6)・・女子中学生A(韓国)・・・・・・・・・・6/20 ・・・・・・・・・・・8,306 ・・・・・・・・・88,664・・・・・・・・・・739・・・・・・・・・156
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の新登場は1・5・6・7位の4作品です。
 1位「魔女」は、韓国のミステリー&アクション。10年前、多くの人が死んだ謎の事故が起きた施設から1人脱出したジャユン(キム・ダミ)。名前も年齢も、すべての記憶を失くした彼女を育ててくれた老夫婦のおかげで明るい女子高生に育ったジャユンは、苦しい家計を助けるために賞金がかかったオーディション番組に出演します。その直後から謎の人物たちが彼女の前に現れます。ジャユンの周辺を見守る<貴公子>(チェ・ウシク)、過去の事故が起きた時点から消えた子供を探していた<ドクターバック>(チョ・ミンス)と<ミスターチェ>(パク・ヒスン)まで。全然記憶にない彼らの登場でジャユンは混乱に陥りますが・・・。原題は「마녀」です。
 5位「ハー・ストーリー」は、慰安婦問題をテーマにした韓国のドラマ。3人の慰安婦被害者と7人の勤労挺身隊被害者、そして13人の弁護士たちによる関釜裁判を取り扱った作品です。この関釜裁判は、10人の被害者原告団が1992~98年下関と釜山を行き来して23回もの裁判を行い、多くの慰安婦裁判訴訟中、一部勝訴の判決が出て国家賠償を最初に認めてもらった唯一の事例です。この98年の一審判決で、山口地裁は日本政府に対し慰安婦被害者3人に30万円ずつを支給するよう命じましたが、被害者に対する公式謝罪については認められず、その後の控訴審、上告審で判決は覆され、実際には日本政府からどのような謝罪や補償も受けられていません。原題は「허스토리」です。
 6位「ボーダーライン2」(仮)は、メキシコ麻薬カルテルの撲滅に取り組むアメリカの特別部隊の活躍を描いた2015年の前作のスピンオフ。メキシコ政府がCIAの偽造工作を察知して等々、現実とフィクションの境目が私ヌルボの目には今ひとつ以上によくわかりません。こういうネタがエンタメのジャンルに入るというのもなんだかなー・・・。韓国題は原題のまま「시카리오: 데이 오브 솔다도(シカリオ:デイ・オブ・ソルダード)」。日本公開は未定なのかな?
 7位「幽霊船:時間の宝箱」(仮)は、中国のアニメ。深い海の中の神秘の海底王国。赤ちゃんサメのメイは海中探検をしていて、たまたま幽霊船で時間を変える魔法の箱を見つけます。ところがその箱を間違って触ったためにお父さんサメのビッグシャークがチビに変わってしまいます。逆に小さな悪ガキの魚たちは巨大なカニのモンスターに変身! 平和だった海の王国は1日でごちゃごちゃになり、危険に陥ります・・・。チビに変わったビッグシャークと赤ちゃんサメのメイは海の仲間たちと一緒に海の王国を元通りにするために冒険を始めます・・・。中国語の原題は「潜艇総動員:時光宝盒」、韓国題は「빅샤크:매직체인지(ビッグシャーク:マジックチェンジ)」。日本公開はなさそう、かな?

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~・・6/21 ・・・41,709 ・・・・・・・・166,783・・・・・・・・1,415・・・・・・・・・268
2(2)・・アイラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/21・・・・・・・・・・・・3,343 ・・・・・・・・・37,357 ・・・・・・・・・290・・・・・・・・・・93
3(4)・・劇場版ポケットモンスター・・・・・・6/06・・・・・・・・・・・・2,394 ・・・・・・・・182,904・・・・・・・・1,391・・・・・・・・・・18
       ダイヤモンド&パール ディアルガVSパルキアVSダークライ(日本)
4(5)・・顔たち、ところどころ・・・・・・・・・・・6/14・・・・・・・・・・・・2,251 ・・・・・・・・・17,268・・・・・・・・・・141・・・・・・・・・・25
5(16)・・特別版 Free!・・・・・・・・・・・・・・・・・4/12・・・・・・・・・・・・2,165 ・・・・・・・・・13,125・・・・・・・・・・・91・・・・・・・・・・・8
       -Take Your Marks-(日本)

 今回の新登場はありません。

韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [6月22日(金)~6月24日(日)]

2018-06-27 14:49:35 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
6月25日は朝鮮戦争が勃発した日(1950年)です。韓国ではこの日に合わせて国防意識を高める映画が公開されたりしたものです。「戦火の中へ」(2010年6月16日公開)とか、近くは「ノーザン・リミット・ライン 南北海戦」(2015年6月24日公開)とか。しかし、最近はそのような「クッポン映画」はこの時期の定番でもなくなってきたようです。まあ、このようなご時世だし・・・。今、朝鮮戦争関係では、トルコ映画の「アイラ」が6月21日公開されました。後述のように実話に即した感動物語です。主人公2人の名前で検索すると、関連のエピソードがわかります。

▸27日は桜木町のブルク13で韓国・朝鮮関係の映画を2つ観てきました。1つ目は「V.I.P.修羅の獣たち」。国家情報院とCIAの<企画脱北>で北朝鮮から来たVIPのキム・グァンイル(イ・ジョンソク)が連続殺人事件の有力な容疑者として浮上。警察官のチェ・イド(キム・ミョンミン)がグァンイルを追いますが、国家情報院の要員パク・ジェヒョク(チャン・ドンゴン)の保護によりグァンイルは幾度となく捜査線上から抜け出し・・・、というのが物語の骨格。中国の北朝鮮レストラン従業員たちの脱北が国情院による<企画脱北>では?と騒がれたのが2016年4月。(→関連過去記事。) 3月の南北会談でも再び問題になってましたね。この映画の韓国公開は17年8月ですが、この出来事が製作の契機になったのかも。しかし、ふつうの日本人は<企画脱北>と言っても意味不明だし、それ以前に事件の捜査権を警察と争っている<国家情報院>という組織って一体何なの?と思うのではないでしょうか? かつてのKCIA(韓国中央情報部)の後身で・・・と言えばわかる人は少し増えるでしょうが・・・。

