五感で観る

「生き甲斐の心理学」教育普及活動中。五感を通して観えてくるものを書き綴っています。

源氏物語の不変と変容

2008年09月17日 | 悔いのない人生とは?
源氏物語は、心理学を学ぶ私たちにとって日本人のアイデンティティを思索するネタがふんだんに織り込まれています。

先日のテレビ番組で、ある人が、「聖書みたいなものかもしれませんね」と言いました。
「なるほどなぁ~」
私は共感しました。
自分の今の状態によって、聖書の一節も自分の心に浮かぶ解釈が違います。

平安時代から江戸時代にかけての「引き目かぎ鼻」という顔の描き方は、なんとも無表情で、感情が読み取れません。
でも、そこには意図があります。
「観る側」の感情優先なのです。
「どうにでも観て頂戴・・・」あなたがこの絵で感じたことが「あなたの今の思考と感情と行動なのよ」という意図・・・
能面も、感情が見えないのではありません。演目や観る側が「表情を感じる」のです。決して演じ手が一方的に与えるものではありません。

「留守模様」という情景・風景の描き方もそうです。
一切、人を描かずして、物語の一コマを風景で描くのです。
それを見取り、物語を読み取っていきます。
このときも、大事にするのは観る側の感性です。

源氏物語は、戦争が終わるとベストセラーになったそうです。
応仁の乱のあとに源氏物語を基にして、文化が復興。
信長や秀吉も愛読したとのこと。
江戸時代のお姫様の婚礼道具は、源氏物語の見事な蒔絵を多く見ることができます。
第二次世界大戦後も流行したそうです。

戦時中は、谷崎潤一郎訳の源氏物語は軍の検閲を受けかなりの部分を書き換えたと聞きます。
その後、谷崎潤一郎は、書き換えました。
だからこそ、より美しい源氏物語が仕上がったのかもしれません。

源氏物語を愛し、学び続ける方が多くいらっしゃることを改めて知り、私も自分のテーマを見つけて、多様な方面から読み解いていきたいものです。

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