五感で観る

「生き甲斐の心理学」教育普及活動中。五感を通して観えてくるものを書き綴っています。

掛け軸の取り合わせ

2012年09月30日 | 第2章 五感と体感
☆今日は久しぶりに表装のお話です☆

私の所属している表導会では、指導員に月一度ボスである師匠の綴る文章が届きます。

深く哲学的なものもあれば、身辺に起こったことや技術に関することが綴られ、毎回拝読するのを楽しみにしています。

今回は、掛け軸の取り合わせ。つまり、本紙(作品)と着せる裂等の取り合わせのことが書かれてありました。
表装する側が、何を目的とするのか。。。ということを考えさせられる内容でした。

本紙を見せるために着せながらも、本紙を引き立たせつつ着せる裂の主張も大事です。でも、本紙よりも引き出てしまうと、それは、ちょっと違います。
私は本紙の意味と共にあるのが軸装の役目であると解釈しています。

淡い色合いの裂ばかりを使い、一見品良く仕立てることは簡単なことですが、裂の織りの種類、糸の種類、そして色、柄の内容を本紙と付き合わせ、突き詰めていこうとすると、たった一日で取り合わせを決められるものではありません。

とはいえ、表装する側の感性はそれぞれで、着せるものの好みや傾向もあるので、この表装は誰が仕立てたか。。。という観点で見ると、勿論仕立てた人の個性が見えてきます。

掛け軸の取り合わせは、建築と同じだなぁ・・・と、思っています。

施主のライフスタイル、性格、趣味、諸々の傾向を話し合いながら掴んでいくと、どんな家にしようか、どんな照明にしようか、家具にしようか、段々とイメージを掴んでいきます。建築家の傾向については、施主がもともと選んで設計事務所に来ているので、建築家の総体的なアイデンティティは掴んでいるはずです。そこで、敢えて建築家に委ねることで、住まう人は、住まう事で自分の個性をより生かしていくのです。

相互関係の趣味の傾向が合う事はとても大事なことでありますし、かといって作る側が自己主張するばかりでは許されることではありません。どこまで自己の個性を相手にそり合わせて行くかということが、課題になるわけです。それが、プロの仕事なのですから。

そんなことをツラツラ考えながら、昨日も取り合わせに腕組みすること2時間。。。実際に裂を裏打ちしたものの、それでもまだ、悩みつつ、本紙の書を眺める時間が過ぎていきました。

取り合わせが決まれば、あとは仕立てていくだけです。でも、そこまで行き着くまでが生みの苦しみなのです。

そこまで考える必要はないのかもしれませんが、そこが私の個性なわけです。

出すぎず、品良く、融和しつつ、象徴的な意味合いを解釈しながら成るべくそれに見合う取り合わせをし、下手なデザインはせず基本形に忠実に。。。が、私のアイデンティティといえるかもしれません。

昨晩遅くに、表装のお仲間から軸装の相談の電話が入りました。これもまた、以心伝心と、嬉しく思いました。

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