珍しく妻が映画を観にゆこうという。
その映画は昨年暮れ封切られたレ・ミゼラブル。たまには付き合わなければならない。
気乗りがしないまま福島市を目指して雪の土湯峠を越える。
ワーナーマイカル、映画はいつもここだ。五階の広いフロアーは濃密なポップコーンの匂いが流れる、その気になってくる。
料金は2人ともシニアー料金の@1000円、いつも安くて申し訳ない気がする。
小さなバケツに入ったポップコーンを抱えて館内に。中はガラガラ、ほとんどが中高年。
上映されるや、この映画の予備知識が全くない私、妻にやられたと思う。
好きでないミュージカル作品ということを知る。
だが、それはつかの間、すぐに映画の音響、映像の迫力、
そして今では珍しい中高年に感動を呼ぶスローテンポ、メロディアスな楽想の曲の数々、あっけなくミュージカルの魅力あふれる世界に引き込まれてしまう。
主演のヒュー・ジャックマンの歌の上手さ、驚くべき、あのラッセル・クローが歌えるとは・・・
今更このミュージカル、古臭い新味のない楽曲、オーソドックスなストーリーをわざわざ映画化する必要があったか、という疑問は残るものの、観てよかった、と思える一本であった。
ところで原作のレ・ミゼラブル、私は読んだことはないが・・・偶然数日前に森本毅郎のPodcastでビクトル・ユーゴの興味深い話を聞いていた。
レ・ミゼラブルは明治35年、訳者黒岩涙香、(訳本は英語訳本)ああ無情として新聞連載で紹介されている。そういえばああ無情・・・子供のころ読んだ気もするが。
明治16年、(西暦1883年)板垣退助は訪欧した時、フランスで81歳のビクトル・ユーゴに会見している。板垣はユーゴに後進国、日本に自由民権の思想を普及させるには、と問う。
それに対してユーゴはここ20年に創作した私の小説を読めばいい、と平然と答えたという。この不遜なまでのユーゴの自信に板垣は度肝を抜かれたという。
面白い逸話だ。だが今更この冗長な Les Miserables(悲惨な人々)を読もうなど、そんな気は全くない。
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