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「いちばん最低な国がギリシア」(by 山内昌之氏)

2015-11-25 | 増鏡
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2015年11月25日(水)09時52分53秒

>筆綾丸さん
>反美学的な帯
はずして読んでいます。
山内昌之氏相手だと倣岸不遜な佐藤勝氏にも緊張感が漂い、なかなか充実した対談ですね。
トルコによるロシア機撃墜があったばかりなので、トルコに関する冷ややかな分析(p31以下)は参考になります。
また、山内氏のギリシア批評は面白すぎますね。

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「銀行が窒息状態にあるのにどうやって支払えと言うのか」と、デフォルトになっても他人事なのがすごい。どうも、「グリーク・キャラクター」(ギリシア人気質)とでもいう他ない特異体質があるらしい。〔p172〕

古典古代のギリシア史や文化を引き合いに出して、タカリやゴネを正当化する権謀術策だけは凄かった。その逆ギレ感覚だけは継承されています。〔p177〕

私はEU国民でもなく、歴史学者や社会学者なのに、何故か現代ギリシアのことになるとすぐに不快感がこみあげてきます(笑)。〔p178〕

歴史に戻れば、オスマン帝国からいろいろな国がバルカン半島で分離独立し、アラブも独立していきました。しかし、オスマン帝国から独立した国のなかで、いちばん最低な国がギリシアのような気がします。〔p178〕
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佐藤氏の発言かなと思って発言者を見直した箇所もありますが、山内先生もなかなか強烈なキャラですね。
そういえば以前、山内氏の『イスラムとロシア その後のスルタンガリエフ』(東大出版会、1995)の献辞が「勝俣鎮夫先生に」となっているのを見て不思議に思ったことがありますが、山内氏は他の著書でも内容と全然関係なさそうな人に献辞を書いているので、まあ、そういう趣味なんでしょうね。

「勝俣鎮夫先生に」(by 山内昌之氏)

>『鎌倉将軍・執権・連署列伝』
未読ですが、親王将軍については内容を確認してみたいですね。
宗尊親王・惟康親王は新しい情報が期待できそうですが、久明親王はちょっと難しいですかね。
守邦親王となると、以前調べた時はぺんぺん草も生えていないような状況でしたが、新しい史料が何か出ているのか。

※筆綾丸さんの下記投稿へのレスです。

琉球国王尚寧の花押 2015/11/24(火) 16:46:26
小太郎さん
本郷氏には、中世史の書のなかでザインとゾレンを論じたものがあり(書名は忘れました)、哲学にも関心があるのかな、と思ったことがあります。『歴史と哲学の対話』は、どこかで見かけた記憶があるのですが、探して読んでみます。

http://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b209211.html
書店で『鎌倉将軍・執権・連署列伝』を見かけ、以前であれば、すぐ購入したのですが・・・。

佐藤優氏の本はいつも装幀が問題ですが、『第3次世界大戦の罠』は、反美学的な帯を引っ剥がして捨てると、シンプルで綺麗な本になりますね。

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 やはり織田政権は、天下統一のスタート台に立とうとした寸前で、あっけなく倒れてしまったというほかない。たしかに信長派の武将たちの書状には、文中で「天下一統」と記されたものもあるが、いずれも「一統」に向けて連携を強化するなどの文脈で使われているにすぎない。信長は「天下統一」の看板を掲げることすらできなかったのであり、その向こう側に用意されていた天下統一という政治課題に本格的に着手することなく、あの世へと旅立ってしまったのだ。
 では、秀吉は誰から天下統一のバトンを受け継いだのだろうか。それは、全国政権の前任者である室町幕府と考えるのが自然だろう。(黒嶋敏氏『天下統一』18頁)
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黒嶋氏は、「天下」の範囲に関する神田千里氏の説を紹介しながらも「天下」について詳しく言及せず、また、「統一」と「一統」について使い分けているように読めながらも厳密には使い分けておらず、要するに曖昧なのですが、それはともかくとして、秀吉が天下統一のバトンを室町幕府から継承したと考えるのは、私には不自然に思われます。

http://okinawa-rekishi.cocolog-nifty.com/tora/2014/10/post-b8b3.html
第三章の扉にある琉球国王尚寧の「日本風の花押」は初めて知りましたが、団子のような、おでんのような、雪見灯篭のような、五輪塔のような形なんですね。黒嶋氏の書で見るのと、ネットで見るのと、ずいぶん印象が違います。
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