▸ブルク13で観た2つ目は「焼肉ドラゴン」。関西の地方都市の朝鮮人集住地域にある焼肉店が舞台で、1969年春~71年という時代を反映して「造反有理」というセリフがチラッと出てきたり、大阪万博ネタも出てきます。鄭義信監督は→コチラのプロフィールによると「一家は姫路城の外堀の石垣の上で暮らしていた」とのことで、当時の自身の体験がこの作品に盛り込まれているようです。3人姉妹の弟が登場しますが、彼に当時の監督の姿が投影されていると思われます。

▸→コチラの記事によると、「焼肉ドラゴン」に文化庁が助成金を出していることに対して、「日本を貶める映画に日本人の税金出すな」という声が一部から上がっているようです。先の「万引き家族」に対する非難と同様、自分こそ日本人の代表!と思い込んでいる人がけっこういるのですね。しかし、映画に限らず文化事業に対する行政の姿勢は「金は出すが口は出さない」のが基本で、その逆だと文化全体が委縮するし、それ以前に憲法を否定することになってしまいます。こういう傾向が続くと日本がどんどんダメになっていきますよ。
    
「朝鮮日報」6月22日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。)

평생 멸시당하고 死後에 칭송받은 사진가
로버트 메이플소프는 남성 누드, 백인•흑인 누드 사진을 거침없이 찍었다. 바로 그 점 때문에 맹렬하게 비난받았으나 죽고 나선 열광의 대상이 됐다.

 《週末の劇場街》で紹介

   「メイプルソープ」




    終生蔑視され、死後に称賛された写真家

 [写真説明] ロバート・メイプルソープは男性ヌード、白人・黒人ヌードをはばかることなく撮った。まさしくそのことによって猛烈に非難されたが、死んでから熱狂の対象となった。

  「アイラ」
    信じられない戦争実話 ★★★



  「探偵:リターンズ」

    リズミカルに笑わせる ★★★



  「CUSTODY/カストディ」

    息詰まる衝撃のドラマ ★★★★



  「女子中学生A」

    調味料が無しの淡白さ ★★☆



  「ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~」

    適当に甘いがタイクツ ★★☆

 上記の作品についてはすべて先週または以下の記事の中で紹介しています。

         ★★★ NAVERの人気順位(6月26日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
          ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。

①(1) ダンガル きっと、つよくなる  9.60(1,491)
②(-) アイラ  9.53(381)
③(4) グレイテスト・ショーマン  9.37(12,848)
④(6) KING OF PRISM -PRIDE the HERO-(日本)  9.24(897)
⑤(5) ボムシェル:ヘディ・ラマー・ストーリー  9.24(85)
⑥(-) 犬ヶ島  9.17(295)
⑦(2) 機動戦士ガンダム THE ORIGIN 誕生 赤い彗星(日本)  9.17(36)
⑧(8) 霊魂の巡礼道  9.14(36)
⑨(-) TOMORROW パーマネントライフを探して  9.13(23)
⑩(-) ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~  9.10(656)

 ②⑥⑨⑩の4作品が今回の新登場です。
 ②「アイラ」と、⑩「ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~」については後述します。
 ⑥「犬ヶ島」は、ウェス・アンダーソンによる日本趣味満載のストップモーション・アニメ。韓国題は「개들의 섬」。日本では5月に公開されています。まだ観てない人にはぜひオススメ!
 ⑨「TOMORROW パーマネントライフを探して」は、フランスの女優メラニー・ロランと、彼女の友人のジャーナリスト/活動家のシリル・ディオンが監督を務めたドキュメンタリー。日本では2016年に公開されています。韓国題は「내일」です。

     【記者・評論家による順位】

①(1) 牯嶺街少年殺人事件[デジタルリマスター版]  9.00(6)
②(2) 顔たち、ところどころ  8.86(7)
③(3) エセルとアーネスト  7.75(4)
④(4) バーニング(韓国)  7.69(13)
⑤(5) 共同正犯(韓国)  7.67(9)
⑥(-) 犬ヶ島  7.50(10)
⑦(7) 瑞山[ソサン]開拓団(韓国)  7.50(2)
⑦(-) メイプルソープ  7.50(2)
⑨(-) CUSTODY/カストディ  7.40(10)
⑩(10) デトロイト  7.13(8)
⑩(10) 遺伝  7.13(8)

 ⑥、⑦「メイプルソープ」、⑨の3作品が新登場です。
 ⑥「犬ヶ島」については上述しました。
 ⑦「メイプルソープ」は、花や男性ヌード等のモノクロ写真が有名なアメリカの写真家ロバート・メイプルソープ(1946~89)についてのドキュメンタリー。彼の作品はいろいろと物議を醸し、日本でも彼の写真集が「わいせつ図画」にあたるかが問題とされたいわゆる「メイプルソープ事件」(→ウィキペディア)が長年にわたり法廷で争われたりもしました。近年彼への注目度が高まっているようで、昨年は銀座のシャネル等でも写真展が開かれました。(→コチラ参照。) 韓国題は「메이플쏘프」。日本公開は未定のようです。
 ⑨「CUSTODY/カストディ」(仮)は、2017年のベネチア国際映画祭で銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞したフランスのドラマ。英題の「CUSTODY」は「親権」の意。ブレッソン夫妻は離婚しましたが、ミリアム(レア・ドリュッケール)と、彼女の夫だったアントワーヌ(ドゥニ・メノーシェ)は11歳の息子ジュリアン(トマ・ジオリア)の親権をめぐって争っています。ミリアムの弁護士は彼女の独占的親権を主張します。アントワーヌは暴力的で、ジュリアンも父には会いたがらないと。一方アントワーヌの弁護士は、アントワーヌは優しくて寛大な人物と会社の同僚も認めていると、親権共有を主張します。その後審判が下されますが、3人の関係は以後も続き、緊迫した場面も・・・。その中で一体どちらの言い分が正しかったのか、観客にも徐々に見えてきます・・・。韓国題は「아직 끝나지 않았다」。日本公開は2019年1月。これはぜひ観たい・・・って、つい数日前まで横浜で開かれていた<フランス映画祭>の中で上映されていたとは、残念至極!

