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ジュウシマツの変な「ひと」

2011-07-03 | 東日本大震災と研究者
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2011年 7月 3日(日)23時51分45秒

>筆綾丸さん
遅ればせながら『言葉の誕生を科学する』を読んでみました。
ジュウシマツにも芸術家がいるとは驚きです。

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小川 そのいざというときに、さっとうたえるように準備しておかないといけないわけですね。
岡ノ谷 そうなんです。一人でうたうっていうこと自体、とても大事なことらしくて、ジュウシマツのオスは一人にすると必ずうたいます。
小川 へぇー。
岡ノ谷 大きなケージでたくさん飼っていると、誰かがうたっているとうるさくて自分の声が聞こえないわけですよ。だから誰かがうたい終わるとすぐうたうというふうに、静かな時間の奪い合いをするんです。あと、でかいゲージの隅を争ってうたう練習をしたりね。
小川 場所取りをするんですか。賢いですね。孤独を求める生き物が人間以外いたのかって思います。
岡ノ谷 そうそう。ジュウシマツぐらいになるといろんな変な「ひと」が出てくるんですよ。自分でうたうことが好きで、メスに向かってはうたわなくなっちゃうヤツがいる。
小川 あ、もう草食系男子みたいのが出てきてる(笑)。
岡ノ谷 子孫を残さない生き方を選択するという個体がいるとは、かなり高度だと言えますよね。ただそういうひとがいる理由っていうのは、そういうひと自体というのはかなり才能の高いひとなので。
小川 芸術家なんですね(笑)。
岡ノ谷 そういうひとの親族には成功者が多いのではないかという説がありますね。そのひとには子孫がいなくても、きょうだいはもうちょっと普通で・・・・・。
小川 なるほど、親族には子孫がたくさんいるから、生殖以外の無駄なことに時間が使える。
岡ノ谷 親族の一部に異常に能力の高いひとが出て、それが社会的に不適応になる。けれども親族全体の知的レベルは上がるので、そのひとの親族は成功しやすいのではないかという説もあります。「パンダ」という名前のジュウシマツがわれわれの研究室では有名で、パンダは今までの中でもっとも複雑な歌をうたっていたんですが、そいつは、メスの前ではうたわないで、一人だとうたうんですよ。
小川 本来はメスに求愛するための道具だったものが、どんどん特別化していっちゃうんですね。
岡ノ谷 うたうことそれ自体の美を求め始めるんです。たぶん。(p42以下)
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小川洋子氏も非常に頭の良い人で、息の合った会話を楽しく読めたのですが、最後の方の神に関する議論はいささか軽薄に過ぎるようで、興ざめでした。
死の回避説であらゆる神が説明できるとは思えないですね。

東大教員有志のページの運営者は、実質的には世話人筆頭の押川正毅氏のようですね。
同氏の「放射能汚染の危険性(メモ)」もざっと読んでみましたが、賛同はできかねる内容でした。
後で少し書いてみます。

https://docs.google.com/document/d/1skwzQcMTOfozTRkLYILo3mwEvZQZm9909JlFqMx8Yvo/edit?hl=en&pli=1#
http://oshikawa.issp.u-tokyo.ac.jp/oshikawacv-j.html



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