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績6月22日(金)~6月24日(日) ★★★

         クォン・サンウ&ソン・ドンイルのシリーズ第3作「探偵:リターンズ」が2週連続1位

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・探偵:リターンズ(韓国) ・・・・・・6/13 ・・・・・・・・・627,031・・・・・・・2,032,610・・・・・・・17,718 ・・・・・・・1,135
2(2)・・ジュラシック・ワールド/炎の王国・・6/06 ・・・・335,042・・・・・・・5,282,821・・・・・・・46,686・・・・・・・・・898
3(3)・・オーシャンズ8・・・・・・・・・・・・・・6/13 ・・・・・・・・・241,844・・・・・・・1,047,245・・・・・・・・9,318・・・・・・・・・679
4(2)・・督戦[トクジョン](韓国) ・・・・・・・5/22 ・・・・・・・・・・86,199・・・・・・・4,978,204・・・・・・・42,781・・・・・・・・・529
5(62)・・ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~・・6/21 ・・54,542・・・・・・・74,045 ・・・・・・・・・640・・・・・・・・・472
6(新)・・女子中学生A(韓国)・・・・・・・・・・6/20・・・・・・・・・・・41,531・・・・・・・・・64,364・・・・・・・・・・548・・・・・・・・・473
7(5)・・アイ・フィール・プリティ・・・・・・6/06 ・・・・・・・・・・17,847 ・・・・・・・・213,598 ・・・・・・・・1,899・・・・・・・・・129
8(58)・・アバター ・・・・・・・・・・・・・2009/12/17 ・・・・・・・・・・16,863・・・・・・13,325,055 ・・・・・・125,152・・・・・・・・・・68
9(新)・・アイラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/21 ・・・・・・・・・・15,771 ・・・・・・・・・23,671・・・・・・・・・・189・・・・・・・・・352
10(新)・・ユニコーン遠征隊・・・・・・・・・・6/21 ・・・・・・・・・・10,831 ・・・・・・・・・11,579・・・・・・・・・・・91・・・・・・・・・235
       :秘密のダイアリー
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の新登場は5・6・8・9・10位の5作品です。
 5位「ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~」は、2006年の日本映画「タイヨウのうた」のハリウッド・リメイク作品。日本ではすでに5月公開されています。韓国題は「미드나잇 선」です。
 6位「女子中学生A」は、韓国のドラマ。趣味はゲーム、特技は物書きという女子中学生ミレ(キム・ファニ)が一番好きな場所はゲームの世界のワンダリングワールドです。怪物のようなパパもいなく、寂しい学校も行かなくてもいいその世界で、ミレは自分だけの世界を夢見て生きています。しかしある日、初めて現実の友だちとつきあおうと、勇気を出してテヤン(ユ・ジェサン)とペカプ(チョン・ダビン)に近づきますが、思わぬ事件によって傷つき、さらに萎縮てしまいます。その上、ワンダワールドまでサービスを中断するという知らせニュースが伝えられ、再び1人になってしまったミレは、オンライン上の友人ジェヒ(キム・ジュンミョン=EXOのスホ)に会いに行くのですが・・・。原題は「여중생A」です。
 8位「アバター」は、いうまでもなくあの世界的に大ヒットした2009年のアメリカ映画の再上映です。韓国題は「아바타」です。
 9位「アイラ」は、朝鮮戦争当時の実話に基づいたトルコ映画です。国連軍として参戦した国々は韓国を含めて22ヵ国。その中にトルコも含まれていることはどれほど知られているでしょうか? 数千人派遣された兵士の中にスレイマン軍曹がいました。彼はある日漆黒の闇の中で1人取り残された少女を発見します。戦争の中で親を失い、保護をする者もありません。この5歳の小さな少女がスレイマンの心をとらえます。彼は少女を軍の基地に連れて行きます。そして少女に、2人が出会った夜に浮かんでいた月に因んで、トルコ語で月の暈を意味するアイラという名前をつけます。アイラは、戦中のトルコ軍に思わぬ安らぎをもたらしたが、戦争は終わりるとスレイマンの所属部隊も変えることに。しかし彼はアイラを捨てることはできません。彼女を守るために自分の選択を敢行します・・・。韓国題は「아일라」。日本公開は未定のようです。
 10位「ユニコーン遠征隊:秘密のダイアリー」は、インドのアニメ。世界各地を歩き回って神秘的な宝物を見つけたりした偉大な探検家チャールズは<伝説のユニコーン>を探しに旅立った後、行方不明になってしまいました。お父さんのチャールズを見つけるため、お父さんの友人であり天才博士のジョーンズと出会ったメロディーとモーの兄妹は、お父さんが残した謎を解いて興味津々の冒険を開始するのですが・・・。韓国題は「유니콘 원정대: 비밀의 다이어리」。日本公開はなさそうかな・・・。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・・上映館数
1(35)・・ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~・・6/21 ・・54,542 ・・・・・・・・・74,045・・・・・・・・・・640・・・・・・・・・472
2(新)・・アイラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/21・・・・・・・・・・・15,771 ・・・・・・・・・23,671・・・・・・・・・・189・・・・・・・・・352
3(11)・・アイ・キャン・オンリー・イマジン・・6/21・・・・・・・・・・7,000 ・・・・・・・・・12,532・・・・・・・・・・107・・・・・・・・・148
4(1)・・劇場版ポケットモンスター・・・・・・6/06・・・・・・・・・・・・5,443 ・・・・・・・・180,299 ・・・・・・・・1,365・・・・・・・・・104
       ダイヤモンド&パール ディアルガVSパルキアVSダークライ(日本)
5(3)・・顔たち、ところどころ・・・・・・・・・・・6/14・・・・・・・・・・・・3,032 ・・・・・・・・・12,317・・・・・・・・・・103・・・・・・・・・・47

 1~3位の3作品が新登場ですが、1位「ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~」、2位「アイラ」については上述しました。。
 3位「アイ・キャン・オンリー・イマジン」は、今世紀初頭「I Can Only Imagine」という大ヒット曲を出したアメリカの伝説的なバンドMercy Meのリードボーカル、バート・ミラードの人生と歌の誕生に秘められたされた実話に基づくドラマ。あ、基本的に<キリスト教の映画>といった方がよさそうです。若い頃からバートの悩みの種だったのはアルコール中毒だった父親アーサーでした。音楽好きなバートが自分で創作した曲を全て捨てられたり等々。バートが高校の頃アーサーは脳腫瘍で入院しますが、卒業後バートはギターを持ってテキサスを去ります。その後アーサーは亡くなりますが、その前に彼は聖書を読み、良いクリスチャンとなるために変わろうとしていました。父の葬儀の後、バートがツアー中に思い浮かんだ曲が「I Can Only Imagine」でした・・・。韓国題は「아이 캔 온리 이매진」です。

尹東柱の<聖地探訪>① 宇治川に懸かる天ヶ瀬吊り橋で撮られた写真をめぐる物語

2018-06-24 19:06:55 | 韓国・朝鮮と日本の間のいろいろ
     

 3月8~10日に京都に行ってからもう3ヵ月以上経ちました。
 旅の第1目的は9日の大阪アジアン映画祭で韓国映画「朴烈 植民地からのアナキスト」を観ること、2番目は京都鉄道博物館の見学でした。残りの時間でどこか行ける所は?と考えて、思い出したのが昨年10月、尹東柱の記念碑が宇治川の新白虹(はっこう)橋のたもとに設置され、除幕式が行われたという毎日新聞の記事でした。(→コチラ。)
 また、除幕式の3日前の聯合ニュースの記事(→コチラ)には、記念碑設置の機縁となった1枚の写真が載ってします。それが上左の画像。 記事にあるように、宇治川の天ヶ瀬吊り橋で1943年初夏に撮った尹東柱(前列左から2人目)の生前最後の写真です。そして右の画像は、今回私ヌルボが撮った写真です。

 9日午前10時30分頃JR宇治駅に降り立った私ヌルボ、案内所で訊くと。吊り橋まで「歩くと50分くらいかかりますよ」とのことだったので、タクシーで新白虹橋まで行きました。そこに建てられた記念碑のことはいずれ書くことにして、約300m川の下手(西)にある天ヶ瀬吊り橋のことについてまず書くことにします。
 長さ50mを超えるこの吊り橋ができたのは1942年。翌43年に尹東柱たち同志社大学文学部英文学科の学生10人がここにピクニックにやって来たのも、平等院から遠くない所の、できて間もない観光スポットとして注目したからかもしれません。
 私ヌルボ、現地を訪れるまでの予備知識といえば、上述の新聞記事だけでした。したがって、行ってみて初めて知ったこと、その後本を読んだりして知ったことがたくさんあります。

 その「行ってみて初めて知ったこと」とは、この現在の吊り橋は1943年当時のものとは違うということです。戦後1953年9月、台風13号は宇治川の堤防を壊し、多くの被害をもたらしましたが、その時に1度流失。その後架けられた橋は老朽化のため1998年に改修され、今に至るとのことです。上の2枚の写真を比べると、吊り橋のワイヤーロープや背後の山の稜線から、同じ橋のように思ってしまいますね。

    
 橋のたもとには<東海自然歩道>という標柱がありました。(左画像。) また、下流方向に少し行ってふり返ると、吊り橋の向こうに白虹橋が見えます。(右画像。)

 そして、「その後本を読んだりして知ったこと」は、この学生たちの写真の来歴と、写真が撮られた前後の尹東柱のことです。
 この写真については、最初、尹東柱の評伝の決定版というべき宋友恵「空と風と星の詩人尹東柱評伝」(藤原書店.2009)に書かれているだろうと思って図書館で見てみたら全然記述なし。載っていたのは多胡吉郎「生命の詩人・尹東柱」(影書房.2017)でした。
 多胡さんは1995年当時NHKのディレクターとして韓国のKBSと共同でNHKスペシャル「空と風と星と詩 尹東柱・日本統治下の青春と死」と題した番組を制作しました。この本は、その時の取材記録にその後知り得た情報を加え、昨2017年2月刊行されました。(その翌月神保町のチェッコリで多胡さんのトークイベントがあったことは今知りました。残念。)
 さて、その番組制作に際して、多胡さんは1994年の春~初夏、尹東柱と同時期に立教大学(1942年4~10月)と同志社大学(42年10月~43年7月)に在学していた可能性のある人たちに卒業者名簿をたよりに片っ端から電話をかけていったのだそうです。
 平沼東柱(ひらぬまとうちゅう)を知りませんか? 朝鮮からの留学生、平沼さんを憶えていらっしゃいませんか?」 ※日本留学に際し必須とされたため、尹東柱は(留学の2年前に)尹氏一門が創氏改名で決めていた「平沼」という姓を日本で用いていた。
 ・・・という質問に「記憶がない」「知らない」という返事ばかり続く中、「平沼さんですね。はい、覚えています。朝鮮から来ていた平沼さんのこと」という声が返ってきたとは! 尹東柱と同じ同志社大の英語英文科にいたMさん(京都在住)で、彼女からは今も親交が続いている同窓のKさん(北鎌倉在住)の消息も得ることができ、その後「平沼さんについてよく覚えている」というお二方を訪問取材したとのことです。
 お二方とも、朝鮮からの留学生であることはわかってはいたが、尹東柱(ユン・ドンジュ)という本名はおろか、戦後の韓国で国民的詩人になっていることは「まるで知らなかった」そうです。
 現在でも尹東柱を知っている日本人は100人中5人もいないでしょう。いや、1人いるでしょうか? 番組放映時の1994年だとなおさら・・・。(この番組はNHKスベシャル中歴代下から2番目の低視聴率だったとか・・・。)
 そして、このKさんの自宅にあった古いアルバムから出てきたのが冒頭の天ヶ瀬吊り橋で撮った写真だったのです。尹東柱の右隣がMさんで、その右がKさん。当初はお二人とも撮った場所の記憶はなかったそうですが、番組終了後の調べで天ヶ瀬吊り橋とわかり、Mさんも現地に行ったりしているうちに記憶が次第に蘇ってきます。つまり、その日は英語英文科の学生たちの1日遠足で、宇治駅→平等院と歩き、さらに吊り橋まで行って河原で飯盒炊爨をしたそうです。
 で、この遠足の目的というのが「故郷に帰ることを決めた「平沼さん」の送別」だったとのこと。「だからいつもは控えめな尹東柱が写真の中央に写っているわけなのだ」というのは多胡さんのナットクの解釈です。
 Kさんの記憶によると、東柱は昼食の後級友たちから請われるままに河原で「アリラン」を朝鮮語で歌ったといいます。
 この1日遠足の時期を、多胡さんは服装等から「おそらく5月から6月のことだった」と推定しています。
 この時、故郷(「満州国」北間島の龍井)に帰ることを決めていた東柱ですが、約1ヵ月後の7月14日逮捕・拘禁されます。帰郷のため用意していた切符は使われることなく、朝鮮まで一緒に帰省する約束をしていた同じ同志社大の留学生張聖彦さんは1人で帰ることになります。
 44年3月京都地裁で治安維持法違反により懲役2年の刑を言い渡された東柱は福岡刑務所に送られ、45年2月16日獄中で死亡します。
 このようなその後の奈落に落ちるような人生の暗転を思うと、この写真が撮られたピクニックの1日は彼にとってほとんど最後の楽しい思い出だったかもしれません。
 それはこの写真に写っている他の学生たちも同様で、Mさんの家に残る男子学生の学徒出陣に際しての寄せ書きの中には、宇治へのピクニックがいかに楽しかったかを回想する文章もつづられているそうです。

 多胡吉郎さんの絨毯爆撃的な電話取材作戦がほとんど奇跡的に功を奏して、上述のように尹東柱についての新情報が得られるとともに、MさんとKさんにとっても人生に新たな「物語」が加わり、またそのゆかりで宇治市に詩碑が建てられてより多くの人に尹東柱のことが知られていくというこの20年余の経緯が、この<聖地探訪>を経ていろいろわかりました。

 「生命の詩人・尹東柱」という本は、この写真の件以外にも、尹東柱の人生や作品等の中の「謎」について、実に細かなところまで独断を排して実証的に探求し、多くの関係者に会って話を訊いたりして真実に迫っています。ちょうど推理小説を読むような感じで引き込まれます
 この本は今年5月韓国でも翻訳書「생명의 시인 윤동주」が刊行され、新聞等で紹介記事も書かれました。・・・が、読者の反応は必ずしも良いとはいえません。というのは、代表的作品「序詩」の解釈や、福岡刑務所での死因をめぐって等の論点ゆえなのですが、それについてはまたいずれ・・・。

[韓国]北朝鮮修学旅行を実現させたい人たちがいる! ▸▸▸ 実は10年以上前に行われていた金剛山修学旅行

2018-06-23 15:25:47 | 韓国の時事関係(政治・経済・社会等)
 南北首脳会談・米朝首脳会談に対する韓国の大方の人たちの好意的な受け止め方は、日本あるいはアメリカ等とずいぶん隔たりがあるようです。とくに南北統一に対する大きな期待感については「そんなに先走っちゃっていいの?」と思わざるをません。

 4月27日の南北首脳会談の前の4月1日、韓国メディア<ニューデイリー>の「“北朝鮮に生徒たちを修学旅行で送ろう”という全教組、生徒の安全は心配しないのか」という記事を読みました。(→コチラ.韓国語)
 ※<ニューデイリー>は、朝鮮日報・中央日報・東亜日報以上に保守的なニューライト紙と見られているようです。
 記事の要点は以下の通りです。
 光州広域市教育庁が「北朝鮮への修学旅行を許可」を首脳会談の議題にしてほしいという提案をした
 ②3月28日、(進歩系教組の)全教組光州支部がこれを積極的歓迎する声明を発表した。声明には統一教材の開発、6.15公開授業の推進などの計画も含まれている。なお全教組関係者は北朝鮮修学旅行のための青瓦台(大統領府)の国民請願運動も展開していく予定と付け加えた。
 ③このような光州教育庁の提案と全教組の歓迎声明に対して、脱北者の証言等を通じて伝えられる北朝鮮の現状を考えると安全面に不安があり、また修学旅行が北朝鮮政権の広報手段に変質されることがあるという批判もある。(保守系教組の)韓国教総は、生徒の北朝鮮修学旅行に対して「慎重なアプローチ」を求めている。


 この青瓦台への国民請願については後述するとして、もう1つ北朝鮮修学旅行に対する批判記事を紹介します。「北朝鮮修学旅行に行くのなら遺言状を書いていけ」という強い見出しの<ペン・アンド・マイク>(←これも保守系メディア)の記事です。(→コチラ.韓国語)
 この記事も、北朝鮮で拘束され、2017年6月に昏睡状態で帰国した後死亡したオットー・ワームビアさんを例にしつつ安全性に疑問を投げかけ、北朝鮮修学旅行を提案しているチャン・フィグク光州市教育監やチョ・ヒヨンソウル市教育監を批判しています。
 が、私ヌルボがとくに注目したのは、この記事の冒頭でイ・スルギ記者が高校生の時に北朝鮮修学旅行に行ったという経験を書いているからです。以下、その部分を訳出してみました。

 ふり返ってみると、ぞっとする。高校生だった2006年、何も知らずに全校生徒が一緒に出かけた北朝鮮修学旅行の話だ。分断の休戦ラインを越えると、空気までもガラッと変わった当時の記憶は鮮明である。金剛山の切り立った断崖の上に真っ赤な文字で刻まれた金正日称賛フレーズを見て愕然とし、金正日記念碑に足が触れたら怒鳴りつけた北朝鮮案内員の目を見て恐怖を感じた。まるで動物のように「調練」されたような感じがした北朝鮮曲芸団の公演を見るとなぜか悲しかった。
 金正日‧金日成の名前を絶対口にしないこと。許可されていない場所では絶対写真を撮らないこと。恐ろしい表情の北朝鮮案内員は私たちに警告した。修学旅行という事実に浮かれて分別を失っていた私と友人たちは、最善を尽くして案内員の言葉に従った。警告に反した場合、何が起こるかわからないが、彼らの脅しが尋常ではなかったからである。そして彼らの言葉が本気だったことを、昨年死亡したアメリカ人の学生オットー・ワームビアを見て遅まきながら確認した。


 ※金剛山の崖に刻まれた金日成等を称揚する字句については、以前→<アンドレイ・ランコフ「民衆の北朝鮮」を読む ②北朝鮮の景勝地に刻まれた数万(?)の悲しい文字>という記事で書きました。
  また、右画像は韓国サイトから拾ったものです。崖に刻まれている赤い字は、金日成の父・金亨稷(キム・ヒョンジク)を称える詩句です。
 1998年に始まった金剛山観光は韓国人観光客の1人が北朝鮮兵に射殺された2008年まで続き、多くの韓国人観光客が北朝鮮を訪れました。(05年に100万人を超える。) しかし、そこに中学・高校の修学旅行も含まれていたことは、上記の記事を読むまで知りませんでした。
 そこで、この記事以外の金剛山修学旅行体験者の記事をいくつか拾ってみました。

コチラのツイートから。

 高校時代、修学旅行で金剛山に行ったが、その時見た北朝鮮がすごく衝撃的で忘れられない。ガリガリにやせてあばら骨がすっかり見える牛がなんとか足を踏み出していたり、またトラクターの後ろで燃料を入れながら真っ黒な煙を吸い込んでいる人や100mくらいかの間隔で立っている銃を持った軍人たちの疲れた顔もみんな憶えている。

ヤン・ホジョン(양호정)という新鋭画家の紹介ページ。(→コチラ。) 以下はその一部分です。

 Q.<the north>シリーズは北朝鮮を主題にしていますが、理由や契機はあるのですか?
 A.私が高校生の時、修学旅行で北朝鮮に行って来たのですが、私たちとは完全に違った世界だということを経験しました。大変な苦労して生活している北朝鮮の住民たちの姿を目撃して、ニュースでは政治的な話題たけ取りあげて偏見を持たせるのが嫌でした。それで北朝鮮の実像と日常を知らせようと制作したシリーズです。


2008年高校の修学旅行で金剛山に行った時の写真を主としたブログ記事。→コチラ6月4日金剛山の九龍瀑布等と、曲芸団公演。→コチラは、翌5日海金剛と、簡易宿泊所の写真を載せています。北朝鮮の感想や考えたことがほとんど書かれていないのが残念。

 私ヌルボが常々疑問に思っているのは、韓国の進歩系の人たちが思い描いている北朝鮮のイメージがどんなものか?ということ。
 もしかして、「同じ民族同士」の感動的な交歓を期待しているのでしょうか?
 しかし、上記の感想を読むと感動というよりも衝撃を受けたとのこと。ずいぶん前のことですが、1991年訪朝した私ヌルボも同様でした。農村地帯の夕暮れ、やせた牛を牽いて歩く粗末な服を着た少年の姿が思い出されます。(1世紀も前の光景のようでした。) ただ、同じ旅行団で行った青年は北朝鮮から出国した後「別に変じゃない、ふつうの国だったでしょ?」と訊いてきましたが。(ヌルボともう1人は無言・・・。)

 さて、この北朝鮮修学旅行に対する私ヌルボの意見は・・・、(って完全に部外者ですが)ワームビアさんのように拘束されたり、2006年のようにいきなり射殺されたりされないという安全保証があれば金剛山に限らず北朝鮮のどこであろうと直接行って見てみることは非常に有意義だと思います。「衝撃」とともに新しい認識を得て、いろいろ考える契機になるはずです。ヘタしたら偏見につながるおそれもあるかもしれませんが。
 しかし、多くの北朝鮮ウォッチャーが指摘するように、北の政権にとって、韓国との交流が深まって外部の情報が大量に入って来ることは体制の崩壊を招く危険性があります。韓国の(とくに進歩系の)人たちはそこらへんのことがわかっているのでしょうか?
 したがって、開放を向かって進むような修学旅行を北朝鮮側が喜んで受け入れるとは思えませんけど。一部の人たちは北朝鮮の生徒たちも韓国に呼んで各地を案内して等々と考えているみたいですが、どこまで現実性を考慮しているのか疑問を抱かざるをえません。まあ、近年は北朝鮮でも多くの人たちがDVDで韓国ドラマを観たりして、韓国が自国よりはるかに進んでいることは周知のこととなっているようなので、開放政策に転換しても「我々はだまされていた!」という衝撃は少ないかもしれませんが・・・。
 そんなわけで、北の政権にしてみれば、韓国の進歩系の<南北交流>を求める熱いキモチは「ありがた迷惑」で「うざったい」のではないでしょうか? で、結局は(今年に入ってからのモロモロのように)そんなキモチを利用できる時は利用するといったところですかねー。

 最後に、上述の青瓦台への国民請願運動のその後について。
 <南北青少年 統一列車に乗って修学旅行に行こう!>という請願(→コチラ.韓国語)は、4月10日スタートして1ヵ月間の賛同者は981人でした。数多くの「泡沫」請願のことを考えればかなり多い数字ですが、何らかの回答が得られる基準ラインの20万人には遠く及びませんでした。
 逆に、5月30日スタートで現在進行中の<ソウル教育監候補チョ・ヒヨンの"北朝鮮修学旅行"の公約を撤回させてください。>という請願(→コチラ)は現在の賛同者が1,469人と、修学旅行推進派を上回っています。進歩性向の人でも実際に中高生の親となると二の足を踏む人がおそらくふつうなんでしょうね。

韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [6月15日(金)~6月17日(日)]

2018-06-20 11:00:57 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸6月15日(金)、池袋の新文芸座に行ってきました。けっこう観に行ってた旧文芸座の閉館は97年。そして新文芸座ができたのは00年。もうそんなに経つのですね・・・。ところが私ヌルボ、新文芸座は今回が初めて。これまでは観たい映画は新文芸座にかかる前に他で観ていたので・・・。建物は当然一新していますが、客層やフンイキはちゃんと受け継がれていると思いました。翌16日からは<梶芽衣子映画祭>(28日まで)が組まれていて本人もいらっしゃるし、29日(限定上映)には<緊急上映 追悼・西城秀樹>があるし、とヌルボのような昭和の人間にはホッとするような懐かしさを感じさせる空間です。

▸その新文芸座で観たのは、あやうく見逃すところだった韓国映画「悪女/AKUJO」。前々週の「犯罪都市」に続いて、これも中国朝鮮族がらみの犯罪アクション「ミッドナイト・ランナー(青年警察)」公開に際して抗議の声を上げた中国朝鮮族の気持ちがわかります。(→コチラ。) この2作品の他にもいろいろあるし・・・。※「哀しき獣」(2010)「共謀者」(2012)「新世界」(2013)「海にかかる霧」(2014)「コインロッカーの女」(2015)「女は冷たい嘘をつく」(2016)と、こんなにたくさん!

▸で、ふと思ったのは、近年池袋西口の北方面がチャイナタウン化しつつあるということ。ということでその辺りを周ってみました。案の定、中国食堂といっても東北地方のものが多く、<延辺>の文字が入った朝鮮族系の店も相当数あるようです。
       
【中国東北料理の専門店(左)。中国マーケットの草分け・陽光城(中)の店頭にはチマキ等と共に韓国のチャメも。】

▸18日はヒューマントラストシネマ有楽町で「夜の浜辺でひとり」を鑑賞。いつものホン・サンス監督作品に新しい要素も加わったような・・・。主演のキム・ミニと監督との間の不倫騒動にもふれられているのが興味深いところ(笑)。
    
「朝鮮日報」6月15日掲載の「封切映画 ぴったり10字評」 (ハングル文も訳文も10字です。)

권상우+성동일=포복절도
강대만(왼쪽)과 노태수는 경찰이 해결하지 못한 사건을 풀어보려 하지만 일은 계속 꼬여만 간다.

 《週末の劇場街》で紹介

  「探偵:リターンズ」



   クォン・サンウ+ソン・ドンイル=抱腹絶倒

 [写真説明] カン・デマン(左)とノ・テスは解決できない事件を解こうとするが、コトはもつれていくばかりだ。

 「オーシャンズ8」
   上ネタで作る微妙な味 ★★☆


 「遺伝」

   どの面でも格別な恐怖 ★★★☆


 「Ryuichi Sakamoto: CODA」

   目と耳が洗われるよう ★★★

 上記の作品については先週または以下の記事の中で紹介しています。

         ★★★ NAVERの人気順位(6月19日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
          ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。

①(1) ダンガル きっと、つよくなる  9.61(1,463)
②(-) 機動戦士ガンダム THE ORIGIN 誕生 赤い彗星(日本)  9.39(31)
③(4) バナナソングの奇跡(韓国)  9.38(60)
④(3) グレイテスト・ショーマン  9.37(12,823)
⑤(2) ボムシェル:ヘディ・ラマー・ストーリー  9.35(55)
⑥(6) KING OF PRISM -PRIDE the HERO-(日本)  9.24(895)
⑦(7) ゴッホ~最期の手紙~  9.20(5,218)
⑧(-) 霊魂の巡礼道  9.11(35)
⑨(5) 映画しまじろう まほうのしまの だいぼうけん(日本)  9.07(101)
⑩(10) アイ・フィール・プリティ  9.06(1,576)

 ②「機動戦士ガンダム THE ORIGIN 誕生 赤い彗星」だけが今回の新登場です。「機動戦士ガンダム」のTV放映開始が1979年。顧みれば当時の同僚が「早く帰ってTV見なくちゃ」と気もそぞろでした。彼より5、6歳ばかり年上だった私ヌルボはすでにそうしたコンテンツに関心が向かなくなっていて、現在もその延長線上にあります。ということでコメントなし、です。韓国題は「동전사 건담 디 오리진Ⅵ: 탄생 붉은 혜성」です。

     【記者・評論家による順位】

①(-) 牯嶺街少年殺人事件[デジタルリマスター版]  9.00(6)
②(-) 顔たち、ところどころ  8.86(7)
③(3) エセルとアーネスト  7.75(4)
④(4) バーニング(韓国)  7.69(13)
⑤(5) 共同正犯(韓国)  7.67(9)
⑥(6) ゴッホ~最期の手紙~  7.50(8)
⑦(7) 瑞山[ソサン]開拓団(韓国)  7.50(2)
⑧(8) ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー  7.29(7)
⑨(9) 七月と安生  7.17(6)
⑩(10) デトロイト  7.13(8)
⑩(10) 遺伝  7.13(8)

 ②「顔たち、ところどころ」だけが今回の新登場です。この作品については後述します。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績6月15日(金)~6月17日(日) ★★★

         韓国の犯罪コメディ第3作「探偵:リターンズ」が1位に

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・・上映館数
1(18)・・探偵:リターンズ(韓国) ・・・・・6/13 ・・・・・・・・・686,805・・・・・・・1,030,204・・・・・・・・9,052 ・・・・・・・1,040
2(1)・・ジュラシック・ワールド/炎の王国・・6/06 ・・・・667,617・・・・・・・4,752,807・・・・・・・42,116 ・・・・・・・1,230
3(20)・・オーシャンズ8・・・・・・・・・・・・・6/13 ・・・・・・・・・355,082 ・・・・・・・・620,953・・・・・・・・5,593・・・・・・・・・821
4(2)・・督戦[トクジョン](韓国) ・・・・・・・5/22 ・・・・・・・・・126,707・・・・・・・4,826,917・・・・・・・41,466・・・・・・・・・567
5(4)・・アイ・フィール・プリティ・・・・・・6/06 ・・・・・・・・・・27,189 ・・・・・・・・179,501・・・・・・・・1,598・・・・・・・・・168
6(3)・・遺伝・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/07 ・・・・・・・・・・17,956 ・・・・・・・・148,312・・・・・・・・1,309・・・・・・・・・135
7(5)・・ポケットモンスター・・・・・・・・・・6/06 ・・・・・・・・・・17,870 ・・・・・・・・173,455・・・・・・・・1,312・・・・・・・・・326
       ダイヤモンド&パール ディアルガVSパルキアVSダークライ(日本)
8(新)・・鉄くずの騎士 ラスティの物語2・・6/13・・・・・・・・5,582 ・・・・・・・・・12,396・・・・・・・・・・・95・・・・・・・・・226
9(6)・・デッドプール2・・・・・・・・・・・・・・・5/16 ・・・・・・・・・・・5,576・・・・・・・3,777,732 ・・・・・・・34,125・・・・・・・・・・63
10(59)・・顔たち、ところどころ・・・・・・・6/14 ・・・・・・・・・・・4,338 ・・・・・・・・・・5,966・・・・・・・・・・・50・・・・・・・・・・53
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の新登場は1・3・8・10位の4作品です。
 1位「探偵:リターンズ」は、2015年の「探偵:ザ・ビギニング」で歴代級未解決事件(?)を解決した推理コンビ、漫画喫茶マスターのカン・デマン(クォン・サンウ)と広域捜査隊出身の刑事ノ・テス(ソン・ドンイル)がいよいよ探偵事務所を開業し、元サイバー捜査隊のエース、キリギリス(イ・グァンス)まで迎え入れて探偵としての第一歩を踏み出します。しかし、夢と現実は大違い。待っていても事件はなく、生活費が心配で、警察署を訪ねてこっそり営業を操業開始します。そして、いよいよ待った末にやって来た最初の依頼人。成功報酬はなんと5万ウォン! 自信満々で事件を引き受けた3人ですが、疑わしい証拠が続くうち、混乱に陥り始めます・・・。原題は「탐정: 리턴즈」です。
 3位「オーシャンズ8」はアメリカのクライムアクションで、「オーシャンと十一人の仲間」(1960)のリメイクの「オーシャンズ11」(2011)の、後続作品の1つ。オリジナルは刑期を終えた切れ者の窃盗犯ダニー・オーシャンが犯罪のプロ10人を集めて・・・という話だったのが、本作では元恋人の裏切りで5年間刑務所で暮らしていたダニーの妹デビー・オーシャン(サンドラ・ブロック)が、仮釈放されるとすぐ頼もしい仲間のルー(ケイト・ブランシェット)と一緒に総勢8人の仲間で新しい作戦を計画する、というもの。この8人、皆女性です! (いやー、犯罪組織の分野でも女性の進出が著しいってことか。) 韓国題「오션스8」。日本公開は8月10日です。
 8位「鉄くずの騎士 ラスティの物語2」はドイツのアニメ。すべてが鉄くずでできた魔法の王国スクラップランドの城で、ドラゴンのコールや少女ボーと暮らす鉄くずの騎士ラスティは、臆病なお調子者ですが、明るくて温かい心の持ち主。2012年の前作に続く本作は、ぜいたくしか知らないマグネシア姫のためにスクラップランドがピンチに陥るところから物語がはじまります。しかも、とんでもないことに、すべてが騎士団のせいになって、騎士団は存廃の危機に。苦境に陥ったラスティですが、ある日偶然に地下室で子供の幽霊に会い、貴重な情報を得ることに・・・。韓国題は「토니스토리2:고철왕국의 친구들」。韓国では前作も劇場公開されましたが、日本ではDVDだけだったので、今回も?
 10位「顔たち、ところどころ」は、「5時から7時までのクレオ」(1961)や「幸福」(1965)等で知られる先駆的な女性監督アニエス・ヴァルダ(90歳)と、54歳年下のストリートアーティストJR(ジェイアール)がフランスの田舎を旅しながら、村の人たちと接しながら、作品を一緒に作り残していくというロード・ムービースタイルのドキュメンタリー。カンヌ映画祭で最優秀ドキュメンタリーに贈られるルイユ・ドールに輝いた作品です。韓国題は「바르다가 사랑한 얼굴들」。日本公開は9月ですが、おりしも明日から横浜みなとみらいで開かれる<フランス映画祭 2018>(6/21~24)(→コチラ参照)の中で上映されます。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・劇場版ポケットモンスター・・・・・・6/06・・・・・・・・・・17,870・・・・・・・・・・・173,455 ・・・・・・・・・1,312・・・・・・・・・326
       ダイヤモンド&パール ディアルガVSパルキアVSダークライ(日本)
2(新)・・Ryuichi Sakamoto: CODA(日本)・・6/14・・・・・・・・・・・3,261・・・・・・・・・・・・・5,469・・・・・・・・・・・・49・・・・・・・・・・47
3(4)・・ボムシェル:ヘディ・ラマー・ストーリー・・6/07・・・1,816・・・・・・・・・・・・・6,626・・・・・・・・・・・・53・・・・・・・・・・34
4(新)・・ザ・ペンション(韓国) ・・・・・・・・・・6/21・・・・・・・・・・・1,131・・・・・・・・・・・・・1,131・・・・・・・・・・・・11・・・・・・・・・・・6
5(30)・・オーケストラ・クラス・・・・・・・・・・6/14・・・・・・・・・・・1,006・・・・・・・・・・・・・1,604・・・・・・・・・・・・13・・・・・・・・・・39

 2・4・5位の3作品が新登場です。
 2位「Ryuichi Sakamoto: CODA」は、坂本龍一の楽曲制作現場や多様な活動等を撮りつつ、彼の音楽の原点を探ったドキュメンタリー。日本では昨年11月に公開されました。韓国題は「류이치 사카모토: 코다」です。
 4位「ザ・ペンション」は、韓国のドラマ。誰にでも特別な記憶と物語がある空間、ベッド。あるペンションを訪れた主人公たちが、さまざまな事情の見知らぬ人物と会い、そこのベッドで経験される4つの物語をオムニバス形式で描いた作品。原題は「더 펜션」です。
 5位「オーケストラ・クラス」は、フランスのドラマ。日々の生活の中で腕が鈍り、演奏の楽しさを失ったバイオリニストのシモン(カド・メラッド)はステージを離れて、パリ19区にある小さな小学校で音楽教育プログラムの講師として子供たちを教えることになります。ところが、わずか30秒でさえも集中できない子供たちを前に自信喪失。コントロール不能とあきらめかけていたそんなある日、こっそり授業を覗き見ていた生徒アーノルド(アルフレッド・ルネリー)と出会ったシモンは、彼に卓越した才能を認め、これまで感じられなかった新たな希望を見出します。そして、無茶苦茶だった子供たちも音楽を通じて変わり始めます・・・。韓国題は「라 멜로디」。日本公開は8月18日です。